(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 45/04 20060101AFI20220209BHJP
F04B 39/10 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
F04B45/04 D
F04B39/10 P
F04B39/10 J
(21)【出願番号】P 2017188344
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593057263
【氏名又は名称】多田プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓
(72)【発明者】
【氏名】浦上 斉
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌司
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-009715(JP,A)
【文献】中国実用新案第204900208(CN,U)
【文献】特開2013-256887(JP,A)
【文献】米国特許第06171081(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
F04B 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体用ポンプであって、
駆動部と、
前記駆動部の駆動により動く可動部と、
前記可動部の動きにより容積が増減するポンプ室と、
前記ポンプ室の上壁を構成する隔壁部と、
前記隔壁部に設けられ、流体が上下方向に通過する流体通過部と、
を有し、
前記流体通過部は、
前記隔壁部を上下方向に貫通する複数の通気孔を有する弁座部と、
上下方向に延びる軸部を有し、複数の前記通気孔を開閉する弁体と、
を有し、
前記弁座部は、複数の前記通気孔が振り分けられる第1領域及び第2領域を有し、
前記軸部の中心線を含む互いに直交する2つの平面によって区画される四区画のうち、前記中心線を中心として互いに対向する2つの区画の一方に前記第1領域が位置し、他方に前記第2領域が位置
し、
前記流体通過部は、
前記ポンプ室に流体を吸入する吸入側流体通過部と、
前記ポンプ室から流体を排出する排出側流体通過部と、
を有し、
前記吸入側流体通過部と前記排出側流体通過部とのうち、少なくとも前記排出側流体通過部が有する排出側弁座部は、前記第1領域および前記第2領域を有し、
前記吸入側流体通過部が有する吸入側弁座部は、前記排出側弁座部よりも多くの前記通気孔を有し、且つ、前記排出側弁座部よりも大きな直径の前記通気孔を有する、ポンプ。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域とは、前記軸部の中心線を中心とする径方向に対向している、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記隔壁部の上側に配置され、下側に開口するカップ状の蓋体を更に有し、
前記蓋体は、内側に、上下に延び、前記流体通過部を囲む筒状の第1仕切壁を有し、
前記第1仕切壁は、側面に開口部を有し、
前記開口部は、前記軸部の中心線を中心とする周方向において、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する、請求項1又は2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記蓋体は、内側に、上下に延び、前記第1仕切壁を囲む第2仕切壁を更に有する、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記第1領域及び前記第2領域は、それぞれ、前記通気孔を1つずつ有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項6】
前
記吸入側弁座部は、複数の前記通気孔の配列が、前記排出側弁座部と異なる、請求項
1から5のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項7】
前記吸入側弁座部の複数の前記通気孔は、前記軸部の中心線を中心とする周方向に等間隔に配置される、請求項
6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記吸入側流体通過部と通じ、流体を吸入する吸入ポートと、
前記排出側流体通過部と通じ、流体を排出する排出ポートと、
を更に有し、
前記排出ポートの内径は、前記吸入ポートの内径よりも小さい、請求項
1から
7のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項9】
前記可動部は、前記駆動部の駆動により振動するダイヤフラムである、請求項1から
8のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記駆動部はモータを有する、請求項1から
