(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
A63F7/02 333Z
A63F7/02 312Z
(21)【出願番号】P 2017251377
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 純一
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-066184(JP,A)
【文献】特開2010-029479(JP,A)
【文献】特開2014-136082(JP,A)
【文献】特開2015-065977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する玉が入賞可能な第1入賞部と、
遊技場の管理者が操作する操作手段と、
遊技者に有利な特別遊技状態の発生頻度が異なる複数段階の設定値の中から、前記操作手段の操作によって管理者が選択した設定値を記憶する設定値記憶手段と、
前記第1入賞部に玉が入賞した場合に、前記特別遊技状態の抽選を前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値に応じて実行する抽選手段と、
前記抽選手段の抽選結果に対応した演出を実行する演出実行手段と、
前記抽選手段の抽選結果に基づいて前記特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、
前記遊技領域を流下する玉が入賞可能な第2入賞部と、
前記第2入賞部に玉が入賞した場合に
前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値に応じて前記特別遊技状態の抽選を実行することで遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
前記抽選手段による抽選結果、及び前記特典付与手段による抽選結果を特図保留として、それぞれ設定された上限保留数まで記憶する保留記憶手段と、
前記第1入賞部及び前記第2入賞部への入賞に基づいた前記特図保留をそれぞれ記憶している場合、予め定められた順序でそれら特図保留を読み出すと共に、前記特図保留の読み出しに応じて前記保留記憶手段の保留数を減少させる読出手段と、
前記読出手段が読み出した前記特図保留の当否を判定する当否判定手段と、を備え、
前記演出実行手段は、前記当否判定手段の判定結果に対応した演出を実行するものであり、
前記第1入賞部及び前記第2入賞部には、前記遊技領域のうち特別遊技領域を通過した玉が入賞可能であり、その特別遊技領域を通過した玉を前記第2入賞部に入賞するよう誘導することにより当該第2入賞部に玉が入賞可能な入賞許容状態と、
前記特別遊技領域を通過した玉を前記第1入賞部に入賞するよう誘導することにより当該入賞許容状態よりも前記第2入賞部に玉が入賞しにくい又は玉が入賞できない入賞抑制状態とに、前記設定値記憶手段が記憶している前記設定値に応じた切替態様で切り替わる切替手段
であって、少なくとも一部を非透明にすることで前記切替態様を遮蔽する一方、前記第1入賞部及び前記第2入賞部へ入賞する前記玉を視認可能とする切替手段を具備することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記特別遊技状態発生手段は、前記第1入賞部に玉が入賞した場合よりも、前記第2入賞部に玉が入賞した場合の方が、遊技者の有利度が高くなるように前記特別遊技状態を発生させることを特徴とする請求項
1に記載した遊技機。
【請求項3】
前記読出手段は、前記第1入賞部への入賞に基づいた特図保留と前記第2入賞部への入賞に基づいた前記特図保留とを交互に1つずつ読み出すことを特徴とする請求項
1又は2に記載した遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機は、例えば特許文献1に示されるように、遊技場の管理者が設定値を選択することで、ボーナス役の内部当選確率を変化させることができる。また、遊技者は当選確率の高い設定値が選択された遊技機にて遊技を行いたいと考えている。そこで遊技機によっては、遊技者に設定値を示唆する示唆演出を実行している。示唆演出を実行すると遊技者が示唆演出に注目し、結果的に遊技者の遊技への注目度を高めることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、複数種類の遊技機で示唆演出が実行されるようになっており、単に過去のものと類似した示唆演出を実行しただけでは目新しさに欠け、注目度を高める効果がさほど得られなくなってしまう。このため、設定値を示唆する新規の方法の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、設定値の示唆を実行可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
遊技機は、設定値に応じて第2入賞部に対する切替手段の切替態様が変化するので、遊技者がその切替態様から設定値を推測することができる。これにより、演出実行手段における演出だけでなく第2入賞部での切替態様にも遊技者が注意を払うことになり、遊技が単調化することを抑制できる。このように遊技機における遊技の単調化を抑制しつつ、設定値の示唆を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】小当たり時の大入賞部開放時間テーブルを示す説明図
【
図7】特図保留読出処理の流れを示すフローチャート
【
図11】出玉率の高い順に並べた出玉率テーブルを表す画面の図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2及び遊技情報表示装置3が設けられている。これら遊技機1、遊技装置2及び遊技情報表示装置3は、中継装置4及びLAN5を介して管理装置6と接続されている。また、遊技場にはPOSや残高精算機(何れも図示略)も設置されており、これらPOSや残高精算機も、LAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室などに設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8が接続されると共に、図示しないマウスやプリンタ等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2など)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1に関する遊技情報の集計・管理を行う遊技機管理装置として構成されている。
