(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】調光パネルおよび該調光パネルを連接した連接パネル装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220209BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G02F1/13 505
E06B9/24 C
(21)【出願番号】P 2017210094
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亜子
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/010463(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/108334(WO,A1)
【文献】特開2009-120439(JP,A)
【文献】特開2007-039994(JP,A)
【文献】特開2006-028809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327699(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0121722(KR,A)
【文献】中国実用新案第206256828(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/15-1/19
E04B 2/72-2/74
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光率を制御可能な透光率制御シートを2枚の透光性を有する板材で挟み込むことにより構成される調光パネルであって、
前記透光率制御シートの幅寸法は、前記板材の幅寸法より短寸であり、
少なくとも一方の前記板材には、表面と側端面とを結ぶテーパ面が形成されており、前記表面と前記テーパ面との境界部から前記側端面までの幅寸法は、前記透光率制御シートの側端面から前記板材の側端面までの幅寸法以上であ
り、
前記テーパ面は、前記境界部から前記側端面にかけて平面状に形成されていることを特徴とする調光パネル。
【請求項2】
前記テーパ面は、斜辺であり、前記境界部から前記板材の側端面までの幅寸法である第1辺と、前記境界部から前記板材の側端面までの厚み寸法である第2辺と、により直角三角形を形成しており、前記第1辺よりも前記第2辺が短寸であることを特徴とする請求項
1に記載の調光パネル。
【請求項3】
前記テーパ面は、一方の前記板材および他方の前記板材に形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の調光パネル。
【請求項4】
前記テーパ面は、微細凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1ないし
3のいずれかに記載の調光パネル。
【請求項5】
隣接する前記調光パネルの対向する側端面が接続部材で連結されることにより、複数の前記調光パネルが連接されて成ることを特徴とする請求項1ないし
4のいずれかに記載の調光パネルを連接した連結パネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光パネルと、該調光パネルが連接されて成る連接パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のパネルを連接して建物内の部屋や空間を小さな領域に区画し、会議室等の室を構成可能な、間仕切りパネル装置が知られている。パネルに調光パネルを用いて、調光パネルの透光率を上げて透明状態とすることで開放感のある室内空間を作り出すとともに、調光パネルの透光率を下げて透明度が低い状態とすることでプライバシーの確保された室内空間を作り出して、室内空間の雰囲気を切り換えるものもあった(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の間仕切りパネル装置にあっては、隣接する調光パネルは、対向する端部が上面視横向きH字状の縦フレームの溝部に挿嵌されることで互いに連結されている。調光パネルは、電圧の印加により透光率が変化する透光率制御シートを2枚の透光性を有する板材で挟み込むことで構成されている。一方、特許文献1には詳細には説明されていないが、一般に、調光パネルは2枚の板材に透光率制御シートを挟み一体に構成した後、端部を加工することがあり、透光率制御シートの幅寸法を板材の幅寸法よりも短尺にして透光率制御シートの破損を防いでいた。これにより、調光パネルの端部において透光率制御シートが介在されず板材だけで構成される部分が生じるものの、当該端部は透明度の低い縦フレームに挿嵌され覆われていることから、調光パネルの調光状態に悪影響を及ぼすことはなかった。しかしながら、このような間仕切パネルは、隣接する調光パネルが透明度の低い縦フレームによって連結されていることから、隣接する調光パネルの境目において幅広の縦フレームが見えるため、隣接する調光パネル同士は分断された印象を受けるものであった。