9のいずれか1項に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-256887号公報には、電磁式ダイヤフラムポンプにおいては、ゴム等の弾性体から構成されるアンブレラ(弁傘部)形状を有する逆止弁を用いることが一般的とされ、アンブレラ(弁傘部)が開閉する際の打撃音が振動音を高める大きな要因となっていることが開示される。
【0003】
また、特開2013-256887号公報には、装置の重量およびコストの増加を極力抑えつつ、静音性を高めることができる電磁式ダイヤフラムポンプが開示される。当該電磁式ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムの周縁部を押圧して固定するダイヤフラム保持部を有する。前記ダイヤフラム保持部は、仕切り壁と、その仕切り壁を介してその内側にダイヤフラム室を形成するためのダイヤフラム室形成凹部と、仕切り壁を介してその外方に吸気室および吐出室とを形成するための吸気室形成凹部および吐出室形成凹部をそれぞれ有する。前記吸気室形成凹部が形成されている仕切り壁の内側には吸入弁が装着され、吐出室形成凹部が形成されている仕切り壁の外側には吐出弁が装着され、前記吸気室形成凹部および吐出室形成凹部には、消音用の金属製弁カバーが設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2013-256887号公報に開示される電磁式ダイヤフラムポンプにおいては、静音性を高めるために消音用の金属製カバーを追加する必要があり、部品点数が多くなる可能性がある。
【0006】
本発明は、ポンプが発する音を低減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なポンプは、流体用ポンプであって、駆動部と、前記駆動部の駆動により動く可動部と、前記可動部の動きにより容積が増減するポンプ室と、前記ポンプ室の上壁を構成する隔壁部と、前記隔壁部に設けられ、流体が上下方向に通過する流体通過部と、を有する。前記流体通過部は、前記隔壁部を上下方向に貫通する複数の通気孔を有する弁座部と、上下方向に延びる軸部を有し、複数の前記通気孔を開閉する弁体と、を有する。前記弁座部は、複数の前記通気孔が振り分けられる第1領域及び第2領域を有する。前記軸部の中心線を含む互いに直交する2つの平面によって区画される四区画のうち、前記中心線を中心として互いに対向する2つの区画の一方に前記第1領域が位置し、他方に前記第2領域が位置する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明は、ポンプが発する音を低減することができる技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプの斜視図である。
【
図2】
図2は、モータとクランク部とを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す構成の一部を分解して示した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すポンプの一部を分解して示した分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第2ブロック体を下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、第1ブロック体、第2ブロック体、及び蓋体を積み重ねた積層体の断面斜視図である。
【
図8】
図8は、蓋体における流体の流れを示す図である。
【
図9】
図9は、弁座部の構成例を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、流体通過部と第1仕切壁との関係の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の吸入側弁座部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態に係るポンプについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプ1の斜視図である。ポンプ1は流体用ポンプである。
図1に示すように、ポンプ1は、駆動部10と、第1ブロック体20と、第2ブロック体30と、蓋体40とを有する。駆動部10は、筐体11とモータ12とを有する。モータ12は、筐体11の一の側面に取り付けられる。
【0012】
本明細書では、筐体11、第1ブロック体20、第2ブロック体30、及び蓋体40が積み重ねられる方向を上下方向と定義する。筐体11に対して第1ブロック体20側を上とする。また、後述の
図3に示すモータ12の出力軸12aが延びる方向を前後方向と定義する。前後方向は上下方向と直交する。筐体11の、出力軸12aと直交する2つの面のうち、モータ12が取り付けられる面側を前側とする。また、以上に定義される上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向と定義する。
図1に示す、左右方向に並ぶ吸入ポート41及び排出ポート42において、吸入ポート41に対して排出ポート42側を右とする。以上の上下、前後、及び左右の定義にしたがって、各部の形状や位置関係を説明する。ただし、これらの方向の定義によって、本発明のポンプの使用時の向きを限定する意図はない。
【0013】
