IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィディ プロプライエタリ リミテッドの特許一覧

特許7021783光学的測定および走査システムならびにその使用方法
<>
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図1
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図2
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図3
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図4
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図5
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図6
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図7
  • 特許-光学的測定および走査システムならびにその使用方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】光学的測定および走査システムならびにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/113 20060101AFI20220209BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A61B3/113
G02C13/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018563543
(86)(22)【出願日】2017-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 AU2017050493
(87)【国際公開番号】W WO2017205903
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】2016902112
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518424176
【氏名又は名称】ヴィディ プロプライエタリ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】タム、ベン
(72)【発明者】
【氏名】ブラットマン、リー
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257650(US,A1)
【文献】特開2013-142597(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181775(WO,A1)
【文献】特開2016-095584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0303637(US,A1)
【文献】特開2014-052758(JP,A)
【文献】特開2001-161645(JP,A)
【文献】国際公開第2016/073495(WO,A1)
【文献】特開2005-013752(JP,A)
【文献】特表2007-522496(JP,A)
【文献】特表2010-524011(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02772795(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/113
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像および前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための少なくとも一つの撮像装置と、
前記被検者の前に前記撮像装置を取り付け、かつ前記被検者に対して前記撮像装置を移動させるための少なくとも一つの可動マウントと、
前記少なくとも一つの撮像装置に作動的に接続された少なくとも一つのプロセッサであって、前記眼鏡の少なくとも一部分および前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成し、生成された前記3Dモデルを位置合わせし、かつ位置合わせされた前記3Dモデルに基づいて、前記被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む一つ以上の光学的測定値を決定するように構成された前記プロセッサと、
を含む眼鏡を被検者にフィットさせるための光学的測定システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの撮像装置は、被検者の顔面の少なくとも一部分または目領域の近IR分光分析のための近赤外(IR)干渉計を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの撮像装置はさらに少なくとも一つのセンサと、光、赤外線、近赤外線、およびX線から成る群から選択される放射線、または超音波の形の音波を出射することのできる少なくとも一つのエミッタとを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのエミッタは、使用時に、前記眼鏡または前記顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するために、前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分および/または前記眼鏡の少なくとも一部分から反射する放射線または音波を出射する、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
眼鏡の少なくとも一部分および前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像し、撮像された前記眼鏡の少なくとも一部分および撮像された前記顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するステップと、
生成された前記3Dモデルを位置合わせするステップと、
位置合わせされた前記3Dモデルから、前記被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む、前記被検者の一つ以上の光学的測定値を決定するステップと、
を含む眼鏡を被検者にフィットさせる方法。
【請求項6】
前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像するステップは、少なくとも部分的に前記被検者の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りで、またはそれを横切って前記撮像装置を移動させながら、前記被検者を撮像することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記撮像ステップは、前記被検者が前記被検者から異なる距離または長さにある物体に焦点を合わせている間に、前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像することをさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
各目のMCORは、生成され位置合わせされた前記3Dモデルで、前記被検者の眼の強膜上に球面または楕円面をモデル化し、かつ各球面または楕円面の中心点を決定することによって決定される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各目のMCORは、互いに位置合わせされた強膜の3Dモデルから導出されかつ長い焦点距離に焦点を合わせている前記被検者の3Dモデルと統合される前に平均化された、平均化統合3Dモデルで、前記被験者の各目の強膜上に二つ以上の球面または楕円面をモデル化することによって決定され、次いでモデル化された各球面または楕円面の中心点が決定され、中心点の位置は平均化され、MCORに対応する平均中心点が決定される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
視軸は、長い焦点距離に焦点を合わせている前記被検者の3Dモデルから、仮想線を視線に沿って目の瞳孔の中心を通って目の後面まで軸線方向に延ばすことによって決定される、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
OCRは、各目の視軸を位置特定または決定し、次いでMCORから視軸までの最短距離を決定し、それによってOCRを決定することによって、決定される、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記決定ステップは、前記被検者の各目の単眼瞳孔距離(PD)を測定することをさらに含み、各目のPDは、生成され位置合わせされた3Dモデルで、各目の視軸から、前記眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって決定される、請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記決定ステップは、前記被検者の各目の瞳孔高さ(PH)を測定することをさらに含み、各目のPHは、生成され位置合わせされた前記3Dモデルで、各目の瞳孔の中心から、眼鏡の最下フレーム内縁まで、または眼鏡の最下フレーム外縁までの垂直距離を測定することによって決定される、請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記決定ステップは、前記被検者によって装着される前記眼鏡のパントスコピックチルトを測定することをさらに含み、パントスコピックチルトは、生成され位置合わせされた前記3Dモデルで、前記眼鏡のフレームフロントに対応する平面と、視軸に対し直角に延びる垂直面との間の角度を測定することによって決定される、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記眼鏡の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を特徴付けるステップをさらに含み、前記輪郭形状は、前記眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデル、または前記眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルから特徴付けられる、請求項5~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡ならびに眼内レンズおよび/または強膜レンズをフィットさせるための測定システムならびにその使用方法に関する。本発明はまた、眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視するための走査システムならびにその使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡を個人にフィットさせるプロセスは、眼鏡フレームおよび適切な処方レンズの選択以上のことを含む。眼鏡を正しくフィットさせるために、眼鏡は、頭部の形状およびサイズを含め、特定の個人に特有の身体的特徴にフィットするように調整しなければならない。
【0003】
処方レンズが眼鏡フレームにフィットするように縁摺りされるときに、左右の処方レンズの光学的中心が個人の瞳孔位置と少なくとも合致するように、例えば水平瞳孔距離、垂直瞳孔高さ、鼻幅、テンプルの長さ、および頭幅のような測定を行わなければならない。
【0004】
そのような測定は時々、検眼士または眼鏡技師が選択された眼鏡フレームで測定を行うためにハンドヘルドルーラまたは手描きインクドット付き手描きスケールを使用して、手動でおおざっぱに行われる。
【0005】
しかし、通常、測定は、正しくフィットする眼鏡フレームを形成するために、例えば瞳孔計またはデジタルセントレーション装置のような精巧な機械的装置を用いて行われる。しかし、そのような精巧な機械的装置は通常、広範な訓練を必要とし、場合によっては熟練専門家を雇用する必要があり、全てかなりの費用が掛かる。
【0006】
代替的に、検眼士または眼鏡技師は、眼鏡フレーム測定装置を個人に配置して測定を行うことができる。
【0007】
しかし、手動による測定または上述のような装置を使用して行われる測定に内在する問題は、行われる測定における誤差の潜在的可能性である。特に、おおざっぱな手動導出測定値、装置の使用、および/またはこれらの装置を用いて行われた測定と個人によって選択された眼鏡フレームとの相関における誤差の潜在的可能性である。
【0008】
上記の慣習および/または装置の別の問題は、レンズの設計プロセスにおける重要性がますます増大している、例えば各目の回転中心のような、より複雑な測定値を決定することが通常できないことである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は、上述した問題または難点の少なくとも一つを最小化または克服することができ、あるいは有用または商業的な選択肢を公共に提供することができる、光学的測定システムおよび使用方法を提供する。
【0010】
本発明の第一態様によれば、
眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための少なくとも一つの撮像装置と、
被検者の前に撮像装置を取り付け、かつ被検者に対して撮像装置を移動させるための少なくとも一つの可動マウントと、
撮像装置に作動的に接続された少なくとも一つのプロセッサであって、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の三次元(3D)モデルを生成し、かつ生成された3Dモデルに基づいて、被検者の各目の視軸、機械的回転中心(MCOR)、および光学的回転中心(OCR)の少なくとも一つを含む、一つ以上の光学的測定値を決定するように構成されたプロセッサと、
を含む被検者に眼鏡をフィットさせるための光学的測定システムが提供される。
【0011】
本発明の第二態様によれば、
眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための少なくとも一つの撮像装置と、
被検者の前に撮像装置を取り付け、かつ被検者に対して撮像装置を移動させるための少なくとも一つの可動マウントと、
少なくとも一つの撮像装置に作動的に接続された少なくとも一つのプロセッサであって、眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成し、生成された3Dモデルを位置合わせし、かつ位置合わせされた3Dモデルに基づいて、被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む一つ以上の光学的測定値を決定するように構成されたプロセッサと、
を含む被検者に眼鏡をフィットさせるための光学的測定システムが提供される。
【0012】
本発明の第三態様によれば、
眼鏡に関連付けられた少なくとも一つの機械認識可能なタグと、
眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための少なくとも一つの撮像装置と、
被検者の前に撮像装置を取り付け、かつ被検者に対して撮像装置を移動させるための少なくとも一つの可動マウントと、
撮像装置に作動的に接続された少なくとも一つのプロセッサであって、眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成し、少なくとも一つの機械認識可能なタグに基づいて生成された3Dモデルを位置合わせし、かつ位置合わせされた3Dモデルに基づいて、被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む一つ以上の光学的測定値を決定するように構成されたプロセッサと、
を含む被検者に眼鏡をフィットさせるための光学的測定システムが提供される。
【0013】
本発明の第四態様によれば、
被検者の少なくとも目領域の少なくとも一つの画像を撮像するための少なくとも一つの撮像装置と、
被検者の前に撮像装置を取り付け、かつ被検者に対して撮像装置を移動させるための少なくとも一つの可動マウントと、
撮像装置に作動的に接続された少なくとも一つのプロセッサであって、生成された3Dモデルに基づいて被検者の眼疾患および/または眼障害の前記診断および/または前記監視を行うために、被検者の少なくとも目領域の三次元(3D)モデルを生成するように構成されたプロセッサと、
