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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】角形二次電池及びそれを用いた組電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/598 20210101AFI20220209BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20220209BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220209BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220209BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220209BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20220209BHJP
【FI】
H01M50/598
H01M50/342 101
H01M50/55 101
H01M50/209
H01M10/04 Z
H01M50/15
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017147416
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2019029189
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】大笹 剛史
(72)【発明者】
【氏名】辻 淳史
(72)【発明者】
【氏名】池内 義規
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-327281(JP,A)
【文献】特開2004-119319(JP,A)
【文献】特開2008-103205(JP,A)
【文献】特開2012-113854(JP,A)
【文献】特開2017-059376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0023889(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0030544(KR,A)
【文献】特開2015-156300(JP,A)
【文献】特開2009-152208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/00-10/04
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する角形外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記角形外装体内に配置された正極板及び負極板を含む電極体と、を備えた角形二次電池であって、
前記封口板にはガス排出弁が設けられており、
前記封口板の長手方向において、前記ガス排出弁よりも前記封口板の一方の端部側に識別コード読取装置で読み取られる第1の識別コードが設けられており、
前記封口板の長手方向において、前記ガス排出弁よりも前記封口板の他方の端部側に排出弁よりも前記封口板の一方の端部側に識別コード読取装置で読み取られる第2の識別コードが設けられており、
前記第1の識別コードと前記第2の識別コードは同じ情報を有し、
前記封口板の長手方向における前記封口板の長さをL1とし、
前記封口板の長手方向において、前記封口板の一方の端部から前記封口板の他方の端部に向かって0.5×L1の距離にある位置に、前記ガス排出弁の少なくとも一部が配置された、
角形二次電池
【請求項2】
前記封口板の長手方向において、前記封口板の一方の端部から前記封口板の他方の端部に向かって0~0.45×L1の距離にある位置に前記第1の識別コードが配置され、
前記封口板の長手方向において、前記封口板の一方の端部から前記封口板の他方の端部に向かって0.55×L1~L1の距離にある位置に前記第2の識別コードが配置された、
請求項に記載の角形二次電池。
【請求項3】
前記封口板の長手方向において、前記封口板の一方の端部から前記封口板の他方の端部に向かって0.25×L1~0.45×L1の距離にある位置に前記第1の識別コードが配置され、
前記封口板の長手方向において、前記封口板の一方の端部から前記封口板の他方の端部に向かって0.55×L1~0.75×L1の距離にある位置に前記第2の識別コードが
配置された、
請求項に記載の角形二次電池。
【請求項4】
前記封口板には、前記正極板に電気的に接続された正極端子と、前記負極板に電気的に接続された負極端子とが取り付けられており、
前記封口板の長手方向において、前記第1の識別コードは前記正極端子と前記ガス排出弁の間に配置され、前記第2の識別コードは前記負極端子と前記ガス排出弁の間に配置された、
