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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】釣糸
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/00 20060101AFI20220209BHJP
   D06M 10/02 20060101ALI20220209BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20220209BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20220209BHJP
   D06M 15/564 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A01K91/00 F
A01K91/00 Z
D06M10/02 C
D06M15/643
D06M13/513
D06M15/564
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017073156
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018171043
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-02-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591051966
【氏名又は名称】株式会社サンライン
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】水津 啓太
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】堤 英伸
(72)【発明者】
【氏名】宮原 秀一
(72)【発明者】
【氏名】沖野 晃俊
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069741(JP,A)
【文献】特開昭63-042976(JP,A)
【文献】特開昭64-074942(JP,A)
【文献】特開2008-245535(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167626(WO,A1)
【文献】特開平01-074942(JP,A)
【文献】特開昭61-275479(JP,A)
【文献】特開平05-316909(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02192522(GB,A)
【文献】特開平09-031786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/00
D06M 10/02
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原糸の表面のプラズマ処理面に樹脂からなるハードコート層を備え、平均摩擦係数の変動率が0.0035以下であることを特徴とする釣糸。
【請求項2】
前記ハードコート層が、前記釣糸の鉛筆法における引っ掻き硬度を前記原糸に比べて二段階以上引き上げる層である請求項1記載の釣糸。
【請求項3】
前記ハードコート層が、シラン化合物、光硬化樹脂およびポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる請求項1又は2記載の釣糸。
【請求項4】
前記原糸が繊維形成性の熱可塑性樹脂からなる請求項1記載の釣糸。
【請求項5】
前記原糸が、モノフィラメントである請求項1~4のいずれか一項に記載の釣糸。
【請求項6】
最表層に平滑剤を備える請求項1~のいずれか一項に記載の釣糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擦り傷が付き難い釣糸に関する。
【背景技術】
【0002】
釣糸は、使用中に釣り場のコンクリート構造物、水面下の海藻、水草や立木や等の障害物との摩擦で表面に擦傷が生じる。釣糸の擦傷は、魚が歯で噛むことや、魚のひれとの摩擦によっても生じ、また、浮きなどの仕掛けの移動時や、釣竿やリールのガイドを擦過することによっても生じる。擦傷が大きいと釣糸の強度が低下して破断し、また破断するほどの大きさでなくても魚を鈎に掛けて張力が加わった時に擦り傷を起点にして釣糸が破断するおそれがある。そのため、障害物の多い場所で使用する場合や、鈎に結束するハリスには、擦り傷の生じ難い釣糸が求められている。
【0003】
