(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ゲート駆動回路ユニットおよびパルス電源
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20220209BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20220209BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M1/00 K
(21)【出願番号】P 2018145525
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】長田 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】東 征男
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-076867(JP,A)
【文献】特開2001-053596(JP,A)
【文献】特開平09-093908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H02M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の半導体スイッチング素子が実装される支持基板と、
各半導体スイッチング素子それぞれに対をなして支持基板の支持面に立設する複数個のゲート駆動回路基板が、当該支持面に沿って所定間隔を隔てて層状に並んで配列されている基板群と、
パルストランスと、
を備え、
パルストランスは、
パルス電圧源に接続される一次巻線と、
各ゲート駆動回路基板の基板配列方向の一端面にそれぞれ設けられ、各軸心が当該基板配列方向の同一直線に沿って延在している複数個のリング状コアと、
各コアにそれぞれ巻き付けて設けられ、対をなしている半導体スイッチング素子にそれぞれ接続される複数個の二次巻線と、
を備え、
一次巻線は、
U字状に延在して各ゲート駆動回路基板を基板配列方向に貫通するU字状部を有し、
U字状部のU字一端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア軸心側を基板配列方向に貫通して延在し、U字状部のU字他端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア外周側をU字一端側部と同一方向に貫通して延在している、
ことを特徴とするゲート駆動回路ユニット。
【請求項2】
各ゲート駆動回路基板の上端縁側でそれぞれ基板配列方向に貫通形成された切欠溝部が、当該基板配列方向の同一直線上に位置し、
U字他端側部が、各切欠溝部を基板配列方向に貫通して延在していることを特徴とする請求項1記載のゲート駆動回路ユニット。
【請求項3】
各ゲート駆動回路基板のコアの外周側でそれぞれ基板配列方向に貫通形成された貫通孔が、当該基板配列方向の同一直線上に位置し、
U字他端側部が、各貫通孔を基板配列方向に貫通して延在していることを特徴とする請求項1記載のゲート駆動回路ユニット。
【請求項4】
各ゲート駆動回路基板の上端縁側は、支持面に沿って基板配列方向に延在して当該上端縁側に被覆される絶縁性の被覆部材により、固定支持されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のゲート駆動回路ユニット。
【請求項5】
U字状部において基板群から基板配列方向に突出した突出一端側および突出他端側にそれぞれ配置され、当該突出一端側および突出他端側をそれぞれ支持する一次巻線支持部を、備えていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のゲート駆動回路ユニット。
【請求項6】
各ゲート駆動回路基板は、当該ゲート駆動回路基板の下端縁側と支持面との両者間をコネクタ接続するコネクタを介して、支持面に立設していることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のゲート駆動回路ユニット。
【請求項7】
負荷に対して直列接続される直流電源と、
それぞれ容量性のゲートを有する複数個の半導体スイッチング素子を直列接続して構成され、直流電源と負荷との間に直列に挿入接続される第1の素子群と、を備え、
第1の素子群の各半導体スイッチング素子は、請求項1~6の何れかのゲート駆動回路ユニットによりスイッチング動作することを特徴とするパルス電源。
【請求項8】
それぞれ容量性のゲートを有する複数個の半導体スイッチング素子を直列接続して構成され、負荷に対して並列接続される第2の素子群を、更に備え、
第2の素子群の各半導体スイッチング素子は、前記ゲート駆動回路ユニットによりスイッチング動作することを特徴とする請求項7記載のパルス電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス電源、および当該パルス電源に適用可能な半導体スイッチング素子のゲート駆動回路ユニットの技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