を含む被検者の眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視するための光学的走査システムが提供される。
【0014】
有利なことに、本発明の測定システムは、測定値を決定しかつこれらの測定値を被検者によって選択された眼鏡フレームに相関させる正確な方法を提供する。さらに、選択された眼鏡フレームおよび/または眼鏡フレームを装着している被検者の3Dモデルを生成し、何らかの複雑かつ/または扱いにくいフィッティング機構を使用しないことによって、決定される測定値における誤差の潜在的可能性が大幅に低減され、結果的によりよくフィットしかつ機能する一対の眼鏡および眼鏡レンズのペアが得られる。さらに、選択された眼鏡フレームおよび/または眼鏡フレームを装着している被検者の3Dモデルを生成することによって、本発明の光学的測定システムは、例えば視軸、パントスコピックチルト、後面頂点距離、フレームラップ、ヘッドケープ、およびOCRのようなより複雑な測定値を決定することが容易に可能である。そのような測定値は、今日使用されているほとんどの測定装置の能力を超えており、あるいはあまりにも複雑すぎて決定できない。
【0015】
本書で使用する場合、用語「眼鏡」とは、例えば眼鏡、アイウェア、メガネ、アイグラス、サングラス、保護眼鏡等、処方レンズを縁摺りしてフィットさせる必要のあるどんなアイウェアをも包含する。
【0016】
通常、眼鏡は一対のレンズおよびレンズを担持するためのフレームを含む。
【0017】
フレームは、被検者の目の前にレンズを保持するためのフレームフロントを含んでよい。フレームフロントは、レンズを保持するための左右のフレームリムを含んでよく、あるいは含まなくてもよい(リムレス眼鏡の場合)。
【0018】
左右のフレームリムは、レンズ縁を少なくとも部分的に受容しかつ保持するためのレンズ溝またはv溝を含んでよい。
【0019】
フレームフロントはさらに、フレームリムがもし存在すればそれらの間に、あるいはリムレス眼鏡の場合はレンズの間に延在するブリッジを含んでよい。
【0020】
フレームは、使用時に被検者の耳の上および/または後に延在してフレームおよびそれによってレンズを適位置に保持する、フレームフロントの両端から延びるテンプルを含んでよい。
【0021】
処方レンズの縁摺りおよびフィッティングの前に、眼鏡に透明なプラスチックまたはガラスから成るレンズインサートを設けてよい。
【0022】
本書で使用する場合、用語「目」とはヒトの目を指す。
【0023】
目は完全な球体ではなく、むしろ二つの部分が融合したユニットである。目は、「強膜」と呼ばれるより大きい白色ユニットとつながっている、「角膜」と呼ばれるより小さい前部ユニットを含む。角膜は透明であり、強膜より大きく湾曲している。
【0024】
目はさらに、強膜内に位置し「虹彩」と呼ばれる色付きの円形構造を含む。虹彩は、黒く見える眼の瞳孔を同心状に包囲する。目に入る光の量を制御する瞳孔の大きさは、虹彩の拡張筋および括約筋によって調整される。
【0025】
光は角膜を通り、次いで瞳孔を通り、次いで毛様体筋によって制御されるレンズを通して目に入ってくる。光は次いで、「網膜」と呼ばれる目の後部に位置する感光性細胞に達する。網膜の感光性細胞は光を電気信号に変換し、それは視神経によって脳に運ばれる。
【0026】
網膜は、非常に高い視力をもたらすのに貢献する小さい領域を含む。この小さい領域は「中心窩」と呼ばれる。
【0027】
本書で使用する場合、用語「瞳孔軸」とは、瞳孔、レンズ、および網膜の中心を通って延びる仮想線を指す。
【0028】
本書で使用する場合、用語「プルキニエ像」とは、目の構造からの物体の反射を指す。それらはプルキニエ反射として、かつプルキニエ‐サンソン像としても知られている。一般的に、少なくとも四つのプルキニエ像が通常見える。「角膜反射」または「グリント」としても知られる「第一プルキニエ像」(P1)は、角膜の外面からの反射である。「第二プルキニエ像」(P2)は角膜の内面からの反射である。「第三プルキニエ像」(P3)はレンズの外(前)面からの反射である。「第四プルキニエ像」(P4)はレンズの内(後)面からの反射である。
【0029】
本書で使用する場合、用語「視軸」とは、観察対象物体から瞳孔の中心を通って目の中心窩まで延びる仮想線を指す。通常、視軸は目の第一プルキニエ像を通過すると理解される。視軸は「視線」としても知られる。
【0030】
本書で使用する場合、用語「目の機械的回転中心」(MCOR)とは、目がその眼窩内で動くときに最少移動を呈する目内の中心点を指す。
【0031】
本書で使用する場合、用語「光学的回転中心」(OCR)とは、MCORから導出されかつ視軸に沿って位置する目内の中心点を指す。
【0032】
一般的に、被検者の顔面の少なくとも一部分とは、被検者の一つ以上の光学的測定値を決定するのに必要な被検者の顔面のどの部分でも含むことができ、好ましくは被検者の単眼瞳孔距離、瞳孔高さ、後面頂点距離、およびパントスコピックチルトの少なくとも一つを含むこともできる。例えば、顔面の少なくとも一部分とは、被検者の顔面の上部および/または中間部、通常、前頭部の少なくとも下部、目、こめかみ、鼻梁、鼻の少なくとも上部、上頬、および/または耳の少なくとも一部分を含むことができる。好適な実施形態では、被検者の顔面の少なくとも一部分とは、被検者の顔面の顎先から髪の生え際までの全高を含むことができる。
【0033】
同様に、眼鏡の少なくとも一部分とは、眼鏡をフィッティングし、かつ/または被検者の単眼瞳孔距離、瞳孔高さ、後面頂点距離、およびパントスコピックチルトの少なくとも一つを決定するのに役立つ任意の部分を含むことができる。通常、眼鏡の少なくとも一部分とは、フレームフロントおよび/またはフレームフロントに隣接するテンプルの少なくとも一部分、好ましくはフレームフロントを含むことができる。
【0034】
レンズインサートは、眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像する前に、眼鏡のタイプに応じて、眼鏡から取り外しても取り外さなくてもよい。例えば、リムレス眼鏡および部分リム眼鏡の場合、眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像した後、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像する前まで、レンズインサートは取り外さなくてよい。
【0035】
他の実施形態では、眼鏡の少なくとも一部分の撮像は、左右のフレームリムの撮像、最も好ましくは、もし存在すればレンズ溝またはv溝の撮像を含むことができる。
【0036】
撮像装置は、通常、少なくとも一つの画像から物体の3Dモデルを生成するために、物体の少なくとも一つの画像を撮像することのできる任意の適切な装置を含むことができる。
【0037】
少なくとも一つの撮像装置は、任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができる。通常、少なくとも一つの撮像装置は、撮像装置のタイプに応じて、複数の画像および/または映像を撮像することができる。
【0038】
例えば、一部の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置はカメラ、好ましくはデジタルカメラ、より好ましくはDSLR型カメラを含むことができる。
【0039】
例えば、他の実施形態では、本発明の少なくとも一つの撮像装置は、飛行時間型レーザ3Dスキャナ、三角測量ベースの3Dスキャナ、構造化光3Dスキャナ、または変調光3Dスキャナを含むことができる。一部の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置は、被検者の顔面の少なくとも一部分または目領域の近IR分光分析のための近赤外(IR)干渉計を含むことができる。さらに他の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置は、例えば、間隔を置いて配置された少なくとも二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、もしくは八つのカメラ、または少なくとも二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、もしくは八つの間隔を置いて配置されたレンズを持つ少なくとも一つのカメラを含む立体視システムを含むことができる。
【0040】
少なくとも一つの撮像装置が立体視システムを含む実施形態では、システムは、間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラ、好ましくは少なくとも四つもしくは少なくとも六つのカメラを含むことができる。好ましくは各カメラはデジタルカメラ、より好ましくはDSLR型カメラとすることができる。
【0041】
一部の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置は少なくとも一つのセンサを含むことができる。撮像装置のタイプに応じて、センサは、例えば電荷結合素子または陽電子感応素子のような少なくとも一つの検出器とすることができ、あるいは少なくとも一つのカメラとすることができる。
【0042】
少なくとも一つの撮像装置は、可視光、近赤外(IR)、IR、もしくはX線の形の放射線、または超音波の形の音波を出射するための少なくとも一つのエミッタをも含むことができる。
【0043】
使用中、少なくとも一つのエミッタは放射線または音波を出射することができ、それは眼鏡の少なくとも一部分および/または眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分から反射され、かつ少なくとも一つのセンサによって感知され、眼鏡または顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するために眼鏡または眼鏡を装着している顔面の少なくとも一部分の画像が撮像される。
【0044】
例えば、ある期間にわたる視線追跡または注視点(すなわち目に関連するかあるいは目が見ているものに関連する視線)の追跡のために使用する場合、出射された放射線は目の様々な境界から反射し、少なくとも一つの撮像装置によって撮像することができる。追跡される反射の一つの種類は「グリント」または「第一プルキニエ像」である。通常、視線追跡時または注視点の追跡時に、例えば第一および第四プルキニエ像(P1およびP4)のような、少なくとも二つのプルキニエ像が撮像装置によって撮像される。
【0045】
一部の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置は、被検者および/または眼鏡の一部分を少なくとも部分的に照明するための発光ダイオード(LED)の形の少なくとも一つのエミッタを含むことができる。好ましくは、少なくとも一つのLEDはRGB LEDとすることができる。より好ましくは、少なくとも一つの撮像装置は、アレイ状に配設されかつ被検者の顔面の少なくとも一部分、好ましくは被検者の両目、より好ましくは被検者の各目の角膜を少なくとも部分的に照明するように構成された、複数のRGB LEDを含むことができる。
【0046】
他の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置は、目の様々な境界で少なくとも反射させるために、赤外線(IR)発光ダイオードまたは近IR発光ダイオードの形の少なくとも一つのエミッタを含むことができる。有利なことに、IR光または近IR光は、観察者を妨害することなく目を照明することができ、角膜によって、または目の他の部分(例えば瞳孔)によってよく反射され、したがって少なくとも一つの撮像装置によってより容易に撮像される。
【0047】
少なくとも一つの撮像装置は、少なくとも一つのセンサおよびもし存在すれば少なくとも一つのエミッタを収容するための筐体を含むことが好ましい。筐体は、少なくとも一つの可動マウントに好ましくは着脱自在に取り付けられる、任意の適切なサイズ、形状、および構造とすることができる。一部の実施形態では、筐体は、少なくとも一つの撮像装置を操作するための少なくとも一つのハンドルを含むことができる。
【0048】
通常、筐体は実質的に三角形、長方形、正方形、円形、半円形、または双葉状の断面形状を有することができる。筐体は、被検者に対面する表面、反対側の外向きの表面、対向する側縁、上縁および反対側の下縁を有することが好ましい。
【0049】
少なくとも一つのセンサおよびもし存在すれば少なくとも一つのエミッタは、少なくとも部分的に撮像装置の被検者に対面する表面内または上に位置することができる。少なくとも一つの撮像装置が少なくとも二つのカメラを含む立体視システムを含む実施形態では、各カメラは、筐体の側縁かその付近、または上縁かその付近もしくはその反対側の下縁に位置することができる。
【0050】
一部の実施形態では、システムは二つ以上の撮像装置を含むことができる。例えば、システムは少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、少なくとも六つ、少なくとも七つ、または少なくとも八つの撮像装置を含むことができる。
【0051】
一つのそのような好適な実施形態では、システムは、少なくとも一つの可動マウントに取り付けられた、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための第一撮像装置、および眼鏡の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像するための第二撮像装置を含むことができる。
【0052】
第二撮像装置は、上述の通り、任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができる。第二撮像装置は例えばハンドヘルド3Dスキャナであることが好ましい。
【0053】
上述の通り、一部の実施形態では、システムは、眼鏡に関連付けられた少なくとも一つの機械認識可能なタグを含む。
【0054】
少なくとも一つの機械認識可能なタグは、眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを位置合わせするときに、少なくとも一つのプロセッサによって認識することのできる任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができる。少なくとも一つの機械認識可能なタグは任意の適切な方法で眼鏡に関連付けることができる。
【0055】
例えば、一部の実施形態では、少なくとも一つの機械認識可能なタグは、眼鏡の少なくとも一部分、好ましくは眼鏡のフレームフロントに取り付けられる、例えば文字または記号のようなマークを含むことができる。タグは眼鏡の少なくとも一部分に巻き付けるか、接着するか、あるいは取り付けることができ、接着することが好ましい。
【0056】
好適な実施形態では、少なくとも一つの機械認識可能なタグは、接着面および反対側のマークが提示される外面を有する粘着ラベルの形を取ることができる。
【0057】
一部の実施形態では、少なくとも一つの機械認識可能なタグは、眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成かつ/または位置合わせするときに、少なくとも一つの撮像装置および/または少なくとも一つのプロセッサに作動的に関連付けられた読取り器によってさらに読み取られるように構成された、バーコードまたは無線周波数識別(RFID)タグを含むことができる。バーコードまたはRFIDタグは、例えば被検者の詳細(すなわち氏名、生年月日、連絡先の詳細、処方履歴等)をプログラムすることができる。
【0058】
一部の実施形態では、システムは二つ以上の機械認識可能なタグを含むことができる。例えば、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、またはそれ以上の機械認識可能なタグを眼鏡に関連付けることができる。各機械認識可能なタグは同一のマークまたは異なるマークを付けることができる。
【0059】
好適な実施形態では、システムは、眼鏡に関連付けられた少なくとも三つの機械認識可能なタグを含むことができる。少なくとも三つの機械認識可能なタグは、任意の適切な配置構成で眼鏡に関連付けることができる。通常、粘着ラベルの形の各機械認識可能なタグは、眼鏡のフレームフロントの一部分に接着することができる。好ましくは、少なくとも三つの機械認識可能なタグは、三角形を形成するようにフレームフロントの一部分に接着することができる。例えば第一および第二の機械認識可能なタグはそれぞれ、眼鏡の左右のフレームリムの外側下方部分に接着することができ、第三の機械認識可能なタグは眼鏡のブリッジに接着することができる。有利なことに、三角形は、被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルで同じ三角形によって形成される平面と位置合わせすることのできる平面を形成するので、三角形の編成は、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルと被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルの位置合わせの向上に役立つ。
