(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
B23Q11/00 S
B23Q11/00 U
(21)【出願番号】P 2020153974
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000215523
【氏名又は名称】椿本メイフラン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127498
【氏名又は名称】長谷川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100158399
【氏名又は名称】山本 輝
(72)【発明者】
【氏名】堀 ▲隆▼一
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓司
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀和
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-164908(JP,U)
【文献】特開2002-086328(JP,A)
【文献】特開2003-094282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、
前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、
前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、を備え
、
前記移動体は、無端に形成された1対のチェーンであり、
前記掻取部材は、前記覆い面および前記背面を含む、前記1対のチェーンの間に配置された保持板を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
混濁クーラントの液面に進入する前記移動体の液面に対する第1傾斜角度が前記第1戻り領域における液面への進入前の前記移動体の液面に対する鋭角の第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する角度変更部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、
前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、
前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、
混濁クーラントの液面に進入する前記移動体の液面に対する第1傾斜角度が前記第1戻り領域における液面への進入前の前記移動体の液面に対する鋭角の第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する角度変更部材と、備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
前記角度変更部材は、混濁クーラントの液面が前記最高位置にあるときに、前記第1傾斜角度が前記第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する位置と、混濁クーラントの液面が前記最高位置よりも低下した規定の低下位置にあるときに、前記移動体を前記第2戻り領域から前記掻取領域に移行させる移行部の手前で、前記第1傾斜角度が前記第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する位置とに設けられていることを特徴とする請求項2
または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、
前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、
前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、を備え、
前記突出部の先端部が前記背面側に折り曲げられていることを特徴とす
る搬送装置。
【請求項6】
切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、
前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、
前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、を備え、
前記突出部は、前記突出部の両端部が前記突出部の中央部よりも前記掻取部材の進行方向の前側に位置するように形成されていることを特徴とす
る搬送装置。
【請求項7】
切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、
前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、
前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、を備え、
前記突出部は、混濁クーラントにおけるクーラントの比重よりも大きい比重を有し、混濁クーラントに進入するときに前記背面と第2角度を成し、前記掻取領域において前記掻取面によって切粉が掻き取られるときに前記背面と180°よりも大きい角度を成すように、前記掻取部材に回動可能に設けられていることを特徴とす
る搬送装置。
【請求項8】
