(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ボトルカバー及びボトルカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20220209BHJP
A47G 23/02 20060101ALI20220209BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B65D81/38 R
A47G23/02 A
B65D23/00 F
(21)【出願番号】P 2021130400
(22)【出願日】2021-08-08
【審査請求日】2021-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2020137012
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第30条第2項適用、令和3年1月4日に株式会社リスタンダードに販売、令和3年3月28日に市立船橋高校サッカ一部に寄贈、令和3年6月5日にジェフユナイテッド株式会社に販売、令和3年6月22日に明治大学体育会サッカ一部に寄贈、令和3年6月26日に株式会社グローフィールドに卸した、令和3年7月3日に株式会社品川カルチャークラブに販売、令和3年7月17日に株式会社グローフィールドに卸した
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520308673
【氏名又は名称】松ヶ枝 泰介
(74)【代理人】
【識別番号】100190274
【氏名又は名称】山下 滋之
(72)【発明者】
【氏名】松ヶ枝 泰介
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-018955(JP,U)
【文献】特開2000-142782(JP,A)
【文献】特表2009-532296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
A47G 23/02
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡合成ゴム素材からなる円板状の底部と、
発泡合成ゴム素材からなり、一端部における内面が接着剤によって前記底部の側面に接合された筒状の本体部と、
中央に開口を有する円板状の、発泡合成ゴム素材からなる肩部材により構成され、外側面が接着剤によって前記本体部の他端部側の端面に接合されてテーパ状に形成された肩部と、を有
し、
前記本体部は、
平面視矩形状の本体部材の両側端部が接着剤によって接合されたものである、ボトルカバー。
【請求項2】
前記本体部の前記両側端部の接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の本体補強部材を有する、請求項
1に記載のボトルカバー。
【請求項3】
前記本体部と前記肩部との接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の肩部補強部材を有する、請求項1
又は2に記載のボトルカバー。
【請求項4】
発泡合成ゴム素材からなる円板状の底部と、
発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の本体部材の両側端部が接着剤によって接合されたものであり、一端部における内面が接着剤により前記底部の側面に接合された筒状の本体部と、
中央に開口を有する円板状の、発泡合成ゴム素材からなる肩部材により構成され、外側面が接着剤によって前記本体部の他端部側の端面に接合されてテーパ状に形成された肩部と、
前記本体部の前記両側端部の接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の本体補強部材と、
前記本体部と前記肩部との接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の肩部補強部材と、を有する、ボトルカバー。
【請求項5】
発泡合成ゴム素材からなる平面視円形状の底部材の側面と、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の本体部材の、前記底部材側に配置される端部の該底部材側の面とに接着剤を塗布した後、前記底部材の側面と
前記本体部材の前記底部材側の
接着剤を塗布した面とを接合させ
る底部接合工程と、
前記本体部材の両側端面に接着剤を塗布した後、該両側端面を接合させて円筒状の本体部を形成する本体接合工程と、
発泡合成ゴム素材からなる平面視円環形状の肩部材の外側面と、前記本体部の前記底部材とは反対側の端部である肩端部とに接着剤を塗布した後、前記肩部材の外側面と前記肩端部とを接合させる肩部接合工程と、を有する、ボトルカバーの製造方法。