従来から、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の、繊維を形成し得る(以下、「繊維形成性」という。)の熱可塑性樹脂からなる釣糸や、これらの樹脂からなる原糸の表面に平滑剤層を形成した釣糸があった。しかしながら、原糸の表面に平滑剤層を形成した釣糸は、表面が滑らかな物との摩擦に対しては有効であったが、表面が粗い物や表面が硬い物との摩擦に対しては不十分であり、擦り傷が生じていた。
【0004】
ポリアミド系モノフィラメントの外表面にポリシラザン透明ハードコート層及び/又は紫外線硬化型透明ハードコート層を有する釣糸がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-245535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
釣糸について、擦り傷が付き難いことへの要求は止むことがなく、従来の釣糸と比べて、より一層の擦傷防止性の向上が求められていた。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、擦り傷が付き難い釣糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、釣糸に傷が付き難くすることの鋭意研究をした結果、原糸の表面に樹脂からなるハードコート層を備える釣糸であって、平均摩擦係数の変動率の低いものが擦傷防止性により優れることを見出し、本発明に至った。さらに、本発明の発明者らの研究により、平均摩擦係数の変動率が一定値以下のものは、透明性及び結束強度に優れることも明らかとなった。
【0008】
すなわち、本発明の釣糸は、原糸の表面に樹脂からなるハードコート層を備え、平均摩擦係数の変動率が0.0035以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の釣糸においては、上記ハードコート層が、上記糸の鉛筆法における引っ掻き硬度を上記原糸に比べて二段階以上引き上げる層であることが好ましく、また、上記前記ハードコート層が、シラン化合物、光硬化樹脂およびポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなることが好ましく、また、上記原糸が繊維形成性の熱可塑性樹脂からなることが好ましく、また、上記原糸が、モノフィラメントであることが好ましく、更に、上記原糸の表面がプラズマ処理面であることが好ましく、また最表層に平滑剤を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の釣糸によれば、擦り傷が付き難い釣糸を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の釣糸の模式的な断面図であり、図1(a)は、実施形態1の釣糸の断面図であり、図1(b)は、実施形態2の釣糸の断面図である。
図2】実施形態1の釣糸表面の光学顕微鏡写真である。
図3】実施形態1の釣糸の結び目の走査電子顕微鏡写真である。
図4】実施例における釣糸の平均摩擦係数の変動率の測定結果を示すグラフである。
図5】実施例における釣糸の平均摩擦係数の変動率の測定結果を示すグラフである。
図6】実施例における釣糸の平均摩擦係数の変動率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の釣糸を、図面を参照しつつ、より具体的に説明する。
図1に本発明の一実施形態の釣糸の模式的な断面図を示す。図1において、釣糸1は、原糸2の表面2aにハードコート層3を有している。ハードコート層3は、耐摩耗性が良好な樹脂からなる。釣糸1は、ハードコート層3により高い耐摩耗性を有するので、表面が粗い物や硬い物と、釣糸との摩擦においても擦り傷が付きくい。
【0013】
また、釣糸1は、平均摩擦係数の変動(MMD)が0.0035以下である。平均摩擦係数の変動は、釣糸1表面の所定長さにおいて、摩擦係数が当該所定長さにおける平均摩擦係数からどれだけ変動しているかという変動の度合いを示す数値である。具体的なメカニズムは明らかではないが、本発明者らが推測するところによれば、平均摩擦係数の変動を0.0035以下とすることにより、釣糸1は、浮きやガイドなどの表面が粗い物や硬い物との摩擦抵抗を少なくすることができ、単にハードコート層を有している釣糸と比べて、擦傷防止性をより向上させることかできると考えられる。
【0014】
釣糸1の平均摩擦係数の変動については、日本繊維機械学会内の「風合い計量と規格化研究委員会」によって確立された、衣服用の布地の風合いの客観評価法としてのKES法に準拠した方法及び装置によって計測することができる。
【0015】
平均摩擦係数の変動が0.0035以下である釣糸1の製造方法は特に限定されず、例えば、表面がプラズマ処理された原糸2にハードコート層3を被覆形成する、ハードコート層を形成する樹脂の塗布方法又は含浸方法を調整する、原糸2を研磨することにより原糸2表面を滑らかにした後にハードコート層を被覆形成する、原糸2にハードコート層3を被覆形成した後に研磨する、等の方法により得られ、中でも、プラズマ処理が好ましい。原糸2にプラズマ処理することにより、ハードコート層3は平均摩擦係数の変動が0.0035以下の滑らかな表面が得られる。もっとも、原糸2にプラズマ処理をしなくともハードコート層3の表面は平均摩擦係数の変動が0.0035以下になり得るし、この場合も、表面の滑らかさにより擦傷防止性をより向上させ得る。
