(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】コンセント装置
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20220209BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20220209BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B97/00 M
H01R25/00 A
(21)【出願番号】P 2017190162
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 :平成29年7月7日 展示会名:SAIBI PARTY 開催場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号)公開者 :コクヨ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】石丸 頌子
(72)【発明者】
【氏名】善田 陽一
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0178797(US,A1)
【文献】特開2001-128745(JP,A)
【文献】特開2012-186883(JP,A)
【文献】実開昭61-001280(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0008629(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00
A47B 97/00
H01R 25/00
A47B 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に形成された開口部内に配設されるコンセント本体と、前記天板に取り付けられるものであり前記コンセント本体に設けたプラグ差込孔を使用可能な使用姿勢と前記プラグ差込孔を不使用状態に収納し得る収納姿勢との間で回動可能に支持し得る支持枠体とを備えてなるコンセント装置であって、
前記コンセント本体が、前記使用姿勢において前記天板の上面よりも上に位置し得る前記プラグ差込孔を備えた第一の表出面と、前記収納姿勢において前記天板の上面と略面一をなす第二の表出面とを備えてなり、
前記支持枠体の上端部が、前記収納姿勢における前記第二の表出面よりも低い位置に設定されているコンセント装置。
【請求項2】
前記支持枠体の上端部が、前記天板における開口部の上縁よりも低い位置に設定されている請求項1記載のコンセント装置。
【請求項3】
前記コンセント本体が、前記支持枠体との間に介設された弾性体により前記使用姿勢方向に付勢されているものであり、
前記コンセント本体が、前記支持枠体との間に介設された収納姿勢保持機構により、前記弾性体の付勢力に抗して前記収納姿勢が保持され得るものとなっている請求項1又は2記載のコンセント装置。
【請求項4】
前記コンセント本体が、前記支持枠体に設けたダンパーに係合したものである請求項1、2又は3記載のコンセント装置。
【請求項5】
前記コンセント本体が、前記プラグ差込孔を有した給電装置と、この給電装置を支持する装置支持部材とを備えてなるものであり、
前記給電装置が、前記第一の表出面を備えたものであり、前記装置支持部材が、前記第二の表出面を備えたものである請求項1、2、3又は4記載のコンセント装置。
【請求項6】
前記支持枠体が、前記コンセント本体に突設された軸を支持する軸支持部を有するとともに前記上端部を有した支持枠体本体と、この支持枠体本体の上端部よりも下に配設され上面が前記天板の下面に添接した状態でねじ止めされる天板取付部とを備えたものである請求項1、2、3、4又は5記載のコンセント装置。
【請求項7】
前記天板の下面側における前記開口部の周縁部分に、凹み形状をなす座ぐり部を備えており、この座ぐり部に前記支持枠体本体の上部が配設されている請求項6記載のコンセント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机等の天板に取り付けて使用されるコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天板に形成された開口部内に配設されるコンセント装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このものは、プラグ差込孔を有したコンセント本体を、使用姿勢と収納姿勢との間で回動可能に支持し得る支持枠体に支持させている。そして、プラグ差込孔を使用したい場合にコンセント本体を使用姿勢に操作することができるものとなっている。