【0060】
システムは、被検者の前に撮像装置を取り付けかつ被検者に対して撮像装置を移動させるための、少なくとも一つの可動マウントを含む。マウントは任意の適切なサイズ、形状、および構成とすることができ、かつ任意の適切な単数または複数の材料、通常、プラスチック、ゴム、および/または金属材料で形成することができる。
【0061】
少なくとも一つのマウントは、少なくとも一つの撮像装置が被検者の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像することができるように、被検者から任意の適切な距離に位置、配設、または離隔配置することができ、少なくとも一つのマウントは被検者の前に位置することが好ましい。
【0062】
例えば、一部の実施形態では、マウントは、被検者から少なくとも200mm、少なくとも250mm、少なくとも300mm、少なくとも350mm、少なくとも400mm、少なくとも450mm、少なくとも500mm、少なくとも550mm、少なくとも600mm、少なくとも650mm、少なくとも700mm、少なくとも750mm、少なくとも800mm、少なくとも850mm、少なくとも900mm、少なくとも950mm、少なくとも1,000mm、少なくとも1,050mm、少なくとも1,100mm、少なくとも1,150mm、少なくとも1,200mm、少なくとも1,250mm、少なくとも1,300mm、少なくとも1,350mm、少なくとも1,400mm、少なくとも1,450mm、少なくとも1,500mm、少なくとも1,550mm、少なくとも1,600mm、少なくとも1,650mm、少なくとも1,700mm、少なくとも1,750mm、少なくとも1,800mm、少なくとも1,850mm、少なくとも1,900mm、少なくとも1,950mm、少なくとも2,000mm、少なくとも2,050mm、少なくとも2,100mm、少なくとも2,150mm、少なくとも2,200mm、少なくとも2,250mm、少なくとも2,300mm、少なくとも2,350mm、少なくとも2,400mm、少なくとも2,450mm、少なくとも2,500mm、少なくとも2,550mm、少なくとも2,600mm、少なくとも2,650mm、少なくとも2,700mm、少なくとも2,750mm、少なくとも2,800mm、少なくとも2,850mm、少なくとも2,900mm、少なくとも2,950mm、または少なくとも3,000mmの距離に位置することができる。通常、マウントは、被検者から約500mm~1,500mmの間の距離、好ましくは約500mm~約1,125mmの間の距離を置いて、被検者の前に位置しまたは配置することができる。
【0063】
マウントは、少なくとも一つの細長い支持体と、少なくとも一つの細長い支持体の第一端部から延びる取付け部と、少なくとも一つの細長い支持体の反対側の第二端部から延びるベースとを含むことができる。取付け部およびベースは各々、細長い支持体と一体的に形成することができ、あるいは別個のマウント部品とすることができる。
【0064】
ベースは、(例えば床、机、またはテーブルのような)支持面に載置しかつ細長い支持体を略垂直位置に保持するように、構成することができる。ベースは、支持面上に固定するか、または可動とすることができる。ベースは、ベースを移動させ、かつそれによってマウントおよびマウントに取り付けられた場合の撮像装置を移動させるために、少なくとも一つの移動機構を含むことが好ましい。これについては後でさらに詳述する。
【0065】
取付け部は、少なくとも一つの撮像装置と好ましくは着脱自在に接続するように、任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができる。
【0066】
例えば、一部の実施形態では、取付け部は、少なくとも一つの撮像装置を受容しかつ保持するように少なくとも部分的に構成された保持器の形態とすることができる。
【0067】
他の実施形態では、取付け部は、撮像装置の少なくともマウントに対面する表面に当接しかつ一つ以上の解放自在の締結具により解放自在に固定されるように構成された装置当接面を有する略平面部材を含み、あるいはその形を取ることができる。一つ以上の解放自在な締結具は、(例えばスナップファスナのような)一つ以上の機械的締結具および/または(例えば湿潤接着剤、乾式接着剤、または両面接着テープのような)一つ以上の化学的締結具を含むことができる。
【0068】
さらに他の実施形態では、取付け部および少なくとも一つの撮像装置は、接続機構によって、または接続機構の一部分によって接続することができる。例えば、取付け部に関連付けられた接続機構の第一部分は、少なくとも一つの撮像装置、好ましくは撮像装置の少なくともマウントに対面する表面に関連付けられた接続機構の第二部分と対合または係合することができる。
【0069】
接続機構は、例えばフックとループ型接続、ねじ接続、締り嵌め(スナップ嵌め)接続、またはバヨネット型接続を含め、一体に結合する対合可能な雄構成部および雌構成部を含むことができる。接続機構は、撮像装置のマウントに対面する表面に関連付けられた雌構成部に挿入または結合するように構成された、取付け部に関連付けられた雄構成部を含むことができる。逆に、接続機構は、撮像装置のマウントに対面する表面に関連付けられた雄構成部を少なくとも部分的に受容または結合するように構成された、取付け部に関連付けられた雌構成部を含むことができる。
【0070】
少なくとも一つの細長い支持体は、使用時に、ベースから略垂直方向に延びることができる。少なくとも一つの細長い支持体は、撮像装置が実質的に被検者の顔面の高さに配置されるような長さであることが好ましい。
【0071】
撮像装置の垂直位置または高さは調整可能とすることができる。
【0072】
一部の実施形態では、細長い支持体の長手方向の長さまたは高さは、使用時に、少なくとも一つの撮像装置の高さを調整するために、調整可能とすることができる。細長い支持体の長手方向の長さまたは高さは、任意の適切な手段によって調整することができる。
【0073】
例えば、一実施形態では、細長い支持体は、延長位置と後退位置との間で移動することのできるリニアアクチュエータの形を取ることができる。リニアアクチュエータは延長位置と後退位置との間を手動で移動することができ、あるいは(例えば電気モータによって)電力を供給することができる。
【0074】
例えば別の実施形態では、細長い支持体は、延長位置と後退位置との間で移動することのできる二つ以上の伸縮部材を含むことができる。伸縮部材は延長位置と後退位置との間を手動で移動することができ、あるいはリニアアクチュエータによって駆動し、好ましくは電気モータによって電力を供給することができる。
【0075】
他の実施形態では、マウントの取付け部は、少なくとも一つの撮像装置の高さを調整するために、少なくとも一つの細長い支持体に対して垂直方向に移動可能とすることができる。マウントの取付け部は、任意の適切な手段によって、細長い支持体に対して垂直方向に移動可能とすることができる。
【0076】
例えば、一実施形態では、少なくとも一つの細長い部材は、細長い部材の長手方向の長さに沿って少なくとも部分的に延びる細長いチャネルまたは溝の形の雌構成部を含むことができ、かつ取付け部は、レールの各端に拡大頭部または他のタイプの保持端を備えた保持部材の形の雄構成部を含むことができる。各保持部材の拡大頭部または他のタイプの保持端は、細長いチャネルまたは溝内に係合して保持され、細長いチャネルまたは溝に対して移動可能であり、好ましくは摺動可能であるように構成することができる。
【0077】
細長いチャネルまたは溝は、例えばC字状またはU字状のような任意の適切な断面を持つことができる。
【0078】
取付け部は、上述の通り、任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができ、かつ取付け部および取り付けられた場合の少なくとも一つの撮像装置が、細長い部材の高さに沿って垂直方向に移動可能、好ましくは摺動可能になるように、任意の適切な方法でレールに移動可能に結合することができる。
【0079】
取付け部および取り付けられた場合の少なくとも一つの撮像装置は、細長い部材に対して垂直方向に手動で移動することができ、あるいは取付け部および/または細長い部材に作動的に関連付けられかつ少なくとも一つのサーボモータを含む、例えば一つ以上のサーボ機構のような移動機構によって電力を供給することができる。
【0080】
別の実施形態では、細長い部材はレールを含むことができ、かつマウントの取付け部は、少なくとも一つの細長い支持体の長手方向の長さまたは高さに沿って取付け部を移動させるために、一つ以上の車輪またはローラを含むことができる。レールは、取付け部の側方移動またはレールからの離脱を防止するサイズ、形状、および構成とすることができる。取付け部は、レールに沿って手動で移動することができ、あるいは車輪またはローラの一つ以上に作動的に関連付けられかつ少なくとも一つのサーボモータを含む、例えば一つ以上のサーボ機構によって駆動することができる。
【0081】
さらに別の実施形態では、取付け部は、ラックアンドピニオンシステムを用いて、少なくとも一つの細長い支持体の長手方向の長さまたは高さに沿って、移動可能とすることができる。少なくとも一つの細長い支持体は、細長い支持体の長手方向の長さまたは高さに沿って延びる一つ以上のラックを含むことができ、取付け部は、少なくとも一つの細長い支持体に対して取付け部を移動させるために、対応するラックと各々係合可能な一つ以上のピニオンを含むことができる。レールの場合と同様に、各ラックアンドピニオンは、細長い支持体の長手方向の長さまたは高さに沿って取付け部が、取付け部の側方移動またはラックからの離脱を生じることなく、移動可能になるような仕方で係合可能とすることができる。再び、取付け部は、細長い支持体の長手方向の長さまたは高さに沿って延びる一つ以上のラックに沿って手動で移動することができ、あるいはピニオンの一つ以上に作動的に関連付けられかつ少なくとも一つのサーボモータを含む、例えば一つ以上のサーボ機構によって駆動することができる。
【0082】
上述の通り、ベースはさらに、ベースを移動させ、それによってマウントおよびマウントに取り付けられている場合の撮像装置を移動させるための少なくとも一つの移動機構を含むことができる。マウントおよび少なくとも一つの撮像装置は手動で移動可能とすることができ、あるいは自動的に移動する(すなわち自走する)ことができる。
【0083】
マウントおよび少なくとも一つの撮像装置は、被検者に対して任意の適切な方向に移動可能とすることができ、それは3Dモデルの撮像および生成に役立つ。例えば、一実施形態では、マウントは撮像装置を被検者に対して側方または横方向に移動させることができる。別の実施形態では、マウントは、撮像装置を長手方向に被検者に近づけたり被検者から遠ざけたりするように移動させることができる。
【0084】
通常、マウントは、少なくとも一つの撮像装置が被検者の顔面の少なくとも一部分のかなりの部分を撮像することができるように、移動可能とすることができる。例えばマウントは、少なくとも一つの撮像装置が被検者の顔面の少なくとも一部分を、被検者を中心に少なくとも90°、少なくとも100°、少なくとも110°、少なくとも120°、少なくとも130°、少なくとも140°、少なくとも150°、少なくとも160°、少なくとも170°、少なくとも180°、少なくとも190°、少なくとも200°、少なくとも210°、少なくとも220°、少なくとも230°、少なくとも240°、少なくとも250°、少なくとも260°、少なくとも270°、少なくとも280°、少なくとも290°、少なくとも300°、少なくとも310°、少なくとも320°、少なくとも330°、少なくとも340°、少なくとも350°、または実に360°の範囲にわたって、好ましくは少なくとも90°の範囲にわたって撮像することができるように、移動可能とすることができる。
【0085】
一部の実施形態では、少なくとも一つの移動機構は、ベースの下面に位置する車輪、ローラ、またはトラックを含むことができる。車輪、ローラ、またはトラックは、マウントおよび撮像装置を支持面上を横切ってまたは支持面に沿って移動させることができる。車輪、ローラ、またはトラックは手動で移動することができ、あるいは例えば一つ以上の電気モータによって駆動することができる。
【0086】
好適な実施形態では、システムは支持面に沿って延びるレールを含むことができ、ベースは、マウントおよび撮像装置を被検者に対してレールに沿って移動させるために、ベースの下面に位置する車輪またはローラを含むことができる。再び、車輪またはローラは手動で移動することができ、あるいは例えば一つ以上の電気モータによって駆動することができる。
【0087】
レールは任意の形の誘導搬送手段または指向性搬送手段を含むことができる。例えばレールはトラックを含むことができる。レールは任意の適切なサイズ、形状、および構成とすることができ、任意の適切な単数または複数の材料から形成することができる。同様に、レールは、3Dモデルの撮像、生成、および被検者の一つ以上の光学的測定値の決定に役立つ、支持面に沿った任意の適切な配置構成に配設することができる。
【0088】
例えば、一部の実施形態では、少なくとも被検者の前で少なくとも側方に延びることができる。レールは、少なくとも被検者の前で直線方向または曲線方向に延びることができる。
【0089】
一実施形態では、レールは曲線状であり、曲線または弧を描くように延びることができる。曲線または弧は、曲線または弧の曲率中心が被検者の位置またはその付近に画定されるように、少なくとも部分的に少なくとも被検者の正面を中心に延びることができる。
【0090】
別の実施形態では、レールは直線状とすることができる。そのような実施形態は、レールの一つ以上の直線状セグメントは、少なくとも部分的に被検者の正面を中心にまたは被検者の前を横切って延びることができる。
【0091】
一部の実施形態では、システムは、少なくとも被検者の前で側方に延びるレールの二つ以上のセグメントを含むことができる。
【0092】
例えば、一実施形態では、システムは、両方とも少なくとも被検者の前で被検者から異なる距離で側方に延びる、レールの少なくとも二つの平行セグメントを含むことができる。別の実施形態では、システムは、被検者から異なる距離で少なくとも部分的に少なくとも被検者の正面を中心に延びる、少なくとも二つの平行な曲線状または弧状のレールを含むことができる。
【0093】
他の実施形態では、少なくとも一つのマウントは、被検者の前で側方に互いに間隔を置いて配置された少なくとも二つの細長い部材であって、各々が上述の通りベースから略垂直方向に延びる細長い部材と、少なくとも二つの細長い部材の間に延在しかつそれらに移動可能に結合されたレールと、少なくとも一つの撮像装置を取り付けるための取付け部であって、レールに移動可能に結合された取付け部とを含むことができる。
【0094】
レールは、レールが少なくとも二つの細長い部材の間で垂直方向に移動可能であり、好ましくは摺動可能であるように、任意の適切な方法で、少なくとも二つの細長い部材に移動可能に結合することができる。
【0095】
例えば、一実施形態では、各細長い部材は、少なくとも部分的に細長い部材の長手方向の長さに沿って延びる、細長いチャネルまたは溝の形の雌構成部を含むことができ、レールは、レールの各端に拡大頭部または他のタイプの保持端を持つ保持部材の形の雄構成部を含むことができる。各保持部材の拡大頭部または他のタイプの保持端は、細長いチャネルまたは溝内に係合して保持され、細長いチャネルまたは溝に対して移動可能であり、好ましくは摺動可能であるように構成することができる。
【0096】
細長いチャネルまたは溝は、前述の通り、例えばC字状またはU字状のような任意の適切な断面を持つことができる。
【0097】
取付け部は、上述の通り、任意の適切なサイズ、形状、および形態とすることができ、取付け部および取り付けられた場合の少なくとも一つの撮像装置がレールの長さに沿って水平方向に移動可能になり、好ましくは摺動可能になるように、任意の適切な方法でレールに移動可能に結合することができる。
【0098】
例えば、一実施形態では、レールは、少なくとも二つの細長い部材と同様に、上述の通り、細長いチャネルまたは溝の形の雌構成部を含むことができ、取付け部は、上述の通り、拡大頭部または他のタイプの保持端を持つ一つ以上の保持部材の形の雄構成部を含むことができる。各保持部材の拡大頭部または他のタイプの保持端は、細長いチャネルまたは溝内に係合して保持され、細長いチャネルまたは溝に対して移動可能であり、好ましくは摺動可能であるように構成することができる。
