(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、記録媒体、ゲーム処理方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20220209BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20220209BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20220209BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220209BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/55
A63F13/822
A63F13/45
(21)【出願番号】P 2017168586
(22)【出願日】2017-09-01
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595000427
【氏名又は名称】株式会社コーエーテクモゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜 夏聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 央
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000409(JP,A)
【文献】特開2002-292139(JP,A)
【文献】大軍勢が3Dマップ上で激突! 『三國志13』の戦闘システムを徹底紹介!,Playstation.Blog [online],2015年10月02日,https://blog.ja.playstation.com/2015/10/02/20151002_sangokushi13/,[2021年6月25日検索]
【文献】帽子ネタ03・シームレス,RPG探検隊 [online],2013年05月09日,https://rpgex.sakura.ne.jp/home/log/2013-05-09.php,[2021年6月25日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を、
3次元の地形データを含む第1のマップを表示するマップ表示処理部、
前記第1のマップ上で所定のゲームイベントが発生した場合に、前記第1のマップの前記ゲームイベントが発生した領域を拡大する
と共に、プレイヤによる拡大操作に応じて前記第1のマップの一部を予め設定された表示倍率の可変範囲内で拡大表示するマップ拡大処理部、
前記ゲームイベントの発生による前記領域の拡大中に、前記地形データに基づいて前記領域の地形に対応し前記ゲームイベントを進行するための第2のマップを生成し、前記第1のマップの
前記領域の表示倍率が
前記可変範囲の上限値に到達した際に前記第1のマップを前記第2のマップに切り替えるマップ生成処理部、
前記地形データに基づいて、前記第2のマップに配置されるオブジェクトの行動又は表示を規制するオブジェクト規制処理部、
として機能させ、
前記マップ生成処理部は、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記領域に存在する各種の地形のそれぞれに対応する3次元の地形オブジェクトを、前記第1のマップで表示されていた当該領域における前記各種の地形の位置関係に近似するように配置することにより、前記第2のマップを生成する、
ゲームプログラム。
【請求項2】
前記オブジェクト規制処理部は、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記第2のマップの第1の地形が存在する領域では当該第1の地形が存在しない領域よりも前記オブジェクトの移動速度が遅くなるように、前記オブジェクトの行動を規制する、
請求項
1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記オブジェクト規制処理部は、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記第2のマップの第2の地形が存在する領域には前記オブジェクトが進入できないように、前記オブジェクトの行動を規制する、
請求項1
又は2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記オブジェクト規制処理部は、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記第2のマップの第3の地形が存在する領域では前記オブジェクトが他のオブジェクトに対して攻撃できないように、前記オブジェクトの行動を規制する、