【0003】
ところが、従来のものは、収納姿勢において、支持枠体の上端すなわち上面がコンセント本体の上面と略同じ高さ位置に設定されていた。このため、従来のものでは、天板上に支持枠体とコンセント本体が常に露出しているため、すっきりとした外観を与え難いだけでなく、支持枠体の上面に埃等の汚れが堆積しやすいという不具合があった。
【0004】
また、従来のものは、支持枠体を天板の開口部に密に嵌合させる必要があるため、天板における開口部を極めて厳格な寸法に形成しなければならず、設計の自由度が著しく制限されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、天板上において好適な外観を提供し得るコンセント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、天板に形成された開口部内に配設されるコンセント本体と、前記天板に取り付けられるものであり前記コンセント本体に設けたプラグ差込孔を使用可能な使用姿勢と前記プラグ差込孔を不使用状態に収納し得る収納姿勢との間で回動可能に支持し得る支持枠体とを備えてなるコンセント装置であって、前記コンセント本体が、前記使用姿勢において前記天板の上面よりも上に位置し得る前記プラグ差込孔を備えた第一の表出面と、前記収納姿勢において前記天板の上面と略面一をなす第二の表出面とを備えてなり、前記支持枠体の上端部が、前記収納姿勢における前記第二の表出面よりも低い位置に設定されているコンセント装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記支持枠体の上端部が、前記天板における開口部の上縁よりも低い位置に設定されている請求項1記載のコンセント装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記コンセント本体が、前記支持枠体との間に介設された弾性体により前記使用姿勢方向に付勢されているものであり、前記コンセント本体が、前記支持枠体との間に介設された収納姿勢保持機構により、前記弾性体の付勢力に抗して前記収納姿勢が保持され得るものとなっている請求項1又は2記載のコンセント装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記コンセント本体が、前記支持枠体に設けたダンパーに係合したものである請求項1、2又は3記載のコンセント装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記コンセント本体が、前記プラグ差込孔を有した給電装置と、この給電装置を支持する装置支持部材とを備えてなるものであり、前記給電装置が、前記第一の表出面を備えたものであり、前記装置支持部材が、前記第二の表出面を備えたものである請求項1、2、3又は4記載のコンセント装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記支持枠体が、前記コンセント本体に突設された軸を支持する軸支持部を有するとともに前記上端部を有した支持枠体本体と、この支持枠体本体の上端部よりも下に配設され上面が前記天板の下面に添接した状態でねじ止めされる天板取付部とを備えたものである請求項1、2、3、4又は5記載のコンセント装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記天板の下面側における前記開口部の周縁部分に、凹み形状をなす座ぐり部を備えており、この座ぐり部に前記支持枠体本体の上部が配設されている請求項6記載のコンセント装置である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、天板上において好適な外観を提供し得るコンセント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図10】
