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  • 特許-スライス肉のトレー盛付装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】スライス肉のトレー盛付装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/53 20060101AFI20220209BHJP
   B65G 21/14 20060101ALI20220209BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20220209BHJP
   B65B 35/24 20060101ALI20220209BHJP
   B26D 7/32 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
B65G47/53 G
B65G21/14 A
A22C17/00
B65B35/24
B26D7/32 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017193648
(22)【出願日】2017-10-03
(65)【公開番号】P2019064808
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226775(JP,A)
【文献】特開平07-096914(JP,A)
【文献】特開2012-223193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/53
B65G 21/14
A22C 17/00
B65B 35/24
B26D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス肉を搬送するコンベヤと、このコンベヤの走行方向に対し直交且つ水平方向に走行して、前記コンベヤの搬送終端部下方へトレーを移送する無端体を有したトレー移送装置とを備え、
前記コンベヤの終端部から落下するスライス肉を、前記トレー移送装置によって移送されてスライス肉の落下位置で待機したトレー内に落下させて盛り付けるスライス肉のトレー盛付装置において、
前記スライス肉の落下位置における前記無端帯の側部に、トレーの両側端部を上下から挟んだ状態で移送方向に沿って案内する案内具が取り付けられた昇降手段を設け、
前記トレー移送装置によって移送されてきたトレーの位置前記スライス肉の落下位置に合致したときに、この落下位置に合致したトレーの両側端部を上下から挟んだままの案内具を前記昇降手段によって上昇させ、これによって上昇したトレー内にスライス肉が落下てからこの案内具を下降させる構成とした
ことを特徴とするスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項2】
前記案内具によって、トレーの両側端部を上下および左右から挟んだ状態で案内する構成とした
請求項1に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項3】
積層状態のトレーを貯留するタンクと、このタンクの下方からトレーを分離する分離手段を設け、
前記トレー移送装置に有した無端体を、この分離手段によるトレーの分離位置からその反対側のコンベヤ側部までトレーを移送するように移送フレームに支持した
請求項1または請求項2に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項4】
前記コンベヤの終端部付近に、このコンベヤの左右幅に亘って、スライス肉の補助搬送手段或いは前記コンベヤ表面の付着物削ぎ取り手段を設け、
該手段の構成部材が前記コンベヤの下面より下方に突出する構成とした
請求項1または請求項2または請求項3に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項5】
前記コンベヤの終端部が、前記補助搬送手段或いは前記付着物削ぎ取り手段とともに後退して、前記コンベヤ上で単一のトレーに盛り付けられる分量毎に仕分けられたスライス肉をトレー内に落下させて盛り付ける構成とした
請求項に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項6】
前記補助搬送手段前記コンベヤ表面に外周面を近接させて回転する中継ローラーとし
前記構成部材を、前記中継ローラーの回転軸心延長上の前記コンベヤ側部に設けられて前記中継ローラーを支持する支持部材と、前記中継ローラーの駆動部から形成した
請求項4または請求項5に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【請求項7】
