(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】表示装置、及び、その駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20220209BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220209BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20220209BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220209BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220209BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220209BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611D
G09G3/20 611E
G09G3/20 642K
G09G3/20 621B
G09G3/20 623C
G09G3/20 622C
G09G3/20 623D
G09G3/20 622D
G09F9/302 C
G09F9/30 338
G02F1/1335 505
G02F1/133 510
G02F1/1368
(21)【出願番号】P 2017135313
(22)【出願日】2017-07-11
【審査請求日】2020-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】321010863
【氏名又は名称】トライベイル テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100184527
【氏名又は名称】渡邉 賢二
(72)【発明者】
【氏名】野尻 勲
(72)【発明者】
【氏名】村井 博之
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-059350(JP,A)
【文献】特開2016-157112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0156992(US,A1)
【文献】特開2007-156483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G09F 9/302
G09F 9/30
G02F 1/1335
G02F 1/133
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置であって、
列方向に1つずつ配列された赤色、緑色、青色及び白色の絵素からなる複数の絵素列が列方向及び行方向のそれぞれに配列された表示パネルと、
前記表示パネルに電圧を印加する駆動部と
を備え、
前記第1画像及び前記第2画像は、前記複数の絵素列のうち行方向に沿って交互に設けられた第1絵素列及び第2絵素列によってそれぞれ表示され、
前記駆動部は、
一の前記第1絵素列に隣り合う別の前記第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
一の前記第2絵素列に隣り合う別の前記第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
前記複数の絵素列の赤色、緑色、青色及び白色の絵素を4×4の行列状に配列した第1絵素行列及び第2絵素行列が規定され、
前記第1絵素行列の赤色、緑色、青色及び白色のうちの2色の絵素は、第1傾斜方向に配列され、
前記第1絵素行列の赤色、緑色、青色及び白色のうちの前記2色とは別の2色の絵素は、前記第1傾斜方向と異なる第2傾斜方向に配列され、
前記第2絵素行列は、前記第1絵素行列と行方向において隣り合い、かつ列方向に関して前記第1絵素行列と対称である、表示装置。
【請求項2】
第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置であって、
列方向に1つずつ配列された赤色、緑色、青色及び白色の絵素からなる複数の絵素列が列方向及び行方向のそれぞれに配列された表示パネルと、
前記表示パネルに電圧を印加する駆動部と
を備え、
前記第1画像及び前記第2画像は、前記複数の絵素列のうち行方向に沿って交互に設けられた第1絵素列及び第2絵素列によってそれぞれ表示され、
前記駆動部は、
一の前記第1絵素列に隣り合う別の前記第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
一の前記第2絵素列に隣り合う別の前記第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
一の前記絵素列は、
それぞれが赤色、緑色、青色及び白色の絵素のいずれかであって、列方向の順方向に順に配列された第1絵素、第2絵素、第3絵素及び第4絵素を含み、
前記第1絵素及び前記第2絵素は、第1ゲート配線と接続され、
前記第3絵素及び前記第4絵素は、第2ゲート配線と接続され、
前記第1絵素及び前記第3絵素は、第1ソース配線と接続され、
前記第2絵素及び前記第4絵素は、第2ソース配線と接続され、
前記駆動部は、
前記第1ゲート配線をオンし、かつ、前記第2ゲート配線をオフしつつ、前記第1ソース配線に第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性と異なる第2極性の電圧を印加し、
その後に、前記第2ゲート配線をオンし、かつ、前記第1ゲート配線をオフしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、
前記一の絵素列と列方向において隣り合う別の前記絵素列は、
それぞれが赤色、緑色、青色及び白色の絵素のいずれかであって、列方向の順方向に順に配列された第5絵素、第6絵素、第7絵素及び第8絵素を含み、
前記第5絵素及び前記第6絵素は、第3ゲート配線と接続され、
前記第7絵素及び前記第8絵素は、第4ゲート配線と接続され、
前記第5絵素及び前記第7絵素は、前記第1ソース配線と接続され、
前記第6絵素及び前記第8絵素は、前記第2ソース配線と接続され、
前記駆動部は、
前記第1~第4ゲート配線のうち第1ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第4ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第3ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第2ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加する、表示装置。
【請求項3】
第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置の駆動方法であって、