【0099】
レールは、少なくとも二つの細長い部材に対して垂直方向に手動で移動することができ、あるいはレールに作動的に関連付けられかつ少なくとも一つのサーボモータを含む、例えば一つ以上のサーボ機構のような移動機構によって電力を供給することができる。
【0100】
同様に、取付け部および取り付けられた場合の少なくとも一つの撮像装置は、レールに対して水平方向に手動で移動することができ、あるいは取付け部またはレールに作動的に関連付けられかつ少なくとも一つのサーボモータを含む、例えば一つ以上のサーボ機構のような移動機構によって電力を供給することができる。
【0101】
眼鏡の撮像を改善または向上するために、システムは、一部の実施形態では、撮像を行う前に眼鏡に造影剤を適用するための造影剤アプリケータをさらに含むことができる。アプリケータは任意の適切なサイズ、形状、および構成とすることができ、造影剤は、眼鏡の撮像およびそれに続いて撮像から生成される眼鏡の3Dモデルの撮像を向上するために、眼鏡に適用することのできる任意の適切なタイプとすることができる。好ましくは、造影剤は、不活性であり安全に取り扱える単数または複数の乾燥粒状物質(例えばタルク、とうもろこし粉、および同様の粒状物質)とすることができる。
【0102】
アプリケータは、造影剤を眼鏡に適用するためのノズルの形を取ることができ、あるいは造影剤が入った容器の形を取ることができ、その中に眼鏡を少なくとも部分的に沈めることができる。
【0103】
システムの少なくとも一つのプロセッサは、任意の適切な構成およびタイプとすることができる。少なくとも一つのプロセッサは任意の適切な方法で、少なくとも一つの撮像装置および/またはマウントの少なくとも一つの移動機構に作動的に関連付けることができる。
【0104】
例えば、一部の実施形態では、少なくとも一つの撮像装置および/または少なくとも一つの移動機構は少なくとも一つのプロセッサを含むか、あるいは共有することができる。
【0105】
好適な実施形態では、少なくとも一つのプロセッサは、例えばコンピュータ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、またはPDAのような外部処理装置とすることができる。少なくとも一つの撮像装置および/またはマウントの少なくとも一つの移動機構は、任意の適切な方法で外部処理装置に接続することができる。好ましくは、外部処理装置は、少なくとも一つのディスプレイおよびユーザインタフェースを含むことができる。
【0106】
少なくとも一つのプロセッサは、メモリ記憶媒体に格納された一つ以上の動作プログラム(すなわち3Dモデルの生成および位置合わせ)を実行し、メモリ記憶媒体に格納された画像にアクセスし、かつ/または一つ以上の測定値を決定するために、メモリ記憶媒体に作動的に結合されることが好ましい。
【0107】
通常、少なくとも一つの撮像装置および/または少なくとも一つの移動機構は各々、外部処理装置に接続するための通信モジュールを含むか、あるいは共有することができる。
【0108】
一部の実施形態では、通信モジュールは、少なくとも一つの撮像装置および/または少なくとも一つの移動機構が適切なケーブルを使用して外部処理装置に接続することができるように、ポートまたはアクセスポイント(例えばUSBまたはミニUSBポート)の形を取ることができる。
【0109】
他の実施形態では、通信モジュールは、少なくとも一つの撮像装置および/または少なくとも一つの移動機構が、無線ネットワーク(例えばWi‐Fi(WLAN)通信、RF通信、赤外線通信、またはブルートゥース(Bluetooth)(登録商標))を介して外部処理装置に無線接続することができるように、例えば無線ネットワークインタフェースコントローラのような無線通信モジュールの形を取ることができる。
【0110】
システムはさらに、少なくとも一つの撮像装置、マウントの少なくとも一つの移動機構、および/または少なくとも一つのプロセッサに電力を供給するための電源を含むことができる。電源は、例えば一つ以上の電池のような一つ以上のオンボード電源を含むことができる。代替的に、電源は主電源への一つ以上の接続を含むことができる。
【0111】
本発明の第五態様によれば、
眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像して、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するステップと、
生成された3Dモデルから、被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む、被検者の一つ以上の光学的測定値を決定するステップと、
を含む眼鏡を被検者にフィットさせる方法が提供される。
【0112】
本発明の第六態様によれば、
眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像して、撮像された眼鏡の少なくとも一部分および撮像された顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するステップと、
生成された3Dモデルを位置合わせするステップと、
位置合わせされた3Dモデルから、被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む、被検者の一つ以上の光学的測定値を決定するステップと、
を含む眼鏡を被検者にフィットさせる方法が提供される。
【0113】
本発明の第七態様によれば、
少なくとも一つの機械認識可能なタグを眼鏡と関連付けるステップと、
眼鏡の少なくとも一部分および眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像して、撮像された眼鏡の少なくとも一部分および撮像された顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成するステップと、
少なくとも一つの機械認識可能なタグに基づいて、生成された3Dモデルを位置合わせするステップと、
位置合わせされた3Dモデルから、被検者の各目の視軸、MCOR、およびOCRの少なくとも一つを含む、被検者の一つ以上の光学的測定値を決定するステップと、
を含む眼鏡を被検者にフィットさせる方法が提供される。
【0114】
方法は、上述した測定システムの一つ以上の特徴を含むことができる。
【0115】
方法は、眼鏡のタイプに応じて、フィットさせる眼鏡のレンズインサートを取り外す初期ステップを含んでも含まなくてもよい。例えば、リムレス眼鏡および部分リム眼鏡の場合、眼鏡の少なくとも一部分を撮像した後、好ましくは眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像する前まで、レンズインサートは取り外さなくてよい。
【0116】
一部の実施形態では、方法は、撮像前に眼鏡に造影剤を適用する別の初期ステップを含むことができる。
【0117】
同様に、一部の実施形態では、方法は、被検者の目の撮像を少なくとも部分的に向上するために、撮像前に被検者の目の各々に造影剤を適用する別の初期ステップを含むことができる。造影剤は、各目の少なくとも一部分を染色する、好ましくは蛍光を発することのできる、任意の適切な作用物質とすることができる。造影剤は水溶性であることが好ましい。造影剤はフルオレセインナトリウム、ローズベンガル、またはリサミングリーン、好ましくはコバルトブルーの照明下で蛍光を発することのできるフルオレセインナトリウムを含むことができる。
【0118】
一部の実施形態では、少なくとも一つの機械認識可能なタグを眼鏡と関連付けるステップは、撮像される眼鏡の少なくとも一部分、好ましくはフレームフロントにタグを接着することを含むことができる。
【0119】
通常、関連付けステップは、二つ以上の機械認識可能なタグを眼鏡に接着することを含むことができる。
【0120】
一部の実施形態では、関連付けステップは、少なくとも三つの機械認識可能なタグを眼鏡に接着し、通常第一機械認識可能なタグおよび第二機械認識可能なタグをそれぞれ眼鏡の左右のフレームリム(もし存在すれば)の外側下方部分に接着することを含むことができ、第三機械認識可能なタグは眼鏡のブリッジに接着することができる。
【0121】
一部の実施形態では、方法は、前記撮像ステップの前に、眼鏡の左右のフレームリム(もし存在すれば)をトレーサにより追跡するステップをさらに含むことができる。トレーサは当業界で公知の任意の適切な形を取ることができる。例えば、一実施形態では、トレーサは、フレームリムの内縁に沿って走行してパラメータを決定し、かつ/または左右のフレームリムのモデル、好ましくはもし存在すればレンズ溝またはv溝のモデルを生成する、針の形のセンサを含むことができる。別の実施形態では、トレーサは、レンズインサートおよび/またはもし存在すれば部分リムの外縁に沿って走行してパラメータを決定し、かつ/または眼鏡フレームのモデルを生成する、ロッドの形のセンサを含むことができる。好ましくは、生成されるモデルは3Dモデルとすることができる。
【0122】
一部の実施形態では、撮像ステップは、眼鏡の少なくとも一部分を撮像することを含むことができる。通常、撮像ステップは、眼鏡の少なくともフレームフロントを撮像することを含むことができる。好ましくは、撮像ステップは、眼鏡のフレームフロント、特に左右のフレームリム、最も好ましくは、もし存在すればレンズ溝またはv溝を撮像することを含むことができる。眼鏡の少なくとも一部分の撮像は、ハンドヘルド3Dスキャナにより実行することが好ましい。
【0123】
被検者は次いで眼鏡を装着し、撮像のために本発明の少なくとも一つの撮像装置の前に起立または着座することができる。通常、被検者は、好ましくは被検者の頭部が「直立」位、すなわち最少努力を必要とする体位に保持されるように、被検者の頭部が直立しているコンフィギュレーションで、起立または着座することができる。より好ましくは、被検者は、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで起立または着座することができる。
【0124】
眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の撮像は、好ましくは被検者の画像または映像を二つ以上の向きで、好ましくは少なくとも90°の範囲にわたって、撮像することを含むことが好ましい。
【0125】
撮像ステップは、好ましくは、少なくとも部分的に被検者の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りを、またはそれを横切って撮像装置を移動させながら、被検者を撮像することを含むことができる。
【0126】
一部の実施形態では、撮像装置は、前述の通り、被検者の前でマウント上に支持することができる。そのような実施形態では、撮像装置は、マウントを介して、少なくとも部分的に、被検者の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りを、またはそれを横切って、手動でまたは自動的に移動させることができる。
【0127】
他の実施形態では、撮像装置は被検者によって被検者の前に保持され、かつ少なくとも部分的に被検者の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りを、またはそれを横切って、手動で移動させることができる。
【0128】
被検者の各目のMCORおよびOCRの少なくとも一つを含む一つ以上の光学的測定値の決定を助けるために、撮像ステップはさらに、被検者が被検者から異なる距離または長さにある物体に焦点を合わせながら、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像することを含むことができる。
【0129】
被検者は、第一距離にある物体に焦点を合わせながら撮像することができる。被検者は、第二距離にある物体に焦点を合わせながら撮像してもしなくてもよい。第一および第二距離は各々任意の適切な距離、好ましくは異なる距離とすることができる。
【0130】
例えば、一部の実施形態では、第一距離は、被検者の光学的測定値を、例えば無限焦点状態または光学的無限遠のような、長い焦点距離で決定するのに適した距離とすることができる。第一距離は少なくとも5,000mm、少なくとも6,000mm、少なくとも7,000mm、少なくとも8,000mm、少なくとも9,000mm、少なくとも10,000mm、少なくとも11,000mm、または少なくとも12,000mm、好ましくは少なくとも6,000mmとすることができる。物体は、被検者が第一距離で焦点を合わせることのできる任意の適切な物品とすることができ、例えば、物体は鏡または写真とすることができる。
【0131】
例えば、一部の実施形態では、第二距離は、短い焦点距離で被検者の光学的測定値を決定するのに適した距離とすることができる。第二距離は少なくとも250mm、少なくとも300mm、少なくとも350mm、少なくとも400mm、少なくとも450mm、または少なくとも500mmとすることができる。物体は、被検者が焦点を合わせることのできる任意の適切な物品とすることができ、例えば、物体はタブレット、雑誌、本等とすることができる。
【0132】
被検者は、視線に沿ってまたは略視線に沿って撮像することができ、あるいは例えば下を向いている間に撮像することができる。
【0133】
通常、被検者は、第一距離の物体に焦点を合わせる場合、視線に沿ってまたは略視線に沿って撮像することができる。
【0134】
被検者は、一部の実施形態では、第二距離の物体に焦点を合わせる場合にも、視線に沿ってまたは略視線に沿って撮像することができる。例えば、一実施形態では、被検者は撮像装置を第二距離に手動に保持することができる。別の実施形態では、被検者は、取り付けられている場合の撮像装置の上、下、横に、かつ/またはそれをわずかに通り過ぎた位置にある第二距離の物体に焦点を合わせることができる。
【0135】
他の実施形態では、被検者は、下を向いて第二距離の物体に焦点を合わせながら撮像することができる。
【0136】
被検者の顔面の少なくとも一部分の撮像は、3Dスキャナによって、または前述の通り、間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラもしくは間隔を置いて配置された二つのレンズを持つ少なくとも一つのカメラを含む立体視システムによって、実行することができる。好ましくは、撮像は、3Dスキャナによって、または間隔を置いて配置された少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、少なくとも五つ、もしくは少なくとも六つのカメラを含む立体視システムによって実行することができる。
【0137】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、好ましくは被検者の各目の角膜を撮像しながら、被検者の顔面の少なくとも一部分を少なくとも部分的に照明することを含むことができる。
【0138】
一部のそのような実施形態では、被検者の各目の角膜の少なくとも部分的な照明は、撮像装置に関連付けられた少なくとも一つのRGB LEDによって達成することができる。好適なそのような実施形態では、少なくとも部分的な照明は一つ以上の角膜反射を発生させることができ、それは被検者の各目の角膜の撮像に役立つことができる。少なくとも部分的な照明はまた、もし造影剤が適用された場合、蛍光を発生させ、それによって被検者の少なくとも目の撮像を向上させることもできる。
【0139】
他のそのような実施形態では、被検者の各目の角膜の少なくとも部分的照明は、撮像装置に関連付けられた少なくとも一つのIR LEDまたは近IR LEDによって達成することができる。好適なそのような実施形態では、少なくとも部分的な照明は、一つ以上の角膜反射を発生させることができ、それは被検者の注視点、視線、もしくは目の位置、および/または被検者の各目の動きをある期間にわたって追跡するのに役立つことができる。
【0140】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、被検者が被検者の視野の周縁もしくは両極またはその付近における焦点を注視している間に、被検者を撮像することを含むことができる。有利なことに、そのような画像の撮像は、撮像される各目の強膜の領域を増大し、それによってその後に生成される3Dモデルの精度を向上することができる。
【0141】
ひとたび撮像し終われると、眼鏡の少なくとも一部分および/または眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルを生成することができる。
