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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】内燃機関の可変動弁装置
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20220209BHJP
   F01L 1/18 20060101ALI20220209BHJP
   F16K 11/24 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
F01L13/00 301W
F01L1/18 C
F01L1/18 N
F16K11/24 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018062101
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019173640
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武志
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047113(JP,A)
【文献】特開2016-145536(JP,A)
【文献】特開平07-150919(JP,A)
【文献】特開昭64-019103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 13/00
F01L 1/18
F16K 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンバルブの作動特性を切り替えるために第1状態と第2状態に切替可能な可変機構と、
前記可変機構を切り替えるために前記可変機構に供給される流体圧を制御するための流体圧制御装置と、
を備え、
前記可変機構は、
第1状態のときに圧力流体が導入され、第2状態のときに圧力流体が排出される第1流路と、
第1状態のときに圧力流体が排出され、第2状態のときに圧力流体が排出される第2流路と、
を備え、
前記流体圧制御装置は、
流体タンクと、
前記流体タンクから流体を吸引し圧力流体として吐出する流体圧ポンプと、
第1、第2および第3供給ポートを有する供給バルブと、
第1、第2、第3および第4切替ポートを有する切替バルブと、
前記供給バルブおよび前記切替バルブを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記第1供給ポートは前記流体圧ポンプに接続され、前記第2供給ポートは前記第1切替ポートに接続され、前記第3供給ポートは前記流体タンクに接続され、
前記第2切替ポートは前記第1流路に接続され、前記第3切替ポートは前記第2流路に接続され、前記第4切替ポートは前記流体タンクに接続され、
前記供給バルブがオンのとき前記第1供給ポートと前記第2供給ポートが連通状態になり、
前記供給バルブがオフのとき前記第2供給ポートと前記第3供給ポートが連通状態になり、
前記切替バルブがオンのとき、前記第2切替ポートと前記第4切替ポートが連通状態になると共に、前記第1切替ポートと前記第3切替ポートが連通状態になり、
前記切替バルブがオフのとき、前記第1切替ポートと前記第2切替ポートが連通状態になると共に、前記第3切替ポートと前記第4切替ポートが連通状態になり、
前記制御ユニットは、前記可変機構を第1状態から第2状態に切り替えるとき、前記供給バルブがオンで前記切替バルブがオフの状態から、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替える
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた後、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える
請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた時から所定時間が経過した時に、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える
請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた後、前記第1流路の流体圧が所定圧力以下に低下した時に、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える
請求項1または2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項5】