ポンプ1においては、筐体11、第1ブロック体20、第2ブロック体30、及び蓋体40が、この順番で下から上に並ぶ。上からの平面視において、筐体11、第1ブロック体20、第2ブロック体30、及び筐体40は、いずれも矩形状であり、ほぼ同じサイズである。筐体11、第1ブロック体20、第2ブロック体30、及び筐体40は、四隅を揃えて積み重ねられ、上下に延びる第1ねじ2によって四隅を固定されて一体化されている。
【0014】
<1.駆動部>
図2は、モータ12とクランク部13とを示す斜視図である。
図2には、後述の可動部22も併せて示されている。
図3は、
図2に示す構成の一部を分解して示した斜視図である。駆動部10は、モータ12に加えてクランク部13を有する。クランク部13は、筐体11の内部に配置される。筐体11の前面に固定されるモータ12の出力軸12aは、筐体11の内部に露出し、クランク部13に連結される。
図2及び
図3に示すように、クランク部13は、偏心回転体131と、コンロッド132と、バランサ133と、軸受134とを有する。
【0015】
偏心回転体131は、胴体部1311と突出ピン1312とを有する。胴体部1311は前後方向に延びる円柱状である。突出ピン1312は、胴体部1311の後端から後方に突出する。偏心回転体131は、前端に、前後方向に延び、出力軸12aが挿入される軸取付孔(不図示)を有する。突出ピン1312は、軸取付孔から偏心して配置される。すなわち、突出ピン1312は、出力軸12aに対して偏心して配置される。偏心回転体131は、軸取付孔に出力軸12aが挿入されることにより、モータ12に取り付けられる。偏心回転体131は、出力軸12aと共に回転する。
【0016】
コンロッド132は、環状部1321と、連結部1322と、板状部1323とを有する。環状部1321は、前後方向に延びる円環状である。連結部1322は、環状部1321から上側に延びる。板状部1323は、円板状であり、上下方向と直交する方向に広がる。連結部1322は、環状部1321と板状部1323とを連結する。偏心回転体131は、軸受134を介して環状部1321に挿入される。環状部1321の内径は、胴体部1311の外径よりも大きい。軸受134の内輪は、胴体部1311の外周面と対向する。軸受134の外輪は、環状部1321の内周面と対向する。突出ピン1312は、環状部1321から後方に突出する。
【0017】
バランサ133は、円柱状の錘部材である。バランサ133は、前後方向に貫通するピン取付孔1331を有する。ピン取付孔1331は、バランサ133の中心軸に対して偏心して配置される。突出ピン1312がピン取付孔1331に挿入されることによって、バランサ133は偏心回転体131に取り付けられる。バランサ133は、偏心回転体131と共に回転する。
【0018】
モータ12の駆動によって出力軸12aが回転する。出力軸12aの回転に伴い、偏心回転体131及びバランサ133が回転する。偏心回転体131の回転に伴い、偏心回転体131と軸受134を介して連結されるコンロッド132が上下方向に運動する。すなわち、クランク部13は、モータ12の回転を上下方向の往復運動に変換する。本実施形態のモータ12を用いた駆動部10によれば、例えば、小型のドライ真空ポンプを構成することができる。
【0019】
<2.第1ブロック体>
図4は、
図1に示すポンプ1の一部を分解して示した分解斜視図である。
図4においては、第1ねじ2は省略されている。
図4に示すように、第1ブロック体20は、第1枠体部21と可動部22とを有する。すなわち、ポンプ1は可動部22を有する。第1枠体部21は上下方向に延びる。可動部22は、外周部が第1枠体部21の上部によって支持される。
【0020】
可動部22は、駆動部10の駆動により動く。本実施形態では、可動部22は、駆動部10の駆動により振動するダイヤフラムである。本実施形態によれば、例えば小型のドライ真空ポンプを構成することができる。詳細には、可動部22は、コンロッド132の上下方向の運動に連動して上下に振動する。
【0021】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、可動部22は、ダイヤフラム部221と固定板222とを有する。ダイヤフラム部221は、円板状の弾性部材である。ダイヤフラム部221は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)又はシリコーンゴム等のゴム部材であってよい。
図3に示すように、ダイヤフラム部221は、上面に、上側に向けて突出する環状のダイヤフラム凸部2211を有する。ダイヤフラム部221は、中央部に、上下方向に貫通する突起取付孔2212を有する。
【0022】
固定板222は、ダイヤフラム部221の上側に配置される。詳細には、固定板222は円板状であり、ダイヤフラム凸部2211に周囲を囲まれる。固定板222は、例えばアルミニウム等の金属で構成される。ただし、固定板222は、例えば樹脂等の金属以外の素材で構成されてよい。固定板222は、下面中央部に、下側に向けて突出する円柱状の突起2221を有する。突起2221は、ダイヤフラム部221の突起取付孔2212に挿入される。固定板222は、中央部に、突起2221も含めて上下方向に貫通するねじ取付孔2222を有する。ねじ取付孔2222に第2ねじ223が挿入されることによって、ダイヤフラム部221は、固定板222と共にコンロッド132の板状部1323にねじ止めされる。