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記オブジェクト規制処理部は、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記第2のマップの第4の地形が存在する領域では前記オブジェクトの少なくとも一部が表示されないように、前記オブジェクトの表示を規制する、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のゲームプログラムを記録した、情報処理装置が読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
情報処理装置によって実行されるゲーム処理方法であって、
3次元の地形データを含む第1のマップを表示するステップと、
前記第1のマップ上で所定のゲームイベントが発生した場合に、前記第1のマップの前記ゲームイベントが発生した領域を拡大する
と共に、プレイヤによる拡大操作に応じて前記第1のマップの一部を予め設定された表示倍率の可変範囲内で拡大表示するステップと、
前記ゲームイベントの発生による前記領域の拡大中に、前記地形データに基づいて前記領域の地形に対応し前記ゲームイベントを進行するための第2のマップを生成し、前記第1のマップの
前記領域の表示倍率が
前記可変範囲の上限値に到達した際に前記第1のマップを前記第2のマップに切り替えるステップと、
前記地形データに基づいて、前記第2のマップに配置されるオブジェクトの行動又は表示を規制するステップと、
を有し、
前記第2のマップに切り替えるステップでは、
前記第1のマップの前記地形データに基づいて、前記領域に存在する各種の地形のそれぞれに対応する3次元の地形オブジェクトを、前記第1のマップで表示されていた当該領域における前記各種の地形の位置関係に近似するように配置することにより、前記第2のマップを生成する、
ゲーム処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、当該ゲームプログラムが記録された記録媒体、及びゲーム処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム世界におけるユニット同士の位置関係を広域的に画面に表示し、ユニット同士が戦闘を開始する際には戦闘の様子を局所的に画面に表示するゲームシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたゲームシステムにおいては、対戦ユニットが配置される局所マップを画面に表示する局所モードと、複数のユニットが配置される大域マップを画面に表示する大域モードとが切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなゲームシステムでは、通常、予めいくつかのパターンの局所マップが大域マップとは別に用意されており、大域マップ上における戦闘が始まった地点の地形等に応じて局所マップが選択され、その局所マップに対戦ユニットが配置される。大域マップと局所マップとが別々のデータで構成されるため、大域マップから局所マップに切り替える際に地形に相違が生じたり、画面を切り替えるための途切れ(空白画面等)が生じることとなり、没入感が損なわれるという課題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、マップの切り替えをシームレスに表現することにより没入感を高めることが可能なゲームプログラム、記録媒体、及びゲーム処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のゲームプログラムは、情報処理装置を、3次元の地形データを含む第1のマップを表示するマップ表示処理部、前記第1のマップ上で所定のゲームイベントが発生した場合に、前記第1のマップの前記ゲームイベントが発生した領域を拡大するマップ拡大処理部、前記領域の拡大中に、前記地形データに基づいて前記領域の地形に対応し前記ゲームイベントを進行するための第2のマップを生成するマップ生成処理部、前記地形データに基づいて、前記第2のマップに配置されるオブジェクトの行動又は表示を規制するオブジェクト規制処理部、として機能させる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の記録媒体は、上記ゲームプログラムを記録した、情報処理装置が読み取り可能な記録媒体である。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明のゲーム処理方法は、情報処理装置によって実行されるゲーム処理方法であって、3次元の地形データを含む第1のマップを表示するステップと、前記第1のマップ上で所定のゲームイベントが発生した場合に、前記第1のマップの前記ゲームイベントが発生した領域を拡大するステップと、前記領域の拡大中に、前記地形データに基づいて前記領域の地形に対応し前記ゲームイベントを進行するための第2のマップを生成するステップと、前記地形データに基づいて、前記第2のマップに配置されるオブジェクトの行動又は表示を規制するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲームプログラム等によれば、マップの切り替えをシームレスに表現することにより没入感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るゲームシステムの全体構成の一例を表すシステム構成図である。