図5における天板を省略したU-U線断面図。
【
図11】
図3における天板を省略したV-V線断面図。
【
図12】
図3における天板を省略したW-W線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~12を参照して説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を、天板付家具Aに設けたコンセント装置Dに適用したものである。
【0019】
天板付家具Aは、
図1及び
図2に示すように、支持体である脚Bと、脚Bに支持された天板Cと、天板Cに取り付けられたコンセント装置Dとを備えている。
【0020】
天板Cは、
図5に示すように、平面視における中間部に上下方向に貫通する略矩形状の開口部caを備えている。
図7~10に示すように、天板Cの下面ck側における開口部caの周縁部分には、凹み形状をなす座ぐり部cgが設けられている。
【0021】
コンセント装置Dは、平面視において略長方形状をなす開口部caを設けた天板Cに取り付けて使用される。コンセント装置Dは、支持枠体Fにコンセント本体Eを枢着している。そして、コンセント本体Eに設けられたプラグ差込孔Rを必要時にのみ天板C上に表出し得るようにしている。なお、本明細書において「プラグ」とは、給電用の端子だけでなく情報通信用の端子を含む概念のものとする。
【0022】
コンセント装置Dは、プラグ差込孔Rを有したコンセント本体Eと、コンセント本体Eのプラグ差込孔Rが略水平方向を向く収納姿勢(S)(
図2、
図4、
図5、
図8、
図9、
図10、及び、
図12を参照。)と、プラグ差込孔Rが水平方向よりも上方を向く使用姿勢(U)(
図1、
図3、
図7、及び、
図11を参照。)とを採り得るように当該コンセント本体Eを支持する支持枠体Fとを備えている。
【0023】
換言すれば、コンセント装置Dは、天板Cに形成された開口部ca内に配設されるコンセント本体Eと、天板Cに取り付けられコンセント本体Eに設けたプラグ差込孔Rを天板Cの上面csよりも上の位置で使用可能な使用姿勢(U)とプラグ差込孔Rを天板Cの上面csよりも下に位置させて不使用状態に収納し得る収納姿勢(S)との間で回動可能に支持し得る支持枠体Fとを備えてなるものである。
【0024】
図11、及び、
図12に示すように、コンセント本体Eと支持枠体Fとの間には、弾性体であるねじりコイルばねMが設けられている。支持枠体Fに対して回動可能に支持されたコンセント本体Eは、支持枠体Fとの間に介設されたねじりコイルばねMの付勢力を受けて常に使用姿勢(U)方向に付勢されている。なお、ねじりコイルばねMは、
図11、及び、
図12にのみ示している。
【0025】
図6~12に示すように、コンセント本体Eは、支持枠体Fとの間に介設された収納姿勢(S)保持機構たるプッシュラッチ機構Nにより、ねじりコイルばねMの付勢力に抗して収納姿勢(S)が保持され得るものとなっている。
【0026】
以下、コンセント装置Dの各構成について詳述する。
【0027】
<コンセント本体E>
コンセント本体Eは、
図6等に示すように、プラグ差込孔Rを有した給電装置Gと、給電装置Gを支持する装置支持部材Hとを備えてなる。なお、
図7~9において、給電装置Gの内部構造は省略して示している。
【0028】
給電装置Gは、ブロック状の外観をなしたものである。給電装置Gは、複数のプラグ差込孔Rを有し使用姿勢(U)において天板Cの上面csよりも上に位置し得る第一の表出面P1を備えている。給電装置Gは、図示しない給電用ケーブルや情報通信用ケーブルを一体に又は着脱可能に設けている。当該給電用ケーブルや情報通信用ケーブルは、天板付家具Aが設置される建物内に別途設けられた電流供給手段や情報供給手段等と接続し得るようになっている。給電装置Gは、四角枠状の形状部分を有した装置支持部材Hに内嵌めされるものである。給電装置Gは、プラグ差込孔Rを有し使用姿勢(U)において天板C上に表出し得る表出壁g1と、表出壁g1の裏側に配された装置本体g2とを備えている。
【0029】
表出壁g1は、略平板状の基材に所定形状のプラグ差込孔Rを形成してなるものである。すなわち、表出壁g1は、使用姿勢(U)において天板Cの上面csよりも上に位置し得るプラグ差込孔Rを備えた第一の表出面P1を備えている。第一の表出面P1は、
図1、
図3、
図7、及び、
