(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 17/14 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
F26B17/14 L
F26B17/14 G
(21)【出願番号】P 2020209311
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2021-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 悟
(72)【発明者】
【氏名】今戸 健太郎
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-231383(JP,A)
【文献】特開2006-168912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、
前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、
前記送風箱には、前記送風箱内部に空気を送風する送風機を設け、
前記多孔壁面には、前記送風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し
、
乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に前記下部スクリューコンベアに残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、
前記排風機と前記送風箱とを連通管にて連通し、前記排風機と前記連通管との接続部にダンパを設け、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、
前記多孔壁面には、前記
排風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し、
乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項3】
前記制御部は、今回張込む穀物の品種銘柄と前回張り込んだ穀物の品種銘柄が相違する場合、
穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃を行うように構成した、請求項1又は2に記載の穀物乾燥機。
【請求項4】
前記接続樋は、仕切り板で上下に仕切ってその上部を穀物搬送室に、その下部を送風室にそれぞれ形成し、前記仕切り板は、前記バケットエレベータ側に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットに形成し、前記穀物搬送室は、前記バケットエレベータ側に穀物を移送するよう前記バケットエレベータと連通する一方、前記送風室は、前記バケットエレベータ底部に向けて噴風するよう前記バケットエレベータと連通し、さらに、前記送風機からの風が送給されるよう、前記送風箱と、前記送風室とを連通したことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれかに記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀物乾燥機に係り、特に、残留穀物の排出機構を備えた穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穀物乾燥機においては、乾燥運転終了後に乾燥機内部に残留する穀粒や塵埃を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えたものが特許文献1等で周知である。この自動清掃運転により機内の残留穀物が除去されることにより、同じ籾米であっても品種銘柄が異なる原料穀物を続けて乾燥する場合に、異なる品種銘柄どうしが混じり合うことがないという利点がある。
【0003】
しかしながら、次回乾燥する穀物が前回と同一品種であったり、前回と同一圃場から収穫した穀物である場合にまでも、乾燥終了ごとに清掃することは必ずしも必要とされず、その場合はむしろ、乾燥作業の遅延を招くおそれがある。また、前記自動清掃運転は、排風ファンによって比較的軽微な塵埃は除去できるが、スクリューコンベアやバケットエレベータ等の底部に残留する穀粒は完全には排出できず、より完璧を期すためには、人手によりエアーガンや箒(ほうき)で機体内部の残留穀粒を排出する必要があった(特許文献1の[0038]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題点にかんがみ、機体内部の下部スクリューに残留する穀物の排出機構を備えた穀物乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の穀物乾燥機は、
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、