前記表示装置は、
列方向に1つずつ配列された赤色、緑色、青色及び白色の絵素からなる複数の絵素列が列方向及び行方向のそれぞれに配列された表示パネルと
を備え、
前記第1画像及び前記第2画像は、前記複数の絵素列のうち行方向に沿って交互に設けられた第1絵素列及び第2絵素列によってそれぞれ表示され、
一の前記第1絵素列に隣り合う別の前記第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
一の前記第2絵素列に隣り合う別の前記第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、
一の前記絵素列は、
それぞれが赤色、緑色、青色及び白色の絵素のいずれかであって、列方向の順方向に順に配列された第1絵素、第2絵素、第3絵素及び第4絵素を含み、
前記第1絵素及び前記第2絵素は、第1ゲート配線と接続され、
前記第3絵素及び前記第4絵素は、第2ゲート配線と接続され、
前記第1絵素及び前記第3絵素は、第1ソース配線と接続され、
前記第2絵素及び前記第4絵素は、第2ソース配線と接続され、
前記第1ゲート配線をオンし、かつ、前記第2ゲート配線をオフしつつ、前記第1ソース配線に第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性と異なる第2極性の電圧を印加し、
その後に、前記第2ゲート配線をオンし、かつ、前記第1ゲート配線をオフしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、
前記一の絵素列と列方向において隣り合う別の前記絵素列は、
それぞれが赤色、緑色、青色及び白色の絵素のいずれかであって、列方向の順方向に順に配列された第5絵素、第6絵素、第7絵素及び第8絵素を含み、
前記第5絵素及び前記第6絵素は、第3ゲート配線と接続され、
前記第7絵素及び前記第8絵素は、第4ゲート配線と接続され、
前記第5絵素及び前記第7絵素は、前記第1ソース配線と接続され、
前記第6絵素及び前記第8絵素は、前記第2ソース配線と接続され、
前記第1~第4ゲート配線のうち第1ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第4ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第3ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第2極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、
その後に、前記第1~第4ゲート配線のうち第2ゲート配線のみをオンしつつ、前記第1ソース配線に前記第1極性の電圧を印加し、かつ、前記第2ソース配線に前記第2極性の電圧を印加する、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に視差バリア方式などの光偏向部材を用いて第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置、及び、その駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置として、特殊な眼鏡を必要としないで立体画像を視認可能な裸眼立体画像表示装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、透過型表示素子を電子制御することによってパララックスバリア・ストライプを発生するバリア発生手段と、当該バリア発生手段から後方に所定距離を離して配置され、パララックスバリア・ストライプに対応してストライプ状の左眼画像と右眼画像とが交互に配列される表示画面と、多方向画像を当該表示画面に出力可能な画像表示手段と、を備える3次元画像表示装置が開示されている。このような立体画像表示装置では、バリア・ストライプを電子式に発生させると共に、発生したバリア・ストライプの形状(ストライプの数、幅、間隔)や位置(位相)、濃度などを自由に可変制御できるようにしたので、2次元画像表示装置としても、3次元画像表示装置としても使用することができ、両立性のある画像表示装置を実現することができる。
【0004】
また、特許文献2には、右眼用映像を表示する右眼用画素と左眼用映像を表示する左眼用画素とを全ての行及び全ての列で交互に並ぶように配置(チェッカーフラグパターン状配置)された映像表示パネルと、この映像表示パネルの観察者側に配置され、右眼用画素及び左眼用画素に対応した開口部を有し、右眼用画素及び左眼用画素からの光を分離し観察者側に出光する光学フィルタ(視差バリアやレンズ)と、を備える立体表示装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3では、縦ストライプ形状の開口部を有する光学フィルタ(視差バリアやレンズ)を用いて、2方向に2画像を2次元表示することによって1画像を3次元表示することが可能な2画像モードと、視差バリアを全透過状態にして1画像を2次元表示することが可能な1画像モードとを有する表示ディスプレイにおいて、1画像モードにおいても、滑らかで解像度感を提供できる表示ディスプレイが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、2次元画像表示装置において、画素の配列を工夫した液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第2857429号公報
【文献】特許第3096613号公報
【文献】特許第6057647号公報
【文献】国際公開第2011/078168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1~3の技術では、液晶表示パネルを用いて右眼用画素及び左眼用画素などに用いられる第1画像及び第2画像を表示する際に、いわゆるフリッカーが発生するという問題があった。また、特許文献4に記載されている通り、第1画像及び第2画像において単色でウィンドウパターンを表示したときに、横シャドーと呼ばれる現象が発生しうるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、視差バリア方式などの光偏向部材を用いて第1画像及び第2画像を並行して表示可能で、かつ視差バリアを全透過状態にすることで2次元表示も可能な表示装置において表示品位を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示装置は、第1画像及び第2画像を並行して表示可能な表示装置であって、列方向に1つずつ配列された赤色、緑色、青色及び白色の絵素からなる複数の絵素列が列方向及び行方向のそれぞれに配列された表示パネルと、前記表示パネルに電圧を印加する駆動部とを備え、前記第1画像及び前記第2画像は、前記複数の絵素列のうち行方向に沿って交互に設けられた第1絵素列及び第2絵素列によってそれぞれ表示され、前記駆動部は、一の前記第1絵素列に隣り合う別の前記第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、一の前記第2絵素列に隣り合う別の前記第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、前記一の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。