【0004】
一般的に、透明な板材で構成された複数の透明パネルが連接されて成る間仕切りパネル装置においては、隣接する透明パネルそれぞれの対向する側端面の間に接着剤が塗布された透明度の高い接続部材を介在させて隣接する透明パネルを連接・固定するものがある(特許文献2)。このような間仕切パネルは、隣接する透明パネルの対向する側端面が透明の接続部材によって連結されているとともに、隣接する透明パネルの端部の表裏はそれぞれ露出していることから、隣接する透明パネルの境目の接続部材が目立ち難く、複数の透明パネルを連接したことによる一体感を演出することができるため、美観性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5225830号公報(第4頁、第6図)
【文献】特表第2015-524029号公報(第13,14頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の連接パネル装置の調光パネルを特許文献2に記載の接続部材を用いて連接すると、一体感を演出し、美観性を高めることができるものの、調光パネルの端部において板材だけで構成される部分が露出していることから、当該端部は調光パネルの調光状態によってはその透光率が調光パネルの中央とは異なることとなり、調光パネルを透明度が低い状態にした際に、板材だけで構成される透明な調光パネルの端部を介して室内の外(内)側から内(外)側が見られてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、調光パネルの端部における視認性を低下させた調光パネルおよび間仕切パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の調光パネルは、
透光率を制御可能な透光率制御シートを2枚の透光性を有する板材で挟み込むことにより構成される調光パネルであって、
前記透光率制御シートの幅寸法は、前記板材の幅寸法より短寸であり、
少なくとも一方の前記板材には、表面と側端面とを結ぶテーパ面が形成されており、前記表面と前記テーパ面との境界部から前記側端面までの幅寸法は、前記透光率制御シートの側端面から前記板材の側端面までの幅寸法以上であり、
前記テーパ面は、前記境界部から前記側端面にかけて平面状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、透光率制御シートが配設されていない調光パネルの端部を光が透過する際に、テーパ面に入射する光は反射・屈折することから、調光パネルのテーパ面の部分は表面の部分よりも手前から向こう側が見え難くなっている。これにより、調光パネルの端部における視認性を低下させることができる。
【0010】
前記テーパ面は、斜辺であり、前記境界部から前記板材の側端面までの幅寸法である第1辺と、前記境界部から前記板材の側端面までの厚み寸法である第2辺と、により直角三角形を形成しており、前記第1辺よりも前記第2辺が短寸であることを特徴としている。
この特徴によれば、板材の厚み方向に移動する光がテーパ面に入射した際に、全反射され難くなり、テーパ面が暗色に視認されることを防止できる。
【0011】
前記テーパ面は、一方の前記板材および他方の前記板材に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一方および他方の板材における各テーパ面において、それぞれに入射する光が反射・屈折することから、調光パネルの端部における視認性をより低減することができる。
【0012】
前記テーパ面は、微細凹凸が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、テーパ面の微細凹凸により、光が拡散反射されるため、テーパ面における透明度を低下させることができる。
【0013】
本発明の連接パネル装置は
隣接する前記調光パネルの対向する側端面が接続部材で連結されることにより、複数の前記調光パネルが連接されて成る連接パネル装置であることを特徴としている。
この特徴によれば、連接された調光パネルを透明度が低い状態とした際に、隣接する調光パネル同士が連接される部分においても視認性を低下させることができることから、配設される調光パネルの幅方向に亘って視認性を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1における連接パネル装置を室外側から見た図である。