【0010】
図2に示す遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、図示しない台枠にヒンジ1aを介して取り付けられた前面扉1bと、前面扉1bの内側に配置され、前面扉1bで覆われる遊技盤9とを備えている。遊技盤9には、略円形状に囲われた遊技領域9aが形成されており、前面扉1bには、遊技領域9aに対応する略円形状の透明窓1cが設けられている。尚、遊技機1に対して遊技者が位置する方向、つまり遊技機1において前面扉1bの側を前方とし、その反対方向を後方とする。また、遊技機1においてヒンジ1aが位置する側を左方とし、その反対側を右方とする。さらに、遊技領域9aにおいて玉(遊技価値たるパチンコ玉)の流下する下方は鉛直方向を指向する。
【0011】
遊技機1において、遊技領域9aの下方には、上皿1d及び下皿1eが設けられると共に、上皿1dの右下方に位置してハンドル11が設けられており、遊技者によるハンドル11の操作に応じて玉を遊技領域9aに発射する。
【0012】
遊技領域9aには、その中央に位置して液晶表示部12が設けられ、液晶表示部12の下方に位置して入賞役物13と大入賞部14とが上下に設けられている。詳しくは後述するが、入賞役物13は、遊技領域9aを流下する玉が入賞可能な第1入賞部13a及び第2入賞部13b(
図3参照)を備えており、その玉がいずれかの入賞部13a,13bに入賞した場合に特図抽選が実行される。これに伴い、液晶表示部12に表示されている図柄(特図)が変動し、その後、当該図柄変動が終了する。液晶表示部12において所定時間の変動後に停止した図柄が大当たり当選の場合には大当たりが発生し、大入賞部14が所定の終了条件が成立するまで開閉し、玉が大入賞部14に入賞すると所定数の玉が払い出される。尚、本実施形態では、液晶表示部12には1~9の数字が3列に表示され、基本的には、その3列に同じ数字が停止表示されたときに大当たりが発生する。
【0013】
遊技領域9aの左下方には、例えばLEDなどで構成され、各入賞部13a,13bへの入賞に応じて実行される抽選の結果を示す特図表示部16aが設けられている。また、液晶表示部12下部には、上記した特図抽選の起因となる所謂保留玉数を上限保留数(各入賞部13a,13bについてそれぞれ4個)まで表示する特図保留表示部12a,12bが設けられている。
【0014】
遊技領域9aの左方には、ゲート15が設けられると共に、例えばLEDで構成された普図表示部16b及び普図保留表示部16cが設けられている。遊技領域9aに発射された玉がゲート15を通過すると、入賞役物13に対応して設けられている電チュー17を、開放状態とするか否かの普図抽選が実行され、その抽選結果が普図表示部16bに表示される。電チュー17は、開放状態で入賞役物13の入賞部13a,13bへの玉の流入を促す一方、閉鎖状態で入賞部13a,13bへの玉の流入を阻害する。また、普図抽選に対する保留玉の上限は2個であり、普図抽選中にゲート15を玉が再度通過した場合は上限まで保留し、普図抽選の終了後に順次保留した普図抽選を実行する。このとき、普図保留表示部16cに普図保留玉数を表示する。
【0015】
遊技領域9aの最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するように開口した玉排出部(アウト孔)18が設けられている。尚、遊技機1には、各種の演出を実行するための装飾ランプ類1Lやスピーカ1S等も設けられている。
【0016】
図3に示すように、前記入賞役物13は、一対の羽根を有する電チュー17と、その電チュー17の下側に、前記入賞部13a,13bを有する台形部材19とを組み合わせてなる。
【0017】
電チュー17は、一対の羽根が相互に玉1個分の隙間を隔てて対向するように起立した閉鎖状態と(
図3の2点鎖線参照)、それら羽根の基端側のスルー17sへ玉を流入させる受皿のように倒れた開放状態(同図の実線参照)との間で回動する。これにより、電チュー17の閉鎖状態では、真上に位置する一対の釘p1を通過した玉のみをスルー17sへ流入可能とし、電チュー17の開放状態では、スルー17sへの玉の流入を促して入賞率を高める。電チュー17間のスルー17sと台形部材19の上面開口19tとの間は、特別遊技領域9sとされている。つまり、特別遊技領域9sは入賞経路の一部を構成しており、台形部材19内の入賞部13a,13bには、遊技領域9aのうち特別遊技領域9sを通過した玉が入賞可能である。
【0018】
台形状の外観をなす台形部材19は、上面開口19tから入賞部13a,13bへ連なる内部の通路19a,19bを有する。通路19a,19bは、
図3中、左側の入賞部13a(第1入賞部)に導く第1通路19aと、右側の入賞部13b(第2入賞部)に導く第2通路19bとで「へ」字状をなす分岐通路である。通路19a,19bの中央部となる上流側の分岐箇所には、玉の経路を何れかの通路19a,19bに切り替えるための切替部材(切替手段)20が設けられている。切替部材20は、仕切り板20aと、その基端側の軸部20bとを一体に有し、軸部20b周りに回動可能とされている。
【0019】
切替部材20は、仕切り板20aが時計回りに回動して右の通路19bを閉鎖する第1位置(
図3の破線参照)と、仕切り板20aが反時計回りに回動して左の通路19aを閉鎖する第2位置(
図3の2点鎖線参照)とにわたって切り替わる。これにより、特別遊技領域9sを通過して、台形部材19の上面開口19tから流入した玉は、切替部材20が第1位置のとき、左の通路19aを通るように振分けられて第1入賞部13aに導かれ、切替部材20が第2位置のとき、右の通路19bを通るように振分けられて第2入賞部13bに導かれる。
【0020】
図4は、遊技機1の電気的構成を示す機能ブロック図である。遊技機1の主制御回路10(設定値記憶手段、抽選手段、特別遊技状態発生手段、特典付与手段、保留記憶手段、読出手段、当否判定手段)は、CPU10a、ROM10bやRAM10cといった記憶部10m、信号を送受信するためのインターフェースからなるI/O10d等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成され、電源回路10Eから電源が供給される。主制御回路10は、ゲート通過検出器15k、第1入賞検出器13ak、第2入賞検出器13bk、大入賞検出器14k、ゲート通過検出器15k、設定操作部26等から入力される信号に基づいて、遊技機1全体を制御する。
