(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】電解ニッケル(合金)めっき液
(51)【国際特許分類】
C25D 3/18 20060101AFI20220209BHJP
C25D 3/12 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C25D3/18
C25D3/12 102
C25D3/12 101
(21)【出願番号】P 2018552620
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2017042024
(87)【国際公開番号】W WO2018097184
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2016228876
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399133947
【氏名又は名称】日本高純度化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】特許業務法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和也
(72)【発明者】
【氏名】大平原 祐樹
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-245693(JP,A)
【文献】特開昭61-221394(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173254(US,A1)
【文献】特開2013-039616(JP,A)
【文献】特開2012-195465(JP,A)
【文献】特開2008-308708(JP,A)
【文献】特開2005-187887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00-3/66
C25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(A)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有することを特徴とする電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【化1】
[一般式(A)において、-R
1は、炭素数1~
4のアルキル基、アルキルアミノ基若しくはシアノアルキル基、アミノ基(-NH
2)又はシアノ基である。-R
2は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、ビニル基、メトキシカルボニル基(-CO-O-CH
3)、カルバモイル基(-CO-NH
2)、ジメチルカルバモイルオキシ基(-O-CO-N(CH
3)
2)又はアルドキシム基(-CH=NOH)である。X
-は任意の陰イオンである。]
(但し、一般式(A)が下記式(A1)である場合、及び、下記式(A2)である場合を除く。)
【化2】
【化3】
【請求項2】
X
-がハロゲン化物イオンである請求項1に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項3】
一般式(A)で表されるN置換ピリジニウム化合物が、1-メチルピリジニウムのハロゲン化物、1-エチルピリジニウムのハロゲン化物、1-プロピルピリジニウムのハロゲン化物、1-ブチルピリジニウムのハロゲン化物
、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウムのハロゲン化物、1-エチル-4-(メトキシカルボニル)ピリジニウムのハロゲン化物、1-ブチル-4-メチルピリジニウムのハロゲン化物、1-ブチル-3-メチルピリジニウムのハロゲン化物、1-メチルピリジニウム-2-アルドキシムのハロゲン化物、3-カルバモイル-1-メチルピリジニウムのハロゲン化物、3-(ジメチルカルバモイルオキシ)-1-メチルピリジニウムのハロゲン化物及び1-(シアノメチル)ピリジニウムのハロゲン化物からなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項
2に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項4】
ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有することを特徴とする電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液
(但しニッケル-コバルト-ホウ素の三元合金用の電解ニッケル合金めっき液である場合を除く)。
【化4】
[一般式(B)において、-R
3は、水素原子又はヒドロキシル基(-OH)である。-R
4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ビニル基又はカルバモイル基(-CO-NH
2)である。mは0、1又は2である。]
【請求項5】
ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有する
電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液であって、電解ニッケル合金めっき液である場合、ニッケルとの合金用の金属イオンが、タングステン、モリブデン、マンガン、鉄、亜鉛、錫、銅、パラジウム又は金であることを特徴とする電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【化5】
[一般式(B)において、-R
3は、水素原子又はヒドロキシル基(-OH)である。-R
4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ビニル基又はカルバモイル基(-CO-NH
2)である。mは0、1又は2である。]
【請求項6】
一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物が、1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、1-(2-スルホナトエチル)ピリジニウム、1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-tert-ブチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2,6-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-(アミノカルボニル)-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム及び4-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である請求項
4又は請求項
5に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項7】