前記複数の絵素列の赤色、緑色、青色及び白色の絵素を4×4の行列状に配列した第1絵素行列及び第2絵素行列が規定され、前記第1絵素行列の赤色、緑色、青色及び白色のうちの2色の絵素は、第1傾斜方向に配列され、前記第1絵素行列の赤色、緑色、青色及び白色のうちの前記2色とは別の2色の絵素は、前記第1傾斜方向と異なる第2傾斜方向に配列され、前記第2絵素行列は、前記第1絵素行列と行方向において隣り合い、かつ列方向に関して前記第1絵素行列と対称である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動部は、一の第1絵素列に隣り合う別の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、一の第1絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加し、一の第2絵素列に隣り合う別の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に、一の第2絵素列における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。これにより、各色の絵素の極性が均等に分散されるので、フリッカーの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る液晶パネルの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る液晶表示装置の駆動制御を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図8】実施の形態2に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図13】実施の形態3に係る液晶表示装置の駆動制御を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図16】実施の形態3に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図17】実施の形態4に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図18】実施の形態4に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図19】実施の形態4に係る液晶表示装置の極性配列を示す図である。
【
図20】第1関連表示装置の極性配列を示す図である。
【
図21】第1関連表示装置の極性配列を示す図である。
【
図22】第1関連表示装置の極性配列を示す図である。
【
図23】第2関連表示装置の極性配列を示す図である。
【
図24】第2関連表示装置の極性配列を示す図である。
【
図25】第2関連表示装置の極性配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<関連表示装置>
まず、本発明の実施の形態に係る表示装置について説明する前に、当該表示装置と関連する第1及び第2関連表示装置について説明する。
【0014】
従来の液晶表示装置のような、同一極性の電圧のみを用いて絵素(サブピクセル)を駆動する直流駆動を行う構成では、液晶層内の不純物が偏って蓄積し、液晶層が劣化するという問題があった。
【0015】
この問題を解決するために、第1及び第2関連表示装置では、絵素に印加する電界の極性を周期的に反転させる交流駆動、つまり極性反転駆動が行われる。しかしながら、+極性(正極性)の電圧を印加するときと、-極性(負極性)の電圧を印加するときとでの輝度差により、極性反転駆動を行う構成において例えば画面全体で極性を反転させるとフリッカーが発生する。このフリッカーが発生しないようにするため、第1及び第2関連表示装置では、+極性を印加する絵素と、-極性を印加する絵素とが、表示画面の所定の領域内で均等に分散配置される。
【0016】
例えば、第1関連表示装置では、赤、緑、青及び白を表示する4種類の絵素によって一つのカラー表示画素が構成されており、各絵素の輝度を制御することによってカラー表示が行われる。ここで第1関連表示装置では、隣接する絵素に印加される電圧の極性を反転させる「1ドット反転」が用いられる。
【0017】
図20~
図22は、1ドット反転を行う第1関連表示装置の、あるフレームにおける極性配列を示す図である。
図20は、視差バリアを全透過状態にして高解像度で1画像を2次元表示することが可能な1画像モードの場合の極性配列を示す。
図21及び
図22は、2方向に2画像を2次元表示することによって1画像を3次元表示することが可能な2画像モードの場合の極性配列を示す。例えば、
図21の絵素は左目に視認され、
図22の絵素は右目に視認される。
【0018】
図20に示すように、1画像モードの場合には、行列状に配列された絵素の行方向及び列方向に対して概ね45度の傾斜角を有する方向である傾斜方向に、各色の絵素が配列される。このような配列によって、1画像モードでは滑らかな解像度感を提供することが可能となる。しかしながら、このような1画像モードにおいて隣り合う絵素同士の極性を互いに反転させた1ドット(絵素)反転配置を行うと、
図20に示すように、各フレームにおいて、各色の全絵素に同じ極性の電圧が印加されることになる。この結果、全面赤表示を行う場合などのように特定の色の絵素だけで表示を行う場合には、フレームごとに画面全体にフリッカーが発生する。
【0019】
次に第2関連表示装置について説明する。第2関連表示装置では、2×2ドット(絵素)を1画素(ピクセル)として、画素単位の極性反転を行う。
【0020】
図23~
図25は、画素単位の極性反転を行う第2関連表示装置の、あるフレームにおける極性配列を示す図である。
図23は、1画像モードの場合の極性配列を示し、
図21及び
図22は、2画像モードの場合の極性配列を示す。
【0021】
図23に示すように、1画像モードの場合には、各フレームにおいて、各色の隣り合う絵素同士には互いに異なる極性の電圧が印加されることになるので、特に問題は発生しない。しかしながら、
図24及び
図25に示すように、2画像モードの場合には、各フレームにおいて、左眼用及び右眼用の画像のそれぞれにおいて、各色の全絵素に同じ極性の電圧が印加されることになる。この結果、左眼用及び右眼用の画像のそれぞれにおいて、全面赤表示を行う場合などのように特定の色の絵素だけで表示を行う場合には、フレームごとに画面全体にフリッカーが発生する。
