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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】オゾン処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20220209BHJP
   C01B 13/10 20060101ALI20220209BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
A61L2/20 100
C01B13/10 Z
A61L101:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017140227
(22)【出願日】2017-07-19
(65)【公開番号】P2019017808
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠太
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和泉
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】早川 壮則
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-253180(JP,A)
【文献】特開2006-051137(JP,A)
【文献】特開平11-114037(JP,A)
【文献】特開2017-043513(JP,A)
【文献】特表2002-512086(JP,A)
【文献】特開2017-086257(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084485(WO,A1)
【文献】特開2017-068944(JP,A)
【文献】特開2004-057785(JP,A)
【文献】特開2002-221389(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155046(JP,U)
【文献】特開2012-038620(JP,A)
【文献】特開2016-139462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/20
C01B 13/10
A61L 101/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン生成部と、
前記オゾン生成部を囲む外部筐体と、
前記外部筐体の内部空間のうち前記オゾン生成部よりも下方に位置し、材質の異なる複数の部材で構成されている物品を前記オゾン生成部で生成したオゾンにより処理するオゾン処理部と、
前記外部筐体の前面部に設けられて、前記オゾン処理部への前記物品の搬入と搬出とを行う搬入搬出口を開閉可能であり、閉じることによって前記オゾン処理部を含む前記外部筐体の内部空間全体を、外気との連通を遮断された密閉状態にさせる扉と
を備えたオゾン処理装置において、
前記オゾン生成部は、筐体と、前記筐体内の流路上に位置するオゾン発生手段とを備え、
前記オゾン発生手段は、前記オゾン生成部と前記オゾン処理部とを循環する空気に紫外線を放射することにより前記オゾンを生成するエキシマランプを有し、
前記筐体は、前記外部筐体の前記前面部に向けて開口して空気が流入する流入口と前記外部筐体の背面部に向けて開口して空気が流出する流出口の間に流路が形成され、且つ前記流入口と前記流出口以外の箇所が密閉されており、前記エキシマランプから放射された紫外線を前記オゾン処理部に対して遮蔽することを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項2】
前記エキシマランプは、前記筐体の両端に形成された前記流入口と前記流出口の間で空気の進行方向に軸方向が向くように配置され、
前記流入口または前記流出口は、前記外部筐体の内部空間に隣接する位置であって、前記エキシマランプから波長172nmの紫外線を含む光が前記外部筐体の前記前面部と前記背面部に向けて通過可能な位置で開口していることを特徴とする請求項1に記載のオゾン処理装置。
【請求項3】
前記物品は、人の移動や搬送に用いる移乗用介護用品であって、水分が付着した状態で、前記エキシマランプを用いて窒素酸化物を発生させずに生成されたオゾンによる処理を受けることを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成したオゾンによって脱臭や殺菌などの処理を行うオゾン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療や介護の分野で使用される車椅子や歩行器などの移乗用介護用品は、複数の使用者に共用される場合が多いため、メンテナンスとして定期的に脱臭や殺菌が行われる。脱臭や除菌を行う手段として、スチーマーによって生成される高温の蒸気を用いるもの(特許文献1)、熱水を用いるもの(特許文献2)、噴射ノズルから噴射される洗浄液などの液体を用いるもの(特許文献3)などが知られている。