前記背面と前記突出部とが成す角度は直角であることを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記背面と前記突出部とが成す角度は150°以下の鈍角であることを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記移動体を前記第2戻り領域から前記掻取領域に移行させる移行部の手前で、前記移動体の軌道を下り傾斜に変更する軌道変更部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工によって生じた切粉を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物の切削、研磨などの加工においては、加工によって生じた切粉を回収するためにコンベヤが用いられる。このようなコンベヤは、切粉を受け入れる位置から回収箱に落下させる高さまで、チェーンに取り付けられている掻き板(クリート)を移動させることによって切粉を搬送する。
【0003】
また、上記の加工においては、工作機械の加工具(刃物など)と被加工物との接触部分の摩擦抑制および冷却を目的として、潤滑剤を溶解した水溶液や、潤滑油などのクーラントが使用されることがある。使用済みのクーラントは、貯留槽に貯留され、切粉などを含んだ混濁クーラントとして工作機械から排出される。混濁クーラントは、濾過装置によって、切粉が除去されるとともに、再利用可能な程度まで濾過される。
【0004】
特許文献1には、コンベヤケース内を循環走行するコンベヤに設けられた掻き板によって、混濁クーラントが貯留するコンベヤケースの底面に堆積している切粉を捕捉して搬送する搬送装置が開示されている。
【0005】
工作機械からは、混濁クーラントが連続的にコンベヤケースに投入されるため、コンベヤケースでは混濁クーラントが撹拌される。このため、混濁クーラントには気泡が発生しやすくなる。切粉は、この気泡を抱えることで、より液面に浮きやすくなる。あるいは、切粉は、クーラントの表面張力によっても浮きやすくなる。しかしながら、上記の搬送装置では、混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉することができない。
【0006】
これに対し、特許文献2には、混濁クーラントを貯留する加工液タンクのダーティ槽の底面を略台形の山形形状に形成し、スクレーパ式チップコンベアのスクレーパを山形形状部に沿って移動させる装置を開示している。この装置では、山形形状部の底面に沈下した切粉および混濁クーラントの液面に浮遊している切粉を捕捉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3510610号
【文献】特開2008-68383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された装置では、山形形状部を有するために加工液タンクの構造が複雑になるという問題がある。
【0009】
本発明の一態様は、簡素な構造によりクーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送装置は、切粉を含む混濁クーラントを貯留するフレームと、前記フレームの底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、前記掻取面によって掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、前記覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、前記背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材と、前記掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域と、混濁クーラントの液面について規定された最高位置よりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域と、前記排出位置から前記最高位置に戻る第1戻り領域と、前記第1戻り領域と前記掻取領域との間の第2戻り領域とに前記掻取部材を移動させるとともに、前記隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で前記掻取部材を前記液面に対して進入させる移動体と、を備えている。
【0011】
上記の構成によれば、覆い面の背面および突出部が混濁クーラントに進入するとき、覆い面の背面および突出部が混濁クーラントの液面に覆い被さる。これにより、覆い面の背面および突出部が液面に浮遊する切粉を捕捉しながら、混濁クーラント内を進んでいくことにより、切粉を混濁クーラントにおいて沈下させる。このように沈下した切粉は、フレームの底面に堆積する。したがって、掻取部材によってフレームの底面に堆積した切粉を掻き取ることができる。また、液面に浮遊する切粉を捕捉するために、移動体の進路を大きく変更することがないので、搬送装置の構造の複雑化を避けることができる。
【0012】
前記搬送装置において、混濁クーラントの液面に進入する前記移動体の液面に対する第1傾斜角度が前記第1戻り領域における液面への進入前の前記移動体の液面に対する鋭角の第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する角度変更部材をさらに備えていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、第1傾斜角度が、一般に大きく設定される第2傾斜角度よりも小さいので、突出部の液面に対する角度を、移動体が液面に進入する前よりも進入するときに小さくすることができる。突出部の液面に対する角度が小さいほど、突出部に捕捉された切粉が逃げやすくなる。したがって、突出部に捕捉された切粉をより多く混濁クーラント内を沈下させることができる。
【0014】
前記搬送装置において、前記角度変更部材は、混濁クーラントの液面が前記最高位置にあるときに、前記第1傾斜角度が前記第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する位置と、混濁クーラントの液面が前記最高位置よりも低下した規定の低下位置にあるときに、前記移動体を前記第2戻り領域から前記掻取領域に移行させる移行部の手前で、前記第1傾斜角度が前記第2傾斜角度よりも小さくなるように前記移動体の傾斜角度を変更する位置とに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【0015】