【0016】
図2(a)~(f)に、原糸2の表面にハードコート層3を有する釣糸1の表面を光学顕微鏡で観察した写真を示す。いずれの釣糸も原糸はポリフッ化ビニリデン(後述する実施例における原糸B)、ハードコート層はハイブリッドタイプ紫外線硬化型シリコーンハードコート(後述する実施例におけるハードコート層A)であった。
【0017】
図2(a)、(b)が、平均摩擦係数の変動が0.0038の釣糸の写真であり、図2(c)、(d)が、平均摩擦係数の変動が0.0032の釣糸の写真であり、図2(e)、(f)が、平均摩擦係数の変動が0.0015の釣り糸の写真である。平均摩擦係数の変動が0.0035以下の釣糸はいずれも原糸のプラズマ処理により得られたものである。
図2(a)~(f)の写真に関し、図2(a)は原糸2にプラズマ処理を行わずにハードコート層3を形成した釣糸のハードコート層の表面であり、図2(b)は図2(a)の釣糸のハードコート層の表面の拡大写真である。図2(c)は原糸2に酸素プラズマ処理を行ってハードコート層3を形成した釣糸のハードコート層の表面であり、図2(d)は図2(c)の釣糸のハードコート層3の表面の拡大写真である。図2(e)は原糸2に窒素プラズマ処理を行ってハードコート層を形成した釣糸のハードコート層の表面であり、図2(f)は図2(e)の釣糸のハードコート層の表面の拡大写真である。図2(a)、(b)の釣糸は、表面にざらつきがあった。図2(c)、(d)の釣糸及び図2(e)、(f)の釣糸は、表面がなめらかであった。
【0018】
発明者らの研究により、平均摩擦係数の変動が0.0035以下の釣糸1は、原糸2に対するハードコート層3の密着性が向上することが判明した。ハードコート層を有する釣糸は、ハードコート層の硬度の高さにより耐摩耗性が良好になるものの、そのハードコート層の硬度の高さにより釣糸を結ぶために屈曲したときに微視的にハードコート層が原糸から剥離することがある。ところが、原糸2にハードコート層3が被覆形成され、かつ平均摩擦係数が0.0035以下の釣糸1は、原糸2に対するハードコート層3の密着性が良好であり、釣糸1を屈曲しても微視的にハードコート層が剥離し難い。これにより、良好な耐摩耗性が長期間にわたって得られ、また、釣糸の使用時に物との摩擦で縮れ難いという効果を有する。
【0019】
図3に、結び目を形成した釣糸の表面状態の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。釣り糸の原糸はポリフッ化ビニリデン(後述する実施例における原糸B)、ハードコート層はハイブリッドタイプ紫外線硬化型シリコーンハードコート(後述する実施例におけるハードコート層A)であった。
【0020】
図3(a)、(b)が、平均摩擦係数の変動が0.0038の釣糸の写真であり、図3(c)、(d)が、平均摩擦係数の変動が0.0032の釣糸の写真であり、図3(e)、(f)が、平均摩擦係数の変動が0.0015の釣糸の写真である。平均摩擦係数の変動が0.0035以下の釣糸はいずれも原糸のプラズマ処理により得られたものである。
図3(a)~(f)に関し、図3(a)は原糸の表面にプラズマ処理をしなかった釣糸のSEM写真であり、図3(b)は、図3(a)の釣糸の拡大写真である。図3(c)は原糸の表面に酸素プラズマ処理をした釣糸のSEM写真であり、図3(d)は、図3(c)の釣糸の拡大写真である。図3(e)は原糸の表面に窒素プラズマ処理をした釣糸のSEM写真であり、図3(f)は、図3(e)の釣糸の拡大写真である。図3(a)、(b)に示した釣糸に比べて、図3(c)、(d)、図3(e)、(f)に示した釣糸は、結び目におけるハードコート層の微視的な剥離が小さかった。
【0021】
また、発明者らの研究により、平均摩擦係数の変動が0.0035以下の釣糸1は、予想外にも透明性及び結束強度が高いことが判明した。透明性が高いことは魚から見て被認識性が低いことを意味し、釣糸及び釣糸に結び付けられた仕掛けを、魚に見破られにくいという効果がある。また、結束強度が高いことは、鈎や浮きと結束する際に強固に結ぶことができるという効果がある。透明性も結束強度も、釣糸に好ましい特性である。
【0022】
上記のように、プラズマ処理した原糸にハードコート層を被覆形成する方法が、平均摩擦係数の変動が0.0035以下の釣り糸を得る方法として好ましい。プラズマ処理により、上記した種々の効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、一つの仮説では原糸の表面にプラズマ処理をすることにより、プラズマ未処理の場合と比べて、糸の表面における疎水基と親水基との割合が変化するためと考えられる。
【0023】