請求項1~のいずれかに記載の角形二次電池。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の角形二次電池を複数個含む組電池。
【請求項6】
少なくとも1つの前記角形二次電池が、他の前記角形二次電池とは異なる向きに配置された、
請求項に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は角形二次電池及びそれを用いた組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源において、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池等の角形二次電池が使用されている。
【0003】
これらの角形二次電池では、開口を有する有底角筒状の角形外装体と、その開口を封口する封口板により電池ケースが構成される。電池ケース内には、正極板、負極板及びセパレータからなる電極体が電解液と共に収納される。封口板には正極端子及び負極端子が取り付けられる。正極端子は正極集電体を介して正極板に電気的に接続され、負極端子は負極集電体を介して負極板に電気的に接続される。
【0004】
正極板は、金属製の正極芯体と、正極芯体表面に形成された正極活物質合剤層を含む。正極芯体の一部には正極活物質合剤層が形成されない正極芯体露出部が形成される。そして、この正極芯体露出部に正極集電体が接続される。また、負極板は金属製の負極芯体と、負極芯体表面に形成された負極活物質合剤層を含む。負極芯体の一部には負極活物質合剤層が形成されない負極芯体露出部が形成される。そして、この負極芯体露出部に負極集電体が接続される。
【0005】
角形二次電池においては、電池ケースを構成する封口板に識別コードを付与することが考えられる。この識別コードに含まれる情報と、角形二次電池の性能に関する情報や角形二次電池の製造工程における履歴に関する情報等を紐付けることができる。これにより、角形二次電池の性能や製造履歴等を正確に管理・把握することができる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-113854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、より生産性が高く、管理をより簡単にできる角形二次電池及びそれを用いた組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態の角形二次電池は、開口を有する角形外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記角形外装体内に配置された正極板及び負極板を含む電極体と、を備えた角形二次電池であって、
前記封口板にはガス排出弁が設けられており、前記封口板の長手方向において、前記ガス排出弁よりも前記封口板の一方の端部側に第1の識別コードが設けられており、前記封口板の長手方向において、前記ガス排出弁よりも前記封口板の他方の端部側に第2の識別コードが設けられており、前記第1の識別コードと前記第2の識別コードは同じ情報を有する。
【0009】
本発明の一様態の角形二次電池の構成によると、より生産性が高く、管理をより簡単にできる角形二次電池となる。また、本発明の一様態の角形二次電池を用いて組電池とする
ことで、より生産性が高く、管理をより簡単にできる組電池となる。
【0010】
通常、角形二次電池においては、封口板の中央部分にガス排出弁が形成される。このため、封口板に識別コードを設ける場合は、封口板の中央部分からずれた位置に識別コードを設けることになる。このように、封口板の中央部からずれた位置に識別コードが設けられていると、角形二次電池の製造工程、あるいは組電池の製造工程等において、識別コードを読み取る識別コード読取装置、あるいは各部品を封口板に取り付ける取り付け装置等の装置を移動させる必要が生じる可能性がある。
【0011】
これに対し、本発明の一様態の角形二次電池の構成によると、角形二次電池の製造工程、あるいは組電池の製造工程等において、識別コードを読み取る識別コード読取装置、あるいは各部品を封口板に取り付ける取り付け装置等の装置を移動させる必要性を低減させることができる。よって、より生産性が高く、管理をより簡単にできる角形二次電池及びそれを用いた組電池となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より生産性が高く、管理をより簡単にできる角形二次電池及びそれを用いた組電池となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る角形二次電池の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】実施形態に係る封口板の上面図である。
図4】正極端子近傍の封口板の長手方向に沿った断面図である。
図5】封口板に正極端子及び負極端子を取り付ける手順を示す図である。
