(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】巻付式循環型液体路
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20220209BHJP
A61F 7/08 20060101ALI20220209BHJP
A61F 7/10 20060101ALI20220209BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A61F7/08 361E
A61F7/08 361C
A61F7/10 330
A41D13/005 101
A41D13/05 112
A41D13/05 118
A41D13/05 125
A41D13/05 131
(21)【出願番号】P 2017232210
(22)【出願日】2017-12-02
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2016236806
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396018335
【氏名又は名称】中西 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【代理人】
【識別番号】100099092
【氏名又は名称】野間 明
(72)【発明者】
【氏名】中西 雄三
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-520112(JP,A)
【文献】特開平07-310208(JP,A)
【文献】特開2014-077207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0255884(US,A1)
【文献】特表2005-522591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
A61F 7/08
A61F 7/10
A41D 13/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間や動物の身体の回りに巻き付けることができる長さを有しており、循環水を流す流路を形成した液体路(3)と、前記液体路(3)
を前記身体に巻き付けた状態と巻き付けを解いた状態を選択する着脱部材(13)と、を有し、
前記液体路(3)は、小さい凹凸(15)が形成された凹凸シート(2)を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部(14)と、前記融着部(14)の間において融着されずに形成された流路部(16)とを有し、前記液体路(3)を前記融着部(14)と前記流路部(16)とを平面的に広がりを持って配置することで形成されていることを特徴とする巻付式循環型液体路。
【請求項2】
請求項1に記載の巻付式循環型液体路において、前記凹凸(15)の高さ(H)を0.05mm~10mmの範囲に構成し、かつ、横幅(W)を0.05mm~10mmの範囲に構成した巻付式循環型液体路。
【請求項3】
請求項2に記載の巻付式循環型液体路において、前記凹凸シート(2)として凹凸(15)をエンボス加工、印刷処理、吹付処理の少なくとも一つで形成した巻付式循環型液体路。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記巻き付ける前記循環型液体路(1)の前記着脱部材(13)を取り付けた先端側領域において、前記液体路(3)に折り返し部(21)を設けた巻付式循環型液体路。
【請求項5】
請求項4に記載の巻付式循環型液体路において、前記折り返し部(21)を有する前記循環型液体路(1)を距離的に離隔させて複数個、胸部・胴体部に巻き付けるように構成した巻付式循環型液体路。
【請求項6】
請求項4~請求項5のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記折り返し部(21)を、長さ方向に延びる長さ方向液体路(22・22)と、幅方向に水路として連続する幅方向液体路(23)と、前記各長さ方向液体路(22・22)は長さ方向に延びる切り離し部(24)とを有している巻付式循環型液体路。
【請求項7】
請求項4~請求項6のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記着脱部材(13)は前記折り返し部(21)を有する前記液体路(3)を覆うカバー部材(25)に取り付けた巻付式循環型液体路。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、冷却服(20)の背面部(29)に前記液体路(3)の基端(3c)を固定して、前記冷却服(20)
の前面部(26)とは別体として巻き付けた構成にした巻付式循環型液体路。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記身体
に巻き付ける周方向において、複数の前記液体路(3)を柔軟性のある連結管(31)で連結し、前記連結管(31)の余裕長さや変形によって前記周方向の調整を行なうように構成した巻付式循環型液体路。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、人間の胸部・胴体部に巻き付ける前記循環型液体路(1)と、冷却服(20)の着脱用のファスナー(33)の位置と対応するように設けられた前記着脱部材(13)とを有する巻付式循環型液体路。
【請求項11】