【
図2】情報処理装置の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】広域マップの一例を説明するための説明図である。
【
図4】拡大された広域マップの一例を説明するための説明図である。
【
図5】合戦マップの一例を説明するための説明図である。
【
図6】情報処理装置が実行する処理手順の一例を表すフローチャートである。
【
図7】情報処理装置のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<1.ゲームシステムの全体構成>
まず、
図1を用いて、本実施形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例について説明する。
図1に示すように、ゲームシステム1は、情報処理装置3と、コントローラ5と、表示装置7を有する。コントローラ5及び表示装置7の各々は、情報処理装置3と通信可能に接続されている。なお、
図1には有線により接続された場合を図示しているが、無線により接続されてもよい。
【0014】
情報処理装置3は、例えば据え置き型のゲーム機である。但しこれに限定されるものではなく、例えば入力部や表示部等を一体に備えた携帯型のゲーム機でもよい。また、ゲーム機以外にも、例えば、サーバコンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ等のように、コンピュータとして製造、販売等されているものや、携帯電話、スマートフォン、ファブレット等のように、電話機として製造、販売等されているものでもよい。
【0015】
プレイヤは、コントローラ5を用いて各種の操作入力を行う。
図1に示す例では、コントローラ5は例えば十字キー9や複数のボタン11等を有する。なお、コントローラ5は上記に代えて又は加えて、例えばジョイスティックやタッチパッド等を有してもよい。
【0016】
<2.ゲームの概略内容>
次に、本実施形態に係るゲーム、すなわち、本発明のゲームプログラム及びゲーム処理方法が情報処理装置3によって実行されることにより提供されるゲームの概略内容の一例について説明する。
【0017】
本実施形態に係るゲームは、例えばプレイヤが一勢力(歴史上の大名や武将など)となって、領地の農業や商業を発展させたり(いわゆる内政)、配下の武将に外交や調略をさせたり、他の勢力との合戦を行うことにより、支配地を拡大して全国統一を目指す、戦国シミュレーションゲームである。
【0018】
勢力同士の争いは、ゲームフィールド全体(例えば日本全国)又はその一部の地域を表す広域的なマップ(以下「広域マップ」という)上で展開される「行軍」と、広域マップの中の所定の領域に対応する局所的な専用マップ(以下「合戦マップ」という)上で行われる「合戦」で構成される。「行軍」では、自軍の進軍ルートの選択や、敵軍の拠点の制圧等、戦略的な争いが行われる。内政や外交についても広域マップ上で行われる。「合戦」では、配下武将の能力やプレイヤが指示する計略などに応じて戦術的な争いが行われる。
【0019】
「合戦」では、プレイヤが自分の部隊に対して移動や計略等を指示入力する入力フェイズ、及び、それらの入力された結果が表示される解決フェイズ、からなるターンが所定数繰り返される、いわゆるターン制バトルが採用される。但し、ターン制バトルに限定されるものではなく、例えばリアルタイムに時間が流れる中で敵味方が入り乱れて行動を行うシステム等、他のバトルシステムを採用してもよい。
【0020】
本実施形態に係るゲームでは、広域マップから合戦マップへの画面の移行をシームレスに表現することができる。以下、この内容について詳細に説明する。
【0021】
<3.情報処理装置の機能的構成>
次に、
図2及び
図3~
図5を用いて、情報処理装置3の機能的構成の一例について説明する。
【0022】
図2に示すように、情報処理装置3は、マップ表示処理部13と、マップ拡大処理部15と、マップ生成処理部17と、オブジェクト規制処理部19を有する。
【0023】
マップ表示処理部13は、広域マップ(第1のマップの一例)を表示する。広域マップは、ゲームフィールド全体(本実施形態では日本全国)の3次元の地形データを含む3Dマップである。地形データには、日本全国に亘る標高データ(山や谷、平野、盆地などの地形の起伏を表すデータ)や、海、河川、湖沼、森林、街道、城、砦、集落等、地形に関わる多くの情報が含まれており、日本全国の地形を細部まで高精細に描写することが可能である。