【0023】
<3.第2ブロック体>
図5は、第2ブロック体30を下側から見た斜視図である。
図4及び
図5に示すように、第2ブロック体30は、第2枠体部31と、第2枠体部31に囲まれた円板状の隔壁部32とを有する。すなわち、ポンプ1は隔壁部32を有する。第2枠体部31と隔壁部32とは単一部材でもよいが、別部材であってもよい。本実施形態では、第1枠体部31はプラスチック材で構成される。隔壁部32は、プラスチック材で構成され、上面側にゴム材が配置される。隔壁部32は、板状であり、第2枠体部31の上部側に位置する。このために、
図5に示すように、第2ブロック体30は、下面側に、上側に向けて凹む第2ブロック体凹部33を有する。
【0024】
本実施形態では、隔壁部32は、下面側に、上側に向けて凹む隔壁部凹部321を有する。隔壁部凹部321は、円形状の隔壁部32の外縁に沿って形成され、後述する流体通過部34を囲む。これにより、固定板222が、左右方向または前後方向に傾いた場合に、固定板222と隔壁部32とが接触することを抑制できる。
【0025】
図6は、第1ブロック体20、第2ブロック体30、及び蓋体40を積み重ねた積層体50の断面斜視図である。
図6に示すように、第1ブロック体20の上に第2ブロック体30が配置されることにより、第2ブロック体凹部33と、可動部22とで囲まれたポンプ室60が形成される。すなわち、ポンプ1はポンプ室60を有する。隔壁部32は、ポンプ室60の上壁を構成する。ポンプ室60は、可動部22の動きにより容積が増減する。詳細には、可動部22が上側に動くことにより、ポンプ室60の容積は減る。可動部22が下側に動くことにより、ポンプ室60の容積は増える。
【0026】
隔壁部32には、流体通過部34が設けられる。すなわち、ポンプ1は、流体が上下方向に通過する流体通過部34を有する。本実施形態では、流体通過部34は、吸入側流体通過部341と排出側流体通過部342とを有する。吸入側流体通過部341は、ポンプ室60に流体を吸入する。排出側流体通過部342は、ポンプ室60から流体を排出する。円形状の隔壁部32の中心に対して、左側に吸入側流体通過部341が位置し、右側に排出側流体通過部342が位置する。なお、モータ12が本実施形態と逆方向に回転する場合、円形状の隔壁部32の中心に対して、右側に吸入側流体通過部341が位置し、左側に排出側流体通過部342が位置する。
【0027】
本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、吸入側流体通過部341及び排出側流体通過部342は、いずれも2つずつ設けられる。2つの吸入側流体通過部341及び2つの排出側流体通過部342は、いずれも前後方向に並ぶ。ただし、吸入側流体通過部341及び排出側流体通過部342の数は、それぞれ1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。吸入側流体通過部341と排出側流体通過部342の数は、互いに異なってもよい。
【0028】
流体通過部34は、弁座部35と弁体36とを有する。弁座部35は、隔壁部32を上下方向に貫通する複数の通気孔37を有する。通気孔37は、例えば円形状である。ただし、通気孔37の形状は円形状に限らず、例えば楕円形状や多角形状であってよい。
図6に示すように、弁体36は、上下方向に延びる軸部36aと、軸部36aの一端に設けられる傘部36bを有する。弁体36は、複数の通気孔37を開閉する。詳細には、軸部36aが隔壁部32に対して上下動することによって、傘部36bが通気孔37を塞いだ状態と、傘部36bによって通気孔37が塞がれていない状態とが切り替わる。
【0029】
なお、詳細には、弁座部35には、隔壁部32を上下方向に貫通し、軸部36aが挿入される軸取付孔35a(
図6参照)が設けられる。軸取付孔35aは、軸部36aの挿入により塞がれる。
【0030】
本実施形態では、吸入側流体通過部341は、吸入側弁座部351と、吸入側弁体361とを有する。排出側流体通過部342は、排出側弁座部352と、排出側弁体362とを有する。吸入側弁座部351と排出側弁座部352とは、互いに構成が異なる。これらの詳細については後述する。吸入側弁体361と排出側弁体362とは同一の構成である。
【0031】
<4.蓋体>
図7は、蓋体40を下方から見た斜視図である。例えば
図6及び
図7に示すように、蓋体40は、隔壁部32の上側に配置される。蓋体40は、下側に開口するカップ状である。
図4及び
図7に示すように、蓋体40の前側面には、吸入ポート41及び排出ポート42が設けられる。すなわち、ポンプ1は、吸入ポート41と排出ポート42とを有する。吸入ポート41は、吸入側流体通過部341と通じ、流体を吸入する。排出ポート42は、排出側流体通過部342と通じ、流体を排出する。吸入ポート41及び排出ポート42は、いずれも、前後方向に延びる筒状である。ポンプ1が真空ポンプである場合、吸入ポート41が、真空にする容器と、例えばチューブ等を用いて通じる。ポンプ1の駆動によって、容器から気体が吸入ポート41を介してポンプ室60に送り込まれる。気体は、ポンプ室60から排出ポート42を介して外部に排出される。蓋体40、吸入ポート41、及び排出ポート42は、例えば樹脂成形によって構成される単一部材であってよい。吸入ポート41及び排出ポート42は、蓋体40と別部材であってもよい。