請求項1に記載の巻付式循環型液体路において、首回りや肩部を冷やす首回り・肩部用循環型液体路(40)を設けた巻付式循環型液体路。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記液体路(3)の入口部(4)と出口部(5)に接続口具(6)を設け、前記接続口具(6)は、前記凹凸シート(2)が接合するための接合面部(8)と、前記液体路(3)に連通する管部(11)を有する巻付式循環型液体路。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、前記融着部(14)と前記流路部(16)とを有する前記液体路(3)に換えて、液体の流れる隙間(42)を備えている立体構造物(41)をシートの縁部接合部(7)によって形成された前記液体路(3)に固定したものを使用した巻付式循環型液体路。
【請求項14】
請求項13に記載の巻付式循環型液体路において、前記巻き付ける前記循環型液体路(1)の前記着脱部材(13)を取り付けた先端側領域において、前記液体路(3)に折り返し部(21)を設けた巻付式循環型液体路。
【請求項15】
請求項14に記載の巻付式循環型液体路において、前記折り返し部(21)を有する前記循環型液体路(1)を距離的に離隔させて複数個、胸部・胴体部に巻き付けるように構成した巻付式循環型液体路。
【請求項16】
請求項14に記載の巻付式循環型液体路において、前記折り返し部(21)を、長さ方向に延びる長さ方向液体路(22・22)と、幅方向に水路として連続する幅方向液体路(23)と、前記各長さ方向液体路(22・22)は長さ方向に延びる切り離し部(24)とを有している巻付式循環型液体路。
【請求項17】
請求項14に記載の巻付式循環型液体路において、前記着脱部材(13)は前記折り返し部(21)を有する前記液体路(3)を覆うカバー部材(25)に取り付けた巻付式循環型液体路。
【請求項18】
請求項14に記載の巻付式循環型液体路において
、冷却服(20)の背面部(29)に前記液体路(3)の基端(3c)を固定して、冷却服(20)の前記前面部(26)とは別体として巻き付けた構成にした巻付式循環型液体路。
【請求項19】
請求項1~請求項7のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、冷却用途、温め用途、医療的用
途の各目的において前記人間の頭、手、足等の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路(3)を有した巻付式循環型液体路。
【請求項20】
請求項1~請求項7のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、冷却用途、温め用途、医療的用
途の各目的において前記動物の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路(3)を有した巻付式循環型液体路。
【請求項21】
請求項13~請求項18のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、冷却用途、温め用途、医療的用
途の各目的において前記人間の頭、手、足等の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路(3)を有した巻付式循環型液体路。
【請求項22】
請求項13~請求項18のいずれか一つに記載の巻付式循環型液体路において、冷却用途、温め用途、医療的用
途の各目的において前記動物の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路(3)を有した巻付式循環型液体路。
【請求項23】
人間や動物の身体の回りに巻き付けることができる長さを有しており、循環水を流す流路を形成した液体路(3)と、前記液体路(3)を前記身体に巻き付けた状態と巻き付けを解い
た状態を選択する着脱部材(13)と、を有し、
前記身体に巻き付けた循環型液体路(1)の前記着脱部材(13)を取り付けた先端側領域において、前記液体路(3)に折り返し部(21)を設け、
前記液体路(3)は、少なくとも2枚のシートを重ね合わせ、その一部を融着させて形成した融着部(14)と、前記融着部(14)の間において融着されずに形成された流路部(16)とを有し、前記液体路(3)を前記融着部(14)と前記流路部(16)とを平面的に広がりを持って配置することで形成されていることを特徴とする巻付式循環型液体路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体、動物などの身体を冷却、温めなどの温度調整する温度調整部材及び温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、身体を循環する液体で冷却する冷却服が各種提案されている。
例えば、本出願人は特許文献1において、身体の動きによって液体路が折れ、液体路が流れないことを防止するために液体路内にメッシュ等を固定した液体路部材を提案している。
上記特許文献1に係る発明は、実用的な冷却服等を提供できる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、誠意、実用的な冷却服等を開発している過程において、いかにすれば、安価に身体を効率的に温度制御することができるかという課題に直面している。特許文献1の構成は、従来技術に比べて実現できる実用的な技術であるが、製造価格が高くなるという課題がある。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することができる液体路部材とその製造方法を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。なお、この目的は、後述する各実施例の課題の一例であり、本発明の技術的範囲を下記目的内に限定解釈してはならない。
(A)実用的な冷却服、温度調整服などを製造するための巻付式循環型液体路を提供する。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明・各実施形態において、付与された各符号は後述する実施例との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明・各実施形態の各構成要素は、実施例に記載した符号に係る構成に限定されない。