前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、前記送風箱には、前記送風箱内部に空気を送風する送風機を設け、前記多孔壁面には、前記送風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し、乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に前記下部スクリューコンベアに残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の穀物乾燥機は、
穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、
前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、前記排風機と前記送風箱とを連通管にて連通し、前記排風機と前記連通管との接続部にダンパを設け、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、前記多孔壁面には、前記排風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し、
乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたことを特徴とする。
【0008】
前記制御部は、今回張込む穀物の品種銘柄と前回張り込んだ穀物の品種銘柄が相違する場合、穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃を行うように構成したことを特徴とする。
また、前記接続樋は、仕切り板で上下に仕切ってその上部を穀物搬送室に、その下部を送風室にそれぞれ形成し、前記仕切り板は、前記バケットエレベータ側に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットに形成し、前記穀物搬送室は、前記バケットエレベータ側に穀物を移送するよう前記バケットエレベータと連通する一方、前記送風室は、前記バケットエレベータ底部に向けて噴風するよう前記バケットエレベータと連通し、さらに、前記送風機からの風が送給されるよう、前記送風箱と、前記送風室とを連通したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の穀物乾燥機は、穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、前記送風箱には、前記送風箱内部に空気を送風する送風機を設け、前記多孔壁面には、前記送風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し、乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に前記下部スクリューコンベアに残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたので、人手を介することなく、機体内部の下部スクリューに残留する穀物を排出することができる。
【0010】
本発明の穀物乾燥機は、穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設け、前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、前記排風機と前記送風箱とを連通管にて連通し、前記排風機と前記連通管との接続部にダンパを設け、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、前記多孔壁面には、前記排風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成し、乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に、前記ダンパにより前記排風機の送風を前記下部スクリューコンベアの清掃に使用し、機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備えた制御部を設けたので、人手を介することなく、機体内部の下部スクリューに残留する穀物を排出することができる。
【0011】
前記制御部は、今回張込む穀物の品種銘柄と前回張り込んだ穀物の品種銘柄が相違する場合、穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃を行うように構成したので、前回張込んだ穀物が、今回張込む穀物と混合することを防止することができる。
また、前記接続樋は、仕切り板で上下に仕切ってその上部を穀物搬送室に、その下部を送風室にそれぞれ形成し、前記仕切り板は、前記バケットエレベータ側に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットに形成し、前記穀物搬送室は、前記バケットエレベータ側に穀物を移送するよう前記バケットエレベータと連通する一方、前記送風室は、前記バケットエレベータ底部に向けて噴風するよう前記バケットエレベータと連通し、さらに、前記送風機からの風が送給されるよう、前記送風箱と、前記送風室とを連通したので、接続樋に残留する穀物を昇降機に搬送することができる。また、昇降機の底部に残留する穀物を噴風により巻き上げ、稼働中のバケットに回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施態様における穀物乾燥機の全体斜視図である。