上記の構成によれば、液面が最高位置にあるときでも、液面が低下した低下位置にあるときでも、移動体の傾斜角度を変更することができる。
【0016】
前記搬送装置において、前記背面と前記突出部とが成す角度は直角であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、背面および突出部は、混濁クーラントの液面に覆い被さるとき、適度に開いており、液面に浮遊している多くの切粉を捕捉することができる。
【0018】
前記搬送装置において、前記背面と前記突出部とが成す角度は150°以下の鈍角であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、背面および突出部は、混濁クーラントの液面に覆い被さるときの開度が、第2角度が直角である構成よりも大きいので、当該構成と比べて突出部が液面に対して傾斜する角度が大きくなる。これにより、第2角度が直角である構成と比べて、移動する掻取部材によって生じる混濁クーラントの流れに乗って突出部から逃げ出ようとする切粉が多くなる。しかしながら、突出部によってある程度の切粉を保持できるため、液面を浮遊する切粉を沈下させることができる。
【0020】
前記搬送装置において、前記突出部の先端部が前記背面側に折り曲げられていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、突出部の折り曲げられた先端部が、移動する掻取部材によって生じる混濁クーラントの流れに乗って突出部から出ようとする切粉の動きを阻止する。これにより、切粉をより確実に捕捉して沈下させることができる。
【0022】
前記搬送装置において、前記突出部は、前記突出部の両端部が前記突出部の中央部よりも前記掻取部材の進行方向の前側に位置するように形成されていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、突出部が混濁クーラントに進入して移動するときに、混濁クーラントが突出部の両端部から中央部に向けて流れるので、突出部に捕捉された切粉が突出部の中央部に集められる。これにより、突出部の両端部から出ようとする切粉を少なくすることができる。したがって、切粉をより確実に捕捉して沈下させることができる。
【0024】
前記搬送装置において、前記突出部は、混濁クーラントにおけるクーラントの比重よりも大きい比重を有し、混濁クーラントに進入するときに前記背面と第2角度を成し、前記掻取領域において前記掻取面によって切粉が掻き取られるときに前記背面と180°よりも大きい角度を成すように、前記掻取部材に回動可能に設けられていてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、突出部は、混濁クーラントに進入するときに、覆い面の背面とともに混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉する。また、掻取領域において掻取面によって切粉が掻き取られるときに、混濁クーラントに対する抵抗とならないように、突出部を掻取面の背後に移動させることができる。これにより、掻取領域において掻取部材を円滑に移動させることができる。
【0026】
前記搬送装置は、前記移動体を前記第2戻り領域から前記掻取領域に移行させる移行部の手前で、前記移動体の軌道を下り傾斜に変更する軌道変更部材をさらに備えていてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、混濁クーラントの液面が低下した状態で覆い面の背面および突出部が混濁クーラントに進入するとき、背面および突出部が混濁クーラントの液面に覆い被さる。この状態で、背面および突出部が液面に浮遊する切粉を捕捉しながら、混濁クーラント内を進んでいくことにより、切粉を混濁クーラントにおいて沈下させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、簡素な構造によりクーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切粉搬送装置を示す側面図である。
【
図3】上記切粉搬送装置におけるコンベヤの主要部を示す平面図である。
【
図5】上記コンベヤに設けられる掻取部材を示す側面図である。
【
図7】上記掻取部材が上記切粉搬送装置に貯留される混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉して沈下させる様子を示す図である。
【
図8】上記掻取部材が混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉して沈下させる他の様子を示す図である。
【
図9】上記コンベヤの従動スプロケット付近で上記掻取部材が混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉して沈下させる他の様子を示す図である。
【
図10】第1変形例に係る掻取部材を示す側面図である。
【
図11】
図10に示す掻取部材が混濁クーラントの液面に進入する様子を示す図である。
【
図12】第2変形例に係る掻取部材を示す側面図である。
【
図13】第2変形例に係る他の掻取部材を示す側面図である。
【
図14】
図12に示す掻取部材が混濁クーラントの液面に進入する様子を示す図である。
【
図15】第3変形例に係る掻取部材を示す側面図である。
【
図16】
図15に示す掻取部材が混濁クーラントの液面に進入する様子を示す図である。
【
図17】第4変形例に係る掻取部材を示す側面図である。
【