【
図2】実施例1における調光パネルを透明度が低い状態とした連接パネル装置を室外側から見た図である。
【
図3】実施例1における調光パネルの分解斜視図である。
【
図4】実施例1における調光パネルの側端部の断面図である。
【
図5】実施例1における透明度が低い状態の調光パネルの側端部において室外側から室内側に透過または拡散反射する光を表した模式図である。
【
図6】本発明の実施例2における調光パネルの側端部の断面図である。
【
図7】本発明の実施例3における調光パネルの側端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る調光パネルおよび該調光パネルを連接した連接パネル装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1に係る調光パネルおよび該調光パネルを連接した間仕切パネル装置(連接パネル装置)につき、
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図1の紙面手前側を室外側とし、
図1の紙面奥側を室内側とし、調光パネルおよび連接パネル装置を室外側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0017】
また、
図5において、調光パネルの端部を透過する光の進行を矢印で図示しているが、これらは説明を助けるための模式的なものであって正確なものではなく、調光パネルの端部以外の場所を透過する光については図示を省略している。
【0018】
図1,
図2に示されるように、間仕切パネル装置1は、例えば、学校やオフィス等の建物内の部屋や空間を小さな領域に区画に分割し、会議室等の室Rを構成するために、天井Cから床面Fに亘って複数の調光パネル10,10,…が該調光パネル10の幅方向に連接されて成る。このような調光パネル10は、電力の印加により透光率が変化するため、調光パネルの透光率を上げて透明状態(
図1参照)とすることにより室Rを開放感のある空間へと変化させるとともに、調光パネルの透光率を下げて透明度が低い状態、例えばいわゆるスリガラスのような白濁状態(
図2参照)とすることにより室Rをプライバシーの確保された空間へと変化させ、室Rの雰囲気を切り換えることができる。尚、透明度が低い状態は、調光パネルの透光率が下げられていればよく、不透明な状態でも半透明な状態でよい。
【0019】
間仕切パネル装置1は、天井Cに固定される上部パネル支持体2と、床面Fに固定される下部パネル支持体3と、上部パネル支持体2と下部パネル支持体3との間に配設される複数の調光パネル10,10,…と、から主に構成されており、
図1の吹出し内に示されるように、隣接する調光パネル10,10は、それぞれの対向する側端面10b,10b’の間に配設される両面に接着剤が塗布された透明度の高い接続部材4により連結されている。
【0020】
次に、
図3,
図4を用いて、調光パネル10について説明する。調光パネル10は、電力が印加されることにより透光率を制御可能な透光率制御シート11を2枚の高い透光性を有する板材12,13で挟み込むことにより構成されている。尚、本実施例における板材12,13は、透明度の高いポリカーボネートで形成されたガラスであるが、アクリル樹脂やソーダ石灰等の他のガラスでもよく、透明度が低い(半透明の)ガラスであってもよい。
【0021】
透光率制御シート11は、微小な棒状の液晶分子が無数に内在している液晶体14と、この液晶体14に電界を加えるための無色透明な電極板15,16と、から形成されている。すなわち、透光率制御シート11の側方側の側端面11b,11b’は、液晶体14の側方側の側端面14b,14b’と、電極板15の側方側の側端面15b,15b’と、電極板16の側方側の側端面16b,16b’と、から構成されている。以降、単に透光率制御シート11の側端面11b,11b’として説明する。
【0022】
透光率制御シート11の幅寸法W1は、板材12,13の幅寸法W2,W3より短寸であり、透光率制御シート11の幅方向における中心線と板材12,13の幅方向における中心線とが、調光パネル10の厚み方向において重ねた状態で配設されている。これにより、調光パネル10の側端面10b,10b’側それぞれにおいて透光率制御シート11は板材12,13よりも幅寸法W4短寸(
図4参照)となっている。すなわち、調光パネル10の側方側の側端面10b,10b’は、板材12の側方側の側端面12b,12b’と、板材13の側方側の側端面13b,13b’と、から構成されている。