【0003】
例えば車椅子は、フレームや車軸を構成する金属、タイヤや取手を構成するゴム、座面や背もたれを構成するクッション材(ウレタンフォームなど)やカバー材(合成皮革や繊維など)、各部に用いられる合成樹脂、潤滑用の油、などの複数の材質からなる複雑な構造を有している。歩行器は、座面を有さないことなどにおいて車椅子と相違するが、性質の異なる多様な部材で構成されているという点では車椅子と共通している。また、移乗用介護用品以外でも、物品の搬送に用いる台車等は、性質の異なる多様な部材で構成される。以下、車椅子や歩行器やストレッチャーのように人の移動や搬送に用いる移乗用介護用品と、台車のように物品の搬送に用いる車体とを含めて、搬送用車体と呼ぶ。搬送用車体に対して脱臭や除菌を行う場合、上述した高温蒸気や熱水や液体の噴射のような手段では、十分な効果を得ることが難しい、処理に長時間を要してしまう、という問題があった。
【0004】
近年では、オゾンによる高い酸化作用に着目して、被処理物にオゾンを接触させて殺菌や脱臭を行う処理装置が実用化されている。この種のオゾン処理装置は、オゾン生成手段によって生成したオゾンを流体(気体や液体)に含有させ、当該流体を被処理物に接触させて処理を行う。オゾンは、高温蒸気、熱水、洗浄液などに比して、短時間で優れた殺菌・脱臭効果を得やすい。
【0005】
特許文献4には、無声放電法によりオゾンを生成するオゾン発生器を備え、生成したオゾンによって収納ボックス内の生活用品を殺菌、脱臭する装置が提案されている。しかし、無声放電によるオゾンの生成は、副次的に窒素酸化物を発生させるという問題がある。窒素酸化物(特に二酸化窒素や五酸化二窒素)は水分と反応すると強い腐食性を生じることから、無声放電を用いて生成したオゾンによって車椅子を処理すると、クッション部材などに付着した汗などと窒素酸化物が反応し、車椅子の金属部材(例えばフレームや車軸)の劣化や、車椅子のゴム部材(例えばタイヤ)の劣化(変色)等の不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
オゾン処理装置の異なる例として、特許文献5には、低圧水銀ランプを用いてオゾンを生成する技術が記載されている。しかし、医療施設や福祉施設で使用される装置には、水銀を含む低圧水銀ランプは安全基準において不適合となる場合が多く、車椅子や歩行器に対する処理装置への使用に適さない。
【0007】
また、低圧水銀ランプが放射する紫外線には、オゾンの生成に寄与する波長(185nm)の紫外線に加えて、オゾンの分解に作用する波長(254nm)の紫外線が含まれることから、オゾン生成効率が低いという問題がある。加えて、水銀ランプは始動性が悪く、処理に有効な量のオゾンを生じさせるために要する時間及び消費電力が多くなってしまう。そのため、オゾンの生成に低圧水銀ランプを用いると、装置の小型化や消費電力の削減が困難であった。
【0008】
さらに、処理装置内を循環する流体には、処理の対象となる臭気物質や汚染物質とオゾンとが反応した結果生じた副生成物が混入している。低圧水銀ランプの放射する紫外線には、例えば波長254nmのような、オゾン生成に寄与する紫外線より減衰率の低い紫外線が含まれており、この紫外線が広範囲にわたって副生成物に照射されることで、さらに多様な副生成物が発生し、ランプや装置が劣化や故障するなどの不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-81649号公報
【文献】特開2007-307073号公報
【文献】特開平11-244334号公報
【文献】特開2002-345937号公報
【文献】特開2003-88570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、オゾンの生成効率に優れ、搬送用車体のような材質の異なる複数の部材で構成される物品に対してダメージを抑制しながら優れた処理効果を得ることができるオゾン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オゾン生成部と、オゾン生成部を囲む外部筐体と、外部筐体の内部空間のうちオゾン生成部よりも下方に位置し、材質の異なる複数の部材で構成されている物品をオゾン生成部で生成したオゾンにより処理するオゾン処理部と、外部筐体の前面部に設けられて、オゾン処理部への物品の搬入と搬出とを行う搬入搬出口を開閉可能であり、閉じることによってオゾン処理部を含む外部筐体の内部空間全体を、外気との連通を遮断された密閉状態にさせる扉とを備えたオゾン処理装置において、オゾン生成部は、筐体と筐体内の流路上に位置するオゾン発生手段とを備えており、オゾン発生手段は、オゾン生成部とオゾン処理部とを循環する空気に紫外線を放射することによりオゾンを生成するエキシマランプを有し、筐体は、外部筐体の前面部に向けて開口して空気が流入する流入口と外部筐体の背面部に向けて開口して空気が流出する流出口の間に流路が形成され、且つ流入口と流出口以外の箇所が密閉されており、エキシマランプから放射された紫外線をオゾン処理部に対して遮蔽することを特徴とする。
