(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】搬送仕分け装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
B65G47/46 A
(21)【出願番号】P 2021000724
(22)【出願日】2021-01-06
(62)【分割の表示】P 2018086869の分割
【原出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 義彦
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-193811(JP,A)
【文献】特開昭59-114214(JP,A)
【文献】特開昭48-002558(JP,A)
【文献】実開昭48-078591(JP,U)
【文献】特開平10-087060(JP,A)
【文献】特開2010-158645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に並設された複数の傾動コンベヤユニットを備え、各傾動コンベヤユニットは、水平搬送姿勢と、被搬送物を被搬送物搬送方向に対し側方へ重力で排出するための傾斜姿勢との間で、被搬送物搬送方向と平行な支軸の周りで揺動可能に支持され、各傾動コンベヤユニットが備える被搬送物の搬送用コンベヤを駆動するコンベヤ駆動用モーターと、各傾動コンベヤユニットを前記水平搬送姿勢と傾斜姿勢とに切り換える傾動用モーターとを備えた搬送仕分け装置において、
前記支軸は、複数の傾動コンベヤユニットを含む領域全体にわたる長さの1本の連動伝動軸によって構成され、前記領域内の全ての傾動コンベヤユニットの前記搬送用コンベヤは、前記連動伝動軸に連動連結され、前記コンベヤ駆動用モーターは、前記領域に対して1台が設置され、この1台のコンベヤ駆動用モーターが、前記領域内の全ての傾動コンベヤユニットの前記搬送用コンベヤを、前記連動伝動軸を介して駆動するように構成された、搬送仕分け装置。
【請求項2】
各傾動コンベヤユニットには、前記搬送用コンベヤと連動連結する1本の駆動軸が、被搬送物搬送方向と平行な向きで前記連動伝動軸の上側に配設され、この1本の駆動軸と前記連動伝動軸とは巻掛け伝動手段によって連動連結され
た、請求項1に記載の搬送仕分け装置。
【請求項3】
各傾動コンベヤユニットには、この傾動コンベヤユニットを前記連動伝動軸の周りで揺動可能に支持するための軸受けが取り付けられ、この軸受けに隣接する位置で前記連動伝動軸に相対回転可能に嵌合する受動用回転体が当該軸受けに固着され、各傾動コンベヤユニットに対応して配置された前記傾動用モーターの出力軸の回転力が、当該出力軸に取り付けられた伝動用回転体と前記受動用回転体との間に掛張された巻掛け伝動具を介して傾動コンベヤユニットに伝達されるように構成された、請求項1又は2に記載の搬送仕分け装置。
【請求項4】
複数の傾動コンベヤユニットは、隣接する2台の傾動コンベヤユニットを1つの組立体として複数の組立体に分割され、各組立体内では、両端部が軸受けを介して支承された1本の前記支軸が2台の傾動コンベヤユニットを支持し、隣接する2つの組立体間において前記支軸同士が継ぎ手によって連動連結されて前記連動伝動軸が構成され、1台のコンベヤ駆動用モーターは、一端に位置する組立体の外側に配置され、各組立体内の2台の傾動コンベヤユニットを駆動する2台の前記傾動用モーターは、平面視において前記連動伝動軸の左右両側で前記伝動用回転体が前後逆向きとなるように設置されている、請求項3に記載の搬送仕分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物の搬送経路上に設定された仕分け位置において、被搬送物を側方へ重力で滑動させて仕分けることの出来る搬送仕分け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような搬送仕分け装置としては、特許文献1に記載されるように、搬送方向に並設された複数の傾動コンベヤユニットを備え、各傾動コンベヤユニットは、水平搬送姿勢と、被搬送物を被搬送物搬送方向に対し側方へ重力で排出するための傾斜姿勢との間で、被搬