【0024】
図3に、広域マップの一例を示す。なお、
図3に示すマップは、国土地理院ウェブサイトで公開されている地図(https://maps.gsi.go.jp/#9/34.813803/136.038208/&ls=std%7Chillshademap&blend=0&disp=01&lcd=hillshademap&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0&d=vl)に加工を施したものである。
【0025】
図3に示す例では、広域マップ21に、日本全体のうち近畿地方から中部地方にかけての地域が表示されている。広域マップ21には、例えば海23、山25、河川27、湖沼29、城31等が表示されている。なお、この例では一部の内容しか表示されていないが、広域マップ21には上述した地形データが含まれており、上記以外の地形、例えば街道や森林、砦、集落等を表示してもよい。
【0026】
図2に戻り、マップ拡大処理部15は、プレイヤによる所定の拡大操作に応じて広域マップ21の一部を拡大表示すると共に、プレイヤによる所定の移動操作に応じて当該表示領域を移動させる。これにより、プレイヤは広域マップ21の任意の領域を任意の倍率(倍率の可変範囲は予め設定されている)で表示させることができる。
【0027】
また、マップ拡大処理部15は、広域マップ21上で所定のゲームイベントが発生した場合には、広域マップ21の当該ゲームイベントが発生した領域を自動的に拡大する。所定のゲームイベントの発生とは、例えば広域マップ21における自軍と敵軍との距離が所定の距離以下となる等により、合戦が発生した場合等である。なお、広域マップ21上において上記合戦が発生した際に、マップ拡大処理部15により自動的に拡大するのではなく、プレイヤが上記拡大操作や移動操作を行うことで当該発生した領域を拡大してもよい。
【0028】
図4に、拡大された広域マップの一例を示す。なお、
図4示すマップは、国土地理院ウェブサイトで公開されている地図(https://maps.gsi.go.jp/#13/35.313164/136.558685/&ls=std%7Chillshademap&blend=0&disp=01&lcd=hillshademap&vs=c1j0l0u0t0z0r0f0&d=vl)に加工を施したものである。
【0029】
図4に示す例は、例えば
図3に示す広域マップ21上の領域33において合戦が発生し、当該領域33が所定の倍率で拡大表示された例である。
図4に示すように、自軍を構成する例えば3つの部隊35が、敵軍を構成する例えば2つの部隊37と対峙した状態が表示されている。
【0030】
図2に戻り、マップ生成処理部17は、上記領域33の拡大中に、広域マップ21の地形データに基づいて領域33の地形に対応し合戦を進行するための合戦マップ(第2のマップの一例)を生成する。すなわち、上記マップ拡大処理部15の処理により、広域マップ21は所定の倍率の可変範囲内で拡大表示されるが、表示倍率が可変範囲の上限値に到達した際に、マップ生成処理部17により生成された合戦マップに切り替えられる。なお、広域マップ21から合戦マップへの切り替えを、例えば地面から視点(仮想カメラ)までの距離が所定の距離以内になった際に行ってもよい。
【0031】
マップ生成処理部17は、広域マップ21の地形データに基づいて、所定の領域33に存在する各種の地形のそれぞれに対応する3次元の地形オブジェクト(例えばポリゴン、テクスチャ、シェーダ等を含む)を、広域マップ21で表示されていた当該所定の領域33における各種の地形の位置関係に近似するように配置することにより、合戦マップの地形を生成する。またマップ生成処理部17は、上述の部隊35,37等を、広域マップ21で表示されていた当該所定の領域33における各部隊35,37の位置関係に近似するように上記地形に配置することにより、合戦マップを生成する。マップ生成処理部17は、このような合戦マップの生成を上記所定の領域33の表示が拡大されている最中に行うので、広域マップ21の表示からその一部を拡大して合戦マップの表示へとシームレスに移行することができる。
【0032】
なお、合戦マップは合戦を進行するためのマップであるため、合戦が発生していない領域では合戦マップは生成されない。したがって、例えば広域マップ21において合戦が発生していない領域が拡大表示されても、合戦マップへの移行は行われない。
【0033】
図5に、合戦マップの一例を示す。なお、