【0022】
これに対して、以下に説明する本発明の実施の形態に係る液晶表示装置によれば、以上のようなフリッカー、及び、従来技術において生じていた横シャドーを抑制することが可能となっている。
【0023】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置1の構成を示す図である。
図1の液晶表示装置1は、透過型の液晶パネル2と、ゲートドライバ9と、ソースドライバ10とを備えている。液晶パネル2は表示パネルであり、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は駆動部である。
【0024】
液晶パネル2は、縦方向に2行、横方向に2列に配置された合計4つの絵素(サブピクセル)4を、一つの画素(ピクセル)3として備える。絵素4の色は、それぞれの絵素領域に設けられたカラーフィルタの色で決まる。なお、カラーフィルタの配列、すなわち絵素4の色の配列については
図2等を用いて後で説明する。
【0025】
液晶パネル2には、行列状に配列された複数の絵素4が設けられ、かつ、ゲート配線6と、ソース配線7とが設けられている。各絵素4には、図示しない液晶層と、スイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)5とが設けられている。TFT5は、ゲート配線6からの電圧によってオンまたはオフし、オンされたTFT5は、ソース配線7からの電圧を絵素4の液晶層に印加する。このようにTFT5は、ゲート配線6及びソース配線7からの電圧に基づき、絵素4の液晶層に印加する電圧を制御することによって、液晶層の液晶分子の配向状態を変化させ、それによって絵素4での光透過率を制御する。なお、液晶パネル2には、図示しないコモン電極が設けられている。このコモン電極は、画像表示面内の全域で共通な電位に固定された電極であり、液晶層に電圧を印加するための電極である。
【0026】
一つの画素3を構成する2行の絵素4の間には、行方向に沿ってゲート配線6が設けられている。そして、一つの画素3を構成する4つの絵素4が有するTFT5の全てが、同じゲート配線6に接続されている。ゲートドライバ9が順次ゲート配線6を選択(スキャン)する際には、2行分の絵素4が、言い換えると1行分の画素3が、全て同時に選択(スキャン)されることになる。なお、以下の説明においては、ゲート配線6と、絵素4に設けられたTFT5とを接続することを、ゲート配線6と絵素4とを接続すると適宜略記することもあり、ソース配線7と、絵素4に設けられたTFT5とを接続することを、ソース配線7と絵素4とを接続すると適宜略記することもある。
【0027】
各絵素4の左右両側には、ゲート配線6と直交するように絵素の列方向に沿って2本のソース配線7が設けられている。上述したように、ゲート配線6が選択された場合、そのゲート配線6に接続された2行分の絵素4が選択される。液晶表示装置1は、選択された2行分の絵素4のうち、1列に並んでいる、つまり上下に並んでいる2つの絵素4に、2本のソース配線7からの画像表示信号である電圧をそれぞれ印加するように構成されている。
図1に示すように、本実施の形態1に係る2本のソース配線7は、各絵素4の左側に設けられたソース配線7a(以下「左側ソース配線7a」と記すこともある)と、各絵素4の右側に設けられたソース配線7b(以下「右側ソース配線7b」と記すこともある)とを含んでいる。
【0028】
図1の液晶パネル2では、最も左側の絵素4のうち、上から奇数行に属する絵素4のTFT5に、左側ソース配線7aが接続され、偶数行に属する絵素4のTFT5に、右側ソース配線7bが接続されている。左から2番目の絵素4も同様に別のソース配線7a,7bと接続されている。
【0029】
一方、左から3番目及び4番目の絵素4は、これとは逆に接続されている。つまり、左から3番目及び4番目の絵素4のうち、上から奇数行に属する絵素4のTFT5には、右側ソース配線7bが接続され、偶数行に属する絵素4のTFTには、左側ソース配線7aが接続されている。
【0030】
ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、絵素4が設けられた液晶パネル2に電圧を印加するように構成されている。ゲート配線6はゲートドライバ9に接続され、ソース配線7a,7bは共にソースドライバ10に接続されている。ソースドライバ10は、ゲートドライバ9によってゲート配線6を介して選択されている2行の絵素4に対して、階調信号をソース配線7a,7bを介して印加する。なお、階調信号は、それぞれの絵素4に画像情報を印加して、絵素4が設けられた画像表示面に画像を表示するための画像表示信号である。
【0031】
ゲート配線6が順次選択されつつ、以上のような絵素4への印加が順次行われることによって、液晶パネル2の画像表示面に設けられた全ての絵素4に1フレームの画像情報が印加される。この結果、画像表示面内に画像が表示される。
【0032】
なお図示しないが、液晶表示装置1は、液晶パネル2が透過する光を照射する光源であるバックライトと、ゲートドライバ9及びソースドライバ10に動作電圧を供給する電源回路と、画像信号などを処理する信号処理回路とを備える。
【0033】
また図示しないが、液晶表示装置1は、いくつかの絵素4によって表示される第1画像と、残りの絵素4によって表示される第2画像とを2方向にそれぞれ表示可能な光学素子を備える。光学素子は、例えば、視差バリア、及び、レンチキュラーレンズなどを含む。このように構成された液晶表示装置1は、第1画像及び第2画像を並行して表示可能である。ここで、第1画像及び第2画像を並行して表示することは、第1画像及び第2画像を同時に表示すること、及び、人に感じ取れない早さで第1画像及び第2画像を選択的に表示することなどを含む。このような液晶表示装置1において、ユーザが、第1画像及び第2画像として僅かに異なる2つの画像を左目及び右目で見た場合には、3次元画像を裸眼で見ることができる。
【0034】
次に、
図2を用いて本実施の形態1に係る液晶パネル2の絵素4の配列について説明する。なお、
図2では絵素4の色が示されている。本実施の形態1に係る液晶パネル2の絵素4は、通常の赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の絵素に加えて、白(W)を含んでいる。このように白(W)を加えた構成では、表示輝度を高くすることができる。
【0035】
ここで、液晶パネル2には、複数の絵素列が列方向及び行方向のそれぞれに配列されている。
図2には、絵素列8a,8bが一点鎖線で示されている。
【0036】
絵素列8a,8bのそれぞれは、列方向に1つずつ配列された赤色、緑色、青色及び白色の絵素4からなる。具体的には、一の絵素列8aは、列方向の順方向に順に配列された、第1絵素である白色の絵素4aと、第2絵素である青色の絵素4bと、第3絵素である緑色の絵素4cと、第4絵素である赤色の絵素4dとを含んでいる。一の絵素列8aと列方向において隣り合う別の絵素列8bは、列方向の順方向に順に配列された、第5絵素である白色の絵素4eと、第6絵素である青色の絵素4fと、第7絵素である緑色の絵素4gと、第8絵素である赤色の絵素4hとを含んでいる。