図18】第4変形例に係る他の掻取部材を示す側面図である。
【
図19】第4変形例に係るさらに他の掻取部材を示す側面図である。
【
図20】第5変形例に係る掻取部材を示す側面図である。
【
図21】
図20に示す掻取部材が混濁クーラントの液面に進入する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態について
図1~
図21に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0031】
実施形態1に係る切粉搬送装置100を示す側面図である。
図2は、
図1のA-A線矢視断面図である。
図3は、切粉搬送装置100におけるコンベヤ2の主要部を示す平面図である。4は、コンベヤの主要部を示す側面図である。
図5は、コンベヤ2に設けられる掻取部材9を示す側面図である。
図6は、掻取部材9を示す正面図である。
【0032】
図1に示すように、切粉搬送装置100(搬送装置)は、コンベヤフレーム1(フレーム)と、コンベヤ2と、濾過ドラム3と、ドラム支持機構4とを備えている。切粉搬送装置100は、コンベヤフレーム1に貯留された混濁クーラントに含まれ、コンベヤフレーム1の底面に堆積する切粉を掻き取って排出位置まで搬送して排出することにより、混濁クーラントから分離している。また、切粉搬送装置100は、濾過ドラム3がコンベヤフレーム1内に貯留された混濁クーラントを濾過して浄化することにより、再利用が可能な浄化クーラントを生成する。
【0033】
切粉搬送装置100は、図示しない浄化クーラント貯留槽内に設置されている。浄化クーラント貯留槽は、濾過ドラム3から排出された浄化クーラントを貯留するために設けられている。
【0034】
コンベヤフレーム1は、フレーム下部11と、フレーム上部12と、切粉排出部13とを有している。また、フレーム下部11およびフレーム上部12の側面は、コンベヤフレーム1の側部14を構成している。コンベヤフレーム1内には、コンベヤ2が移動可能に配置されるとともに、濾過ドラム3が回転可能に配置されている。
【0035】
フレーム下部11の一端側から所定の範囲には、上面にクーラント投入口11aが形成されている。クーラント投入口11aには、クーラント投入口11aの上方に配置された工作機械Mから排出された混濁クーラントが投入される。フレーム下部11は、全体に混濁クーラントを貯留する混濁クーラント貯留槽を形成している。
【0036】
フレーム上部12は、フレーム下部11の他端側から上方に延びる閉空間をなすように形成されている。フレーム上部12における側部には、濾過ドラム3の上方からコンベヤフレーム1の内部における濾過ドラム3の状態を監視するための監視窓12aが設けられている。
【0037】
切粉排出部13は、フレーム上部12の上端部分に設けられている。切粉排出部13は、コンベヤ2によって搬送されてきた切粉を排出するための排出口13aを有している。
【0038】
コンベヤ2は、一対のサイドチェーン5(移動体)と、駆動スプロケット6と、従動スプロケット7(移行部)と、駆動モータ8と、複数の掻取部材9と、複数の案内部材10を有している。
【0039】
サイドチェーン5は、フレーム下部11、フレーム上部12および切粉排出部13の内部に配置されている。サイドチェーン5は、無端に形成されており、駆動スプロケット6と従動スプロケット7との間に架け渡されており、駆動スプロケット6によって一定方向に移動するように駆動される。
【0040】
サイドチェーン5は、掻取部材9がフレーム下部11に堆積する切粉を掻き取って切粉排出部13が設けられた排出位置まで搬送するように、掻取部材9を移動させる。サイドチェーン5は、例えば、サイドチェーン5の移動経路が送り経路から戻り経路へと変わる駆動スプロケット6の排出位置において、サイドチェーン5によって搬送されてきた切粉が下方に落下する。サイドチェーン5による掻取部材9の移動については、後に詳しく説明する。
【0041】
駆動スプロケット6は、切粉排出部13内に配置されており、従動スプロケット7は、フレーム下部11におけるクーラント投入口11a側の端部の付近に配置されている。駆動モータ8は、駆動スプロケット6に連結されたモータであり、切粉排出部13の外側面に配置されている。
【0042】
濾過ドラム3は、フレーム下部11およびフレーム上部12に跨がる領域に配置されており、下側の一部がフレーム下部11に貯留された汚濁クーラントに浸漬する。濾過ドラム3は、図示しない一対の輪状部材を複数の棒状の連結部材で連結することにより形成された枠体の連結部材の周りにフィルタが隙間なく筒状に巻かれることによりドラム状に形成されている。フィルタ31は、切粉が付着しやすい不織布などを材料として構成されている。
【0043】
輪状部材の外周面には、コンベヤ2のサイドチェーン5に噛み合うスプロケット32が設けられている。濾過ドラム3は、スプロケット32がサイドチェーン5に噛み合うことにより、サイドチェーン5の移動に伴って回転駆動される。
【0044】
ドラム支持機構4は、濾過ドラム3をコンベヤフレーム1に回転可能となるように支持する機構である。ドラム支持機構4は、支持板41と、図示しない複数のローラとを有している。支持板41は、コンベヤフレーム1の側部に設けられたフレーム開口の周囲に取り付けられている。支持板41には、濾過ドラム3の内部に通じ、排出口41aが形成されている。排出口41aから、濾過ドラム3の内部に濾過された浄化クーラントが排出される。
【0045】
ローラは、支持板41に回転可能に取り付けられており、濾過ドラム3の輪状部材の内周面に当接することにより、濾過ドラム3を支持板41に対して回転可能に支持している。
【0046】
混濁クーラントの液面LFは、濾過ドラム3に対する最高位置LFhよりも高くならないように制御されている。最高位置LFhは、変動する液面LFについて規定されている。
【0047】
図3および
図4に示すように、サイドチェーン5は、ローラ51と、リンクプレート52および53とを有している。