【0012】
オゾン発生手段を構成するエキシマランプは、筐体の両端に形成された流入口と流出口の間で空気の進行方向に軸方向が向くように配置され、筐体の流入口または流出口は、外部筐体の内部空間に隣接する位置であって、エキシマランプから少なくとも波長172nmの紫外線を含む光が外部筐体の前面部と背面部に向けて通過可能な位置で開口していることが好ましい。
【0020】
ゾン処理部で処理される物品が、人の移動や搬送に用いる移乗用介護用品であって、水分が付着した状態で、エキシマランプを用いて窒素酸化物を発生させずに生成されたオゾンによる処理を受けることが好ましい
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明のオゾン処理装置は、オゾンの生成を行うオゾン発生手段がエキシマランプを有している。エキシマランプは、搬送用車体のような材質の異なる複数の部材で構成された物品の劣化の原因となる窒素酸化物などを生じさせずに高効率でオゾンを生成可能であり、簡単かつ小型な構成で優れた処理効果を有するオゾン処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態のオゾン処理装置の全体構成を示す断面図である。
図2】オゾン処理装置を構成するオゾン生成ユニットの内部構造を示す断面図である。
図3】オゾン生成ユニットの異なる実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すオゾン処理装置10は、オゾン処理室11(オゾン処理部、オゾン処理空間)を囲む外部筐体12を備えている。外部筐体12は概ね長方体であり、図1の断面に表れている底面部12a、上面部12b、前面部12c及び背面部12dと、図1には表れていない一対の側面部(図1の紙面よりも手前側と紙面よりも奥側に位置する)とを有する。
【0024】
オゾン処理室11は、オゾン処理装置10による処理対象(被処理物)である搬送用車体16を設置して、搬送用車体16に対してオゾンによる処理を行う部位(空間)である。図1に示すように、外部筐体12の内部空間のうち、底面部12a及び前面部12cに隣接する所定の領域をオゾン処理室11として設定している。なお、オゾン処理室11の位置は、図1に示す位置に限らず外部筐体12内で任意に選択可能であるが、少なくとも、後述するオゾン生成ユニット20(オゾン生成部)よりも下方(上下方向で底面部12aに近い側)に位置するという条件を満たすものとする。
【0025】
外部筐体12内に隔壁などを設けて物理的に仕切られた空間としてオゾン処理室11を形成することも可能である。この場合、オゾン処理室11とオゾン生成ユニット20との間の流体の循環(詳細は後述する)を確保できるように、オゾン処理室11を隔壁などで完全には遮蔽せず、必要な流路を予め設けておく。例えば、オゾン処理室11を囲む隔壁の少なくとも一部をメッシュ構造にする形態などが可能である。
【0026】
外部筐体12の前面部12cに搬入搬出口13が形成されている。搬入搬出口13は前面部12cを貫通しており、搬入搬出口13を通して、オゾン処理室11への搬送用車体16の搬入と、オゾン処理室11からの搬送用車体16の搬出とを行うことができる。本実施形態では、搬入搬出口13を通して搬入されてオゾン処理室11内でオゾンによる処理を受ける搬送用車体16として、車椅子(移乗用介護用品)を適用しており、以下では搬送用車体16を車椅子16と呼び変えて説明する。
【0027】
外部筐体12の前面部12cには、搬入搬出口13を開閉可能な扉14が設けられている。外部筐体12は、搬入搬出口13以外の全体が密閉された構造を有しており、扉14を閉じると搬入搬出口13も密閉状態で塞がれる。すなわち、扉14を閉じると、オゾン処理室11を含む外部筐体12の内部空間全体が、外気との連通を遮断された密閉状態になる。
【0028】
オゾン処理装置10の外面には外部から操作可能な操作部15が設けられており、操作部15を介してオゾン処理装置10に関する各種操作を行うことができる。例えば、操作部15の操作によって、後述するオゾン生成ユニット20の動作開始や動作停止を実行可能である。また、扉14を電動開閉式にして、その開閉動作を操作部15の操作によって行わせることも可能である。なお、図1では外部筐体12の前面部12cの上部に操作部15を設けているが、これ以外の位置に操作部15を配してもよい。
【0029】
外部筐体12内にオゾン生成ユニット20が設けられる。オゾン生成ユニット20は、外部筐体12内においてオゾン処理室11よりも上方(上下方向で上面部12bに近い側)に配置されている。オゾン処理装置10の使用時には、外部筐体12内において図1に矢印S1,S2で示す流体(空気)の循環が生じる。外部筐体12内の流体がオゾン生成ユニット20に取り込まれ(矢印S1)、オゾン生成ユニット20は取り込まれた流体にオゾンを含有させて外部筐体12内に排出する(矢印S2)。オゾン生成ユニット20から排出されたオゾンを含む流体が、オゾン生成ユニット20とオゾン処理室11とを空間的に接続する外部筐体12の内部空間を流れて、オゾン処理室11に配した搬送用車体である車椅子16に接触することで、車椅子16に対するオゾンによる処理(すなわち脱臭や殺菌)が行われる。