【0142】
3Dスキャナによって実行される撮像の場合、3Dモデルは、当業界で公知の任意の適切な方法によって生成することができる。通常、3Dモデルは、3Dスキャナによって生じる点群によって生成することができる。
【0143】
間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラによって撮像が行われる場合、3Dモデルは、当業界で公知の一つ以上の方法を用いる立体写真測量のプロセスによって生成することができる。
【0144】
一部の実施形態では、各目の3Dモデルは、<https://s3-us-west-1.amazonaws.com/disneyresearch/wp-content/uploads/20141203013516/High-Quality-Capture-of-Eyes-Pub-Paper.pdf>にあり、2016年5月24日にアクセスし、その内容全体を参照によって本書に援用する、Berard,P,et al.「High-Quality Capture of Eyes」に開示されたメッシュセグメンテーションによって生成することができる。
【0145】
例えば、撮像される各目の表面は、k平均および各クラスタに対する半径12.5mm(平均的な目の半径)のフィット球面を使用して、メッシュセグメントにより約50mm2のクラスタにモデル化することができる。フィット球面と一致しない頂点は、所望の距離閾値および通常の閾値に達するまで枝刈りすることができる。収束が達成されるまで、クラスタリング、球面あてはめ、および枝刈りの複数の繰返しを実行することができる。
【0146】
好ましくは、全ての3Dモデルの生成は、本発明の撮像装置に作動的に関連付けられた少なくとも一つのプロセッサによって実行することができる。
【0147】
通常、各焦点距離で実行される撮像に対し、3Dモデルを生成することができる。例えば、被検者の顔面の少なくとも一部分の第一3Dモデルは、被検者が第一距離に焦点を合わせている場合に生成することができる。被検者の顔面の少なくとも一部分の第二3Dモデルは、被検者が第二距離に焦点を合わせている場合に生成することができる。
【0148】
トレーサによって生成される眼鏡の左右のフレームリムの3Dモデルを含め、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルが生成される実施形態では、眼鏡の少なくとも一部分の単数または複数の3Dモデルは、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルと位置合わせすることができる。眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルは、3Dモデルの眼鏡が眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルの眼鏡の上に実質的に重なるように、位置合わせすることができる。位置合わせは自動的に、または3Dモデルを操作するユーザが手動で実行することができる。一般的に、位置合わせは、位置合わせされる3Dモデルの眼鏡に沿った共通点間の二乗平均平方根偏差(RMSD)を測定することによって決定される良好な一致が達成されるまで、実行される。
【0149】
通常、3Dモデルは、少なくとも一つのプロセッサによって自動的に位置合わせすることができる。好ましくは、3Dモデルは、機械認識可能なタグに基づいて位置合わせすることができる。例えば、機械認識可能なタグは、位置合わせされる3Dモデルの各々で識別することができ、眼鏡の少なくとも一部分の単数または複数の3Dモデルは、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルの各機械認識可能なタグが、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルの眼鏡における対応する位置の上に重なるように、眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルの眼鏡の上に重ね合わせることができる。
【0150】
同様に、3Dモデルは、眼鏡の少なくとも一部分の単数または複数の3Dモデルおよび眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルにおける少なくとも三つの機械認識可能なタグの三角測量によって形成される平面に少なくとも部分的に基づいて、位置合わせすることができる。
【0151】
被検者が被検者の視野の周縁もしくは両極またはその付近における焦点を注視している間に目のさらなる撮像が行われる実施形態では、それに続いて生成される3Dモデルは、第一および第二距離に焦点を合わせている被検者の生成された3Dモデルに対して位置合わせし、かつ少なくとも部分的にそれと一体化することができる。通常、強膜の3Dモデルだけが、第一および第二距離に焦点を合わせている被検者の生成された3Dモデルと一体化される。好ましくは、強膜の3Dモデルは、第一および第二距離に焦点を合わせている被検者の生成された3Dモデルと一体化される前に、相互に位置合わせし、平均化することができる。強膜の3Dモデルは、例えば瞳孔の配置のような共通の特徴によって相互に位置合わせすることができる。
【0152】
目のさらなる撮像により被検者の注視点、視線、もしくは目の位置、および/または各目の動きをある期間にわたって追跡する実施形態では、それに続いて生成される3Dモデルは、例えば瞳孔の位置もしくは配置、追跡され決定された配置のような共通の特徴によって、相互に位置合わせすることができる。
【0153】
3Dモデルが生成され、かつ一部の実施形態では位置合わせされた後、被検者の各目のMCORを決定することができる。
【0154】
被検者の各目のMCORは任意の適切な手段によって決定することができる。好ましくは、被検者の各目のMCORは、第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0155】
例えば、一実施形態では、各目のMCORは、3Dモデルの被検者の目の強膜上に球面または楕円面をモデル化し、各球面または楕円面の中心点を決定することによって、決定することができる。
【0156】
好ましくは、使用される3Dモデルは、上述の通り平均化または一体化された3Dモデルとすることができる。有利なことに、平均化されかつ一体化された3Dモデルを使用することによって、球面または楕円面はより正確にモデル化することができる。
【0157】
より好ましくは、平均化されかつ一体化された3Dモデルの被検者の各目の強膜上に、二つ以上の球面または楕円面をモデル化することができる。次いで、モデル化された各球面または楕円面の中心点を決定し、中心点の位置を平均化して、MCORに対応する平均中心点を決定することができる。
【0158】
通常、収束が達成されるまで、MCOR決定の複数の繰返しを実行することができる。
【0159】
一部の実施形態では、3Dモデルの被検者の目の強膜上の一つ以上の球面または楕円面のモデル化は、手動で実施することができる。他の実施形態では、モデル化は、中心点の決定および/または平均化と併せて自動的に実行することができる。
【0160】
次いで、各目のOCRはMCORから導出することができる。
【0161】
例えば、一部の実施形態では、各目のOCRは、好ましくは、第一距離に焦点を合わせている被検者の、視線を下に向けているときの3Dモデルから、各目の視軸を位置特定しまたは決定し、次いでMCORから視軸までの最短距離を決定し、それによってOCRを決定することによって、決定することができる。
【0162】
一実施形態では、視軸は、第一距離に焦点を合わせている被検者の、視線を下に向けているときの3Dモデルから、決定することができる。その場合、視軸は、視線に沿って瞳孔の中心を通って目の後面まで、好ましくは中心窩まで延びる仮想線として決定することができる。第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルで、視軸はPFと略平行とすることができる。一つのそのような実施形態では、視軸の決定は、被検者の目の第一プルキニエ像を撮像し、かつ第一プルキニエ像および瞳孔の中心を通って目の後面まで、好ましくは中心窩まで仮想線を延ばすことによって助長される。
【0163】
各々の第一プルキニエ像は、被検者の顔面の少なくとも一部分を撮像するときに、被検者の各目の角膜を少なくとも部分的に照明することによって撮像することができる。第一プルキニエ像は最も明るい反射とすることができる。
【0164】
各目の瞳孔は、任意の適切な手段によって識別することができる。例えば、一実施形態では、各目の瞳孔は、位置合わせされた単数または複数の3Dモデルのユーザ分析によって識別することができる。その場合、ユーザは瞳孔上の円、瞳孔の中心を表すものの中心点をモデル化することができる。別の実施形態では、各目の瞳孔は自動的に検出し、検出された瞳孔上に円をモデル化することができる。再び、円の中心点は瞳孔の中心を表す。
【0165】
OCRおよび視軸は各目の注視方向によって異なることを、当業者は理解されるであろう。したがって、第一距離に焦点を合わせている被検者の、視線を下に向けているときの3Dモデルから決定されるOCRおよび視軸は、第二距離に焦点を合わせている被検者の、視線を下に向けているときの3Dモデルとは異なる可能性が高い。
【0166】
第二距離の物体に焦点を合わせ、かつ視線を下に向けている被検者の3Dモデルが生成される実施形態では、MCOR、OCR、および視軸は上述したように決定することができる。逆に、OCRおよび視軸は、上述したように視線追跡から導出される位置情報によって決定することができる。
【0167】
第二距離の物体を見下ろしている被検者の3Dモデルが生成される実施形態では、MCORは依然として上述したように決定することができる。しかし、視軸は、(1)第二距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデル上の第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルから被検者の各目を位置合わせし、かつ(2)第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルの位置合わせされた目の視軸の位置から、第二距離の物体を見下ろしている被検者の3Dモデルにおける視軸の位置を外挿することによって、決定することができる。次いでOCRは上述したように決定することができる。逆に、OCRおよび視軸は、上述したように視線追跡から導出された位置情報によって決定することができる。
【0168】
示したように、方法は他の光学的測定値の決定を含むことができる。例えば、方法は、単眼瞳孔距離(PD)、瞳孔高さ(PH)、後面頂点距離(BVD)、光学的回転中心距離(OCRD)、瞳孔軸、パントスコピックチルト、フレームラップ、およびヘッドケープの少なくとも一つを決定するステップをさらに含むことができる。
【0169】
一実施形態では、被検者の単眼PDは、3Dモデルで各目の瞳孔の中心から、眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって、決定することができる。別の実施形態では、被検者の単眼PDは、3Dモデルで各目の視軸から眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって決定することができる。
【0170】
3Dモデルで測定された距離は実際の距離とすることができ、あるいは実際の距離を得るために倍率を乗算することが必要であるかもしれない。一部の実施形態では、被検者の単眼PDは、第一距離および第二距離に焦点を合わせている被検者の別個の3Dモデルから決定することができる。有利なことに、これは被検者の遠近両方の単眼PDを決定することを可能にする。
【0171】
一実施形態では、被検者のPHは、3Dモデルで各目の瞳孔の中心から眼鏡の最下フレーム内縁(すなわちフルリム眼鏡の場合)または眼鏡の最下フレーム外縁(すなわちリムレス眼鏡または部分リム眼鏡の場合)までの垂直距離を測定することによって、決定することができる。別の実施形態では、被検者のPHは、3Dモデルで各目の視軸から眼鏡の最下フレーム内縁(すなわちフルリム眼鏡の場合)または眼鏡の最下フレーム外縁(すなわちリムレス眼鏡または部分リム眼鏡の場合)までの垂直距離を測定することによって、決定することができる。
【0172】
3Dモデルで測定された距離は実際の距離とすることができ、あるいは実際の距離を得るために倍率を乗算することが必要であるかもしれない。一部の実施形態では、被検者のPHは、第一距離および第二距離に焦点を合わせている被検者の別個の3Dモデルから決定することができる。有利なことに、これは被検者の遠近両方のPHを決定することを可能にする。
【0173】
頂点距離またはBVDは、3Dモデルで各目の角膜の頂点と眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面との間の最短距離を測定することによって、決定することができる。一部の実施形態では、これは、レンズの開先位置、眼鏡レンズ処方、ならびにレンズの厚さの中心および後部曲面のサグの入力をさらに要求することがある。再び、3Dモデルで測定された距離は実際の距離とすることができ、あるいは実際の距離を得るために倍率を乗算することが必要であるかもしれない。好ましくは、頂点距離またはBVDは、無限焦点状態または光学的無限遠のような長い焦点距離、すなわち第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルから、または視線を下に向けている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0174】
OCRDは、各目のOCRからレンズの後面頂点までの距離に対応する。OCRDは、3Dモデルで各目のOCRから眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面までの最短距離を測定することによって、決定することができる。上述したBVDの場合と同様に、一部の実施形態では、これは、レンズの開先位置、眼鏡レンズ処方、ならびにレンズの厚さの中心および後部曲面のサグの入力をさらに要求することがある。3Dモデルで測定された距離は実際の距離とすることができ、あるいは実際の距離を得るために倍率を乗算することが必要であるかもしれない。好ましくは、OCRDは、例えば無限焦点状態または光学的無限遠のような長い焦点距離、すなわち第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデル、または視線を下に向けている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0175】
一部の実施形態では、各目の瞳孔軸は、視線を下に向けているときの被検者の3Dモデルから角膜の頂点を決定することによって、決定することができる。次いで、瞳孔軸は、角膜の頂点を通って目の後面まで軸線方向に延びる仮想水平線として決定することができる。
【0176】
各目の角膜の頂点は、3Dモデルの被検者の各目の強膜および角膜上に球面をモデル化し、かつ強膜上にモデル化された球面の外周から外向きに角膜上にモデル化された球面の外周まで延びる最大距離を識別することによって、決定することができる。最大距離に沿って延びる線が角膜上にモデル化された球面の外周と交差する点は、角膜の頂点と略一致する。
【0177】
他の実施形態では、各目の瞳孔軸は、各目の瞳孔を位置特定し、かつ視線を下に向けているときの被検者の3Dモデルから各瞳孔の中心点を決定することによって、決定することができる。その場合、瞳孔軸は、各目の瞳孔の中心点を通って目の後面まで延びる仮想線として決定することができる。
【0178】
各目の瞳孔および各瞳孔の中心は、上述したように識別することができる。
【0179】
パントスコピックチルトは、眼鏡のフレームフロントに対応する平面と、視軸に対し直角に延びる垂直平面との間の角度を3Dモデルで測定することによって、決定することができる。頂点距離またはBVDまたはOCRDを決定する場合と同様に、パントスコピックチルトは、眼鏡を装着しかつ例えば無限焦点状態または光学的無限遠のような長い焦点距離、すなわち第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルから、または視線を下に向けている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0180】