【請求項6】
前記本体接合工程における接合箇所を塞ぐように帯状の本体補強部材を貼り付ける本体補強工程を有する、請求項5に記載のボトルカバーの製造方法。
【請求項7】
前記肩部接合工程における前記肩部材の外側面と前記肩端部との接合箇所を塞ぐように帯状の肩部補強部材を貼り付ける肩部補強工程を有する、請求項5又は6に記載のボトルカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に飲料等の液体を入れる樹脂製の飲料用容器を覆うボトルカバー及びボトルカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料等の液体を入れておくための、樹脂製の飲料用容器が多く利用されている。低温の液体を樹脂製の飲料用容器に入れておくと、結露によって容器の表面に水滴が付着することから、持つ手が濡れるだけでなく、鞄などに入れると中の持ち物が濡れてしまうため、持ち運びなどの場面で不都合が生じる。そこで、以下のようなボトルカバーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のボトルカバーは、パイル編みの生地からなる本体の両端にゴム編み部分が設けられた筒状のものであり、ペットボトルに被せたとき、上側のゴム編み部分がペットボトルの肩部に位置し、下側のゴム編み部分がペットボトルの底部に位置するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のボトルカバーは、下側のゴム編み部がペットボトルの底部の中央寄りに位置し、本体部との間に段差が生じる。したがって、飲料用容器を収容したボトルカバーを載置する際、中央部に位置する下側のゴム編み部だけが載置面に当接するため、安定性に欠ける。また、特許文献1のような従来のボトルカバーは、部材同士を縫い合わせて接合するため、作業の煩雑化・構造の複雑化にも繋がり得る。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構造により結露を防ぎ且つ載置時の安定性を高めるボトルカバー及び該ボトルカバーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るボトルカバーは、発泡合成ゴム素材からなる円板状の底部と、発泡合成ゴム素材からなり、一端部における内面が接着剤によって底部の側面に接合された筒状の本体部と、中央に開口を有する円板状の、発泡合成ゴム素材からなる肩部材により構成され、外側面が接着剤によって本体部の他端部側の端面に接合されてテーパ状に形成された肩部と、を有し、本体部は、平面視矩形状の本体部材の両側端部が接着剤によって接合されたものである。
【0008】
本発明の一態様に係るボトルカバーの製造方法は、発泡合成ゴム素材からなる平面視円形状の底部材の側面と、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の本体部材の、底部材側に配置される端部の該底部材側の面とに接着剤を塗布した後、底部材の側面と本体部材の底部材側の接着剤を塗布した面とを接合させる底部接合工程と、本体部材の両側端面に接着剤を塗布した後、該両側端面を接合させて円筒状の本体部を形成する本体接合工程と、発泡合成ゴム素材からなる平面視円環形状の肩部材の外側面と、本体部の底部材とは反対側の端部である肩端部とに接着剤を塗布した後、肩部材の外側面と肩端部とを接合させる肩部接合工程と、を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発泡合成ゴム素材からなる底部と本体部と肩部とが接着剤で接合され、そのうちの底部の側面は本体部の一端部における内面に接合されているため、少なくとも本体部の一端部側の端面が載置面に当接する。したがって、簡易な構造により結露を防ぐと共に載置時の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るボトルカバーを例示した斜視図である。
【
図5】
図1のボトルカバーに飲料用容器を収容した状態を例示した斜視図である。
【
図6】
図1のボトルカバーの製造方法における各工程を例示したフローチャートである。
【
図7】
図6のボトルカバーを構成する各部材の表側の面を例示した説明図である。
【
図8】
図7の本体部材の裏側の面を例示した説明図である。
【
図9】
図7の底部材に本体部材を接合した状態を例示した説明図である。
【
図10】
図9の本体部材の両側端部を接合した状態を例示した説明図である。
【
図11】
図10の本体部材に肩部材を接合した状態を例示した説明図である。
【
図12】本発明の実施の形態の変形例1に係るボトルカバーの概略断面図である。