図6】実施形態に係る組電池の上面図である。
図7】組電池において隣接する2つの角形二次電池のガス排出弁近傍の拡大図である。
図8】変形例1に係る角形二次電池における正極端子近傍の長手方向に沿った断面図である。
図9】変形例2に係る組電池の上面図である。
図10】変形例3に係る組電池の上面図である。
図11】他の形態1に係る組電池の上面図である。
図12】他の形態2に係る組電池の上面図である。
図13】他の形態3に係る組電池の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態に係る角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0015】
図1及び図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底角筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケース100を備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板、負極板及びセパレータを含む電極体3が、電解液と共に収容されている。電極体3と角形外装体1の間には絶縁シート14が配置されている。
【0016】
正極板は、正極芯体としての金属箔の両面に正極活物質合剤層が形成されている。正極活物質合剤層は、正極活物質を含有する。負極板は、負極芯体としての金属箔の両面に負極活物質合剤層が形成されている。負極活物質合剤層は、負極活物質を含有する。正極板
と負極板の間には多孔質フィルムからなるセパレータが配置されている。なお、電極体3は、複数の正極板と複数の負極板を積層した積層型電極体であってもよい。また、電極体3は、帯状の正極板と帯状の負極板を、帯状のセパレータを介して巻回した巻回型の電極体であってもよい。
【0017】
電極体3の封口板2側の端部には、正極板に接続された正極タブ4、及び負極板に接続された負極タブ5が配置されている。なお、正極タブ4は正極芯体の一部であることが好ましく、負極タブ5は負極芯体の一部であることが好ましい。正極タブ4は正極集電体6を介して正極端子7に電気的に接続されている。正極集電体6と封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材10が配置されている。正極端子7と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材11が配置されている。負極タブ5は負極集電体8を介して負極端子9に電気的に接続されている。負極集電体8と封口板2の間には樹脂製の内部側絶縁部材12が配置されている。負極端子9と封口板2の間には樹脂製の外部側絶縁部材13が配置されている。
【0018】
正極端子7はフランジ部7a及び挿入部7bを有する。正極端子7の挿入部7bが電池外部側から、外部側絶縁部材11の貫通孔、封口板2の正極端子取り付け孔2a、内部側絶縁部材10の貫通孔及び正極集電体6の貫通孔に挿入されている。そして、挿入部7bの先端側がカシメられている。なお、挿入部7bにおいてカシメられた部分を正極集電体6に溶接接続することが好ましい。
負極端子9はフランジ部9a及び挿入部9bを有する。負極端子9の挿入部9bが電池外部側から、外部側絶縁部材13の貫通孔、封口板2の負極端子取り付け孔2b、内部側絶縁部材12の貫通孔及び負極集電体8の貫通孔に挿入されている。そして、挿入部9bの先端側がカシメられている。なお、挿入部9bにおいてカシメられた部分を負極集電体8に溶接接続することが好ましい。
【0019】
封口板2には注液孔15が設けられており、注液孔15から電池ケース100内に電解液を注液した後、封止栓16により封止される。封口板2には電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース100内のガスを電池ケース100外に排出するガス排出弁17が設けられている。
【0020】
封口板2の電池外部側の面には、第1の識別コード30と第2の識別コード31が設けられている。第1の識別コード30と第2の識別コード31は、同じ情報を有する。封口板2の長手方向(図1では左右方向)において、封口板2の中央部にガス排出弁17が配置されている。封口板2の長手方向において、ガス排出弁17よりも封口板2の一方の端部側(図1では右側)には第1の識別コード30が配置されている。封口板2の長手方向において、ガス排出弁17よりも封口板2の他方の端部側(図1では左側)には第2の識別コード31が配置されている。
【0021】
例えば、第1の識別コード30又は第2の識別コード31を識別コード読取装置により読み取ることにより特定の文字、番号、記号、あるいはそれらの組み合わせ等を特定できる。そして、それらの情報に、角形二次電池の電池特性や角形二次電池の製造履歴に関する情報を紐付けることができる。これにより、第1の識別コード30又は第2の識別コード31を読み取ることにより、角形二次電池の電池特性や角形二次電池の製造履歴に関する情報を確認することができる。