もっとも、本発明の釣糸の原糸の表面の構造または特性を大学の分析機器で分析しても、プラズマ処理をしていない原糸の表面の構造または特性とは相違が明らかでなかった。したがってプラズマ処理面を構造または特性で特定することは現時点では技術的に不可能と考えられる。しかし、原糸の表面にプラズマ処理をし、プラズマ処理面にハードコート層を被覆させることより、プラズマ処理をしない場合に比べて、ハードコート層の平均摩擦係数の変動が低く、密着性が高く、また、透明性及び結束強度が高いことは確認されている。このことは、後述する実施例でも理解される。
【0024】
釣糸1の原糸2は、釣糸の原糸として用いられ得る材料を特に制限なく用いることができる。より具体的には例えば繊維形成性の熱可塑性樹脂からなる。繊維形成性の熱可塑樹脂の例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ポリパラフェニレンテレフタルアミドなど及びそれらを含む共重合体からなるポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、パラヒドロキシ安息香酸と6-ヒドロキシ-2ナフトエ酸の共重合体など及びそれらを含む共重合体からなるポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど及びそれらを含む共重合体からなるフッ素系樹脂、超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。原糸は、比重、強さ、柔軟性、風合いなど求める特性に応じて繊維の種類を適宜選定することができる。また、原糸は、熱可塑性樹脂のほか、安定剤、紫外線防止剤など、熱可塑性樹脂に一般的に配合される添加剤を含んでいてもよい。
原糸は、モノフィラメントでもマルチフィラメントでもいずれもよいが、モノフィラメントであることが好ましい。また、原糸の太さは、釣糸としての用途に適合する太さを適宜設定することができる。
釣糸1は、釣糸に用いられる太さを、特に限定なく用いることができ、例えば直径0.05~2.34mm程度である。好ましくは、0.07~1mm程度である。なお、後述する実施例では「直径」を「径」と略称する。
【0025】
原糸2の表面2aは、プラズマ処理がされた面、すなわち、プラズマ処理面であることが好ましい。原糸2がプラズマ処理面を有することにより、上述したようにハードコート層の平均摩擦係数の変動が低くすることができ、その結果、密着性が高く、また、透明性及び結束強度が高い釣糸とすることができる。
【0026】
原糸2の表面2aにハードコート層3が被覆されている。ハードコート層3は、耐摩耗性に優れた樹脂であれば特に限定されない。具体的に例えば、シラン化合物、光硬化樹脂およびポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂を挙げることができる。また、ハードコート層3は、耐摩耗性に優れた樹脂に加えて、安定剤、紫外線防止剤、顔料、染料、抗菌剤など樹脂に一般的に配合される添加剤を含んでいてもよい。
【0027】
ハードコート層3は、原糸よりも硬度が高い樹脂からなるものが好ましく、具体的には、鉛筆法で評価される釣糸の引っかき硬度を、原糸に比べて2段階以上引き上げる樹脂が好ましい。鉛筆硬度は、B、HB、F、H、2H、3H……の順で硬度が高くなるので、例えば原糸2の鉛筆硬度がBである場合には、ハードコート層は釣糸1の硬度がF以上になるような樹脂であることが好ましい。ハードコート層3が、鉛筆法で評価される釣糸1の引っかき硬度を、原糸2に比べて2段階以上引き上げる樹脂であることにより、釣糸1は、より優れた耐摩耗性を有する。
また、ハードコート層3は、鉛筆法における引っかき硬度試験でHB以上の硬度を有する材料であることが好ましい。
【0028】
ハードコート層3は、釣糸1の材料や用途に応じて、また、釣糸の剛性感や耐摩擦性を考慮して、層厚を適宜に調整することができる。層厚さの調整は、例えば、原糸2にハードコート層3の材料の溶液又は分散液を塗布又は浸漬等の手段により被覆するときの濃度によって調整することできる。ハードコート層3の層厚は、例えば、0.0001~0.01mm程度が好ましい。ハードコート層3の層厚は、原糸の直径に比べて極薄であるため、釣糸1の直径をデジタルゲージで測定したときは、ハードコート層3の層厚は原糸2の直径の測定誤差と区別が困難であり、よって原糸の直径の値が釣糸の直径の値と同視され得る。
【0029】
(実施形態2)
図1(b)に、本発明の別の実施形態の釣糸11の断面図を示す。図1(b)に示す釣り11は、原糸2を覆ってハードコート層3を備え、ハードコート層3を覆って平滑剤4を備えている。釣糸11は、平均摩擦係数の変動率が0.0035以下である。
【0030】
図(b)の釣糸11の原糸2及びハードコート層3は、図1(a)に示して説明した原糸及びハードコート層3と同じ構成とすることができる。したがって、釣り糸11の原糸2及びハードコート層3について、既に述べたのと重複する説明は省略する。