【0037】
図2に示すように、複数の絵素列を構成する緑色及び白色のそれぞれの絵素4は、左下から右上に進む方向である第1傾斜方向に配列されている。一方、複数の絵素列を構成する赤色及び青色のそれぞれの絵素4は、第1傾斜方向とは異なり、右下から左上に進む方向である第2傾斜方向に配列されている。
【0038】
次に、絵素4とゲート配線6及びソース配線7の詳細について説明する。
【0039】
列方向にて隣り合う絵素4a,4bは、
図2においてG
nと記された第1ゲート配線であるn番目のゲート配線6と接続されている。列方向にて隣り合う絵素4c,4dは、
図2においてG
n+1と記された第2ゲート配線であるn+1番目のゲート配線6と接続されている。列方向にて隣り合う絵素4e,4fは、
図2においてG
n+2と記された第3ゲート配線であるn+2番目のゲート配線6と接続されている。列方向にて隣り合う絵素4g,4hは、
図2においてG
n+3と記された第4ゲート配線であるn+3番目のゲート配線6と接続されている。例えば、G
n=G1、G
n+1=G2、G
n+2=G3、G
n+3=G4に対応する。
【0040】
ソース配線7は、各絵素列の左右両側に設けられており、かつ、対応する絵素列を構成する絵素4に設けられたTFT5に接続されている。
【0041】
例えば、左から1列目の絵素列8a、つまり上から順に白(W)の絵素4a、青(B)の絵素4b、緑(G)の絵素4c、赤(R)の絵素4dが配列された絵素列8aのうち、白(W)の絵素4a及び緑(G)の絵素4cは、
図2においてS
mと記された第1ソース配線である左側ソース配線7aと接続されている。そして当該絵素列8aのうち、青(B)の絵素4b及び赤(R)の絵素4dは、
図2においてS
m+1と記された第2ソース配線である右側ソース配線7bと接続されている。
【0042】
同様に、左から1列目の絵素列8b、つまり上から順に白(W)の絵素4e、青(B)の絵素4f、緑(G)の絵素4g、赤(R)の絵素4hが配列された絵素列8bのうち、白(W)の絵素4e及び緑(G)の絵素4gは、
図2においてS
mと記された左側ソース配線7aと接続されている。そして当該絵素列8bのうち、青(B)の絵素4f及び赤(R)の絵素4hは、
図2においてS
m+1と記された右側ソース配線7bと接続されている。
【0043】
左から2列目の絵素列、つまり上から順に赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)の絵素4が配列された絵素列のうち、赤(R)、青(B)の絵素4は、
図2においてS
m+2と記された左側ソース配線7aと接続され、緑(G)、白(W)の絵素4は、
図2においてS
m+3と記された右側ソース配線7bと接続されている。
【0044】
左から3列目の絵素列、つまり上から順に緑(G)、赤(R)、白(W)、青(B)の絵素4が配列された絵素列のうち、赤(R)、青(B)の絵素4は、
図2においてS
m+4と記された左側ソース配線7aと接続され、緑(G)、白(W)の絵素4は、
図2においてS
m+5と記された右側ソース配線7bと接続されている。
【0045】
左から4列目の絵素列、つまり上から順に青(B)、白(W)、赤(R)、緑(G)の絵素4が配列された絵素列のうち、白(W)、緑(G)の絵素4は、
図2においてS
m+6と記された左側ソース配線7aと接続され、青(B)、赤(R)の絵素4は、
図2においてS
m+7と記された右側ソース配線7bと接続されている。
【0046】
図3、
図4及び
図5は、本実施の形態1に係る液晶パネル2の、あるフレームにおける極性配列を示す図である。なお、
図3では、破線の四角で囲まれる4絵素行×4絵素列の絵素行列を繰り返した、8絵素行×12絵素列分の絵素4が示されている。このように、液晶パネル2の画像表示面は、4絵素行×4絵素列の絵素4を繰り返すことによって形成される。
【0047】
図4には、1方向から見える第1画像の表示に用いられる絵素4が示され、
図5上述した別方向から見える第2画像の表示に用いられる絵素4が示されている。
図3~
図5に示すように、第1画像及び第2画像は、複数の絵素列8のうち行方向に沿って交互に設けられた第1絵素列8-1及び第2絵素列8-2によってそれぞれ表示される。本実施の形態1では、
図4の第1絵素列8-1は、
図3の複数の絵素列8のうち左から奇数絵素列に属する絵素列8であり、
図5の第2絵素列8-2は、
図3の複数の絵素列8のうち左から偶数絵素列に属する絵素列8である。なお、
図3の極性配列は、1画像モードの極性配列に相当し、
図4及び
図5の極性配列は、2画像モードの極性配列に相当する。
【0048】
さて
図3に示すフレームの極性配列において、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、行方向に沿って複数の絵素列8を順にみた場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が2つの絵素列8ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。また、
図3に示すフレームの極性配列において、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、列方向に沿って複数の絵素列8を順に見た場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が1つの絵素列8ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。つまり、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、一の絵素列8に隣り合う別の絵素列8における赤色、緑色、青色及び白色の絵素4に、当該一の絵素列8における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。
【0049】
図4に示すフレームの極性配列において、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、行方向に沿って複数の第1絵素列8-1を順にみた場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が1つの第1絵素列8-1ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。また、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、列方向に沿って複数の第1絵素列8-1を順に見た場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が1つの第1絵素列8-1ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。つまり、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、一の第1絵素列8-1に隣り合う別の第1絵素列8-1における赤色、緑色、青色及び白色の絵素4に、当該一の第1絵素列8-1における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。