【0022】
次に角形二次電池20の製造方法について説明する。
[封口体の組立て方法]
図3は封口板2の上面(電池外部側の面)を示す図である。
封口板2の長手方向の長さをL1とする。そして封口板2の長手方向において、封口板
2の一方の端部から0.5×L1の距離にあって、封口板2の短手方向に延びる直線を封口板2の中心線Cとする。ガス排出弁17は、封口板2の長手方向における中央部に配置されている。また、ガス排出弁17は、その一部が中心線C上に配置されている。このような構成であると、電池ケース100内の圧力が所定値に達したときにガス排出弁17が安定的に作動する。また、ガス排出弁17が作動した際に、電池ケース100内のガスをガス排出弁17からよりスムーズに排出することができる。なお、封口板2の長手方向において、封口板2の中心線Cから第1の識別コード30までの距離はL2であり、封口板2の中心線Cから第2の識別コード31までの距離はL3である。
【0023】
封口板2には、第1凹部2cが設けられており、第1凹部2c内に正極端子取り付け孔2aが設けられている。また、封口板2には、第2凹部2dが設けられており、第2凹部2d内に負極端子取り付け孔2bが設けられている。また、封口板2において、正極端子取り付け孔2aの近傍には「+」のマークが付与されており、負極端子取り付け孔2bの近傍には「-」のマークが付与されている。
【0024】
封口板2への正極端子7及び負極端子9の取り付け方法を、正極側を例に説明する。なお、負極側についても正極側と同様の方法で行うことができる。
図4に示すように、封口板2の電池外部側の面において正極端子取り付け孔2aの周囲に外部側絶縁部材11を配置する。また、封口板2の電池内部側の面において正極端子取り付け孔2aの周囲に内部側絶縁部材10及び正極集電体6を配置する。そして、正極端子7の挿入部7bを、外部側絶縁部材11の貫通孔、封口板2の正極端子取り付け孔2a、内部側絶縁部材10の貫通孔及び正極集電体6の貫通孔に挿入する。その後、正極端子7の挿入部7bの先端側を正極集電体6上にカシメることにより、カシメ部7cが形成される。これにより、正極端子7及び正極集電体6を封口板2に取り付けられる。なお、カシメ部7cと正極集電体6を溶接接続し、溶接部25を形成することが好ましい。なお、正極端子7のフランジ部7aは封口板2よりも電池外部側に配置される。また、外部側絶縁部材11は、第1凹部2c内に配置される。正極集電体6はベース部6aとタブ接続部6bを有する。正極端子7はベース部6aに接続され、正極タブ4はタブ接続部6bに接続される。正極集電体6としては、板材を折り曲げ加工したものを用いることができる。
【0025】
図5は、封口板2に正極端子7及び負極端子9を取り付ける手順を示す図である。
図5(a)に示すように、端子取り付け装置70側に封口板2の正極端子取り付け孔2aを配置する。そして、識別コード読取装置80により第1の識別コード30を読み取る。次に、図5(b)に示すように、端子取り付け装置70により正極端子取り付け孔2aに正極端子7を取り付ける。このとき、正極端子7と正極集電体6が接続される。なお、端子取り付け装置70は、正極端子7の挿入部7bの先端部をカシメるカシメ装置、及び、正極端子7のカシメ部7cと正極集電体6をレーザ溶接するレーザ溶接装置を含む。なお、端子取り付け装置70がカシメ装置及びレーザ溶接装置の一方のみを含むようにしてもよい。
次に、図5(c)に示すように、封口板2を180度回転させ、端子取り付け装置70側に封口板2の負極端子取り付け孔2bを配置する。そして、識別コード読取装置80により第1の識別コード30を読み取る。
次に、図5(d)に示すように、端子取り付け装置70により負極端子取り付け孔2bに負極端子9を取り付ける。このとき、負極端子9と負極集電体8が接続される。
これにより、封口板2に正極端子7及び負極端子9が取り付けられる。
【0026】
[封口板への電極体の取り付け]
封口板2に取り付けられた正極集電体6に電極体3の正極タブ4を溶接接続する。また、封口板2に取り付けられた負極集電体8に電極体3の負極タブ5を溶接接続する。
【0027】
[角形二次電池の組立て]
電極体3を樹脂製の絶縁シート14で覆い、角形外装体1内に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接接続し、角形外装体1の開口を封口板2で封口する。その後、封口板2に設けられた注液孔15から電解質塩と電解質溶媒を含む非水電解液を注液する。
そして、注液孔を封止栓16で封止することにより角形二次電池20が完成する。
【0028】
角形二次電池20では、封口板2の長手方向において、ガス排出弁17の一方側と他方側に、それぞれ同じ情報を有する第1の識別コード30及び第2の識別コード31が設けられている。したがって、正極端子7及び負極端子9を封口板2に取り付ける工程において、端子取り付け装置70及び識別コード読取装置80を移動させる必要が生じない。これに対し、封口板に設ける識別コードが一つのみであった場合、端子取り付け装置70又は識別コード読取装置80を移動させる必要が生じる。このように、角形二次電池20の構成であれば、より生産効率が向上した二次電池となる。