【0023】
また、透光率制御シート11の側端面11b,11b’は、調光パネル10の側端面10b,10b’それぞれから幅方向の中心線側に幅寸法W4離間していることから、例えば、板材12,13に透光率制御シートを挟み一体に構成された後、板材12,13の端部に水をかけながら研磨するような加工を行う際に、水が透光率制御シート11にかかり難い。このように、板材12,13の端部の加工による透光率制御シート11の破損が防止されている。
【0024】
図3,
図4に示されるように、板材12は、室R内側において、幅方向に平面上に延びる表面12aと側方側の各側端面12b,12b’とを結ぶ平面状の各テーパ面12c,12c’が板材12の上下方向に亘って形成されており、表面12aと各テーパ面12c,12c’との境目である境界部12d、12d’が形成されている。
【0025】
また、板材13は、室Rの外側の通路A側において、幅方向に平面上に延びる表面13aと側方側の各側端面13b,13b’とを結ぶ各面取り面13c,13c’が板材13の上下方向に亘って形成されている。
【0026】
ここで、透光率制御シート11の透光率が変化する態様について説明する。液晶体14は、図示しない導線を介して電力が電極板15,16に印加されていなければ、無数の液晶分子が不規則に配列された状態となるため、調光パネル10に入射された光が液晶分子により拡散反射し易い。結果として調光パネル10の透光率が低くなり、調光パネル10は透明度が低い状態となる(
図2参照)。一方、導線を介して電力が電極板15,16に印加されていれば、無数の液晶分子が液晶体14の厚み方向に沿って規則正しく配列された状態となるため、調光パネル10に入射された光が液晶分子により拡散反射し難い。結果として調光パネル10の透光率が高くなり、調光パネル10が透明状態となる(
図1参照)。
【0027】
次に、
図4を用いて、調光パネル10の側端面10b側である端部10c及びその近傍について説明する。尚、鏡映対象状に形成されている調光パネル10の側端面10b’側の説明を省略する。さらに尚、以降の説明において特に断らない限り、調光パネル10の側端面10b’側の説明については、調光パネル10の側端面10b側と同一であるものとする。
【0028】
板材12は厚み寸法T1で形成されており、板材13は厚み寸法T5で形成されており、厚み寸法T1と厚み寸法T5は略同一寸法である(T1=T5)。尚、本実施例においては、厚み寸法T1,T5は、3mmとして設定しているが、具体的な数値を限定するものではなく、以下の数値についても同様である。さらに尚、厚み寸法T1,T5は、互いに異なる寸法であってもよい。
【0029】
板材12のテーパ面12cは、斜辺であり、板材12の境界部12dから板材12の側端面12bまでの幅寸法W5である長辺S1(第1辺)と、境界部12dから板材12の側端面12bまでの厚み寸法T2である短辺S2(第2辺)と、により直角三角形を形成している。境界部12dから裏面12e側に向けて傾斜している。これにより、板材12の側端面12bは、厚み寸法T3に形成されており、厚み寸法T2より僅かに短寸となっている。尚、長辺S1は、短辺S2よりも長い寸法である(S1>S2)ことが好ましく、特に1.2倍以上である(S1/S2>1.2)ことが好ましい。本実施例においては、幅寸法W5を3mm、厚み寸法T2を√3mmとして設定しており、長辺S1よりも短辺S2が短寸となっている。
【0030】
これにより、長辺S1と板材12のテーパ面12cとの間の角度が40度未満(本実施例では30度)となる。ここで、ガラス板の屈折率は一般的に1.4-2.1であり、臨界角は約44度-約28度であることから、長辺S1と板材12のテーパ面12cとの間の角度を臨界角未満とすることができる。このことから、板材12,13の厚み方向に移動する光が板材12のテーパ面12cに入射した際に、全反射され難い。これにより、テーパ面12cに入射した光は、テーパ面12cにおいて反射・屈折することから、全反射の状態となってテーパ面が暗色に視認されることを防止できる。
【0031】
また、幅寸法W5は、幅寸法W4よりも長尺に形成されている。調光パネル10を室R内側において板材12の表面12aに対して略垂直方向から見た際に、テーパ面12cの一部と透光率制御シート11の側端面11b側の端部11cとが重なっている。また、板材12,13の対向する裏面12e,13eの間に、透光率制御シート11が挟まれているため、板材12,13は透光率制御シート11の厚み寸法T4離間している。これらにより、板材12,13および透光率制御シート11によって上面視コ字状に画成された空隙17が形成されている。尚、本実施例においては、幅寸法W4は2mmである。
【0032】
