(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ベースユニット、スピンドルモータ、ディスク駆動装置およびベースユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20220209BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20220209BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K15/02 Z
G11B33/12 304
G11B33/12 313T
(21)【出願番号】P 2017096550
(22)【出願日】2017-05-15
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】杉信 進悟
(72)【発明者】
【氏名】下村 巧
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-223312(JP,A)
【文献】特開2005-189257(JP,A)
【文献】特開2004-260960(JP,A)
【文献】特開平03-049543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
H02K 15/02
G11B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を有するモータと電気的に接続されるコネクタと、
前記モータを支持するモータ支持部と、
前記コネクタの基板部を支持するコネクタ支持部と、
を備え、
前記コネクタ支持部は、
前記中心軸に対して直交する方向に広がり、前記基板部の下面を支持する底板部と、
前記底板部を軸方向に貫通し、前記コネクタの電極と軸方向視において重なる窓部と、
前記窓部の周囲において前記底板部の上面に設けられ、前記基板部の前記下面と軸方向視において重なる第1凹部と、
前記第1凹部と離間して前記底板部の前記上面に設けられた
複数の第2凹部と、
を有し、
前記第2凹部は、前記基板の角部と軸方向視において重なり、前記基板部の対角に位置しており、
前記第2凹部は、軸方向の深さが、前記第1凹部よりも深く、
前記第1凹部には、前記底板部と前記基板部とを固定する熱硬化型接着剤が充填され、
前記第2凹部には、前記底板部と前記基板部とを仮止めする仮止め用接着剤が充填され、
前記仮止め用接着剤は、紫外線硬化型接着剤であり、紫外線硬化型接着剤の少なくとも一部が、前記基板部の側面に塗りあがっている、
ベースユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のベースユニットであって、
前記第2凹部は、軸方向から視て、円形、楕円形または矩形のいずれかである、
ベースユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のベースユニットであって、
前記第2凹部は、軸方向から視て、楕円形、または、長辺および短辺を有する長方形で
あり、長手方向が、前記第1凹部の外縁に沿っている、
ベースユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のベースユニットであって、
前記第2凹部の底面は、軸方向に直交する平坦面である、
ベースユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のベースユニットであって、
前記第2凹部の開口径は、軸方向下側に向かって小さくなる、
ベースユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載のベースユニットであって、
前記第2凹部は、前記基板部の縁部と軸方向視において重なる、
ベースユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載のベースユニットと、
前記ベースユニットに固定された前記モータと、
を備え、
前記モータは、
前記ベースユニットに固定された軸受機構と、
前記軸受機構により回転可能に支持される回転部と、
を有する、スピンドルモータ。
【請求項8】
請求項7に記載のスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの前記回転部に支持されたディスクに対し、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行うアクセス部と、
カバーと、
を有し、