【
図4】穀物の品位銘柄を登録する一例の説明図である。
【
図5】下部スクリューコンベアの正面断面図である。
【
図6】コンベアケース底面を上方から見た平面図である。
【
図8】下部スクリューコンベアの搬送終端部とバケットエレベータの供給口とを連絡する接続樋の断面図である。
【
図9】排風機と送風箱とを連通管にて接続した穀物乾燥機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施態様における穀物乾燥機の全体の斜視図を示す。
図2は
図1の穀物乾燥機の正面断面図を示す。
本発明の実施態様における穀物乾燥機1は、下部の穀物乾燥部3と該穀物乾燥部3に上載する穀物貯留部2からなり、前記穀物乾燥部3内部には中央部に、前後方向にわたって熱風室4が形成され、該熱風室4の両側には該熱風室4を挟んで一対の排風室5を設け、これら熱風室4と排風室5の間に、その上部を前記穀物貯留部2と接続する一対の穀物乾燥室6を形成する。前記熱風室4の前端面は熱風発生装置としてのバーナ(図示せず)に接続され、前記バーナによって生成される熱風が前記熱風室4内に供給される。前記穀物乾燥室6は多孔壁(スクリーン)によって形成され、前記熱風室4内の熱風が前記穀物乾燥室6を通過して前記排風室5内に流入し、後述する排風機36によって機外へ排風されるよう構成される。
【0014】
前記穀物乾燥部3の前面壁には前記バーナを内蔵するバーナボックス8を配設する一方、前記穀物乾燥部3の背壁面には前記排風室5の後端面の一対の排風口14を覆うようにファンボックス15を設け、該ファンボックス15の中央部には排風機36(
図9)を取り付ける。また、前記バーナボックス8内には、制御部を内蔵するコントロールボックス(図示せず)を収納し、その前面側のカバー体8aには前記コントロールボックスと電気的に接続された液晶タッチパネル等からなる操作部7が設けられる。
【0015】
前記バーナボックス8の一側に近接してバケットエレベータ9を立設する。該バケットエレベータ9は、前記穀物乾燥室6を通過した穀物を前記穀物貯留部2内に揚穀するものである。
前記穀物乾燥室6の下端部には該穀物乾燥室6内の穀物を順次流下させるために間歇駆動するロータリーバルブ11が横設され、前記穀物乾燥部3の底部には前記ロータリーバルブ11から落下する穀物を受ける集穀ホッパ12を設け、該集穀ホッパ12の中央部には下部スクリューコンベア13を横設する。該下部スクリューコンベア13の搬送終端部と前記バケットエレベータ9の供給口との間にはこれらを連絡する接続樋10を設ける。
【0016】
前記バケットエレベータ9の上部には該バケットエレベータ9を駆動するためのモータ9aを設けるとともに、その吐出部は、切換弁(図示せず)の切換えによって、前記穀物貯留部2の天板部に横設する上部スクリューコンベア19、又は機外への排出部(図示せず)に接続される。該上部スクリューコンベア19の搬送終端部には穀物を前記穀物貯留部2内に均等に投入するための回転分散盤16が回転可能に垂設される。
【0017】
図3は操作部の初期画面の一例の説明図を示す。
図4は穀物の品位銘柄を登録する一例の説明図を示す。
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、あらかじめ乾燥させる穀物の品種銘柄を記憶して登録する登録部を備える。
乾燥機の運転停止中、
図3に示すように、前記操作部7においてタッチパネル7aの初期画面に表示される「張込」ボタン22を選択すると、前記タッチパネル7aには、
図4の左列に示すように「穀物種類設定」画面が表示される。
【0018】
次に、「穀物種類設定」画面において「もみ」を選択すると、前記タッチパネル7aには「品種銘柄選択」画面が常時される。ここでは、初期設定のため「品種銘柄選択」画面の各欄は空白となっている。
【0019】
そして、「品種銘柄登録」画面に進み、「もみ」の品種銘柄を登録する。ここでは、前記タッチパネル7aで「コシヒカリ」と入力した後に「登録」ボタンを選択し、前記登録部に「もみ」の品種銘柄「コシヒカリ」を登録する。
その後、前記タッチパネル7aに表示された「品種銘柄選択」画面には、前記登録部に登録された「もみ」の品種銘柄が表示される。ここでは前記登録部に登録済の「もみ」の品種銘柄が2件表示されている。
【0020】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、インターネット等により監視可能な仕様とし、インターネット等の通信手段を通じて携帯端末等により遠隔地から前記穀物の品種銘柄を登録することもできる。
前記携帯端末等により穀物の品種銘柄を登録する場合、