【0006】
本発明に係る巻付式循環型液体路1は、人間や動物の身体の回りに巻き付けることができる長さを有しており、循環水を流す流路を形成した液体路3と、前記液体路3を前記身体に巻き付けた状態と巻き付けを解いた状態を選択する着脱部材13と、を有し、
前記液体路3は、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、前記融着部14の間において融着されずに形成された流路部16とを有し、前記液体路3を前記融着部14と前記流路部16とを平面的に広がりを持って配置することで形成されていることを特徴とする(請求項1)。
「循環型液体路」とは「液体路」で、温度調節用の液体の液体が循環する構成のものを言う。温度調節の一例として、例えば、冷却用が挙げられる。
本発明であれば、人間や動物の身体の回りに巻き付けることで簡単に身体を温度調整、例えば、冷却できる。また、着脱部材を有することで、循環型液体路を身体に巻き付けた状態と、循環型液体路の巻き付けを解いた状態とに簡単に移行することができる。また、液体路として、融着部と流路部を備えた液体路の構成を採用することで、製造コストを安価にすることができる。
他の構成に係る本発明に係る巻付式循環型液体路1は、人間や動物の身体の回りに巻き付けることができる長さを有しており、循環水を流す流路を形成した液体路3と、前記液体路3を前記身体に巻き付けた状態と巻き付けを解いた状態を選択する着脱部材13と、を有し、
前記液体路3は、少なくとも2枚のシートを重ね合わせ、その一部を融着させて形成した融着部14と、前記融着部14の間において融着されずに形成された流路部16とを有し、前記液体路3を前記融着部14と前記流路部16とを平面的に広がりを持って配置することで形成されていることを特徴とする(請求項23)。
なお、他の構成に係る発明において、融着部14を設けることで、少なくとも2枚のシートを区画して、前記液体路3を形成する構成も採用することができる。
例えば、区画する方法としては、少なくとも2枚のシートにおいて液体路3を形成する複数本の曲線形融着部を設ける構成も採用できる。
図1を例に挙げて説明すれば、液体路3を構成する内側と外側の曲線形融着部(
図1で例示すれば、縁部接合部7・7に該当する)を設けることで、略U字形に形成された液体路3を構成することができる。同様に、所望形状の液体路を構成するために曲線形融着部の形状を適宜、設定できること明らかである。なお、「曲線形融着部」は、「直線形融着部」を含む概念で使用している。
また、他の構成に係る本発明(請求項23)においても請求項4~請求項22に係る構成を採用することができる。その場合に、例えば、実施例を説明する場合において、仮に「凹凸のある凹凸シート」とあるものを「少なくとも2枚のシート」と読み替えれば良い。
また、シートにはポリエチレン(PE)などの各種合成樹脂が使用できる。また、各種合成樹脂には、ウレタン樹脂、合成ゴム材料、塩化ビニールなどが含まれることは明らかである。なお、前記融着部を構成する方法としては、
(1)熱融着方法
(2)各種接着剤の塗布による方法
(3)高周波圧着
(4)超音波圧着
などの公知の各種の接着方法が例示できる。要は、シート材を構成する素材に応じた前記融着部を構成する方法を採用すればよいのである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明であれば、安価で実用的な冷却服などの身体冷却用の巻付式循環型液体路を提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、上記本発明の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態は、前記凹凸15の高さHを0.05mm~10mmの範囲に構成し、かつ、横幅Wを0.05mm~10mmの範囲に構成したことを特徴とする(請求項2)。
本実施形態は、前記凹凸シート2として凹凸15をエンボス加工、印刷処理、吹付処理の少なくとも一つで形成したことを特徴とする(請求項3)。
【0009】
本実施形態は、前記巻き付ける前記循環型液体路1の前記着脱部材13を取り付けた先端側領域において、前記液体路3に折り返し部21を設けたことを特徴とする(請求項4)。
折り返し部には略正反対方向に略180゜に折り返す構成や、V字形のように見えるように折り返す構成が例示できる。
本実施形態は、前記折り返し部21を有する前記循環型液体路1を距離的に離隔させて複数個、胸部・胴体部に巻き付けるように構成したことを特徴とする(請求項5)。
本実施形態は、前記折り返し部21を、長さ方向に延びる長さ方向液体路22・22と、幅方向に水路として連続する幅方向液体路23と、前記各長さ方向液体路22・22は長さ方向に延びる切り離し部24とを有していることを特徴とする(請求項6)。
本実施形態は、前記着脱部材13は前記折り返し部21を有する前記液体路3を覆うカバー部材25に取り付けたことを特徴とする(請求項7)。
【0010】
本実施形態は、前記冷却服20の背面部29に前記液体路3の基端3cを固定して、冷却服20の前記前面部26とは別体として巻き付けた構成にしたことを特徴とする(請求項8)。
本実施形態は、前記身体の巻き付ける周方向において、複数の前記液体路3を柔軟性のある連結管31で連結し、前記連結管31の余裕長さや変形によって前記周方向の調整を行なうように構成したことを特徴とする(請求項9)。
前記連結管31は、身体の巻き付ける周方向に調整手段として機能することになる。例えば、胸回り、胴回り、首回り、腕回り、又は大腿部の各周方向に複数の液体路間において連結管によって接続する構成とすることで、周方向の長さ調整、捻れ防止等の有利な点を有することができる。
【0011】
本実施形態は、人間の胸部・胴体部に巻き付ける前記循環型液体路1と、冷却服20の着脱用のファスナー33の位置と対応するように設けられた前記着脱部材13とを有することを特徴とする(請求項10)。