前記ベースユニットと前記カバーとで構成される筐体の内部に、前記スピンドルモータおよび前記アクセス部が、収容される、
ディスク駆動装置。
【請求項9】
モータを支持するモータ支持部と、前記モータと電気的に接続されるコネクタの基板部を支持するコネクタ支持部と、を備えるベースユニットの製造方法であって、
前記コネクタ支持部は、
前記モータの中心軸に対して直交する方向に広がり、前記基板部の下面を支持する底板部と、
前記底板部を軸方向に貫通し、前記コネクタの電極端子と軸方向に重なる窓部と、
前記窓部の周囲において前記底板部の上面に設けられ、前記基板部の前記下面と軸方向に重なる第1凹部と、
前記第1凹部と離間して前記底板部の前記上面に設けられた複数の第2凹部と、
を有し、
前記第2凹部は、軸方向の深さが、前記第1凹部よりも深く、
a)前記第1凹部に熱硬化型接着剤を充填する工程と、
b)前記コネクタの前記基板部を、前記底板部に載置する工程と、
c)前記第2凹部に仮止め用接着剤である紫外線硬化型接着剤を充填し、紫外線硬化型接着剤の少なくとも一部が、前記基板部の側面に塗りあげ、前記底板部と前記基板部とを仮止めする工程と、
d)前記熱硬化型接着剤を硬化させる工程と、
を備える、ベースユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースユニット、スピンドルモータ、ディスク駆動装置およびベースユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブには、ディスクを回転させるためのスピンドルモータが、搭載されている。従来のハードディスクドライブおよびスピンドルモータについては、例えば、特開2013-223312号公報に記載されている。当該公報には、ディスク駆動装置のベース部材に、スピンドルモータを固定することが、記載されている。ベース部材の上面には、モータと電気的に接続されるコネクタが接着剤で固定されている。
【文献】特開2013-223312号公報
【発明の概要】
【0003】
特開2013-223312号公報には、コネクタの接着位置の周囲に溝を設け、ベース部材にコネクタを接着する際に、硬化前の接着剤が溝に溜まることで、コネクタの外側へのはみ出しを抑制することが記載されている。しかしながら、当該公報の場合、接着剤を硬化させるために、ベース部材を炉に移動させる必要があり、その移動の途中で、コネクタの位置ずれが生じるおそれがある。
【0004】
このような問題を鑑みて、本発明の目的は、接着剤の硬化前に生じるおそれのある、コネクタの位置ずれを抑制する、ベースユニット、スピンドルモータ、ディスク駆動装置およびベースユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、上下方向に延びる中心軸を有するモータと電気的に接続されるコネクタと、前記モータを支持するモータ支持部と、前記コネクタの基板部を支持するコネクタ支持部と、を備え、前記コネクタ支持部は、前記中心軸に対して直交する方向に広がり、前記基板部の下面を支持する底板部と、前記底板部を軸方向に貫通し、前記コネクタの電極と軸方向視において重なる窓部と、前記窓部の周囲において前記底板部の上面に設けられ、前記基板部の前記下面と軸方向視において重なる第1凹部と、前記第1凹部と離間して前記底板部の前記上面に設けられた複数の第2凹部と、を有し、前記第2凹部は、前記基板の角部と軸方向視において重なり、前記基板部の対角に位置しており、前記第2凹部は、軸方向の深さが、前記第1凹部よりも深く、前記第1凹部には、前記底板部と前記基板部とを固定する熱硬化型接着剤が充填され、前記第2凹部には、前記底板部と前記基板部とを仮止めする仮止め用接着剤が充填され、前記仮止め用接着剤は、紫外線硬化型接着剤であり、紫外線硬化型接着剤の少なくとも一部が、前記基板部の側面に塗りあがっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、底板部と基板部とを仮止めすることで、炉にベースユニットを移動させて、熱硬化型接着剤を硬化させる際に、コネクタの基板部の位置ずれを防止できる。また、第2凹部を設けることで、仮止め用接着剤がコネクタの基板部上面に乗りあがることを防止できる。その結果、コネクタの基板部上面に、押さえ用の冶具を配置しても、仮止め用接着剤が冶具に張り付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るディスク駆動装置の断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図4は、ベースユニットの製造処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、コネクタ支持部の変形例を示す図である。