種々の分野で適用されているパルス幅変調方式のパルス電源において、高圧・大電流のパルスを負荷に供給できる回路構成としては、パルスフォーミングライン(PFL),パルスフォーミングネットワーク(PFN),ブルームライン(BL)等の手段を利用する回路構成の他に、当該手段を利用せずに直流電源等からの直流電力エネルギーを半導体スイッチング素子によりパルス状に変換して負荷に直接供給する回路構成(後述の
図4等では、半導体スイッチング素子SW1,SW2等によりパルス状に変換する構成;以下、単に直接供給構成と適宜称する)が、知られている(例えば特許文献1,2)。
【0003】
直接供給構成では、負荷に対する印加と同様に、半導体スイッチング素子に対して高圧・大電流が印加(例えば数kV~数十kV程度が印加)されることとなるため、当該半導体スイッチング素子には耐電圧性を有するものを適用することが望ましい。
【0004】
また、負荷に対して所望のパルスを印加できるようにするため、半導体スイッチング素子のスイッチング動作(ターンオン・ターンオフ)の応答速度が速く(例えばパルスの立ち上がり時間/立ち下がり時間が数ns~数十ns程度に短く)、パルス幅を狭くでき(例えば数十ns~数百ns程度に狭くでき)、容易にパルス幅変調できる構成とすることが望ましい。
【0005】
前述のように耐電圧性を有し所望のパルスを負荷に印加する半導体スイッチング素子としては、容量性のゲートを備えた構造(例えばSiC等を用いて成るMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)構造)のものがあり、当該半導体スイッチング素子をゲート駆動回路で適宜動作させることが挙げられる。
【0006】
ゲート駆動回路は、パルストランスの一次巻線がパルス電圧源に接続され、当該パルストランスの二次巻線が半導体スイッチング素子に接続された構成(具体的には、二次巻線一端側が半導体スイッチング素子のゲートに接続され、二次巻線他端側が当該半導体スイッチング素子のソースに接続された構成)が挙げられる。
【0007】
また、複数個の半導体スイッチング素子が配列(例えば直列接続できるように配列)された素子群の場合には、各半導体スイッチング素子それぞれに対をなすゲート駆動回路基板を適用し、当該各半導体スイッチング素子において同様のスイッチング動作(例えば同じ応答速度で同時にスイッチング動作)を実施できるように構成することが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-9216号公報
【文献】特開2010-193646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように、複数個の半導体スイッチング素子それぞれに対をなすゲート駆動回路基板を適用する場合には、各ゲート駆動回路基板に係るインダクタンスを低減し(例えば相互インダクタンスによってインダクタンス低減効果(近接した同相双方向電流による磁束の打ち消し効果)が得られるようにし)、各応答速度の向上に貢献できる構成とすることが好ましい。
【0010】
しかしながら、各ゲート駆動回路基板に係るインダクタンスに差がある場合(例えば搬送時や動作時の振動等により、回路構成部品の配置構成が変化して、各ゲート駆動回路基板に係る相互インダクタンスの差が生じた場合)、応答速度のバラツキが生じてしまうおそれがある。すなわち、各半導体スイッチング素子において同様のスイッチング動作を実施することが、困難となるおそれがある。
【0011】
本発明は、かかる技術的課題を鑑みてなされたものであって、素子群の各半導体スイッチング素子において所望のスイッチング動作を実現し易くする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の一態様は、複数個の半導体スイッチング素子が実装される支持基板と、各半導体スイッチング素子それぞれに対をなして支持基板の支持面に立設する複数個のゲート駆動回路基板が、当該支持面に沿って所定間隔を隔てて層状に並んで配列されている基板群と、パルストランスと、を備えたゲート駆動回路ユニットに係るものである。
【0013】
パルストランスは、パルス電圧源に接続される一次巻線と、各ゲート駆動回路基板の基板配列方向の一端面にそれぞれ設けられ、各軸心が当該基板配列方向の同一直線に沿って延在している複数個のリング状コアと、各コアにそれぞれ巻き付けて設けられ、対をなしている半導体スイッチング素子にそれぞれ接続される複数個の二次巻線と、を備えたものとする。
【0014】
そして、一次巻線は、U字状に延在して各ゲート駆動回路基板を基板配列方向に貫通するU字状部を有し、U字状部のU字一端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア軸心側を基板配列方向に貫通して延在し、U字状部のU字他端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア外周側をU字一端側部と同一方向に貫通して延在している、ことを特徴とする。
【0015】