ここで、接続部材4について説明する。接続部材4は、
図4に破線で示されるように、板材12のテーパ面12cよりも室R内側および板材13の面取り面13cよりも通路A側に突出しないように接着されて側端面10bに取り付けられている。
【0033】
このように、隣接する調光パネル10,10の対向する側端面10b,10b’は透明の接続部材4によって連結されているとともに、隣接する調光パネル10,10の側端面10b,10b’側(端部)の表裏面であるテーパ面12c,表面13aはそれぞれ室R側,通路A側に露出していることから、隣接する調光パネル10,10の境目の接続部材4が目立ち難く、複数の調光パネル10,10,…を連接したことによる一体感を演出することができるため、美観性を高めることができる。
【0034】
次に、
図5を用いて、通路A側からの透明度が低い状態にある調光パネル10の見え方について説明する。
【0035】
図5に示されるように、調光パネル10における透光率制御シート22が配設された部分については、透光率制御シート11に入射された光が液晶分子により拡散反射されており、透明度が低い状態にある。このため、透光率制御シート11が配置されている部分については、通路A側から室R内側を見た際に、白濁状態として視認され、通路A側から室R内側を視認することができない、または視認し難くなっている。
【0036】
調光パネル10の端部10cには、室R内側に板材12のテーパ面12cが配設されているとともに、透光率制御シート11の端部11cは、調光パネル10の厚み方向においてテーパ面12cと重なっている。このことから、板材12の端部10cにおける境界部12d側は、白濁状態として視認される。一方、板材12の端部10cにおける空隙17の部分は、テーパ面12cに入射する光L1が反射・屈折するため、テーパ面12cが形成されず幅方向に平行な平面である場合に比べ、通路A側から室R内側が見え難くなっている。
【0037】
尚、透光率制御シート11の端部11cが調光パネル10の厚み方向において、板材12のテーパ面12cと重なっている状態は、透光率制御シート11の端部11cと境界部12dとが調光パネル10の厚み方向において同じ位置に位置する状態(W4=W5)も含む。
【0038】
また、板材12のテーパ面12cは、平面状に形成されていることから、板材12の表面12aまたは板材13の表面13aに対して略垂直方向に進行する光は、テーパ面12cの場所によらず輝度が略均一となるため、輝度の強度差が小さくテーパ面12cは目立ち難い。
【0039】
尚、室R内側からの透明度が低い状態にある調光パネル10の見え方については、通路A側からの見え方と略同一態様であるため、説明を省略する。
【0040】
これらにより、間仕切パネル装置1の調光パネル10,10,…の透明度が低い状態であるとき、通路Aから室R内を視認し難くなっていることから、室R内をプライバシーの確保された空間へと変化させることができる。また、室R内から通路Aを視認し難くなっていることから、室R内を打合せや作業に集中し易い空間へと変化させることができる。
【0041】
また、調光パネル10,10を連接したときの一体感は、表面13aには、テーパ面12cが形成されておらず、幅方向の平面が広いため、通路A側からの視認した場合により優れる。尚、通路A側にテーパ面12cを有する板材12を配置してもよい。
【0042】
また、隣接する調光パネル10,10の対向する側端面10b,10b’は接続部材4で連結されることにより、複数の調光パネル10,10,…が連接されて成る間仕切パネル装置1は、連接された調光パネル10,10,…を透明度が低い状態とした際に、隣接する調光パネル10,10同士が連接される部分においても視認性を低下させることができることから、配設される調光パネル10,10,…の幅方向に亘って視認性を低下させることができる。
【実施例2】
【0043】
次いで、実施例2に係る調光パネル110につき、
図6を参照して詳しく説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成を省略する。また、複数の調光パネル110,110,…を連接した間仕切パネル装置については、調光パネル110以外の構成は
図1,2と同様であるため、図示・説明を省略する。
【0044】
図6に示されるように、調光パネル110は、透光率制御シート11を2枚の高い透光性を有する板材12,113で挟み込むことにより構成されている。板材113は、板材12の鏡映対象状に形成されており、テーパ面113cを備えている。
【0045】