【
図6】
図6は、コネクタ支持部の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、コネクタ支持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、スピンドルモータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、スピンドルモータの中心軸に直交する方向を「径方向」、スピンドルモータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、軸方向を上下方向とし、ベース部材の底板部に対してコネクタを上として、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したものであって、本発明に係るベースユニット、スピンドルモータおよびディスク駆動装置の使用時の向きを限定するものではない。
【0009】
<1.ディスク駆動装置の構成について>
図1は、第1実施形態に係るディスク駆動装置100の断面図である。
【0010】
ディスク駆動装置100は、磁気ディスク12を回転させつつ、磁気ディスク12に対して情報の読み出しおよび書き込みを行う装置である。ディスク駆動装置100は、スピンドルモータ11、3枚の磁気ディスク12、アクセス部13、およびカバー14を有する。
【0011】
スピンドルモータ11は、3枚の磁気ディスク12を支持しつつ、これらの磁気ディスク12を、中心軸9を中心として回転させる。ディスク駆動装置1は、スピンドルモータ11を支持するベース部材21を有する。スピンドルモータ11の回転部3、3枚の磁気ディスク12、およびアクセス部13は、ベース部材21とカバー14とで構成される筐体の内部に、収容される。アクセス部13は、磁気ディスク12の記録面に沿ってヘッド131を移動させて、磁気ディスク12に対する情報の読み出しおよび書き込みを行う。
【0012】
ベース部材21とカバー14との接合部は、エラストマー等のシール材で封止されている。また、ベース部材21とカバー14とで構成される筐体の内部には、ヘリウム、水素、もしくはヘリウムと水素との混合気体、またはこれらのいずれかと空気との混合気体が、充填されている。これらの気体は、筐体外部の空気より密度が低い。このため、磁気ディスク12およびアクセス部13に加わる粘性抵抗が小さい。したがって、駆動時における磁気ディスク12およびアクセス部13の風損が低減される。
【0013】
なお、ディスク駆動装置1が有する磁気ディスク12は、1~2枚であってもよいし、4枚以上であってもよい。また、アクセス部13は、磁気ディスク12に対して、情報の読み出しおよび書き込みの一方のみを行うものであってもよい。
【0014】
<2.スピンドルモータの構成>
続いて、上記のスピンドルモータ11の構成について説明する。スピンドルモータ11は、静止部2と回転部3とを有する。静止部2は、ベース部材21およびカバー14に対して、相対的に静止している。回転部3は、静止部2に対して、回転可能に支持されている。
【0015】
静止部2は、ベース部材21、ステータ部22、電気配線部23、スリーブ24、およびキャップ25を有する。
【0016】
ベース部材21は、ステータ部22およびスリーブ24を支持している。ベース部材21は、金属製の部材であり、例えば、アルミニウム合金の鋳造により得られる。ベース部材21は、底板部211と、有底略円筒状のカップ部212とを有する。底板部211は、回転部3、磁気ディスク12、およびアクセス部13の下側において、中心軸9に対して直交する方向に広がっている。カップ部212は、中心軸9と略同軸に配置されている。カップ部212は、スピンドルモータ11を支持するモータ支持部である。
【0017】
ステータ部22は、ステータコア51と、複数のコイル52とを有する。ステータコア51は、例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板が軸方向に積層された積層鋼板により形成される。ステータコア51は、カップ部212の外周面に、固定されている。また、ステータコア51は、径方向外側へ向けて突出した複数本のティースを有する。コイル52は、各ティースの周囲に巻かれた導線により、構成されている。
【0018】