各ゲート駆動回路基板の上端縁側でそれぞれ基板配列方向に貫通形成された切欠溝部が、当該基板配列方向の同一直線上に位置し、U字他端側部が、各切欠溝部を基板配列方向に貫通して延在していることを特徴としても良い。
【0016】
各ゲート駆動回路基板のコアの外周側でそれぞれ基板配列方向に貫通形成された貫通孔が、当該基板配列方向の同一直線上に位置し、U字他端側部が、各貫通孔を基板配列方向に貫通して延在していることを特徴としても良い。
【0017】
各ゲート駆動回路基板の上端縁側は、支持面に沿って基板配列方向に延在して当該上端縁側に被覆される絶縁性の被覆部材により、固定支持されていることを特徴としても良い。
【0018】
U字状部において基板群から基板配列方向に突出した突出一端側および突出他端側にそれぞれ配置され、当該突出一端側および突出他端側をそれぞれ支持する一次巻線支持部を、備えていることを特徴としても良い。
【0019】
各ゲート駆動回路基板は、当該ゲート駆動回路基板の下端縁側と支持面との両者間をコネクタ接続するコネクタを介して、支持面に立設していることを特徴としても良い。
【0020】
別の態様は、負荷に対して直列接続される直流電源と、それぞれ容量性のゲートを有する複数個の半導体スイッチング素子を直列接続して構成され、直流電源と負荷との間に直列に挿入接続される第1の素子群と、を備え、第1の素子群の各半導体スイッチング素子は、ゲート駆動回路ユニットによりスイッチング動作することを特徴とする。
【0021】
それぞれ容量性のゲートを有する複数個の半導体スイッチング素子を直列接続して構成され、負荷に対して並列接続される第2の素子群を、更に備え、第2の素子群の各半導体スイッチング素子は、前述のゲート駆動回路ユニットによりスイッチング動作するものであっても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上示したように本発明によれば、素子群の各半導体スイッチング素子において所望のスイッチング動作を実現し易くなる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例1によるゲート駆動回路ユニットU1を説明するための概略構成図((A)基板群KGの一端側からの正面図、(B)基板群KGの上端側を臨んだ図(被覆部材23を透視した図)、(C)基板群KGの一側面側を臨んだ図))。
【
図2】切欠溝部22の一例を説明するための概略断面図(ゲート駆動回路基板2の面方向に沿った断面図)。
【
図3】実施例2によるゲート駆動回路ユニットU2を説明するための概略構成図((A)基板群KGの一端側からの正面図、(B)基板群KGの上端側を臨んだ図、(C)基板群KGの一側面側を臨んだ図))。
【
図4】本実施形態のゲート駆動回路ユニット(U1,U2等)の適用例であるパルス電源P1を説明するための概略構成図。
【
図5】
図4のスイッチSW1,SW2のスイッチング動作例を説明するためのタイミングチャート図。
【
図6】複数個直列接続されたスイッチ製品SWをスイッチング動作させるゲート駆動回路ユニットU6を説明するための概略構成図。
【
図7】
図6のゲート駆動回路基板61の回路構成例を説明するための回路構成図。
【
図8】パルストランスPTの一例を示す等価回路図。
【
図9】参照例によるゲート駆動回路ユニットU9を説明するための概略構成図((A)基板群KGの一端側からの正面図、(B)基板群KGの上端側を臨んだ図、(C)基板群KGの一側面側を臨んだ図))。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態におけるゲート駆動回路ユニットは、複数個の半導体スイッチング素子(以下、単にスイッチと適宜称する)が配列された素子群(例えば後述する支持基板1に実装される素子群SG)をスイッチング動作させるものであって、単に各スイッチそれぞれに対をなすゲート駆動回路基板を適用した構成とは、全く異なるものである。
【0025】
すなわち、本実施形態のゲート駆動回路ユニットは、各ゲート駆動回路基板が支持基板の支持面に沿って層状に配列するように立設した構成であり、パルストランスにおいて、各ゲート駆動回路基板の基板配列方向の一端面にそれぞれ設けられた複数個のリング状コア(各軸心が当該基板配列方向の同一直線に沿って延在したコア)と、各コアにそれぞれ巻き付けて設けられた複数個の二次巻線と、パルス電圧源に接続される一次巻線(すなわち、複数個の二次巻線に対して共通の一次巻線)と、を備えた構成である。
【0026】
また、一次巻線においては、U字状に延在して各ゲート駆動回路基板を基板配列方向に貫通するU字状部を有した構成とする。そして、U字状部のU字一端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア軸心側を基板配列方向に貫通して延在し、U字状部のU字他端側部が、各ゲート駆動回路基板におけるコア外周側をU字一端側部と同一方向に貫通して延在しているものとする。
【0027】
ここで、U字状部に着目すると、U字一端側部およびU字他端側部の両者(以下、単にU字両者と適宜称する)においては、各ゲート駆動回路基板を基板配列方向に貫通して延在、すなわち互いに所定距離を隔てて同一方向に延在(列をなして延在)し、パルス電圧源からの電流の流れる向きは互いに逆方向である。このため、U字両者の相互インダクタンスにおいて、インダクタンス低減効果が得られ易くなる。これにより、各応答速度の向上に貢献することが可能となる。
