(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20220209BHJP
【FI】
G01F1/00 G
(21)【出願番号】P 2018090724
(22)【出願日】2018-05-09
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】内藤 光
(72)【発明者】
【氏名】小林 倫之
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5793644(JP,B2)
【文献】特許第4990655(JP,B2)
【文献】特開2002-228508(JP,A)
【文献】国際公開第91/09282(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を仕切板によって複数に分割して、前記流路を流れる流体の流量を測定する流量測定装置であって、
前記流路の底面を構成する上面に、前記仕切板が、前記流路の幅方向において等間隔で、且つ、垂直に配置される底板と、
前記流路の側面を構成する側板と、
前記底板の板厚及び前記側板の板厚よりも薄い板厚を有し、前記底板と前記側板とを接続すると共に、前記側板を前記底板に対して垂直に起立させるように回転可能に支持するヒンジ部とを備える
ことを特徴とする流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流量を測定する流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流量測定装置の中には、測定対象となる流体の流動状態を改善して、測定精度の向上を図るようにしたものがある。この流量測定装置においては、流路を複数の仕切板によって多層構造とすることにより、流体の流れを層流、即ち、安定流とした状態で、流量測定を行うようにしている。そして、このような、従来の流量測定装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の流量測定装置は、流路を形成する管状部材を備えており、その管状部材は、樹脂成形によって製造されている。これにより、流路の壁面には、成形用金型の抜き勾配が付されているため、各層の流路断面積は、一定の断面積にはならない。このように、各層の流路断面積が一定ではないと、各層を流れる流体の流量にばらつきが生じてしまい、測定精度の低下を招くおそれがある。これに対応するため、上記従来の流量測定装置は、各層ごとに、流量及び圧力損失に基づいた流路断面積を設定して、各層を流れる流体の流量の均一化を図ることにより、測定精度の低下を抑制している。
【0005】
しかしながら、各層ごとに流路断面積を調整する作業は、非常に煩雑になってしまう。隣接した層同士は、1枚の仕切板のみによって仕切られているため、その調整方法によっては、1つの層の流路断面積を変更すると、隣りの層の流路断面積に対して、意図しない調整を加えることになる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、流体の流量を高精度に測定することができる流量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る流量測定装置は、流路を仕切板によって複数に分割して、流路を流れる流体の流量を測定する流量測定装置であって、流路の底面を構成する上面に、仕切板が、流路の幅方向において等間隔で、且つ、垂直に配置される底板と、流路の側面を構成する側板と、底板の板厚及び側板の板厚よりも薄い板厚を有し、底板と側板とを接続すると共に、側板を底板に対して垂直に起立させるように回転可能に支持するヒンジ部とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、流体の流量を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る流量測定装置の外観斜視図である。
【
図5】仕切板を板状成形体に取り付けたときの前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る流量測定装置の外観斜視図であり、
図2はその正面図、
図3はその平面図、
図4はその側面図である。
図5は、仕切板を板状成形体における底板に取り付けたときの前方斜視図であり、
図6はその正面図、
図7はその平面図、
図8はその側面図である。なお、
図1から
図3に記載した実線の矢印は、流体の流れ方向を示している。また、
図5及び
図8に記載した2点鎖線の矢印は、側板の起立動作方向(回転方向)を示している。
【0012】
図1から
図4に示すように、実施の形態1に係る流量測定装置1は、測定管11及びセンサ部12を備えている。
【0013】
測定管11は、当該測定管11内を流れる流体の流量を測定するための測定用配管であって、底板21、左右一対の側板22a,22b、及び、天板24を備えている。底板21、側板22a,22b、及び、天板24は、樹脂製となっている。このうち、底板21及び側板22a,22bは、一体に形成されており、天板24は、単体で形成されている。
【0014】
底板21は、測定管11の下部に配置されている。側板22a,22bは、底板21の幅方向両側部に、当該底板21に対して垂直に立てられている。天板24は、側板22a,22bの上端同士を連結しており、底板21と平行で、且つ、側板22a,22bと直行するように配置されている。
【0015】
このように、測定管11は、底板21、側板22a,22b、及び、天板24を備えることにより、その内部に流路31を有することになる。この流路31は、測定管11の軸方向に延びており、流体をその軸方向に沿って流すものである。即ち、底板21の上面は、流路31の底面を構成している。側板22a,22bの内面は、流路31の側面を構成している。天板24の下面は、流路31の天井面を構成している。
【0016】
また、流路31の上流側開口端部は、流路入口32を構成しており、流路31の下流側開口端部は、流路出口33を構成している。そして、流路31の流路断面は、流路入口32から流路出口33に至るまで、一様な矩形をなしている。
【0017】