【0048】
リンクプレート52は、隣接する2つのローラ51を連結するように当該2つのローラ51の両側に配置されている。リンクプレート53は、リンクプレート52によって連結された上記の2つのローラ51のうちの1つのローラ51と当該ローラ51に隣接する他のローラ51とを連結するように当該2つのローラ51の両側に配置されている。リンクプレート53は、リンクプレート52よりも外側にリンクプレート52と重なるように配置されている。
【0049】
ローラ51と、リンクプレート52および53とは、軸54によって連結されている。サイドチェーン5は、このようにして複数のローラ51がリンクプレート52および53によって連結されることで形成されている。また、サイドチェーン5は、駆動スプロケット6および従動スプロケット7に噛み合っている。これにより、サイドチェーン5は、駆動モータ8から駆動スプロケット6を介して伝達される駆動力を受けて動くことができる。
【0050】
図5および
図6に示すように、掻取部材9は、本体部91と、補助板92とを有している。本体部91は、1対のサイドチェーン5で対向するリンクプレート53の間の間隔よりもやや狭い幅を有する板状の部材であり、ほぼ中央部分でL字型に似た形状に所定の第1角度θ1で折り曲げられることによって形成されている。本体部91における折り曲げられた一方の板状部が掻き板911を形成し、本体部91における折り曲げられた他方の板状部が保持板912を形成している。これにより、保持板912は、掻き板911と所定の第1角度θ1を成すように配置される。ここで、第1角度θ1は90°(直角)である。
【0051】
掻き板911は、フレーム下部11の底面に堆積する切粉を掻取面911aで掻き取るように、フレーム下部11の下部を移動するときに、掻き板911の端面がフレーム下部11の底面とごく僅かな間隔をおくように移動する。保持板912は、上記のような本体部91の構造により、掻き板911と一体に形成されている。また、保持板912は、掻き板911によって掻き取られた切粉を覆い面912aで上方から覆うように保持する。
【0052】
補助板92は、長方形を成す板状に形成されており、掻取部材9の幅よりも狭い幅に形成されている。補助板92は、その一部が掻き板911の掻取面911aと反対側の背面911bに固定されるとともに、残りの部分が保持板912の覆い面912aと反対の背面912b側に面状に突出する突出部92aを有している。突出部92aは、背面912bと所定の第2角度θ2を成す隅部を形成している。ここで、第2角度θ2は90°(直角)である。第2角度θ2は、後述する変形例でも説明するように90°に限らず、30°~150°であればよい。
【0053】
なお、突出部92aは、掻き板911の背面911b側から突出するが、保持板912の背面912b上に固定されていてもよい。この構成では、突出部92aが掻き板911と保持板912との境界部に近い位置に固定されることが望ましい。
【0054】
補助板92は、
図6に示すように、掻取部材9の両端から少し間をおいた位置に配置されている。補助板92がこのように配置されるのは、掻取部材9が濾過ドラム3を経て駆動スプロケット6側に移動するときに、補助板92が、サイドチェーン5と噛み合う、濾過ドラム3のスプロケット32と干渉しないようにするためである。
【0055】
図2および
図3に示すように、掻取部材9は、1対のサイドチェーン5の間で対向するリンクプレート53に固定されている。具体的には、掻取部材9の保持板912の両端部が、上記のリンクプレート53から延設された固定板53aとボルト55の締結によってリンクプレート53に固定される。
図5および
図6に示すように、保持板912の両端部には、ボルト55を挿通させるための孔912cが設けられている。
【0056】
図1に示すように、サイドチェーン5は、掻取領域R1と、搬送領域R2と、第1戻り領域R3と、第2戻り領域R4とに掻取部材9を移動させる。掻取領域R1は、掻き板911によって切粉が掻き取られる領域である。搬送領域R2は、混濁クーラントの液面LFよりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する領域である。第1戻り領域R3は、排出位置から最高位置LFhに戻る領域である。第2戻り領域R4は、第1戻り領域R3と掻取領域R1との間の領域である。
【0057】
また、サイドチェーン5は、保持板912の背面912bと補助板92とが混濁クーラントの液面に対して傾斜するように進入させる。
【0058】
図1に示すように、案内部材10は、コンベヤフレーム1の規定の位置においてサイドチェーン5の上方および下方の少なくともいずれか一方に配置されることにより、サイドチェーン5の移動を案内するとともにサイドチェーン5の軌道を規定する。サイドチェーンは、コンベヤフレーム1の両方の側部に沿って配置されている。
【0059】
案内部材10は、
図2に示すように、コンベヤフレーム1の内壁面にボルト10aによって固定されている。案内部材10がサイドチェーン5の下方に設けられている場合、サイドチェーン5は、その案内部材10上を通過する。また、案内部材10がサイドチェーン5の上方および下方に設けられている場合、サイドチェーン5は、その案内部材10の間を通過する。
【0060】
特に、サイドチェーン5は、第1戻り領域R3と第2戻り領域R4との境界、すなわち混濁クーラントの液面LFの位置よりも少し手前の位置で、液面LFに対する角度が小さくなるように、その傾斜角度が案内部材10(角度変更部材)によって変更される。具体的には、混濁クーラントの液面LFに進入するサイドチェーン5の液面に対する傾斜角度φ1(第1傾斜角度,進入角度)は、第1戻り領域R3における液面LFへの進入前のサイドチェーン5の液面LFに対する鋭角の傾斜角度φ2(第2傾斜角度)よりも小さい(φ1<φ2)。例えば、傾斜角度φ2が47°であるのに対し、傾斜角度φ2が30°である。また、搬送領域R2におけるサイドチェーン5の傾斜角度は、傾斜角度φ4(例えば75°)である。