【0028】
なお、例えばゲート駆動回路ユニット(あるいはパルス電源)の搬送時や動作時の振動等(以下、単に振動と適宜称する)により、U字両者の位置ズレ等を起こした場合には、回路構成部品の配置構成が変化してしまう。このような場合、基板群の各ゲート駆動回路基板に係る相互インダクタンスも変化し、各ゲート駆動回路基板に係るインダクタンスに差が生じるおそれがある。
【0029】
一方、本実施形態のゲート駆動回路ユニットは、U字両者がそれぞれ各ゲート駆動回路基板の貫通箇所において当該ゲート駆動回路基板に支持固定され、当該U字両者の位置ズレが抑制されることとなる。すなわち、各ゲート駆動回路基板に係るインダクタンスを均等に保持し易くなり(差が生じないように抑制することが可能となり)、対をなすスイッチの応答速度においてバラツキが生じないように抑制できる。これにより、各スイッチにおいて所望のスイッチング動作(例えば同じ応答速度で同時にスイッチング動作)が実施し易くなる可能性がある。
【0030】
本実施形態のスイッチのゲート駆動回路ユニットは、前述のように支持基板の支持面に沿って層状に配列するように立設した各ゲート駆動回路基板を、一次巻線のU字状部が基板配列方向に貫通し、各ゲート駆動回路基板に係るインダクタンスを均等に保持し易くなる構成であれば、種々の分野(例えばパルス電源技術,ゲート駆動回路技術,半導体スイッチング素子技術等の分野)の技術常識を適宜適用して設計することが可能であり、その一例として以下に示すものが挙げられる。
【0031】
≪本実施形態によるゲート駆動回路ユニットの適用例≫
図4は、本実施形態のゲート駆動回路ユニット(例えば後述のゲート駆動回路ユニットU1,U2)を適用できるパルス電源P1を説明するものである。
【0032】
図4に示すパルス電源P1は、負荷LDに対して直流電源EVが直列接続され、当該直流電源EVと負荷LDとの間(
図4中では正極側)においてスイッチSW1が直列に挿入接続されている。直流電源EVの直流電力エネルギーを負荷LDに供給する場合に、図外のゲート駆動回路ユニットによって、スイッチSW1を適宜スイッチング動作させてターンオン・ターンオフを繰り返すことにより、当該直流電力エネルギーがパルス状に変換して負荷LDに供給される。すなわち、負荷LDに対して所望のパルスを供給できることとなる。
【0033】
図4に示すパルス電源P1の場合、直流電源EVとスイッチSW1との間にコンデンサCの一端が接続され、当該コンデンサCの他端が直流電源EVの負極側に接続されている。このコンデンサCにより、直流電源EVの応答性に起因する電圧低下を抑制することができる。
【0034】
また、スイッチSW1と負荷LDとの間には抵抗器R1が直列に挿入接続されており、これにより、直流電源EVと負荷LDとの間に存在し得るインダクタンス成分L(漂遊インダクタンス)や負荷LDに起因するリンギングが抑制されることとなる。
【0035】
負荷LDが容量性負荷であって直流電力エネルギーが残存すると、当該エネルギーにより、負荷LD側の電圧の立ち下り時間が長くなってしまう場合がある。このような場合には、
図4に示すように、負荷LDに対してスイッチSW2を並列接続した構成とすることが挙げられる。
【0036】
具体的には、直流電源EVのスイッチSW1と負荷LDとの間に、スイッチSW2の一端を接続(
図4では抵抗器R2を介して接続)し、当該スイッチSW2の他端を直流電源EVの負極側に接続した構成とし、スイッチSW1,SW2を
図5のタイミングチャートに示すように適宜ターンオン・ターンオフするように、それぞれスイッチング動作させることが挙げられる。なお、
図4中の抵抗器R2においても、抵抗器R1と同様に、直流電源EVと負荷LDとの間に存在し得るインダクタンス成分や負荷LDに起因するリンギングの抑制に貢献する。
【0037】
このようにスイッチSW1,SW2をスイッチング動作させることにより、負荷LDに残存したエネルギーによる影響を抑制でき、負荷LD側の電圧を速やかに立ち下げることも可能となる。
【0038】
負荷LDが抵抗負荷の場合には、前述のようにスイッチSW2等を装備していなくても、負荷LD側の電圧を速やかに立ち下げ易くなる可能性がある。
【0039】
スイッチSW1,SW2においては、前述のようにターンオン・ターンオフを繰り返すことにより、直流電源EVの直流電力をパルス状に変換して負荷LDに供給できる構成であれば、種々の態様を適用することが可能であり、その一例としてIGBT,MOSFET等の容量性のゲートを備えた構造のパワースイッチング素子を適用することが挙げられる。具体例としては、SiC(シリコンカーバイド)を用いて成り容量性のゲートを有したMOSFET構造の素子(いわゆるSiC素子)が挙げられる。
【0040】
また、スイッチSW1,SW2においては、それぞれ目的の負荷LDに印加する高圧・大電流に応じた耐電圧性を有する構成であれば良い。例えば、ディスクリート型のスイッチ製品を適用して構成する場合、当該スイッチ製品単体の耐電圧性等が十分でなければ、当該スイッチ製品を複数個用いて適宜直列接続し、所望の耐電圧性等を持たせた構成の素子群を、スイッチSW1,SW2にそれぞれ適用することが挙げられる。