【0031】
平滑剤4は、釣糸の平滑剤として用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等の変性シリコーン、ジメチルシリコーン等のストレートシリコーン又はフッ素含有オイル等で挙げられる。最表層に平滑剤4の層を更に備える釣糸11は、摩擦係数が低いので、操作性が向上するとともに、表面が滑らかな物に対する摩擦抵抗を少なくすることができ、耐摩耗性が向上する。また、平滑剤4を最表層に備える釣り糸11は、撥水性に優れているので耐久性に優れる。
【0032】
更に、釣糸11は、ハードコート層3を備えることから、表面が粗い物、硬い物に対する抵抗、耐傷性を高めることができ、さらに、本発明者等による推察であるが、平均摩擦係数の変動率が0.0035以下とすることにより、浮きやガイドなどの表面が粗い物や硬い物との摩擦抵抗を少なくすることができる結果、擦傷防止性がより向上している。
【0033】
釣糸11の平均摩擦係数の変動率は、平滑剤4及びハードコード層3の表面状態の両方の影響を受ける。平滑剤4は平均摩擦係数の変動率を下げ、ハードコード層3の表面の平均摩擦係数の変動率が低いと平滑剤を備える釣糸の平均摩擦係数の変動率が低い。平滑剤4及びハードコード層3の表面の影響の度合の如何にかかわらず、平均摩擦係数の変動率が0.0035以下の釣糸とすることで、優れた耐摩耗性、擦傷防止性、透明性、結束強度を有する釣り糸を得ることができる。
【0034】
図1(b)の本実施形態の釣糸11は、原糸2の表面2aがプラズマ処理されたものとすることができる。原糸2の表面がプラズマ処理されることにより、ハードコート層3の表面が滑らかになり、平滑剤4を備えた釣糸11の平均摩擦係数の変動率が低くなる。また、釣糸11は、ハードコート層3の表面がプラズマ処理されたものとすることができる。ハードコート層3の表面3aがプラズマ処理されることにより、平滑剤4の密着性が向上する。更に、釣糸11は、原糸2の表面2aがプラズマ処理され、ハードコート層3の表面がプラズマ処理されたものとすることができる。原糸2の表面がプラズマ処理されることにより、ハードコート層3の表面が滑らかになり、平滑剤4を備えた釣糸11の平均摩擦係数の変動率が低くなり、ハードコート層3の表面3aがプラズマ処理されることにより、平滑剤4の密着性が向上する。
【0035】
次に、本発明の釣糸の製造方法について説明する。図1(a)に示した釣糸1は、原糸2にハードコート層3の材料の溶液又は分散液を塗布又は含浸させてハードコート層3を形成することにより製造することができる。平均摩擦係数の変動率が0.0035以下の釣糸を得る方法として、ハードコート層3の形成前に、原糸2の表面2aを、プラズマ処理をすることが好ましい。以下では一例として、プラズマ処理による釣糸の製造方法を説明する。
【0036】
図1(b)に示した釣糸1は、原糸2にハードコート層3の材料の溶液又は分散液を塗布又は含浸させてハードコート層3を形成し、ハードコート層3上に平滑剤を塗布又は含浸させて形成することにより製造することができる。ハードコート層3の形成前に、原糸2の表面2aを、プラズマ処理をすることができる。また、平滑剤4の形成前に、ハードコート層3の表面3aを、プラズマ処理することができる。
【0037】
プラズマ処理方法は特に限定されない。たとえば、国際公開第2014/167626号の図12に示されるプラズマ処理装置を用いることができる。プラズマ処理は、既存のプラズマ処理装置の既知の処理条件の範囲のなかで、適切な条件を適宜選択して実施することができる。好ましいプラズマ処理は、原糸を構成する繊維形成性の熱可塑性樹脂が軟化しないような条件、例えば軟化温度未満での低温のプラズマ処理である。
【実施例
【0038】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
以下の原糸A~C及びハードコート層A~Fの材料を準備した。
原糸A:6,66共重合ポリアミドモノフィラメント、鉛筆硬度F、宇部興産株式会社5033TX12
原糸B:ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント、鉛筆硬度2H、ダイキン工業株式会社ネオフロンPVDF VP825
原糸C:ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント、鉛筆硬度F、三菱化学株式会社ノバペックスGG900D
【0039】
ハードコート層A:ハイブリッドタイプ紫外線硬化型シリコーンハードコート(多官能アクリレート、ヘキサメチレン=ジアクリラート、シリカによって構成される紫外線硬化型樹脂)、鉛筆硬度4H、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社UVHC7820
ハードコート層B:紫外線硬化型シリコーンハードコート、鉛筆硬度4H、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社UVHC1101