上記ニッケル塩が、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、クエン酸ニッケル及びホウフッ化ニッケルからなる群より選ばれた1種以上である請求項1ないし請求項
6の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項8】
上記pH緩衝剤が、ホウ酸、メタホウ酸、酢酸、酒石酸及びクエン酸、並びにそれらの塩からなる群より選ばれた1種以上である請求項1ないし請求項
7の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項9】
電子部品内に形成された微小孔若しくは微小凹部、又は電子部品同士を重ねた際に生じる微小間隙部の充填用である請求項1ないし請求項
8の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液。
【請求項10】
請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とするニッケル析出物又はニッケル合金析出物の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法。
【請求項12】
電子部品内に形成された微小孔又は微小凹部の表面に予め電解めっき用シード層を施した後、該電子部品を請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきをすることを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法。
【請求項13】
外部電源を使用して電解めっきする際に、微小孔又は微小凹部内部の最小めっき断面膜厚X
2が、微小孔又は微小凹部の外側の周縁部のめっき最大断面膜厚X
1よりも大きくなるようにする請求項
12に記載の微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法。
【請求項14】
請求項
11ないし請求項
13の何れかの請求項に記載の製造方法により、微小孔又は微小凹部にめっき充填する工程を含むことを特徴とする微小三次元構造体の製造方法。
【請求項15】
2個以上の電子部品を重ねて、電子部品同士の間に微小間隙部が形成された状態で、該2個以上の電子部品を請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきすることで該微小間隙部を充填することを特徴とする電子部品接合体の製造方法。
【請求項16】
2個以上の電子部品がニッケル又はニッケル合金により接合されている電子部品接合体であって、
線状の電子部品と板状の電子部品との間に形成された微小間隙部付近には、他の部位よりも多くのニッケル又はニッケル合金が析出していることを特徴とする電子部品接合体。
【請求項17】
前記線状の電子部品が銅線であり、前記板状の電子部品が銅板である請求項15に記載の電子部品接合体。
【請求項18】
ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通しないように埋め込まれたプラグ部と、該プラグ部の外径よりも大きい外径を持ち該プラグ部と当接しているキャップ部とを備え、該キャップ部の外径は200μm以下であり、該キャップ部は該基材の基材面より突出した形状となっていることを特徴とする片面の電子部品接合用端子。
【請求項19】
ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通するように埋め込まれたプラグ部と、該プラグ部の外径よりも大きい外径を持ち該プラグ部の両端とそれぞれ当接している2つのキャップ部とを備え、2つのキャップ部の外径は何れも200μm以下であり、2つのキャップ部は該基材のそれぞれの基材面より突出した形状となっていることを特徴とする両面の電子部品接合用端子。
【請求項20】
ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通しないように埋め込まれたプラグ部からなり、該プラグ部の外径は100μm以下であることを特徴とする片面の電子部品接合用端子。
【請求項21】
ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通するように埋め込まれたプラグ部からなり、該プラグ部の外径は100μm以下であることを特徴とする両面の電子部品接合用端子。
【請求項22】
上記プラグ部の中に最大幅が10μmよりも大きいボイドが存在しない請求項
18ないし請求項
21の何れかの請求項に記載の電子部品接合用端子。
【請求項23】
請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を用いて形成したものである請求項
18ないし請求項
22の何れかの請求項に記載の電子部品接合用端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解ニッケルめっき液や電解ニッケル合金めっき液(以下、これらを総称して「電解ニッケル(合金)めっき液」という場合がある。また、電解ニッケル(合金)めっき液を使用することで析出する「ニッケル又はニッケル合金」を「ニッケル(合金)」という場合がある。)に関し、更に詳しくは、電子部品内の微小孔や微小凹部のめっき充填用、2個以上の電子部品同士を重ねた際に生じる微小間隙部のめっき充填用に特に適した電解ニッケル(合金)めっき液に関する。
また、本発明は、かかる電解ニッケル(合金)めっき液を使用した微小孔や微小凹部のめっき充填方法や、微小三次元構造体の製造方法、電子部品接合体やその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やプリント基板に代表される電子回路部品(以下、単に「電子部品」という場合がある。)は、配線形成のためのビア、スルーホール、トレンチ等の微小孔や微小凹部を有している。従来複数の回路基板を積層させた多層プリント基板の製造においては、ビアの壁面をコンフォーマル銅めっき(追従めっき)した後に、食い違い配列で他層と接続させるスタガードビア構造が主流であった。しかし、近年の電子機器の小型化、高機能化に伴い、ビアを銅めっきで充填し、そのまま他層を重ねて層間接続させるスタックビア構造による省スペース化が必要不可欠なものとなっている。
【0003】
電解銅めっきによる充填技術は半導体製造技術にも適用され、ダマシンプロセスやシリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)と呼ばれる技術が登場し、ビアを電解銅めっきで充填させて三次元的に配線構造を形成することが可能となってきている。
【0004】
微小孔や微小凹部の充填用の電解銅めっき液は、複数の添加剤を含有させ、それらの濃度バランスを最適にコントロールすることでビアを充填しているが、数μm程度のマクロボイドがなく充填できたとしても、添加剤の副作用としてnmオーダーのマイクロボイドが残留するという問題があった。銅は融点がそれほど高くない金属であり(1083℃)、電解銅めっき後の室温放置においても再結晶が起こることは良く知られている。この再結晶過程においてnmオーダーのマイクロボイドが凝集した結果、マクロなボイドを形成してしまうという問題があった。