【0061】
なお、ここでは、液面LFが最高位置LFhにあるものとする。
【0062】
また、サイドチェーン5は、混濁クーラントの液面LFの位置よりも少し後の位置で、水平に移動するように案内部材10によって進路が変更される。
【0063】
ところで、従動スプロケット7は、従動スプロケット7の上端が、第2戻り領域R4においてサイドチェーン5が水平に移動する位置よりも低くなるように配置されている。このため、第2戻り領域R4において従動スプロケット7の直近に配置された案内部材10(軌道変更部材)は、サイドチェーン5を第2戻り領域R4から掻取領域R1に移行させる従動スプロケット7の手前で、サイドチェーン5の軌道を下り傾斜に変更する。これにより、上記の案内部材10から従動スプロケット7に至る範囲では、その案内部材10から従動スプロケット7にかけて下り傾斜となるようにサイドチェーン5が移動する。
【0064】
上記のように構成される切粉搬送装置100の動作について説明する。
【0065】
図7は、掻取部材9が切粉搬送装置100に貯留される混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉して沈下させる様子を示す図である。
図8は、掻取部材9が混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面LFに浮遊する切粉Cを捕捉して沈下させる他の様子を示す図である。
図9は、コンベヤ2の従動スプロケット7付近で掻取部材9が混濁クーラントに進入するときに混濁クーラントの液面LFに浮遊する切粉Cを捕捉して沈下させる他の様子を示す図である。
【0066】
まず、掻取部材9は、サイドチェーン5によって掻取領域R1に搬送されてくると、掻き板911によってフレーム下部11に堆積した切粉を移動しながら掻き取る。掻き掻取部材9は、掻き取った切粉を保持板912で保持しながら搬送領域R2を移動していき、切粉排出部13の排出口13aまで搬送する。
【0067】
掻取部材9は、下り傾斜の第1戻り領域R3を移動していくと、
図7に示すように、第1戻り領域R3の終端付近で、案内部材10によって、混濁クーラントの液面LFに対する傾斜角度φ2が、傾斜角度φ1より小さくなるように進路が変更される。掻取部材9は、この状態で液面LFに進入すると、液面LFに対して傾斜した、保持板912の背面912bと突出部92aとで形成される空間で切粉Cを捕捉する。
【0068】
フレーム下部11には、混濁クーラントが工作機械Mから連続的に投入される。このため、フレーム下部11では混濁クーラントが撹拌されことにより、混濁クーラントには気泡が発生しやすくなる。切粉は、気泡を抱えることで、より液面LFに浮きやすくなる。
【0069】
掻取部材9が、その状態で混濁クーラント内を進んでいき、案内部材10によって進路が水平に変更されると、掻取部材9に捕捉されていた切粉Cは、掻取部材9が混濁クーラント内を降下していく過程で、切粉Cから気泡が抜けていくので浮力が低下する。また、切粉Cは、それまで斜め下方に進んでいた慣性によって掻取部材9から離れる。これにより、切粉Cは、再び浮き上がることなく混濁クーラント内を沈下していく。
【0070】
ここで、掻取部材9が傾斜角度φ2で液面LFに進入することにより、補助板92の液面LFに対する傾斜角度が大きくなる。これにより、混濁クーラント内を進む補助板92に対して混濁クーラントが切粉Cを補助板92に押さえ付ける。したがって、掻取部材9から逃げる切粉Cを少なくして、できるだけ多くの切粉Cを沈下させることができる。
【0071】
なお、掻取部材9が傾斜角度φ1のまま液面LFに進入した場合、
図8に示すように、補助板92の液面LFに対する傾斜角度が
図7に示す状態と比べて小さくなる。この場合、混濁クーラント内を進む補助板92に対して後方へ混濁クーラントの流れが生じる。このため、掻取部材9に保持された切粉Cの多くが上記の流れによって補助板92から逃げてしまう。
【0072】
しかしながら、掻取部材9が液面LFに進入するときに、液面LFを浮遊する切粉Cは、掻き板911の掻取面911aによって捕捉される。そして、掻取部材9が混濁クーラント内を降下するのにしたがって、捕捉された切粉Cが保持板912の覆い面912aによって下方に導かれる。このように、掻取部材9が傾斜角度φ1のまま液面LFに進入した場合は、保持板912および補助板92による捕捉される切粉Cは少なくなるが、掻き板911および保持板912によって下方に導かれる切粉Cが多くなる。
【0073】
ところで、上述のように、混濁クーラントの液面LFは、最高位置を超えないように制御されている。しかしながら、投入される混濁クーラントの量が少なくなった場合、液面LFが低下することもある。この場合、第2戻り領域R4において、サイドチェーン5が液面LFの上を移動する。このため、掻取部材9は、第1戻り領域R3から液面LFに進入するときに、液面LFに浮遊する切粉Cを捕捉することができない。
【0074】
これに対し、
図9に示すように、サイドチェーン5を第2戻り領域R4から掻取領域R1に移行させる従動スプロケット7の手前で、サイドチェーン5の水平な軌道が、案内部材10によって当該軌道に対して傾斜角度φ3(第1傾斜角度)を成す下り傾斜に変更される。この傾斜角度φ3は、上述した傾斜角度φ4よりも小さい。これにより、混濁クーラントの液面が規定の低下位置LFfに低下した状態で保持板912および補助板92が混濁クーラントに進入するとき、保持板912の背面912bおよび突出部92aによって形成される隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる。それゆえ、掻き板91および補助板92が液面LFに浮遊する切粉Cを捕捉しながら、混濁クーラント内を進んでいく。したがって、