本実施形態であれば、冷却服の線ファスナー又は面ファスナー等を開いた状態で、循環型液体路の着脱部材を着脱動作することができるので、冷却服の着脱と循環型液体路の着脱を手軽に行える。
本実施形態は、首回りや肩部を冷やす首回り・肩部用循環型液体路40を設けたことを特徴とする(請求項11)。
なお、首回り・肩部とは、首回り、肩部の少なくとも一方を含む意味で用いている。即ち、首回り冷却だけの構成、肩部冷却だけの構成、首回りと肩部の両方を冷却する構成を含む。
【0012】
本実施形態は、前記液体路3の入口部4と出口部5に接続口具6を設け、前記接続口具6は、前記凹凸シート2が接合するための接合面部8と、前記液体路3に連通する管部11を有することを特徴とする(請求項12)。
一例として、接続口具としてはスパウト形状のものが例示できる。
本実施形態は、前記融着部14と前記流路部16とを有する前記液体路3に換えて、液体の流れる隙間42を備えている立体構造物41をシートの縁部接合部7によって形成された前記液体路3に固定したものを使用したことを特徴とする(請求項13)。
なお、請求項13の構成に前記請求項4~請求項12の各構成を付け加えて、各構成に係る実施例を作ることは、本発明の権利請求内である。その一例を請求項14~18に列挙した。
【0013】
本実施形態は、前記巻き付ける前記循環型液体路1の前記着脱部材13を取り付けた先端側領域において、前記液体路3に折り返し部21を設けたことを特徴とする(請求項14)。
本実施形態は、前記折り返し部21を有する前記循環型液体路1を距離的に離隔させて複数個、胸部・胴体部に巻き付けるように構成したことを特徴とする(請求項15)。
本実施形態は、前記折り返し部21を、長さ方向に延びる長さ方向液体路22・22と、幅方向に水路として連続する幅方向液体路23と、前記各長さ方向液体路22・22は長さ方向に延びる切り離し部24とを有していることを特徴とする(請求項16)。
本実施形態は、前記着脱部材13は前記折り返し部21を有する前記液体路3を覆うカバー部材25に取り付けたことを特徴とする(請求項17)。
【0014】
本実施形態は、前記冷却服20の背面部29に前記液体路3の基端3cを固定して、冷却服20の前記前面部26とは別体として巻き付けた構成にしたことを特徴とする(請求項18)。
本実施形態は、冷却用途、温め用途、医療的用途などの各目的において前記人間の頭、手、足等の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路3を有したことを特徴とする(請求項19)。
本実施形態は、冷却用途、温め用途、医療的用途などの各目的において前記動物の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路3を有したことを特徴とする(請求項20)。
本実施形態は、例えば、
図15に示すように、前記立体構造体42を備えた構成において、冷却用途、温め用途、医療的用途などの各目的において前記人間の頭、手、足等の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路3を有したことを特徴とする(請求項21)。
本実施形態は、例えば、
図16に示すように、前記立体構造体42を備えた構成において、冷却用途、温め用途、医療的用途などの各目的において前記動物の巻き付け可能部分に巻き付け可能な長さを有する前記液体路3を有したことを特徴とする(請求項22)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施例に係る巻付型の循環型液体路の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施例において凹凸シートをエンボス加工によって製造するための図であり、(A)はエンボス加工前のシートの平面図、(B)はその加工前のシートの縦断面図、(C)はエンボス加工後の凹凸シートの平面図、(D)はエンボス加工後の凹凸シートの縦断面図である。
【
図3】第1実施例において(A)は融着部パターンの圧着金型によって加工する様子を示す縦断面図、(B)は融着部が形成され、2枚の凹凸シートが圧着された後の平面図、(C)は2枚の凹凸シートが圧着された後の縦断面図である。
【
図4】融着部と流路部を有する液体路内の液体の流れの一例を示す平面図である。
【
図5】第1実施例の凹凸シートを構成する他の形態を説明するための縦断面図である。
【
図6】第1実施例において(A)は折り返し部を有する循環型液体路が図示していないカバー部材内に収容される前の状態の平面図、(B)は前記循環型液体路をカバー部材内に収容された後の状態の平面図である。
【
図7】第1実施例において、巻付式循環型液体路を冷却服に適用した場合のチャック等のある正面側から見た図である。但し、チャックのある冷却服の前面部は想像線で描いている。
【
図8】第1実施例において、巻付式循環型液体路を冷却服に適用した場合の正面側から見た図である。但し、循環型液体路を収容した破線で示す収容袋や連結管のある幅方向の領域を覆う布材は省略して描いている。
【
図9】第1実施例において、(A)は冷却服のチャック等のある前面部をそのチャックを開いた状態で、着脱部材で係合する前の状態の循環型液体路の形態を説明するための正面図、(B)はそのチャックを開いた状態で、着脱部材で係合した後の循環型液体路の状態を説明するための正面図である。
【
図10】第1実施例において、冷却服のチャック等のある前面部をそのチャックを閉じた状態で、冷却服の概観を示す正面図である。
【
図11】第2実施例において、(A)(B)(C)はそれぞれ融着部間の直線長さよりも流路部の領域がシート上下方向に膨らんだ流路部を製造するための模式断面図である。
【
図12】第3実施例において、首回り・肩部用循環型液体路の一例を示す模式図である。
【
図13】第4実施例において、隙間のある立体構造物を液体路内に固定した一例を示す斜視図である。
【
図14】第5実施例において、(A)は循環型液体路の一形態として直線形の液体路を示した平面図、(B)は区画接合部で折り返し部を形成した循環型液体路の一形態を示した平面図である。