【0029】
なお、封口板2の長手方向における封口板2の長さをL1とする。そして、封口板2の長手方向において、封口板2の一方の端部から封口板2の他方の端部に向かって0~0.45×L1の距離にある位置に第1の識別コード30が配置されていることが好ましい。また、封口板2の長手方向において、封口板2の一方の端部から封口板2の他方の端部に向かって0.55×L1~L1の距離にある位置に第2の識別コード31が配置されていることが好ましい。
【0030】
封口板2の長手方向において、封口板2の一方の端部から封口板2の他方の端部に向かって0.25×L1~0.45×L1の距離にある位置に第1の識別コード30が配置されていることがより好ましい。また、封口板2の長手方向において、封口板2の一方の端部から封口板2の他方の端部に向かって0.55×L1~0.75×L1の距離にある位置に第2の識別コード31が配置されていることがより好ましい。
【0031】
封口板2の長手方向において、第1の識別コード30は正極端子7とガス排出弁17の間に配置され、第2の識別コード31は負極端子9とガス排出弁17の間に配置されていることが好ましい。
【0032】
[組電池]
上述の実施形態に係る角形二次電池20を複数個用いて組電池を作製することができる。図6は、実施形態に係る組電池60の上面図である。組電池60は、一対の金属製のエンドプレート61の間に、6個の角形二次電池20が配置されている。一対のエンドプレート61は、金属製のバインドバー62により接続されている。角形二次電池20は、間に樹脂製の絶縁スペーサ63を介して積層されている。絶縁スペーサ63としては樹脂シート等を用いることができる。また、角形二次電池20の正極端子7と、隣接する他の角形二次電池20の負極端子9が金属製のバスバー64により接続されている。組電池60では、全ての角形二次電池20が直接接続されており、各角形二次電池20の向きが互い違いになるように配置されている。
【0033】
組電池60では、各角形二次電池20の封口板2には、同じ情報を有する第1の識別コード30と第2の識別コード31が設けられている。したがって、組電池60の状態とした場合、同じ情報を有する識別コードが略一直線に並ぶ。よって、組電池60を構成する各角形二次電池20の有する情報をより短時間で読み取ることが可能となる。
【0034】
なお、組電池60では全ての角形二次電池20が直列接続されているため、角形二次電池20の積層方向において、角形二次電池20の向きが一つ毎に異なっている。組電池に
おいては、複数の角形二次電池を並列接続し、この並列接続した角形二次電池を直列接続することもできる。この場合、並列接続された角形二次電池同士は、同じ向きに配置されることが好ましい。
【0035】
なお、封口板2の中心線Cから第1の識別コード30までの距離L2と、封口板2の中心線Cから第2の識別コード31までの距離L3とは、必ずしも同じでなくてもよい。図7に示すように、封口板2の中心線Cから第1の識別コード30までの距離L2と、封口板2の中心線Cから第2の識別コード31までの距離L3とが異なっていてもよい。L2/L3の値は、0.5~2.0であることが好ましく、0.67~1.5であることがより好ましい。
【0036】
[変形例1]
変形例1に係る角形二次電池では、正極端子及び負極端子の封口板への取り付け方法が上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。変形例1に係る角形二次電池の正極端子及び負極端子の封口板への取り付け方法を、正極側を例に、図8を用いて説明する。
【0037】
フランジ部106a及び挿入部106bを有する正極端子106を用いる。封口板2の電池外部側の面において正極端子取り付け孔2aの周囲に外部側絶縁部材11及び外部導電部材107を配置する。封口板2の電池内部側の面において正極端子取り付け孔2aの周囲に内部側絶縁部材10を配置する。そして、正極端子106の挿入部106bを電池内部側から、内部側絶縁部材10の貫通孔、封口板2の正極端子取り付け孔2a、外部側絶縁部材11の貫通孔及び外部導電部材107の貫通孔に挿入する。その後、挿入部106bの先端側をカシメてカシメ部106cを形成する。これにより、正極端子106及び外部導電部材107が封口板2に取り付けられる。なお、カシメ部106cを外部導電部材107に溶接接続してもよい。なお、正極端子106はタブ接続部106dを有し、このタブ接続部106dに正極タブ4が溶接接続される。
【0038】
[変形例2]