図5示すマップは、国土地理院ウェブサイトで公開されている地図(https://maps.gsi.go.jp/index_3d.html?z=13&lat=35.31316414317235&lon=136.55868530273437&pxsize=2048&ls=hillshademap&blend=0#&cpx=13.136&cpy=-8.503&cpz=0.916&cux=0.555&cuy=-0.366&cuz=0.747&ctx=0.000&cty=0.000&ctz=0.000&a=1&b=0)に加工を施したものである。
【0034】
図5に示す例では、合戦マップ39は斜め方向に見下ろす鳥瞰図として描画されている。なお、
図3や
図4と同様に垂直方向に見下ろす俯瞰図として描画してもよい。また、合戦マップ39の表示中に、プレイヤが所定の操作を行うことで、視点(仮想カメラ)の位置を旋回させたり視点(仮想カメラ)の高度を変更可能としてもよい。
【0035】
合戦マップ39では、山25、河川27等の地形と、各部隊35,37が、
図4に示す広域マップ21で表示されていた領域33における各種の地形及び各部隊の位置関係に一致又は近似するように配置されている。上記位置関係は、例えば
図4に示す広域マップ21の中心位置41(画面に表示はされない)を原点とする3次元座標により把握される。
【0036】
上記合戦マップ39において、プレイヤは自軍の部隊35に対して移動や攻撃、計略等の行動を指示入力し、ゲームプログラムにより規定される所定のアルゴリズムによって行動する敵軍の部隊37と合戦を行う。
【0037】
図2に戻り、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39に配置される部隊35,37(オブジェクトの一例)の行動又は表示を規制する。言い換えると、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21に含まれる地形データを、合戦マップ39において合戦に関わるルール(この例では部隊の行動や表示を規制するルール)に基づいて使用する。
【0038】
具体的には、オブジェクト規制処理部19は、合戦マップ39において、例えば山25の麓部分や河川27の浅瀬部分等の地形(第1の地形の一例)が存在する領域では当該地形が存在しない領域よりも部隊35,37の移動速度が遅くなるように、部隊35,37の行動を規制する。なお、
図5では図示されていないが、例えば谷や崖、海や湖沼の浅瀬部分等の地形においても同様の処理をしてもよい。
【0039】
これにより、山25などの起伏がある地形の領域では部隊35,37が登り降りする動作が必要となるため平地よりも移動速度が遅くなり、河川27の浅瀬などの領域では部隊35,37が水に足を取られるため移動速度が遅くなること等を表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、このように部隊35,37の行動を規制することにより、例えば敵軍の部隊37を上記領域に誘い込んで移動速度を遅くした上で攻撃する等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0040】
また、オブジェクト規制処理部19は、合戦マップ39において、例えば山25の中腹以上の部分や河川27の深間部分等の地形(第2の地形の一例)が存在する領域には部隊35,37が進入できないように、部隊35,37の行動を規制する。なお、
図5では図示されていないが、例えば海や湖沼の深間部分の領域、集落や砦等の建物が存在する領域においても同様の処理をしてもよい。
【0041】
これにより、山25の中腹以上の領域などでは登りが険しくなり、河川27の深間などの領域では水深が深くなるため部隊35,37が進入できないこと等を表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、このように部隊35,37の行動を規制することにより、例えば敵軍の部隊37を自軍の部隊35と上記領域との間に挟み込んで逃げられないようにした上で攻撃する等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0042】
また、オブジェクト規制処理部19は、合戦マップ39において、例えば河川27の浅瀬部分や森林43等の地形(第3の地形の一例)が存在する領域では部隊35,37が相手の部隊に対して攻撃できないように、部隊35,37の行動を規制する。なお、
図5では図示されていないが、例えば海や湖沼の浅瀬部分等の地形においても同様の処理をしてもよい。
【0043】
これにより、河川27の浅瀬などの領域では部隊35,37は進入することはできても足場の悪さに気を取られて攻撃することができず、森林43などの領域では樹木が邪魔となり攻撃することができないこと等を表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、このように部隊35,37の行動を規制することにより、例えば敵軍の部隊37を上記領域に誘い込んで反撃できないようにした上で攻撃をしかける等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0044】