【0050】
図5に示すフレームの極性配列において、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、行方向に沿って複数の第2絵素列8-2を順にみた場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が1つの第2絵素列8-2ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。また、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、列方向に沿って複数の第2絵素列8-2を順に見た場合に、同じ色の絵素4に印加される電圧の極性が1つの第2絵素列8-2ごとに反転するように、絵素4に電圧を印加する。つまり、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、一の第2絵素列8-2に隣り合う別の第2絵素列8-2における赤色、緑色、青色及び白色の絵素4に、当該一の第2絵素列8-2における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。
【0051】
以上の結果、
図3~
図5のいずれの極性配列においても、赤(R)及び青(B)の絵素の極性だけでなく、視感度が高くフリッカーが目立つ白(W)及び緑(G)の絵素の極性が均等に分散されている。つまり、任意のフレームにおいて、水平方向、垂直方向、斜め方向における白(W)、緑(G)、赤(R)及び青(B)の絵素4の極性が可及的に異なっている。
【0052】
図6は、
図3~
図5で示す極性配列を実現するための、本実施の形態1に係るゲートドライバ9及びソースドライバ10の駆動制御を示す図である。
図6には、あるフレーム(フレームnと記す)における極性信号を示す。本実施の形態1では、ゲートドライバ9は、ゲート配線G
n(例えばG1)、G
n+1(例えばG2)、G
n+2(例えばG3)、G
n+3(例えばG4)、G
n+4(例えばG5)、G
n+5(例えばG6)、G
n+6(例えばG7)、G
n+7(例えばG8)、…をこの順に選択する。
【0053】
ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn(例えばG1)をオンし、かつ、ゲート配線Gn+1(例えばG2)をオフしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第1極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第1極性と異なる第2極性の電圧を印加する。その後に、ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn+1(例えばG2)をオンし、かつ、ゲート配線Gn(例えばG1)をオフしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第1極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第2極性の電圧を印加する。
【0054】
本実施の形態1では、ソースドライバ10は、ゲート配線Gn(例えばG1)、Gn+1(例えばG2)、Gn+2(例えばG3)、Gn+3(例えばG4)、Gn+4(例えばG5)、Gn+5(例えばG6)、Gn+6(例えばG7)、Gn+7(例えばG8)の選択に応じて、「+」→「+」→「-」→「-」→「+」→「+」→「-」→「-」の極性信号をこの順で、ソース配線Sm(例えばS1)から出力する。このように、ソースドライバ10は、2行反転駆を行う。ソースドライバ10は、これ以降のゲート配線の選択に対しても、上記の順で極性信号を繰り返して出力する。
【0055】
ソースドライバ10は、ゲート配線Gn~Gn+7の選択に応じて、「-」→「-」→「+」→「+」→「-」→「-」→「+」→「+」の極性信号をこの順で、ソース配線Sm+1(例えばS2)から出力する。ソースドライバ10は、これ以降のゲート配線の選択に対しても、上記の順で極性信号を繰り返して出力する。
【0056】
ソースドライバ10は、ソース配線Sm+1と同じ極性信号をソース配線Sm+2(例えばS3)から出力する。ソースドライバ10は、ソース配線Smと同じ極性信号をソース配線Sm+3(例えばS4)から出力する。ソースドライバ10は、ソース配線Sm~ソース配線Sm+3と同じ極性信号をソース配線Sm+4(例えばS5)~ソース配線Sm+7(例えばS8)から出力する。
【0057】
図2に示すように、左から3番目及び4番目の絵素列においては、1番目及び2番目の絵素列と異なり、奇数絵素行に属する絵素4のTFT5には、当該絵素4の右側ソース配線7bが接続され、偶数絵素行に属する絵素4のTFT5には、当該絵素4の左側ソース配線7aが接続されている。このため、例えばS1~S4に印加される電圧の極性と、例えばS5~S6に印加される電圧の極性とは同じであるが、1列目の絵素4の極性と3列目の絵素4の極性とは互に反転し、2列目の絵素4の極性と4列目の絵素4の極性とは互に反転する。
【0058】
以上により、
図3の上から1番目の複数の絵素4の極性は、1番左から順に示すと、「+」、「-」、「-」、「+」、「+」、「-」、「-」、「+」、…の繰り返しとなる。次のフレーム(フレームn+1)においては、極性が反転し、
図3の上から1番目の複数の絵素4の極性は、1番左から順に示すと、「-」、「+」、「+」、「-」、「-」、「+」、「+」、「-」、…の繰り返しとなる。
【0059】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る液晶表示装置1によれば、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、一の第1絵素列8-1に隣り合う別の第1絵素列8-1における赤色、緑色、青色及び白色の絵素4に、当該一の第1絵素列8-1における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。また、ゲートドライバ9及びソースドライバ10は、一の第2絵素列8-2に隣り合う別の第2絵素列8-2における赤色、緑色、青色及び白色の絵素4に、当該一の第2絵素列8-2における赤色、緑色、青色及び白色の絵素に印加する電圧の極性と逆の極性の電圧を印加する。このような構成によれば、
図3~