【0032】
図7に示すように、蓋体40は、内側に平板状の分離壁43を有する。分離壁43は、蓋体40の内側の空間を左右に二等分する。すなわち、蓋体40は、分離壁43によって左右に分離された吸入室44と排出室45とを有する。本実施形態では、吸入室44は分離壁43の左側に位置し、排出室45は分離壁43の右側に位置する。吸入室44は、吸入ポート41と通じる。吸入ポート41から吸入された流体は吸入室44に入る。排出室45は、排出ポート42と通じる。排出室45の流体は、排出ポート42を通過してポンプ1の外部に排出される。
【0033】
蓋体40は、内側に、上下に延びる筒状の第1仕切壁46を有する。蓋体40が第2ブロック体30の上に配置されることによって、第1仕切壁46は流体通過部34を囲む。第1仕切壁46は、下端部が隔壁部32の上面に接触する。本実施形態では、吸入室44と排出室45とのそれぞれに、円筒状の第1仕切壁46が2つずつ設けられる。以下、吸入室44側の第1仕切壁46を吸入側第1仕切壁461と表現し、排出室45側の第1仕切壁46を排出側第1仕切壁462と表現する。吸入側第1仕切壁461は、吸入側流体通過部341を囲む。排出側第1仕切壁462は、排出側流体通過部342を囲む。
【0034】
なお、本実施形態では、吸入側及び排出側で、第1仕切壁46の数は、流体通過部34の数に合わせて2つずつである。流体通過部34の数の変更に合わせて、第1仕切壁46の数が変更されてよい。
【0035】
2つの吸入側第1仕切壁461は分離壁43に沿って前後方向に並ぶ。2つの排出側第1仕切壁462は分離壁43に沿って前後方向に並ぶ。本実施形態では、吸入側第1仕切壁461及び排出側第1仕切壁462は、側面の一部が分離壁43と接続されている。ただし、吸入側第1仕切壁461及び排出側第1仕切壁462は、分離壁43と接続されなくてもよい。本実施形態では、排出側第1仕切壁462は、吸入側第1仕切壁461に比べて直径が大きい。ただし、排出側第1仕切壁462と吸入側第1仕切壁461とは直径が同じでもよいし、排出側第1仕切壁462の方が吸入側第1仕切壁461に比べて直径が小さくてもよい。
【0036】
第1仕切壁46は側面に開口部46aを有する。開口部46aは、切欠きであってもよいし、貫通孔であってもよい。開口部46aを切欠きとすると、蓋体40を樹脂成形する際に使用する金型が複雑になることを避けられる。本実施形態では、開口部46aは、吸入側第1仕切壁461及び排出側第1仕切壁462のいずれにおいても、下端部に設けられる切欠きである。2つの吸入側第1仕切壁461において、開口部46aが設けられる位置は同じであり、前方下端部に設けられる。2つの排出側第1仕切壁462において、開口部46aが設けられる位置は異なる。前方の排出側第1仕切壁462は前方下端部に開口部46aが設けられる。後方の排出側第1仕切壁462は、前方下端部から右側にずれた位置に開口部46aが設けられる。本実施形態では、前後方向に並ぶ2つの排出側第1仕切壁462が接続されているために、2つの排出側第1仕切壁462の間で、開口部46aの位置がずれている。
【0037】
なお、2つの吸入側第1仕切壁461の間で、開口部46aが設けられる位置は異なってもよい。2つの排出側第1仕切壁462において、開口部46aが設けられる位置は同じであってもよい。
【0038】
蓋体40は、内側に、上下に延び、第1仕切壁46を囲む第2仕切壁47を有する。本実施形態では、吸入室44と排出室45とのそれぞれに、上からの平面視において、矩形状の第2仕切壁47が設けられる。上からの平面視において、第2仕切壁47の後方側面のうち、左右の端部の一方が開口する。以下、吸入室44側の第2仕切壁47を吸入側第2仕切壁471と表現し、排出室45側の第2仕切壁47を排出側第2仕切壁472と表現する。
【0039】
上からの平面視において、吸入側第2仕切壁471は、後方側面のうち右側の端部が開口する。排出側第2仕切壁472は、後方側面のうち左側の端部が開口する。すなわち、吸入側第2仕切壁471及び排出側第2仕切壁472は、いずれも開口した端部側が分離壁43と接続される。本実施形態では、吸入側第2仕切壁471及び排出側第2仕切壁472は、それぞれ、後方下端部に1箇所ずつ設けられた切欠き部47aにより開口する。切欠き部47aは分離壁43の近傍に設けられる。吸入側第2仕切壁471は、2つの吸入側第1仕切壁461を囲む。吸入側第2仕切壁471と、吸入側第1仕切壁461との間には隙間が設けられる。吸入側第2仕切壁471と、吸入室44を構成する蓋体40の内壁との間には隙間が設けられる。排出側第2仕切壁472は、2つの排出側第1仕切壁462を囲む。排出側第2仕切壁472と、排出側第1仕切壁462との間には隙間が設けられる。排出側第2仕切壁472と、排出室45を構成する蓋体40の内壁との間には隙間が設けられる。
【0040】