【
図13】本発明の実施の形態の変形例2に係るボトルカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態.
まず
図1~
図5を参照して、本発明の実施の形態に係るボトルカバーの構成例について説明する。
図5では、飲料用容器50として、スポーツの場面等で使用されるスクイズボトルを例示している。以下の各図では、図面の煩雑化を避けるため、符号の一部を省略することがある。
【0012】
図1に示すように、ボトルカバー10は、筒状の本体部12と、本体部12の下方に接続された底部14と、本体部12の上方に接続された肩部16と、を有している。肩部16の上方には、開口部18が位置している。また、ボトルカバー10は、本体部12の両側端部の接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の本体補強部材21を有している。さらに、ボトルカバー10は、本体部12と肩部16との接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の肩部補強部材22を有している。
【0013】
本体補強部材21及び肩部補強部材22としては、化学繊維等からなる生地の裏側に接着剤が付いた、アイロンの熱による接着が可能なテープを好適に用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)を原料とする化学繊維の基材に、ブチルゴムを主成分とした粘着層を貼り合わせた高圧絶縁テープを採用することができる。こうしたテープとしては、市販のメルコテープ(サン化成(株)製)などがある。ボトルカバー10は通常、
図1のように、底部14が下側となり、そこから本体部12及び肩部16が上側へ真っ直ぐ延びるような状態で置かれる。そのため、
図1及び
図3に示す白抜き矢印の方向を「高さ方向」と定義する。
【0014】
肩部16は、本体部12に対してテーパ状となるように本体部12に連結されている。よって、
図2からも分かるように、開口部18の径(直径)dは、本体部12の内径Dよりも小さい。例えば、肩部16は、開口部18の径dが約55mmとなるように形成される。上述したとおり、発泡合成ゴム素材には、伸縮性があるため、これらの径は、収納する飲料用容器50の外径よりも小さくするとよい。また、本体部12は、外径が85mm~100mm程度となるように形成される。なお、これらの径は、収納する飲料用容器50のサイズに合わせて変更することができる。ボトルカバー10は、後述するように、本体部材12Aと底部材14Aと肩部材16Aとを結合させて構成されるため、本体部12の外径は、底部14側よりも肩部16側の方が幾分か(3mm~10mm程度)短くなる。この点、スクイズボトルなどの飲料用容器50は、一般に、下方の径よりも上方の径の方が短くなっているため、かかる構成により、収容した飲料用容器50の密着性を高めることができる。
【0015】
本体部12の表面(高さ方向)に対する肩部16の傾斜角度は、本体部12及び肩部16の材料、厚み、大きさ、肩部16の形状などによって決まる。肩部16の傾斜角度を調整する際は、特に、肩部16の材料及び開口部18の径などを調整するとよい。ボトルカバー10は、肩部16を有するため、収納された飲料用容器50を抜けにくくすることができる。ボトルカバー10の長手方向寸法(高さ)は、例えば220mmとなり、その内訳例は、本体部12の高さが205mm、肩部16の高さが15mmといった比率となる。もっとも、この比率は、肩部16の材料及び開口部18の径などに応じて変化する。
【0016】
図3及び
図4に示すように、底部14の側面14sは、本体部12により覆われており、本体部12の一端部側の端面である底部端面12wは外部に露出している。より具体的に、底部14は、発泡合成ゴム素材からなる円板状の部材である。
図1等では符号を省略しているが、本実施の形態の底部14は、
図4に示すように、外側の面である底外面14wに表シート13aが貼り付けられており、内側の面に裏シート13bが貼り付けられている。表シート13a及び裏シート13bは、例えば合成繊維により形成される。
【0017】
本体部12は、発泡合成ゴム素材からなり、一端部12bにおける内面12sが接着剤によって底部14の側面14sに接合され、筒状に形成されている。本体部12は、平面視矩形状の本体部材12Aの両側端部が接着剤によって接合されたものである。すなわち、本体部12は、一方の側端部12cと他方の側端部12dとが接合されて筒状に形成されたものである(後述の
図9参照)。
図1等では符号を省略しているが、本実施の形態の本体部12は、