電気配線部23は、底板部211の上面に配置され、コイル52と電気的に接続されている。電気配線部23は、フレキシブルプリント基板61とコネクタ62とを有する。外部電源から供給される駆動電流は、コネクタ62およびフレキシブルプリント基板61を介して、コイル52に供給される。なお、本実施形態では、ベース部材21と電気配線部23とで、ベースユニット4が構成されている。ベースユニット4のより詳細な構造については、後述する。
【0019】
スリーブ24は、後述するシャフト31の周囲において、軸方向に略円筒状に延びている。スリーブ24の下部は、カップ部212内に収容されるとともに、例えば接着剤で、カップ部212に固定されている。スリーブ24の内周面は、シャフト31の外周面と、径方向に対向している。また、スリーブ24の下部の開口は、キャップ25によって塞がれている。
【0020】
本実施形態の回転部3は、シャフト31、ハブ32、およびマグネット33を有する。
【0021】
シャフト31は、スリーブ24の径方向内側において、軸方向に延びている。シャフト31の材料には、例えば、ステンレス等の金属が使用される。シャフト31の上端部は、スリーブ24の上面より上方へ突出している。また、スリーブ24およびキャップ25と、シャフト31との間には、潤滑流体が介在している。シャフト31は、スリーブ24およびキャップ25に対して、潤滑流体を介して、回転可能に支持されている。
【0022】
すなわち、本実施形態では、静止部2側の部材であるスリーブ24およびキャップ25と、回転部3側の部材であるシャフト31と、これらの間に介在する潤滑流体とで、軸受機構15が構成されている。潤滑流体には、例えば、ポリオールエステル系オイル、またはジエステル系オイルが使用される。
【0023】
ハブ32は、シャフト31の上端部の周縁部から、径方向外側および下側へ向けて、広がっている。ハブ32の内周部は、シャフト31の上端部に固定されている。3枚の磁気ディスク12は、ハブ32に支持される。また、マグネット33は、磁性体のバックヨーク331を介して、ハブ32に固定されている。マグネット33の径方向内側の面は、ステータコア51の複数のティースと、径方向に対向する。また、マグネット33の径方向内側の面には、N極とS極とが、周方向に交互に着磁されている。
【0024】
このようなスピンドルモータ11において、コイル52に駆動電流を与えると、ステータコア51の複数のティースに、径方向の磁束が生じる。そして、ティースとマグネット33との間の磁束の作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、静止部2に対して回転部3が、中心軸9を中心として回転する。ハブ32に支持された磁気ディスク12は、回転部3とともに、中心軸9を中心として回転する。
【0025】
<3.ベースユニットについて>
以下に、ベースユニット4について説明する。ベースユニット4は、上記のように、ベース部材21と、電気配線部23とで構成されている。
図2は、ベース部材21の部分上面図である。
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【0026】
ベース部材21は、コネクタ支持部70を有している。コネクタ支持部70は、コネクタ62を支持している。コネクタ62は、基板部621と、複数の電極端子622とを有している。基板部621は、矩形状の上面および下面を有する板状部材である。複数の電極端子622は、基板部621の下面に設けられている。電極端子622は、電源装置から延びるリード線の端部が、接続される部分である。コネクタ支持部70は、コネクタ62を、基板部621の下面で支持している。
図2では、基板部621および電極端子622は、破線で示している。
【0027】
コネクタ支持部70は、窓部71、第1凹部72、2つの第2凹部73、第1ベース上面74、2つの第2ベース上面75、および4つの第3ベース上面76を有している。
【0028】
窓部71は、底板部211を軸方向に貫通する貫通孔である。窓部71は、軸方向視において、電極端子622と重なっている。このため、電極端子622は、ベース部材21の下面側の空間に向けて、露出している。これにより、ディスク駆動装置1の外部に配置された電源装置と、電極端子622とを、リード線で電気的に接続することが、可能となっている。
【0029】
第1凹部72は、底板部211の上面に設けられている。第1凹部72は、環状であって、間隙を設けて窓部71を取り囲んでいる。第1凹部72は、基板部621の下面と、軸方向において対向している。
【0030】