送物搬送方向と平行な支軸の周りで揺動可能に支持され、各傾動コンベヤユニットが備える被搬送物搬送用コンベヤを駆動するコンベヤ駆動用モーターと、各傾動コンベヤユニットを前記水平搬送姿勢と傾斜姿勢とに切り換える傾動用モーターとを備えた被搬送物搬送仕分け装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、各傾動コンベヤユニットを水平搬送姿勢と傾斜姿勢とに切り換えるための手段として、搬送方向に平行な軸線を中心に各傾動コンベヤユニットを傾斜させる傾斜アクチュエーターが設けられていることと、各傾動コンベヤユニットに設けられた被搬送物の搬送用摩擦ベルトが、傾動コンベヤユニット(傾斜構成部材)に取り付けられた電気モーターによって駆動されることが記載されている。換言すれば、水平搬送姿勢と傾斜姿勢との間で揺動せしめられる全ての傾動コンベヤユニットに、当該傾動コンベヤユニットが備える搬送用コンベヤを駆動するコンベヤ駆動用モーターが取り付けられる構成が記載されている。この構成では、傾動コンベヤユニットの台数と同じ数のコンベヤ駆動用モーターが必要であるばかりでなく、揺動運動する傾動コンベヤユニットに取り付けられているコンベヤ駆動用モーターに対する給電系に、傾動コンベヤユニットの揺動運動を阻害しない長さの可撓性のある給電線や、これに代わる手段、例えば傾動コンベヤユニットの揺動軸心と同心状の円弧形通電レールとこれに摺接する給電子などが必要になり、非常にコスト高になる問題点が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる搬送仕分け装置を提案するものであって、本発明に係る搬送仕分け装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、搬送方向に並設された複数の傾動コンベヤユニット(10,11)を備え、各傾動コンベヤユニット(10,11)は、水平搬送姿勢と、被搬送物を被搬送物搬送方向に対し側方へ重力で排出するための傾斜姿勢との間で、被搬送物搬送方向と平行な支軸(7)の周りで揺動可能に支持され、各傾動コンベヤユニット(10,11)が備える被搬送物の搬送用コンベヤ(24a,24b)を駆動するコンベヤ駆動用モーター(20)と、各傾動コンベヤユニット(10,11)を前記水平搬送姿勢と傾斜姿勢とに切り換える傾動用モーター(12,13)とを備えた被搬送物搬送仕分け装置において、前記支軸(7)は、複数の傾動コンベヤユニット(10,11)を含む領域(組立体1A~1Eから成る領域)の全体にわたる長さの1本の連動伝動軸(19)によって構成され、前記領域内の全ての傾動コンベヤユニット(10,11)の前記搬送用コンベヤ(24a,24b)は、前記連動伝動軸(19)に連動連結され、前記コンベヤ駆動用モーター(20)は、前記領域に対して1台が設置され、この1台のコンベヤ駆動用モーター(20)が、前記領域内の全ての傾動コンベヤユニット(10,11)の前記搬送用コンベヤ(24a,24b)を、前記連動伝動軸(19)を介して駆動する構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、複数の傾動コンベヤユニットそれぞれが備える被搬送物の搬送用コンベヤを1台のコンベヤ駆動用モーターによって駆動することが出来ることと、各傾動コンベヤユニットを揺動可能に支持する支軸を、各傾動コンベヤユニットの搬送用コンベヤに対する伝動系に必要な伝動軸に兼用させているので、大幅な設備コストの低減を図ることが出来る。又、従来のように、各傾動コンベヤユニットの搬送用コンベヤを駆動するコンベヤ駆動用モーターが、揺動運動する傾動コンベヤユニットに取り付けられていた場合のように、当該コンベヤ駆動用モーターへの給電系に、傾動コンベヤユニットの揺動運動を阻害しない長さの可撓性のある給電線や、これに代わる円弧形通電レールとこれに摺接する給電子から成る給電手段も不要であるから、給電系のコストダウンも図れると共に、給電系の故障などが生じる恐れも殆んど無くなる。
【0007】