【0021】
遊技者がハンドル11を操作する発射操作に応じて、その操作情報が入力された発射制御回路21aによって発射装置21が駆動され、遊技領域9aに玉が発射される。遊技領域9aに発射された玉が遊技領域9aを流下する際にゲート15を通過することがある。このとき、ゲート通過検出器15kは、ゲート15を通過する玉を検出し、玉がゲート15を通過する毎に信号を主制御回路10に出力する。主制御回路10は、ゲート通過検出器15kから信号を受信すると、乱数発生部22で発生した乱数の1つを乱数抽出部23で抽出することにより普図抽選を実行する。この普図抽選において普図当選になると、電チューソレノイド24が駆動され、電チュー17を開放状態とする。また、玉のゲート15の通過に応じて、普図表示部16bや普図保留表示部16cのLEDを点灯或いは消灯させる。
【0022】
普図抽選では、遊技機1の遊技状態によって当選確率などが変化する。遊技状態としては、遊技機1には通常状態や時短状態などが設定されている。通常大当たり状態の後の時短状態は50回転である。普図当選となる確率である普図当選確率は、通常状態では1/30、時短状態では1/1に設定されている。普図抽選に要する時間即ち普図表示部16bにおいて変動表示が行われる普図変動時間は、通常状態では30秒、時短状態では1秒に設定されている。そして、普図抽選において普図当選となった場合には、電チュー17は、通常状態では0.2秒、時短状態では1.5秒×3回の間開放される。つまり、時短状態では、電チュー17の開放時間が長く、その回数も増えるため、入賞部13a,13bへの入賞が通常状態よりも促されることになる。
【0023】
また、遊技領域9aに発射された玉が遊技領域9aを流下する際に入賞部13a,13bのいずれかに入賞することがある。このとき、第1入賞検出器13akは入賞部13aに入賞した玉を検出し、第2入賞検出器13bkは入賞部13bに入賞した玉を検出して、玉が入賞する毎に信号を主制御回路10に出力する。主制御回路10は、第1入賞検出器13ak或いは第2入賞検出器13bkから信号を受信すると、乱数発生部22で発生した乱数の1つを乱数抽出部23で抽出することにより特図抽選を実行する。
【0024】
主制御回路10は、特図抽選を実行した後、液晶表示部12に表示されている図柄の変動を開始する。この特図抽選には小当たりと大当たり(大当たりの状態を特別遊技状態とする)と外れとのいずれかの抽選結果が設定されている。それ故、主制御回路10は、第1入賞部13a或いは第2入賞部13bに玉が入賞した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態の抽選(特図抽選)を実行する抽選手段、並びにその抽選結果に基づいて特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段として機能し、小当たり又は大当たりになると、大入賞ソレノイド25を駆動して、大入賞部14の開放状態と閉鎖状態との切替制御を実行する。大当たりでは、10ラウンド(10R)或いは15ラウンド(15R)の間、大入賞部14を開放状態と閉鎖状態とに切り替える。1Rは10個入賞又は30秒経過で終了するものとする。尚、小当たりでの大入賞部14の開放時間について詳しくは後述する。
【0025】
上記した特別遊技状態の抽選は、設定操作部26で設定された設定値(設定値モード)に応じて実行される。具体的には、設定操作部26は遊技場の管理者により操作される操作手段として、
図2の破線で示すように遊技機1内部(前面扉1bの内側)に設けられている。設定値モードは、特別遊技状態の発生頻度を異ならせた複数段階の設定値(例えば3段階の設定1、設定2、設定3)であり、設定操作部26での管理者の操作によって、その設定1~3の中から何れか1つが選択される。こうして、選択された設定値モードは、主制御回路10により自身の記憶部10mに記憶されて使用される。
【0026】
ここで、特図抽選で大当たりとなる大当たり当選確率は、通常状態及び時短状態において、設定1では1/280、設定2では1/290、設定3では、1/300に設定され、所謂確変状態において、設定1では1/56、設定2では1/58、設定3では1/60に設定されている。これに対し、特図抽選で小当たりとなる小当たり当選確率は、通常状態及び時短状態において、設定1~3で共通の1/1000に設定されている。
【0027】
主制御回路10は、特図抽選の結果に応じて、特図表示部16aのLEDを点灯或いは消灯させることにより、特図抽選の結果を表示する。また、主制御回路10は、上記したように玉が何れかの入賞部13a,13b或いは大入賞部14に入賞すると、副制御回路たる表示制御回路27(演出実行手段)を制御することにより液晶表示部12に各種の演出を表示させると共に、払出制御回路28aに対し払出装置28からの玉の払出を指示することで遊技者に玉が払い出される。例えば、玉が入賞部13a,13bのいずれかに入賞した場合には3個の玉が払い出され、大入賞部14に入賞した場合には15個の玉が払い出される。
【0028】
表示制御回路27は、主制御回路10と同様、CPU27a、ROM27b、RAM27c、I/O27dを備えている。表示制御回路27は、液晶表示部12及び装飾ランプ類1Lの表示制御並びにスピーカ1Sの駆動制御により、上記の抽選結果に対応した演出を実行するようになっている。
【0029】
主制御回路10は、遊技者による遊技の進行に応じて、信号出力部30から、遊技領域9aに発射された玉の数であるアウトを特定可能なアウト信号(パルス出力)、遊技者に付与した玉の数であるセーフを特定可能なセーフ信号(パルス出力)、入賞部13a,13bへの入賞に伴って発生する図柄の変動表示の開始(スタート)を特定可能なスタート信号(パルス信号)、その図柄の変動表示の終了を特定可能な確定信号、大当たりを特定可能な大当たり信号(ハイ、ローのレベル出力)、確変状態を特定可能な確変信号(ハイ、ローのレベル出力)、ラウンド中であることを特定可能なラウンド信号(大入賞部14の開放中にハイ、ローのレベル出力)などの遊技信号を出力する。
【0030】
図1に示す遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯2a、貨幣が投入される貨幣投入口31、タッチパネル式の液晶表示部32、持玉を払出すための払出ボタン33、払出された玉が通過する払出ノズル34、一般カード(持玉券)や会員カードといったICカード(図示しない記録媒体)が挿入されるカード挿入口35、遊技機1の下皿1eの下方に位置する計数受皿36等を有する。