調光パネル110の端部110cについては、室R内側に板材12のテーパ面12cが配設され、通路A側に板材113のテーパ面113cが配設されていることから、テーパ面12c,113cにおいてそれぞれに入射する光が反射・屈折する。このことから、実施例1の調光パネル10よりも、端部110cを介して通路A側から室R内側が見え難くなっている。すなわち、調光パネル110の端部110cにおける視認性をより低減することができる。
【実施例3】
【0046】
次いで、実施例3に係る調光パネル210につき、
図7を参照して詳しく説明する。尚、前記実施例1,2と同一構成で重複する構成を省略する。また、複数の調光パネル210,210,…を連接した間仕切パネル装置については、調光パネル210以外の構成が
図1,2と同様であるため、図示・説明を省略する。
【0047】
調光パネル210の板材212は、テーパ面212cがあらずり加工がなされており、微細凹凸212fが形成されている。これにより、テーパ面212cの微細凹凸212fによって、透明度が低い状態の透光率制御シート11のように光が拡散反射されるため、テーパ面212cにおける透明度を低下させることにより、スリガラスのような白濁状態となる。これにより、調光パネル210の側端面210b(板材212の側端面212bおよび板材13の側端面13b)側において、室R内側から通路A側、および、通路A側から室R内側への視認性が低下されている。
【0048】
尚、実施例2の調光パネル110のように、2枚の板材それぞれのテーパ面が形成されている態様であれば、それぞれのテーパ面にあらずり加工がなされていてもよく、一方のテーパ面のみあらずり加工がなされていてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施例1~3を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例1~3に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0050】
例えば、前記実施例1~3では、透光率制御シート11は、電力が印加された際に透明状態となり、電力が印加されない際に透明度が低い状態となる態様として説明したが、これに限らず、電力が印加された際に透明度が低い状態となり、電力が印加されない際に透明状態となる態様であってもよく、電力ではなく磁力によって透明度が変化する態様であってもよい。
【0051】
また、透光率制御シート11は、液晶体14と電極板15,16とから構成される態様として説明したが、これに限らず、透明液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであってもよい。
【0052】
テーパ面は、平面状であるとして説明してきたが、これに限らず、曲面状であってもよく、多角形状であってもよく、その形状を限定するものではない。また、板材12の側端面12bの厚み寸法T3については、0であってもよい。さらに、板材の幅方向一方の端部にだけ形成されていてもよい。
【0053】
板材12のテーパ面12cは、板材12の表面12aに対して略垂直方向において、透光率制御シート11の側端面11bと重なっている態様として説明したが、これに限らず、境界部12dにおいて透光率制御シート11の側端面11bと重なっている態様であってもよく、すなわち幅寸法W5が幅寸法W4以上であればよい。
【0054】
間仕切パネル装置1は、複数の調光パネル10,10,…が該調光パネル10の幅方向に連接されて成る態様として説明したが、これに限らず、上下方向に連接されている態様であってもよく、この態様の際には、調光パネルの上下側の端面にテーパ面が形成されていればよい。また、隣接する調光パネル10,10は、接続部材4で連結されている態様として説明したが、これに限らず、調光パネル10を挿嵌可能な溝部を備えるフレーム部材によって連結されていてもよい。さらに、調光パネル10を該調光パネル10の厚み方向に複数配設してもよい。
【0055】
本実施例において、連接パネル装置は間仕切パネル装置である態様として説明したが、これに限らず、立設可能な衝立であってもよく、床から天井に亘っていなくともよく、室Rを構成しなくともよい。
【符号の説明】
【0056】
1 間仕切パネル装置(連接パネル装置)
4 接続部材
10 調光パネル
10c 端部
11 透光率制御シート
12 板材
12a 表面
12b,12b 側端面
12c,12c’ テーパ面
12d 境界部
13 板材
110 調光パネル
113 板材
113c テーパ面
210 調光パネル
212c テーパ面
212f 微細凹凸
A 通路
C 天井
F 床面
R 室
L1 光
T1 厚み寸法
T2 厚み寸法
T3 厚み寸法
T4 厚み寸法
T5 厚み寸法
S1 長辺(第1辺)
S2 短辺(第2辺)
W1 幅寸法
W2 幅寸法
W3 幅寸法
W4 幅寸法
W5 幅寸法