【0041】
具体例としては、
図6に示すように複数個のスイッチ製品SW(
図6中ではスイッチSW
0,…,SW
n-1,SW
n)を直列接続して素子群SGを構成する。そして、素子群SGの各スイッチ製品SWを、それぞれ対をなすようにゲート駆動回路基板61が配列されたゲート駆動回路ユニットU6により、適宜スイッチング動作(例えば同じ応答速度で同時にスイッチング動作)させることが挙げられる。
【0042】
素子群SGの各スイッチ製品SWを同時にスイッチング動作させる場合には、
図6に示すように、図外のパルス電圧源に接続される一次巻線T1と、当該一次巻線T1に対向して配列された複数個の二次巻線T2と、を有した構成のパルストランスPTを適用することが挙げられる。
【0043】
図6に示す一次巻線T1の場合、複数個(例えば直列接続されたスイッチ製品SWの個数分)の巻線部Tmが直列接続された構成であり、その各巻線部Tmに対応するように、二次巻線T2が対向して配列されている。そして、各二次巻線T2に対し、対をなすスイッチ製品SWがそれぞれ接続される構成となっている。
【0044】
ゲート駆動回路基板61においては、種々の態様の回路構成が適用可能であり、その一例として
図7に示すような回路構成が挙げられる。
図7においては、リング状コアTCに二次巻線T2が巻き付けられており、当該コアTCの軸心側を一次巻線T1が貫通している。二次巻線T2の一端側(ゲート信号経路側)Tgと、当該二次巻線T2の他端側Tsと、の間には、ツェナーダイオードDzおよび放電用トランジスタQが並列接続されている。
【0045】
ツェナーダイオードDzを備えた構成により、例えばスイッチ製品SWのゲート・ソース間の電圧にリンギングが発生し得る場合に、当該リンギングが抑制されることとなる。また、放電用トランジスタQを備えた構成により、スイッチ製品SWがターンオフ状態の場合に、当該スイッチ製品SWのゲート容量に残存している電荷は放電されることとなる。
【0046】
図7のゲート駆動回路基板61の場合、ツェナーダイオードDzや放電用トランジスタQの他に、二次巻線T2の一端側Tgの逆流を阻止するための第1,第2ダイオードD1,D2や、バイパス回路用の抵抗器R3を備えた構成となっている。また、放電用トランジスタQのベースにおいて、抵抗器R4を介して二次巻線T2の他端側Tsに接続した構成となっている。
【0047】
また、一次巻線T1,二次巻線T2それぞれの巻数は、目的に応じて適宜設定可能である。
図7では、一次巻線T1の巻線数が1Tに対し二次巻線T2が3Tに設定されている場合を描写しているが、これに限定されるものではない。図外のパルス電圧源によって発生したパルスを一次巻線T1から二次巻線T2に伝達(例えばスイッチ製品SWのゲート・ソース間に正電圧を適宜印加できるように伝達)し、これによりスイッチ製品SWを所望通りに適宜スイッチング動作できる構成であれば良い。
【0048】
≪本実施形態によるゲート駆動回路ユニットの構成例≫
図6,
図7に示したようなゲート駆動回路基板61の応答速度においては、当該ゲート駆動回路基板61に存在し得る種々のインダクタンス(例えば、一次巻線T1側において、漏洩インダクタンス、配線による自己インダクタンス、相互インダクタンス)による影響を受ける可能性がある。
【0049】
例えば、パルストランスの構成(一次巻線T1,二次巻線T2,コアTCの配置構成等)が変化すると、応答速度も変化してしまうことが考えられる。具体的には、パルストランスPTの二次巻線T2側に流れる電流の立ち上がり特性(パルスの立ち上がり時間等)が、当該パルストランスPTに発生し得る漏洩インダクタンスや結合容量等の影響を受けることが挙げられる。
【0050】
パルストランスPTの等価回路は、
図8のように図示することができ、下記の関係式(1)が成り立つものと考えられる。なお、関係式(1)において、Trは二次巻線T2側に流れる電流の立ち上がり時間、kは定数、Cwは結合容量、L
Iは漏洩インダクタンス(一次巻線T1側および二次巻線T2側の各漏洩インダクタンスL
I1,L
I2の合成値)とする。
【0051】
Tr=k√(Cw×LI) …… (1)
ここで、漏洩インダクタンスLIにおいて、一次巻線T1側および二次巻線T2側の各漏洩インダクタンスLI1,LI2の合成値により導出するにあたり、LI1を2次換算すると、当該換算値はLI1×n^2となる。
【0052】
したがって、パルストランスPTの一次巻線T1側において、漏洩インダクタンス、配線による自己インダクタンス、相互インダクタンス等のインダクタンス抑制することにより、応答速度の向上に貢献可能であることが判る。
【0053】
<参照例>
前述のように一次巻線T1側のインダクタンスを抑制した構成の参照例として、
図9に示すようなゲート駆動回路ユニットU9が挙げられる。なお、
図4~
図8に示すものと同様のものにおいては、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0054】
ゲート駆動回路ユニットU9では、長尺平板状の支持基板1の支持面11に、それぞれ平板状でパルストランスPT用のリング状コアTCを備えた複数個(