図4に示すように、外側の面(外側面)に表シート11aが貼り付けられており、内側の面(内側面)に裏シート11bが貼り付けられている。表シート11a及び裏シート11bは、例えば合成繊維により形成される。
【0018】
肩部16は、中央に開口を有する円板状の、発泡合成ゴム素材からなる肩部材16Aにより構成されている。肩部16は、外側面16tが接着剤によって本体部12の他端部側の端面である肩側端面12tに接合され、テーパ状に形成されている。
図1等では符号を省略しているが、本実施の形態の肩部16は、
図4に示すように、外側の面に表シート15aが貼り付けられており、内側の面に裏シート15bが貼り付けられている。表シート15a及び裏シート15bは、例えば合成繊維により形成される。
【0019】
また、本実施の形態におけるボトルカバー10は、
図4に示すように、底部14の底外面14wと、本体部12の底部端面12wとが面一となっている。すなわち、底部14の側面14sが、本体部12の内側面における、底部端面12wから底部14の厚みTと等しい幅の領域に接合されている。したがって、ボトルカバー10の底面全体が載置場所に当接し易くなるため、ボトルカバー10の自立性及び安定性を高めることができる。また、載置時の安定性により、不意な落下や転倒が抑制され、落下した飲料用容器入りのボトルカバー10を踏んでしまうといった二次的なトラブルの未然回避にも繋がるため、安全性を高めることができる。
【0020】
本体部12、底部14、及び肩部16を構成する発泡合成ゴム素材としては、クロロプレンゴム(CR)が好ましい。クロロプレンゴムは、耐侯性、耐熱性、耐油性、耐薬品性などの性能をバランスよく備えている。クロロプレンゴムは、高負荷下における耐破断性に優れ、寸法が変化しにくい材料である。
【0021】
本体部12、底部14、及び肩部16の厚みは、2mm~6mm程度にするとよい。発泡合成ゴム素材は、伸縮性に優れているので、開口部18を拡げ、
図5のように飲料用容器50を挿入することができる。よって、ボトルカバー10では、飲料用容器50を収納するための金属製のスライドファスナー等が不要なので、安全性を高めることができる。また、発泡合成ゴム素材は、保温性に優れるため、結露を防止できるだけでなく、飲料用容器50の内部の液体の保温性が高い。すなわち、ボトルカバー10は、夏場の常温下に放置しておいても、冷たい飲料の冷たさを長時間維持することができ、且つ、人体が衝突したり、不意に踏んだりしても安全なので、スポーツの試合等の場面で好適に用いることができる。さらに、ボトルカバー10は、
図5のように飲料用容器50の形状に合わせて変形し、飲料用容器50の外形にフィットするため、握持時の安定感を高めると共に、保温性の更なる向上を図ることができる。
【0022】
次に、
図6のフローチャートと共に、
図1及び
図7~
図11を参照し、ボトルカバー10の製造方法の具体例について説明する。ここでは、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の部材の表裏に合成繊維が貼り付けられた材料部材から、
図7(a)のような本体部材12Aと、
図7(b)のような肩部材16Aと、
図7(c)のような底部材14Aとを切り出して用いることを想定して説明する。底部材14Aの外周の長さは、本体部材12Aの横幅Wとほぼ等しくなっている。例えば、本体部材12Aの横幅Wは270mm(≒85.95mm×π)に設定され、縦幅Hは210mmに設定され、肩部材16Aの外径D
1は85.95mmに設定され、内径D
2は55.0mmに設定され、底部材14Aの径D
3は85.95mmに設定される。肩部材16Aの外径D
1と底部材14Aの径D
3とは等しくなるように設定するとよい。本体部材12Aの横幅W及び縦幅H、肩部材16Aの外径D
1及び内径D
2、底部材14Aの径D
3は、収納する飲料用容器50のサイズに合わせて適宜変更することができる。
【0023】
〔熱転写処理工程〕
上記の材料部材の所定の箇所に、プレス機を用いて、文字や図柄などを熱転写する。そして、熱転写後の材料部材から、
図7のように、本体部12の元となる本体部材12Aと、底部14の元となる底部材14Aと、肩部16の元となる肩部材16Aとを切り出す。本体部材12Aは、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の部材の表裏に合成繊維が貼り付けられたものである。底部材14Aは、発泡合成ゴム素材からなる平面視円形状の部材の表裏に合成繊維が貼り付けられたものである。肩部材16Aは、発泡合成ゴム素材からなる平面視円環形状の部材の両側に表裏に合成繊維が貼り付けられたものである。
図7(a)及び
図7(b)では、文字などが熱転写された箇所を破線四角で例示している(ステップS101)。
【0024】
〔底部接合工程〕