吸入側第1仕切壁461及び排出側第1仕切壁462は、上からの平面視において円形状である。吸入側第2仕切壁471及び排出側第2仕切壁472は、上からの平面視において矩形状である。そのため、流体が吸入ポート41から吸入側第1仕切壁461に至るまで、流体が通る隙間の断面積は増減を繰り返す。これにより、流体が壁面に衝突し、叩き音が摩擦によって熱エネルギーに変換され易い。この結果、排出ポート42から排出される叩き音を低減することができ、ポンプ1の騒音を低減できる。
【0041】
吸入側第2仕切壁471で吸入側第1仕切壁461を囲むことによって、流体が吸入ポート41から吸入側第1仕切壁461に至るまでの経路長を長くすることができる。排出側第2仕切壁472で排出側第1仕切壁462を囲むことによって、流体が排出側第1仕切壁462から排出ポート42に至るまでの経路長を長くすることができる。これにより、排出ポート42から排出される叩き音を低減することができ、ポンプ1の騒音を低減できる。
【0042】
なお、本実施形態では、第2仕切壁47が複数の第1仕切壁46を囲む構成としたが、これに限らず、第2仕切壁47は1つの第1仕切壁46のみを囲む構成としてもよい。この構成では、第1仕切壁46が複数ある場合には、第2仕切壁47の数も複数になる。また、第1仕切壁46は、第2仕切壁を含む複数の仕切壁によって、例えば二重或いは三重に囲まれてもよい。
【0043】
<5.ポンプの動作>
図8は、蓋体40における流体の流れを示す図である。主に、
図6及び
図8を参照して、ポンプ1の動作を説明する。
【0044】
モータ12が駆動を開始すると、可動部22が上下方向の運動を開始する。可動部22が下降すると、ポンプ室60は膨張して負圧になる。ポンプ室60が負圧になると、吸入側弁体361が下がり、吸入側弁座部351に設けられる通気孔37を介して吸入室44からポンプ室60に流体が吸入される。負圧下では、排出側弁体362は、排出側弁座部352に設けられる通気孔37を閉じたままである。
【0045】
なお、吸入室44においては、吸入ポート41から流体が吸入される。吸入室44に吸入された流体は、吸入室44を構成する蓋体40の内壁と、吸入側第2仕切壁471との間の隙間を通って切欠き部47aに至る。切欠き部47aに至った流体は、吸入側第2仕切壁471と、吸入側第1仕切壁461との間の隙間を通り、開口部46aを介して吸入側第1仕切壁461の内側に入る。吸入側第1仕切壁461の内側の流体は、通気孔37を介してポンプ室60に吸入される。
【0046】
一方、可動部22が上昇すると、ポンプ室60は圧縮されて正圧になる。ポンプ室60が正圧になると、排出側弁体362が上がり、排出側弁座部352に設けられる通気孔37を介してポンプ室60から排出室45に流体が排出される。正圧下では、吸入側弁体361は、吸入側弁座部351に設けられる通気孔37を閉じたままである。
【0047】
排出側第1仕切壁461の内側に排出された流体は、開口部46aを介して、排出側第1仕切壁462と排出側第2仕切壁472との間の隙間に入り、当該隙間を通って切欠き部47aに至る。切欠き部47aに至った流体は、排出側第2仕切壁472と、排出室45を構成する蓋体40の内壁との間の隙間を通り、排出ポート42を介して外部に排出される。
【0048】
可動部22の上下方向の運動の繰り返しによって、上述の流体の吸入と排出とが繰り返される。例えばポンプ1が真空ポンプである場合、ポンプ1の吸入動作により、真空にしたい容器からポンプ1へと気体が吸入され、ポンプ1の排出動作により、ポンプ1が容器から吸入した気体が外部に排出される。この繰り返しにより、真空にしたい容器の真空度を高めることができる。
【0049】
<6.弁座部の詳細>
図9は、弁座部35の構成例を説明するための模式図である。
図9には、弁体36の軸部36aも示されている。
図9において、弁座部35は、複数の通気孔37が振り分けられる第1領域R1と第2領域R2とを有する。軸部36aの中心線Cを含む互いに直交する2つの平面P1、P2によって区画される四区画S1~S4のうち、
中心線Cを中心として互いに対向する2つの区画S1、S3の一方に第1領域R1は位置し、他方に第2領域R2は位置する。互いに直交する2つの平面P1、P2は、仮想の平面であり、任意に設定される。本実施形態では、区画S1に第1領域R1は位置し、区画S
3に第2領域R2は位置する。なお、軸部36aの中心線Cは
図6に示すように上下方向に延びる。
図9においては、軸部36aの中心線Cは紙面と直交する方向に延びる。
【0050】
図9に例示する構成によれば、第1領域R1と第2領域R2とを、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向に90°以上離して配置することができる。すなわち、
図9に例示する構成によれば、弁座部35に設ける通気孔37を、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向の一部に偏って配置することができる。このような構成によれば、流体が流体通過部34を通過する際に、傘部36bの偏った位置のみを弁座部35に対して浮き易くすることができる。この結果、流体の通過後に、弁体36が通気孔37を閉じる際に、弁体36が弁座部35と衝突する際の衝撃を低減することができる。この衝撃の低減によって、弁体36と弁座部35との衝突によって発生する叩き音を低減することができる。
【0051】