また、オブジェクト規制処理部19は、合戦マップ39において、例えば森林43等の地形(第4の地形の一例)が存在する領域では部隊35,37の少なくとも一部が表示されないように、部隊35,37の表示を規制する。なお、
図5では図示されていないが、例えば集落や砦等の建物が存在する領域においても同様の処理をしてもよい。
【0045】
これにより、森林43や集落、砦などの地形が存在する領域では、部隊35,37が進入するとその少なくとも一部が樹木や建物に隠れて見え隠れすること等を表現できるので、合戦のリアルな臨場感を演出することができ、視覚的な興趣性を向上できる。
【0046】
なお、以上説明した各処理部における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、上述した各処理部の機能は、後述するCPU101(後述の
図7参照)が実行するゲームプログラムにより実装されるものであるが、例えばその一部がASICやFPGA等の専用集積回路、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0047】
<4.情報処理装置が実行する処理手順>
次に、
図6を用いて、情報処理装置3のCPU101によって実行される処理手順の一例について説明する。
【0048】
ステップS10では、情報処理装置3は、マップ表示処理部13により、広域マップ21を表示する。前述のように、広域マップ21には3次元の地形データが含まれる。
【0049】
ステップS20では、情報処理装置3は、マップ拡大処理部15により、広域マップ21上のいずれかの領域で合戦が発生したか否かを判定する。合戦が発生していない場合には(ステップS20:NO)、本フローを終了する。一方、合戦が発生した場合には(ステップS20:YES)、次のステップS30に移る。
【0050】
ステップS30では、情報処理装置3は、マップ拡大処理部15により、広域マップ21の合戦が発生した領域33を拡大する。
【0051】
ステップS40では、情報処理装置3は、マップ生成処理部17により、上記領域33の拡大中に、広域マップ21の地形データに基づいて領域33の地形に対応し合戦を進行するための合戦マップ39を生成する。そして、マップ生成処理部17は、例えば上記領域33の表示倍率が可変範囲の上限値に到達した際に、広域マップ21の表示から合戦マップ39の表示に切り替える。
【0052】
ステップS50では、情報処理装置3は、オブジェクト規制処理部19により、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39に配置される部隊35,37の行動又は表示を規制する。以上により、本フローを終了する。
【0053】
なお、上述した処理手順は一例であって、上記手順の少なくとも一部を削除又は変更してもよいし、上記以外の手順を追加してもよい。また、上記手順の少なくとも一部の順番を変更してもよいし、複数の手順が単一の手順にまとめられてもよい。
【0054】
<5.情報処理装置のハードウェア構成>
次に、
図7を用いて、上記で説明したCPU101等が実行するプログラムにより実装された各処理部を実現する情報処理装置3のハードウェア構成の一例について説明する。
【0055】
図7に示すように、情報処理装置3は、例えば、CPU101と、ROM103と、RAM105と、GPU106と、例えばASIC又はFPGA等の特定の用途向けに構築された専用集積回路107と、入力装置113と、出力装置115と、記録装置117と、ドライブ119と、接続ポート121と、通信装置123を有する。これらの構成は、バス109や入出力インターフェース111等を介し相互に信号を伝達可能に接続されている。
【0056】
ゲームプログラムは、例えば、ROM103やRAM105、記録装置117等に記録しておくことができる。
【0057】
また、ゲームプログラムは、例えば、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、各種のCD、MOディスク、DVD等の光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体125に、一時的又は永続的(非一時的)に記録しておくこともできる。このような記録媒体125は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することもできる。この場合、これらの記録媒体125に記録されたゲームプログラムは、ドライブ119により読み出されて、入出力インターフェース111やバス109等を介し上記記録装置117に記録されてもよい。
【0058】