次いで、底部材14Aの側面14sと、本体部材12Aにおける底部材14A側に配置される端部の該底部材14A側の内面とに、接着剤を塗布する。本体部材12Aにおいて、底部材14A側に配置される端部は、上述した一端部12bに相当し、一端部12bの底部材14A側の内面は、上述した内面12sに相当する。接着剤としては、例えば、ノーテープ9660(ノーテープ工業(株)製)などの液状の接着剤を好適に用いることができる。以下の各工程においても同様である。なお、本体部材12Aに接着剤を塗布する際は、
図8のようにマスキングテープMを用い、塗布領域の幅Pが底部14の厚みTと等しくなるようにするとよい(ステップS102)。そして、予め決められた待ち時間が経過するまで待機し(ステップS103/No)、待ち時間が経過すると(ステップS103/Yes)底部材14Aの側面14sと内面12sとを接合させる。これにより、本体部材12Aは、
図9のように、底部材14Aの側面14sを覆った状態となる。その際、例えば手動式の加圧機を用いて、接着剤で接合させた箇所をより強固に固着させてもよい。加圧機としては、エアニッパMR20(室本鉄工(株)製)などの片手用のエアニッパを好適に用いることができる。すなわち、加圧機により接合箇所の数か所あるいは全域を摘んで加圧し、接合箇所の接着力を高めるようにしてもよい。待ち時間は、使用する接着剤の種類に応じて設定するとよい。以下の各工程においても同様である(ステップS104)。
【0025】
〔本体接合工程〕
次に、
図9のような状態の本体部材12Aの一方の側端部12cと他方の側端部12dとに接着剤を塗布し(ステップS105)、待ち時間が経過するまで待機する(ステップS106/No)。待ち時間が経過すると(ステップS106/Yes)、本体部材12Aの両側端面を接合させて、
図10に示すような円筒状の本体部12を形成する。その際、一方の側端部12cと他方の側端部12dとを底部14側から接着させていくとよい。このときも、手動式の加圧機により接合箇所の数か所あるいは全域を摘んで加圧し、接合箇所の接着力を高めるようにしてもよい(ステップS107)。
【0026】
〔肩部接合工程〕
次いで、肩部材16Aの外側面16tと、本体部12の底部材14Aとは反対側の端部(肩部材16A側に配置される端部)である肩端部に接着剤を塗布する。具体的には、本体部12の底部材14Aとは反対側の端面である肩側端面12tに接着剤を塗布する(ステップS108)。そして、待ち時間が経過するまで待機し(ステップS109/No)、待ち時間が経過すると(ステップS109/Yes)、肩部材16Aの外側面16tと肩側端面12tとを接合させる。例えば、
図10のように、肩側端面12tの一部と外側面16tの一部とを接着させた状態から、少しずつ接着領域を広げていくとよい。これにより、開口部18側に向けて細くなるテーパ状の肩部16が形成される。このときも、手動式の加圧機により接合箇所の数か所あるいは全域を摘んで加圧し、接合箇所の接着力を高めるようにしてもよい(ステップS110)。
【0027】
〔本体補強工程〕
続いて、本体接合工程における接合箇所31を塞ぐように帯状の本体補強部材21を貼り付ける。より具体的に、本体補強部材21として接着剤付きのテープを用いる場合は、接合箇所31に本体補強部材21を重ねた上で、アイロンの熱により本体部12に本体補強部材21を接着させる。本体補強部材21として、接着剤が付いていない化学繊維等を用いる場合は、これとホットメルトテープとを組み合わせることにより、アイロンを用いて本体部12に本体補強部材21を接着させてもよい。上述した各工程と同様、接着剤を用いて本体部12に本体補強部材21を接合させてもよい。この場合は、本体部12の表面の、接合箇所31に沿った本体補強部材21の幅と等しい領域R1と、本体補強部材21の一方の面とに接着剤を塗布する。
図11のように、領域R1は、接合箇所31が中央に位置する配置が好ましい。接着剤の塗布後、待ち時間が経過すると、領域R1に本体補強部材21を貼り付ける(ステップS111)。
【0028】
〔肩部補強工程〕
そして、肩部接合工程における肩部材16Aの外側面16tと肩側端面12tとの接合箇所32を塞ぐように帯状の肩部補強部材22を貼り付ける。より具体的に、肩部補強部材22として接着剤付きのテープを用いる場合は、接合箇所32に肩部補強部材22を重ねた上で、アイロンの熱により本体部12に肩部補強部材22を接着させる。肩部補強部材22として、接着剤が付いていない化学繊維等を用いる場合は、これとホットメルトテープとを組み合わせることにより、アイロンを用いて本体部12に本体補強部材21を接着させてもよい。本体補強部材21と同様、接着剤を用いて本体部12に肩部補強部材22を接合させてもよい。この場合は、本体部12の表面の、接合箇所32に沿った肩部補強部材22の幅と等しい領域R2と、肩部補強部材22の一方の面とに接着剤を塗布する。