図4の右列に示すように、例えば複数の乾燥機毎に前記品種銘柄を登録することができる。
まず、携帯端末等の操作画面に表示された「乾燥機選択」の画面において、穀物の品種銘柄を登録する乾燥機を選択する。ここでは「1号機」を選択する。
【0021】
前記「乾燥機選択」画面において「1号機」を選択すると、次に、「品種銘柄選択」画面が表示される。ここでは、初期設定のため「品種銘柄選択」画面の各欄は空白となっている。
そして、「品種銘柄入力」画面に進み、穀物の品種銘柄を登録する。ここでは「もみ」の品種銘柄を選択することとして「コシヒカリ」と入力し、「入力完了」ボタンを選択して前記通信手段を通じて前記穀物乾燥機の「1号機」に送信し、前記「1号機」の登録部に「もみ」の品種銘柄を登録する。
【0022】
なお、ここでは「穀物種類設定」画面は省略したが、「穀物種類設定」画面において穀物の種類を選択することができる。また、前記通信手段を通じて各穀物乾燥機の登録部に穀物の品種銘柄を登録した後は、前記「品種銘柄選択」画面には前記登録部に登録済の品種銘柄が表示される。
【0023】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、前記制御部に乾燥後の穀物の機外への排出作業終了後に機内に残留する穀物を機外へ排出する自動清掃運転モードを備える。
また、前記穀物乾燥機1は、張込む穀物の品種銘柄を入力設定する入力設定部と、前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する比較部を備える。
【0024】
作業者は、穀物の張込み運転に先立ち、
図3に示すタッチパネル7aの初期画面に表示される「張込」ボタン22を選択し、前記穀物乾燥機1に今回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定する。その際、あらかじめ前記登録部に登録されているものであれば、前記タッチパネル7aに表示される前記「品種銘柄選択」画面から選択して前記入力設定部に入力設定することができる。また、前記登録部に登録されていなければ、前記「品種銘柄登録」画面から新たに品種銘柄を入力することで前記入力設定部に入力設定することができる。前記「品種銘柄登録」画面から新たに入力した品種銘柄は前記登録部に選択的に登録できることとし、登録した場合には前記「品種銘柄選択」画面から選択して前記入力設定部に入力設定することとしてもよい。
【0025】
乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した後は、前記比較部は前記入力設定部に今回入力設定した品種銘柄と前回入力設定した品種銘柄とを比較する。そして、前記比較部での比較の結果、これら両品種銘柄が相違する場合、前記制御部は、穀物の張込運転前に前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行う。
【0026】
本発明の実施形態における穀物乾燥機1は、乾燥させる穀物の品種銘柄が切り替わるタイミングで自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うので、毎回、清掃する場合に比して乾燥作業効率を低下させずに異品種銘柄どうしの混入事故を防ぐことができる。
【0027】
また、乾燥機に張込む穀物の品種銘柄の前記入力設定部への入力設定を、前記登録部にあらかじめ登録された複数の品種銘柄から選択して行うこともできるので、タッチパネル7a等によって入力する手間が省けるとともに入力ミスも防げる。
【0028】
さらに、インターネット等により監視可能な仕様とし、インターネット等の通信手段を通じて携帯端末等により前記操作部7にアクセルできることとした場合、乾燥機に張込む穀物の品種銘柄を遠隔地から前記入力設定部に入力設定することが可能となり利便性が向上する。
【0029】
携帯端末等により前記操作部7にアクセスできることとした場合には、ユーザーは、穀物の品種銘柄に加え、GPS情報、刈り取り予定日時等を含む圃場データを乾燥機に登録可能とすることもできる。また、刈り取り時や刈り取った穀物を輸送するタイミングで、張込み先の乾燥機を選択し張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定することもできる。
【0030】
なお、前記携帯端末等により前記穀物乾燥機1の排出運転中のタイミングで次回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した場合には、前記比較部は、現在乾燥機から排出中の穀物であって前記入力設定部に前回入力した品種銘柄と比較し、これら両品種銘柄が相違する場合には、例えば自動水分計による穀物測定数が所定数以下(例えば4分間で5粒以下)となったとき、乾燥後の穀物の排出が完了したものと判断して前記自動清掃運転モードによる自動清掃運転を行うものとすることができる。
【0031】