複数列に分かれたスライス肉を前記コンベヤで搬送し、
前記トレー移送装置によって移送されてきた複数のトレーの位置が、各列のスライス肉の落下位置にそれぞれ合致したときに、これらの落下位置に合致した複数のトレーの両側端部を同時に挟んだままの案内具を前記昇降手段によって昇降させ、この複数のトレーを同時に昇降させる構成とした
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスライス肉のトレー盛付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食肉塊を薄切りしたスライス肉を販売用の小トレーに盛り付ける盛付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する従来のスライス肉のトレー盛付装置としては、例えば特許文献1(特公昭63-19319号公報)に開示されたものがある。
この文献の図1には、スライサーから切り出されるスライス肉を整列搬送ベルトで受け取り、整列状に載置されたスライス肉をそのままの状態でベルト直下位置へ順次上昇するパイレスに連係的に移乗させる盛付装置が記載されている。
この盛付装置は、比較的容量の大きいディスプレイ用など一時保管用パイレスへの盛付用であると認められ、上下方向に移送されるパイレスの移送装置が空パイレスの補給を含めて煩雑で販売用小トレー盛付用としては適しない。
又、特許文献2(特開2011-161622号公報)においては、スライサーから切り出されるスライス肉をコンベヤの始端部で受け取り終端部から中継ローラーを介してトレー内に落下させて盛り付けている。
【0003】
このような盛付装置においては、スライス肉をコンベヤの終端部からトレー内に落下させて盛り付ける際に、乱れなく整然と盛り付けるためには、コンベヤの終端部のスライス肉が離れる位置からトレーまでの距離が近いことが好ましい。
上記いずれの文献においても詳細な構成が示されてないが、コンベヤ終端部の各ローラーは、少なくとも構成部材の一部がコンベヤ下面より下方に突出することが想定される。
特に、トレーがコンベヤの走行方向に対し直交し且つ水平方向に移送される販売用小トレーへの盛付用とした場合、突出した構成部材を避けて下側を移送しなければならないので、トレーまでの落下距離はそれだけ遠くなり乱れの一因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-19319号公報
【文献】特開2011-161622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような問題点に鑑み、スライス肉を搬送するコンベヤの走行方向に対し直交し且つ水平方向に移送されるトレーの移送装置において、コンベヤ終端部からトレーまでの距離を縮めて確実にスライス肉を盛り付けられるスライス肉の販売用小トレーへの盛付に最適な盛付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、スライス肉を搬送するコンベヤと、このコンベヤの走行方向に対し直交且つ水平方向に走行して、前記コンベヤの搬送終端部下方へトレーを移送する無端体を有したトレー移送装置とを備え、前記コンベヤの終端部から落下するスライス肉を、前記トレー移送装置によって移送されてスライス肉の落下位置で待機したトレー内に落下させて盛り付けるスライス肉のトレー盛付装置において、前記スライス肉の落下位置における前記無端帯の側部に、トレーの両側端部を上下から挟んだ状態で移送方向に沿って案内する案内具が取り付けられた昇降手段を設け、前記トレー移送装置によって移送されてきたトレーの位置前記スライス肉の落下位置に合致したときに、この落下位置に合致したトレーの両側端部を上下から挟んだままの案内具を前記昇降手段によって上昇させ、これによって上昇したトレー内にスライス肉が落下てからこの案内具を下降させる構成としたスライス肉のトレー盛付装置とする