【0031】
遊技装置2は、以下に示すように動作する。
(1)貨幣を受付けすると(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技装置2の双方に入金額を残高に加算して表示させる。残高がある状態で遊技機1の貸出ボタン(図示略)が押下(貸出操作、付与操作)されると、貸出1単位分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1から払い出させ(対価付与処理)、レートに応じた対価分を残高から引き落とす。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0032】
(2)計数玉を受付けた場合は計数玉を持玉として特定し、その持玉を払出ボタン33の押下に応じて払戻す払戻処理(持玉の再プレイ処理)を可能とし、払戻した場合にはその対価分(例えば払戻した玉数と同数)の持玉を減算する。残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却ボタン(図示略)が押下される(発行操作を受付ける)と、遊技装置2にストックされていた残高や持玉を特定可能な持玉券を発行する。
【0033】
(3)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。
【0034】
図5に示すように、管理装置6は、CPU40a、ROM40b、RAM40c、I/O40dを有するマイクロコンピュータを主体に構成された制御部40と、当該制御部40と接続された周辺部とを有する。制御部40は(以下、適宜「管理装置6」と略す)、各種制御プログラムを実行するものであり、記憶手段、特定手段、出率表示手段、記憶テーブル表示手段、集計手段、出率特定手段、出率更新手段に対応している。ROM40bやRAM40cは、管理装置6の記憶部40mである。
【0035】
管理装置6の周辺部としては、遊技機側との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部41を備える。このI/F部41を介して、管理装置6は、遊技機1や遊技装置2などと通信可能であり、それら遊技機側の機器からの遊技信号に基づいて、例えば、アウト、セーフ、差玉、スタート回数、大当たり回数、出玉率(出率)などの遊技情報を管理する。
【0036】
ところで、遊技者は当選確率の高い設定値モードが選択された遊技機1にて遊技を行いたいと考えており、遊技機によっては、遊技者に設定値モードを示唆する示唆演出が実行されるものも供されているが、単に従来のものと類似した示唆演出を実行しただけでは目新しさに欠け、係る示唆演出の注目度を高める効果がさほど得られなくなってしまう。
【0037】
一方、遊技場側では、設定値モードに対応した遊技機の出玉率を把握したいと考えているが、パチンコ遊技機の場合、設定値モードだけでなく設置した際の傾斜角度(傾斜度合)が僅かに違うだけで玉の流下態様が変化してしまい、出玉率が変化してしまうため、遊技場側でパチンコ遊技機の出玉率を把握しにくいという課題がある。
【0038】
こうした課題や実情を踏まえ、本実施形態の遊技機1では遊技の単調化を抑制しつつ、設定値モードの示唆を実行することができ、管理装置6にあっては、遊技場側で設定値モードに対応した出玉率を把握し易くなる構成を採用している。係る構成について、「1.遊技機1側の構成」「2.管理装置側の構成」の順に、
図6以降も参照しながら詳述する。
【0039】
<1.遊技機側の構成>
遊技機1の主制御回路10は、
図3に示す入賞役物13の切替部材20(切替手段)について、自身の記憶部10mに記憶している設定値モードに応じた切替態様で切り替えるように、切替用駆動モータ20M(
図4にのみ図示)を制御する。
【0040】
詳細には、切替部材20は、その軸部20bに連結された切替用駆動モータ20Mの制御により、
図3の2点鎖線で示す第2位置に切り替えられたとき、第2入賞部13bに玉が入賞可能な入賞許容状態となり、破線で示す第1位置に切り替えられたとき、第2入賞部13bに玉が入賞できない入賞抑制状態となる。つまり、後者の入賞抑制状態においては、特別遊技領域9sを通過した玉を切替部材20により第1入賞部13aに入賞するよう誘導するため、当該領域9sを通過した玉は、第2入賞部13bに入賞できず、第1入賞部13aに入賞することとなる。一方、前者の入賞許容状態においては、特別遊技領域9sを通過した玉を切替部材20により第2入賞部13bに入賞するよう誘導するため、当該領域9sを通過した玉は、第1入賞部13aに入賞することはない。
【0041】
また、切替部材20による、第2位置での通路19aの閉鎖時間と第1位置での通路19bの閉鎖時間とを、設定値モードに応じて異ならせており、設定値モードが設定1であれば、左の通路19aを0.6秒閉鎖する動作と右の通路19bを0.4秒閉鎖する動作とを繰り返す。また、設定値モードが設定2であれば、左の通路19aを0.5秒閉鎖する動作と右の通路19bを0.5秒閉鎖する動作とを繰り返し、設定値モードが設定3であれば、左の通路19aを0.4秒閉鎖する動作と右の通路19bを0.6秒閉鎖する動作とを繰り返すように、切替用駆動モータ20Mを制御する。このように、本実施形態では、入賞役物13での玉の流下態様に関わらず、切替部材20が設定値モードに応じた動作を繰り返すことで、各入賞部13a,13bへの玉の振分期待度(振分傾向)が変化し、その振分割合(第1入賞部13a:第2入賞部13b)は、設定1で4:6、設定2で5:5、設定3で6:4に設定されている。
【0042】
そして、本実施形態では、第1入賞部13aに玉が入賞した場合よりも、第2入賞部13bに玉が入賞した場合の方が、15R大当たり状態の発生する期待度を高くしており、後者の場合に遊技者の有利度が高くなるように特別遊技状態を発生させる。具体的には、主制御回路10における、大当たり状態のラウンド振分(10R:15R)は、第1入賞部13aに玉が入賞したとき3:1、第2入賞部13bに玉が入賞したとき1:3となるように設定されている。また、大当たり状態の1回の出玉(差玉)の平均は、大当たり状態10Rで約1000個、大当たり状態15Rで約1500個である(
図10参照)。
【0043】
それ故、設定3から設定1になるにつれ、上記した大当たり当選確率が高くなるだけでなく、切替部材20の振分傾向と相俟って第2入賞部13bに玉が入賞し易くなり、大当たり当選になった場合のラウンド振分或いは出玉の点でも遊技者の有利度が高くなる。また、主制御回路10は特典付与手段として、第2入賞部13bに玉が入賞した場合に、当該設定値モードに応じて特別遊技状態の抽選を実行することで、或いは所定の玉数を付与することで遊技者に特典を付与するものといえる。