ハードコート層C:ハイブリッドタイプ1液常温硬化型ハードコート(テトラエトキシシラン、エチルポリシリケート、1-ブタノールによって構成される樹脂)、鉛筆硬度8H、ニットーボーメディカル株式会社HB21B
ハードコート層D:ポリカーボネートポリエーテルポリウレタン水分散液、鉛筆硬度HB、タナテックスケミカルズジャパン株式会社EDOLAN CM
ハードコート層E:ポリエステルポリウレタン水分散液、鉛筆硬度H、タナテックスケミカルズジャパン株式会社EDOLAN GS
ハードコート層F:ポリエステル系ウレタン水分散液、鉛筆硬度H、DIC株式会社ハイドランAP-40N
【0040】
<平均摩擦係数の変動率>
上記原糸A~C(径0.21mm)とハードコート層A~Fの組み合わせからなる釣糸(径0.21mm)について、平均摩擦係数の変動率を、カトーテック株式会社の摩擦感テスターKES-SEで調べた。原糸A~Cとハードコート層A~Fの組み合わせの釣糸の試料は、それぞれ、プラズマ処理をしなかった試料と、プラズマ処理をした試料とをそれぞれ測定した。
【0041】
平均摩擦係数の変動率の測定結果を図4~6に示す。図4は、原糸Aとハードコート層A~Fの組み合わせからなる釣糸の試料No.1~12の平均摩擦係数の変動率を示す棒グラフである。図4のうち、原糸A、すなわち原糸がポリアミド(PA)からなる釣糸で、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下のものは、プラズマ処理をすることにより得られたものであり、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035を超えた釣糸は、プラズマ処理をせずにハードコート層を被覆したものである。
【0042】
図5は、図4とは原糸が異なり、原糸Bとハードコート層A~Fの組み合わせからなる釣糸の試料No.13~24の平均摩擦係数の変動率を示す棒グラフである。図5のうち、原糸B、すなわち原糸がポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる釣糸で平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下のものは、プラズマ処理をすることにより得られたものである。また、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035を超えた釣糸は、プラズマ処理をせずに、ハードコート層を被覆形成したものである。ハードコート層Cについては、プラズマ処理をしなくても平均摩擦係数の変動率MMDは0.0035以下であった。
【0043】
図6は、図4及び図5とは原糸が異なり、原糸Cとハードコート層A~Fの組み合わせからなる釣糸の試料No.25~36の平均摩擦係数の変動率を示す棒グラフである。図6のうち、原糸C、すなわち原糸がポリエチレンテレフタレート(PET)からなる釣糸で、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下のものは、プラズマ処理をすることにより得られたしたものである。また、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035を超えた釣糸は、プラズマ処理をせずに、ハードコート層を被覆形成したものである。
【0044】
図4~6から、各原糸A~Cと、各ハードコート層A~Fとを組み合わせで、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下の釣糸を得られることが確認できた。
【0045】
<引っかき硬度>
上記原糸A、B(いずれも径0.21mm)に、ハードコート層Bの10質量%溶液をディップしてコーティングし、実施例1、3の釣糸を得た。また、ハードコート層Cの10質量%溶液をディップしてコーティングし、実施例2、4の釣糸を得た。また比較例1としてハードコート層Bをコーティングしなかった原糸Aの釣糸、比較例2としてハードコート層Bをコーティングしなかった原糸Bの釣糸、従来例1として原糸Aに油剤を塗布した釣糸、従来例2として原糸Bに油剤を塗布した釣糸を用意した。
【0046】
各実施例、各比較例及び各従来例の釣糸にJIS K5600-5-4:1999、引っかき硬度(鉛筆法)に準拠して引っかき硬度を求めた。この引っかき硬度試験では三菱鉛筆株式会社製ハイユニの4B~5Hの各鉛筆を用い、研磨紙に三共理化学株式会社製FUJI STAR 耐水研磨しDCCS#400を用いた。
【0047】
引っかき硬度試験の手順は、次のようにした。
(1)台形の金属板の平板に、各釣糸の試料を台形平板の平行な二辺に平行に、隙間がないように巻き付けて並列させた。
(2)各鉛筆を鉛筆削り器で削り、芯を5~6mm露出させた。
(3)露出後の鉛筆を垂直に持ち、90°の角度を保持しながら研磨紙#400で平らに削った。