図5のいずれの極性配列においても、各色の絵素4の極性が均等に分散されるので、フリッカーの発生を抑制することができる。また同時に書き込みを行う画素行(=2絵素行)において、同色の絵素4の印加電圧の極性が全て同じにならないため、横シャドーの発生を抑制することができる。以上により、第1画像及び第2画像を並行して表示可能な液晶表示装置1において表示品位を高めることができる。
【0060】
<実施の形態2>
図7、
図8及び
図9は、本発明の実施の形態2に係る液晶パネル2の、あるフレームにおける極性配列を、
図3、
図4及び
図5と同様に示す図である。
図7では、破線の四角で囲まれる4絵素行×4絵素列の絵素4を繰り返した、8絵素行×12絵素列分の絵素4が示されている。
図7の絵素4の配列は、実施の形態1で説明した
図3の絵素4の配列と異なっている。
【0061】
具体的には、
図3の配列では、緑色及び白色のそれぞれの絵素4は、左下から右上に進む方向である傾斜方向に配列され、赤色及び青色のそれぞれの絵素4は、右下から左上に進む方向である傾斜方向に配列されていた。これに対して、
図7の配列では、緑色及び白色のそれぞれの絵素4は、右下から左上に進む方向である傾斜方向に配列され、赤色及び青色のそれぞれの絵素4は、左下から右上に進む方向である傾斜方向に配列されている。
【0062】
<実施の形態2のまとめ>
以上のような本実施の形態2に係る液晶表示装置1によれば、
図7~
図9のいずれの極性配列においても、各色の絵素4の極性が均等に分散されるので、実施の形態1と同様にフリッカーの発生を抑制することができる。また視感度の高い白(W)と緑(G)の極性が異なることで、横シャドーの発生を軽減することができる。以上により、第1画像及び第2画像を並行して表示可能な液晶表示装置1において表示品位を高めることができる。
【0063】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置1について説明する前に、
図3、
図4及び
図5に対応する
図10、
図11及び
図12を用いて、実施の形態1に係る液晶表示装置1の表示を説明する。なお、以下の説明では、1画素3を構成する縦2行の2つの絵素4のうち、平面視にてゲート配線6の上側に設けられた絵素4を「上側絵素4」と記すこともあり、平面視にてゲート配線6の下側に設けられた絵素4を「下側絵素4」と記すこともある。
【0064】
実施の形態1のように、縦2行×横2列の4つの絵素4で1画素3を形成し、ゲート配線6を縦2行の絵素4の間に設けた構成では、一つのゲート配線6の下側絵素4は、当該一つのゲート配線6に隣り合う別のゲート配線6の上側絵素4と容量を形成する。このため、
図10~
図12に示すようにG1→G2→G3→G4→G5→…のように順次スキャンを行う場合、つまり一つのゲート配線6の後に別のゲート配線6がスキャンされる場合、一つのゲート配線6の下側絵素4の電位は、別のゲート配線6の上側絵素4の電位変動を受けて変動することがある。
【0065】
例えば、あるフレームにおいて、
図10のゲート配線G1の下側絵素4のうちの緑(G)及び白(W)の絵素4に、「+」極性及び「-」極性の電位がそれぞれ書き込まれる際、ゲート配線G2の上側絵素4のうちの青(B)及び赤(R)の絵素4には「+」極性及び「-」極性の電位が書き込まれている。
【0066】
ゲート配線G1に接続された画素3に上記極性で書き込みが行われた後、スキャンの順番に従って、ゲート配線G2に接続された画素3に書き込みが行われる。これにより、ゲート配線G2の上側絵素4のうちの青(B)及び赤(R)の絵素4に、「-」極性及び「+」極性の電位がそれぞれ書き込まれる。
【0067】
このゲート配線G2における書き込みにより、青(B)の上側絵素4の極性は「+」から「-」になるため、当該青(B)の上側絵素4の電位が低下する。ゲート配線G2の当該青(B)の上側絵素4と、ゲート配線G1の緑(G)の下側絵素4との隣接画素間容量に起因して、当該緑(G)の下側絵素4に書き込まれていた「+」極性の電位は、当該青(B)の上側絵素4の電位の低下とともに低下する。ノーマリブラックモードの液晶表示装置において、ゲート配線G1の緑(G)の下側絵素4の「+」極性の電位の絶対値が、以上の現象によって小さくなってしまうと、輝度が低下して設計上の輝度よりも暗くなってしまう。
【0068】
一方、上述のゲート配線G2における書き込みにより、赤(R)の上側絵素4の極性は「-」から「+」になるため、当該赤(R)の上側絵素4の電位が上昇する。ゲート配線G2の当該赤(R)の上側絵素4と、ゲート配線G1の白(W)の下側絵素4との隣接画素間容量に起因して、当該白(W)の下側絵素4に書き込まれていた「-」極性の電位は、当該赤(R)の上側絵素4の電位の上昇とともに上昇する。ノーマリブラックモードの液晶表示装置において、ゲート配線G1の白(W)の下側絵素4の「-」極性の電位の絶対値が、以上の現象によって小さくなってしまうと、輝度が低下して設計上の輝度よりも暗くなってしまう。
【0069】
また、以上の現象と逆の現象が生じることもある。例えば、あるフレームにおいて、
図10のゲート配線G2の下側絵素4のうちの緑(G)及び白(W)の絵素4に、「-」極性及び「+」極性の電位がそれぞれ書き込まれる際、ゲート配線G3の上側絵素4のうちの青(B)及び赤(R)の絵素4には「+」極性及び「-」極性の電位が書き込まれている。
【0070】
ゲート配線G2に接続された画素3に上記極性で書き込みが行われた後、スキャンの順番に従って、ゲート配線G3に接続された画素3に書き込みが行われる。これにより、ゲート配線G3の上側絵素4のうちの青(B)及び赤(R)の絵素4に、「-」極性及び「+」極性の電位がそれぞれ書き込まれる。
【0071】
このゲート配線G3における書き込みにより、青(B)の上側絵素4の極性は「+」から「-」になるため、当該青(B)の上側絵素4の電位が低下する。ゲート配線G3の当該青(B)の上側絵素4と、ゲート配線G2の緑(G)の下側絵素4との隣接画素間容量に起因して、当該緑(G)の下側絵素4に書き込まれていた「-」極性の電位は、当該青(B)の上側絵素4の電位の低下とともに低下する。ノーマリブラックモードの液晶表示装置において、ゲート配線G2の緑(G)の下側絵素4の「-」極性の電位の絶対値が、以上の現象によって大きくなってしまうと、輝度が上昇して設計上の輝度よりも明るくなってしまう。
【0072】
一方、上述のゲート配線G3における書き込みにより、赤(R)の上側絵素4の極性は「-」から「+」になるため、当該赤(R)の上側絵素4の電位が上昇する。ゲート配線G3の当該赤(R)の上側絵素4と、ゲート配線G2の白(W)の下側絵素4との隣接画素間容量に起因して、当該白(W)の下側絵素4に書き込まれていた「+」極性の電位は、当該赤(R)の上側絵素4の電位の上昇とともに上昇する。ノーマリブラックモードの液晶表示装置において、ゲート配線G2の白(W)の下側絵素4の「+」極性の電位の絶対値が、以上の現象によって大きくなってしまうと、輝度が上昇して設計上の輝度よりも明るくなってしまう。