図11に示すように、使用姿勢(U)において、天板Cの上面csに対して傾斜した姿勢をなすように設定されている。
【0030】
装置本体g2は、内部に図示しない給電・情報通信用のプラグ接続回路が設けられている。装置本体g2は、表出壁g1に対して略直交する方向を向く外周面を有した周壁g21を備えている。周壁g21には、
図6に示すように、装置支持部材Hの上壁1及び下壁4に対して係合する係止部たる係止爪t1が設けられている。
【0031】
装置支持部材Hは、
図6に示すように、給電装置Gを外嵌する枠状部分を有してなるものである。装置支持部材Hは、給電装置Gを保持した状態で、支持枠体Fに対して一体的に回動し得るものである。装置支持部材Hは、収納姿勢(S)において天板Cの上面csと略面一をなす第二の表出面P2を有した上壁1と、上壁1の側端縁から垂下させた左右の側壁2と、左右の側壁2の下端部間に設けられた下壁4とを備えてなる。
【0032】
上壁1は、収納姿勢(S)において上側を向き凹凸形状が抑制された平板面状をなす第二の表出面P2と、内面側に設けられ給電装置Gに配された係止爪t1が係合し得る係止部たる爪係合部分t2を備えている。
【0033】
左右の側壁2には、それぞれ外方に突設された軸jを備えている。軸jは、基端軸部j1と、基端軸部j1より小径をなす先端軸部j2を備えている。基端軸部j1は、円環状をなすねじりコイルばねMの中間部分mc内に位置し、当該ねじりコイルばねMの中間部分mcを位置決めしている。先端軸部j2は、支持枠体Fに設けられた軸受部たる軸受孔81に支持されるようになっている。左右の側壁2には、ねじりコイルばねMを上側から覆う被覆壁21が設けられている。被覆壁21は、コンセント本体Eが使用姿勢(U)を採る際に、支持枠体Fの一部である回動規制壁83に当接し、コンセント本体Eの回転を所定の位置において規制する役割を担っている。左右の側壁2には、ねじりコイルばねMの他端部分m2を支持するばね支持孔22を備えている。ばね支持孔22には、ねじりコイルばねMの他端部分m2が外側から挿入されるようになっている。
【0034】
図11、及び、
図12に示すように、一方側の側壁である左の側壁2には、軸jを中心点として、部分円弧状すなわち約四分の一円弧状をなすギア3が一体に設けられている。ギア3は、支持枠体F側に設けられたダンパーQと噛み合うようになっている。換言すれば、コンセント装置Dは、支持枠体Fに設けたダンパーQのダンパーギアQ1にコンセント本体Eの装置支持部材Hに設けたギア3が噛み合うように構成されている。
【0035】
下壁4は、
図6に示すように、内面側に設けられ給電装置Gに配された係止爪t1が係合し得る係止部たる爪係合部分t2を備えている。また、下壁4は、外方に突出しプッシュラッチを構成する係合部材n1を一体に設けている。係合部材n1は、収納姿勢(S)において下壁4の左右方向及び前後方向の中間部から下方に突出した基端突出部n11と、この基端突出部n11の先端から後方に向かって延出した先端突出部n12とを備えている。先端突出部n12の端部は、収納姿勢(S)において支持枠体Fに取り付けられたプッシュラッチ機構Nを構成するプッシュラッチ本体n2に保持されるようになっている。
【0036】
<支持枠体F>
支持枠体Fは、
図3~
図12に示すように、コンセント本体Eを回動可能に支持し得る枠状部分を有してなるものである。支持枠体Fは、コンセント本体Eを使用姿勢(U)と収納姿勢(S)との間で回動可能に支持している。
【0037】
支持枠体Fは、上側が開放された箱状をなす支持枠体本体Jと、この支持枠体本体Jから突設された天板取付部たる取付板Kとを備えている。
【0038】
支持枠体本体Jは、コンセント本体Eを取り囲む形態をなす起立壁である前壁6、後壁7及び左右の側壁8と、これら前壁6、後壁7及び左右の側壁8の下端部間に配された底壁9とを備えている。支持枠体本体Jの上部は、天板Cの下面ck側に形成された座ぐり部cg内に配設されている。
【0039】
前壁6は、コンセント本体Eの前側に位置するものである。後壁7は、コンセント本体Eの後側に位置するものである。左右の側壁8は、前壁6と後壁7の左右の側端部間に配され、コンセント本体Eの両側に位置するものである。 左右の側壁8は、コンセント本体Eに突設された軸jを支持する軸支持部たる軸受孔81を備えている。左右の側壁8は、支持枠体Fにおける最も上端に位置する上端部Tを有している。左右の側壁8は、その後部における上縁部分に、ねじりコイルばねMの一端部分m1を係止し得るばね係合部82が内方に向けて庇状に突設されている。