(4)鉛筆を試料面に対し45°の角度を保持しながら、できるだけ強く押し当て、台形平板の平行な二辺の一辺から垂直に、対向する一辺に向けて、約1mm/秒の速度で引っかいた。
(5)エタノールと紙ウエスで鉛筆のカスを軽く拭き取り、傷跡をマイクロスコープで観察した。
引っかき硬度試験の評価は、上記試験を5回行い、傷跡が3回以上生じなかった鉛筆硬度の一つ下の硬度を、試料の鉛筆硬度とした。
【0048】
引っかき硬度試験の結果を表1に示す。なお、表1には、図3及び図4に対応する試料No.、鉛筆硬度、MMDを示した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1から、ハードコート層を備える実施例1~4は、原糸のみの比較例1に比べて鉛筆硬度が2段階以上高くなった。
【0051】
<透明性>
まず、表2に示す釣糸の白色度を分光測色計で測定した。その結果を表2に示す。なお、各釣糸の原糸の径は0.21mm、釣糸の径は0.21mmであった。表2には、図3図4及び図5に対応する試料No.白色度、白色度指数及びMMDを示した。
【0052】
【表2】
【0053】
表2において、実施例6と実施例7とは、プラズマ処理時のガス種が異なっている。また、実施例8と実施例9とは、プラズマ処理時のガス種が異なっている。表2における実施例5及び比較例1の白色度指数は、MMDが0.0042である釣糸(比較例3)の白色度を1とした場合の各釣糸の白色度の倍率を示した値である。また、実施例6、実施例7及び比較例2の白色度指数は、MMDが0.0038である釣糸(比較例4)の白色度を1とした場合の各釣糸の白色度の倍率を示した値である。更に、実施例8、実施例9及び比較例5の白色度指数は、MMDが0.0037である釣糸(比較例6)の白色度を1とした場合の各釣糸の白色度の倍率を示した値である。白色度は、釣糸の透明性と相関があると考えられ、白色度の数値が低いほど、釣糸は透明であると考えられる。そして、透明性が高い釣糸は、魚からの視認性が低く、魚に警戒されないことが期待されるので、釣糸として好ましい。
【0054】
表2から、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下である各実施例は、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035を超える各比較例よりも白色度の数値が低下していた。
【0055】
次に、表2に示した各実施例及び各比較例について、透明性のアンケートを取った。このアンケートでは、各釣糸を、50mm×70mm×13mmの透明アクリル板に、糸が重ならないように平行に巻きつけたものを試料とし、原糸が同じでハードコート層の有無及びMMDが相違する4つの試料を黒のフェルト布の上に並べ、蛍光灯光源のもとで試料から30cmの距離から各試料を被験者10名が観察して、最も透明に見えるものから順に4、3、2、1点の得点を付けた。その得点結果を表3に示す。なお、表3では、原糸のみでハードコート層を備えていない釣糸の得点結果を省略している。表3には、図3図4及び図5に対応する試料No.得点及びMMDを示した。
【0056】
【表3】
【0057】
表3から平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下の実施例は、比較例よりも透明性が高いと評価された。したがって、原糸とハードコート層との組み合わせに対して、平均摩擦係数の変動率MMDを0.0035以下にすることにより、実施例の釣糸は高い透明性を有することが判明した。
【0058】
次に、表3の実施例6、実施例7及び比較例4の釣糸、すなわち、原糸Bとハードコート層Aとの組み合わせである釣糸について、釣糸の太さを変えて透明性をアンケート調査した。このアンケートでは、各釣糸を、50mm×70mm×13mmの透明アクリル板に、糸が重ならないように平行に巻きつけたものを試料とし、MMDか相違する3つの試料を黒のフェルト布の上に並べ、蛍光灯光源のもとで試料から30cmの距離から各試料を被験者10名が観察して、最も透明に見えるものから順に3、2、1点の得点を付けた。このアンケートを、太さの異なる釣糸ごとに行った。その得点結果を表4に示す。なお、表4に、図3図4及び図5に対応する試料No.得点及び釣糸(原糸)の径及びMMDを示した。
【0059】
【表4】
【0060】
表4から、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035を超える各比較例に比べて、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下の各実施例は、釣糸の太さにかかわらず透明性に優れていた。
【0061】