例えば、非特許文献1には、添加剤であるポリエチレングリコール(PEG)が銅皮膜中に一部取り込まれ、銅皮膜中にnmオーダーのマイクロボイドが生じ、銅の再結晶過程において、室温放置により、直径70nmに達する大きなボイドを形成することが記載されている。
【0005】
従って、電解銅めっき液を使用した銅充填方法はこのような課題を潜在的に抱えていることになり、配線の更なる微細化が進んだ際にはマイクロボイド凝集に伴うボイド成長やボイド移動により、配線信頼性の低下が顕在化するおそれがある。
【0006】
そこで、めっき添加剤起因のマイクロボイドが残留したとしても、室温再結晶が起こりにくい高融点金属、特に電子部品の下地めっきとして一般的なニッケル(融点:1455℃)で微小孔や微小凹部を充填することができれば、ボイドの凝集が起きず信頼性の高い配線になり得ると本発明者は推測した。
【0007】
電解ニッケルめっきで凹部を充填する試みも検討はされている。
非特許文献2では、電解ニッケルめっき液に、様々な添加剤を加えた場合のトレンチ内の充填性を検討し、チオ尿素を添加することで微小凹部(トレンチ)が充填されるとしている。
しかしながら、本発明者らの追試(後述の実施例)によると、非特許文献2に記載の電解ニッケルめっき液での充填性は未だ不十分でありボイドの発生を抑制できず、また、析出物にクラックが入り、構造体として不良であることが判明した。
【0008】
電子回路の微細化は、益々進行しており、かかる公知技術では、微小孔・微小凹部の充填性が不十分であり、ボイド等の欠陥やクラック等が発生しないニッケル充填方法の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】表面技術 Vol.52, No.1, pp.34-38(2001)
【文献】エレクトロニクス実装学会誌, Vol.17, No.2, pp.143-148(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、電子回路部品内の微小孔や微小凹部をニッケル又はニッケル合金で充填するに際し、ボイドやシーム等の欠陥を発生させることなく充填することのできる電解ニッケル(合金)めっき液を提供することにあり、また、かかる電解ニッケル(合金)めっき液を用いたニッケル又はニッケル合金めっき充填方法や、微小三次元構造体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の課題は、2個以上の電子部品同士を重ねた際に生じる微小間隙部を充填することができ、電子部品同士を強固に接合することのできる電解ニッケル(合金)めっき液や、それを使用した電子部品接合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のN置換ピリジニウム化合物を含有させた電解ニッケルめっき液を使用して電解めっきすることによって、微小孔や微小凹部内に、ボイド等の欠陥を発生させることなくニッケルを充填することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(A)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有することを特徴とする電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を提供するものである。
【0013】
【0014】
[一般式(A)において、-R1は、炭素数1~6のアルキル基、アルキルアミノ基若しくはシアノアルキル基、アミノ基(-NH2)又はシアノ基である。-R2は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、ビニル基、メトキシカルボニル基(-CO-O-CH3)、カルバモイル基(-CO-NH2)、ジメチルカルバモイルオキシ基(-O-CO-N(CH3)2)又はアルドキシム基(-CH=NOH)である。X-は任意の陰イオンである。]
【0015】
また、本発明は、ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有することを特徴とする電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を提供するものである。
【0016】
【0017】
[一般式(B)において、-R3は、水素原子又はヒドロキシル基(-OH)である。-R4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ビニル基又はカルバモイル基(-CO-NH2)である。mは0、1又は2である。]
【0018】
また、本発明は、上記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とするニッケル析出物又はニッケル合金析出物の製造方法を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、電子部品内に形成された微小孔又は微小凹部の表面に予め電解めっき用シード層を施した後、該電子部品を上記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきをすることを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、上記の製造方法により、微小孔又は微小凹部にめっき充填する工程を含むことを特徴とする微小三次元構造体の製造方法を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、2個以上の電子部品を重ねて、電子部品同士の間に微小間隙部が形成された状態で、該2個以上の電子部品を上記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきすることで該微小間隙部を充填することを特徴とする電子部品接合体の製造方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、2個以上の電子部品がニッケル又はニッケル合金により接合されている電子部品接合体であって、電子部品同士の間に形成された微小間隙部付近には、他の部位よりも多くのニッケル又はニッケル合金が析出していることを特徴とする電子部品接合体を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通しないように埋め込まれたプラグ部と、該プラグ部の外径よりも大きい外径を持ち該プラグ部と当接しているキャップ部とを備え、該キャップ部の外径は200μm以下であり、該キャップ部は該基材の基材面より突出した形状となっていることを特徴とする片面の電子部品接合用端子を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通するように埋め込まれたプラグ部と、該プラグ部の外径よりも大きい外径を持ち該プラグ部の両端とそれぞれ当接している2つのキャップ部とを備え、2つのキャップ部の外径は何れも200μm以下であり、2つのキャップ部は該基材のそれぞれの基材面より突出した形状となっていることを特徴とする両面の電子部品接合用端子を提供するものである。
【0026】