【0030】
図2を参照してオゾン生成ユニット20の詳細を説明する。オゾン生成ユニット20は、筐体21に形成した流入口22から流体を取り込み、筐体21内で流体にオゾンを含有させて流出口23から筐体21外に排出するという基本構造を有する。筐体21内には、ファン35、電源36(オゾン発生手段)、始動補助光源37及びエキシマランプ40(オゾン発生手段)が配設される。
【0031】
筐体21は概ね長方体であり、図2の断面に表れている底面部24、上面部25、端面部26及び端面部27と、図2には表れていない一対の側面部(図2の紙面よりも手前側と紙面よりも奥側に位置する)とを有する。底面部24と上面部25の長手方向の端部を端面部26と端面部27が接続しており、底面部24と上面部25は略平行で、端面部26と端面部27は略平行である。端面部26に流入口22が形成され、端面部27に流出口23が形成されている。筐体21は、流入口22と流出口23以外の箇所が密閉された構造になっている。
【0032】
オゾン生成ユニット20は、例えば底面部24及び上面部25が底面部12a及び上面部12bと略平行となり、端面部26及び端面部27が前面部12c及び背面部12dと略平行となる向きで、外部筐体12内に設置され、流入口22を有する端面部26が外部筐体12の前面部12c側を向き、流出口23を有する端面部27が外部筐体12の背面部12d側を向く。なお、これ以外の向きにオゾン生成ユニット20を設置してもよい。
【0033】
底面部24と上面部25を結ぶ方向(図2の上下方向)を筐体21の幅方向とする。筐体21の幅方向において、流入口22と流出口23はそれぞれ対応する端面部26と端面部27の略中央に位置している。筐体21内には隔壁28が設けられている。隔壁28は、筐体21の幅方向で底面部24と上面部25の間に位置しており、底面部24及び上面部25と略平行に延設されている。上面部25と隔壁28の間の空間としてランプ収納室29が形成され、底面部24と隔壁28の間の空間として電源収納室30が形成される。筐体21内には、流入口22とランプ収納室29及び電源収納室30との間を空間的に接続する流入室31と、流出口23とランプ収納室29及び電源収納室30との間を空間的に接続する流出室32が形成される。
【0034】
ファン35は、流入口22に隣接する位置で流入室31内に配設されており、中心軸35x(図2に一点鎖線で示す)を中心として回転する。ファン35を所定の方向に回転させると、図2に白抜きの太矢印で示す流体の流れが生じる。まず筐体21の外部(図1に示す外部筐体12の内部空間)から流入口22を通して流入室31内に流体が流入し、流入した流体は隔壁28の両側に分流されてランプ収納室29と電源収納室30を通り、流出室32で合流して流出口23を通って筐体21の外(図1に示す外部筐体12の内部空間)に排出される。つまり、流入口22側を上流、流出口23側を下流として、筐体21内に流体が流通可能な流路が形成され、隔壁28が設けられた範囲で流路が筐体21の幅方向に分割されている。
【0035】
隔壁28は、筐体21の幅方向において中心軸35xよりも底面部24寄りの位置に配設されている。また、筐体21の幅方向において、流入口22の中心と流出口23の中心はそれぞれ、ファン35の中心軸35xと略一致する位置にある。すなわち、流入口22の中心、流出口23の中心、ファン35の中心軸35xはいずれも、筐体21の幅方向においてランプ収納室29寄りに配置されている。そのため、ファン35が回転すると、流入室31から下流に進む流体は、ランプ収納室29と電源収納室30のうちランプ収納室29側へ支配的に流れる。
【0036】
オゾン生成ユニット20は、オゾン発生手段としてエキシマランプ40と電源36を有している。エキシマランプ40がランプ収納室29内に配設され、電源36が電源収納室30内に配設されている。また、隔壁28に始動補助光源37が支持されている。電源36は、ファン35、始動補助光源37及びエキシマランプ40への電力供給を行うものであり、図面では省略しているが、電源36からファン35、始動補助光源37及びエキシマランプ40のそれぞれに対して電力供給ラインが配設されている。
【0037】
エキシマランプ40は、円筒状の外側管41の内部に内側管42が同心状に配された二重管構造の放電容器を有し、外側管41及び内側管42の長手方向(軸方向)がランプ収納室29内での流体の進行方向に向くように配置されている。外側管41と内側管42はいずれも、紫外線を透過可能な誘電体である石英ガラスなどで構成されている。外側管41の長手方向の両端は密閉状態で塞がれており、外側管41の内周面と内側管42の外周面との間に密閉された放電空間43が形成されている。放電空間43内には放電用ガスが所定の圧力で充填される。
【0038】