詳細には、第1領域R1と第2領域R2とは、軸部36aの中心線Cを中心とする径方向に対向している。これによれば、第1領域R1と第2領域R2とを、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向に大きく離すことができる。このために、第1領域R1及び第2領域R2から周方向にずれた位置において、傘部36bを弁座部35に対して浮き難くすることができる。すなわち、傘部36bが浮く範囲を少なくできる。この結果、弁体36と弁座部35との衝突によって発生する叩き音を低減することができる。
【0052】
第1領域R1及び第2領域R2は、それぞれ、通気孔37を1つずつ有する。これによれば、各領域R1、R2に配置される通気孔37の数が少ないために、第1領域R1と第2領域R2とを離し易くすることができる。また、これによれば、通気孔37の数を最小限として叩き音の発生を抑制することができる。
【0053】
詳細には、第1領域R1の通気孔37の中心と、第2領域R2の通気孔37中心とは、軸部36aの中心線Cを中心とする同一円周上に配置され、周方向に180°離れている。第1領域R1の通気孔37と、第2領域R2の通気孔37とは、上からの平面視において、直径が同一サイズの円形状である。
【0054】
図10及び
図11は、
図9に示す弁座部35の変形例を説明するための図である。
図10及び
図11には、弁体36の軸部36aも示されている。各領域R1、R2に振り分けられる通気孔37の数は、1つに限らず、1つ以上であればよい。
【0055】
例えば、
図10に示すように、弁座部35Aにおいては、第1領域R1A及び第2領域R2Aに振り分けられる通気孔37の数は、いずれも複数であってよい。
図10に示す例では、各領域R1A、R2Aに2つずつの通気孔37が振り分けられている。各領域R1A、R2Aに振り分けられる通気孔37の数は3つ以上であってよい。各領域R1A、R1Bに配置される複数の通気孔37の配置の仕方は特に限定されない。複数の通気孔37は、例えば、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向に並べて配置されたり、径方向に並べて配置されたりしてよい。
【0056】
また、
図11に示すように、弁座部35Bにおいては、第1領域R1Bと第2領域R2Bとで、通気孔37の配列の仕方が異なってよい。詳細には、第1領域R1Bと第2領域R2Bとで、通気孔37の数が異なってよい。
図11に示す例では、第1領域R1Bの通気孔37の数は1つであり、第2領域R2Bの通気孔37の数は2つである。また、第1領域R1Bと第2領域R2Bとに同数の複数の通気孔37が配置される場合に、複数の通気孔37の設けられる位置及び並び方が異なってよい。
【0057】
図12は、流体通過部34と第1仕切壁46との関係の一例を示す図である。
図12に示すように、開口部46aは、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向において、第1領域R1と第2領域R2との間に位置することが好ましい。これによれば、弁体36と弁座部35との衝突によって叩き音が生じる位置から離れた位置に開口部46aを配置することができる。この結果、叩き音が外部に到達する経路長を長くすることができる。また、この構成では、叩き音が狭い空間である開口部46aを通過するために、叩き音が摩擦によって熱エネルギーに変換され、外部に漏れる叩き音を小さくすることができる。
【0058】
なお、
図12に示す例では、開口部46aは、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向において、第1領域R1と第2領域R2との中間部に位置する。ただし、開口部46aは、前述の中間部から、第1領域R1側、或いは、第2領域R2側にずれた位置であってよい。
【0059】
吸入側流体通過部341と排出側流体通過部342とのうち、少なくとも排出側流体通過部342の排出側弁座部352は、第1領域R1及び第2領域R2を有する。これによれば、少なくともポンプ1における流体の流れの下流側に、弁体36と弁座部35との衝突に伴って発生する叩き音を低減する構造が配置される。すなわち、本構成によれば、少なくとも叩き音が外部に漏れ易い側に、叩き音を低減する構造が配置されることになる。したがって、吸入側流体通過部341側にのみ叩き音を低減する構造を設ける場合に比べて、叩き音の抑制効果を向上することができる。
【0060】
本実施形態では、排出側弁座部352は第1領域R1及び第2領域R2を有する。すなわち、排出側弁座部352は、上述した
図9に示す構成を有する。吸入側弁座部351は、第1領域R1及び第2領域R2は有さない。すなわち、吸入側流体通過部341の吸入側弁座部351は、複数の通気孔37の配列が排出側弁座部352と異なる。これによれば、騒音に関わる特性のみならず、ポンプ1の他の特性を向上することができる。
【0061】
なお、吸入側弁座部351も、排出側弁座部351と同様に、第1領域R1及び第2領域R2を有する構成としてもよい。これによれば、弁体36と弁座部35との衝突によって生じる叩き音の抑制効果を増大することができる。
【0062】
図13は、本実施形態の吸入側弁座部351の概略図である。
図13には、弁体36の軸部36aも示されている。