図9は、変形例2に係る角形二次電池120及び組電池160の上面図である。変形例2に係る角形二次電池120は、封口板の構成が上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。変形例2に係る角形二次電池120では、注液孔15及びそれを封止する封止栓16が、封口板2の長手方向において正極端子7よりも外側(封口板2の端部側)に配置されている。このような構成であると、第1の識別コード30を設ける位置について、注液孔15及び封止栓16により制限を受けることがなくなる。よって、組電池160において、第1の識別コード30と第2の識別コード31が直線状に配置することがより容易になる。なお、注液孔15及びそれを封止する封止栓16を、封口板2の長手方向において負極端子9よりも外側(封口板2の端部側)に配置することもできる。
【0039】
[変形例3]
図10は、変形例3に係る角形二次電池220及び組電池260の上面図である。変形例3に係る角形二次電池220は、封口板の構成が、上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。変形例3に係る角形二次電池220では、第1の識別コード30が、封口板2の長手方向において正極端子7よりも外側(封口板2の端部側)に配置されている。また、第2の識別コード31が、封口板2の長手方向において負極端子9よりも外側(封口板2の端部側)に配置されている。このような構成であると、組電池260において、第1の識別コード30と第2の識別コード31が直線状に配置することがより容易になる。また、第1の識別コード30と第2の識別コード31をガス排出弁17や注液孔15から離れた位置に設けることができる。このため、ガス排出弁17の作動により第1の識別コード30ないし第2の識別コード31が損傷したり、注液孔15から染み出した電解液による第1の識別コード30ないし第2の識別コード31が損傷したりすることを確実に
防止できる。
【0040】
[第2の発明]
第2の発明に係る角形二次電池は、開口を有する角形外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記角形外装体内に配置された正極板及び負極板を含む電極体と、を備えた角形二次電池であって、前記封口板の長手方向の長さは前記封口板の短手方向の長さの3倍以上であり、前記封口板の短手方向の長さは5cm以下であり、前記封口板にはガス排出弁が設けられており、前記封口板の長手方向における前記封口板の中心に前記ガス外出弁の少なくとも一部が配置され、前記封口板の短手方向において、前記封口板の端部と前記ガス外出弁の間に識別コードが配置されている。
【0041】
図11は、第2の発明に係る角形二次電池320及び組電池360の上面図である。第2の発明に係る角形二次電池320は、識別コードが設けられる位置が、上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。なお、第2の発明に係る角形二次電池320では、同じ情報を有する2つの識別コードを一つの封口板上に設ける必要はない。第2の発明に係る角形二次電池320では、封口板2において、封口板2の外周縁を構成する長辺とガス排出弁17の間に識別コード32が配置されている。即ち、ガス排出弁17と識別コード32が封口板2の短手方向に並んで配置されている。したがって、組電池360においては、同じ情報を有する識別コードが略一直線に並ぶ。よって、組電池360を構成する各角形二次電池320の有する情報をより短時間で読み取ることが可能となる。
【0042】
[第3の発明]
第3の発明に係る角形二次電池は、開口を有する角形外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記角形外装体内に配置された正極板及び負極板を含む電極体と、を備えた角形二次電池であって、前記封口板の長手方向における中心からずれた位置にガス排出弁が形成されており、前記封口板の長手方向における中心の近傍に識別コードが形成されている。
【0043】
封口板の長手方向における封口板の長さをL1とする。封口板の長手方向において、封口板の一方の端部から他方の端部に向かって0.4×L1~0.6×L1の距離にある領域に、識別コードの少なくとも一部が配置されていることが好ましい。また、封口板の長手方向において、封口板の一方の端部から他方の端部に向かって0~0.4×L1の距離にある領域、あるいは、封口板の一方の端部から他方の端部に向かって0.6×L1~L1の距離にある領域にガス排出弁が配置されていることが好ましい。
【0044】
図12は、第3の発明に係る角形二次電池420及び組電池460の上面図である。第3の発明に係る角形二次電池420は、ガス排出弁及び識別コードが設けられる位置が、上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。なお、第3の発明に係る角形二次電池420では、同じ情報を有する2つの識別コードを一つの封口板上に設ける必要はない。
【0045】
第3の発明に係る角形二次電池420では、封口板2において、ガス排出弁17が封口板2の長手方向における中心からずれた位置に設けられている。そして、識別コード32が、封口板2の長手方向における中央部に設けられている。したがって、組電池460においては、同じ情報を有する識別コードが略一直線に並ぶ。よって、組電池460を構成する各角形二次電池420の有する情報をより短時間で読み取ることが可能となる。