上記本発明を実施する場合、具体的には、各傾動コンベヤユニット(10,11)には、前記搬送用コンベヤ(24a,24b)と連動連結する1本の駆動軸(32)を、被搬送物搬送方向と平行な向きで前記連動伝動軸(19)の上側に配設し、この1本の駆動軸(32)と前記連動伝動軸(19)とは巻掛け伝動手段(33)によって連動連結することが出来る。又、各傾動コンベヤユニット(10,11)には、この傾動コンベヤユニット(10,11)を前記連動伝動軸(19)の周りで揺動可能に支持するための軸受け(8a~9b)を取り付け、この軸受け(8a,9b)に隣接する位置で前記連動伝動軸(19)に相対回転可能に嵌合する受動用回転体(38b,39b)を当該軸受け(8a,9b)に固着し、各傾動コンベヤユニット(10,11)に対応して配置された前記傾動用モーター(12,13)の出力軸(36,37)の回転力が、当該出力軸(36,37)に取り付けられた伝動用回転体(38a,39a)と前記受動用回転体(38b,39b)との間に掛張された巻掛け伝動具(38c,39c)を介して傾動コンベヤユニット(10,11)に伝達されるように構成することが出来る。これらの構成によれば、傾動コンベヤユニットを前記連動伝動軸の周りで揺動可能に支持するために当然必要な傾動コンベヤユニット側の軸受けを、傾動用モーターの出力軸の回転力を受けるための部材に兼用させることにより、必要な部品点数を少なくして全体をシンプルに構成し、より一層のコストダウンを図ることが出来る。
【0008】
更に、複数の傾動コンベヤユニット(10,11)は、隣接する2台の傾動コンベヤユニット(10,11)を1つの組立体として複数の組立体(1A~1E)に分割し、各組立体(1A~1E)内では、両端部が支持部材(14,15,17)に軸受け(5,6)を介して支承された1本の前記支軸(7)によって2台の傾動コンベヤユニット(10,11)を支持させ、隣接する2つの組立体(1A~1E)間において前記支軸(7)同士を継ぎ手(18)によって連動連結して前記連動伝動軸(19)を構成し、1台のコンベヤ駆動用モーター(20)は、一端に位置する組立体(1E)の外側に配置し、各組立体(1A~1E)内の2台の傾動コンベヤユニット(10,11)を駆動する2台の前記傾動用モーター(12,13)は、平面視において前記連動伝動軸(19)の左右両側で前記伝動用回転体(38a,39a)が前後逆向きとなるように設置することが出来る。この構成によれば、各傾動コンベヤユニットの姿勢を切り換える傾動用モーターとして、駆動能力の大きな大型長尺の減速機付きモーターが必要になる場合でも、この2台の傾動用モーターを平面視で左右点対称に配置することにより、1つの組立体内の領域に無理なく組み込むことが出来、2台の傾動コンベヤユニットとその両傾動コンベヤユニットを傾動させる2台の傾動用モーター、及び2台の傾動コンベヤユニットの被搬送物搬送用コンベヤと連動連結する1本の支軸(連動伝動軸の一部)から成る組立体をコンパクトに構成することが出来る。そしてこの組立体を複数直列設置して、支軸(連動伝動軸の一部)同士を継ぎ手により接続すると共に、一端に設置したコンベヤ駆動用モーターを連動伝動軸の一端に連動連結するだけで、傾動コンベヤユニットの整数倍の全長の搬送仕分け装置を簡単に組み立てることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、搬送仕分け装置の出口側領域を示す要部の側面図である。
【
図3】
図3は、搬送仕分け装置の出口側領域を示す要部の平面図である。
【
図4】
図4は、搬送仕分け装置の出口側を示す一部切欠き正面図である。
【
図5】
図5は、搬送仕分け装置を構成する各組立体を示す縦断背面図である。
【
図6】
図6は、傾動コンベヤユニットの仕分け動作を示す正面図である。
【
図7】
図7Aは、搬送仕分け装置の搬送仕分け動作の第一段階を示す概略側面図、
図7Bは、同第二段階を示す概略側面図である。
【
図8】
図8Aは、同第三段階を示す概略側面図、
図8Bは、同第四段階を示す概略側面図である。
【
図9】
図9Aは、同第五段階を示す概略側面図、
図9Bは、同第六段階を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A及び