また、本発明は、ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通しないように埋め込まれたプラグ部からなり、該プラグ部の外径は100μm以下であることを特徴とする片面の電子部品接合用端子を提供するものである。
【0027】
また、本発明は、ニッケル又はニッケル合金で構成されている電子部品接合用端子であって、厚さ1mm以下の基材の中に、該基材の基材面に対して略垂直方向に該基材を貫通するように埋め込まれたプラグ部からなり、該プラグ部の外径は100μm以下であることを特徴とする両面の電子部品接合用端子を提供するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきを使用することにより、電子回路部品内の微小孔又は微小凹部を、ボイドやシーム等の欠陥を発生させることなく充填することができる。
【0029】
本発明では、融点が高く、室温再結晶が起こりにくいニッケルで微小孔や微小凹部を充填できるので、配線の更なる微細化が進んでも、ボイドの凝集に伴う不具合が起こりにくく、微細化が進んでいる三次元配線形成や三次元MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品等に広く応用することができる。
【0030】
また、本発明では、微小部分にニッケルを析出させることができるので、電子部品同士を重ねた際に生じる微小間隙部のニッケル析出量を多くすることができ、電子部品同士を強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例で使用した評価用プリント基板の被めっき部周辺の断面を示す模式図である。
【
図2】実施例で使用した評価用プリント基板の表面の配線パターンの写真である。
【
図3】実施例で使用した評価用電子部品(銅線と銅板)の接合前の断面を示す模式図である。
【
図4】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例1)。
【
図5】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例2)。
【
図6】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例3)。
【
図7】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例4)。
【
図8】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例5)。
【
図9】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(実施例6)。
【
図10】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(比較例1)。
【
図11】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(比較例2)。
【
図12】めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真である(比較例3)。
【
図13】めっき充填後の銅線と銅板の断面の顕微鏡写真である(実施例7)。
【
図14】めっき充填後の銅線と銅板の断面の顕微鏡写真である(実施例8)。
【
図15】めっき充填後の銅線と銅板の断面の顕微鏡写真である(比較例4)。
【
図16】本発明の方法で微小孔又は微小凹部にニッケル(合金)析出物を充填する際の基材断面の模式図である。
【
図17】本発明の片面の電子部品接合用端子の一例を示す模式図である。
【
図18】本発明の両面の電子部品接合用端子の一例を示す模式図である。
【
図19】本発明の片面の電子部品接合用端子の一例を示す模式図である。
【
図20】本発明の両面の電子部品接合用端子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
【0033】
<電解ニッケル(合金)めっき液>
本発明の電解ニッケル(合金)めっき液(以下、単に「本発明のめっき液」と略記する場合がある。)は、ニッケル塩と、pH緩衝剤と、下記一般式(A)又は下記一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有する。
【0034】
【0035】
[一般式(A)において、-R1は、炭素数1~6のアルキル基、アルキルアミノ基若しくはシアノアルキル基、アミノ基(-NH2)又はシアノ基である。-R2は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、ビニル基、メトキシカルボニル基(-CO-O-CH3)、カルバモイル基(-CO-NH2)、ジメチルカルバモイルオキシ基(-O-CO-N(CH3)2)又はアルドキシム基(-CH=NOH)である。X-は任意の陰イオンである。]
【0036】
【0037】
[一般式(B)において、-R3は、水素原子又はヒドロキシル基(-OH)である。-R4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ビニル基又はカルバモイル基(-CO-NH2)である。mは0、1又は2である。]
【0038】
本発明のめっき液に含有させるニッケル塩としては、水溶性や充填性の観点から、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル、クエン酸ニッケル、ホウフッ化ニッケル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
上記ニッケル塩の合計含有量は、ニッケルイオンとして、10g/L以上180g/L以下が好ましく、50g/L以上130g/L以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、ニッケルの析出速度を十分にすることができ、また、ボイドを発生することなく微小孔や微小凹部を充填することができる。
【0040】
本発明のめっき液に含有させるpH緩衝剤としては、ホウ酸、メタホウ酸、酢酸、酒石酸、クエン酸や、それらの塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
pH緩衝剤の合計含有量は、1g/L以上100g/L以下が好ましく、5g/L以上50g/L以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、上記一般式(A)又は一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物(以下、「特定N置換ピリジニウム化合物」という場合がある。)の作用を阻害しにくく、本発明の効果が保たれる。
【0042】
本発明のめっき液は、特定N置換ピリジニウム化合物を含有する。
特定N置換ピリジニウム化合物の作用により、本発明のめっき液は、微小孔や微小凹部をボイドの発生なく充填することができる。
【0043】
上記一般式(A)及び上記一般式(B)のR1、R2、R4が、炭素数1~6のアルキル基、アルキルアミノ基、シアノアルキル基又はヒドロキシアルキル基である場合は、該R1、R2、R4は互いに異なっていてもよい。また、R1、R2、R4の炭素数は、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0044】