【0040】
支持枠体Fにおいて最も上に位置する上端部T、すなわち、支持枠体本体Jにおける左右の側壁8、及び、前壁6の上端部Tが、収納姿勢(S)におけるコンセント本体Eの第二の表出面P2よりも低い位置に設定されている。左右の側壁8、及び、前壁6の上端部Tは、天板Cの上面csよりも下に位置するようになっている。支持枠体Fの上端部Tは、天板Cにおける開口部caの上縁(エッジ部分)よりも低い位置に設定されている。
図5に示すように、支持枠体Fの起立壁である前壁6、後壁7、左右の側壁8は、平面視において、開口部caから視認し得ない位置に位置している。換言すれば、支持枠体Fの前壁6、後壁7、左右の側壁8は、平面視において、天板Cの開口部caよりも外側に位置している。
【0041】
底壁9は、その左右方向中央部の上面側に、プッシュラッチ機構Nを構成するプッシュラッチ本体n2を配している。また、底壁9は、その左側端部の近傍にコンセント本体Eのギア3と噛合するダンパーQを配している。
【0042】
ダンパーQは、油圧制御されたダンパーギアQ1を有してなるものである。ダンパーギアQ1は、コンセント本体Eが収納姿勢(S)と使用姿勢(U)との間を回動する過程において常にギア3と噛合している。ダンパーQは、ロータリーダンパーと称される既知のものである。ダンパーQは、油圧を利用してコンセント本体Eの回転速度を調整し得るものである。この実施形態におけるコンセント装置Dでは、ダンパーQを使用することにより、ダンパーを使用しない場合と比較してコンセント本体Eの収納姿勢(S)から使用姿勢(U)に遷移させる際の回動速度をゆっくりとさせることができるようになっている。
【0043】
取付板Kは、支持枠体本体Jにおける左右の側壁8の上端部Tよりも下の位置に配されている。取付板Kは、左右の側壁8の上下方向中間部から水平方向に突設されている。取付板Kは、その上面が天板Cの下面ckに添接した状態で図示しないねじにより止着されるものである。取付板Kには、ねじが挿通し得る上下方向に貫通したねじ挿通孔k1を備えている。
【0044】
<ねじりコイルばねM>
ねじりコイルばねMは、円環状をなす中間部がコンセント本体Eにおける装置支持部材Hの軸jに位置決めされている。ねじりコイルばねMは、一端部分m1が天板Cに取り付けられた支持枠体Fに支持されており、他端部分m2がコンセント本体Eにおける装置支持部材Hに支持されている。より詳しく言えば、ねじりコイルばねMの一端部分m1は、支持枠体Fにおける左右の側壁8のばね係合部82に係合しており、ねじりコイルばねMの他端部分m2は、装置支持部材Hにおける左右の側壁2のばね支持孔22に支持されている。ねじりコイルばねMは、コンセント本体Eを使用姿勢(U)方向に常時付勢しているものである。
【0045】
<プッシュラッチ機構N>
プッシュラッチ機構Nは、支持枠体Fとコンセント本体Eとの間に配されている。プッシュラッチ機構Nは、ねじりコイルばねMの付勢力に抗して、コンセント本体Eを収納姿勢(S)に保持させ得るものである。
【0046】
プッシュラッチ機構Nは、支持枠体F側に設けられたプッシュラッチ本体n2と、コンセント本体E側に設けられプッシュラッチ本体n2と係脱し得る係合部材n1とによって構成されている。この実施形態においては、プッシュラッチ本体n2と係合部材n1とが係合している状態では、コンセント本体Eが収納姿勢(S)に保持されたものとなり、プッシュラッチ本体n2と係合部材n1とが係合していない状態では、コンセント本体Eが使用姿勢(U)を採り得るものとなっている。なお、コンセント本体Eの使用姿勢(U)は、装置支持部材Hの側壁2に設けられた被覆壁21が、支持枠体Fに設けられた回動規制壁83に当接することにより維持されている。
【0047】
プッシュラッチ本体n2は、支持枠体Fの底壁9に取り付けられた本体部n21に一対のアーム部n22を図示しないカム機構を介して開閉可能に支持させた既知の構成のものである。
【0048】
次に、以上に説明した天板付家具Aに備えたコンセント装置Dの作動について説明する。
【0049】
図2、及び、