また、ゲームプログラムは、例えば、ダウンロードサイト、他のコンピュータ、他の記録装置等(図示せず)に記録しておくこともできる。この場合、ゲームプログラムは、LANやインターネット等のネットワークNWを介し転送され、通信装置123がこのプログラムを受信する。そして、通信装置123が受信したプログラムは、入出力インターフェース111やバス109等を介し上記記録装置117に記録されてもよい。
【0059】
また、ゲームプログラムは、例えば、適宜の外部接続機器127に記録しておくこともできる。この場合、ゲームプログラムは、適宜の接続ポート121を介し転送され、入出力インターフェース111やバス109等を介し上記記録装置117に記録されてもよい。
【0060】
そして、CPU101が、上記記録装置117に記録されたプログラムに従い各種の処理を実行することにより、前述のマップ生成処理部17やオブジェクト規制処理部19等による処理が実現される。この際、CPU101は、例えば、上記記録装置117からプログラムを、直接読み出して実行してもよく、RAM105に一旦ロードした上で実行してもよい。更にCPU101は、例えば、プログラムを通信装置123やドライブ119、接続ポート121を介し受信する場合、受信したプログラムを記録装置117に記録せずに直接実行してもよい。
【0061】
また、CPU101は、必要に応じて、前述のコントローラ5を含む、例えばマウス、キーボード、マイク等(図示せず)の入力装置113から入力する信号や情報に基づいて各種の処理を行ってもよい。
【0062】
GPU106は、CPU101からの指示に応じて例えばレンダリング処理などの画像表示のための処理を行う。
【0063】
そして、CPU101及びGPU106は、上記の処理を実行した結果を、例えば前述の表示装置7や音声出力部を含む、出力装置115から出力する。さらにCPU101及びGPU106は、必要に応じてこの処理結果を通信装置123や接続ポート121を介し送信してもよく、上記記録装置117や記録媒体125に記録させてもよい。
【0064】
<6.実施形態の効果>
本実施形態のゲームプログラムは、情報処理装置3を、3次元の地形データを含む広域マップ21を表示するマップ表示処理部13、広域マップ21上で合戦が発生した場合に、広域マップ21の合戦が発生した領域33を拡大するマップ拡大処理部15、領域33の拡大中に、地形データに基づいて領域33の地形に対応し合戦を進行するための合戦マップ39を生成するマップ生成処理部17、地形データに基づいて、合戦マップ39に配置される部隊35,37の行動又は表示を規制するオブジェクト規制処理部19、として機能させる。
【0065】
一般に戦国シミュレーションゲームにおいては、広域マップはゲームフィールド全体における勢力等の位置関係を示すものであるのに対し、その一部の領域を拡大した合戦マップは軍隊や武将に具体的な行動(例えば移動や攻撃等)を実行させるために使用される。このため、広域マップは主として地形データを含むマップであるのに対し、合戦マップは、地形データに加えて、当該地形に対応した軍隊や武将の行動に関連するデータ(例えば行動を規制するデータ等)を含む。上記地形データと行動に関連するデータは全く別の種類のデータであるため、従来のゲームシステムにおいては、例えば予めいくつかのパターンの合戦マップが広域マップとは別に用意されており、広域マップにおいて合戦が発生した領域の地形等に応じて所定のパターンのマップが選択され、そのマップに部隊等が配置されて合戦マップが生成されていた。このように、広域マップと合戦マップとが別の種類のデータで構成される場合、広域マップから合戦マップに切り替える際に地形に相違が生じたり、画面を切り替えるための途切れ(空白画面等)が生じる可能性があり、その場合には没入感が損なわれてしまう。
【0066】
本実施形態では、合戦が発生した領域33の拡大中に、広域マップ21の地形データに基づいて上記領域33の地形に対応した合戦マップ39が生成される。また、合戦マップ39では、広域マップ21の地形データに基づいて合戦マップ39に配置される部隊35,37の行動又は表示が規制される。合戦マップの地形や、合戦マップにおける部隊35,37の行動等を規制するルールは広域マップ21の地形データに基づいて生成されるので、広域マップ21と合戦マップ39とを別々のデータで構成する必要が無く、単一のマップデータとして構成することができる。その結果、広域マップ21から合戦マップ39に切り替えても地形を対応させることができ、且つ、画面を切り替えるための途切れ(空白画面等)を生じさせることもない。したがって、マップの切り替えをシームレスに表現することが可能となるので、没入感を高めることができる。
【0067】