図1Bは、搬送仕分け装置を構成する5つの組立体1A~1Eの内、中央の1つの組立体1Cの図示を省略した概略側面図と同平面図であって、入り口側端部の組立体1Aには搬入用コンベヤ2が接続され、出口側端部の組立体1Eには搬出用コンベヤ3が接続される。この実施例では、被搬送物を積載したトレイTを搬送する搬送経路上に仕分け領域が一箇所又は複数箇所に設定され、この仕分け領域に本発明に係る搬送仕分け装置が設置され、この搬送仕分け装置での被搬送物の仕分けは、搬送されるトレイTを、搬送方向の移動を止めることなく左右何れかの仕分け方向に傾斜させて、トレイT上に積載されている被搬送物を重力でトレイT上から側方下方に滑動落下させることによって行われる。勿論、トレイTを使用しないで直接被搬送物を搬送し、上記のように仕分けることも可能である。
【0011】
以下、各組立体1A~1Eの詳細構造を、
図2~
図5に基づいて説明すると、各組立体1A~1Eは、被搬送物の搬送方向一対の軸受け5,6によって両端が自転可能に支持されて、搬送仕分け装置の搬送方向と平行で且つ被搬送物搬送仕分け装置の左右巾方向の中央位置に水平に位置する支軸7、この支軸7にそれぞれ前後一対の軸受け8a,8b及び9a,9bによって支持された前後一対の傾動コンベヤユニット10,11、及び各傾動コンベヤユニット10,11を各別に水平搬送姿勢と傾斜姿勢とに切り換える2台の傾動用モーター12,13から構成されている。各組立体1A~1Eの前後一対の軸受け5,6の内、搬送仕分け装置の搬送方向両端に位置する軸受け5,6は、それぞれ1つの柱状支持部材14,15によって架台16上に支持され、隣接する2つの組立体間で隣接する2つの軸受け5,6は、共通の柱状支持部材17上に台座17aを介して支持されている。
【0012】
組立体1A~1Eの隣接する2つの組立体間では、支軸7の端部同士が回転伝達用継ぎ手18によって同心状に連動連結されて、搬送仕分け装置の全長、即ち、各々が前後一対の傾動コンベヤユニット10,11を備えた組立体1A~1Eから成る領域、の全体にわたって連続する1本の連動伝動軸19が構成され、
図1A、
図1B、及び
図4に示すように、搬送仕分け装置の出口側端部に位置する組立体1Eの支軸7の遊端には、当該組立体1Eの外側で架台16に支持された1台のコンベヤ駆動用モーター20が、上下方向の巻掛け伝動手段21によって連動連結されている。この巻掛け伝動手段21として、伝動側プーリー22a、受動側プーリー22b、及び両プーリー22a,22b間に掛張された無端ベルト22cから成るベルト伝動手段を図示しているが、チエンを利用する巻掛け伝動手段であっても良い。
【0013】
各傾動コンベヤユニット10,11は同一構造のものであって、平面視が横長の矩形躯体23、この矩形躯体23に設けられた左右一対の被搬送物搬送用のベルトコンベヤ24a,24b、及び矩形躯体23の左右両端に付設されたサイドガイド25a,25bから構成されている。左右一対のベルトコンベヤ24a,24bは、駆動プーリー26aと従動プーリー26bとの間に無端ベルト26cを掛張させたもので、無端ベルト26cの上側搬送経路部が矩形躯体23の上面上に露出するように設置され、互いに同心状に位置する左右一対の駆動プーリー26aは、軸受け27a,27bによって左右水平向きに支承された左右一対の回転軸28a,28bの外端部に取り付けられ、これら両回転軸28a,28bは、矩形躯体23内の左右巾方向の中央位置に設置されたギヤボックス29から左右両側に同心状に突出する出力軸30a,30bに回転伝達用継ぎ手31a,31bを介して連動連結されている。
【0014】
ギヤボックス29は、矩形躯体23内の左右巾方向の中央位置で後方に突出する駆動軸32を備えており、この駆動軸32の回転により両出力軸30a,30bが同一方向に同一速度で連動回転するように構成されたものである。そして駆動軸32は、その真下に位置する連動伝動軸19(各組立体1A~1Eの支軸7)と巻掛け伝動手段33によって連動連結されている。この巻掛け伝動手段33として、伝動側プーリー34a、受動側プーリー34b、及び両プーリー34a,34b間に掛張された無端ベルト34cから成るベルト伝動手段を図示しているが、チエンを利用する巻掛け伝動手段であっても良い。
【0015】