図9では10個)のゲート駆動回路基板2が、当該支持面11に沿って所定間隔を隔てて層状に並んで配列するように立設して、基板群KGが構成されている。
【0055】
各コアTCは、それぞれゲート駆動回路基板2の基板配列方向の一端面に、軸心が当該基板配列方向の同一直線に沿って延在するように配置されている。そして、各コアTCには、各ゲート駆動回路基板2に設けられた二次巻線T2の一部(例えば長尺線状の導体部材の中央部;図示省略)が、それぞれ巻き付けられる。
【0056】
支持基板1においては、例えば支持面11における基板群KGの外周側(
図9では支持面11の外周縁)に、複数個(
図9では10個)のスイッチ製品SWが、各ゲート駆動回路基板2それぞれに対をなすように実装(例えば
図9(A)(B)において点線矩形領域で示すような位置に適宜実装)され、当該各スイッチ製品SWによって素子群SGが構成されている。
【0057】
素子群SGの各スイッチ製品SWと、各ゲート駆動回路基板2の二次巻線T2と、の両者は、例えば支持面11に形成された配線パターン(図示省略)等を介して接続した構成とすることが挙げられるが、
図9に示すように当該両者間にコネクタ12を介在させることにより、着脱自在に適宜接続することが可能となる。
【0058】
図9のコネクタ12の場合、ゲート駆動回路基板2の立設方向の下端縁側(支持面11側)に設けられたコネクタ部材(例えば雄型のコネクタ部材)12aと、支持面11におけるコネクタ部材12aに対向する位置に設けられたコネクタ部材(例えば雌型のコネクタ部材)12bと、が着脱自在に接続可能な構成となっている。そして、コネクタ12を介して、各ゲート駆動回路基板2が支持面11に立設して支持固定される構成となっている。
【0059】
一次巻線T1においては、例えば長尺線状の導体部材3を用いて成り、当該導体部材3の一部がU字状に延在するように折曲されて、U字状部4が形成(ターン数が1となるように形成)された構成となっている。
【0060】
U字状部4においては、当該U字状部4のU字一端側部4aが、各ゲート駆動回路基板2におけるコアTC軸心側に穿設(基板配列方向に貫通して穿設)された貫通孔21を貫通するように延在し、U字状部4のU字他端側部(リターン線に相当)4bが、各ゲート駆動回路基板2の外周側をU字一端側部4aと同一方向に延在するように、配置されている。
【0061】
一次巻線T1や二次巻線T2においてコロナ放電による絶縁破壊等が起こり得る場合には、例えば
図9に示す一次巻線T1のように、導体部材3の外周面を絶縁性チューブ31によって包覆(例えば蛇腹状の絶縁性チューブ31に貫装して包覆)した構成とすることが挙げられる。
【0062】
また、一次巻線T1のU字他端側部4bにおいては、例えば
図9に示すように、支持面11に立設した支柱5aや、当該支柱5aに設けられたラッチバンド5b等を用いて、複数個所(
図9では3箇所)で適宜支持固定することが可能である。
【0063】
以上示したような構成のゲート駆動回路ユニットU9によれば、図外のパルス電圧源によって発生したパルスを、一次巻線T1から各ゲート駆動回路基板2の二次巻線T2に伝達し、素子群SGの各スイッチ製品SWを適宜スイッチング動作させることができる。この際、一次巻線T1においては、図示点線矢印で示すように電流が流れることになるが、U字両者4a,4bにおける当該電流の流れる向きは互いに逆方向となり、インダクタンス低減効果が得られ易い。
【0064】
しかしながら、ゲート駆動回路ユニットU9においては、振動により回路構成部品の配置構成が変化すると、各ゲート駆動回路基板2に係るインダクタンスに差が生じたり、当該回路構成部品の損傷等を引き起こすおそれがある。
【0065】
例えば、U字他端側部4bをラッチバンド5b等により支持固定する構成では、U字両者4a,4b間の距離を一定に保つことが困難であり、ラッチバンド5bが振動により緩むとU字他端側部4bに位置ズレ等が生じるため、U字両者4a,4bにおける相互インダクタンスが変化し、各ゲート駆動回路基板2に係るインダクタンスに差が生じるおそれがある。
【0066】
また、ゲート駆動回路基板2をコネクタ12等により支持固定する構成では、当該ゲート駆動回路基板2が振動により揺動すると、当該コネクタ12に応力が加わり易く、接触不良等の損傷を引き起こすおそれがある。例えば、各コネクタ12のうち一部が前述のような接触不良等を引き起こしている状態で、パルス電圧源からパルスを発生させると、残りの正常なコネクタ12を介して高電圧がスイッチ製品SWに印加され、当該スイッチ製品SWの損傷等を引き起こすおそれがある。
【0067】
以上示した振動による現象を踏まえて、各ゲート駆動回路基板2に係るインダクタンスに差が生じないようにし、回路構成部品の損傷等を引き起こさないように抑制することが好ましい。その一例としては、
図9のゲート駆動回路ユニットU9のような構成とするのではなく、以下に示す実施例1,2のように、U字両者4a,4bを支持固定した構成を適用することが挙げられる。
【0068】
<実施例1>
図1に示すゲート駆動回路ユニットU1は、
図4のスイッチSW1,SW2それぞれに適用可能な構成の一例を説明するものである。なお、
図4~