また、プレイヤは合戦の発生、非発生に関わらず、広域マップ21の表示中に所定の拡大操作等を行うことにより任意の領域を拡大することができる。これにより、例えば合戦地の地形を事前に確認することが可能となるため、広域マップ21において自軍に有利となるような地形上に自軍を待機させて敵軍と合戦を開始する、等の戦術をとることが可能となる。したがって、戦略性を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態では特に、マップ生成処理部17は、地形データに基づいて、領域33に存在する各種の地形のそれぞれに対応する地形オブジェクトを、広域マップ21で表示されていた当該領域33における各種の地形の位置関係に近似するように配置することにより、合戦マップ39を生成する。
【0069】
これにより、広域マップ21で表示されていた領域33における各種の地形の位置関係に対応するように合戦マップ39の地形を生成することができる。その結果、広域マップ21から合戦マップ39に切り替える際に地形に相違が生じることを抑制できるので、プレイヤの違和感を軽減でき、没入感をより高めることができる。
【0070】
また、本実施形態では特に、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39の山25の麓部分や河川27の浅瀬部分等の地形が存在する領域では当該地形が存在しない領域よりも部隊35,37の移動速度が遅くなるように、部隊35,37の行動を規制する。
【0071】
これにより、部隊35,37の移動速度が地形の影響を受けることを表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、例えば敵軍の部隊37を上記領域に誘い込んで移動速度を遅くした上で攻撃する等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0072】
また、本実施形態では特に、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39の山25の中腹以上の部分や河川27の深間部分等の地形が存在する領域には部隊35,37が進入できないように、部隊35,37の行動を規制する。
【0073】
これにより、部隊35,37の移動可能な領域が地形の影響を受けることを表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、例えば敵軍の部隊37を自軍の部隊35と上記の進入不可能な領域との間に挟み込んで逃げられないようにした上で攻撃する等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39の河川27の浅瀬部分や森林43等の地形が存在する領域では部隊35,37が相手の部隊に対して攻撃できないように、部隊35,37の行動を規制する。
【0075】
これにより、部隊35,37の攻撃可能な領域が地形の影響を受けることを表現でき、合戦のリアルな臨場感を演出することができる。また、例えば敵軍の部隊37を上記の攻撃が不可能な領域に誘い込んで反撃できないようにした上で攻撃をしかける等の戦術をとることが可能となり、戦略性を高めることができる。
【0076】
また、本実施形態では特に、オブジェクト規制処理部19は、広域マップ21の地形データに基づいて、合戦マップ39の森林43等の地形が存在する領域では部隊35,37の少なくとも一部が表示されないように、部隊35,37の表示を規制する。
【0077】
これにより、部隊35,37が地形との位置関係に応じて見え隠れする等、表示が地形の影響を受けることを表現できるので、合戦のリアルな臨場感を演出することができ、視覚的な興趣性を向上できる。
【0078】
<7.変形例等>
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、以上では、本発明を、自軍と敵軍とが合戦を行う戦国シミュレーションゲームに適用する場合を一例として説明したが、必ずしも合戦が行われる必要はない。例えば、広域的なマップとその一部に対応する局所的なマップがあり、局所的なマップにおいてオブジェクトが何らかのゲームイベントに関連する行動を実行するようなゲームであれば、本発明は適用可能である。そのようなゲームであれば、本発明は、シミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム、アドベンチャーゲーム、ホラーゲーム、恋愛ゲーム、パズルゲーム、スポーツなどの対戦ゲーム等、ジャンルを問わず適用可能である。
【0080】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0081】
3 情報処理装置
13 マップ表示処理部
15 マップ拡大処理部
17 マップ生成処理部
19 オブジェクト規制処理部
21 広域マップ(第1のマップ)
25 山(第1の地形、第2の地形)
27 河川(第1の地形、第2の地形、第3の地形)
33 領域
35 部隊(オブジェクト)
37 部隊(オブジェクト)
39 合戦マップ(第2のマップ)
43 森林(第3の地形、第4の地形)
125 記録媒体