ここで、測定管11は、流路31の流体流れ方向中間部を多層流路構造にして、流体の流量を測定可能としている。これにより、測定管11は、流路入口32から流路31内に供給された流体を、多層流路構造に通過させた後、流路出口33から排出する。このとき、流路31を流れる流体は、多層流路構造を通過するときに、その流量が測定される。
【0018】
具体的には、
図4から
図8に示すように、測定管11は、流路31の流体流れ方向中間部に、複数の仕切板25を備えている。これらの仕切板25は、平板状をなしており、流体流れ方向に沿って延びている。仕切板25の下端は、流路31の底面(底板21の上面)に取り付けられる一方、仕切板25の上端は、流路31の天井面(天板24の下面)に取り付けられている。
【0019】
また、仕切板25は、流体流れ方向と直交する方向、即ち、流路31の幅方向において、等間隔で配置されている。言い換えれば、仕切板25は、流路31の流体流れ方向中間部を、その幅方向において、扁平な複数の分割流路部31aに分割している。このとき、各分割流路部31aの流路断面積は、一定の断面積となるため、流路31内に供給された流体は、各分割流路部31aに均等に流れ込むように分流する。即ち、仕切板25は、各分割流路部31aを流れる流体の流量が、均一となるように配置されている。
【0020】
このように、流路31に設けられる多層流路構造は、複数の仕切板25によって区画形成された複数の分割流路部31aの集合体として構成されている。これにより、流路31は、仕切板25を通過する流体を層状にして、その流れを安定させることができる。
【0021】
センサ部12は、測定管11の上部に設けられており、その流路31内に設けられた複数の仕切板25と上下方向において対向して配置されている。そして、センサ部12は、例えば、分割流路部31aを流れる流体に対して超音波を送信することにより、流路31を流れる流体の流量を測定可能となっている。
【0022】
具体的には、センサ部12は、一対の超音波送受信器を内蔵している。この一対の超音波送受信は、お互いの間で超音波の送受信を可能としている。そして、センサ部12は、複数の分割流路部31aのうち、いずれか1つ以上の分割流路部31aを流れる流体中に超音波を伝搬させて、超音波送受信時における当該超音波の伝搬時間に基づいて、流路31を流れる流体の流量を測定する。
【0023】
次に、測定管11の展開構成及び組み立て方法について、
図1から
図8を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1から
図4に示すように、測定管11の流路31は、底板21、側板22a,22b、及び、天板24によって形成されているが、上述したように、底板21と側板22a,22bとは、一体に形成されている。
【0025】
このとき、
図5から
図8に示すように、底板21と側板22a,22bとは、ヒンジ部23によって接続されている。その
図5から
図8に記載された底板21、側板22a,22b、及び、ヒンジ部23は、それらが展開された状態となっており、1枚の板状成形体20を構成している。この板状成形体20は、成形後に成形用金型から取り出された状態となっている。
【0026】
具体的には、
図5から
図8に示すように、ヒンジ部23は、底板21の両側部と側板22a,22bの側部とを接続している。また、ヒンジ部23は、底板21の板厚及び側板22a,22bの板厚よりも薄い板厚で形成されることにより、可撓性を有しており、連続した樹脂材における自然な折り曲げ点をとなる。即ち、ヒンジ部23は、樹脂材を破損させずに折り曲げ可能な構造となる、所謂、リビングヒンジ構造となっている。
【0027】
このように、ヒンジ部23は、薄肉状に形成されることにより、測定管11の組み立て時において、側板22a,22bの起立動作時における回転軸を構成する。これにより、側板22a,22bは、ヒンジ部23を回転中心として起き上がり、底板21に対して垂直で、且つ、仕切板25と平行となるように配置される。
【0028】
従って、測定管11を組み立てる場合には、先ず、底板21、側板22a,22b、及び、ヒンジ部23から構成される板状成形体20を、準備する。
【0029】
次いで、
図5から
図8に示すように、複数の仕切板25を、板状成形体20の底板21における上面の所定位置に固定する。このとき、複数の仕切板25は、底板21の上面に対して垂直で、且つ、底板21の幅方向において等間隔で配置される。
【0030】
続いて、
図5及び
図8に示すように、側板22a,22bを、ヒンジ部23を回転中心として回転させて、起立させる。このとき、ヒンジ部23は、可撓性を有しているため、樹脂材を破損させることなく、側板22a,22bを底板21に対して垂直に折り曲げることができる。
【0031】
そして、天板24を側板22a,22bの各上端に取り付ける。これにより、起立した側板22a,22bの上端は、天板24の下面に固定される。よって、測定管11の組み立ては完了し、その組み立てられた測定管11の内部には、流路31及び複数の分割流路部31aが形成される。
【0032】
その後、
図1から
図4に示すように、センサ部12を測定管11の上部に取り付けることにより、流量測定装置1が完成する。
【0033】
以上より、実施の形態1に係る流量測定装置1は、流路31を仕切板25によって複数に分割して、当該流路31を流れる流体の流量を測定するものであって、流路31の底面を構成する上面に複数の仕切板25が配置される底板21と、流路31の側面を形成する側板22a,22bと、底板21の板厚及び側板22a,22bの板厚よりも薄い板厚を有して、側板22a,22bを底板21に対して垂直に起立させるように回転可能に支持するヒンジ部23とを備えている。
【0034】
これにより、流量測定装置1は、流路31を有する測定管11を樹脂で形成した場合であっても、側板22a,22bに成形用金型の抜き勾配を付す必要がないため、各分割流路部31aの流路断面積を一定にすることができる。この結果、流量測定装置1は、流路31を多層にした構成で、その流路31を流れる流体の流量を高精度に測定することができる。
【0035】
なお、本願発明は、その発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 流量測定装置
11 測定管
12 センサ部
20 板状成形体
21 底板
22a,22b 側板
23 ヒンジ部
24 天板
25 仕切板
31 流路
31a 分割流路部
32 流路入口
33 流路出口