エキシマランプ40はさらに、外側管41の外側に設けた外部電極44と、内側管42の内部に設けた内部電極45とを有している。外部電極44と内部電極45はいずれも導電性を有する金属で形成されている。外部電極44は、外側管41の外周面の少なくとも一部を露出させる(覆わない)形状を有しており、この外側管41の外周面の露出部分が、エキシマランプ40から周囲へ紫外線(紫外光)を放射させる照射面となる。具体的には、外部電極44の形状として、周方向の一部が開放された不完全な筒形状、網状構造の管形状、巻回軸方向に隙間を空けて巻回される螺旋管形状、などを選択することができる。内部電極45は内側管42の内部に挿入される棒状の形状を有している。内部電極45の形状は棒状に限られるものではなく、箔状や、内側管42の内周面に沿う円筒形状などにすることも可能である。
【0039】
以上のように構成されたエキシマランプ40は、電源36によって外部電極44と内部電極45に高周波電圧が印加されると、誘電体である外側管41と内側管42を介在させて外部電極44と内部電極45の間で放電(誘電体バリア放電)が生じ、放電空間43内に充填された放電用ガスの原子が励起されてエキシマ状態になる。エキシマ状態から基底状態(元の状態)に遷移するときに、エキシマ光が生じる。この発光スペクトルは放電空間43内の放電用ガスに応じたものとなる。例えば、本実施形態のエキシマランプ40では、放電空間43内に充填する放電用ガスがキセノンガスであり、波長172nmの紫外光が発生する。そして、エキシマランプ40で生じた紫外光が外側管41の外周側の照射面から放射され、紫外線照射を受けた周囲の酸素(ランプ収納室29内を通る空気(流体)に含まれる酸素)からオゾンが生成される。
【0040】
図2に示すように、エキシマランプ40はランプ収納室29の長手方向(ランプ収納室29内での流体の進行方向)に長い形状である。そのため、ランプ収納室29内を流体が通る際に、流体の進行方向の大部分の範囲で流体がエキシマランプ40からの紫外線照射を受ける。そのため、ランプ収納室29内で効率的にオゾンを生成させることができる。
【0041】
エキシマランプ40の周囲は筐体21を構成する壁部(底面部24、上面部25、端面部26、端面部27、隔壁28、図に表れていない筐体21の一対の側壁部)によって囲まれており、エキシマランプ40が発した紫外線は、これらの壁部に遮られてオゾン生成ユニット20の外部には照射されない。つまり、エキシマランプ40から発せられる紫外線は、オゾン生成ユニット20内でのオゾン生成にのみ使用され、オゾン生成ユニット20の外側には影響を及ぼさない。なお、端面部26,27には流入口22と流出口23が形成されているが、エキシマランプ40からの紫外線は主に外側管41の外周面からの放射方向に発せられるため、流入口22と流出口23に向けて進行する紫外線はごく僅かである。さらに、流入口22と流出口23はそれぞれ、外部筐体12の側面部(例えば前面部12cと背面部12d)に向けて開口しているため、仮にエキシマランプ40で発した紫外線が流入口22や流出口23を通過しても、オゾン生成ユニット20の下方に位置するオゾン処理室11へ到達するおそれは少ない。
【0042】
また、ランプ収納室29と電源収納室30の間に設けた隔壁28によって、エキシマランプ40が放射する紫外線は電源収納室30への進行が遮断されるため、電源収納室30内の電源36は紫外線から保護される。
【0043】
始動補助光源37は、電源36からの給電によって所定の波長の紫外光を照射する光源であり、ランプ収納室29側に向く照射面を有している。始動補助光源37からエキシマランプ40内に封入された放電用ガスに向けて紫外光を照射することによって、エキシマランプ40の始動性を向上させ、エキシマランプ40の始動に要する印加電圧を低減することができる。なお、本実施形態では隔壁28に始動補助光源37を取り付けているが、エキシマランプ40に向けて紫外光照射が可能という条件を満たしていれば、始動補助光源37の配置を異ならせることもできる。例えば、上面部25側に始動補助光源37を支持させることも可能である。
【0044】
オゾン生成ユニット20はさらに、オゾンを除去する能力を有するオゾン除去手段46を備えている。オゾンの除去とは、分解や吸着のように流体に含まれるオゾンを減らす機能全般を含む概念である。具体的には、オゾンを吸着分解する活性炭や触媒など、任意の手段をオゾン除去手段46として選択可能である。オゾン除去手段46は流入口22の入り口に設けられており、流入口22から流入室31内に流入する流体のオゾン濃度を低下させることができる。
【0045】
以上の構成を有するオゾン処理装置10は以下のように使用される。操作部15への入力に応じた電動動作や手動操作によって扉14を開け、開放された搬入搬出口13を通して、被処理物である車椅子16を外部筐体12内のオゾン処理室11に入れる。オゾン処理室11内の所定の位置に車椅子16を設置したら、扉14を閉じる。この段階で外部筐体12の内部は外気から遮断(密閉)される。
【0046】