【0044】
尚、大当たり時に確変となる確変割合は、何れの入賞部13a,13bに玉が入賞しても50%(0~9の図柄のうち、奇数図柄が確変大当たり状態の発生に対応)であるが、第1入賞部13aに玉が入賞したときの、10R大当たり状態の一部と15R大当たり状態の全部とを確変大当り状態とし、第2入賞部13bに玉が入賞したときの、10R大当たり状態の全部と15R大当たり状態の一部とを通常大当り状態としている。
【0045】
上記した入賞役物13の台形部材19において、第1入賞部13aや第2入賞部13bに向けて玉が流下する左右の通路19a,19b部分(
図3の一対の菱形部分)は、透けて見えるように透明樹脂材料を用いて形成され、その他の部分は、切替部材20等が透けて見えないように非透明樹脂材料を用いて形成されている。このように、切替部材20を遊技者が視認できない構成にしたのは、遊技者が遊技を行っていない状態で切替部材20の切替態様から設定値モードが推測されてしまうことを抑制するための工夫である。また、通路19a,19b部分を視認可能に構成したのは、各入賞部13a,13bへの入賞率を遊技者が把握し易くするための工夫である。
【0046】
尚、小当たり時になると、主制御回路10により、大入賞ソレノイド25を駆動して、大入賞部14を閉鎖状態から開放状態に切り替えるため、玉を入賞させることができる。この小当たりでの大入賞部14の開放時間も、設定値モードに対応付けて規定されている。具体的には
図6に示すように、大入賞部14の開放時間について設定1~3毎の選択率(振分確率)が規定されていて、設定1であれば、開放時間1.8秒が「50」%、1.2秒が「25」%、0.9秒が「25」%というように開放時間の選択率が振分られている。また、設定2であれば、開放時間1.8秒が「25」%、1.2秒が「50」%、0.9秒が「25」%、設定3であれば、開放時間1.8秒が「25」%、1.2秒が「25」%、0.9秒が「50」%、の選択率が振分られている。このように、小当たりでの大入賞部14の開放時間が複数パターン設定されると共に、設定値モードに応じて振分確率を異ならせているため、遊技者は、その開放時間乃至開放パターンから設定値モードの設定を予測することができる。このように、大入賞部14は、設定1(高設定)ほど開放時間が長くなる確率が高くなる(玉を入賞させ易く遊技者に有利になる)ため、設定値モードに応じて特典を付与する入賞部14(第2入賞部)として把握することもできる。
【0047】
上記の主制御回路10により実行される特図保留読出処理の流れについて
図7も参照しながら説明する。ここで、主制御回路10は、第1入賞部13a或いは第2入賞部への入賞を検知すると、前記抽選手段としての抽選結果或いは前記特典付与手段としての抽選結果を特図保留として、それぞれ設定された上限保留数まで記憶し、
図2に示す前記特図保留表示部12a,12bに、当該上限保留数(各入賞部13a,13bについてそれぞれ4個)まで表示させるものとする。
【0048】
主制御回路10は、
図7の特図保留読出処理において、上記の特図保留が記憶されていると判定すると(S1:YES)、大当たり状態の発生中か否かを判定する(S2)。主制御回路10は、大当たり状態の発生中でないと判定すると(S2:NO)、図柄変動中(特図変動中)か否かを判定する(S3、つまり特図表示部16aで図柄変動を実行しているか否かを判定する)。なお、主制御回路10は、特図保留が記憶されていないとき、大当たり状態の発生中のとき、又は図柄変動中のとき(S1:NO、S2:YES、又はS3:YES)、特図保留を読み出すことなく、この処理を終了する(リターンする)。
【0049】
主制御回路10は、図柄変動中でないと判定すると(S3:NO)、第1入賞部13a及び第2入賞部13bへの入賞に基づく特図保留をそれぞれ記憶しているか否かを判定する(S4)。主制御回路10は、これら入賞部13a,13bへの入賞に基づく特図保留をそれぞれ記憶していると判定すると(S4:YES)、予め定められた順序でそれら特図保留を読み出すと共に、特図保留の読み出しに応じて当該保留数を減少させる(S5)。つまり、この場合、第1入賞部13aへの入賞に基づく特図保留と第2入賞部13bへの入賞に基づく特図保留とを交互に1つずつ読み出すように順序が規定されていて、それら特図保留の読み出しが前回と今回で互い違いになる。なお、前回と今回で互い違いになるように、第1入賞部13a及び第2入賞部13bのうちいずれの入賞部の特図保留を読み出すかを決定した後、その決定した入賞部の特図保留のうち記憶された時点が最も古い特図保留を読み出す構成になっている。
【0050】
これに対し、主制御回路10は、例えば第1入賞部13aへの入賞に基づく特図保留しか記憶していない場合(S4:NO)、その特図保留のうち記憶された時点が最も古い特図保留を読み出し、当該特図保留の読み出しに応じて保留数を減少させる(S6)。
【0051】
この後、主制御回路10は、読み出された特図保留について大当たりの当否を判定する(S7、リターンする)。これにより、表示制御回路27は、液晶表示部12(演出実行手段)の表示制御により、当該判定結果に対応した演出(図柄変動処理)を実行する。なお、主制御回路10は、当否判定の結果に応じた特図表示部16aでの図柄変動時間を決定すると共に、当否判定の結果及び図柄変動時間を表示制御回路27に送信する。表示制御回路27は、当否判定の結果、及び図柄変動時間に基づいて演出(図柄変動)を実行するようになっている。
【0052】
<2.管理装置側の構成>
図9は、機種Aの「出玉率テーブル」と、その「運用」とをそれぞれ表すデータであって、管理装置6の記憶部40m(記憶手段)に記憶され、モニタ8における液晶表示部の画面90で図表として表わされるデータを示している。この画面90には、「出玉率ランキング」ボタン90aが設けられている。
【0053】
先ず、出玉率テーブルは、遊技機1の機種毎に、上記した「設定1~3」の設定値モードと遊技機1の「傾斜角度」と「出玉率」とを相互に対応付けて記憶した記憶テーブルである。ここでの設定値モードも、高設定値を表す設定1と、当該高設定値よりも特別遊技状態の発生頻度が低い低設定値を表す設定2,3とが含まれる。尚、設定2は、設定3との関係では高設定値を表すものともいえる。
【0054】
出玉率テーブルにおける「傾斜角度」は、遊技機1の高さ方向と鉛直方向と、のなす角αであり、