【
図15】第6実施例において、(A)は手に循環型液体路を巻き付けた形態を示した正面図、(B)は頭に巻き付けた状態の循環型液体路を示した斜視図、(C)は頭に巻き付けを解いた状態の循環型液体路を示した斜視図である。
【
図16】第7実施例において、愛玩動物に循環型液体路を巻き付けた形態を示した斜視図である。
【実施例】
【0016】
[第1実施例]
以下、
図1~
図10に示す本発明に係る巻付式循環型液体路の第1実施例について、図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明においては、温度調整の形態として冷却形態を採用し、かつ、シートを接合する手段として安価に実施できる熱融着を例に取り、説明する。
本実施例に係る循環型液体路1は、巻き付けることができる程度に細長い略帯形状の平面形に形成した液体路である。循環型液体路1は、
図1に示すように、一対の細長い熱融着シート(広義には接合シート)で形成された凹凸シート2・2を熱融着することによって形成された液体路3と、その液体路3の入口部4と出口部5のそれぞれに熱融着された接続口具6としてのスパウト6とを有している。熱融着シート2としては、熱融着できる各種の合成樹脂シート、例えば、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂シートが採用できる。通常、熱融着シートは強度のある合成樹脂とともに複数の合成樹脂層を2~3層程度、積層した構成が採用されることが多い。
【0017】
次に、本実施例の一特徴である凹凸シート2による液体路3の形成について説明する。
一つのユニットとしての循環型液体路1を形成する要素としての液体路3は、小さい凹凸が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせた平面形の導液部材である。上側シートと下側シートの両方が凹凸シート2・2であることが好ましいが、一方が平坦シート、他方が凹凸シートの構成も実用上、十分に採用できる。
また、液体路3は、平面的に広がるシートにおいて、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、融着部14の間において融着されずに凹凸15を残した状態で形成された流路部16とを有している。流路部16が冷却用液体の流れる通路となる(例えば、
図3(C)参照)。
平面視において、流路部16の液体の流れを一対の融着部14の間を流れる液体は、例えば、
図4において矢印で示すように各液体路16に浸み渡るように流れる。流路部16は普通形状では薄く大面積なので、液体の量が少なくても冷却効果を大きくできる。
【0018】
なお、
図1においては簡便のために液体路3の一部を切り出した状態で融着部14、流路部16、凹凸15の構成を説明している。実際は液体路3の全面に亘って融着部14、流路部16、凹凸15が形成されている。
また、循環型液体路1を薄く形成して、冷却水量を減らして迅速に冷やすことや着心地を良くすることに重点を置く場合は、1mm~3mm程度に循環型液体路1の厚さを薄く製造することも可能になる。その時の凹凸の高さ設定は、例えば一例を挙げれば、0.05mm~1mmにすることもできる。
【0019】
さらに、
図1の構成では、液体路3において液体が流れる中心帯域を残して細長い帯形の縁部を熱融着させた縁部接合部7・7を形成することで液体路3を形成し、かつ、それらの液体路3を略正反対方向の折り返し部21を設けることで形成してある。
また、スパウト6は、熱融着シート2を融着するための接合面部8と、接合面部8を貫くように管部11が設けられた管取付部9とを有している。接合面部8の形状は四角形形、半円形状など各種の形状が採用できるが、いずれの構成も熱融着シート2を液体が漏れないようにしっかり密閉する水平方向に広がりを持った領域面を備えている。
【0020】
図1に示す構成では、スパウト6は、液体路3の内側に臨む位置に設けられた管口10が設けてあり、その管口10によって液体路3と連通されている。
接合面部8から突出した管部11の周囲には、管部11から外周側に拡径するように突出する先細形状部12が形成してある。この先細形状部12は、スパウト6に連結する接続管、例えば液体供給管、液体戻り管のような連結管等の各種接続管をワンタッチで取付け、抜けることを抑制する構造にするための構成である。先細形状部12としては、略円錐形(略タケノコ形状とも言える)、略球形、略楕円球形などの各種の構成が採用できる。
【0021】
このような先細形状部12を有する管取付部9を採用することで、雄ねじと雌ねじの螺合結合のように、通常の液体容器に採用されるスパウトの構成に比べて着脱の処理を簡便化することができる。この構成は冷却服等を構成する一部の液体路3が破損した場合にその部分だけを交換する場合に有利となる。
スパウト6は、凹凸シート2と接合しやすい同じ種類系統の合成樹脂、例えばPE、PVC等で構成してある。好ましくは同一の合成樹脂材で構成する。同一の合成樹脂材であれば、接合に必要な条件、例えば、溶ける温度等が同じであり、接合が良好になるからである
【0022】
以下、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせて本実施例に係る液体路3を作る工程の一例について説明する。
まず、
図2(A)(B)に示すように2枚の例えば合成樹脂で構成された平坦シート17・17を用意して、
図2(C)(D)に示すようにエンボス加工などの方法によって凹凸シート2・2を得る。凹凸15の高さ、横幅は冷却服などに採用した場合、液体が良好に流れる大きさであれば特に制限はない。一例を挙げれば、前記凹凸の高さHを0.05mm~10mmの範囲に構成し、さらに好ましくは高さHを0.5mm~5mmの範囲に構成することもできる。
また、横幅Wを0.05mm~10mmの範囲に構成し、
さらに好ましくは横幅Wを0.5mm~5mmの範囲に構成することもできる。