続いて操作部15を操作して車椅子16に対するオゾン処理を開始させる。オゾン処理の開始信号が入力されるとオゾン生成ユニット20が起動する。オゾン生成ユニット20の起動処理では、始動補助光源37の点灯、エキシマランプ40の点灯(外部電極44と内部電極45の間での誘電体バリア放電)、ファン35の回転、などが行われる。始動補助光源37は、エキシマランプ40の点灯よりも所定時間前に点灯させることが好ましい。ファン35とエキシマランプ40については、同時に始動させてもよいし、いずれかを先に動作させて時間差を持たせて始動させてもよい。一例として、ファン35を回転させるよりも前にエキシマランプ40を点灯させることで、ランプ収納室29内の残存流体にオゾンを含ませておくことができるため、オゾン生成ユニット20の起動初期段階からオゾンが含有した流体を筐体21の外に排出できるという利点がある。
【0047】
図2に示すように、オゾン生成ユニット20のファン35が回転すると、筐体21の流入口22側に吸引力が作用して、外部筐体12内の流体(空気)が流入口22から筐体21内に流入する。流入口22から流入室31内に流入した流体は、隔壁28で隔てられたランプ収納室29と電源収納室30に分流する。流入室31からランプ収納室29と電源収納室30に入る段階の流体は、オゾン除去手段46によりオゾンの少なくとも一部が除去されてオゾン濃度が低くなっている。
【0048】
上述のように、筐体21の幅方向において隔壁28をファン35の中心軸35xよりも底面部24側(電源36寄り)に配置したことで、流入室31から下流に進む流体がエキシマランプ40を有するランプ収納室29側へ支配的に流れ、流体に効率よくオゾンを含有させることができる。一方、電源収納室30を通る流体は、オゾン除去手段46によりオゾンが除去された状態を維持しながら、電源収納室30内の電源36を冷却する。そして、ランプ収納室29内で高濃度のオゾンを含有させた流体と、電源収納室30を通過した流体とが、流出室32で合流して、流出口23から流出される。流入口22から流入室31に流れる流体よりも、流出室32から流出口23に流れる流体の方がオゾンの濃度が高くなっている。
【0049】
オゾンは空気よりも比重が大きい。そのため、オゾンを含有させてオゾン生成ユニット20から排出された流体は、比重の関係により、外部筐体12内の上方に配置したオゾン生成ユニット20から下方のオゾン処理室11へスムーズに供給される(図1の矢印S2)。そして、この流体に含まれるオゾンがオゾン処理室11の車椅子16に接触し、オゾンの酸化作用によって車椅子16の脱臭や殺菌が行われる。オゾンによる処理は、既存の蒸気や熱水による処理に比べて短時間で高い脱臭や殺菌の効果を得ることができる。また、オゾンによる処理は、複数の材質で構成された複雑な構造の車椅子16に対して、部品の劣化を生じさせずに細部まで確実に脱臭と殺菌を行うことができる。
【0050】
オゾン生成ユニット20では、オゾン発生手段にエキシマランプ40を用いている。エキシマランプ40を用いたオゾンの生成は、無声放電によるオゾン生成のように窒素酸化物を生じさせず、車椅子16に水分が付着している場合でも、窒素酸化物と水分の反応による腐食作用が生じるおそれがないという利点がある。また、エキシマランプ40は、低圧水銀ランプとは異なり水銀を含まないので、車椅子16のような医療用品や介護用品を処理対象としたオゾン処理装置10で用いるオゾン発生手段として好適である。
【0051】
また、エキシマランプ40は、単一波長(172nm)の紫外線を強く放射するという特性を有しており、低圧水銀ランプのようにオゾンを分解する波長(254nm)の紫外線を発しないため、オゾン生成効率に優れている。エキシマランプ40は、低圧水銀ランプに比して始動性にも優れている。さらに、エキシマランプ40で発するエキシマ光は自己吸収が無く発光効率が高い。従って、オゾン発生手段にエキシマランプ40を用いることで、オゾン生成ユニット20の小型化や消費電力の削減を実現しつつ、効率的に高濃度のオゾンを流体に含ませて、オゾン処理装置10に高い処理能力を持たせることができる。
【0052】
オゾンの生成に際してエキシマランプ40が発する紫外線は、筐体21により遮られてオゾン生成ユニット20の外側(特に、オゾン処理室11が位置する下方)への照射が規制される。別言すれば、オゾン処理装置10は、オゾン生成ユニット20のエキシマランプ40から放射された紫外線が被処理物(車椅子16)を照射することを防止する紫外線遮蔽手段を備えている。そのため、オゾン処理の対象となる被処理物を紫外線による劣化から保護することができる。特に搬送用車体(移乗用介護用品)である車椅子16は、紫外線による劣化を受けやすい材質として、タイヤやクッションを構成するゴムやビニールを含んでおり、紫外線遮蔽手段を備えた本実施形態のオゾン処理装置10では、これらの部位の劣化を防止できる。
【0053】
具体的には、エキシマランプ40が発する波長の紫外線を遮蔽や吸収する材質で筐体21を構成することで、筐体21を紫外線遮蔽手段として機能させることができる。あるいは、紫外線の遮断効果や吸収効果を有するフィルムや塗装を筐体21の内面に配してもよい。この場合、筐体21自体の材質は紫外線透過性を有するものでも成立する。あるいは、オゾン生成ユニット20とオゾン処理室11の間に、オゾン生成ユニット20の筐体21とは別の独立した紫外線遮蔽手段を設けることも可能である。