図8の模式図では、傾斜角度αを誇張して示している。傾斜角度αは、同図の鉛直方向の仮想線分L1に対する遊技機1全体の傾き角度で表され、遊技機1を設置した際の傾斜度合に相当する。
図9では、傾斜角度αについて、0.5度、0.625度、0.75度、0.875度、1度を例示しており、遊技機1は、それら傾斜角度αに応じて入賞部13a,13b等への玉の入賞頻度が変化するようになっている。
【0055】
出玉率テーブルの「出玉率」は、遊技領域9aに発射した玉の数に対して遊技者に付与した玉の数の割合に対応する。つまり、出玉率とは、前記セーフの累計値と、そのセーフを発生させるために遊技者が使用した玉の使用数(前記アウト)の累計値との割合であり、累計セーフ/累計アウト×100の値に相当する。それ故、
図9の出玉率の値「94.0」~「104.5」%は、当該出玉率について、高設定1ほど高く、又、傾斜角度αが大きいほど高くなる傾向を、当該設定1~3乃至角度αとの関係で個別具体的に表すものといえる。
【0056】
機種Aにおいて、設定1での出玉率は、傾斜角度αが比較的小さいとき、設定2の出玉率(最大値「102.5」)を下回ることがある。また、設定2の出玉率も、傾斜角度αが比較的小さいとき、設定3の出玉率(最大値「100.5」)を下回ることがある。さらに、設定1の出玉率は、傾斜角度α如何によっては設定3の出玉率(最大値「100.5」)を下回ることがある。
【0057】
そこで、管理装置6において、出玉率テーブルを画面90で表示する場合、傾斜角度によって設定2よりも出玉率が低くなる設定1の出玉率の表示欄、及び設定3よりも出玉率が低くなる設定2の出玉率の表示欄の背景をそれぞれ網掛け表示すると共に、設定3よりも出玉率が低くなる設定1の出玉率の表示欄については、当該網掛け表示に加え、太枠で囲って強調する。このように、管理装置6の制御部40及びモニタ8は記憶テーブル表示手段として、高設定1,2の出玉率について傾斜角度αによっては低設定2,3の出玉率よりも低くなる値と、いずれの傾斜角度αであっても低設定2,3の出玉率よりも高くなる値とを、網掛け表示で画面90上区別し、又、傾斜角度αによって2段階下の設定3よりも出玉率が低くなる値を、さらに太枠で区別した状態で、出玉率テーブルの情報を遊技場の管理者に表示する。
【0058】
画面90下側の「運用」の図表においては、「傾斜角度」及び「設定値」のそれぞれの欄の値を、台番毎に、遊技場の管理者がキーボード7等を操作することで手入力可能となっている。この手入力により、管理装置6は特定手段として、該当する遊技機1を設置した際の傾斜角度αの値、及び当該遊技機1の設定操作部26で選択した設定「1~3」の値を特定する。このとき、管理装置6は、出玉率テーブルに基づいて、特定した傾斜角度αの値及び設定1~3の値に対応付けられた出玉率を照合し、「運用」の「出玉率」の欄に該当する出玉率の値を表示する。このように、管理装置6の制御部40及びモニタ8は出率表示手段として、傾斜角度α及び設定1~3を入力した遊技場の管理者に対して該当する出玉率を自動的に表示する。
【0059】
画面90上側において「出玉率テーブル」中のいずれかの出玉率の欄を、遊技場の管理者が指定すると(例えばマウスでクリックすると)、その内訳を表す
図10の画面100に遷移する。この画面100では、指定された出玉率に対応する「設定値」及び「傾斜角度」が各欄101に表示される。
【0060】
また、この画面100では、「累計アウト」「累計セーフ」及び「出玉率」のそれぞれについて、予め管理装置6が外部(例えばチェーン店本部や遊技機メーカ等)の管理サーバからダウンロードした、当該機種Aの遊技機1についてのデフォルト値が各欄102に表示される。従って、前の
図9の画面90における「出玉率テーブル」の各出玉率も予めデフォルト値として規定されたものである。尚、
図10の画面100の「大当たり確率」「スタート(250玉発射したときの図柄変動の回数)」「15R大当たり出玉数」及び「10R大当たり出玉数」についても、予め外部の管理サーバからダウンロードした値が各欄103に表示される。
【0061】
そして、管理装置6は、全機種の遊技機1についての、遊技者が遊技を行った遊技結果に関する遊技情報を集計するようになっており、係る集計結果に基づいて、遊技者が遊技機1にて遊技を行った場合の実際の出玉率を特定する。この場合、管理装置6は、機種Aの遊技機1が遊技場に設置された後、特定される当該機種Aの出玉率、並びに設定1~3及び傾斜角度αの特定結果に基づいて、出玉率テーブルにおける設定1~3及び傾斜角度αに対応付けられた出玉率を更新する。
【0062】
具体的には、機種Aの遊技機1について、当初の累計アウト及び累計セーフのデフォルト値は100000及び99500であるが(
図10参照)、当該遊技機1の設置後にその遊技場で累計アウト100000及び累計セーフ100500の集計結果が得られると、これをデフォルト値にそれぞれ加算することで累計アウト200000及び累計セーフ200000となり、出玉率は100%に更新されることとなる。
【0063】
この点、上記した傾斜角度αは「0.5~1」度といった比較的小さい値の範囲で設定されるため、各遊技場において遊技機1を実際に設置する島等の状況或いは実際の傾斜角度αの僅かなズレ等に起因して、遊技領域9aでの玉の流下態様が変化し、出玉率に影響を及ぼすものとしても、管理装置6により、累計アウト及び累計セーフのデフォルト値に、実際の稼動結果(アウト及びセーフ)を累計して
図9の出玉率テーブルやその内訳(
図10の各欄102)出玉率を更新していくことで、より正確なデータの管理が可能とされている。
【0064】
尚、
図10の画面100は、同画面100の右下隅に設けられた「戻る」ボタン100aがクリックされると、前の画面90に復帰する。また、
図9の画面90の「出玉率ランキング」ボタン90aがクリックされると、
図11の画面110に遷移する。
【0065】
図11の画面110では、出玉率を高い順に並べ替えた出玉率テーブルを表示する。
管理装置6において、この画面110を表示する際、設定2の中で、設定1よりも出玉率が高く、かつ最も出玉率が高くなっている値を特定して、該当する表示欄の背景を網掛け表示すると共に太枠で囲う表示を行う。同様に区別した表示とすべく、設定3の中で、設定2よりも出玉率が高く、かつ最も出玉率が高くなっている値を特定して、網掛け表示と太枠で囲う表示を行う。
【0066】