次いで、
図3(A)に示すように平面的に所定の融着パターンを有する融着部押圧型18で凹凸シート2・2を挟み込んで融着させる。
そして、
図3(B)(C)に示すように平面的に離隔して配置された融着部14とその間に凹凸部15を有する流路部16を形成する。
【0023】
図1~
図3に示す構成では融着部14の融着パターンは、縦方向及び横方向一定間隔で円形の融着部を配置した構成となっている。融着部14の形状及び配置間隔は液体が流れて、良好に身体を冷却できる構成であれば特に限定されない。
一般的には、融着部14の構成に関する考え方は、
(1)ポンプ等によって圧送された液体の流量を確保できて、十分な冷却ができるような大きさの面積がある流路部16に設定する、
(2)液体を所定圧力で流した際、液体の圧力又は身体の動きによって融着部14が剥離しない程度の大きさに設定する、
(3)縦方向、横方向、斜め方向などのできるだけ全方位方向に液体が流れるような融着部14の形状及び配置間隔を設定する。
の3点を考慮しつつ、それらのバランスを取って設定される。概して言えば、円形、楕円、多角形を平面上に離隔的に配置した構成が上記2つの要望を満たすことが多いと予想される。
【0024】
本実施例の構成であれば、平面的に離隔的に融着箇所を設けることによって、液体に圧力をかけた状態でも液体路3の膨らみを抑制でき、冷却除湿装置の容積を小さく構成することができる。また、凹凸シート2で形成しているので、必要であれば薄く形成でき、かつ冷却除湿に要する水量を減らすことができる。単位面積、単位容積に対する冷却除湿水量を減らすことができるので即座に冷却除湿を行なうことができる。
また、液体路部材に関して言えば、平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14を有しているので、例えば、横、縦、斜め方向においても液体の流路を確保できる利点がある。しかも、移動体、物体の形状や状態に応じて液体路3が曲がっても小さい凹凸15によって流路部3が閉鎖されることが抑制される。また、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を作ること、及び融着部14を形成することは簡単に行えるので、冷却除湿装置を構成する上で、製造コストを大幅に低減することができる。
【0025】
なお、
図5は、融着部14と流路部16とを有する液体路3を形成するシートの組みの他の構成を示したものである。本第1実施例に係る変形例の構成として、2つの点を特徴としている。
まず、第1の点は、一方側のシートを平坦シート17で構成するとともに他方のシートを凹凸シート2とした点である。
第2の点は、凹凸15の凸部15を印刷凸部、吹付凸部のいずれか一方で形成したことを特徴としている。第1実施例においても、液体路部材1の形成に使用する凹凸シート2を印刷凸部シート、吹付凸部シートとして採用するだけで同様に製造できるものである。
【0026】
以下、
図6~
図10を参照しつつ、冷却服や冷却部材として使用する場合の本実施例の特徴や工夫について説明する。
(着脱部分における折り返し部21の採用)
液体路3は水路として連続していなければならないにもかかわらず、冷却服20を着る場合と脱ぐ場合を切換える必要がある。この課題を解決するために、巻き付け帯部の着脱部材13のある部分に液体路3の折り返し部21が設けてある。
図6に示す構成では、折り返し部21は、長さ方向、例えば、胴回りでは、周方向に延びる長さ方向液体路22・22と、幅方向に水路として連続する幅方向液体路23とを少なくとも備えている。
また、一対の各長さ方向液体路22・22の長さ方向に延びる切り離し部24を設けている。切り離し部24があることで、長さ方向液体路22・22を太った人、痩せた人、腹の出た人などの身体表面に沿うように沿わせることができる。さらに、言えば、長さ方向液体路22・22の長さ方向、幅方向、又は前後方向(液体路のシート面に直交する方向)において、身体形状や身体の動きに応じて、各長さ方向液体路22・22は比較的自由に移動できることになる。
切り離し部24は複数の液体路3が形成されたシート面に線形の切込みを入れることでも形成できる。
【0027】
(複数の循環型液体路1を離隔させて巻き付ける構成)
図7~
図10に示すように、折り返し部21を有する循環型液体路1を距離的に離隔させて複数個、胸部・胴体部に巻き付けるように構成してある。具体的には、胴体部の上側の液体路3a・3aと間隔Lを持って、下側の液体路3b・3bを設け、合計4つの循環型液体路1を胸部・胴体部に巻き付けることができる構成にしてある。複数の循環型液体路1の数は2,4,6,…,2n個というように増やすことも可能であるが、胴部及び胸部を冷却する冷却服の構成を考える場合、作りやすさ、製造コスト等を考えると、2~8個以内にすることが好ましいと予想できる。
複数の循環型液体路1と間隔Lを持って配置することで、同じ冷却領域を1個の幅の広い循環型液体路1で構成するよりも、身体の動きを妨げることなく、動きに追従することができる。
【0028】
(着脱部材13の構成の工夫)
着脱部材13は折り返し部21を有する液体路3を収容する収容袋25a等のカバー部材25に取り付けることが好ましい。その理由は、面ファスナー13a等の着脱部材13には大きな力がかかることが多く、着脱部材13を循環型液体路1自体に取り付けた場合には、循環型液体路1が破損する虞が多いからである。
但し、カバー部材25の構成としては、袋構成だけでなく、各種の構成が採用できる。例えば、カバー部材25を熱伝導の良い補強シートで構成し、その補強シートで液体路3を覆ったり、又は、循環型液体路1の製造工程内で補強シートも合わせて積層する構成も考えられる。そのような構成では、循環型液体路1と一体化した補強シートに着脱部材13を取り付ける構成も採用することができる。
液体路3の凹凸シート2,平坦シート17は柔軟性を有する材料で構成されているので、循環型液体路1は例えば、作業者毎に大きさや形に違いのある胴部、胸部等の形状に正確に沿うような形態で巻き付けることができる。