前記可変機構は、カムシャフトに設けられプロファイルの異なる二つのカムと、前記カムおよび前記エンジンバルブの連結状態を切り替えるよう構成された二つのロッカーアームと、を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は内燃機関の可変動弁装置に係り、特に、内燃機関の吸気弁または排気弁(これらを総称してエンジンバルブという)の作動特性を可変にするための可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンバルブの作動特性、すなわちバルブタイミング、バルブリフト量および作用角の少なくとも一つを可変にするための可変動弁装置が公知である。かかる可変動弁装置において、エンジンバルブの作動特性を切り替えるために少なくとも第1状態と第2状態に切替可能な可変機構を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-211207号公報
【文献】特開2017-145957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可変機構を切り替える際、可変機構に供給される流体圧が制御される。そしてこの流体圧制御のため、二つのバルブが設けられ、可変機構を第1状態から第2状態に切り替えるとき、可変機構から圧力流体が排出される場合がある。
【0005】
しかしこの圧力流体の排出時、圧力流体が二つのバルブを通過するため、流路抵抗の増大により流体圧の排出性が悪化し、切替時の応答性が悪化することが判明した。
【0006】
そこで本開示は、上記事情に鑑みて創案され、その目的は、可変機構の切替時における応答性を向上することできる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、
エンジンバルブの作動特性を切り替えるために第1状態と第2状態に切替可能な可変機構と、
前記可変機構を切り替えるために前記可変機構に供給される流体圧を制御するための流体圧制御装置と、
を備え、
前記可変機構は、
第1状態のときに圧力流体が導入され、第2状態のときに圧力流体が排出される第1流路と、
第1状態のときに圧力流体が排出され、第2状態のときに圧力流体が排出される第2流路と、
を備え、
前記流体圧制御装置は、
流体タンクと、
前記流体タンクから流体を吸引し圧力流体として吐出する流体圧ポンプと、
第1、第2および第3供給ポートを有する供給バルブと、
第1、第2、第3および第4切替ポートを有する切替バルブと、
前記供給バルブおよび前記切替バルブを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記第1供給ポートは前記流体圧ポンプに接続され、前記第2供給ポートは前記第1切替ポートに接続され、前記第3供給ポートは前記流体タンクに接続され、
前記第2切替ポートは前記第1流路に接続され、前記第3切替ポートは前記第2流路に接続され、前記第4切替ポートは前記流体タンクに接続され、
前記供給バルブがオンのとき前記第1供給ポートと前記第2供給ポートが連通状態になり、
前記供給バルブがオフのとき前記第2供給ポートと前記第3供給ポートが連通状態になり、
前記切替バルブがオンのとき、前記第2切替ポートと前記第4切替ポートが連通状態になると共に、前記第1切替ポートと前記第3切替ポートが連通状態になり、
前記切替バルブがオフのとき、前記第1切替ポートと前記第2切替ポートが連通状態になると共に、前記第3切替ポートと前記第4切替ポートが連通状態になり、
前記制御ユニットは、前記可変機構を第1状態から第2状態に切り替えるとき、前記供給バルブがオンで前記切替バルブがオフの状態から、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替える
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置が提供される。
【0008】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた後、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える。
【0009】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた時から所定時間が経過した時に、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える。
【0010】
好ましくは、前記制御ユニットは、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオンの状態に切り替えた後、前記第1流路の流体圧が所定圧力以下に低下した時に、前記供給バルブがオフで前記切替バルブがオフの状態に切り替える。
【0011】
好ましくは、前記可変機構は、カムシャフトに設けられプロファイルの異なる二つのカムと、前記カムおよび前記エンジンバルブの連結状態を切り替えるよう構成された二つのロッカーアームと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、可変機構の切替時における応答性を向上することできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】可変動弁装置の一部の構成を示す概略平面図である。