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記案内具によって、トレーの両側端部を上下および左右から挟んだ状態で案内する構成とした請求項1に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、積層状態のトレーを貯留するタンクと、このタンクの下方からトレーを分離する分離手段を設け、前記トレー移送装置に有した無端体を、この分離手段によるトレーの分離位置からその反対側のコンベヤ側部までトレーを移送するように移送フレームに支持した請求項1または請求項2に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記コンベヤの終端部付近に、このコンベヤの左右幅に亘って、スライス肉の補助搬送手段或いは前記コンベヤ表面の付着物削ぎ取り手段を設け、該手段の構成部材が前記コンベヤの下面より下方に突出する構成とした請求項1または請求項2または請求項3に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記コンベヤの終端部が、前記補助搬送手段或いは前記付着物削ぎ取り手段とともに後退して、前記コンベヤ上で単一のトレーに盛り付けられる分量毎に仕分けられたスライス肉をトレー内に落下させて盛り付ける構成とした請求項に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記補助搬送手段前記コンベヤ表面に外周面を近接させて回転する中継ローラーとし前記構成部材を、前記中継ローラーの回転軸心延長上の前記コンベヤ側部に設けられて前記中継ローラーを支持する支持部材と、前記中継ローラーの駆動部から形成した請求項4または請求項5に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする
【0012】
請求項7に記載の発明は、複数列に分かれたスライス肉を前記コンベヤで搬送し、前記トレー移送装置によって移送されてきた複数のトレーの位置が、各列のスライス肉の落下位置にそれぞれ合致したときに、これらの落下位置に合致した複数のトレーの両側端部を同時に挟んだままの案内具を前記昇降手段によって昇降させ、この複数のトレーを同時に昇降させる構成とした請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスライス肉のトレー盛付装置とする
【発明の効果】
【0013】
コンベヤの終端部からスライス肉をトレー内に落下させ盛り付ける際に、トレーをコンベヤに接近させられるので正確に盛り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例の要部を模式的に示す側面図である。
図2図1に示すコンベヤ終端部におけるトレー盛付部の詳細な拡大図である。
図3図1における詳細な正面図である。
図4図3の要部を拡大した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るスライス肉のトレー盛付装置は、スライサーから切り出されコンベヤで搬送される牛や豚肉のスライス肉を、コンベヤの終端部からコンベヤの走行方向に対し直交し且つ水平方向に移送される販売用の小トレーに100~1,000g程度ずつに小分けして盛り付けるに最適な盛付装置である。
実施例として図1に全体構成が模式的に示されるが、肉箱1がクランク機構によって上下方向に揺動され、上動するとき肉箱1に保持された食肉塊の先端部を刃物(図示なし)でスライスし、切り出されるスライス肉mを刃物直下に設けられた回転体2の表面で受け取り中継ぎ位置まで移送する。
中継ぎ位置には中継ぎ片3が揺動自在に設けられていて、回転体2からスライス肉mを剥ぎ取り中心付近から2ッ折りして搬送用のコンベ4の始端部へ移載する。スライス肉mは1パック分量(1個のトレーに盛り付けられる量)毎に、折り畳み線を前にして一部を積み重ねた鱗列状に並べられコンベヤ4の終端部まで搬送される。
終端部下方のスライス肉落下位置には、搬送されたスライス肉mが盛り付けられるトレー5が待機していて、スライス肉mがコンベヤ4の終端部から1パック分量毎にトレー5内に落下し盛付けられる構成である。
尚、本実施例においてはスライス肉を中継ぎ位置で中心部付近から2ッ折としたが、折り畳まないで切り出されたままの広げられた状態であってもよい。
【0016】
次に、本発明の要旨であるコンベヤ4の終端部周辺における構成について図2~4に基づき説明する。
本実施例におけるコンベヤ4は、コンベヤ両側に設けられたコンベヤ側板6,6に支持される複数のコンベヤローラー7,7・・に掛け回させたベルトコンベヤであって、コンベヤ4の終端部は、スライス肉の落下位置で待機するトレー5内に、コンベヤ4で搬送されてきた1パック分量のスライス肉mを、姿勢を保持したまま一挙に盛り付けるために、スライス肉mが終端部に達すれば、図2における仮想線から実線の状態に適宜手段で矢印の走行方向に沿って比較的急速に後退させてスライス肉mをトレー5内に落下させてから復帰する構成とされる。
【0017】
コンベヤ終端部におけるスライス肉の補助搬送手段として、終端部におけるコンベヤ4の全幅に亘ってコンベヤ4表面に外周面を近接させて回転する中継ローラー8が設けられる。