上記構成により、搬送仕分け装置の出口側に設置された1台のコンベヤ駆動用モーター20を稼働させることにより、連動伝動軸19(各組立体1A~1Eの支軸7)から巻掛け伝動手段33とギヤボックス29を介して、全ての組立体1A~1Eの前後一対の傾動コンベヤユニット10,11が備える左右一対のベルトコンベヤ24a,24bを、これらベルトコンベヤ24a,24b上で支持されるトレイTが搬送仕分け装置の入り口側から出口側へ所定の速度で搬送されるように、回転駆動させることが出来る。このときのトレイTは、その左右両側辺が各傾動コンベヤユニット10,11の左右両側辺に立設されているサイドガイド25a,25bによって搬送経路が規制されるが、これらサイドガイド25a,25bの搬送方向前後両端部には、トレイTの左右両側面に当接転動するガイドローラー35が軸支されている。
【0016】
組立体1A~1Eが備える前後一対の傾動コンベヤユニット10,11は、連動伝動軸19(各組立体1A~1Eの支軸7)に対し、それぞれ前後一対の軸受け8a~9bを介して左右両端部が上下動する方向に傾動可能に支持されているが、この傾動コンベヤユニット10,11を、トレイTを支持搬送する水平搬送姿勢(
図5参照)と、
図6に示すように、支軸7の周りに左右何れかの方向に例えば45度程度傾斜した傾斜姿勢とに切り換えるために、傾動コンベヤユニット10,11ごとに傾動用モーター12,13が連動連結されている。これら両傾動用モーター12,13には、1つの傾動コンベヤユニット10/11の搬送方向の横巾よりも軸心方向の全長が長くて、駆動トルクの大きな大型の減速機付きサーボモーターが使用されるので、
図3に示すように、当該傾動用モーター12,13は、平面視において支軸7の左右両側で前後互いに逆向きとなるように、それぞれの軸心方向が支軸7と平行になるように架台16上に設置されている。
【0017】
更に詳述すれば、各傾動用モーター12,13の出力軸36,37には、伝動側タイミングベルトプーリー38a,39bが取り付けられ、この伝動側タイミングベルトプーリー38a,39bから突出する出力軸36,37の遊端部を、各傾動用モーター12,13を支持する据付け板40a,40b上に取り付けられた軸受け41a,41bによって支持することにより、当該出力軸36,37を両持ち支持構造としている。一方、各組立体1A~1Eの支軸7の両端を支承する軸受け5,6の内側には、各傾動コンベヤユニット10,11を支軸7によって傾動可能に支持するための前後一対の軸受け8a~9bの内、外側に位置する軸受け8a,9bが隣接しており、これら軸受け8a,9bの更に内側で支軸7に、前記伝動側タイミングベルトプーリー38a,39aと対を成す受動側タイミングベルトプーリー38b,39bが相対回転可能に遊嵌され、これら受動側タイミングベルトプーリー38b,39bと外側に隣接する軸受け8a,9bとが周方向複数本の結合用ボルト42,43によって結合一体化されている。そして伝動側タイミングベルトプーリー38a,39aと受動側タイミングベルトプーリー38b,39bとに、巻掛け伝動具としてのタイミングベルト38c,39cが掛張され、タイミングベルト利用の巻掛け伝動手段44,45が構成されている。換言すれば、上記のように巻掛け伝動手段44,45が構成出来る位置に、軸心方向が支軸7と平行になる向きの2つの傾動用モーター12,13が、支軸7の長さ方向の中央1点の周りに点対称に架台16上に設置されている。
【0018】
尚、各傾動用モーター12,13と前記軸受け41a,41bを支持する据付け板40a,40bは、架台16上に左右横方向に位置調整可能に据え付けられ、巻掛け伝動手段44,45のタイミングベルト38c,39cの張力調整が行えるように構成されている。又、連動伝動軸19(各組立体1A~1Eの支軸7)の回転を傾動コンベヤユニット10,11のベルトコンベヤ24a,24bに伝達するための巻掛け伝動手段33の伝動側プーリー34aは、
図3に示すように、前記巻掛け伝動手段44,45の伝動側タイミングベルトプーリー38a,39bの内側に隣接する位置で支軸7に取り付けられている。
【0019】