第1ベース上面74は、底板部211の上面の一部であって、窓部71と第1凹部72との間に位置している。第1ベース上面74は、環状に広がって、窓部71を取り囲んでいる。すなわち、第1ベース上面74は、窓部71の端縁部から、窓部71に対する外側へ向けて広がり、第1凹部72の窓部71側の端縁部に達している。第1ベース上面74は、基板部621の下面の電極端子622の周囲を支持している。
【0031】
2つの第2ベース上面75それぞれは、底板部211の上面の一部であって、第1凹部72の端縁部に位置している。2つの第2ベース上面75は、窓部71を介して互いに反対側に位置する。2つの第2ベース上面75それぞれは、第1凹部72の端縁部から、窓部71に向かって突出している。2つの第2ベース上面75それぞれは、基板部621の下面の端縁部を支持している。
【0032】
4つの第3ベース上面76それぞれは、底板部211の上面の一部であって、第1凹部72の端縁部に位置している。より詳しくは、4つの第3ベース上面76は、第1凹部72を4方から囲っている。そして、4つの第3ベース上面76それぞれは、コネクタ支持部70により支持されたコネクタ62の基板部621の4つの角部それぞれと、軸方向視で重なっている。4つの第3ベース上面76それぞれは、基板部621の下面の角部を支持している。
【0033】
2つの第2凹部73は、第3ベース上面76に設けられている。この例では、2つの第2凹部73それぞれは、基板部621の対角に位置する2つの第3ベース上面76それぞれに設けられている。また、第2凹部73は、第1凹部72と離間して設けられている。かつ、第2凹部73は、一部が、基板部621の角部と軸方向視において重なる位置に設けられている。また、第2凹部73は、軸方向から視て、円形である。第2凹部73の底面は、軸方向に直交する平坦面となっている。
【0034】
第1ベース上面74、2つの第2ベース上面75、および4つの第3ベース上面76それぞれは、軸方向において、同じ高さを有している。このため、基板部621は、安定して、各ベース上面74、75、76に載置される。
【0035】
第1凹部72には、
図3に示すように、熱硬化型接着剤81が充填されている。熱硬化型接着剤81には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤が使用される。第1凹部72は、基板部621の下面と、底板部211とに挟まれている。この第1凹部72に熱硬化型接着剤81が充填されることで、基板部621の下面と、底板部211との間には、熱硬化型接着剤81が介在するようになる。
【0036】
熱硬化型接着剤81は、硬化前の状態で、第1凹部72に充填される。熱硬化型接着剤81は、例えば、炉などで熱が加えられることで硬化する。熱硬化型接着剤81が硬化することで、基板部621と底板部211とが固定されるようになる。
【0037】
第2凹部73には、紫外線硬化型接着剤82が充填されている。紫外線硬化型接着剤82は、基板部621と、底板部211とを仮止めする仮止め用接着剤である。紫外線硬化型接着剤82は、硬化前の状態で、
図3に示すように、少なくとも一部が、基板部621の側面に塗り上がるまで充填される。紫外線硬化型接着剤82は、紫外線が照射されることで、硬化する。紫外線硬化型接着剤82を硬化させることで、底板部211と、基板部621とが固定されるようになる。
【0038】
熱硬化型接着剤81は、紫外線硬化型接着剤82よりも高い固定強度で、基板部621と底板部211とを固定可能である。ただし、熱硬化型接着剤81を硬化させて、基板部621と、底板部211とを固定させる際には、ベースユニット4を炉に移動させて、熱硬化型接着剤81に熱を加える必要がある。この移動の際、もし底板部211に対して基板部621が仮止めされていなければ、基板部621が位置ずれするおそれがある。上記のように、外部の電源装置と、電極端子622とを電気的に接続するために、コネクタ62の電極端子622は、窓部71から露出させている。基板部621が位置ずれすると、電極端子622は、窓部71から露出しなくなることがある。
【0039】
そこで、本実施形態では、基板部621の位置ずれを抑制するために、基板部621と底板部211とを、紫外線硬化型接着剤82で仮止めしている。紫外線硬化型接着剤82は、紫外線を照射することで硬化させることができるため、ベースユニット4を移動させることなく、基板部621と底板部211とを固定できる。
【0040】
第2凹部73は、第1凹部72と離間しているため、熱硬化型接着剤81と紫外線硬化型接着剤82とが混在することはない。また、第2凹部73は、基板部621の対角に位置しているため、基板部621は、2か所で、紫外線硬化型接着剤82により固定されている。このため、基板部621と底板部211とをより強固に仮止めでき、底板部211に対する基板部621の位置ずれを防止できる。さらに、