図7に示す場合と同様に、切粉Cを混濁クーラントにおいて沈下させることができる。
【0075】
続いて、掻取部材9の変形例について説明する。
【0076】
図10は、第1変形例に係る掻取部材9Aを示す側面図である。
図11は、
図10に示す掻取部材9Aが混濁クーラントの液面LFに進入する様子を示す図である。
図12は、第2変形例に係る掻取部材9Bを示す側面図である。
図13は、第2変形例に係る他の掻取部材9Cを示す側面図である。
図14は、掻取部材9Bが液面LFに進入する様子を示す図である。
図15は、第3変形例に係る掻取部材9Dを示す側面図である。
図16は、掻取部材9Dが液面LFに進入する様子を示す図である。
図17は、第4変形例に係る掻取部材9Eを示す側面図である。
図18は、第4変形例に係る他の掻取部材9Fを示す側面図である。
図19は、第4変形例に係るさらに他の掻取部材9Gを示す側面図である。
図20は、第5変形例に係る掻取部材9Hを示す側面図である。
図21は、掻取部材9Hが液面LFに進入する様子を示す図である。
【0077】
図10に示すように、第1変形例に係る掻取部材9Aは、本体部91Aと、補助板92Aとを有している。本体部91Aは、上述した掻取部材9と同じ狭い幅を有する板状の部材であり、ほぼ中央部分で所定の第1角度θ1で折り曲げられることによって形成されている。本体部91Aにおける折り曲げられた一方の板状部が掻き板911を形成し、本体部91Aにおける折り曲げられた他方の板状部が保持板912を形成している。ここで、第1角度θ1は鈍角である。
【0078】
補助板92Aは、長方形を成す板状に形成されており、掻取部材9の補助板92と同じ狭い幅に形成されている。補助板92Aは、掻き板911の背面911bに固定される部分と、保持板912の背面912b側に突出する突出部92Aaとが所定の第3角度θ3を成すように折り曲げられている。ここで、第3角度θ3は鈍角である。
【0079】
また、突出部92Aaは、背面912bと所定の第2角度θ2を成している。ここで、第2角度θ2は90°(直角)である。第1角度θ1および第3角度θ3は、第2角度θ2が直角になるように設定される。
【0080】
上記のように構成される掻取部材9Aは、
図11に示すように混濁クーラントの液面LFに進入するときに、掻取部材9と同じく、保持板912の背面912bと突出部92Aaとで切粉Cを捕捉することができる。
【0081】
図12に示すように、第2変形例に係る掻取部材9Bは、本体部91と、補助板92Bとを有している。補助板92Bは、掻き板911の背面911bに固定される部分と、保持板912の背面912b側に突出する突出部92Baとを有している。突出部92Baの先端部は、保持板912側に折り曲げられている。その折り曲げられた部分と、保持板912の背面912bとの成す第4角度θ4は、鋭角である。
【0082】
図13に示すように、第2変形例に係る他の掻取部材9Cは、本体部91と、補助板92Cとを有している。補助板92Cにおける突出部92Caの先端部は、保持板912の背面912bと平行になるように折り曲げられている。
【0083】
上記のように構成される掻取部材9Bは、
図14に示すように混濁クーラントの液面LFに進入するときに、掻取部材9と同じく、保持板912の背面912bと突出部92Baとで切粉Cを捕捉することができる。また、突出部92Baの折り曲げられた先端部が、移動する掻取部材9Bによって生じる混濁クーラントの流れに乗って突出部92Baから出ようとする切粉Cの動きを阻止する。これにより、切粉Cをより確実に捕捉して沈下させることができる。
【0084】
図15に示すように、第3変形例に係る掻取部材9Dは、本体部91Dと、補助板92Dとを有している。本体部91Dは、上述した掻取部材9と同じ狭い幅を有する板状の部材であり、ほぼ中央部分で所定の第1角度θ1で折り曲げられることによって形成されている。本体部91Dにおける折り曲げられた一方の板状部が掻き板911を形成し、本体部91Dにおける折り曲げられた他方の板状部が保持板912を形成している。ここで、第1角度θ1は鈍角である。
【0085】
補助板92Dは、長方形を成す板状に形成されており、掻取部材9の補助板92と同じ狭い幅に形成されている。補助板92Dは、掻き板911の背面911bに固定される部分と、保持板912の背面912b側に突出する突出部92Daが所定の第3角度θ3を成すように折り曲げられている。ここで、第3角度θ3は鈍角である。
【0086】
また、突出部92Daは、背面912bと所定の第2角度θ2を成している。ここで、第1角度θ1は150°以下の鈍角である。第1角度θ1および第3角度θ3は、第2角度θ2が上記の角度になるように設定される。
【0087】
上記のように構成される掻取部材9Dは、
図16に示すように、混濁クーラントの液面LFに進入するときに、掻取部材9と同じく、保持板912の背面912bと突出部92Daとで切粉Cを捕捉することができる。また、覆い面912aおよび突出部92Daは、混濁クーラントの液面LFに覆い被さるときの開度が、掻取部材9および9Aの第2角度θ2よりも大きいので、掻取部材9および9Aと比べて突出部92Daが液面LFに対して傾斜する角度が大きくなる。これにより、掻取部材9および9Aと比べて、移動する掻取部材9Dによって生じる混濁クーラントの流れに乗って突出部92Daから逃げ出ようとする切粉が多くなる。しかしながら、突出部92Daによってある程度の切粉Cを保持できるため、液面LFを浮遊する切粉Cを沈下させることができる。
【0088】
なお、上述した掻取部材9Bおよび9Cのそれぞれの補助板92Bおよび92Cの構成は、次の掻取部材9Dの補助板92Dにも適用することができる。
【0089】
図17に示すように、第4変形例に係る掻取部材9Dは、本体部91と、補助板92E(突出部)とを有している。
【0090】