上記一般式(A)において、-R1の具体例としては、-CH3、-CH2CH3、-CH2CN等が挙げられる。
-R2の具体例としては、-H、-CH3、-C2H5、-CH2OH、-CH=CH2、-CONH2、-CH=NOH等が挙げられる。
X-の具体例としては、ハロゲン化物イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)等が挙げられる。
【0045】
上記一般式(A)で表される特定N置換ピリジニウム化合物の具体例としては、1-メチルピリジニウム、1-エチルピリジニウム、1-プロピルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-ペンチルピリジニウム、1-ヘキシルピリジニウム、1-エチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、1-エチル-4-(メトキシカルボニル)ピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-メチルピリジニウム-2-アルドキシム、3-カルバモイル-1-メチルピリジニウム、3-(ジメチルカルバモイルオキシ)-1-メチルピリジニウム(ピリドスチグミン)、1-(シアノメチル)ピリジニウム等のハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物)等が挙げられる。
【0046】
上記一般式(B)において、-R4の具体例としては、-R2と同様のものが挙げられる。
【0047】
上記一般式(B)で表される特定N置換ピリジニウム化合物の具体例としては、1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、1-(2-スルホナトエチル)ピリジニウム、1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-メチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-エチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-メチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、2-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、3-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-エチル-1-(4-スルホナトブチル)ピリジニウム、4-tert-ブチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2,6-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-(アミノカルボニル)-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-ビニル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-メチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、2-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、3-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム、4-エチル-1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム等が挙げられる。
【0048】
「1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム」は、一般式(B)において、-R3が水素原子、-R4が水素原子、mが1の化合物であり、「1-(3-スルホプロピル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩」、「1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム」、「PPS」等の別名がある。
「2-ビニル-1-(3-スルホナトプロピル)ピリジニウム」は、一般式(B)において、-R3が水素原子、-R4がオルト位に結合したビニル基、mが1の化合物であり、「1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムヒドロキシド分子内塩」、「1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウムベタイン」、「PPV」等の別名がある。
「1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウム」は、一般式(B)において、-R3がヒドロキシル基、-R4が水素原子、mが1の化合物であり、「1-(2-ヒドロキシ-3-スルホナトプロピル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩」、「1-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)ピリジニウムベタイン」、「PPSOH」等の別名がある。
【0049】
特定N置換ピリジニウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明のめっき液における特定N置換ピリジニウム化合物の合計含有量は、0.01g/L以上100g/L以下が好ましく、0.1g/L以上10g/L以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小孔や微小凹部の外部のニッケル析出量を多くすることができ、微小孔や微小凹部にボイドを発生させることなく充填することができる。
【0050】
本発明のめっき液が、電解ニッケル合金めっき液である場合、ニッケルとの合金用の金属イオンについては、例えば、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、鉄、亜鉛、錫、銅、パラジウム、金等が挙げられる。これらの金属源としては、公知の化合物を使用できる。
また、金属ではないものの、ニッケル又はニッケル合金皮膜に、炭素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、塩素、臭素等を含有してもよい。
【0051】
本発明のめっき液には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、ピット防止剤、1次光沢剤、2次光沢剤、界面活性剤等を必要に応じて添加することができる。
【0052】
本発明のめっき液は、電子回路部品内に形成された微小孔又は微小凹部の充填用として使用するのに特に適しているが、通常のニッケル(合金)析出物の製造用にも使用することができる。