図13に示すように、吸入側弁座部351は、排出側弁座部352と比較して、通気孔37の数、直径、及び配置が異なる。なお、吸入側弁座部351に設けられる複数の通気孔37は同一サイズ及び同一形状である。吸入側弁座部351に設けられる複数の通気孔37は円形状である。
【0063】
詳細には、吸入側弁座部351は、排出側弁座部352より多くの通気孔37を有する。本実施形態では、吸入側弁座部351の通気孔37の数は8個である。吸入側弁座部351の複数の通気孔37は、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向に等間隔に配置される。本実施形態では、8個の通気孔37が、軸部36aの中心線Cを中心とする周方向に45°おきに配置される。吸入側弁座部351の通気孔37は、排出側弁座部352の通気孔37よりも直径が大きい。吸入側弁座部351の複数の通気孔37の中心は、軸部36aの中心線Cを中心とする同一円周上に配置される。この円周の直径は、排出側弁座部352の通気孔37の中心が配置される円周の直径よりも大きい。本実施形態によれば、叩き音による騒音を低減できると共に、ポンプ効率の向上することができる。
【0064】
ただし、吸入側弁座部351の通気孔37と、排出側弁座部352の通気孔37とは同一サイズであってもよい。吸入側弁座部351の通気孔37の直径の方が、排出側弁座部352の通気孔37の直径よりも小さくてもよい。吸入側弁座部351の複数の通気孔37が配置される円周の直径と、排出側弁座部352の複数の通気孔37が配置される円周の直径とは、同じでもよいし、排出側弁座部352の方が大きくてもよい。
【0065】
本実施形態では、下流側の流体通過部34である排出側流体通過部342において、通気孔37を第1領域R1及び第2領域R2に偏って配置することによって、排出側弁体362と排出側弁座部352との衝突に伴って発生する叩き音を抑制している。そして、流体の流れに乗って外部に運ばれる叩き音は、開口部46a、切欠き部47a、排出ポート42といった狭い空間を通過する際に、熱エネルギーに変化し易くなっている。更に、排出側第1仕切壁462及び排出側第2仕切壁472によって、排出側流体通過部342を通過した流体が排出ポート42に至る経路長は長くなっている。このために、排出ポート42から漏れる叩き音を小さくすることができる。
【0066】
図14は、蓋体40の水平断面の一部を示した図である。
図14に示すように、排出ポート42の内径は、吸入ポート41の内径よりも小さい。詳細には、吸入ポート41は、前後方向に延びる吸入側筒部41aを有する。吸入側筒部41aは、前端部が吸入ポートの入口部分41bに通じ、後端部が吸入室44に通じる。排出ポート42は、前後方向に延びる排出側筒部42aを有する。排出側筒部42aは、前端部が排出ポート42の出口部分42
bに通じ、後端部が排出室45に通じる。排出側筒部42
aの内径は、吸入側筒部41
aの内径より小さい。例えば、排出側筒部42
aの内径は、吸入側筒部41
aの内径の半分とされる。なお、本実施形態では、前後方向に延びる出口部分42
bの直径も、入口部分41
bの直径に比べて小さくなっている。
【0067】
本実施形態では、叩き音を外部に排出する排出ポート42の内径が狭く構成されている。このために、叩き音は、排出ポート42を通過する際に、摩擦によって熱エネルギーに変換され易い。この結果、排出ポート42から排出される叩き音を低減することができる。
【0068】
<7.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0069】
以上に示した実施形態では、可動部22は上下方向に振動してポンプ室60の容積を変動させる構成とした。この構成に限らず、例えば、可動部22は、前後方向や左右方向に振動してポンプ室60の容積を変動させる構成としてよい。この場合、駆動部10の構成は、本実施形態の構成から変更する必要がある。
【0070】
また、以上に示した実施形態では、ポンプ1は、可動部22がダイヤフラムで構成されるダイヤフラムポンプとした。この構成に限らず、可動部22は、例えばピストン等の他の部材で構成されてもよい。
【0071】
また、以上に示した実施形態では、駆動部10がモータ12とクランク部13とを有する構成とした。この構成に限らず、駆動部は、例えば、電磁石と、電磁石の極性変化に伴い振動する振動子とを有する構成としてよい。すなわち、本発明は、例えば電磁式のダイヤフラムポンプにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えばダイヤフラムポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1・・・ポンプ
10・・・駆動部
22・・・可動部
32・・・隔壁部
34・・・流体通過部
35・・・弁座部
36・・・弁体
36a・・・軸部
37・・・通気孔
40・・・蓋体
41・・・吸入ポート
42・・・排出ポート
46・・・第1仕切壁
46a・・・開口部
47・・・第2仕切壁
60・・・ポンプ室
341・・・吸入側流体通過部
342・・・排出側流体通過部
351・・・吸入側弁座部
352・・・排出側弁座部
C・・・中心線
P1、P2・・・平面
R1・・・第1領域
R2・・・第2領域
S1~S4・・・区画