【0054】
オゾン生成ユニット20は、流出口23からの流体の排出と共に流入口22からの流体の取り込みを行うため、外部筐体12内では、オゾン生成ユニット20から排出される流体の流れ(図1の矢印S2)に加えて、オゾン生成ユニット20に向かう流体の流れ(図1の矢印S1)が生じる。
【0055】
オゾン処理室11に配置された車椅子16をオゾンで処理すると、臭気物質や汚染物質にオゾンが反応した結果として副生成物が生成される。こうした副生成物の多くは空気よりも比重が大きいため、オゾン処理室11の上方に位置するオゾン生成ユニット20へ向かう流体の流れ(図1の矢印S1)には乗らずに下方に流れやすい。副生成物の流れを図1に矢印S3で示した。本実施形態の構成では、外部筐体12の底面部12aの内面や側面部の内面(例えば背面部12dの内面下部付近)に副生成物が付着しやすい。これらの部位を処理後に洗浄することで、副生成物を外部筐体12内から除去できる。さらに、これらの部位に保護用のシート材や回収用の容器を設けることでより簡単に副生成物を除去できるようにしてもよい。
【0056】
このように、オゾン処理により生じる副生成物がオゾン生成ユニット20に到達することが抑制される構成であるため、オゾン生成ユニット20内のエキシマランプ40に副生成物が付着しにくい。エキシマランプ40の外面に副生成物が付着すると、紫外線の照射が妨げられてエキシマランプ40の性能が低下してしまう。また、副生成物が付着した状態でエキシマランプ40を点灯させると、エキシマランプ40の故障や破損が生じる可能性が高くなる。本実施形態のオゾン処理装置10によれば、このような不具合を防ぎ、エキシマランプ40の劣化防止や耐久性向上を実現できる。
【0057】
また、外部筐体12内を循環して流入口22からオゾン生成ユニット20に再度流入される流体は、オゾン除去手段46で残留オゾンの少なくとも一部が除去されて(オゾン濃度を下げて)流入口22から流入室31に流入する。そのため、高濃度のオゾンを含む流体が外部筐体12内を循環している場合でも、オゾン生成ユニット20内のファン35、電源36、始動補助光源37、エキシマランプ40などがオゾンにより劣化することを防止または軽減できる。すなわち、オゾン生成ユニット20は、上流側に設けたオゾン除去手段46によってオゾンを除去して筐体21内の構成部品をオゾンによる劣化から守りつつ、高濃度のオゾンを含む流体を効率よく外部に供給することができる。また、流入口22を塞ぐ程度の大きさのオゾン除去手段46を設けた構成は、オゾン生成ユニット20のコンパクト化も損なわない。
【0058】
オゾン処理装置10では、オゾンを含有する流体が循環する空間(すなわちオゾン生成ユニット20、オゾン処理室11、およびこれらと空間的に接続する外部筐体12の内部空間)は、外部筐体12内に密閉されており、この密閉状態を維持してオゾン処理が実行される。これにより、人体に有害なオゾンがオゾン処理装置10の外部に流出することがなく、高い安全性を保ちながらオゾン処理を行うことができる。
【0059】
オゾン処理装置10による車椅子16へのオゾン処理が終了したら、オゾン生成ユニット20の動作を停止させる。具体的には、エキシマランプ40の消灯とファン35の回転停止を行う。オゾン生成ユニット20の動作停止は、オゾン処理装置10を操作するオペーレーターが操作部15を介して処理終了信号を入力することによって実行させることができる。あるいは、タイマーのセットなどによって、オゾン生成ユニット20が動作開始から所定時間経過後に自動的に終了動作を実行するようにしてもよい。
【0060】
オゾン生成ユニット20の動作停止後、例えば外部筐体12内のオゾン濃度が環境基準値以下になり安全性が確保された状態になってから、扉14を開けてオゾン処理室11内から処理済の車椅子16を搬出する。外部筐体12内に一定濃度以上のオゾンが含まれるか否かを検出するオゾンセンサ(図示略)を設け、オゾンセンサが検出するオゾン濃度が環境基準値よりも大きい場合に、警告を表示したり、扉14の開放動作を規制したりすることも可能である。
【0061】
オゾン処理後における外部筐体12内のオゾン濃度を効率的に低下させる手段として、オゾン生成ユニット20のオゾン除去手段46を用いることができる。具体的には、エキシマランプ40の消灯後にファン35の回転を継続すると、外部筐体12内で図1に矢印S1,S2で示す流体の循環が続く。先にエキシマランプ40を消灯させることで、ランプ収納室29を通る流体にオゾンが含有されなくなり、電源収納室30を通る流体はオゾン除去手段46により少なくとも一部のオゾンが除去された状態が維持されるため、流出口23から流出する流体のオゾン濃度は下がる。そして、流出口23から流出した流体は、外部筐体12内を通って再びオゾン除去手段46でオゾンの少なくとも一部が除去されて流入口22から流入室31に流入する。すなわち、エキシマランプ40を消灯させた後もファン35を回転させて、オゾン生成ユニット20を通るように流体の循環を継続させることで、外部筐体12内を流れる流体に含まれるオゾンがオゾン除去手段46によって徐々に除去される。このような動作にすることで、外部筐体12内のオゾン濃度を効率良く環境基準値以下まで下げることができる。また、オゾン生成ユニット20に設けたオゾン除去手段46を利用するので、大掛かりなオゾン除去用の装置を別途設けることなく、簡単かつ小型な構成によって、オゾン処理後に外部筐体12内に残留するオゾンの除去を実現できる。