図3に示すように、第2凹部73の軸方向の深さは、第1凹部72よりも深い。第2凹部73をより深くすることで、硬化前の紫外線硬化型接着剤82が基板部621の上面に乗りあがることを抑制できる。
【0041】
<4.ベースユニット4の製造処理について>
以下に、コネクタ62を底板部211に固定して、ベースユニット4を製造する方法について説明する。
【0042】
図4は、ベースユニット4の製造処理のフローチャートである。
【0043】
底板部211の上面に、コネクタ62の基板部621を固定する際、まず、硬化前の熱硬化型接着剤81を第1凹部72に充填する(ステップS1)。次に、基板部621を底板部211に配置する(ステップS2)。このとき、コネクタ62の電極端子622と、窓部71とを、軸方向に重ねて配置する。この状態で、基板部621の上面に、不図示の押さえ用の冶具を載置する(ステップS3)。
【0044】
次に、第2凹部73に、硬化前の紫外線硬化型接着剤82を充填する(ステップS4)。紫外線硬化型接着剤82は、少なくとも一部が、基板部621の側面に付着する程度に充填する。第2凹部73の軸方向の深さは、第1凹部72よりも深い。このため、硬化前の紫外線硬化型接着剤82が基板部621の上面に乗りあがることを抑制できる。その結果、紫外線硬化型接着剤82が、押さえ用の冶具に付着することを防止できる。
【0045】
そして、紫外線硬化型接着剤82に紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤82を硬化させる(ステップS5)。これにより、基板部621と底板部211とが仮止めされるようになる。この状態で、ベースユニット4を炉に移動させ、熱硬化型接着剤81に熱を加えて、熱硬化型接着剤81を硬化させる(ステップS6)。これにより、基板部621と底板部211とが固定されるようになる。
【0046】
<5.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
図5、
図6および
図7は、コネクタ支持部70の変形例を示す図である。
【0048】
第2凹部73は、
図5に示すように、軸方向視において楕円形であってもよい。また、第2凹部73は、
図6に示すように、軸方向視において矩形であってもよい。軸方向視における第2凹部73の開口が長手方向を有する形状である場合、第2凹部73は、長手方向が、第1凹部の外縁に沿って設けられることが好ましい。このように、底板部211の上面のスペースを有効に活用することにより、基板部621と底板部211とが固定される面積が拡がる。すなわち、仮固定の信頼性が向上する。
【0049】
また、第2凹部73は、
図7に示すように、軸方向に直交する断面において、軸方向下側に向かって、開口径が小さくなるV字状であってもよい。また、第2凹部73は、軸方向に直交する断面において、円弧状、または矩形以外の多角状であってもよい。さらに、第2凹部73の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0050】
第2凹部73は、軸方向視で、基板部621の角部と重なっているが、重なっていなくてもよい。第2凹部73に充填される紫外線硬化型接着剤82が、基板部621に接触して、基板部621と、底板部211とが仮止めできればよい。
【0051】
また、窓部71の上面視における形状は、
図3のように略矩形であってもよく、他の形状であってもよい。例えば、窓部が、上面視において円形や三角形であってもよい。また、第1凹部72の上面視における形状は、
図3に示す形状以外の形状であってもよい。また、第1凹部72は、必ずしも環状でなくてもよい。
【0052】
その他、各部材の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願は、スピンドルモータおよびディスク駆動装置に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 :ディスク駆動装置
2 :静止部
3 :回転部
4 :ベースユニット
9 :中心軸
11 :スピンドルモータ
15 :軸受機構
21 :ベース部材
22 :ステータ部
23 :電気配線部
62 :コネクタ
70 :コネクタ支持部
71 :窓部
72 :第1凹部
73 :第2凹部
81 :熱硬化型接着剤
82 :紫外線硬化型接着剤
100 :ディスク駆動装置
211 :底板部
621 :基板部
622 :電極端子