また、設定2の中で、設定1よりも出玉率が高く、かつ2番目に出玉率が高くなっている値を特定して、該当する表示欄を太枠で囲うことなく背景のみ網掛け表示する。同様に区別した表示とすべく、設定3の中で、設定2よりも出玉率が高く、かつ2番目に出玉率が高くなっている値を特定して、該当する表示欄の背景のみ網掛け表示する。尚、図示は省略するが、高設定の出玉率がいずれの傾斜角度αでも低設定の出玉率を下回ることがない場合には太線で囲む表示等はしないようになっている。
【0067】
以上の実施形態によれば、次のような効果を奏する。
「1.遊技機1側の構成」で述べたように、設定値モードに応じて第2入賞部13bに対する切替部材20の切替態様が変化するので、遊技者がその切替態様から何れの設定値モードであるのかを推測することができる。これにより、遊技機1の液晶表示部12における演出だけでなく第2入賞部13bの切替態様にも遊技者が注意を払うことになり、遊技が単調化することを抑制できる。このように遊技機1における遊技の単調化を抑制しつつ、設定値モードの示唆を実行することができる。
【0068】
特別遊技領域9sを通過した玉が第1入賞部13a及び第2入賞部13bに入賞可能なため、特図保留の保留数を第1入賞部13aの分と第2入賞部13bの分の合計まで増加させることができる。また、第1入賞部13a及び第2入賞部13bへの振分率によっていずれの設定値モードであるのかを予測することが可能になり、特別遊技領域9sを通過した玉の動きに対して遊技者に注目させることが可能になる。
【0069】
第1入賞部13aに玉が入賞した場合よりも第2入賞部13bに玉が入賞した場合の方が、遊技者の有利度が高くなる。これにより、設定値モードの推測に用いるだけでなく、第2入賞部13bに玉が入賞した方が有利なため、第2入賞部13bに入賞するか否かへの遊技者の注自度を高めることができる。
【0070】
「2.管理装置側の構成」で述べたように、遊技機1の設定値モードと傾斜角度αとに対応付けられた出玉率を表示するので、遊技場側で設定値モードに対応した出玉率を把握し易くなる。
【0071】
傾斜角度αに応じて出玉率が変化するため、設定値モードが高設定になっていても出玉率は低設定よりも低くなることがある。本構成であれば、高設定を選択した場合に、低設定よりも出玉率を低くするための傾斜角度αを遊技場側で把握し易くなる。これにより、遊技場側で高設定を選択しつつも、遊技場側の利益を確保し易くなる。
また、出玉率テーブルを実際の値に応じて更新することが可能になり、遊技場側で設定値モード及び傾斜角度αに対応した出玉率を正確に把握し易くなる。
【0072】
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせるようにしてもよい。
【0073】
例示した遊技機1とは異なる遊技機に本発明を適用してもよい。例えば、玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射し、玉が入賞部に入賞した場合に遊技価値として得点を付与する封入式パチンコ遊技機が考えられる。この場合、発射した玉の数と付与した得点との割合から出玉率を算出すればよい。なお、発射した玉の数は、消費した得点から間接的に特定することも可能である。
【0074】
設定1~3の3段階から設定値モードを選択可能な遊技機1を例示したが、2段階や6段階等、選択可能な設定値モードの数を変更してもよい。また、設定値モードに応じた当選確率を任意に変更してもよく、例えば、通常状態及び高確率状態における大当たり当選確率は各設定値モードで同じだが、高設定ほど確変状態の発生率が高くなることで大当たり状態が発生し易くなる構成が考えられる。
【0075】
特別遊技状態として、大当たり状態を例示したが、大当たり状態に代えて又は加え、確変状態や時短状態等の他の遊技状態を特別遊技状態として適用することも可能である。
第2入賞部13bに玉が入賞した場合に遊技者に付与する特典として、特別遊技状態の抽選の実行並びに所定玉数の付与を例示したが、上記のように他の遊技状態を特別遊技状態として適用することはもとより、その特別遊技状態と所定玉数の付与とのいずれか一方を特典の付与とする等、特典の内容を変更してもよい。
【0076】
特別遊技状態に係る抽選結果を液晶表示部12にて表示する構成にしたが、その抽選結果を7セグメント表示装置やドラム(リール)にて表示する等、抽選結果に応じて演出の内容を適宜変更してもよい。
【0077】
上限保留数は、上記した4個に代えて1個にする構成や3個にする構成にしてもよい。また、第1入賞部13aと第2入賞部13bとで対応する上限保留数を異ならせてもよい。
【0078】
第1入賞部13a及び第2入賞部13bへの入賞に基づくそれぞれの特図保留を交互に読み出す構成にしたが、読み出す順序を任意に変更してもよい。
第1入賞部13a及び第2入賞部13bのうち、第2入賞部13bに玉が入賞した方が大当たり状態のラウンド数が多くなり易い構成にしたが、大当たり状態のラウンド数が多くなり易くする必要はなく、大当たり状態が発生した場合のラウンド数の期待度が同じでもよいし、第2入賞部13bの方が少なくなり易い構成にしてもよい。
【0079】
特別遊技領域9sを通過した玉の第1入賞部13a及び第2入賞部13bへの振分率を任意に変更してもよく、例えば設定1だと80%の割合で第2入賞部13bに振り分け、設定3だと50%の割合で第2入賞部13bに振り分ける構成が考えられる。
【0080】
切替部材20が第1位置で右の通路19bを閉鎖している場合、第2入賞部13bに玉が入賞できない構成にしたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば切替部材20で右の通路19bを閉鎖していても、その通路19bを玉が通過可能であるが閉鎖していない場合に比べて通過しにくい構成にしてもよい。つまり、入賞抑制状態には、第2入賞部13bに玉が入賞可能であるが入賞許容状態よりも玉が入賞しにくい構成が含まれる。
【0081】
切替部材20が通路19a,19bを閉鎖することで入賞抑制状態と入賞許容状態とに切り替わるものであったが、各状態への切替方法は任意に変更してもよく、例えば磁力や風力によって玉を吸引することで玉の流下方向を第2入賞部13b側に変化させることで玉が第2入賞部13bに入賞し易い入賞許容状態へと切り替える構成にしてもよい。
【0082】
特別遊技領域9sを通過した玉が第1入賞部13a及び第2入賞部13bのいずれかに入賞する構成にしたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、第1入賞部13aと第2入賞部13bとが相互に影響を及ぼさない程度に離間した位置に配設されていてもよい。
【0083】