【0029】
図7~
図10に示すように、例えば、大人の胴部・胸部を巻き付ける循環型液体路1を構成する場合は、大きさS,M,L,LL等の冷却服の大きさ基準に基づいて、それらの身体の大きさから予想される胴部回り又は胸部回りを想定して、循環型液体路1の長手方向の長さを決定すればよい。
例えば、想定する作業者の胸部・胴部回りの長さと、循環型液体路1の先端側に固定された着脱部材13の重ね合わせ領域28(
図7参照)の長さとを加えた長さに循環型液体路1を適宜、設定すれば良いことになる。
なお、上記重ね合わせ領域28の長さを余裕を持って大きく設定し、その重ね合わせ領域28の長さを各個人の胴回りに合致したレベルに調整することで、胴回りの違う各個人に対して、肌に密接する冷却効果の高い循環型液体路1を提供することができる。
【0030】
(冷却服20の前面部26の内側に巻付式循環型液体路1を別体で作る工夫)
本実施例では、冷却服20の背面部29に液体路3の基端3cを固定して、冷却服20の前面部26とは別体として巻き付けた構成にしてある。
この構成であれば、冷却服20の前面部26の密着性とは別に循環型液体路1を作業者にとって好ましい密着状態で巻き付けることができる。即ち、冷却服20の前面部26のような外装部自体に液体路3を形成した構成に比べて、冷却服20の外装部と胸部・胴体の密着性に影響を受けず、巻付式循環型液体路1を作業者の好ましい状態で胸部・胴体に巻き付けることができるので、無理なく冷却性を高めることができる。
【0031】
(柔軟性のある連結管31で遊びを持って左右の循環型液体路1を接続する構成)
背面部29の中央幅領域30内に液体路3の基端3cを配置し、それらの基端3cの間をゴムチューブなどの柔らかい連結管31で結ぶことによって、身体の捻り動作、お辞儀動作、仰け反り動作などの胸部・胴体部の各動きに従うように循環型液体路1を変化させることができる。この場合、中央幅領域30にある程度の伸縮性を設けることで、周方向の変動に対応することができる。
【0032】
(冷却服20の前面のファスナー33と循環型液体路1の開閉部位の略一致の構成の利点)
また、本実施例では、着脱部材13を循環型液体路1に固定された着脱自在の面ファスナー13aで構成してある。面ファスナー13aとしては、例えば、雄型係合部材と雌型係合部材を係止させることで着脱自在に取り付ける面形のファスナーであり、一例としては、マジックテープ(登録商標)が良く知られている。なお、雄型係合部と雌型係合部材の両方が係合面にあるフリーマジック(登録商標)が好適に使用できる。
また、
図7~
図9に示すように、冷却服の線ファスナー33又は面ファスナー33が設けられた前面位置に対応する位置に、左右の循環型液体路1の重ね合わせ領域28を設けているので、ファスナー33を開く手を使って循環型液体路1の着脱部材13を簡単に着脱動作することができる。
【0033】
[第2実施例]
図11に示すように、この実施形態では、流路部16のシート部分の長さを流路部16の直線長さSよりも長く設定することで、液体が流れた場合に膨らんで身体との密着性を良くした構成を説明する。
図11(A)に示すように、液体路の全幅L、又は図示しない縦長さ、よりも大きな長さを有する少なくとも1枚の凹凸シート2を用意する。そして、
図11(B)のように融着部14を形成した場合に、
図11では上側凹凸シート2及び下側凹凸シート2の幅及び長さが広い分だけ、流路部16に液体を流した場合に膨らみR(
図11においてRで示す)を大きくできるようにする。なお、この製造に際しては、融着部14に幅広の上側凹凸シート2及び下側凹凸シート2が畳み込まれて融着されないように注意して融着処理を行なうことが必要である。その方法として、空気を加圧状態にして、上側・下側凹凸シート2が膨らんだ状態で融着処理をする方法が考えられる。
上側凹凸シート2、下側凹凸シート2の一方側のシート2だけ幅方向及び長さ方向に大きく設定して、幅広シート、縦長シートに構成しても良い。
図11(C)は模式的な拡大断面図であり、液体が流れた状態において上下に膨らんだ流路部16の状態を示している。
なお、
図3(C)に示すような流路部16の膨らみが小さい構成に比べて、
図11(B)(C)に示すように膨らみRが大きい構成の倍率は、適宜、液体路が採用される冷却服等の用途や箇所によって変化する。
【0034】
[第3実施例]
図12に示す実施例では、首回り・肩部を冷やす首回り・肩部用循環型液体路40を設けた冷却服20を示している。
図12に示す一方側の首回り・肩部用循環型液体路40と他方側の首回り・肩部用循環型液体路40の先端側に折り返し部21を設けて、その先端側の折り返し部21に冷却服20の前面側の左右循環型液体路1に着脱できる着脱部材13(例えば、面ファスナー13a)を設けた構成にしてある。
先端側に着脱部材13を設けず、前面側の左右循環型液体路1を収容する
図9及び
図10に示す収容袋25a等に縫い付ける構成で固定する方法も採用できる。
また、図示はしないが、胸部・胴部とは別体の専用の首回り・肩部用循環型液体路40を製造することもできる。
首回り・肩部用循環型液体路40を採用する液体路3としては、第1実施例と第4実施例に示した液体路や、第5実施形態の(A)(B)に示す構成を採用できる。
なお、
図12では簡便のために第1実施例、第4実施例、第5実施形態に示した液体路を単純な一対の管形に描いている。
【0035】
[第4実施例]
図13に示すように、第4実施例の特徴は、
図1に示すような凹凸シート2を用いて液体路3を構成に換えて、シートの縁部接合部7によって形成された液体路3内に柔軟性を有する立体構造物41を固定した点にある。
図13に示す構成では、立体構造物41は液体の流れる隙間42を備えている構成を有することで、良好な液体の流れを確保できるようにしてある。
立体構造体41の一例としては、縦糸と横糸が上下に交差して、その交差によって液体の流れる隙間42を確保するようにした繊維構造体が例示できる。そのような繊維構造体として縦糸と横糸が上下に交差するメッシュなどを挙げることができる。