図9に示すものと同様のものにおいては、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0069】
図1のゲート駆動回路ユニットU1においては、各ゲート駆動回路基板2の立設方向の上端縁側に、それぞれ基板配列方向に貫通形成された切欠溝部22を備えており、U字他端側部4bを各切欠溝部22に貫通させて基板配列方向に延在するように支持固定できる構成となっている。
【0070】
各切欠溝部22においては、前述のようにU字他端側部4bを支持できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。例えば、各切欠溝部22が、基板配列方向に延在した同一直線上に位置(例えば各切欠溝部22の貫通方向の軸心が同一直線上に位置)し、基板配列方向に延在するU字他端側部4bにおいて、それぞれゲート駆動回路基板2が位置する部分(以下、単に基板位置部分と適宜称する)4baを受容できる態様が挙げられる。
【0071】
また、切欠溝部22は、種々の形状(例えば横断面形状が多角形,半円形等)のものを適宜適用することが可能であり、例えば
図2(A)に示すように、基板位置部分4baの全てを受容できる形状や、
図2(B)に示すように、基板位置部分4baの一部のみを受容できる形状が挙げられる。このように、各切欠溝部22が、基板位置部分4baの少なくとも一部のみを受容できる形状であれば、それぞれU字他端側部4bを基板位置部分4baにて支持固定し、位置ズレを抑制できることとなる。
【0072】
基板群KGの上端側(各ゲート駆動回路基板2の立設方向の上端縁側)には、支持面11に沿って基板配列方向に延在した絶縁性の被覆部材23が設けられている。これにより、各ゲート駆動回路基板2は、前述のように各切欠溝部22によりU字他端側部4bを支持固定した状態において、上端縁側がの被覆部材23によって支持固定される構成となっている。
【0073】
被覆部材23においては、前述のように絶縁性を有し、基板群KGの上端側に被覆されて各ゲート駆動回路基板2を支持固定できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。例えば、絶縁性材料を平板状に成形してなる部材を適用することが挙げられる。
【0074】
また、被覆部材23において、単なる絶縁性材料を用いるのではなく、絶縁性ゴム材料等の絶縁性弾性材料を用いてなる部材を適用した場合には、例えば各ゲート駆動回路基板2の振動の吸収に貢献できる可能性がある。
【0075】
また、被覆部材23においては、例えば当該被覆部材23の分散位置(
図1では被覆部材23の4箇所の角部)を支持するように支持面11に立設した複数個の被覆部材支持部24によって、支持固定することが挙げられる。
【0076】
被覆部材支持部24は、前述のように被覆部材23を支持固定できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。
図1の被覆部材支持部24の場合、支持面11に立設した支柱24aと、被覆部材23を厚さ方向に貫通して支柱24aの上端側に螺合する締結ボルト24bと、締結ボルト24bの頭部と被覆部材23との間に介在させるワッシャ24cと、を有した構成となっている。
【0077】
また、当該被覆部材支持部24においては、被覆部材23により基板群KGの上端側を下端側方向に押圧するように、当該被覆部材23を支持固定(基板群KGを、下端側に付勢するように支持固定)しても良い。このような構成の被覆部材支持部24としては、例えば
図1に示すような構成の場合、支柱24aの立設方向寸法を、ゲート駆動回路基板2の立設方向寸法よりも僅かに短くした構成であって、締結ボルト24bを適宜締め付けることにより、基板群KGを下端側に付勢して支持固定できるようにした構成が挙げられる。
【0078】
各ゲート駆動回路基板2に設けられるコアTCの配置位置は、一次巻線T1や二次巻線T2におけるコロナ放電(絶縁破壊等)が起こらないように十分抑制できる範囲内で、適宜設定することが挙げられる。例えば、前述のように十分抑制できる範囲内で、コアTCを各ゲート駆動回路基板2の上端縁側寄りに配置し、U字両者4a,4b間の距離を短くすることにより、インダクタンス低減効果が得られ易くすることが挙げられる。
【0079】
その他、各ゲート駆動回路基板2においては、例えば
図7に示す回路構成と同様に、ツェナーダイオードDzや放電用トランジスタQ等の各種構成部品を適宜実装することが可能である(その詳細な説明や図示は省略する)。
【0080】
以上のように構成されたゲート駆動回路ユニットU1によれば、U字両者4a,4bがそれぞれ各ゲート駆動回路基板2の貫通箇所において当該ゲート駆動回路基板2に支持固定され、当該U字両者4a,4bの位置ズレが抑制されることとなるため、
図9のゲート駆動回路ユニットU9と比較すると、各ゲート駆動回路基板2に係るインダクタンスを均等に保持し易くなる。
【0081】
ゆえに、素子群SGの各スイッチ製品SWにおいて所望のスイッチング動作(例えば同じ応答速度で同時にスイッチング動作)が実施し易くなる。
【0082】