【0073】
なお、青(B)及び赤(R)の下側絵素4の輝度も、上述の緑(G)及び白(W)の下側絵素4の輝度と同様に変動する。ただし、青(B)及び赤(R)は、白(W)及び緑(G)よりも視感度の低い。このため、
図11に示すように、視感度の高い白(W)及び緑(G)の絵素4が上側絵素4であり、視感度の低い青(B)及び赤(R)の絵素4が下側絵素4である第1画像では、上述の輝度の変動は視認され難い。しかしながら、
図12に示すように、視感度の高い白(W)及び緑(G)の絵素4が下側絵素4であり、視感度の低い青(B)及び赤(R)の絵素4が上側絵素4である第2画像では、上述の輝度の変動が視認されることがある。つまり、第2画像において1画素行毎に現れる明暗が視認されることがある。
【0074】
本実施の形態3では、このような問題を解決するために、ゲート配線6のスキャンの順番を、実施の形態1のスキャンの順番から変更している。
【0075】
図13は、本実施の形態3に係るゲートドライバ9及びソースドライバ10の駆動制御を示す図である。
【0076】
実施の形態1のゲートスキャン順(
図6)は、「G1」→「G2」→「G3」→「G4」→「G5」→「G6」→「G7」→「G8」→…であった。これに対して、
図13に示すように本実施の形態3のゲートスキャン順は、「G1」→「G4」→「G3」→「G2」→「G5」→「G8」→「G7」→「G6」→…としている。また本実施の形態3では、ゲートスキャン順が実施の形態1のゲートスキャン順から変更されたことに対応させて、
図13のソース極性配列も、実施の形態1の
図6のソース極性配列から変更される。
【0077】
そして本実施の形態3では、ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn(例えばG1)~Gn+3(例えばG4)のうちゲート配線Gn(例えばG1)のみをオンしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第1極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第1極性と異なる第2極性の電圧を印加する。
【0078】
その後に、ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn(例えばG1)~Gn+3(例えばG4)のうちゲート配線Gn+3(例えばG4)のみをオンしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第2極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第1極性の電圧を印加する。
【0079】
その後に、ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn(例えばG1)~Gn+3(例えばG4)のうちゲート配線Gn+2(例えばG3)のみをオンしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第2極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第1極性の電圧を印加する。
【0080】
その後に、ゲートドライバ9は、ゲート配線Gn(例えばG1)~Gn+3(例えばG4)のうちゲート配線Gn+1(例えばG2)のみをオンしつつ、ソースドライバ10は、ソース配線Sm(例えばS1)に第1極性の電圧を印加し、かつ、ソース配線Sm+1(例えばS2)に第2極性の電圧を印加する。その後、ソースドライバ10は、これ以降のゲート配線の選択に対しても、上記の順で極性信号を繰り返して出力する。
【0081】
図14、
図15及び
図16は、本実施の形態3に係る液晶パネル2の、あるフレームにおける極性配列を、
図3、
図4及び
図5と同様に示す図である。
図14~
図16に示すように、視感度が低い青(B)、赤(R)の明暗だけでなく、視感度が高い緑(G)、白(W)の明暗も、第1画像及び第2画像に同等に現れる。
【0082】
<実施の形態3のまとめ>
以上のような本実施の形態3に係る液晶表示装置1によれば、各色の明暗を第1画像及び第2画像に分散することができるので、3次元表示を行った際の表示品質を高めることができる。
【0083】
<実施の形態4>
図17、
図18及び
図19は、本発明の実施の形態4に係る液晶パネル2の、あるフレームにおける極性配列を、
図3、
図4及び
図5と同様に示す図である。
【0084】
実施の形態3で述べた課題に対し、本実施の形態4では、実施の形態1~3の絵素配列を変更している。具体的には、実施の形態1~3では、2×2の行列状の画素3、つまり4×4の行列状の絵素4である4絵素行×4絵素列の絵素4を単位とし、それが繰り返し配置されていた。そして、4×4の行列においては、緑色及び白色のそれぞれの絵素4は、第1傾斜方向に配列され、赤色及び青色のそれぞれの絵素4は、第1傾斜方向とは異なる第2傾斜方向に配列されていた。
【0085】
これに対して、本実施の形態4では、2×4の行列状の画素3、つまり4×8の行列状の絵素4を単位とし、それが繰り返し配置されている。この4×8の行列状の絵素4は、複数の絵素列の赤色、緑色、青色及び白色の絵素4を4×4の行列状に配列した、
図17の一点鎖線で示される第1絵素行列11a及び第2絵素行列を含んでいる。
【0086】
第1絵素行列11aの緑色及び白色の絵素4は、右下から左上に進む方向である第1傾斜方向に配列され、第1絵素行列11aの赤色及び青色の絵素4は、左下から右上に進む方向である第2傾斜方向に配列されている。一方、第2絵素行列11bは、第1絵素行列11aと行方向において隣り合い、かつ列方向に関して第1絵素行列11aと線対称である。
【0087】
なお、ゲートスキャン順は、実施の形態1のゲートスキャン順と同様に、「G1」→「G2」→「G3」→「G4」→「G5」→「G6」→「G7」→「G8」→…である。
図17~
図19に示すように、視感度が低い青(B)、赤(R)の明暗だけでなく、視感度が高い緑(G)、白(W)の明暗も、第1画像及び第2画像に同等に現れる。
【0088】
<実施の形態4のまとめ>
以上のような本実施の形態4に係る液晶表示装置1によれば、各色の明暗を第1画像及び第2画像に分散することができるので、3次元表示を行った際の表示品質を高めることができる。また、実施の形態1及び2の画素配列に対して視感度が高い緑(G)及び白(W)の全てが同一の傾斜方向に配置されていないので、傾斜方向の線が強調されて視認されることを防ぐことができる。
【0089】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 液晶表示装置、2 液晶パネル、4,4a~4h 絵素、6 ゲート配線、7,7a,7b ソース配線、8,8a,8b 絵素列、8-1 第1絵素列、8-2 第2絵素列、9 ゲートドライバ、10 ソースドライバ、11a 第1絵素行列、11b 第2絵素行列。