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特許7021843ウッドチップを乾燥するための方法及び装置
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  • 特許-ウッドチップを乾燥するための方法及び装置 図1
  • 特許-ウッドチップを乾燥するための方法及び装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ウッドチップを乾燥するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/06 20060101AFI20220209BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20220209BHJP
   C10J 3/02 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
F26B3/06
F26B23/00 A
C10J3/02 G
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016159884
(22)【出願日】2016-08-17
(65)【公開番号】P2017090032
(43)【公開日】2017-05-25
【審査請求日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】A546/2015
(32)【優先日】2015-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】319010608
【氏名又は名称】グロック・エーコエネルギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】グロック・ガストン
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-006380(JP,A)
【文献】特開2004-263572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0265734(US,A1)
【文献】米国特許第06138381(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/06
F26B 23/00
C10J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス生成リアクター(6)の原料として使用されるウッドチップであり、その生成ガスが、少なくとも部分的にモジュラー式熱併給発電機(BHKW)中で使用される、該ウッドチップを乾燥させる方法であって、該BHKWの熱放出によって加熱される、該BHKWを収容する建造物又はハウジングからの空気が、乾燥バンカー(3)中で該ウッドチップを加熱して乾燥させ、及び、該ウッドチップが、第一の気密なエアロック(2)を介して該乾燥バンカー(3)に、そして、第二の気密なエアロック(4)を介して該乾燥バンカー(3)から導入されることを特徴とする、上記の方法。
【請求項2】
前記加熱された空気が、下方の領域で乾燥バンカー(3)に供給され、そして冷却された湿性空気が、上方の領域で該乾燥バンカーから放出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱された空気が、該ウッドチップに対して対向流で動くことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ウッドチップの貯蔵器及びリアクター(6)及び、個々の構成部材を接続し、個々の媒体のためのコンベアを備え、建造物又はハウジング内に配置されたBHKWを備えた、請求項1に記載の方法を遂行するための装置であって、前記貯蔵器とリアクター(6)との間に乾燥バンカー(3)が設けられ、該バンカーは、ウッドチップのために、インレット及びアウトレットのそれぞれが気密性のエアロックを備えており、及び、BHKWの建造物又はハウジングから該乾燥バンカーに至る、BHKWの熱放出によって加熱される空気のための加熱空気ラインが設けられ、そして、該乾燥バンカーが、冷却され、加湿された空気のための少なくとも一つのアウトレットを有することを特徴とする、上記の装置。
【請求項5】