また、立体構造物41は液体路3を構成する少なくとも片方側のシート面に固定されていることが好ましい。
【0036】
さらに、立体構造物41の少なくとも片方側のシート面への固定を、液体路3の形状パターンを形成するための複数の接合シート2に係る接合方法と同一の方法によって行うことが好ましい。その場合は、立体構造物41を構成する素材と、接合シート2を構成する合成樹脂と同じ種類又は接合しやすい合成樹脂を選ぶことになる。前記した縁部接合部7と一緒に立体構造物41も同じ方法で接合することで、立体構造物41を接合シート2・2の少なくとも片方に固定することができる。
また、本発明は、熱融着シート2・2の少なくとも一方側に接着剤などの固定手段を設け、その固定手段によって想定する液体路3の中心帯域に立体構造物41を固定する方法も除外するものではない。
【0037】
[第5実施例]
図14(A)に示す構成は、巻付式循環型液体路1を直線形の流体路3で構成したもので、両端に接続口具6が設けてある。巻付式循環型液体路1の形状は直線形だけでなく、湾曲形など冷やそうとする箇所の形状に応じて変形できるものである。
図14(A)に示す構成は、巻付式循環型液体路1の巻き付け帯部の一部を構成することができる。
【0038】
図14(B)に示す構成は、長さ方向液体路22・22の間に区画接合部44で構成したことで、長さ方向液体路22・22と幅方向液体部23を形成して折り返し部21を構成したことを特徴としている。つまり、
図1及び
図6に示した切り離し部24の部分を切り離さず、縁部接合部7と同じような区画接合部44で構成した点が特徴と言える。
この形態においても着脱部材13のある着脱部分に折り返し部21を形成することができる。
【0039】
[第6実施例]
図15(A)に示す実施例では、手34に循環型液体路1を巻き付け、氷を入れた液体容器35と、モーターと電源等を入れた制御部36を腰部に取り付けた構成が示してある。
循環型液体路1には面ファスナー13aが取り付けられ、巻き付けて手34の冷やしたい部分を継続的に冷やすことができる。手34を冷やす用途としては、暑い時の冷却だけでなく、医療的な冷却でも採用することができる。即ち、捻挫、打撲、火傷又は傷など、医療的検知から冷やした方が良い場合もある。本実施例に係る巻き付け型の循環型液体路1であれば、腕や手のひらなどの手34の大きさ、太さや、冷やす箇所が異なっても影響を受けず、簡単に巻き付けて即座に冷やすことができる。また、氷を液体容器35内に供給するだけで、長時間に亘って冷却することができる。
図示していないが、本実施例の循環型液体路1は、大腿部、ふくらはぎ、足の甲や足の裏などの足の各部においても、各部を巻き付ける形態において同様に適用できる。
【0040】
図15(B)(C)に示す実施例では、頭部を冷やす循環型液体路1は、巻き付けることができる布や繊維材で形成された帯部37と、頭に接する帯部37の好ましくは内面に設けられた循環型液体路1と、帯部37の一対の着脱切り離し端部域38・38に取り付けられた各着脱部材13・13とを有している。
【0041】
[第7実施例]
図16に示す実施例は、犬、猫等の愛玩動物の巻き付け可能な部位に循環型液体路1を巻き付けた状態を示している。通常は胴体部に巻き付けることが多い。
図15で示した液体容器35及び制御部36は愛玩動物に取り付けても良いし、重さが負担になるような小型の愛玩動物であれば、飼い主の散歩時に飼い主の腰部に取り付けても良い。
巻付式の循環型液体路1を採用することで、愛玩動物の種類、大きさ又は温度調整を行う部分に限定されず、汎用性があることは大きな利点になる。
【0042】
本発明は上記実施例以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)前記実施例では液体として水が好ましい。但し、水に熱交換を促進する物質(液体)を混合した液体や、熱交換に適した水以外の液体を採用して本発明を構成することもできる。これらの構成であっても前記した熱交換を促進する液体は人体に有害でない構成を採用することが好ましい。
(2)本発明において、液体を液体路内に循環するためにポンプを設けることや、氷を入れた液体容器を備えていることは公知技術であるので、本発明の目的において適宜、ポンプや各種の液体容器などの最適な構成を採用すればよい。
(3)前記実施例では、温度調整を冷却に例を取り説明したが、必要であれば、温水を流して身体を温める構成も採用することができる。この場合は前記(2)で説明した「氷を入れた液体容器」に換えて「加熱装置を備えた温水容器等」を設ければよい。そのような加熱装置としては、ガスバーナなどの燃料燃焼による加熱、電熱器等の電気手段による加熱、化学物質の混合などの加熱等が例示できる。
(4)なお、温度調整水を用いた循環型液体路1によって冷却又は温められる「身体」には、犬、猫などの愛玩動物や、競走馬などの各種動物も含まれる。
(5)また、前記凹凸シートに形成される前記凹凸はある程度曲がっても水の流れを実質的に良好に維持できるものであれば、特に限定されない。例えば、円形、楕円形などの円だけでなく、6角形などの多角形を多数設けたものでも構成できる。また、複数の凸形線又は凹形線を角度もって交差させることで形成した格子紋、菱形紋、籠目紋などの各種の凹凸形状などが例示できる。また、前記凹凸は壁紙などに用いられる小さな凹凸部が不規則に形成されている凹凸シートなども採用できる。
【符号の説明】
【0043】
1…循環型液体路
2…凹凸シート
3…液体路
3c…基端
4…入口部
5…出口部
6…接続口具
11…管部
13…着脱部材
13a…面ファスナー
15…凹凸
14…融着部
16…流路部
20…冷却服
21…折り返し部
22…長さ方向液体路
23…幅方向液体路
24…切り離し部
25…カバー部材
25a…収容袋
26…前面部
29…背面部
30…中央幅領域
31…連結管
33…ファスナー
40…首回り・肩部用循環型液体路
42…隙間
41…立体構造物
H…凹凸15の高さ
W…凹凸15の横幅