図5に示すように、収納姿勢(S)では、天板Cの開口部caからコンセント本体Eの第二の表出面P2が表出し得るものとなっている。第二の表出面P2は平板面状をなしており、天板Cの上面csと略面一をなしている。収納姿勢(S)では、コンセント本体の第二の表出面P2以外の部分やコンセント本体Eを支持する支持枠体Fは、天板Cの上面csからは殆ど視認できないようになっている。本実施形態における天板付家具Aでは、コンセント本体Eのみが開口部caから露出し得るものとなっているため、天板C上において目立ち難く、且つ、煩雑な感じが抑制された高級感のある外観を呈することができるものとなっている。
【0050】
例えば、パソコンやスマートフォン等の電子機器に給電をしようとする使用者は、収納姿勢(S)にあるコンセント本体Eの第二の表出面P2を下方に向かって瞬間的に押圧操作(いわゆる「ワンプッシュ操作」)する。この使用者の操作を受けて、コンセント本体Eと支持枠体Fとの間に介設されたプッシュラッチ機構Nが作動する。すなわち、コンセント本体Eが使用者による押圧操作を受けると、コンセント本体E側に設けられた係合部材n1の先端突出部n12が、一時的にプッシュラッチ本体n2における本体部n21側に進入する。そして、先端突出部n12の一時的な進入により、先端突出部n12を保持していたアーム部n22が本体部n21内に設けられた図示しないカム機構のカム作用によって解放姿勢をとることになる。これにより、コンセント本体Eを収納姿勢(S)に留め置く状態は解除されたことになる。
【0051】
その後、コンセント本体Eと支持枠体Fとの間に配されたねじりコイルばねMの付勢力を受けてコンセント本体Eは収納姿勢(S)から使用姿勢(U)に遷移し得ることになる。このとき、コンセント本体EはダンパーQに係合しているため、比較的ゆっくりとした動きで使用姿勢(U)に移行するものとなっている。
【0052】
使用姿勢(U)に移行したコンセント本体Eは、被覆壁21の上面が支持枠体Fの回動規制壁83の下面に当接することにより所定の使用姿勢(U)が保持されるものとなる。使用姿勢(U)において天板Cの上面cs側に表出したプラグ差込孔Rを有した第一の表出面P1は、天板Cの上面csに対して傾斜した姿勢をなしている。このため、特に使用端側からプラグを差し込もうとする使用者は、プラグ差込孔Rに差し込む操作をしても、コンセント本体Eが追従して回転し難いものとなっている。
【0053】
コンセント本体Eを使用姿勢(U)から収納姿勢(S)に移行する操作は、使用者がコンセント本体Eの表出した部分を適宜押圧操作することにより行うことができる。使用者の操作によってコンセント本体Eが使用姿勢(U)から収納姿勢(S)に達すると、プッシュラッチ機構Nが作動して、コンセント本体Eは支持枠体Fに対して収納姿勢(S)に保持されるものとなる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係るコンセント装置Dは、天板Cに形成された開口部ca内に配設されるコンセント本体Eと、天板Cに取り付けられるものでありコンセント本体Eに設けたプラグ差込孔Rを使用可能な使用姿勢(U)とプラグ差込孔Rを不使用状態に収納し得る収納姿勢(S)との間で回動可能に支持し得る支持枠体Fとを備えてなるものである。そして、コンセント本体Eが、使用姿勢(U)において天板Cの上面csよりも上に位置し得るプラグ差込孔Rを備えた第一の表出面P1と、収納姿勢(S)において天板Cの上面csと略面一をなす第二の表出面P2とを備えている。支持枠体Fの上端部Tが、収納姿勢(S)における第二の表出面P2よりも低い位置に設定されている。このため、天板C上において好適な外観を提供し得るコンセント装置Dを提供することができるものとなる。
【0055】
つまり、支持枠体Fの上端部Tが、収納姿勢(S)における第二の表出面P2よりも低い位置に設定されているため、天板C上において支持枠体Fが視認され難いものとなるため、高級感のあるすっきりとした外観を提供することができるものとなっている。
【0056】
支持枠体Fの上端部Tは、天板Cにおける開口部caの上縁(エッジ部分)よりも低い位置に設定されている。このため、天板Cにおける開口部caの上縁を露出させた形態(いわゆるフレームレスの形態)を無理なく採り得るものとなり、天板C上における見栄えの良さに資するものとなっている。
【0057】