前記乾燥バンカー(3)において、前記ウッドチップのためのインレット及び前記冷却され、加湿された空気のためのアウトレットが、該装置の上方の領域に配置され、そして、前記ウッドチップのためのアウトレット及び前記加熱された空気のためのインレットが、該装置の下方の領域に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記乾燥バンカー(3)が、前記リアクター(6)のすぐ隣に配置されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記乾燥バンカー(3)が、前記リアクター(6)の上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記乾燥バンカー(3)がそのエアロック(4)により、前記リアクター(6)の頭部に積載されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本出願人の未だ公開されていない欧州特許第15158828.8号明細書(特許文献1)に開示され、コージェネレーションシステムと組み合わせて運転されるようなガス発生装置(リアクター)の原料としてのウッドチップを乾燥させる、請求項1及び請求項4に記載の方法及び装置に関する。そのような木質ガス化リアクターに供給されるウッドチップは、重量%で計算したウッドチップの乾燥重量に対して、最大15%の湿度を有するものであるべきである。
【0002】
”生の”ウッドチップは、通常、35~50重量%の湿度を有するため、従来技術では、大抵の場合、ウッドチップの別の使用のエネルギー流(外部エネルギー)とは独立したエネルギーを要する特別な乾燥機において乾燥土壌の上で乾燥され、そして、それから、一つ又は二つ以上のバンカー中で中間貯蔵される。その貯蔵過程により、周囲環境の空気からウッドチップは再び湿気を取り込むため、その乾燥程度を考慮しなければならない。乾燥機及びバンカーは、スペース、それに伴う投資及び必要な保守を要する。
【0003】
リアクター中に発生した多量の熱にも拘わらず、リアクターへ導入する際、又は導入した後のウッドチップの乾燥は不可欠である。というのも、リアクター温度に達するのに必要な気化熱により、Boudouardschen平衡に準拠して合成ガスを生成するのに必要な温度にもはや到達しないからである。
【0004】
様々な装置において、出発原料の乾燥の一部に熱伝達を用いた文献として、米国特許出願第2013/257 059号明細書(kompakte Anlage zur Vergasung von Biomassen zur Stromgewinnung(特許文献1))、ドイツ国特許第43 08 522号明細書(Lufterhitzung zur indirekten Lufterwaermung fuer Trocknungsanlagen(特許文献2))、国際公開第03/042 520号パンフレット(Trocknung mit der Restwaerme von Abgasen(特許文献3))、欧州特許第2 341 229号明細書(Nutzung von Turbinenabgas zur Brennstofftrocknung(特許文献4))、欧州特許第2 902 738号明細書(同様(特許文献5))及びドイツ国特許第0 2014 009351号明細書(Nutzung von Abwaerme in Form von deren Strahlungsenergie(特許文献6))を挙げることができる。これらの装置及び方法の全ては複雑な装置を必要とし、そして、それぞれのリアクタープロセスに影響し、これは、常に、頻繁に制御不能な副次的影響を伴う複雑な推論に導く。さらに、最終的に有毒で有害な排ガスの取り扱い及び操作は、常に、疑わしいものであり、そして、そのような二次的な利用時に、規定の、そして、常に努力を要するその後の精製が複雑かつ煩雑なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第2013/257 059号明細書
【文献】ドイツ国特許第43 08 522号明細書
【文献】国際公開第03/042 520号パンフレット
【文献】欧州特許第2 341 229号明細書
【文献】欧州特許第2 902 738号明細書
【文献】ドイツ国特許第0 2014 009351号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡単で安価な方法手順、及びそれに対応する費用対効果の高い、ロバストで、プラント技術的な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これは、特許請求の範囲の独立請求項の特徴部分に記載の特徴を備えた方法又は装置によって達成される。言い換えると、該方法は次から構成される:可能な限りリアクターの直接上流にあるバンカーにおいて、このバンカー中に、リアクターに供給された量分が上から下へ単位時間あたりに応じて移動し、下方の領域では、ブロック加熱機器からの排気が供給され、そして、これは、対向流で、該バンカーを介して上方に向かって誘導される。補充するために、特に、開始するために、外部のエネルギーを用いた熱交換によって加熱された空気を吹き込むことを企図することができる。対応するプラント技術的な教示が、本発明により提供され、本発明の方法手順が進行されるバンカーは、可能な限りリアクターの直前に設けられ、プラント技術的な観点から好ましくはバンカーの上の方において、そして、ブロック加熱機器の排気が、適当な制御デバイスによって少なくとも部分的に制御され、バンカーの下方の領域に適した量で導かれ、そして、その上方の領域で取り出される。好ましくは、原料流は、可能な限り気密なエアロック、好ましくは、ロータリーバルブ等を介して、バンカーに供給されるか、又はそこから取り出される。