すなわち、本発明は、上記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とするニッケル析出物又はニッケル合金析出物の製造方法にも関する。
【0053】
後述の実施例のように、本発明のめっき液により、微小孔や微小凹部を充填した場合、微小孔や微小凹部の内部の析出量が、微小孔や微小凹部の外部の析出量よりも多くなり、微小孔や微小凹部にニッケル(又はニッケル合金)を十分に埋め込むことができる。また、微小孔や微小凹部の内部にボイド(穴)やシーム(溝)が発生しにくい。
このため、ニッケルの融点の高さも相俟って、本発明のめっき液により微小孔や微小凹部を充填した電子回路部品は、高い信頼性を持つことが期待される。
【0054】
<ニッケル(合金)充填電子部品の製造方法・微小三次元構造体の製造方法>
本発明は、前記の電解ニッケルめっき液又は電解ニッケル合金めっき液を使用して電解めっきを行うことを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法(すなわち、ニッケル析出物又はニッケル合金析出物の充填方法)にも関する。
また、本発明は、電子部品内に形成された微小孔又は微小凹部の表面に予め電解めっき用シード層を施した後、該電子部品を前記の電解ニッケル(合金)めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきをすることを特徴とする、微小孔又は微小凹部にニッケル析出物又はニッケル合金析出物が充填されている電子部品の製造方法でもある。
更に、本発明は、上記製造方法により微小孔又は微小凹部にめっき充填する工程を含むことを特徴とする微小三次元構造体の製造方法でもある。
【0055】
「微小孔又は微小凹部」とは、半導体やプリント基板等の電子回路部品内に形成されたビア、スルーホール、トレンチ等の微小な窪んだ部分であり、電解めっき等により、金属を充填されることにより、配線部として機能する部分をいい、上から見た形状は限定されない。また、「微小孔」に関しては、貫通していてもいなくてもよい。
【0056】
本発明を実施するには、電子回路部品内の被めっき基板上に、微小孔や微小凹部を形成することが必要である。
【0057】
被めっき基材に特に制限はなく、具体的には電子回路部品として多用されるガラスエポキシ材、BT(Bismaleimide-Triazine)レジン材、ポリプロピレン材、ポリイミド材、セラミック材、シリコン材、金属材、ガラス材等が挙げられる。
【0058】
被めっき基材に微小孔や微小凹部を形成する方法に制限はなく、公知の方法が適宜使用できる。例えば、レーザー加工やイオンエッチングによる方法が挙げられ、開口部が100μm以下、アスペクト比が0.5以上の深さで微小凹部を形成させることができる。
その後必要に応じてフォトレジスト等で被めっき基材表面にパターンを形成させる。
【0059】
微小凹部を形成した被めっき基材が絶縁基材の場合には、基材表面と微小凹部の内表面に電解めっき用シード層を形成させる。シード層の形成方法に制限はないが、具体的にはスパッタリングによる金属堆積や無電解めっき法等が挙げられる。
シード層を構成する金属としては特に制限はなく、銅、ニッケル、パラジウム等が例示できる。
【0060】
電解めっき用シード層を形成した後に、本発明の電解ニッケル(合金)めっき液に被めっき基材を浸漬し、外部電源を用いて電解ニッケル(合金)めっきを実施し、微小孔や微小凹部に、ニッケル又はニッケル合金を充填する。
なお、シード層形成後に一度乾燥した被めっき基材にめっきする場合は、常法に従って脱脂、酸洗浄を行った後に、本発明のめっき液を用いて電解めっきすればよい。
【0061】
ここで、微小孔や微小凹部の「充填」とは、大きなボイド(穴)を生じることなく微小孔や微小凹部を埋め込むことを意味するが、微小孔や微小凹部が完全には埋まっていない場合(例えば、
図16(b)や
図19(c)等に示すように、微小孔や微小凹部にニッケル(合金)が析出しているものの、窪んでいる部分が存在する場合)や、微小孔や微小凹部の外側の周縁部にまでニッケル又はニッケル合金が析出する場合(
図16(a)等の場合)も「充填」に含まれる。
【0062】
本発明の充填方法では、外部電源を使用して電解めっきする際に、微小孔又は微小凹部30内部の最小めっき断面膜厚(
図16におけるX
2)が、微小孔又は微小凹部30の外側の周縁部31のめっき最大断面膜厚(
図16におけるX
1)よりも大きくなるようにすることが可能である。
すなわち、本発明の充填方法では、微小孔又は微小凹部30内部において、ニッケル(合金)の析出量を多くすることが可能である。
【0063】
本発明の充填方法で、微小孔又は微小凹部30内部にニッケル(合金)を充填する際には、
図16(a)に示すように、微小孔又は微小凹部30が完全にニッケル(合金)で埋まっていてもよいし、
図16(b)に示すように、一部埋まっていなくても(逆凸型の形状となっていても)よい。
【0064】
本発明のニッケル又はニッケル合金めっき充填方法により、微小孔又は微小凹部にめっき充填する工程を含む方法により、微小孔や微小凹部がニッケル又はニッケル合金で充填された微小三次元回路配線又は微小三次元構造体を製造することができる。
【0065】
めっき温度は、30℃以上が好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、70℃以下が好ましく、60℃以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小孔や微小凹部の充填性に優れ、コスト的にも有利である。
【0066】
めっきの際の電流密度は、0.1A/dm2以上が好ましく、1A/dm2以上が特に好ましい。また、10A/dm2以下が好ましく、5A/dm2以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小孔や微小凹部の充填性に優れ、コスト的にも有利である。
【0067】
また、電流密度は、めっき充填中に常に一定にしてもよいし、一定でなくてもよい(例えば、初期の電流密度を低くし、徐々に電流密度を上げていく;パルス電流とする;等)。
電流密度は、めっき充填中に常に一定(又は、めっき充填中の大半の時間において一定)とした方が、ボイドを生ずることなく充填しやすく、好ましい。
【0068】
めっき時間は、5分以上が好ましく、10分以上が特に好ましい。また、360分以下が好ましく、60分以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小孔や微小凹部の充填性に優れ、コスト的にも有利である。
【0069】
<電子部品接合体及びその製造方法>
本発明は、2個以上の電子部品を重ねて、電子部品同士の間に微小間隙部が形成された状態で、該2個以上の電子部品を前記の電解ニッケル(合金)めっき液に浸漬し、外部電源を使用して電解めっきすることで該微小間隙部を充填することを特徴とする電子部品接合体の製造方法でもある。
【0070】
「電子部品」とは、電子回路上に表面実装される部品をいう。「電子部品接合体」とは、2個以上の電子部品が接合して一体となったものをいう。
【0071】
電子部品表面をめっきし、複数の電子部品を接合する(電子部品接合体を作製する)場合、均一にめっき成長してしまうと、電子部品同士の間の微小間隙部付近において、強度が不十分となり、不具合を生じる場合がある。