図2】バルブタイミングの変化の様子を示すバルブリフト線図である。
図3】油圧制御装置と可変機構の第1状態とを示す図である。
図4】油圧制御装置と可変機構の第3状態とを示す図である。
図5】油圧制御装置と可変機構の第2状態(切替バルブがオフ)とを示す図である。
図6】油圧制御装置と可変機構の第2状態(切替バルブがオン)とを示す図である。
図7】制御マップを示す図である。
図8】可変機構を切り替えたときの油圧の変化を示すタイムチャートである。
図9】油圧制御ルーチンを示すフローチャートである。
図10】変形例の油圧制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0015】
図1には、本実施形態の可変動弁装置の一部の構成を示す。図1は、シリンダヘッドを上方から見たときの概略平面図である。
【0016】
本実施形態の内燃機関(エンジン)は、トラック、バス等の大型車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジンであり、具体的には直列6気筒ディーゼルエンジンである。但し車両およびエンジンの用途、形式、種類等は限定されず任意である。
【0017】
クランクシャフト(図示せず)からの回転駆動力が、ギヤ機構等からなる動力伝達機構(図示せず)を通じてカムシャフト1に伝達される。本実施形態のエンジンは、2本のカムシャフトがそれぞれ吸気弁および排気弁を駆動するDOHCエンジンであり、カムシャフト1は、吸気弁3を開閉駆動するための吸気カムシャフトである。但し付加的または代替的に、本開示を、排気弁(図示せず)を駆動するための排気カムシャフトに適用してもよい。吸気弁および排気弁を総称してエンジンバルブという。
【0018】
便宜上、カムシャフト1の中心軸C1の方向(軸方向)における一端側(図1の左側)を前、他端側(図1の右側)を後とする。これら前後方向は、エンジンおよび車両の前後方向と一致する(エンジンは縦置きされる)。但し必ずしも一致しなくてもよい。前方から順に#1気筒~#6気筒が配置される。図1はそのうちの1気筒分の構成を示す。
【0019】
可変動弁装置は、吸気弁3の作動特性を切り替えるために第1状態と第2状態に切替可能な可変機構5と、可変機構5を切り替えるために可変機構5に供給される流体圧を制御するための流体圧制御装置(後述)とを備える。本実施形態の場合、吸気弁3の作動特性とはバルブタイミングと作用角のことをいう。また流体圧は油圧であり、本実施形態では流体もしくは作動流体としてエンジン潤滑オイルが使用される。以下、流体圧制御装置を油圧制御装置と言い換えるものとする。
【0020】
可変機構5に関し、カムシャフト1には、バルブスプリング2の付勢力に抗じて吸気弁3を開弁する三つのカム4A,4B,4Cが気筒毎に固設される。吸気弁3は1気筒当たりに二つ設けられ、これら二つの吸気弁3がバルブブリッジ8により同時に開閉されるようになっている。吸気弁3の開弁時には、三つのカム4A,4B,4Cの一部およびロッカーアーム9により、バルブブリッジ8が、バルブスプリング2の付勢力に抗じて下方(図1の紙面厚さ方向裏側に向かう方向)に押し下げられる。他方、吸気弁3の閉弁時には逆に、バルブスプリング2の付勢力によってバルブブリッジ8が上方(図1の紙面厚さ方向表側に向かう方向)に押し上げられる。
【0021】
三つのカムすなわち第1カム4A、第2カム4Bおよび第3カム4Cは可変機構5を構成し、吸気弁3のバルブタイミングおよび作用角の両方を三段階に切り替えるようになっている。すなわち本実施形態の可変機構5は、第1状態と第2状態と第3状態の三段階に切替可能である。
【0022】
また第1可変機構5は、ロッカーアーム9を含み、ロッカーアーム9は、三つのカム4A,4B,4Cにそれぞれ対応した1気筒当たりに三つのロッカーアームすなわち第1ロッカーアーム9A、第2ロッカーアーム9Bおよび第3ロッカーアーム9Cを含む。これらロッカーアーム9A,9B,9Cは前後方向に互いに隣接され、共通のロッカーシャフト18に回動可能に支持される。C2はロッカーシャフト18の中心軸を示す。これらカムおよびロッカーアームの軸方向の配列順序は任意であるが、本実施形態では後方から順に第2、第1、第3とされる。
【0023】
ロッカーアーム9A,9B,9Cにはロッカーローラ19が回転可能に設けられ、ロッカーローラ19はカム4A,4B,4Cに常時当接される。また、第1ロッカーアーム9Aのみに、バルブブリッジ8の上面部に係合される延在部20が設けられる。第1ロッカーアーム9Aに対する第2および第3ロッカーアーム9B,9Cの連結状態を切り替えることにより、バルブタイミング等を三段階に切り替えるようになっている。
【0024】
図3にも詳しく示すように、ロッカーアーム9A,9B,9Cの内部には、これらの連結状態を切り替えるための四つのピン21Aa,21Ab,21B,21Cが軸方向移動可能に設けられている。また第2ロッカーアーム9Bの内部には、四つのピン21Aa,21Ab,21B,21Cを纏めて前方に付勢可能なバネ22が設けられている。ピン21Aa,21Ab,21B,21Cの位置は、第1および第3ロッカーアーム9A,9Cの内部にそれぞれ設けられた第1および第3ロッカー通路23A,23Cに油圧を給排することにより、制御される。