以上のように構成された搬送仕分け装置の使用方法の一例を説明すると、先に説明したように、各組立体1A~1Eが備える前後一対の傾動コンベヤユニット10,11の左右一対のベルトコンベヤ24a,24bは、1台のコンベヤ駆動用モーター20を稼働させることにより、その回転力を、巻掛け伝動手段21、連動伝動軸19、各傾動コンベヤユニット10,11に対応する巻掛け伝動手段33、ギヤボックス29、及び回転軸28a,28bを経由してベルトコンベヤ24a,24bの駆動プーリー26aに伝達され、無端ベルト26cが所定の方向に所定の速度で回動する稼働状態となる。
【0020】
一方、全ての組立体1A~1Eの傾動コンベヤユニット10,11は、
図5に示すように水平搬送姿勢にある状態で傾動用モーター12,13が停止していることにより、当該傾動用モーター12,13の機能によって水平搬送姿勢に保持されており、重力で支軸7/連動伝動軸19の周りに揺動運動することはない。従って、全ての組立体1A~1Eの傾動コンベヤユニット10,11が水平搬送姿勢に保持されている状態で、前記のようにコンベヤ駆動用モーター20を稼働させてベルトコンベヤ24a,24bを所定の搬送方向に連動回転駆動することにより、
図1A及び
図1Bに示す搬入用コンベヤ2から送り込まれた被搬送物積載トレイTを搬出用コンベヤ3に向かって定速で搬送し、搬出用コンベヤ3上に送り出すことが出来る。
【0021】
上記のように全ての組立体1A~1Eの傾動コンベヤユニット10,11におけるベルトコンベヤ24a,24bを稼働させているトレイ搬送状態において、仕分けのために特定の傾動コンベヤユニット10,11を水平搬送姿勢から傾斜姿勢に切り換えるときは、その傾斜姿勢に切り換えるべき傾動コンベヤユニット10/11の傾動用モーター12/13を稼働させ、その出力軸36/37の回転を、巻掛け伝動手段44/45の伝動側タイミングベルトプーリー38a/39a、タイミングベルト38c/39c、及び受動側タイミングベルトプーリー38b/39bを経由させて、結合用ボルト42/43で結合一体化されている軸受け8a/9bを介して目的の傾動コンベヤユニット10/11の矩形躯体23に伝達することにより、前記受動側タイミングベルトプーリー38b/39bの回転角度分だけ当該目的の傾動コンベヤユニット10/11を支軸7(連動伝動軸19)の周りに所定の方向に傾動させることが出来る。又、傾斜姿勢の傾動コンベヤユニット10/11を元の水平搬送姿勢に戻すときは、その傾動コンベヤユニット10/11の傾動用モーター12/13を、傾動動作時の回転角度だけ逆回転させて、傾動コンベヤユニット10/11を傾斜姿勢から元の水平搬送姿勢に戻すことが出来る。
【0022】
以下、具体的に仕分け動作について説明すると、搬入用コンベヤ2から送り込まれたトレイTの積載被搬送物がこの搬送仕分け装置のある場所で仕分ける対象であるとき、
図7A~
図9Bに基づいて以下に列記する手順で上記構成の搬送仕分け装置を動作させれば良い。尚、本実施例に係る搬送仕分け装置の搬送経路は、10個の組立体1A~1Eを構成する合計10台の傾動コンベヤユニット10,11によって構成されるが、以下の説明では、全ての傾動コンベヤユニット10,11を、入り口側からN1~N10の番号を割り付けて説明する。
(1)
図7Aに示すように、仕分け対象の被搬送物Wを積載したトレイTが搬入用コンベ ヤ2からこの搬送仕分け装置の搬送経路上に送り込まれる。このトレイTは、複数( 図示例では3台)の傾動コンベヤユニット10,11に跨って支持される搬送方向の 長さを有し、横巾は、各傾動コンベヤユニット10,11の左右両側のサイドガイド 25a,25b間に適当な余裕をもって嵌まり込む巾である。又、トレイTの荷載置 面Tsは、
図4~
図6に点線で示すように、搬送方向と直交する左右巾方向に関して 凹入円弧面となっており、通常の水平搬送姿勢での搬送時には、被搬送物Wが荷載置 面Ts上で安定保持されるようになっている。
(2) 上記トレイTが搬送仕分け装置の搬送経路上に設定された仕分け動作開始位置P1 に到達すると、
図7Bに示すように、当該トレイTを支持する領域と搬送速度に見合 った搬送方向側への延長領域にある全ての傾動コンベヤユニットN1~N6を、傾動 用モーター12,13により水平搬送姿勢から仕分けのための傾斜姿勢(図示では、 左側へ45度傾斜した姿勢)に同時に切り換える。この後も、傾動コンベヤユニット N6に続く搬送方向側の各傾動コンベヤユニットN7~N10も、一定時間タイミン グを遅らせながら順次傾斜姿勢に切り換える。傾斜姿勢に切り換わった傾動コンベヤ ユニット10,11によって支持されているトレイTは、傾斜下方側のサイドガイド 25aのガイドローラー35で受け止められ、当該ガイドローラー35を転動させな がら傾斜姿勢のまま継続的に搬送される。