【0072】
本発明の電解ニッケル(合金)めっき液によってめっきした場合、このような微小間隙部付近において、ニッケル又はニッケル合金の析出量が多くなる。
すなわち、本発明によれば、2個以上の電子部品がニッケル又はニッケル合金により接合されている電子部品接合体であって、電子部品同士の間に形成された微小間隙部付近には、他の部位よりも多くのニッケル又はニッケル合金が析出していることを特徴とする電子部品接合体を得ることができる。
【0073】
本発明の電子部品接合体は、微小間隙部付近において、ニッケル又はニッケル合金の析出量が多いので、電子部品同士の接合部分において、十分な強度を有し、信頼性が高い。
【0074】
本発明により、電子部品接合体を製造する際のめっき温度は、30℃以上が好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、70℃以下が好ましく、60℃以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小間隙部付近のニッケル又はニッケル合金の析出量が十分になり、接合強度が向上しやすい。
【0075】
本発明により、電子部品接合体を製造する際の電流密度は、0.1A/dm2以上が好ましく、1A/dm2以上が特に好ましい。また、10A/dm2以下が好ましく、5A/dm2以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、微小間隙部付近のニッケル又はニッケル合金の析出量が十分になり、接合強度が向上しやすい。
【0076】
また、電流密度は、めっき充填中に常に一定にしてもよいし、一定でなくてもよい(例えば、初期の電流密度を低くし、徐々に電流密度を上げていく;パルス電流とする;等)。
電流密度は、めっき充填中に常に一定(又は、めっき充填中の大半の時間において一定)とした方が、接合強度の点から好ましい。
【0077】
めっき時間は、5分以上が好ましく、10分以上が特に好ましい。また、360分以下が好ましく、60分以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、接合強度に優れ、コスト的にも有利である。
【0078】
<電子部品接合用端子>
本発明は、微小孔や微小凹部を有する基材の中に、基材11の基材面に対して略垂直方向(60°~90°方向)に埋め込まれた、ボイド(穴)の少ない電子部品接合用端子にも関する。
【0079】
本発明の電子部品接合用端子40は、ニッケル又はニッケル合金で構成されている。前記した本発明の電解ニッケル(合金)めっき液を用いることにより、本発明の電子部品接合用端子を形成しやすい。
【0080】
本発明の電子部品接合用端子40は、厚さ1mm以下の基材11の中に埋め込まれている。
電子部品接合用端子40は、
図17や
図19に示すような片面の(基材11を貫通しない)電子部品接合用端子であってもよいし、
図18や
図20に示すような両面の(基材11を貫通する)電子部品接合用端子であってもよい。
【0081】
図17に示すのは、基材11の基材面に対して略垂直方向に基材11を貫通しないように埋め込まれたプラグ部41と、プラグ部41と当接しているキャップ部42とを備えた片面の電子部品接合用端子40である。
キャップ部42は、基材11の基材面より突出した形状となっており、その外径はプラグ部41の外径よりも大きく、かつ、200μm以下である。
なお、プラグ部41やキャップ部42の基材面に平行な断面は、通常は円形状であるが、円形状でない場合、「外径」とは等面積の円の外径を意味する(以下、
図18~20に示す電子部品接合用端子40においても同様)。
【0082】
図18に示すのは、基材11の基材面に対して略垂直方向に基材11を貫通するように埋め込まれたプラグ部41と、プラグ部41の両端とそれぞれ当接している2つのキャップ部42とを備えた両面の電子部品接合用端子40である。
2つのキャップ部42はそれぞれ、基材11のそれぞれの基材面より突出した形状となっている。2つのキャップ部42の外径は何れも、プラグ部41の外径よりも大きく、かつ、200μm以下である。
【0083】
図19に示すのは、基材11の基材面に対して略垂直方向に基材11を貫通しないように埋め込まれたプラグ部41からなる片面の電子部品接合用端子40である。プラグ部41の外径は100μm以下である。
プラグ部41の端部は、
図19(a)に示すように基材11の基材面から突き出ていてもよいし、
図19(b)に示すように基材11の基材面と同じ高さになっていてもよいし、
図19(c)に示すように基材11の基材面よりも埋まっていてもよい。
【0084】
図20に示すのは、基材11の基材面に対して略垂直方向に基材11を貫通するように埋め込まれたプラグ部41からなる両面の電子部品接合用端子40である。プラグ部41の外径は100μm以下である。
プラグ部41の端部は、
図20(a)に示すように基材11の基材面から突き出ていてもよいし、
図20(b)に示すように基材11の基材面と同じ高さになっていてもよいし、
図20(c)に示すように基材11の基材面よりも埋まっていてもよい。
【0085】
1mm以下というという厚さの基材の中に埋め込まれた、プラグ部41の外径100μm以下、又は、キャップ部42の外径200μm以下というサイズのニッケル(合金)製の電子部品接合用端子を製造するのは、従来の技術では不可能であった。前記した本発明の電解ニッケル(合金)めっき液を使用してめっきを行うことにより、ニッケル(合金)析出物中におけるボイドの発生が抑制され、このようなサイズの電子部品接合用端子を歩留まり良く製造することができる。
【0086】
本発明の電解ニッケル(合金)めっき液を使用して電子部品接合用端子の製造を行う場合、0.8mm以下というより薄い基板や、0.5mm以下という更に薄い基板にも電子部品接合用端子を埋め込みやすい。
また、より外径の小さい70μm以下、更に外径の小さい50μm以下というプラグ部を有する電子部品接合用端子や、より外径の小さい150μm以下、更に外径の小さい100μm以下というキャップ部を有する電子部品接合用端子を製造しやすい。
【0087】
電子部品接合用端子40のプラグ部41の中には、最大幅が10μmよりも大きいボイドが存在しないことが好ましい。
前記した本発明の電解ニッケル(合金)めっき液を用いることにより、このような大きいボイドの無いプラグ部を形成しやすい。
【0088】
本発明の電解ニッケル(合金)めっき液を使用してめっきを行うことにより上記の電子部品接合用端子を製造する際の好ましい条件(めっき温度、電流密度等)は前記した<ニッケル(合金)充填電子部品の製造方法・微小三次元構造体の製造方法>の項で述べた条件とほぼ同じである。
【実施例】
【0089】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0090】
[微小凹部の充填]
実施例1~6、比較例1~3
微小凹部のモデルとして、アスペクト比0.88(φ45μm×40μmD)のレーザービアを有した12mm角の評価用プリント基板(日本サーキット株式会社製)を使用した。
【0091】
被めっき部周辺10の断面図を