次に、原糸A~Cと、ハードコート層B~Fとを組み合わせた各釣糸について、透明性をアンケート調査した。このアンケートでは、各釣糸を、厚さ1mmのスライドガラスに、幅10mmになるように糸を隙間なく平行に巻きつけたものを試料とし、原糸とハードコート層の組み合わせが同じでMMDが相違する2つの試料を黒のフェルト布の上に並べ、TOSHIBA製白色蛍光灯36ワットの光源のもとで試料から30cmの距離から各試料を被験者10名が観察して、2つの試料のうち透明に見えたものに1点の得点を付けた。その得点結果を表5に示す。なお、表5に示す釣糸の原糸の太さは0.21mm、釣糸の径は0.21mmであった。また、プラズマ処理は、原糸とハードコート層とを組み合わせた各釣糸に適切なガス種で行った。
【0062】
【表5】
【0063】
表5から平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下の各実施例は、原糸A~Cと、ハードコート層B~Fとの組み合わせにおいて、MMDが0.0035を超える比較例に比べて透明性が高かった。
【0064】
<結束強度>
原糸Bとハードコード層A~Cとを組み合わせた釣糸の試料について、釣り用の金属具NTスイベル販売会社製タル型サルカン16号クロの片方のリングに5号サイズのポリエチレン糸を結束し、もう一方のリングに長さ12.5cmの試料1本を、「DVDで覚える堤防釣り 仕掛けと結び方」海悠出版発行、(2010年11月10日発行)の15頁に記載される、サルカン結び(2)ダブルクリンチノットで結びつけて引張試験機で結び目で糸が破断するまでの最大強力を引張測定機で計測し、試料繊度にて結節強度(cN/dTex)に換算した。引張試験機にはオリエンテック株式会社製テンシロン(ORIENTEC RTE-1210)を用い、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分の条件で試験した。3サンプルで試験を行い、その平均値を結束強度とした。
【0065】
表6に、原糸Bとハードコート層A~Cとの組み合わせからなる釣糸の結束強度を、コーティング時の加工速度と、MMDの値の別で示すとともに、比較例としての原糸Bのみからなる釣糸の結束強度を1とした場合に対する各釣糸の結束強度の倍率を示す。なお、原糸の径は0.21mm、釣糸の径は0.21mmであった。
【0066】
【表6】
【0067】
表6から、ハードコート層を備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0035以下の各実施例は、原糸のみの比較例2に比べて高い結束強度を有していた。また、MMDが0.0035を超える場合に比べても高い結束強度を有していた。
【0068】
<フィールドテスト>
(フィールドテスト1)
原糸Aにハードコート層Bを備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0032の実施例1の釣糸、原糸Bにハードコート層Aを備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0024の実施例6の釣糸、及び原糸Bにハードコート層Bを備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0027の実施例3の釣糸を、被験者A、B、C及びDの4名に、ブラインドテストを実施し、原糸A上に油剤を塗付した既存の釣糸である従来例1の釣糸(株式会社サンライン製パワード)、又は原糸B上に油剤を塗布した既存の釣糸である従来例2の釣糸(株式会社サンライン製トルネードVハード)と比較して、硬さや使用感を評価した。
【0069】
被験者A「ハリ・直進性がある。」
被験者B「糸クセはつきにくい。実釣中使い続けたが、使用前後で使用感の変化を感じなかった。」
被験者C「ハリがあり、仕掛けを操作し易い。」
被験者D「ハリや直進性は良好。・直進性がある。鈎を呑まれながらも40cm級の黒鯛を釣り上げたが、切れることはなかった。硬さを感じることができ、ハードだと感じた。」
【0070】
(フィールドテスト2)
原糸Bにハードコート層Bを備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0027の実施例3の釣糸又は原糸Bにハードコート層Aを備え、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0024の実施例6の釣糸を、被験者A、B及びCDの3名に、ブラインドテストを実施し、平均摩擦係数の変動率MMDが0.0037の比較例7の釣糸と比較して、評価した。
【0071】
被験者A「表面がツルツルしている。縮れにくいと感じる。チヌを掛けた時、鈎のチモト付近にササクレがなく、擦れに強いと感じた。」
被験者B「鈎結びでの締め込みがムギュッと締まる感じがする(しっかりと結束できる。)。」
被験者C「縮れにくく、ツヤツヤして滑らか感がある。」
また、実施例3及び実施例6の釣糸は、比較例7の釣り糸に比べて縮れが少なく、擦傷防止性が優れることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6