【0062】
エキシマランプ40の消灯(オゾンの生成停止)後にファン35の回転を停止するタイミングとしては、所定の時間経過後に自動的に停止するように制御することができる。また、上述したオゾンセンサを設け、オゾンセンサによって検出されるオゾンの濃度が所定値以下になったときにファン35を停止させるように制御してもよい。
【0063】
図2に示すオゾン生成ユニット20では、最も上流側の流入口22に隣接する位置にオゾン除去手段46を配設しているが、オゾン除去手段を配設する位置を異ならせることもできる。その一例として示す図3のオゾン生成ユニット120では、オゾン除去手段47を電源収納室30内における電源36の上流に配設している。この構成によると、流入室31からランプ収納室29と電源収納室30に分流される流体のうち、電源収納室30を通って電源36を冷却する流体に含有されるオゾンの少なくとも一部をオゾン除去手段47によって除去することで、オゾンによる電源36の劣化を防止または軽減できる。このように、オゾン発生手段の一部の構成要素(すなわち電源36)の上流に限定した形態でオゾン除去手段を設ける構成も有効である。
【0064】
また、図3のオゾン除去手段47に加えて、ランプ収納室29内におけるエキシマランプ40の上流側にオゾン除去手段を配設することも可能である。この構成では、図2のオゾン生成ユニット20と同じく、エキシマランプ40と電源36の両方についてオゾンによる劣化を防ぐ効果が得られる。さらなる変形例として、流入室31内にオゾン除去手段を配設することも可能である。つまり、オゾン発生手段を構成する要素よりも上流側であるという条件を満たしていれば、任意の位置にオゾン除去手段を配置することができる。
【0065】
以上の各実施形態のオゾン生成ユニット20,120では、流入口22と流出口23を筐体21の幅方向の略中央に配置している。この構成と異なり、流入口22や流出口23を筐体21の幅方向でランプ収納室29(上面部25)側に寄せて配置してもよい。すなわち、筐体21の幅方向において、流入口22と流出口23のそれぞれの中心は隔壁28に関して電源収納室30よりもランプ収納室29(上面部25)寄りに位置しているが、さらに筐体21の端面部26,27に関しても、流入口22と流出口23をランプ収納室29寄りの配置にしてもよい。このような配置にすることで、筐体21内で分流される流体がランプ収納室29側により一層流れやすくなり、エキシマランプ40による流体へのオゾンの含有を効率的に行わせることができる。
【0066】
本発明のオゾン処理装置は、オゾンを含有させる流体として気体と液体のいずれに適用することも可能である。図示実施形態のオゾン処理装置10は、被処理物として車椅子16のような移乗用介護用品を想定しており、オゾンを含有させる流体として気体(空気)が適している。しかし、流体として液体(例えば霧状の液体)を用いるタイプのオゾン処理装置にも本発明を適用可能である。
【0067】
また、図示実施形態では、オゾン処理装置10が車椅子16をオゾン処理する例を示したが、車椅子以外の搬送用車体を処理するオゾン処理装置にも本発明を適用可能である。例えば、移乗用介護用品の分野では、車椅子以外に歩行器やストレッチャーの車体をオゾン処理の対象とすることができ、移乗用介護用品以外の分野では、物を搬送する車体(台車)である場合にも有効である。さらに、搬送用車体以外の分野においても有効であり、例えば、義肢や装具のような性質の異なる複数の部材で構成されている物品をオゾン処理の対象とすることもできる。
【0068】
なお、本発明におけるオゾン処理装置やオゾン生成部は、上述の形態のオゾン処理装置10やオゾン生成ユニット20,120に限定されるものではない。本発明はオゾン発生手段を備えたオゾン処理装置全般に適応可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 オゾン処理装置
11 オゾン処理室(オゾン処理部、オゾン処理空間)
12 外部筐体
13 搬入搬出口
14 扉
15 操作部
16 車椅子(被処理物、移乗用介護用品、搬送用車体)
20 オゾン生成ユニット(オゾン生成部)
21 筐体(紫外線遮蔽手段)
22 流入口
23 流出口
24 底面部
25 上面部
26 端面部
27 端面部
28 隔壁
29 ランプ収納室
30 電源収納室
31 流入室
32 流出室
35 ファン
35x 中心軸
36 電源(オゾン発生手段)
37 始動補助光源
40 エキシマランプ(オゾン発生手段)
41 外側管
42 内側管
43 放電空間
44 外部電極
45 内部電極
46 オゾン除去手段
47 オゾン除去手段
120 オゾン生成ユニット(オゾン生成部)
図1
図2
図3