眼鏡のフレームラップまたは顔形ラップは、3Dモデルで眼鏡のフレームフロントの左右のフレームリムの各々に対応する平面と、視軸に対し直角に延びる垂直平面との間の角度を測定することによって、決定することができる。頂点距離またはBVD、OCRD、およびパントスコピックチルトを決定する場合と同様に、フレームラップまたは顔形ラップは、眼鏡を装着し、かつ例えば無限焦点状態または光学的無限遠のような長い焦点距離、すなわち第一距離に焦点を合わせている被検者の3Dモデルから、または視線を下に向けている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0181】
被検者のヘッドケープは、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで被検者が起立または着座しているときに、3Dモデルで被検者の視線または注視の方向に対する被検者の頭部の回転または頭部もしくはその一部分の向きの水平角度を測定することによって、決定することができる。他の測定の場合と同様に、ヘッドケープは、視線を下に向けている被検者の3Dモデルから決定することができる。
【0182】
一部の実施形態では、方法は、眼鏡の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を特徴付けるステップをさらに含むことができる。輪郭形状は、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデル、または眼鏡を装着している被検者の顔面の少なくとも一部分の3Dモデル、好ましくは前者からから特徴付けることができる。有利なことに、眼鏡の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を正確に特徴付けるステップは、眼鏡の対応するレンズ溝またはv溝に相補的にフィットするようにレンズを縁摺りすることを可能にすることによって、処方レンズの縁摺りおよびフィッティングに役立つことができる。
【0183】
一部の実施形態では、方法は、被検者および眼鏡の測定値をレンズ製造者に送信するステップをさらに含むことができる。
【0184】
本発明の第八態様によれば、
被検者の少なくとも目領域を撮像して、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成するステップと、
生成された3Dモデルから被検者の目の一部分の強膜曲率を決定するステップと、
を含む強膜コンタクトレンズを被検者にフィットさせる方法が提供される。
【0185】
この方法は、上述したシステムおよび/または方法の一つ以上の特徴を含むことができる。
【0186】
被検者は、撮像のために、眼鏡を外し、本発明の少なくとも一つの撮像装置の前に起立または着座することが好ましい。通常、被検者は、好ましくは被検者の頭部が「直立」位、すなわち最少努力を必要とする体位に保持されるように、被検者の頭部が直立しているコンフィギュレーションで、起立または着座することができる。より好ましくは、被検者は、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで起立または着座することができる。
【0187】
被検者の少なくとも目領域の撮像は、3Dスキャナによって、または前述の通り、間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラもしくは間隔を置いて配置された二つのレンズを持つ少なくとも一つのカメラを含む立体視システムによって、実行することができる。
【0188】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、被検者の各目の強膜をよりよく視覚化するように、被検者が被検者の視野の周縁もしくは両極またはその付近における焦点を注視している間に、被検者を撮像することを含むことができる。
【0189】
撮像後、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成することができる。上述の通り、単数または複数の3Dモデルを生成することができる。
【0190】
好ましくは、方法は、目の角膜の周辺に広がる強膜の一部分の強膜曲率を決定するステップを含むことができる。
【0191】
有利なことに、目の強膜曲率の決定は、レンズのベース曲率を被検者の目の強膜曲率に正確に一致させることを可能にすることによって、強膜コンタクトレンズの設計およびフィッティングに大いに役立つことができる。
【0192】
本発明の第九態様によれば、
被検者の少なくとも目領域を撮像して、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成するステップと、
生成された3Dモデルから、被検者の目の少なくとも光学的回転中心(OCR)を決定するステップと、
決定されたOCRに少なくとも基づいて、被検者にフィットさせる眼内レンズの最適な屈折力を決定するステップと、
を含む眼内レンズ(IOL)を被検者にフィットさせる方法が提供される。
【0193】
この方法は、上述したシステムおよび/または方法の一つ以上の特徴を含むことができる。
【0194】
被検者は、撮像のために、眼鏡を外し、本発明の少なくとも一つの撮像装置の前に起立または着座することが好ましい。通常、被検者は、好ましくは被検者の頭部が「直立」位、すなわち最少努力を必要とする体位に保持されるように、被検者の頭部が直立しているコンフィギュレーションで、起立または着座することができる。より好ましくは、被検者は、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで起立または着座することができる。
【0195】
被検者の少なくとも目領域の撮像は、
3Dスキャナによって、または前述の通り、間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラもしくは間隔を置いて配置された二つのレンズを持つ少なくとも一つのカメラを含む立体視システムによって、実行することができる。
【0196】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、被検者の各目の強膜をよりよく視覚化するように、被検者が被検者の視野の周縁もしくは両極またはその付近における焦点を注視している間に、被検者を撮像することを含むことができる。
【0197】
撮像後、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成することができる。上述の通り、単数または複数の3Dモデルを生成することができる。
【0198】
好ましくは、方法は、被検者の目の少なくともOCRを決定するステップを含む。OCRは、前述の通り、生成された3Dモデルから決定することができる。一部の実施形態では、被検者の目の角膜曲率もまた、生成された3Dモデルから決定することができる。
【0199】
方法はまた、被検者にフィットさせるIOLの最適な屈折力を決定するステップをも含むことが好ましい。最適な屈折力とは、被検者に最良の光学的結果をもたらすか、あるいは屈折異常を除去もしくは最小化する、屈折力の光学的な量を意味するものと理解される。
【0200】
有利なことに、目のOCRの決定は、決定される屈折力の精度を向上するので、被検者にフィットされるIOLの最適な屈折力を決定するのに大いに役立つことができる。
【0201】
本発明の第十態様によれば、
被検者の少なくとも目領域を撮像して、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成するステップと、
生成された3Dモデルから、被検者の眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視するステップと、
を含む被検者の眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視する方法が提供される。
【0202】
この方法は、上述したシステムおよび/または方法の一つ以上の特徴を含むことができる。
【0203】
方法は、例えば眼表面病変、眼表面新生物、結膜および角膜上皮内新生物(CIN)、扁平上皮癌(SSCA)、メラノサイト腫瘍(眼球メラノーシス/黒色腫)、結膜リンパ腫、翼状片、瞼裂班、角膜潰瘍、目蓋の病変、霞粒腫、麦粒腫、真皮母斑、脂漏性角化症、ならびに/または汗腺嚢胞のような、眼疾患を診断かつ/または監視するのに使用することができる。
【0204】
同様に、方法は、例えばドライアイ症候群およびスティーブンス・ジョンソン症候群のような眼障害を診断かつ/または監視するために使用することができる。
【0205】
一部の実施形態では、方法は、眼疾患または眼障害の撮像を少なくとも部分的に向上するために、上述の通り、被検者の目に造影剤を適用する初期ステップを含むことができる。
【0206】
被検者は、撮像のために、眼鏡を外し、本発明の少なくとも一つの撮像装置の前に起立または着座することが好ましい。通常、被検者は、好ましくは被検者の頭部が「直立」位、すなわち最少努力を必要とする体位に保持されるように、被検者の頭部が直立しているコンフィギュレーションで、起立または着座することができる。より好ましくは、被検者は、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで起立または着座することができる。
【0207】
被検者の少なくとも目領域の撮像は、3Dスキャナ(もしくは近IR干渉計)によって、または前述の通り、間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラもしくは間隔を置いて配置された二つのレンズを持つ少なくとも一つのカメラを含む立体視システムによって、実行することができる。
【0208】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、撮像しながら被検者の少なくとも目領域を少なくとも部分的に照明することを含むことができる。少なくとも部分的な照明は、撮像装置に関連付けられた少なくとも一つのRGB LEDによって達成することができる。好適な実施形態では、少なくとも部分的な照明は造影剤に蛍光を発生させ、それによって眼疾患または眼障害の撮像を向上することができる。
【0209】
一部の実施形態では、撮像ステップはさらに、眼疾患または眼障害をよりよく視覚化するように、被検者が被検者の視野の周縁もしくは両極またはその付近における焦点を注視している間に、被検者を撮像することを含むことができる。
【0210】
撮像後に、被検者の少なくとも目領域の3Dモデルを生成することができる。上述の通り、単数または複数の3Dモデルを生成することができる。
【0211】
次いで、単数または複数の3Dモデルは、眼疾患または眼障害を診断かつ/または監視するために目視で検査することができる。
【0212】
例えば、前記監視ステップは、眼疾患および/または眼障害の周辺を目視で検査して、眼疾患および/または眼障害の大きさが増大または縮小したか否か、あるいは外観が変化したか否かを決定することを含むことができる。大きさの増大は、現在の治療法が眼疾患および/または眼障害の治療に有効に作用していないことを示す。逆に、大きさの縮小は、現在の治療法が有効に作用していることを示す。
【0213】
一部の実施形態では、前記監視ステップは、生成された3Dモデルにおける眼疾患および/または眼障害を、眼疾患および/または眼障害の以前の3Dモデルと比較して、例えば眼疾患および/または眼障害の大きさまたは外観に変化があったか否かを決定することを含むことができる。
【0214】
本書に記載する特徴のいずれも、本発明の範囲内で、本書に記載する他の特徴のいずれか一つ以上と任意の組合せで組み合わせることができる。
【0215】
本明細書における先行技術の言及は、その先行技術が一般常識の一部を構成していることを認めたり、いかなる形でも示唆したりするものではなく、かつそのように解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0216】
本発明の好適な特徴、実施形態、および変形例は、当業者が本発明を実施するための充分な情報を提供する、以下の「発明を実施するための形態」から理解することができる。「発明を実施するための形態」は、前述の「発明の概要」の範囲をいかなる形でも限定するものとみなすべきではない。「発明を実施するための形態」は、次の通り複数の図面を参照する。
【0217】
図1】被検者の顔面の前に配置する、本発明の実施形態に係る光学的測定システムの図解である。
【0218】
図2】被検者の顔面の前に配置する、本発明の別の実施形態に係る光学的測定システムの図解である。
【0219】
図3】被検者の顔面の前に配置する、本発明のさらに別の実施形態に係る光学的測定システムの図解である。
【0220】
図4】本発明の実施形態に係る、図1図3に示す光学的測定システムを使用して眼鏡を被検者にフィットさせる方法のステップを示すフローチャートである。
【0221】
図5】本発明の別の実施形態に係る、図1図3に示す光学的測定システムを使用して眼鏡を被検者にフィットさせる方法のステップを示すフローチャートである。
【0222】
図6】本発明の実施形態に係る、図1図3に示す光学的測定システムを使用して被検者の眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視する方法のステップを示すフローチャートである。
【0223】
図7図1図3のいずれか一つに示すシステムによって生成される、眼鏡を装着している被検者の顔面の一部分の3Dモデルのスクリーンキャプチャである。
【0224】
図8図1図3のいずれか一つに示すシステムによって生成される、眼鏡を装着している被検者の顔面の一部分の別の3Dモデルのスクリーンキャプチャであり、3Dモデルは眼鏡のv溝に対して被検者のモデル化された目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0225】
図1図3は、眼鏡(800)を被検者(900)にフィットさせるための、かつ/または被検者(900)における眼疾患および/または眼障害を診断かつ/または監視するための、本発明の様々な実施形態に係る光学的測定システム(100)を示す。
【0226】
光学的測定システム(100)は、撮像装置(110)と、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の前に撮像装置(110)を取り付け、かつ被検者(900)に対して撮像装置(110)を移動させるためのマウント(120)と、各目の機械的回転中心(MCOR)、各目の光学的回転中心(OCR)、各目の視軸、および被検者(900)の単眼瞳孔距離(PD)、眼鏡(800)に対する被検者(900)の瞳孔高さ(PH)、ならびに被検者(900)に対する眼鏡(800)の後面頂点距離(BVD)、光学的回転中心距離(OCRD)、パントスコピックチルト、およびフレームラップを決定するためのコンピュータ(図示せず)の形の少なくとも一つのプロセッサと、を含む。
【0227】
撮像装置(110)は、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の三次元(3D)モデルを生成するために、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の少なくとも一つの画像を撮像することができる。
【0228】
撮像装置(110)はまた、眼鏡(800)の少なくともフレームフロント(810)の3Dモデルを生成するために、眼鏡(800)の少なくともフレームフロント(810)の少なくとも一つの画像を撮像することもできる。
【0229】
撮像装置は、略長方形の形状を有する筐体(112)を含む。筐体(112)は被検者が対面する表面(113)と、反対側の外向き表面(114)と、対向する側縁(115)と、上縁(116)と、下面(117)とを有する。
【0230】
撮像装置(110)は、カメラまたは例えば電荷結合素子もしくは陽電子感応素子のような検出器の形の少なくとも一つのセンサを含み、撮像装置のタイプに応じて、可視光、赤外線、近赤外線、もしくはX線の形の放射線、または超音波の形の音波を出射するための少なくとも一つのエミッタを含むことができる。
【0231】
例えば、撮像装置(110)が3Dスキャナであれば、装置(110)は、検出器の形の少なくとも一つのセンサと、可視線を出射するための少なくとも一つのエミッタとを含むことができるであろう。撮像装置(110)は少なくとも一つのカメラを含むこともできるであろう。
【0232】
しかし、撮像装置(110)が立体視カメラシステムである場合、装置(110)は、互いに間隔を置いて配置された少なくとも二つのカメラを含む。
【0233】
少なくとも一つのセンサおよびもし存在すれば少なくとも一つのエミッタは、撮像装置(110)の筐体(112)の被検者に対面する表面(113)に位置する。もし存在すれば、エミッタはRGB LEDのアレイを含む。
【0234】