【0025】
ロッカーシャフト18の内部には、各気筒の第1ロッカー通路23Aに連通された第1シャフト通路14Aと、各気筒の第3ロッカー通路23Cに連通された第3シャフト通路14Cとが設けられる。これらシャフト通路14A,14Cに供給される油圧が油圧制御装置により制御されることにより、各気筒の第1および第3ロッカー通路23A,23Cの油圧が同時に制御され、ひいては各気筒のピン21Aa,21Ab,21B,21Cの位置、さらには各気筒の第1~第3ロッカーアーム9A,9B,9Cの連結状態が同時に切り替えられる。
【0026】
可変機構5は、吸気弁3のバルブタイミングおよび作用角の両方を、図2に示すような三つの状態、すなわち第1状態S1、第2状態S2および第3状態S3の何れかに段階的に切り替えるように構成されている。ここでバルブタイミングには、エンジンバルブが開弁を開始する開タイミングと、エンジンバルブが閉弁を終了する閉タイミングとの両方が含まれる。また作用角とは、エンジンバルブが開弁している(すなわちバルブリフト量VLがゼロより大きくなっている)クランク位相期間またはカム位相期間をいう。
【0027】
本実施形態では、第1状態S1から第3状態S3に向かうにつれ、最大バルブリフト期間(バルブリフト量VLが最大バルブリフト量VLmaxとなっている期間)が遅角側に次第に延長されるように、第1~第3状態S1~S3が設定されている。開タイミングα1から最大バルブリフト量開始タイミングα2までのバルブリフトカーブは、何れの状態でも同じである。最大バルブリフト量開始タイミングα2以降、第1状態S1では即座に閉弁が開始され、第2状態S2では最大バルブリフト量VLmaxが第2所定期間Δα2だけ維持された後に閉弁が開始され、第3状態S3では最大バルブリフト量VLmaxがさらに長い第3所定期間Δα3だけ維持された後に閉弁が開始される。そして第1状態S1の閉タイミングはα3、第2状態S2の閉タイミングはより遅いα4、第3状態S3の閉タイミングはさらに遅いα5とされる。第1状態S1の作用角はα1~α3までの期間、第2状態S2の作用角はより長いα1~α4までの期間、第3状態S3の作用角はさらに長いα1~α5までの期間である。従って本実施形態では、開タイミングが一定とされる一方で、閉タイミングと作用角が三段階に変化させられる。
【0028】
第1~第3ロッカーアーム9A,9B,9Cの外形状は同じである。これに対し、第1~第3カム4A,4B,4Cのカムプロファイルは、それぞれ第1~第3状態S1,S2,S3に対応した異なるカムプロファイルに設定されている。
【0029】
バルブタイミングおよび作用角の第1~第3状態S1,S2,S3に対応した可変機構5の各状態を第1~第3状態J1,J2,J3とする。可変機構5は、これら第1~第3状態J1,J2,J3の何れかに切替可能である。
【0030】
第1状態S1で吸気弁3を駆動する場合、図3に示すように、後述する油圧制御装置により第1ロッカー通路23Aに圧力流体としての圧油が供給され、第3ロッカー通路23Cから圧油が排出される。すると、ピン21Aa,21Abが互いに離反するように前後方向に移動され、ピン21Bがバネ22の付勢力に抗じて後方に押し付けられ、ピン21Cが前方に押し付けられる。すると、ピン21Aaの後端面とピン21Abの前端面とが、第1ロッカーアーム9Aの後端面と前端面に面一に配置され、ピン21Bの前端面が第2ロッカーアーム9Bの前端面に面一に配置され、ピン21Cの後端面が第3ロッカーアーム9Cの後端面に面一に配置される。これにより第1ロッカーアーム9Aは、第2ロッカーアーム9Bおよび第3ロッカーアーム9Cと非連結の状態となり、第1カム4Aの動作のみが第1ロッカーアーム9Aを通じて吸気弁3に伝達される。そして他の第2および第3ロッカーアーム9B,9Cは単に第2および第3カム4B,4Cの動作に追従して空振り動作(ロストモーション)するだけとなる。
【0031】
次に、第3状態S3で吸気弁3を駆動する場合、図4に示すように、第3ロッカー通路23Cに圧油が供給され、第1ロッカー通路23Aから圧油が排出される。すると、ピン21Cが油圧により後方に押されて第1ロッカーアーム9A内に挿入され、第3ロッカーアーム9Cが第1ロッカーアーム9Aに連結される。他方、残りのピン21Aa,21Ab,21Bは、バネ22の付勢力に抗じてピン21Cにより後方に押し出され、ピン21Aaとピン21Bは第1状態S1のときと同じ位置に位置される。これにより、第1ロッカーアーム9Aと第2ロッカーアーム9Bは非連結の状態となる。従って吸気弁3は、一体となった第1および第3ロッカーアーム9A,9Cを介して、実質的に第3カム4Cによって開閉駆動される。
【0032】