補助板92Eは、保持板912の背面912b側に突出するように設けられている。補助板92Eは、保持板912の背面912bにおける掻き板911側の端縁に溶接によって背面912bと直角を成すように固定されている。補助板92Eは、平板部92Eaと、平板部92Eaの両端に設けられた折り曲げ部92Ebとを有している。平板部92Eaと、折り曲げ部92Ebとは角度αを成している。折り曲げ部92Ebは、補助板92Eの両端部が補助板92Eの中央部よりも掻取部材9Eの進行方向の前側に位置するように形成されている。
【0091】
図18に示すように、第4変形例に係る他の掻取部材9Fは、本体部91と、補助板92E(突出部)とを有している。
【0092】
補助板92Fは、保持板912の背面912b側に突出するように設けられている。補助板92Fは、保持板912の背面912bにおける掻き板911側の端縁に溶接によって背面912bと直角を成すように固定されている。補助板92Fは、補助板92Fの両端部が補助板92Fの中央部よりも掻取部材9Fの進行方向の前側に位置するように湾曲した板状に形成されている。
【0093】
図19に示すように、第4変形例に係るさらに他の掻取部材9Gは、本体部91と、補助板92G(突出部)とを有している。
【0094】
補助板92Gは、保持板912の背面912b側に突出するように設けられている。補助板92Gは、保持板912の背面912bにおける掻き板911側の端縁に溶接によって背面912bと直角を成すように固定されている。補助板92Gは、補助板92Fの両端部が補助板92Fの中央部よりも掻取部材9Fの進行方向の前側に位置するようにV字状を成す板状に形成されている。
【0095】
上記のように構成される掻取部材9E~9Gによれば、補助板92Eが混濁クーラントに進入して移動するときに、混濁クーラントがそれぞれ補助板92E~92Gの両端部から中央部に向けて流れる。これにより、補助板に捕捉された切粉が補助板の中央部に集められる。それゆえ、補助板92E~92Gの両端部から出ようとする切粉Cを少なくすることができる。したがって、切粉Cをより確実に捕捉して沈下させることができる。
【0096】
なお、上述した掻取部材9E~9Gのそれぞれの補助板92E~92Gの構成は、掻取部材9,9A~9Dのそれぞれの補助板92,92A~92Dにも適用することができる。
【0097】
図20に示すように、第5変形例に係る掻取部材9Hは、本体部91と、補助板92Hとを有している。
【0098】
補助板92Hは、固定部92Haと、回動部92Hb(突出部)とを有している。固定部92Haは、掻き板911の背面911bに固定される板状の部分である。回動部92Hbは、保持板912の背面912b側に突出するように設けられている。回動部92Hbは、混濁クーラントにおけるクーラントの比重よりも大きい比重を有している。固定部92Haおよび回動部92Hbは、蝶番の構造を成している。
【0099】
回動部92Hbは、
図20において二点鎖線で示すように、混濁クーラントに進入するときに、保持板912の背面912bと第2角度θ2を成す。また、回動部92Hbは、掻取領域R1において掻き板911によって切粉Cが掻き取られるときに、
図20において実線にて示すように、保持板912の背面912bと、180°より大きく、かつ270°より小さい第5角度θ5を成す。回動部92Hbは、背面912bと第2角度θ2から第5角度θ5の範囲で固定部92Haに対して回動可能となるように設けられている。
【0100】
上記の掻取部材9Hによれば、
図21に示すように、補助板92Hは、混濁クーラントに進入すると、自重により下方に垂れ下がる姿勢(背面912bとの成す角度が第2角度θ2となる状態)とる。これにより、補助板92Hは、保持板912とともに混濁クーラントの液面LFに浮遊する切粉を捕捉する。
【0101】
また、補助板92Hは、掻取領域R1において掻き板911によって切粉Cが掻き取られるときに、移動する掻取部材9Hに対する混濁クーラントの流れに押される。これにより、
図20の実線にて示すように、混濁クーラントに対する抵抗とならないように、補助板92Hを掻き板911の背後に移動させることができる。これにより、掻取領域R1において掻取部材9Hを円滑に移動させることができる。
【0102】
なお、上述した掻取部材9Hの補助板92Hの構成は、掻取部材9,9A~9Gのそれぞれの補助板92,92A~92Gにも適用することができる。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 コンベヤフレーム(フレーム)
5 サイドチェーン(移動体)
7 従動スプロケット(移行部)
9,9A~9H 掻取部材
10 案内部材(角度変更部材,軌道変更部材)
92,92A~92H 補助板
92E~92G 突出部
92Hb 可動部(突出部)
100 切粉搬送装置(搬送装置)
911a 掻取面
912a 覆い面
912b 背面
C 切粉
LF 液面
LFh 最高位置
LFf 低下位置
R1 掻取領域
R2 搬送領域
R3 第1戻り領域
R4 第2戻り領域
φ1 傾斜角度(第1傾斜角度)
φ2 傾斜角度(第2傾斜角度)
φ3 傾斜角度(第1傾斜角度)
【要約】 (修正有)
【課題】簡素な構造によりクーラントの液面に浮遊する切粉を捕捉し沈下させる。
【解決手段】切粉搬送装置100は、混濁クーラントを貯留するコンベヤフレーム1と、コンベヤフレーム1の底面に堆積する切粉を掻き取る掻取面と、掻き取られた切粉を上方から覆う覆い面と、覆い面の背面側に面状に突出するように設けられ、背面との間に隅部を形成する突出部とを有する掻取部材9と、掻取面によって切粉が掻き取られる掻取領域R1と、混濁クーラントの液面の最高位置LFhよりも高い排出位置まで掻き取られた切粉を搬送する搬送領域R2と、排出位置から最高位置LFhに戻る第1戻り領域R3と、第1戻り領域R3と掻取領域R1との間の第2戻り領域R4とに掻取部材9を移動させるとともに、隅部が混濁クーラントの液面に覆い被さる状態で掻取部材9を液面に対して進入させる移動体5とを備える。
【選択図】
図1