図11のように、領域R2は、接合箇所32が中央に位置する配置が好ましい。接着剤の塗布後、待ち時間が経過すると、領域R2に肩部補強部材22を貼り付ける。これにより、
図1のようなボトルカバー10が完成する(ステップS112)。
【0029】
ところで、上記の製造方法は、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の部材の表裏に合成繊維が貼り付けられた材料部材から本体部材12Aと底部材14Aと肩部材16Aとを切り出す想定で説明したが、これに限定されない。本体部材12Aと底部材14Aと肩部材16Aとは、別の部材から切り出されてもよい。また、発泡合成ゴム素材からなる平面視矩形状の部材から、何れも合成繊維を有しない、本体部材12Aと底部材14Aと肩部材16Aとを切り出してもよい。この場合は、プレス機を用いての熱転写は不要となる。もっとも、無地のボトルカバー10を製造する場合は、文字などの熱転写は省略される。発泡合成ゴム素材の表裏に貼り付けられる合成繊維は、表側と裏側とで異なる色彩のものを採用してもよい。発泡合成ゴム素材の表裏に貼り付けられる合成繊維のうちの少なくとも一方は、合成繊維ではなく、アルミニウムを材料とするシートにしてもよい。
【0030】
本体補強工程及び肩部補強工程のうちの何れか一方又は双方を省略してもよい。本体補強工程及び肩部補強工程のうちの双方を省略した場合、
図11に示すボトルカバー10が完成品となる。本体補強工程を省略した場合は、補強部材として肩部補強部材22だけを有するボトルカバー10が完成品となる。肩部補強工程を省略した場合は、補強部材として本体補強部材21だけを有するボトルカバー10が完成品となる。なお、底部接合工程と本体接合工程と肩部接合工程とは、順序を入れ替えることも可能である。例えば、本体部材12Aの両側端部を接合して本体部12を形成した後、本体部12に底部14及び肩部16のうちの一方を接合し、次いで他方を接合するようにしてもよい。ただし、底部14の接合容易性の観点からは、底部接合工程、本体接合工程、肩部接合工程の順に行う方がよい。
【0031】
以上のように、本実施の形態のボトルカバー10は、発泡合成ゴム素材からなる底部14と本体部12と肩部16とが接着剤で接合され、そのうちの底部14の側面14sは、本体部12の一端部12bにおける内面12sに接合されているため、少なくとも本体部12の一端部12b側の端面(底部端面12w)が載置面に当接する。したがって、簡易な構造により結露を防ぐと共に載置時の安定性を高めることができる。
【0032】
ところで、樹脂製の飲料用容器、特に、スクイズボトルは、金属等が使用されていないため、安全性が高く、スポーツの場面でも多く用いられている。例えば、サッカーなどの屋外スポーツや、バレーボールなどの屋内スポーツの試合において、コート上に置いておくことが認められているものは、樹脂製の飲料用容器である。しかしながら、樹脂製の飲料用容器は、保温性が低いため、外気温によって飲料の温度が高くなってしまうという問題があり、特許文献1のボトルカバーでも保温性という問題は解決できない。この点、本体部12、底部14、及び肩部16を構成する発泡合成ゴム素材は、保温性に優れるため、ボトルカバー10によれば、飲料用容器内部の液体の保温性を高めることができる。
【0033】
また、発泡合成ゴム素材は伸縮性に優れているため、開口部18を拡げて飲料用容器50を挿入することにより、
図5に示すように、ボトルカバー10の内部に飲料用容器50を収納することができる。よって、ボトルカバー10には、金属製のスライドファスナー等が不要であるため、ユーザの安全性を高めることができる。
【0034】
ボトルカバー10は、本体部12と肩部16との接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の肩部補強部材22を有していてもよい。かかる構成を採れば、本体部12と肩部16との接合強度を高めることができ、意匠性の向上を図ることができる。ボトルカバー10は、本体部12の両側端部の接合箇所を塞ぐように貼り付けられた帯状の本体補強部材21を有していてもよい。かかる構成を採れば、本体部12の両側端部の接合強度を高めることができ、意匠性の向上を図ることができる。ボトルカバー10は、本体補強部材21及び肩部補強部材22のうちの少なくとも一方を有しない構成としてもよいが、接合強度及び意匠性の観点からは、本体補強部材21と肩部補強部材22との双方を有する構成が好ましい。
【0035】
<変形例1>
図12を参照して、本実施の形態の変形例1に係るボトルカバー10の構成例について説明する。本変形例1におけるボトルカバー10は、