コンセント本体Eが、支持枠体Fとの間に介設された弾性体であるねじりコイルばねMにより使用姿勢(U)方向に付勢されているものである。そして、コンセント本体Eが、支持枠体Fとの間に介設された収納姿勢保持機構であるプッシュラッチ機構Nにより、ねじりコイルばねMの付勢力に抗して収納姿勢(S)が保持され得るものとなっている。このため、コンセント本体Eに対する押圧操作によって、収納姿勢(S)と使用姿勢(U)とを柔軟に採り得るものとなっている。
【0058】
コンセント本体Eが、支持枠体Fに設けたダンパーQに係合したものである。このため、コンセント本体Eの支持枠体Fに対する回動速度をコントロールすることができるため、使用者の心地よい使用感を提供することができるものとなる。
【0059】
コンセント本体Eが、プラグ差込孔Rを有した給電装置Gと、この給電装置Gを支持する装置支持部材Hとを備えてなるものである。そして、給電装置Gが、第一の表出面P1を備えたものであり、装置支持部材Hが、前記第二の表出面P2を備えたものである。このため、給電装置Gと装置支持部材Hとが別個に構成されているため、メンテナンス性に優れたものとなっている。
【0060】
支持枠体Fに設けたダンパーQに装置支持部材Hに設けたギア3が噛み合うように構成されている。このため、コンセント本体Eにおける好適な箇所にギア3を有したものとなっている。
【0061】
第一の表出面P1が、使用姿勢(U)において、天板Cの上面csに対して傾斜した姿勢をなすように設定されている。このため、天板Cの使用端側から使用する使用者にとって使用しやすいものとなっている。
【0062】
支持枠体Fが、コンセント本体Eに突設された軸jを支持する軸支持部を有するとともに上端部Tを有した支持枠体本体Jと、この支持枠体本体Jの上端部Tよりも下に配設され上面が天板Cの下面ckに添接した状態でねじ止めされる天板取付部とを備えたものである。このため、支持枠体Fが天板C上に表出し難いだけでなく支持枠体Fが適切に天板Cに支持され得る好適な形態を採り得るものとなっている。
【0063】
天板Cの下面ck側における開口部caの周縁部分に、凹み形状をなす座ぐり部cgを備えており、この座ぐり部cgに支持枠体本体Jの上部が配設されている。このため、コンセント装置Dを天板Cの下面ckに設置するための設計の自由度に優れたものとなる。
【0064】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0065】
天板に形成される開口部は天板の中央部に限られるものではない。天板の端縁近傍に形成されたものであってもよい。換言すれば、コンセント装置は、天板の中央部に設けられたものに限られるものではない。
【0066】
コンセント本体は、使用姿勢において天板の上面よりも上に位置し得るプラグ差込孔を備えた第一の表出面と、収納姿勢において天板の上面と略面一をなす第二の表出面とを備えてなるものであればよい。換言すれば、コンセント本体の構成は、種々のものを適用することができるものであり、上述した実施形態に示したものに限定されるものではない。
【0067】
使用姿勢における第一の表出面は天板面に対して傾斜したものでなくてもよい。
【0068】
支持枠体の具体的形状は、種々設定され得るものであり、上述した実施形態に示したものに限定されるものではない。例えば、支持枠体の上端部が開口部の下縁よりも低い位置に設定されていても構わない。このようにすれば、開口部の上縁から下方に向かって比較的奥深い隙間が形成されることになるため、開口部のフレームレスを好適に際立たせるものとなる。
【0069】
弾性体は、ねじりコイルばねに限定されないものであることはいうまでもない。
【0070】
収納姿勢保持機構は、プッシュラッチ式のものに限られるものではない。例えば、収納姿勢に保持するための保持機構と、保持機構による保持状態を解除するための解除機構とを別個に構成したようなものであってもよい。
【0071】
天板における開口部及びその近傍には、支持枠体とは別体をなすカバーを適宜設けるようにしてもよいのはもちろんのことである。
【0072】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0073】
C…天板
D…コンセント装置
E…コンセント本体
F…支持枠体
P1…第一の表出面
P2…第二の表出面
R…プラグ差込孔
(U)…使用姿勢
(S)…収納姿勢