玉が特別遊技領域9sを通過した場合における第1入賞部13a及び第2入賞部13bへの振分率によって設定値モードを示唆する構成にしたが、かかる構成に限定されるものではない。本構成に代えて、例えば大入賞部14を第2入賞部として捉え、大入賞部14の開閉パターンによって設定値モードを示唆する構成にしてもよい。
【0084】
電チュー17の開放パターンで設定値モードの示唆を実行するようにしてもよく、例えば電チュー17の開閉パターンが複数あり、設定値モードに応じて開閉パターンの選択率を異ならせるように構成してもよい。
【0085】
また、設定値モードの示唆方法として、例えば遊技者が所定数の玉を発射した場合に、設定値モードを示唆する演出を液晶表示部12にて実行する構成や、大当たり状態において大入賞部14が開放した場合に、大入賞部14の内部に表示する演出によって設定値モードを示唆する構成としてもよい。このような設定値モードを示唆する演出として、複数のキャラクタの中から抽選によって決定したキャラクタを、当該遊技機の表示手段に表示する構成とし、高設定ほど複数のキャラクタのうち所定のキャラクタの表示頻度が高くなるようにしてもよい。
【0086】
さらに、設定値モードの示唆方法を追加或いは変更してもよく、上記のように示唆する演出等とは別に、玉が所定領域を通過した場合に設定値モードの示唆を、追加的に或いは代替的に実行することも可能である。例えばスルー17sに発光部を設け、スルー17sを玉が通過した場合に設定値モードに応じた色で発光部が点灯する構成にしてもよい。点灯パターンとして、例えば、スルー17sを玉が通過した場合に赤色か青色で発光するものにあって、赤色と青色の発光比(赤色対青色)を、設定1の場合には60対40、設定2の場合には50対50、設定3の場合には40対60に設定してもよい。
【0087】
出玉率テーブルの記憶態様は任意に変更してもよい。つまり、傾斜角度αと設定値モードと出玉率との関係が特定できる情報を記憶してれば、記憶テーブルを記憶していることに該当する。また出玉率テーブルの表示態様を変更してもよく、例えば横軸を出玉率、縦軸を傾斜角度αとする設定値モード別のグラフ乃至図表を画面表示する構成にしてもよい。
【0088】
遊技場の管理者が入力した傾斜角度α及び設定値モードに対応した出玉率を出玉率テーブルと同一画面90上で表示する構成にしたが別画面でそれぞれ表示する構成にしてもよい。
【0089】
出玉率テーブルを表示する場合、設定1(高設定)での出玉率について、傾斜角度αによっては設定2や3(低設定)の出玉率よりも低くなる値と、いずれの傾斜角度であっても低設定の出玉率よりも高くなる値とを区別して表示する構成にしたが、区別して表示する方法を変更してもよく、例えば両者の値について、点滅表示の有無や太字表示の有無等で区別してもよい。また、出玉率の高低によっては表示態様で区別しない構成にすることも可能である。
【0090】
出玉率テーブルは予めダウンロードし、その出玉率テーブルを基準とし、収集したデータを追加して出玉率を更新する構成にしたが、本構成に代えて出玉率テーブルを収集したデータのみで作成する構成や、予めダウンロードした出玉率テーブルから更新しない構成を採ることも可能である。さらには、所定量のデータ(例えば累計アウト100000)を収集するまではダウンロードした出玉率テーブルを参照し、所定量のデータを収集した後は、当該収集したデータのみに基づく出玉率テーブルを作成し、参照する構成にしてもよい。
【0091】
傾斜度合を傾斜角度αとして数字で表示する構成にしたが、「大」「中」「小」等、数字でない表現で傾斜度合を表すようにしてもよい。また、傾斜度合は、
図8の鉛直方向の仮想線分L1に対する、遊技機1の下部前端と上部前端との水平方向のズレ量で表現する構成を採用してもよい。
【0092】
上記した各数値は例示であり、例えば上記した具体的な切替部材20の閉鎖時間の値や、選択率の値、累計アウト及び累計セーフのデフォルト値等を適宜の値に設定する等、どのような数値を採用してもよいことは勿論である。
【0093】
尚、以上に例示した実施形態からは以下の特徴を抽出することも可能である。
複数段階の設定値の中から遊技場の管理者が選択した設定値に応じて遊技者に有利な特別遊技状態が発生する頻度が変化すると共に、設置した際の傾斜度合に応じて入賞部への玉の入賞頻度が変化し、当該入賞部に玉が入賞した場合に、玉又は得点である遊技価値を遊技者に付与する遊技機を管理する遊技機管理装置において、
前記設定値と、前記傾斜度合と、発射した玉の数に対して遊技者に付与した遊技価値の数の割合に対応した出率とを対応付けた記憶テーブルを記憶する記憶手段と、遊技場の管理者が遊技機に対して選択した設定値、及び当該遊技機を設置した際の前記傾斜度合を特定する特定手段と、前記記憶テーブルに基づいて、前記特定手段が特定した前記設定値及び前記傾斜度合に対応付けられた前記出率を遊技場の管理者に対して表示する出率表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0094】
前記複数段階の設定値には、高設定値と、当該高設定値よりも前記特別遊技状態の発生頻度が低い低設定値とが含まれており、前記高設定値の前記出率について前記傾斜度合によっては前記低設定値の前記出率よりも低くなる値と、いずれの前記傾斜度合であっても前記低設定値の出率よりも高くなる値とを区別した状態で、前記記憶手段が記憶する前記記憶テーブルの情報を遊技場の管理者に表示する記憶テーブル表示手段を備えたことを特徴とする。
【0095】
遊技者が遊技を行った遊技結果に関する遊技情報を集計する集計手段と、前記集計手段の集計結果に基づいて、遊技者が遊技機にて遊技を行った場合の実際の前記出率を特定する出率特定手段と、前記出率特定手段及び前記特定手段の特定結果に基づいて、前記記憶テーブルにおける前記設定値及び前記傾斜度合に対応付けられた前記出率を更新する出率更新手段と、を備えたことを特徴とする。
【符号の説明】
【0096】
図面中、1は遊技機、6は管理装置(遊技機管理装置、記憶手段、特定手段、出率表示手段、集計手段、出率特定手段、出率更新手段)、8はモニタ(出率表示手段、記憶テーブル表示手段)、10は主制御回路(設定値記憶手段、抽選手段、特別遊技状態発生手段、特典付与手段、保留記憶手段、読出手段、当否判定手段)、9sは特別遊技領域、10mは記憶部(設定値記憶手段、保留記憶手段)、12は液晶表示部(演出実行手段)、13aは第1入賞部、13bは第2入賞部、20は切替部材(切替手段)、26は設定操作部(操作手段)、27は表示制御回路(演出実行手段)、40mは記憶部(記憶手段)である。