(3) 上記動作により、
図8A及び
図8Bに示すように、トレイTが仕分け動作開始位置 P1を通過した時点から搬送方向に移動しながら傾動コンベヤユニット10,11と 一体に傾斜姿勢に切り換わり、その後は傾斜姿勢のままで搬送方向に移動し続けるこ とになる。従って、トレイT上の被搬送物Wは、トレイTと一体に搬送されながら当 該トレイTが傾斜姿勢に移ることにより、トレイTの荷載置面Ts上を傾斜下方へ重 力で滑動し、トレイT上から搬送経路の側方へ払い出される。従って、搬送仕分け装 置の左右両側の内、被搬送物Wの払い出し側には、
図6~
図9に仮想線で示すように 、トレイTから側方に滑落する被搬送物Wを受け継ぐシュートSを併設しておくこと が出来る。
(4) 先に説明したように、傾斜姿勢で搬送されているトレイTに先行して、搬送方向側 の各傾動コンベヤユニット10,11は順次傾斜姿勢に切り換えられるので、
図9A に示すように、トレイTは傾斜姿勢を保持したまま連続搬送され、当該トレイTが仕 分け動作完了位置P2を通過するまでには、被搬送物Wの払い出しは確実に完了する ことになる。従って、トレイTが仕分け動作完了位置P2に到達した時点で当該トレ イTを支持する領域とこれより搬送方向側にある全ての傾斜姿勢の傾動コンベヤユニ ットN6~N10を同時に傾斜姿勢から元の水平搬送姿勢に復帰させることにより、
図9Bに示すように、空になったトレイTを水平搬送姿勢に戻した状態で搬出用コン ベヤ3上に送り出すことが出来る。
(5)
図7B~
図9Aに示すように、傾斜姿勢に切り換えられた状態で搬送されるトレイ Tに対し後方に相対的に送り出される各傾動コンベヤユニットN1~N5は、搬入用 コンベヤ2に近い側から順次傾斜姿勢から元の水平搬送姿勢に復帰させることにより 、
図9A及び
図9Bに示すように、後続の被搬送物積載トレイTを搬入用コンベヤ2 から受け入れることが出来る。
【0023】
上記の搬送仕分け装置は本発明の一実施例であって、その構造や使用方法に限定されるものではない。例えば、搬送仕分け装置の搬送経路長さが長くて、使用する傾動コンベヤユニットの台数が多くなる場合は、この傾動コンベヤユニットを複数グループに分け、グループごとにコンベヤ駆動用モーター20を設けることも出来る。
【0024】
又、搬送仕分け装置を2台の傾動コンベヤユニット10,11を備えた複数の組立体1A~1Eから構成する場合、上記実施例では、各組立体1A~1Eの傾動用モーター12,13や、各組立体1A~1Eの支軸7の両端の軸受け5,6を支持する柱状支持部材14,15,17を、共通の架台16上に直接設置する構造としたが、組立体1A~1Eごとに独立した架台16を設けて組立体1A~1Eを完成させ、この組立体1A~1Eを直列配置して架台16同士を連結すると共に、支軸7同士を回転伝達用継ぎ手18にて接続し、組立体1A~1Eの内、一端にある組立体の支軸7にコンベヤ駆動用モーター20を連動連結させるように構成することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の搬送仕分け装置は、空港での手荷物搬送仕分けのように、被搬送物を専用の搬送用トレイに積載して搬送すると共に搬送先に応じて自動仕分けしなければならないような被搬送物の搬送仕分け装置として活用出来る。
【符号の説明】
【0026】
1A~1E 組立体
2 搬入用コンベヤ
3 搬出用コンベヤ
5,6,8a~9b,27a,27b,41a,41b 軸受け
7 支軸
10,11 傾動コンベヤユニット
12,13 傾動用モーター
14,15,17 柱状支持部材
16 架台
18,31a,31b 回転伝達用継ぎ手
19 連動伝動軸
20 コンベヤ駆動用モーター
21,33,44,45 巻掛け伝動手段
23 矩形躯体
24a,24b ベルトコンベヤ
25a,25b サイドガイド
29 ギヤボックス
42,43 結合用ボルト
46 シュート
T 被搬送物積載用トレイ
W 被搬送物