【0008】
それ故、(少なくとも主として)使用されるエネルギーは、エンジンブロックの熱及び放出損失に由来し、それらが収容されるそのハウジング及び構造物中で得られるため、事実上”無料”である。本発明の方法手順によって、乾燥したウッドチップはもはや周囲空気と接触することがないため、湿度を取り込むことはない。費用のかかる乾燥土壌及び中間バンカーは完全に排除される。
【0009】
以下に、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のフロー図を非常に概略的に示す図である。
図2図2は、個々の構成要素の概略的な配置を示す図である。
【0011】
図1からわかるように、例えば、ロータリーバルブのような気密なロック2に、供給ライン1を介して、ぼた山からタンク又はバンカー等にガス化すべき原料、木材が細断された形態で到達する。そこから、原料は乾燥バンカー3中へ落下又は滑落し、その下端部で、気密なロック4を介して再び取り出され、場合によっては、そして中間ライン5を介して、実際のリアクター6に到達する。
【0012】
リアクター6は、従来技術から様々な実施形態で知られていることから、冗長さを避けるために、この時点では詳細に説明しない。そのリアクター6から少なくとも一つの生成ガスライン7が導出されており(図面では、全く概略的に、底部から出ているが、多くの場合、存在する領域よりもさらに上から出る)、それにより該生成ガスは、さらなる使用のために輸送されることだけが把握されるべきである。この使用は、ここでは少なくとも一つのモジュラー式熱併給発電機(BHKW)を含む。
【0013】
経験により、BHKW、及び、-しばしばそれと同一視されるもの-が収容される構造物中では、その熱放出によって、周囲におけるよりも、又は静止しているBHKWにおけるよりも明らかに高い温度が優勢を占める。本発明によれば、加熱空気が蓄積されているBHKWから、好ましくはその頂部領域又はカバー領域から、調節可能な加熱空気ライン8が乾燥バンカー3の下方領域中へ誘導され、そして、そこでその内部の一つ、好ましくは又は二つ以上のノズル状の開口部中に流れ込む。BHKW-構造物における熱放出によって加熱された、この供給された加熱空気が、この場合、供給される原料を乾燥するのに利用され、そして、これは、対向流で加熱もされ、該加熱空気は今や湿気を帯び、乾燥バンカー3の上方領域において、一つ、好ましくは又は二つ以上の取り出し開口部、次いで、環状ライン等、そして排気ライン9を介して排出される。この冷却されそして、湿気を帯びた空気は無害であり、場合によってはろ過後に環境中に排出される。
【0014】
この種類の乾燥によって、リアクター6中で容易かつ恒久的に、運転状態を保てることが達成され、これは木材ガス化に特に好ましくかつ有利である。乾燥が行われる乾燥バンカー3及びリアクター6は、空間的に可能な限り互いに間隔を詰めて配置され、その結果、リアクターへ送り込まれる物品、つまり、すでに入手された原料、ウッドチップだけでなく、加熱の形態の熱エネルギーもまた、予備加熱と同等にリアクターへフィードバックされるという点で特に有利であることが見出されている。非常に概略的な図1に関して、これは、中間ライン5の代わりに、ロック4が直接リアクター6の頭部に存在していることを意味する。したがって、Boudouardschen平衡エネルギー好都合な面を達成するのに必要なエネルギーが、特に有利な方法で達成される。
【0015】
すでに述べたように、さらに、空間的に近接している場合には、加熱及び乾燥が、常に、原材料がリアクター(コンバーター)中へ送り込まれた、出来るだけ直後にだけ、少なくとも本質的に、外部エネルギーの使用も可能であることも保証されることも見出された。というのも、乾燥に使用されるエネルギーを最大限リアクターに再び導入することによって、これが最も重要な役割を果たしているためであり、それ故、熱損失を低く抑えることができる。木質のガス化の開始及び運転状況に対して、好ましい企画は、追加的な外部エネルギー熱だけが利用できる。その際、空気(周囲環境空気、構造物からの排気等)は、外部エネルギーにより熱交換器で、好ましくは、乾燥バンカーを介した送風により、BHKWの代わりに、又はそれに追加して、下から上へと加熱される。この形態又は開始支援は図1に示されていない。