撮像装置(110)は、装置(110)の筐体(112)の外向きの表面(114)を介してマウント(120)に着脱自在に取り付けられる。
【0235】
マウント(120)は、被検者の前に、被検者から約500mm~約1,125mmの間の距離に位置し、あるいは配置される。
【0236】
マウント(120)は、被検者の顔面の少なくとも一部分を少なくとも90°の範囲にわたって撮像できるように、撮像装置(110)を被検者(900)に対し側方または横方向に移動させるように構成される。マウント(120)はまた、撮像装置(110)を被検者(900)に対して垂直方向にも移動させるように構成される。
【0237】
マウント(120)は、少なくとも一つの細長い支持部材(123)と、少なくとも一つの細長い支持部材(123)に関連付けられる取付け部(122;図示せず)と、少なくとも一つの細長い支持部材(123)の下端から延びるベース(124)とを含む。
【0238】
ベース(124)は、(例えば床、机、またはテーブルのような)支持面に載置し、かつ少なくとも一つの細長い支持部材(123)を略垂直位置に保持するように、構成される。一部の実施形態では、ベース(124)は、ベース(124)が支持面に沿って移動することを可能にする移動機構を含む。これについては後でさらに述べる。
【0239】
取付け部(122;図示せず)は略平面であり、装置(110)の筐体(112)の外向きの表面(114)に解放自在に固定される装置当接面を含む。装置(110)は、取付け部(122;図示せず)を一つ以上のスナップファスナおよび/または接着剤(例えば両面接着テープ)により、解放自在に固定される。
【0240】
以下に、マウント(120)について、各々がマウント(120)の異なる実施形態を示す図1図3に関連してさらに説明する。
【0241】
図1を参照すると、この実施形態では、マウント(120)は、被検者(900)の前に、側方に互いに間隔を置いて配置された二つの細長い部材(123)を含む。各々の細長い支持部材(123)は、上述の通りベース(124)から略垂直方向に延びる。レール(125)は細長い部材(123)の間に延び、細長い部材(123)に対して垂直方向に摺動することができるように、細長い部材に移動可能に結合される。次に、取付け部(122;図示せず)は、取付け部(122;図示せず)および取り付けられた撮像装置(110)がレール(125)に対して水平方向に摺動できるように、レール(125)に移動可能に結合される。
【0242】
この実施形態における細長い部材(123)の各々は、少なくとも部分的に細長い部材(123)の長手方向の高さに沿って延びる細長いチャネルまたは溝の形の雌構成部を含む。
【0243】
レール(125)は、レール(125)の各長手方向端部に拡大頭部または他のタイプの保持端を有する、保持部材の形の雄構成部を含む。
【0244】
使用時に、各保持部材の拡大頭部または他のタイプの保持端は、細長いチャネルまたは溝内に係合して保持され、かつ細長いチャネルまたは溝に対して摺動可能であるように構成される。
【0245】
同様に、レール(125)および取付け部(122;図示せず)はそれぞれ、取付け部(122;図示せず)がレール(125)に対して摺動可能になるように、細長いチャネルまたは溝の形の雌構成部、および拡大頭部または他のタイプの保持端を有する保持部材の形の雄構成部を含む。
【0246】
レール(125)および取付け部(122;図示せず)および取り付けられた撮像装置(110)は手動で移動することができ、あるいはレール(125)および取付け部(122;図示せず)の各々に作動的に関連付けられた一つ以上のサーボ機構によって移動することができる。
【0247】
図2に目を転じると、この実施形態では、マウント(120)は、単一の細長い支持部材(123)と、上述の通り細長い支持部材(123)の上端から延びる取付け部(122;図示せず)と、上述の通り細長い支持部材(123)の反対側の下端から延びるベース(124)とを含む。
【0248】
この実施形態における細長い支持部材(123)は、被検者(900)に対する撮像装置(110)の高さを調整するために、延長位置と後退位置との間に移動することのできる二つ以上の伸縮部材を含む。伸縮部材は、電気モータによって電力を供給されるリニアアクチュエータによって、延長位置と後退位置との間で駆動される。
【0249】
この実施形態におけるマウント(120)のベース(124)は、ベース(124)の下面に位置する車輪またはローラを含む。車輪またはローラは、マウント(120)および取り付けられた撮像装置(110)を、支持面に沿って延びるトラック(210)に沿って移動させる。
【0250】
図示する通り、トラック(210)は被検者(900)の前を中心に曲線または弧を描くように延び、マウント(120)および取り付けられた撮像装置(110)が被検者(900)の前を中心に少なくとも120°の範囲にわたって移動することを可能にする。
【0251】
ベース(124)の下面に位置する車輪またはローラは、手動で移動することができ、あるいは一つ以上の電気モータによって駆動することができる。
【0252】
次に図3に目を転じると、この実施形態では、マウント(120)は、この実施形態のトラック(210)が被検者(900)の前で側方に延びることを除いては、図2に示したマウント(120)と同じである。
【0253】
以下に、光学的測定システム(100)を使用する方法(400)について、図1図3図7、および図8を参照しながら詳述する。
【0254】
方法(400)は任意選択的に、フィットさせる眼鏡(800)のレンズインサートを取り外す初期ステップを含む。
【0255】
方法(400)は任意選択的に、撮像の前に眼鏡(800)に造影剤を適用する別の初期ステップを含む。
【0256】
方法(400)は任意選択的に、撮像の前に眼鏡(800)の左右のフレームリムをトレーサで追跡する別の初期ステップをさらに含む。
【0257】
ステップ410で、撮像装置(110)は、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像するために使用される。撮像は、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の少なくとも90°の水平方向の範囲にわたって、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の複数の画像を撮像することを含む。これは、マウント(120)を使用して、撮像装置(110)を側方に少なくとも部分的に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りで、またはそれを横切って移動させることによって達成される。
【0258】
撮像は、被検者(900)が被検者(900)から6m離れている第一物体に焦点を合わせている間に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像する第一撮像を含む。被検者(900)は視線に沿って撮像される。
【0259】
撮像は任意選択的に、被検者(900)が被検者(900)から400mm離れている第二物体に焦点を合わせている間に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像する第二撮像を含むことができる。被検者(900)は、第二物体を見下ろしている間に撮像される。
【0260】
全ての撮像で、被検者(900)は自然な姿勢を取る。第一撮像の場合、被検者(900)はその頭部を、被検者(900)の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になる「直立」位に保持する。
【0261】
ステップ420で、かつ図7に関連して、撮像された画像に基づいて、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルが生成される。3Dモデルは撮像装置(110)に作動的に接続されたコンピュータによって生成される。
【0262】
眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の第一3Dモデルは、第一撮像から生成される。
【0263】
眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の第二3Dモデルは任意選択的に、第二撮像がもし行われていればそこから生成することができる。
【0264】
撮像装置(110)が3Dスキャナの形を取る場合、3Dモデルは、3Dスキャナによって生じる点群から生成される。
【0265】
撮像装置(110)が立体視カメラシステムの形を取る場合、3Dモデルは立体写真測量法のプロセスによって生成される。
【0266】
ステップ430で、被検者(900)の各目のMCOR、各目のOCR、各目の視軸、単眼PD、PH、BVD、OCRD、パントスコピックチルト、および/またはフレームラップもしくは顔形ラップ、およびヘッドケープを含む、一つ以上の光学的測定値が、生成された3Dモデルから決定される。
【0267】
最初に、被検者(900)の各目のMCORが3Dモデルから決定される。MCORは、各3Dモデルで被検者(900)の各目の強膜上に球面または楕円面をモデル化し、かつ球面または楕円面の中心点を決定することによって決定される。
【0268】
一部の実施形態では、複数の球面または楕円面を被検者(900)の各目の強膜上にモデル化することができる。次いで、モデル化された各球面または楕円面の中心点を決定することができ、中心点の位置は平均化されて、MCORに対応する平均中心点が決定される。
【0269】
通常、MCOR決定の複数の繰返しは、収束が達成されるまで実行される。
【0270】
各目のOCRは、視軸と共に各目のMCORから導出することができる。OCRは、各目の視軸を位置特定または決定し、かつ第一3DモデルでMCORから視軸までの最短距離を決定することによって、決定される。
【0271】
被検者(900)の各目の視軸は第一3Dモデルから決定される。視軸は、仮想線を視線に沿って瞳孔の中心を通り目の後面まで軸線方向に延ばすことによって決定される。
【0272】
各目の瞳孔の中心は、3Dモデルのユーザ分析によって決定することができる。ユーザはその場合、瞳孔上の円、瞳孔の中心を表す中心点をモデル化することができる。代替的に、各目の瞳孔は自動的に検出し、検出された瞳孔上に円をモデル化することができる。再び、円の中心点は瞳孔の中心を表す。
【0273】
被検者(900)の各目の瞳孔は第一3Dモデルから決定することができる。瞳孔軸は、各目の角膜の頂点を決定することによって位置特定される。瞳孔軸は次いで、角膜の頂点を通って各目の後面まで軸線方向に延びる仮想水平線として決定することができる。
【0274】
各目の角膜の頂点は、3Dモデルで被検者の各目の強膜および角膜上に球面をモデル化し、次いで強膜上にモデル化された球面の外周から角膜上にモデル化された球面の外周まで外向きに延びる最大距離を識別することによって、決定することができる。最大距離に沿って延びる線が角膜上にモデル化された球面の外周と交差する点は、角膜の頂点と略一致する。
【0275】
OCR、視軸、および瞳孔軸は注視方向によって異なるので、第二3DモデルについてもOCR、視軸、および瞳孔軸を決定する必要がある。
【0276】
第二3Dモデルの場合、視軸および/または瞳孔軸は、(1)第二3Dモデル上で第一3Dからの被検者の各目を位置合わせし、かつ(2)第一3Dモデルの位置合わせされた目の視軸および/または瞳孔軸の位置から、第二3Dモデルにおける視軸および/または瞳孔軸の位置を外挿することによって、決定される。次いで、上述の通り、OCRを決定することができる。
【0277】
被検者(900)の単眼PDは、一実施形態では、各3Dモデルで各目の瞳孔の中心から、眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって、決定される。各目の瞳孔は各3Dモデルから自動的に検出され、検出された瞳孔上にフィットする円によりモデル化される。瞳孔の中心は円の中心点と一致する。
【0278】
別の実施形態では、被検者(900)の単眼PDは、一実施形態では、各3Dモデルで各目の視軸から、眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって決定される。
【0279】
第一3Dモデルから決定された単眼瞳孔距離は、被検者の遠用単眼PDを表す。第二3Dモデルがもし生成されていれば、そこから決定された単眼PDは、被検者の近用単眼PDを表す。
【0280】
被検者(900)のPHは、一実施形態では、各3Dモデルで各目の瞳孔の中心から、フルリム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム内縁までの垂直距離、あるいはリムレスまたは部分リム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム外縁までの垂直距離を測定することによって、決定される。
【0281】
別の実施形態では、被検者(900)のPHは、各3Dモデルで、各目の視軸から、フルリム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム内縁までの垂直距離、あるいはリムレスまたは部分リム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム外縁までの垂直距離を測定することによって、決定される。
【0282】
第一3Dモデルから決定されたPHは、被検者の遠用PHを表す。第二3Dモデルがもし生成されていれば、そこから決定された瞳孔高さは、被検者の近用PHを表す。
【0283】
頂点距離またはBVDは、各目の角膜の頂点と、眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面との間の距離を測定することによって生成された第一3Dモデルから決定される。
【0284】
OCRDは、各目のOCRから眼鏡の対応するレンズの後面頂点までの距離に対応する。OCRDは、3Dモデルで各目のOCRから、眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面までの最短距離を測定することによって、決定される。
【0285】
パントスコピックチルトは、第一3Dモデルから、眼鏡のフレームフロントに対応する平面と視軸に対し直角に延びる垂直面との間の角度を測定することによって決定される。
【0286】
眼鏡(800)のフレームラップまたは顔形ラップは、第一3Dモデルで、眼鏡のフレームフロントの左右のフレームリムの各々に対応する平面と、視軸に対し直角に延びる垂直面との間の角度を測定することによって、決定される。
【0287】
ヘッドケープは、第一3Dモデルから、被検者(900)が、被検者の頭部に関連付けられたフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで起立または着座しているときに、被検者(900)の視線または注視の方向に対する被検者(900)の頭部の回転または頭部の向きの水平方向の角度を測定することによって、決定される。
【0288】
一部の実施形態では、方法(400)はさらに、眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を特徴付けるステップを含むことができる。眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状は、第一3Dモデルまたはもし生成されていれば第二3Dモデルのいずれかから特徴付けることができる。有利なことに、眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を正確に特徴付けるステップは、眼鏡(800)の対応するレンズ溝またはv溝に相補的にフィットするようにレンズを縁摺りすることを可能にすることによって、処方レンズの縁摺りおよびフィッティングに役立つ。
【0289】
図8に関連して、上述した単眼PD(1010)、PH(1020)、OCRD(1030)、OCR(1040)、およびMCOR(1050)は、被検者(900)の一部分の3Dモデル上に、眼鏡(800;図示せず)のv溝(820)に対して示される。図はまた、被検者の近用視軸(910)および遠用視軸(920)をも示す。
【0290】
以下に、光学的測定システム(100)を使用する別の方法(500)について、図1図3図7、および図8を参照しながら詳述する。
【0291】
方法(400)の場合と同様に、方法(500)は、眼鏡(800)のタイプに応じて、フィットされる眼鏡(800)のレンズインサートを取り外す初期ステップを含むことができる。リムレスおよび/または部分リム眼鏡の場合、レンズインサートは後になるまで取り外されない。
【0292】
方法(500)は任意選択的に、眼鏡(800)の撮像を改善するために、眼鏡(800)に造影剤を適用する別の初期ステップを含む。