次に、第2状態S2で吸気弁3を駆動する場合、図5に示すように、第1ロッカー通路23Aおよび第3ロッカー通路23Cから圧油が排出される。すると、ピン21Bがバネ22により前方に押されて第1ロッカーアーム9A内に挿入され、第2ロッカーアーム9Bが第1ロッカーアーム9Aに連結される(図1はこの状態を示す)。他方、残りのピン21Aa,21Ab,21Cはピン21Bにより前方に押し出され、ピン21Abとピン21Cは第1状態S1のときと同じ位置に位置される。これにより、第1ロッカーアーム9Aと第3ロッカーアーム9Cは非連結の状態となる。従って吸気弁3は、一体となった第1および第2ロッカーアーム9A,9Bを介して、実質的に第2カム4Bによって開閉駆動される。
【0033】
次に、油圧制御装置の構成を説明する。図3に示すように、油圧制御装置は、オイルタンクをなすオイルパン10と、オイルパン10からオイルを吸引し圧油として吐出する油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11からロッカーシャフト18に向かうオイル供給方向において油圧ポンプ11の下流側に設けられた供給バルブ(OSVという)12と、オイル供給方向においてOSV12の下流側かつロッカーシャフト18の上流側に設けられた切替バルブ(OCVという)13と、OSV12およびOCV13を制御するように構成された制御ユニット、回路要素(circuitry)もしくはコントローラとしての電子制御ユニット(ECUという)100とを備える。
【0034】
OSV12は、オイルの出入口をなす複数(具体的には三つ)のポート、すなわち第1供給ポートP1、第2供給ポートP2および第3供給ポートP3を有する。またOCV13も、オイルの出入口をなす複数(具体的には四つ)のポート、すなわち第1切替ポートQ1、第2切替ポートQ2、第3切替ポートQ3および第4切替ポートQ4を有する。OSV12およびOCV13はソレノイドバルブにより構成される。ECU100はエンジンの制御を司るもので、CPU、ROM、RAM、入出力ポートおよび記憶装置等を含む。
【0035】
OSV12において、第1供給ポートP1は油圧ポンプ11の出口に接続され、第2供給ポートP2はOCV13の第1切替ポートQ1に接続され、第3供給ポートP3はオイルパン10に接続されている。なお第1供給ポートP1と油圧ポンプ11の間に圧油溜めとしてのオイルギャラリを設けてもよい。
【0036】
OCV13において、第2切替ポートQ2は第1シャフト通路14Aに接続され、第3切替ポートQ3は第3シャフト通路14Cに接続され、第4切替ポートQ4はオイルパン10に接続されている。
【0037】
図3に示すように、OSV12がオン(ON)のとき、第1供給ポートP1と第2供給ポートP2が連通状態になる。
【0038】
図5に示すように、OSV12がオフ(OFF)のとき、第2供給ポートP2と第3供給ポートP3が連通状態になる。
【0039】
図4に示すように、OCV13がオンのとき、第2切替ポートQ2と第4切替ポートQ4が連通状態になると共に、第1切替ポートQ1と第3切替ポートQ3が連通状態になる。
【0040】
図3に示すように、OCV13がオフのとき、第1切替ポートQ1と第2切替ポートQ2が連通状態になると共に、第3切替ポートQ3と第4切替ポートQ4が連通状態になる。
【0041】
図3に示すように、ECU100には、エンジンの回転速度、具体的には単位時間当たりのエンジン回転数Ne(rpm)を検出する回転速度センサ15と、アクセル開度Acを検出するアクセル開度センサ16とが接続されている。ECU100は、回転数Neおよびアクセル開度Acの検出値に基づいて所定のマップから目標燃料噴射量Fを算出する。さらにECU100は、回転数Neおよび目標燃料噴射量Fに基づき、図7に示すような制御マップに従って可変機構5を切り替える。このようにECU100は、エンジン運転状態に応じて可変機構5を切り替える。なおエンジン回転数Ne、アクセル開度Acおよび目標燃料噴射量Fはエンジン運転状態を表すパラメータである。目標燃料噴射量Fはエンジンの負荷に対応する。
【0042】
回転数Neおよび目標燃料噴射量Fが制御マップ中の第1領域R1にあるとき、ECU100は可変機構5を第1状態J1に切り替える。以下同様に、ECU100は、回転数Neおよび目標燃料噴射量Fが制御マップ中の第2領域R2にあるとき、可変機構5を第2状態J2に切り替え、回転数Neおよび目標燃料噴射量Fが制御マップ中の第3領域R3にあるとき、可変機構5を第3状態J3に切り替える。
【0043】
第1領域R1は低回転かつ低負荷側の領域、第3領域R3は高回転または高負荷側の領域、第2領域R3はそれらの間の中間領域である。第1領域R1から第3領域R3に向かうにつれ、エンジン回転数Neは高回転側となり、目標燃料噴射量Fは増大側、すなわちエンジン負荷は高負荷側となる。従って、エンジン回転数Neが高回転側またはエンジン負荷が高負荷側となるにつれ、可変機構5の状態は第1状態J1、第2状態J2、第3状態J3というように順次変化し、バルブタイミングおよび作用角は第1状態S1、第2状態S2、第3状態S3というように、閉タイミングが遅れる方向に順次変化する。