【0016】
図2は、一方で、上述の外部加熱10、そして他方で、これまでの変形として、BHKWから、外部で加熱された、又は組合せの加熱された空気が、本質的に水平に、そしてそれ故、横方向の流れで乾燥バンカー3を通って吹き込まれる。ロック2、4はスライダー又は回転スライダーであり、そのインレットノズル又はアウトレット開口部の形成は、本発明の知見の当業者によって容易に実施される。そのような配置は、様々な設置状況において、利用可能な常設スペースを利用することができ、熱及び方法技術的な違いは、本発明の専門的な知識で判断することが容易であると考慮さる。
【0017】
そのようなプロセス手順、乾燥バンカーの可能な限り良好な熱絶縁及び可能な限りリアクターに近くを除く、可能な限り暖かい場所での格納庫の配置は、上述実施形態に従うことにより、当業者にとってこれ以上驚くべきことではない。
【0018】
また、本明細書及び特許請求の範囲において使用される、材料に関する”大部分”という語は、50重量%超、好ましくは80重量%超、特に好ましくは95重量%超を意味し、そして、リアクター、フィルター、構造物又は装置、又は、より一般的には対象物の”下方の領域”は、全体の高さの下半分、特に下の4分の1を意味し、”最下部領域”という語は、下から4分の1、特には、もっと小さい部分を意味し、そして、”中心領域”という語は、全体の高さの中央の3分の1を意味する。これらの指標の全ては、”上”、”下”、”前”、”後ろ”等も同様に、それらが一般的に有する意味であり、その意図した位置で観察された対象物に適用される。
【0019】
”本質的に”という語は、本明細及び特許請求の範囲において、物理的に可能な場合に、所与の値から10%の逸脱であること、そして、それが下向きと上向きの両方があり、そうでない場合にのみ意味のある方向で区切られ、それ故、程度の指標(角度及び温度)は、±10である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.ガス生成リアクター(6)の原料として使用されるウッドチップであり、その生成ガスが、少なくとも部分的にコジェネレーター(BHKW)中で使用される、該ウッドチップを乾燥させる方法であって、該BHKWの熱放出によって加熱される、該BHKWの建造物又はハウジングからの空気が、乾燥バンカー(3)中で該ウッドチップを加熱して乾燥させ、及び、該ウッドチップが、第一の気密なエアロック(2)を介して該乾燥バンカー(3)に、そして、第二の気密なエアロック(4)を介して該乾燥バンカー(3)から導入されることを特徴とする、上記の方法。
2.前記加熱された空気が、下方の領域で乾燥バンカー(3)に供給され、そして冷却された湿性空気が、上方の領域で該乾燥バンカーから放出されることを特徴とする、上記1に記載の方法。
3.前記加熱された空気が、該ウッドチップに対して対向流で動くことを特徴とする、上記1に記載の方法。
4.ウッドチップの貯蔵器及びリアクター(6)及び、個々の構成部材を接続し、個々の媒体のためのコンベアを備え、建造物又はハウジング内に配置されたBHKWを備えた、上記1に記載の方法を遂行するための装置であって、前記貯蔵器とリアクター(6)との間に乾燥バンカー(3)が設けられ、該バンカーは、ウッドチップのために、インレット及びアウトレットのそれぞれが気密性のエアロックを備えており、及び、BHKWの建造物又はハウジングから該乾燥バンカーに至る加熱空気ラインが設けられ、そして、該乾燥バンカーが、冷却され、加湿された空気のための少なくとも一つのアウトレットを有することを特徴とする、上記の装置。
5.前記乾燥バンカー(3)において、前記ウッドチップのためのインレット及び前記冷却され、加湿された空気のためのアウトレットが、該装置の上方の領域に配置され、そして、前記ウッドチップのためのアウトレット及び前記加熱された空気のためのインレットが、該装置の下方の領域に配置されることを特徴とする、上記4に記載の装置。
6.前記乾燥バンカー(3)が、前記リアクター(6)のすぐ隣に配置されることを特徴とする、上記4又は5に記載の装置。
7.前記乾燥バンカー(3)が、前記リアクター(6)の上に配置されることを特徴とする、上記6に記載の装置。
8.前記乾燥バンカー(3)がそのエアロック(4)により、前記リアクター(6)の頭部に積載されていることを特徴とする、上記7に記載の装置。
【符号の説明】
【0020】
01 供給ライン
02 気密なエアロック
03 乾燥バンカー
04 気密なエアロック
05 中間ライン
06 リアクター
07 生成物ライン
08 加熱空気ライン
09 排気ライン
10 外部加熱
BHKW モジュラー式熱併給発電機
図1
図2