【0293】
方法(500)は任意選択的に、一つ以上の機械認識可能なタグ(610)を眼鏡(800)のフレームフロントに接着するさらなる初期ステップを含む。機械認識可能なタグ(610)は各々、接着層とマークを提示する反対側の外層とを持つ粘着ラベルの形を取る。好適な実施形態では、第一および第二機械認識可能なタグはそれぞれ、眼鏡(800;もし存在すれば)の左右のフレームリムの外側下方部分に接着され、第三機械認識可能なタグ(610)は、眼鏡(800)のブリッジに接着される。
【0294】
ステップ510で、ハンドヘルド3Dスキャナの形の撮像装置を使用して、眼鏡(800)の少なくともフレームフロントを含む眼鏡(800)の少なくとも一部分が撮像される。撮像は、眼鏡(800)の少なくとも一部分の複数の画像を撮像することを含む。
【0295】
撮像は、もし存在すればレンズ溝またはv溝を含む、眼鏡(800)の左右のフレームリムを撮像することを含む。
【0296】
方法(500)は任意選択的に、さらなる撮像前に、眼鏡(800)の左右のフレームリムをトレーサで追跡する別の初期ステップをさらに含む。
【0297】
ステップ520で、方法(500)は任意選択的に、眼鏡(800)がリムレスまたは部分リム眼鏡(800)である場合、眼鏡(800)のレンズインサートを取り外すことを最初に含む。
【0298】
撮像装置(110)は、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像するために使用される。撮像は、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の少なくとも90°の水平方向の範囲にわたって、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の複数の画像を撮像することを含む。これは、マウント(120)を使用して、撮像装置(110)を側方に少なくとも部分的に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を中心に、その周りで、またはそれを横切って移動させることによって達成される。
【0299】
撮像は、被検者(900)が被検者(900)から6m離れている第一物体に焦点を合わせている間に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像する第一撮像を含む。被検者(900)は視線に沿って撮像される。
【0300】
撮像は任意選択的に、被検者(900)が被検者(900)から400mm離れている第二物体に焦点を合わせている間に、眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分を撮像する第二撮像を含むことができる。被検者(900)は、第二物体を見下ろしている間に撮像される。
【0301】
全ての撮像で、被検者(900)は自然な姿勢を取る。第一撮像の場合、被検者(900)はその頭部を、被検者(900)の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になる「直立」位に保持する。
【0302】
ステップ530で、かつ図7に関連して、撮像された画像に基づいて、眼鏡(800)の少なくとも一部分および眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の3Dモデルが生成される。3Dモデルは撮像装置(110)およびハンドヘルド3Dスキャナに作動的に接続されたコンピュータによって生成される。
【0303】
眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の第一3Dモデルは、第一撮像から生成される。
【0304】
眼鏡(800)を装着している被検者(900)の顔面の少なくとも一部分の第二3Dモデルは任意選択的に、第二撮像がもし行われていればそこから生成することができる。
【0305】
撮像装置(110)が3Dスキャナの形を取る場合、3Dモデルは3Dスキャナによって生じる点群から生成される。
【0306】
撮像装置(110)が立体視カメラシステムの形を取る場合、3Dモデルは立体写真測量法のプロセスによって生成される。
【0307】
ステップ540で、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルは、第一3Dモデルおよびもし生成されていれば第二3Dモデルの各々と位置合わせされ、位置合わせされた第一3Dモデルおよび位置合わせされた第二3Dモデルが得られる。一部の実施形態では、トレーサによって収集されたデータは、位置合わせされた第一3Dモデルおよび位置合わせされた第二3Dモデルに組み込むことができる。
【0308】
3Dモデルは、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルが、第一および第二3Dモデルの各々における眼鏡上に実質的に重なるように、位置合わせされる。位置合わせは、コンピュータ上で自動的に、またはユーザが3Dモデルを操作することによって、実行することができる。位置合わせは、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルおよび第一または第二3Dモデルにおける眼鏡に沿った共通点間の二乗平均平方根偏差(RMSD)を測定することによって決定される良好な一致が達成されるまで実行される。
【0309】
位置合わせは、機械認識可能なタグ(610)がもし存在すれば、それらに基づいて自動的に実行することができる。コンピュータは、良好な一致が達成されるように、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルにおける機械認識可能なタグ(610)の各々を、第一およびもし生成されていれば第二3Dモデルの各々における対応する機械認識可能なタグ(610)と位置合わせすることができる。
【0310】
ステップ550で、被検者(900)の各目のMCOR、各目のOCR、各目の視軸および/または瞳孔軸、単眼PD、PH、BVD、OCRD、パントスコピックチルト、フレームラップ、または顔形ラップ、および/またはヘッドケープを含む一つ以上の光学的測定値は、位置合わせされた第一3Dモデルおよび/または位置合わせされた第二3Dモデルから決定される。
【0311】
第一に、被検者(900)の各目のMCORは、位置合わせされた第一および第二3Dモデルから決定される。MCORは、各3Dモデルの被検者(900)の各目の強膜上に球面または楕円面をモデル化し、かつ球面または楕円面の中心点を決定することによって、決定される。
【0312】
一部の実施形態では、複数の球面または楕円面は、被検者(900)の各目の強膜上にモデル化することができる。次いで、モデル化された球面または楕円面の中心点を決定し、中心点の位置を平均化し、MCORに対応する平均中心点を決定することができる。
【0313】
通常、収束が達成されるまでMCOR決定の複数の繰返しを実行することができる。
【0314】
次いで、各目のOCRは視軸と共に各目のMCORから導出することができる。OCRは、各目の視軸を位置特定または決定し、かつ位置合わせされた第一3DモデルでMCORから視軸までの最短距離を決定することによって、決定される。
【0315】
被検者(900)の各目の視軸は、位置合わせされた第一3Dモデルから決定される。視軸は、仮想線を視線に沿って瞳孔の中心を通り目の後面まで軸線方向に延ばすことによって決定される。
【0316】
各目の瞳孔の中心は、位置合わせされた3Dモデルのユーザ分析によって決定することができる。ユーザはその場合、瞳孔上の円、瞳孔の中心を表すものの中心点をモデル化することができる。代替的に、各目の瞳孔は自動的に検出し、検出された瞳孔上に円をモデル化することができる。再び、円の中心点は瞳孔の中心を表す。
【0317】
被検者(900)の各目の瞳孔軸は、位置合わせされた第一3Dモデルから決定される。瞳孔軸は各目の角膜の頂点を決定することによって位置特定される。瞳孔軸は、その場合、角膜の頂点を通って各目の後面まで軸線方向に延びる仮想水平線として決定することができる。
【0318】
各目の角膜の頂点は、位置合わせされた第一3Dモデルで被検者の各目の強膜および角膜上に球面をモデル化し、次いで強膜上にモデル化された球面の外周から外向きに角膜上にモデル化された球面の外周まで延びる最大距離を識別することによって、決定することができる。最大距離に沿って延びる線が角膜上にモデル化された球面の外周と交差する点は、角膜の頂点と略一致する。
【0319】
再び、OCR、視軸、および瞳孔軸は注視の方向によって異なるので、位置合わせされた第二3Dモデルについても、OCR、視軸、および瞳孔軸を決定する必要がある。
【0320】
位置合わせされた第二3Dモデルの場合、視軸および/または瞳孔軸は、(1)位置合わせされた第二3Dモデル上で位置合わせされた第一3Dからの被検者の各目を位置合わせし、かつ(2)位置合わせされた第一3Dモデルの位置合わせされた目の視軸および/または瞳孔軸の位置から、位置合わせされた第二3Dモデルにおける視軸および/または瞳孔軸の位置を外挿することによって、決定される。次いで、上述の通り、OCRを決定することができる。
【0321】
被検者(900)の単眼PDは、一実施形態では、各3Dモデルで各目の瞳孔の中心から、眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって、決定される。各目の瞳孔は各3Dモデルから自動的に検出され、検出された瞳孔上にフィットする円によりモデル化される。瞳孔の中心は円の中心点と一致する。
【0322】
別の実施形態では、被検者(900)の単眼PDは、各3Dモデルで各目の視軸から、眼鏡のブリッジを通って延びる垂直対称線までの水平距離を測定することによって、決定される。
【0323】
位置合わせされた第一3Dモデルから決定された単眼PDは、被検者の遠用単眼PDを表す。位置合わせされた第二3Dモデルがもし存在すれば、そこから決定された単眼PDは、被検者の近用単眼PDを表す。
【0324】
被検者(900)のPHは、一実施形態では、各3Dモデルで各目の瞳孔の中心から、フルリム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム内縁までの垂直距離、あるいはリムレスまたは部分リム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム外縁までの垂直距離を測定することによって、決定される。
【0325】
別の実施形態では、被検者(900)のPHは、各3Dモデルで各目の視軸から、フルリム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム内縁までの垂直距離、あるいはリムレスまたは部分リム眼鏡の場合は眼鏡の最下フレーム外縁までの垂直距離を測定することによって、決定される。
【0326】
位置合わせされた第一3Dモデルから決定されたPHは、被検者の遠用PHを表す。位置合わせされた第二3Dモデルがもし存在すれば、そこから決定されたPHは、被検者の近用PHを表す。
【0327】
頂点距離またはBVDは、各目の角膜の頂点と眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面との間の距離を測定することによって生成された、位置合わせ後の第一3Dモデルから決定される。
【0328】
OCRDは、各目のOCRから眼鏡の対応するレンズの後面頂点までの距離に対応する。OCRDは、3Dモデルで各目のOCRから眼鏡のレンズの後面頂点に対応する平面までの最短距離を測定することによって、位置合わせされた第一3Dモデルから決定される。
【0329】
パントスコピックチルトは、眼鏡のフレームフロントに対応する平面と視軸に対し直角に延びる垂直面との間の角度を測定することによって、位置合わせされた第一3Dモデルから決定される。
【0330】
眼鏡(800)のフレームラップまたは顔形ラップは、位置合わせされた第一3Dモデルで、眼鏡のフレームフロントの左右のフレームリムの各々に対応する平面と視軸に対し直角に延びる垂直面との間の角度を測定することによって、決定される。
【0331】
ヘッドケープは、第一位置合わせされた3Dモデルから、被検者の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になるコンフィギュレーションで被検者(900)が起立または着座しているときに、被検者(900)の視線または注視の方向に対する被検者(900)の頭部の回転または頭部の向き水平角度を測定することによって、決定される。
【0332】
方法(400)は任意選択的に、眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を特徴付けるステップをさらに含むことができる。眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状は、眼鏡の少なくとも一部分の3Dモデルから最もよく特徴付けることができる。
【0333】
有利なことに、眼鏡(800)の左右のフレームリムのレンズ溝またはv溝の輪郭形状を正確に特徴付けるステップは、眼鏡(800)の対応するレンズ溝またはv溝に相補的にフィットするようにレンズを縁摺りすることを可能にすることによって、処方レンズの縁摺りおよびフィッティングに役立つ。
【0334】
図8を参照すると、上述した単眼PD(1010)、PH(1020)、OCRD(1030)、OCR(1040)、およびMCOR(1050)が、被検者(900)の一部分の3Dモデル上に、眼鏡(800;図示せず)のv溝(820)に対して示されている。この図はまた、被検者の近用視軸(910)および遠用視軸(920)をも示す。
【0335】
以下に、光学的測定システム(100)を使用する別の方法(600)について、図1図3に関連して詳述する。
【0336】
方法(600)は任意選択的に、任意の眼疾患および/または眼障害の撮像を向上するために、水溶性造影剤を被検者(900)の目に適用するステップを含む。
【0337】
ステップ610で、撮像装置(110)は、被検者(900)の少なくとも目領域を撮像するために使用される。撮像ステップは、少なくとも90°の水平方向の範囲にわたって被検者(900)の少なくとも目領域の複数の画像を撮像することを含む。これは、マウント(120)を使用して、撮像装置(110)を側方に少なくとも部分的に、被検者(900)中心に、その周りで、またはそれを横切って移動させることによって達成される。
【0338】
全ての撮像で、被検者(900)は、その頭部を、被検者(900)の頭部に関連付けられるフランクフォルト水平面(PF)が略水平になる「直立」位に保持して、自然な姿勢を取る。
【0339】
ステップ620で、撮像された画像に基づいて、被検者(900)の少なくとも目領域の3Dモデルが生成される。3Dモデルは、撮像装置(110)に作動的に接続されたコンピュータによって生成される。
【0340】
撮像装置(110)が3Dスキャナまたは近IR干渉計の形を取る場合、3Dモデルは、3Dスキャナまたは近IR干渉計によって生じる点群から生成される。
【0341】
撮像装置(110)が立体視カメラシステムの形を取る場合、3Dモデルは立体写真測量法のプロセスによって生成される。
【0342】
ステップ630で、生成された3Dモデルの目視検査によって、一つ以上の眼疾患および/または眼障害を診断および/または監視を行うことができる。
【0343】
本明細書および特許請求の範囲(もしあれば)において、用語「備える(comprising)」ならびに「comprises」および「comprise」を含むその派生語は、明記された整数の各々を含むが、一つ以上の別の整数の包含を排除するものではない。
【0344】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体で様々な場所に現われる語句「一実施形態では」または「実施形態において」は、必ずしも全てが同じ実施形態を指していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、任意の適切な仕方で一つ以上の組合せに組み合わされてよい。
【0345】
法令に従って、程度の差はあるが構造上および方法上の特徴に特有の言語で本発明について記載した。本書に記載した手段は本発明を実施する好適な形態を含むものであるので、本発明は、図示しまたは記載した特定の特徴に限定されないことを理解されたい。したがって、本発明は、当業者によって適切に解釈される添付の特許請求の範囲(もしあれば)の適切な範囲内にあるその形態または変形のいずれをも請求する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8