【0044】
もっとも、制御マップの形は如何様にも設定でき、ここで述べた例に限られない。実機の要請に合わせて、各状態に対応するエンジン運転領域を任意に設定可能である。
【0045】
さて、可変機構5を第1状態J1に切り替える場合、図3に示すようにECU100は、OSV12をオン、OCV13をオフにする。すると、油圧ポンプ11から吐出された圧油は第1供給ポートP1、第2供給ポートP2、第1切替ポートQ1、第2切替ポートQ2を順に経て第1シャフト通路14Aおよび第1ロッカー通路23Aに至る。他方、第3ロッカー通路23Cおよび第3シャフト通路14Cの圧油は、第3切替ポートQ3、第4切替ポートQ4を順に経てオイルパン10に排出される。
【0046】
次に、可変機構5を第3状態J3に切り替える場合、図4に示すようにECU100は、OSV12をオン、OCV13をオンにする。すると、油圧ポンプ11から吐出された圧油は第1供給ポートP1、第2供給ポートP2、第1切替ポートQ1、第3切替ポートQ3を順に経て第3シャフト通路14Cおよび第3ロッカー通路23Cに至る。他方、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの圧油は、第2切替ポートQ2、第4切替ポートQ4を順に経てオイルパン10に排出される。
【0047】
次に、可変機構5を第2状態J2に切り替える場合、図5に示すようにECU100は、OSV12をオフ、OCV13をオフにする。なお便宜上、このときの第2状態を「J2-1」と表記する。すると、第1供給ポートP1がどのポートにも接続されないので油圧ポンプ11からの圧油供給は停止される。他方、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの圧油は、第2切替ポートQ2、第1切替ポートQ1、第2供給ポートP2、第3供給ポートP3を順に経てオイルパン10に排出される。また第3ロッカー通路23Cおよび第3シャフト通路14Cの圧油は、第3切替ポートQ3、第4切替ポートQ4を順に経てオイルパン10に排出される。
【0048】
ところで、このような切り替えを行うと次の問題があることが判明した。バルブタイミング等を第1状態S1から第2状態S2に切り替えるとき、可変機構5は第1状態J1から第2状態J2(J2-1)に切り替えられ、OSV12およびOCV13は図3に示すオンおよびオフの状態から、図5に示すオフおよびオフの状態に切り替えられる。
【0049】
しかしこの場合、図5に示すオフおよびオフの状態に切り替えた直後、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aに元々存在していた圧油が、OCV13およびOSV12という二つのバルブを通過してオイルパン10に排出される。このため、流路抵抗の増大により圧油の排出性が悪化し、切替時の応答性が悪化することが判明した。
【0050】
図8の実線は、可変機構5を第2状態J2、第1状態J1、第2状態J2というように切り替えたときの油圧の変化を示すタイムチャートである。縦軸は、第1シャフト通路14A内の油圧の大きさを表している。なお第1シャフト通路14A内の油圧は、第1ロッカー通路23A内の油圧と実質的に同義である。円a内に実線bで示すように、第1状態J1から第2状態J2に切り替えた直後、油圧がゼロになる直前で、油圧の低下が遅くなっている。これにより可変機構5が第2状態J2に切り替わるのが遅れ、切替時の応答性が悪化する。なお、この応答性悪化により、ターボ付エンジンの場合には過給特性やエンジン性能が悪化したり、故障が生じたりする虞がある。
【0051】
特に本実施形態では、エンジン運転状態が低回転低負荷側の第1領域R1から中回転低中負荷側の第2領域R2に移行するときに、可変機構5を第1状態J1から第2状態J2に切り替える。第2領域R2および第2状態J2は、通常の車両走行時に最も頻繁に使用される領域および状態である。従って第1状態J1から第2状態J2への切り替えの遅れは、車両のドライバビリティにも大きく影響を及ぼす可能性がある。
【0052】
そこで本実施形態では、可変機構5を第1状態J1から第2状態J2に切り替えるとき、OSV12およびOCV13を図3に示すオンおよびオフの状態から、図6に示すオフおよびオンの状態に切り替えることとした。
【0053】
本発明者は鋭意研究の結果、図6に示すオフおよびオンの状態でも第2状態J2を実現できることを見出した。本実施形態はこの新たな知見に基づくものである。図6に示すオフおよびオンの状態のとき、第1供給ポートP1がどのポートにも接続されないので油圧ポンプ11からの圧油供給は停止される。他方、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの圧油は、第2切替ポートQ2、第4切替ポートQ4を順に経てオイルパン10に排出される。また第3ロッカー通路23Cおよび第3シャフト通路14Cの圧油は、第3切替ポートQ3、第1切替ポートQ1、第2供給ポートP2、第3供給ポートP3を順に経てオイルパン10に排出される。このときの第2状態を便宜上「J2-2」と表記する。