【0046】
なお、第3の発明においては、ガス排出弁17は、封口板2の中心線Cと交わらない位置に形成されることが好ましい。また、封口板2の中心線Cと識別コード32の距離は、2cm以下であることが好ましく、1cm以下であることがより好ましい。また、識別コード32は、識別コード32の少なくとも一部が封口板2の中心線Cと交わる位置に配置
されることが更に好ましい。
【0047】
[第4の発明]
第4の発明に係る角形二次電池は、開口を有する角形外装体と、前記開口を封口する封口板と、前記角形外装体内に配置された正極板及び負極板を含む電極体と、を備えた角形二次電池であって、前記封口板には識別コード、注液孔、及びガス排出弁が設けられており、前記封口板の長手方向において、前記正極端子よりも外側に前記識別コード及び前記注液孔の一方が配置され、前記負極端子よりも外側に前記識別コード及び前記注液孔の他方が配置され、前記正極端子と前記負極端子の間に前記ガス排出弁が設けられている。
【0048】
図13は、第4の発明に係る角形二次電池520及び組電池560の上面図である。第3の発明に係る角形二次電池520は、封口板の大きさ、注液孔及び識別コードが設けられる位置が、上述の実施形態に係る角形二次電池20と異なる。なお、第4の発明に係る角形二次電池520では、同じ情報を有する2つの識別コードを一つの封口板上に設ける必要はない。
【0049】
第4の発明に係る角形二次電池520では、封口板102の長手方向において、正極端子7よりも外側に注液孔が配置されている。なお、注液孔は封止栓116により封止されている。封口板102の長手方向において、負極端子9よりも外側に識別コード133が配置されている。また、正極端子7と負極端子9の間にガス排出弁117が配置されている。このため、ガス排出弁117の作動により識別コード133が損傷したり、注液孔から染み出した電解液により識別コード133が損傷したりすることを確実に防止できる。
【0050】
組電池560では、一対のエンドプレート61の間に、複数の角形二次電池520が絶縁スペーサ63を介して積層されて配置されている。一対のエンドプレート61はバインドバー62により接続されている。隣接する角形二次電池520の一方の角形二次電池520の正極端子7と、他方の角形二次電池520の負極端子9がバスバー64により接続されている。
【0051】
<その他>
識別コードの種類は特に限定されないが、2次元コードであることが好ましい。また、識別コードの形成方法は特に限定されない。金属製の封口板にレーザマーカー等により識別コード等を直接設けることもできる。また、塗料等により、封口板に印字してもよい。あるいは、識別コードが設けられた別の部材を封口板に貼り付けてもよい。
【0052】
正極板、負極板、セパレータ、電解液等については公知の材料を用いることができる。また、電池ケース内の圧力が所定値以上となった際に作動する電流遮断機構や短絡機構を設けることができる。電極体は、積層型の電極体であっても良いし、巻回型の電極体であってもよい。
【0053】
封口板に設けられるガス排出弁は、封口板をプレス加工することにより形成された封口板と一体的なガス排出弁とすることができる。また、封口板に設けた貫通孔を塞ぐように、封口板とは別部品からなるガス排出弁を封口板に溶接接続することもできる。
【符号の説明】
【0054】
20・・・角形二次電池
100・・・電池ケース
1・・・角形外装体
2・・・封口板
2a・・・正極端子取り付け孔
2b・・・負極端子取り付け孔
2c・・・第1凹部
2d・・・第2凹部
3・・・電極体
4・・・正極タブ
5・・・負極タブ
6・・・正極集電体
6a・・・ベース部
6b・・・タブ接続部
7・・・正極端子
7a・・・フランジ部
7b・・・挿入部
7c・・・カシメ部
8・・・負極集電体
9・・・負極端子
9a・・・フランジ部
9b・・・挿入部
10・・・内部側絶縁部材
11・・・外部側絶縁部材
12・・・内部側絶縁部材
13・・・外部側絶縁部材
14・・・絶縁シート
15・・・注液孔
16・・・封止栓
17・・・ガス排出弁

25・・・溶接部

30・・・第1の識別コード
31・・・第2の識別コード

32、133・・・識別コード

60・・・組電池
61・・・エンドプレート
62・・・バインドバー
63・・・絶縁スペーサ
64・・・バスバー

70・・・取り付け装置
80・・・識別コード読取装置

102・・・封口板
116・・・封止栓
117・・・ガス排出弁

106・・・正極端子
106a・・・フランジ部
106b・・・挿入部
106c・・・カシメ部
106d・・・タブ接続部
107・・・外部導電部材
120、220、320、420、520・・・角形二次電池
160、260、360、460、560・・・組電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13