また、前記携帯端末等により前記穀物乾燥機1の乾燥運転中のタイミングで次回張込む穀物の品種銘柄を前記入力設定部に入力設定した場合には、前記比較部は、現在乾燥機で乾燥中の穀物であって前記入力設定部に前回入力設定した品種銘柄と比較し、これら両品種銘柄が相違する場合には、例えば自動水分計により穀物の乾燥を検知して排出運転に移行した後は、上記と同様に、例えば自動水分計による穀物測定数が所定以下(例えば4分間で5粒以下)となったとき、乾燥後の穀物の排出が完了したものと判断して前記自動清掃運転を行うものとすることができる。
【0032】
穀物乾燥機の下部スクリューに残留する穀物の排出機構について、
図5~
図8に基づいて説明する。
前記下部スクリューコンベア13のコンベアケース31において(
図5参照)、コンベアケース底面32を多孔壁面に形成し、前記コンベアケース31下方に前記多孔壁面を上面に有する送風箱33を設けるとともに、前記送風箱33の内部に送風する送風機(図示せず)を設ける。ここでは(
図5参照)、側方から前記送風箱33にエアを送風する例を示している。前記多孔壁面は、前記送風機による送風が前記下部スクリューコンベア13の搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリット34aを形成する(
図7参照)。
【0033】
図5、
図8、
図9に示すように、接続樋10は、仕切り板39で上下に仕切ってその上部を穀物搬送室40に、その下部を送風室41にそれぞれ形成する。仕切り板39には、バケットエレベータ9側に噴風する指向性を有する傾斜スリット34bを形成する。前記穀物搬送室40は、前記バケットエレベータ9側に穀物を移送するよう前記バケットエレベータ9と連通する一方、前記送風室41は、前記バケットエレベータ9底部に向けて噴風するよう前記バケットエレベータ9と連通する。前記送風室41と前記バケットエレベータ9との接続部35は、水平スリットに形成することが好ましい。前記送風機の送風により、バケットエレベータ9底部の穀粒がエアにより吹き上げられる。吹き上げられた穀粒は、バケットエレベータ9のバケット9bにて回収し、機外へ排出できる。
【0034】
前記各傾斜スリット34a、34bは、その開口部の面積を規定することにより、噴風量を決定することができる。例として、前記傾斜スリット34bの開口部の面積は、前記傾斜スリット34aの開口部の面積より大きくすることで、前記傾斜スリット34bからの噴風量が多くなる。これにより、多くの穀粒をバケットエレベータ9内に搬送できる。
【0035】
図9は排風機36と排風箱33を連通管37にて接続した際の穀物乾燥機の断面図である。また、
図10は排風機36の正面断面図である。前記排風機36と前記送風箱33とを連通管37にて連通し、前記排風機36と前記連通管37の接続部にダンパ38を設けることで、前記排風機36の送風を前記下部スクリューコンベア13の清掃に使用できる。この場合、送風機を別途用意する必要がないので、コストダウンを図ることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更することができる。例えば、送風機の接続位置は送風箱に限定されるものではなく、バケットエレベータ側に向けて噴風するように、送風室に接続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、機体内部の下部スクリューに残留する穀物の排出機構を備えた穀物乾燥機を提供するものであり、極めて有用である。
【符号の説明】
【0038】
符号
1 穀物乾燥機
2 穀物貯留部
3 穀物乾燥部
4 熱風室
5 排風室
6 穀物乾燥室
7 操作部
7a タッチパネル
8 バーナボックス
8a カバー体
9 バケットエレベータ
9a モータ
9b バケット
10 接続樋
11 ロータリーバルブ
12 集穀ホッパ
13 下部スクリューコンベア
14 排風口
15 ファンボックス
16 回転分散盤
19 上部スクリューコンベア
22 「張込」ボタン
31 コンベアケース
32 コンベアケース底面
33 送風箱
34a 傾斜スリット
34b 傾斜スリット
35 接続部
36 排風機
37 連接管
38 ダンパ
39 仕切り板
40 穀物搬送室
41 送風室
【要約】
【課題】機体内部の下部スクリューに残留する穀物の排出機構を備えた穀物乾燥機を提供する。
【解決手段】穀物乾燥部に上載して穀物貯留部を設け、前記穀物乾燥部の底部に横設する下部スクリューコンベアと前記穀物貯留部の上部に横設する上部スクリューコンベアとを連絡するバケットエレベータを立設し、前記穀物乾燥部を通過した排風を機外へ排出する排風機を備え、前記下部スクリューコンベアと前記バケットエレベータの下部とを接続する接続樋を設けた穀物乾燥機において、前記下部スクリューコンベアのコンベアケース底面を多孔壁面に形成するとともに、前記コンベアケース下方に送風箱を設け、前記送風箱には、前記送風箱内部に空気を送風する送風機を設け、さらに、前記多孔壁面には、前記送風機による送風が前記下部スクリューコンベアの搬送方向に向けて噴風されるよう指向性を有する傾斜スリットを形成したことを特徴とする。
【選択図】
図1