中継ローラー8は、比較的小径であってコンベヤ終端部のスライス肉mが離れる位置付近に設けられ、コンベヤ4の走行方向に反して回転してスライス肉mを持ち回りさせないようコンベヤ周面から剥離して周面でトレー5内に誘導し落下させる。
この中継ローラー8は、中継ローラー8の回転軸心延長上の左右コンベヤ側板6,6に設けられた支持部材9、10によって支持される構成であるが、一方の支持部材10には、中継ローラー8の回転駆動装置が内蔵され、図2に示されるように本実施例における補助搬送手段の構成部材である支持部材10の一部がコンベヤ4の下面より下方に突き出された構成となる。
【0018】
コンベヤ表面の付着物削ぎ取り手段は、図示は省略するがコンベヤ4の終端部のスライス肉が離れる位置付近のコンベヤ表面の全幅に亘って先端部を接触させてスライス肉mを剥ぎ取って持ち回りを防いだり、油脂分などコンベヤ表面の付着物を削ぎ取る樹脂などの軟質板からなるスクレーパーであって、このスクレーパーの保持具がコンベヤ4の下面より下方に突き出た状態でコンベヤ側板に支持される構成である。
このスクレーパーは、中継ローラー8に比べて構造簡単で安価であるが柔らかくて粘着性が強い生肉ではスクレーパーに付着して剥がれず機能が充分に発揮されないことがある。
【0019】
次にスライス肉mが盛り付けられるトレー5の移送装置について説明する。
本発明においては、トレー5はコンベヤ4の走行方向に対し直交し且つ水平方向に走行するトレーの移送装置で移送される構成であって、図3に示されるようにスライス肉mのトレー5への落下位置付近の一側に積層された空トレーの貯留タンク12が斜設されていて、貯留タンク12の下方には積層トレーからトレー5を一個ずつ分離する分離手段13が設けられている。
【0020】
このトレーの移送装置には、トレー5の分離位置から反対側のコンベ側部までトレー5を水平方向に移送するように移送フレームに軸支されたトレーローラー14,14に掛け回されたトレー用無端帯15にトレー5の背部に当接してトレー5を移送する複数の移送片16、16・・が設けられる。
【0021】
トレー5が移送される先は、コンベヤ4の終端部の下方位置におけるコンベヤ4の終端部からのスライス肉mの落下位置であって、できるだけコンベヤ4に近い高さ位置が望ましいが、コンベヤ4によるスライス肉mの移送方向がトレー4の移送方向に対して直交する構成においては、コンベヤ下面から突き出た構成部材より離れた下方位置(図において実線で示されるトレー移送ライン)を移送しなければならず、その分だけコンベヤ4からトレー5までの距離が遠くなり盛り付けが難しくなる。
分離手段13で1個ずつ分離されたトレー5は、図2に示されるトレー移送方向に沿ってトレー5の両側に延設されたトレー5の両側端部を上下、左右から緩く挟んで案内する一対の案内具17,17によって案内されながらトレー用無端帯15に設けられた移送片16でスライス肉mの落下位置まで送られる。
【0022】
このようなトレーの移送装置には、トレー5がコンベヤ終端部からのスライス肉mの落下位置に合致すると、トレー5を挟んだままの案内具17,17を図2に示す仮想線の状態から持ち上げ、コンベヤ両側から突き出された構成部材を避けて、図2の実線の状態のようにコンベヤ4に近づけるべく昇降させる伸縮手段が設けられる。
この伸縮手段は、スライス肉mの落下位置におけるトレー搬送用無端帯の両側に設けられた、案内具17、17が取り付けられたエアーシリンダー18、18であって、このシリンダー18、18によってトレー5がコンベヤ4に接近した所定の位置に達するタイミングに合わせて、スライス肉mが搬送されてくるとコンベヤ4の終端部がコンベヤ4の走行方向に沿って後退してスライス肉mがトレー内に落下して盛り付けられる。
【0023】
盛付が終わればエアーシリンダー18が収縮してスライス肉mが盛り付けられたトレー5は下降して元の位置に戻され次工程に向けて送り出される。トレー5はトレー5の移送方向に延設された案内具17,17によって図2に示すように上下、左右方向ともに規制された状態でトレー5の姿勢が保持されるのでスライス肉mを確実に受取り正確に盛り付けることができる。また昇降時においてもトレー5が案内具17,17に保持された状態で正確に動作されるのでサイクルタイムを乱すおそれもない。
これら一連の動作は、スライス肉の切り出しタイミングを基準として関連部材を適宜の手段で制御して連続的に繰り返される。
【0024】
本実施例に於いては、スライス肉mが2条列に分かれてコンベヤ4で搬送され、終端部におけるスライス肉mの落下位置には、それぞれの条列に対向してトレー5,5が待機していて、両トレー5,5はエアーシリンダー18、18によって同時に昇降されるよう構成される。
【符号の説明】
【0025】
4 コンベヤ
5 トレー
6 コンベヤ側板
16 移送片
17 案内具
18 エアーシリンダー
図1
図2
図3
図4