図1に示す。厚さ0.4mmのBT(Bismaleimide-Triazine)製の基材11のビアホール形成部分に厚さ12μmの銅箔13を張り付けた上で、厚さ60μmのプリプレグタイプのビルドアップ樹脂12を積層後、レーザーにてφ45μm、深さ40μmのブラインドビアホール(以下、単に「ビアホール」又は「ビア」と略記する場合がある。)14を作成し、基板外表面(ビルドアップ樹脂12の表面)及びビア14内壁面に、無電解銅めっきで、シード層15を約1μm形成した。
更に、厚さ25μmのドライフィルムレジスト(DFR)16にて、
図2に示す配線パターンを形成し、ビア14を有するパッド(開口部)17(φ190μm)を開口させたものを評価用プリント基板1とした。
【0092】
図2において、白色部が銅めっき部で、黒色部がドライフィルムレジスト部である。白色部のうち、配線が接続されている最もサイズの大きい円形部分が
図1の円形パッド17(φ190μm)に相当する。円形パッド17の全てに、
図1に示した微小凹部であるビアホール14が形成されている。
【0093】
<電解ニッケルめっき液の調製>
スルファミン酸ニッケルを600g/L、塩化ニッケルを10g/L、ホウ酸を30g/Lとなるように脱イオン水に溶解し、電解ニッケルめっき液を調製した。
上記電解ニッケルめっき液に対し、表1に示す添加剤を、表1に示す添加量となるように添加し、溶解した。
次いで100g/Lのスルファミン酸水溶液を適量加えてpHを3.6に調整し、本発明の電解ニッケルめっき液を調製した。
【0094】
【0095】
<電解ニッケルめっきによるビアの充填>
上記評価用プリント基板1に対して、表2に示す工程で、電解ニッケルめっきを行なった。電解ニッケルめっき工程では、外部電源を使用して電流密度1.0A/dm2となるようにした。
なお、めっき面積は、ビア14の側面を含んだ表面積として計算した。
【0096】
【0097】
<めっき充填性評価試験>
めっき後の基板を研磨用の樹脂に埋没固定後に断面研磨し、金属顕微鏡にてビアの充填具合を観察した。
充填性について、ビアホール内部の析出量がビアホール外部の析出量よりも多い状態で、ビアホール内部にボイド(穴)やシーム(溝)が観測されない場合を「○」、それ以外の場合を「×」とした。
また、ビアホール外部におけるクラック(亀裂)の発生の有無を観測した。
充填性が「○」で、クラックの発生が無い場合を「良好」、それ以外の場合を「不良」と評価した。
【0098】
めっき充填後の基板断面の顕微鏡写真を、
図4~12に示す。また、評価結果を表3に示す。
【0099】
【0100】
実施例1~6では、析出ニッケル18の量は、ビアホール外部よりも微小凹部であるビアホールの内部の方が多く、ボイドやシームがなく良好に充填されていた。また、ビアホールの外部にクラックは観察されなかった。
【0101】
比較例1では、ビアホールの内部と外部で、析出ニッケル18の量が同程度なコンフォーマルめっき(追従めっき)であり、充填性は不良であった。
【0102】
比較例2では、ビアの内部に最大幅14μmのボイドVが有り、充填性は不良であった。
【0103】
比較例3では、ビアの内部にボイドはなく、充填性は良好であるが、析出部が非常に脆く、クラックが発生しており、研磨後にビア上部で析出ニッケル18の著しい剥離が見られた。従って、微小三次元構造体としては不良であった。
【0104】
実施例1~6、比較例1~3の結果が示すように、一般式(A)又は一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有する電解ニッケルめっき液で電解めっきすることにより、電子部品内に形成された微小孔をニッケルで良好に充填することができ、微小三次元構造体を作成することが可能となった。
【0105】
[電子部品の接合]
実施例7~8、比較例4
接合される電子部品のモデルとして、銅線(φ0.9mm)と裏面をマスキングした銅板(20mm×20mm×0.3mmt)を使用した。
【0106】
図3に示すように、裏面側をマスキング材22aによりマスキングした銅板22を2枚用意し、2枚の銅板22のマスキングしていない方の面で銅線21を挟み、治具23で固定し、銅線21と銅板22の間に微小間隙部24が形成された電子部品サンプル20を作製した。
【0107】
<電解ニッケルめっき液の調製>
スルファミン酸ニッケルを600g/L、塩化ニッケルを10g/L、ホウ酸を30g/Lとなるように脱イオン水に溶解し、電解ニッケルめっき液を調製した。
上記電解ニッケルめっき液に対し、表4に示す添加剤を、表4に示す添加量となるように添加し、溶解した。
次いで100g/Lのスルファミン酸水溶液を適量加えてpHを3.6に調整し、本発明の電解ニッケルめっき液を調製した。
【0108】
【0109】
<電解ニッケルめっきによる銅線と銅板の接合>
上記電子部品サンプルを銅線21の線方向とめっき液面が垂直になるよう上記電解ニッケルめっき液に浸漬し、表5に示す工程で、電解ニッケルめっきを行なった。ニッケル陽極は、マスキング材22aの外側に各1枚ずつ対向させた。電解ニッケルめっき工程では、外部電源を使用して電流密度1.0A/dm2となるようにした。
なお、めっき面積は、銅板22の表面積のみとした。
【0110】
【0111】
<接合性評価試験>
めっき後の電子部品サンプル(接合体)を研磨用の樹脂に埋没固定後に断面研磨し、金属顕微鏡にて銅線21と銅板22の接合状態を観察した。
接合性について、銅線21と銅板22が接する微小間隙部24のニッケルめっき厚が他の部分より厚い場合を「○」、それ以外の場合を「×」とした。
【0112】
めっき充填後の電子部品サンプル(接合体)の断面の顕微鏡写真を、
図13~15に示す。また、評価結果を表6に示す。
【0113】
【0114】
実施例7~8では、析出ニッケル18の量は、銅線21と銅板22が接する微小間隙部24が他の部位より多く、より強固に接合されていた。
【0115】
比較例4では、全ての部位でほぼ均一の厚さのめっきであり、接合性は不良であった。
【0116】
実施例7~8、比較例4の結果が示すように、一般式(A)又は一般式(B)で表されるN置換ピリジニウム化合物を含有する電解ニッケルめっき液で電解めっきすることにより、微小部品の接合部位がより厚いニッケルでめっきされ、より強固に接合を行うことが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の特定N置換ピリジニウム化合物を含有する電解ニッケル(合金)めっき液は、電子回路部品内の微小孔又は微小凹部を信頼性高く充填することができ、また、電子部品同士を強固に接合することができることから、配線の更なる微細化に対応できるため、三次元配線形成や三次元MEMS部品等に広く応用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 評価用プリント基板
10 被めっき部周辺
11 基材
12 ビルドアップ樹脂
13 銅箔
14 ブラインドビアホール
15 シード層
16 ドライフィルムレジスト
17 パッド
18 析出ニッケル(合金)
V ボイド
20 電子部品サンプル
21 銅線
22 銅板
22a マスキング材
23 治具
24 微小間隙部
30 微小孔・微小凹部
31 周縁部
40 電子部品接合用端子
41 プラグ部
42 キャップ部