【0054】
第1状態J1のときに元々高圧となっていた第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの圧油が、第2状態J2-2への切替直後に、OCV13のみを通じてオイルパン10に排出される。このため、第2状態J2-1に切り替えたときより流路抵抗を減らし、圧油の排出性を向上することができる。そして切替時の応答性を向上することができる。
【0055】
また、第1状態J1のときに第3ロッカー通路23Cおよび第3シャフト通路14Cにあったオイルは、元々圧力がゼロであるため、第2状態J2-2への切替後にOCV13とOSV12を通過させて排出させても問題はなく、応答性への影響は生じない。
【0056】
従って本実施形態では、第1状態J1のときに高圧となっていた圧油を、一つのバルブ(OCV13)のみを通過させて抜くことができるので、切替時の応答性を向上することができる。
【0057】
図8の円a内に、第2状態J2-2への切替直後の油圧を破線cで示す。このように第2状態J2-2に切り替えることにより、第2状態J2-1に切り替えた場合(実線b)よりも、油圧がゼロになる直前での油圧の低下を早め、第2状態J2への切り替えを早め、切替時の応答性を向上することができる。そしてターボ付エンジンの場合には過給特性やエンジン性能を向上し、故障のリスクを低減することができる。さらには車両のドライバビリティも向上できる。
【0058】
但し、第2状態J2-2は第2状態J2-1に比べ、OCV13がオンである点で、電力消費量が多くなるデメリットがある。そのため本実施形態では、第1状態J1から第2状態J2への切替時、まず第2状態J2-2に切り替え、その後第2状態J2-1に切り替える。これにより電力消費量を抑制し、ひいては燃費を向上することができる。
【0059】
第2状態J2-2から第2状態J2-1への切替タイミングは、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの油圧が、応答性を満足し得る程度に十分低下した時のタイミングとされる。本実施形態では、図8に示すように、第2状態J2-2に切り替えた時から、かかる油圧低下が生じる所定時間Ts(またはそれより長い時間)が経過した時に、第2状態J2-1に切り替えるようにしている。所定時間Tsは、第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14Aの油圧が、ゼロまたはそれより僅かに大きい値に低下するまでの時間として設定されている。
【0060】
こうしたタイミングで切り替えを行うことにより、応答性に悪影響を及ぼさない最も早いタイミングで切り替えを行うことができ、電力消費量の抑制に最適となる。
【0061】
次に、可変機構5を第1状態J1から第2状態J2に切り替えるときの油圧制御のルーチンを図9を参照して説明する。図示するルーチンはECU100により所定の演算周期τ(例えば10msec)毎に繰り返し実行される。
【0062】
まずステップS101では、切替実行フラグFがオンか否かが判断される。切替実行フラグFの初期状態はオフである。切替実行フラグFがオンの場合、ステップS106に進み、切替実行フラグFがオンでない場合(オフの場合)、ステップS102に進む。
【0063】
ステップS102では、可変機構5を切り替えるための切替要求があるか否かが判断される。ECU100は、エンジン回転数Neおよび目標燃料噴射量Fが、図7に示した制御マップ中のある領域(R1,R2,R3のいずれか)から別の領域に移行したとき、切替要求があると判断し、そうでないときは切替要求なしと判断する。切替要求がある場合、ステップS103に進み、切替要求がない場合、今回のルーチンが終了される。
【0064】
ステップS103では、切替要求が、第1状態J1から第2状態J2への切替要求であるか否かが判断される。ECU100は、エンジン回転数Neおよび目標燃料噴射量Fが、図7に示した制御マップ中の第1領域R1から第2領域R2に移行したとき、第1状態J1から第2状態J2への切替要求であると判断し、そうでないときは当該切替要求でないと判断する。当該切替要求と判断した場合、ステップS104に進み、当該切替要求でないと判断した場合、今回のルーチンが終了される。
【0065】
ステップS104では、切替実行フラグFがオンされる。
【0066】
ステップS105では、第2状態J2-2への切り替えが実行される。すなわち、OSV12がオフされ、OCV13がオンされる。
【0067】
次にステップS106で、第2状態J2-2への切替時からの経過時間Tが所定時間Tsを超えたか否かが判断される。超えた場合、ステップS107に進み、超えてない場合、今回のルーチンが終了される。
【0068】
ステップS107では、第2状態J2-1への切り替えが実行される。すなわち、OSV12がオフされ、OCV13がオフされる。
【0069】
ステップS108では、切替実行フラグFがオフされる。以上でルーチンが終了する。