図12に示すように、本体部12が底部14よりも下に延伸しており、平坦な面に置いた場合、環状の底部端面12wが載置面に当接するよう構成されている。すなわち、本変形例1では、本体部12の一端部12bの幅が底部14の厚みTよりも長くなっており、底部14の底外面14wと底部端面12wとの間に段差が形成される。つまり、底部14が本体部12の内側に固定されている。本変形例1におけるボトルカバー10を製造する際において、本体部材12Aに接着剤を塗布するときは、
図8の場合と同様、2枚のマスキングテープMを用いて接着剤の塗布領域を定めるとよい。
【0036】
本変形例1のボトルカバー10によれば、外周部に位置する底部端面12wが載置箇所に当接し易くなるため、ボトルカバー10の自立性及び安定性を高めることができる。また、底外面14wが底部端面12wよりも凹んでいるため、載置する場所の多少の凹凸を避けることが可能となり、置き場の柔軟性を高めることができる。他の構成、代替構成、製造方法などは、
図1~
図11を参照しての上記の説明と同様である。
【0037】
<変形例2>
図13及び
図14を参照して、本実施の形態の変形例2に係るボトルカバー10の構成例について説明する。本変形例2におけるボトルカバー10は、底の部分に設けられた補助部材40を有している。補助部材40は、本体補強部材21及び肩部補強部材22と同様、本体部12と底部14との接合箇所を塞ぐように接着剤で貼り付けられている。補助部材40は、外径が本体部12の一端部12bの外径と等しくなるように形成するとよい。
【0038】
補助部材40は、例えばシリコンゴムやブルチゴムなど、摩擦係数が相対的に大きい材料で構成するとよい。あるいは補助部材40は、外側の層が摩擦係数の大きい材料で構成された2層以上の構成としてもよい。補助部材40は、外側の面(底部14とは反対側の面)に滑り止め加工が施されたものであってよい。もっとも、補助部材40は、化学繊維により構成されてもよい。
図13及び
図14では、開口を有する平面視円環状の補助部材40を例示しているが、これに限らず、補助部材40は、平面視円形状のものであってもよい。
【0039】
本変形例2のボトルカバー10によれば、補助部材40が本体部12と底部14との接合箇所に貼り付けられているため、本体部12と底部14との接合強度を高めることができる。また、補助部材40は、摩擦係数が相対的に大きい材料を含む構成とする等により、載置時の安定性を高めることができる。他の構成、代替構成、製造方法などは、
図1~
図11を参照しての上記の説明と同様である。
【0040】
ここで、上述した実施の形態は、ボトルカバー及びボトルカバーの製造方法における具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、平面視矩形状の本体部材12Aの両側端部が接合されて形成された筒状の本体部12を例示したが、これに限らず、本体部12は、接合処理を介さずに形成された筒状の部材であってもよい。また、上記の説明では、本体部材12Aと底部材14Aと肩部材16Aとが同じ構造である例を示したが、これに限定されない。本体部材12A、底部材14A、及び肩部材16Aのそれぞれの構造、すなわち発泡合成ゴム素材だけで構成されているか、又は発泡合成ゴム素材からなる部材の表面及び裏面のうちの少なくとも一方に合成繊維もしくはアルミニウムからなるシートが貼り付けられているか、といった事情は、それぞれ個別に設定することができる。なお、上述したボトルカバー10の高さは、あくまで例示であり、収容することが想定される飲料用容器50のサイズ及び形状等に応じて適宜変更することができる。ボトルカバー10を構成する各部材のサイズも、収容することが想定される飲料用容器50のサイズ及び形状等に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 ボトルカバー、11a、13a、15a 表シート、11b、13b、15b 裏シート、12 本体部、12A 本体部材、12b 一端部、12c 一方の側端部、12d 他方の側端部、12s 内面、12t 肩側端面、12w 底部端面、14 底部、14A 底部材、14s 側面、14w 底外面、16 肩部、16A 肩部材、16t 外側面、18 開口部、21 本体補強部材、22 肩部補強部材、40 補助部材、50 飲料用容器。
【要約】
【課題】簡易な構造により結露を防ぎ且つ載置時の安定性を高めるボトルカバー及び該ボトルカバーの製造方法を提供すること。
【解決手段】円板状の底部と、一端部における内面が接着剤によって底部の側面に接合された筒状の本体部と、中央に開口を有する円板状の肩部材により構成された肩部と、を有するボトルカバー。肩部は、外側面が接着剤によって本体部の他端部側の端面に接合されてテーパ状に形成されている。底部、本体部、及び肩部は、発泡合成ゴム素材により構成されている。
【選択図】
図4