また、各ゲート駆動回路基板2の上端縁側を支持固定する被覆部材23を備えた構成によれば、例えば振動が各ゲート駆動回路基板2に伝達しても、当該各ゲート駆動回路基板2の揺動が抑制される。例えば
図1に示すように各ゲート駆動回路基板2の下端縁側がコネクタ12等により支持固定されている構成の場合、当該コネクタ12の接触不良等の損傷が抑制される。また、切欠溝部22に支持固定されたU字他端側部4bにおいては、当該切欠溝部22内からの離脱が抑制される。
【0083】
ゆえに、ゲート駆動回路ユニットU1において回路構成部品の損傷等を引き起こさないように抑制できる。
【0084】
<実施例2>
図3に示すゲート駆動回路ユニットU2は、
図4のスイッチSW1,SW2それぞれに適用可能な構成の一例を説明するものである。なお、
図1,
図4~
図9に示すものと同様のものにおいては、同一符号を付する等により、その詳細な説明を適宜省略する。
【0085】
図3のゲート駆動回路ユニットU2においては、
図1に示した切欠溝部22を備える替わりに、各ゲート駆動回路基板2のコアTCの外周側に、それぞれ基板配列方向に貫通形成された貫通孔25を備えており、U字他端側部4bを各貫通孔25に貫通させて基板配列方向に延在するように支持固定できる構成となっている。
【0086】
各貫通孔25においては、前述のようにU字他端側部4bを貫通させて基板位置部分4baを支持できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。例えば、各貫通孔25を貫通形成するにあたり、貫通孔25の内径と、U字他端側部4bの外径(基板位置部分4baの外径)と、の両者の差が大きくなり過ぎないようにすることが挙げられる。
【0087】
また、ゲート駆動回路ユニットU2においては、
図1に示した被覆部材23を備える替わりに、一次巻線支持部26(便宜上、
図1(C)のみに描写)を備えた構成となっている。この一次巻線支持部26は、U字状部4において基板群KGから基板配列方向に突出した突出一端側41および突出他端側42にそれぞれ配置され、当該突出一端側41および突出他端側42をそれぞれ支持する構成となっている。
【0088】
各一次巻線支持部26においては、前述のようにU字状部4の突出一端側41や突出他端側42をそれぞれ支持できるものであれば、種々の態様を適用することが可能である。ゲート駆動回路ユニットU2の場合、例えば
図1(C)に示す一次巻線支持部26のように、支持面11に立設した支柱26aを有した構成であり、U字一端側部4aの突出一端側41および突出他端側42にそれぞれ配置されている。
【0089】
以上のように構成されたゲート駆動回路ユニットU2によれば、U字両者4a,4bがそれぞれ各ゲート駆動回路基板2の貫通箇所において当該ゲート駆動回路基板2に支持固定され、当該U字両者4a,4bの位置ズレが抑制されることとなるため、
図1のゲート駆動回路ユニットU1と同様に、各ゲート駆動回路基板2に係るインダクタンスを均等に保持し易くなる。
【0090】
ゆえに、素子群SGの各スイッチ製品SWにおいて所望のスイッチング動作(例えば同じ応答速度で同時にスイッチング動作)が実施し易くなる。
【0091】
また、U字状部4を支持する一次巻線支持部26を備えた構成によれば、例えば振動が各ゲート駆動回路基板2に伝達しても、当該各ゲート駆動回路基板2の揺動が抑制される。例えば
図1に示すように各ゲート駆動回路基板2の下端縁側がコネクタ12等により支持固定されている構成の場合、当該コネクタ12の接触不良等の損傷が抑制される。また、切欠溝部22に支持固定されたU字他端側部4bにおいては、当該切欠溝部22内から離脱が抑制される。
【0092】
ゆえに、ゲート駆動回路ユニットU2において回路構成部品の損傷等を引き起こさないように抑制できる。
【0093】
なお、ゲート駆動回路ユニットU2は、U字他端側部4bを各貫通孔25に貫通させて支持する支持作業において、ゲート駆動回路ユニットU1の切欠溝部22による支持作業と比較して煩雑になってしまうおそれがあるものの、例えば被覆部材23と被覆部材支持部24とを併用する構成のゲート駆動回路ユニットU1と比較すると、支持構成部品数の低減や小型化等に貢献可能な構成であることが判る。
【0094】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0095】
例えば、本発明のゲート駆動回路ユニットは、
図1~
図3に示した構成に限定されるものではなく、当該
図1~
図3に示したゲート駆動回路ユニットU1,U2の両者において、回路構成部品等を適宜入れ替えて適用したり、適宜省略または追加した構成であっても、実施例1,2と同様の作用効果を奏することとなる。
【符号の説明】
【0096】
1…支持基板
11…支持面
12…コネクタ
2…ゲート駆動回路基板
21,25…貫通孔
22…切欠溝部
23…被覆部材
26…一次巻線支持部
4…U字状部
41…突出一端側
42…突出他端側
4a…U字一端側部
4b…U字他端側部
EV…直流電源
KG…基板群
LD…負荷
P1…パルス電源
PT…パルストランス
SW1,SW2…スイッチ(第1,第2の素子群)
SG…素子群
T1…一次巻線
T2…二次巻線
Tg…一端側
Ts…他端側
U1,U2…ゲート駆動回路ユニット