【0070】
このルーチンを実行すると、始めは切替実行フラグFがオフなのでステップS101からステップS102に移行し、切替要求があって且つそれが第1状態J1から第2状態J2への切替要求であれば、ステップS102,S103,S104,S105と進んで切替実行フラグFがオンされ、OSV12がオフされ、OCV13がオンされる。暫くのうちはステップS106がノーなので、ルーチンが終了され、次回以降のルーチンでステップS101からステップS106に進み、第2状態J2-2が継続される。
【0071】
その後、所定時間Tsが経過しステップS106がイエスとなると、第2状態J2-1に切り替えられ、OSV12がオフ、OCV13がオフとされる。OCV13がオンからオフに変更されるので省電力化が図られる。
【0072】
最後にステップS108で切替実行フラグFがオフされ、第1状態J1から第2状態J2への切替制御が実質的に終了する。
【0073】
次に、変形例を説明する。この変形例は、第2状態J2-2への切替時からの経過時間Tの代わりに、第1シャフト通路14Aの油圧値をモニタすることで、第2状態J2-2から第2状態J2-1への切替タイミングを定める。
【0074】
すなわち、図8に示すようにECU100は、第1状態J1から第2状態J2-2への切替後、第1シャフト通路14Aの油圧が応答性を満足し得る所定圧力Ps以下に低下した時、第2状態J2-2から第2状態J2-1へと切り替える。所定圧力Psは、ゼロまたはそれより僅かに大きい圧力に設定されている。
【0075】
また図3図6に仮想線で示すように、第1シャフト通路14Aの油圧を検出する圧力センサ17が設けられ、この圧力センサ17の検出値に基づいてECU100は第2状態J2-2から第2状態J2-1への切り替えを行う。
【0076】
本変形例の油圧制御ルーチンを図10に示す。この油圧制御ルーチンは、図9に示した基本実施形態のもののステップS106をステップS106Aに置き換えた点のみが相違するので、詳細な説明は省略する。
【0077】
ステップS106Aでは、圧力センサ17により検出された第1シャフト通路14Aの油圧が所定圧力Ps以下に低下したか否かが判断される。低下してなければ今回のルーチンが終了される。低下した場合はステップS107に進み、第2状態J2-1への切り替えが実行され、OSV12がオフ、OCV13がオフとされる。
【0078】
以上の説明から理解されるように、特許請求の範囲の「第1状態と第2状態」は本実施形態の「第1状態J1と第2状態J2」に相当する。また特許請求の範囲の「第1流路」は本実施形態の「第1ロッカー通路23Aおよび第1シャフト通路14A」に相当する。また特許請求の範囲の「第2流路」は本実施形態の「第3ロッカー通路23Cおよび第3シャフト通路14C」に相当する。また特許請求の範囲の「二つのカム」は本実施形態の「第1カム4Aおよび第2カム4B」に相当する。また特許請求の範囲の「二つのロッカーアーム」は本実施形態の「第1ロッカーアーム9Aおよび第2ロッカーアーム9B」に相当する。
【0079】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示は他の実施形態や変形例によっても実施可能である。
【0080】
(1)上記実施形態では、可変機構5を三段階に切替可能なものとしたが、少なくとも二段階で切替可能であればよく、四段階以上で切替可能なものであってもよい。
【0081】
(2)上記実施形態の可変機構5は、エンジンバルブ(吸気弁3)の開タイミングおよび最大バルブリフト量を一定としつつ、閉タイミングおよび作用角を可変とするものであった。しかしながらこれに限らず、開タイミングおよび最大バルブリフト量の少なくとも一方を可変にするものであってもよい。可変機構が切り替える作動特性のパラメータは任意に選択可能である。
【0082】
(3)可変機構の構成も上記実施形態のものに限られない。公知のものも含め、様々な構成の可変機構が採用可能である。
【0083】
(4)流体圧制御装置の作動流体は空気等の気体であってもよく、流体圧は空圧等の気体圧であってもよい。すなわち可変機構は、気体圧によって切替可能な構成であってもよい。
【0084】
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
3 吸気弁
4A 第1カム
4B 第2カム
4C 第3カム
5 可変機構
9A 第1ロッカーアーム
9B 第2ロッカーアーム
9C 第3ロッカーアーム
10 オイルパン
11 油圧ポンプ
12 供給バルブ(OSV)
13 切替バルブ(OCV)
14A 第1シャフト通路
14C 第3シャフト通路
23A 第1ロッカー通路
23C 第3ロッカー通路
J1 第1状態
J2、J2-1,J2-2 第2状態
P1 第1供給ポート
P2 第2供給ポート
P3 第3供給ポート
Q1 第1切替ポート
Q2 第2切替ポート
Q3 第3切替ポート
Q4 第4切替ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10