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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】スピンドルモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220209BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20220209BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20220209BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20220209BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K21/14 M
H02K3/50 A
H02K3/04 J
G11B33/12 306B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017251856
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019118218
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 忠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-189157(JP,A)
【文献】特開2016-135076(JP,A)
【文献】特開2012-005255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
H02K 21/00-21/48
H02K 1/27
H02K 3/50
H02K 3/04
G11B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータのコイルの引出線を外部に引き出す貫通孔が形成されたベースプレートと、
前記貫通孔と対応する位置に設けられた接続孔を介して前記引出線と接続され、前記ベースプレートの外側に接着固定されるフレキシブルプリント基板とを備え、
前記ベースプレートは、前記外側に、前記フレキシブルプリント基板のボイスコイルモータ側端部と当接するように前記外側から突出するボイスコイルモータ側の当接部と、前記貫通孔と前記ボイスコイルモータ側の当接部との間に少なくとも1つ形成された凹部である収容凹部とを備え、
前記収容凹部は、前記フレキシブルプリント基板の一部が収容されるようになっていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記収容凹部および前記ボイスコイルモータ側の当接部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記ベースプレートの前記外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、
前記傾斜面にも前記収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記ボイスコイルモータ側の当接部が形成されており、
前記ベースプレートの外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、
前記平面と前記傾斜面との接続部分をまたいで前記収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記ボイスコイルモータ側の当接部が形成されており、
前記ベースプレートの前記外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、
前記傾斜面に前記収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記収容凹部の底面は、前記ベースプレートの前記外側の平面となだらかに接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記ベースプレートは、前記外側に、前記フレキシブルプリント基板のスピンドルモータ側端部と当接するように前記外側から突出するスピンドルモータ側の当接部を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のスピンドルモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハードディスク駆動装置のハードディスクを回転させるために種々のスピンドルモータが用いられている。このようなスピンドルモータは、例えば、ベースプレートと、ベースプレートにスリーブを介して支持されたシャフトと、ベースプレートに固定されたステータと、シャフトに固定されたロータとを有している。スピンドルモータは、例えば、ベースプレートの外側にフレキシブルプリント基板(以下、FPC基板ともいう)が貼り付けられて固定されている(例えば、特許文献1参照)。また、スピンドルモータは、ステータのコイルの引出線が、ベースプレートに形成された引出線用孔およびFPC基板に形成された接続孔を通じて外部に引き出され、FPC基板の半田付パッドに半田付けされ接続されている。FPC基板は、フィルム状の絶縁体からなる基材(絶縁層)に銅箔等で所定の配線(導電層)が形成されており、この配線と接続された引出線を介してステータのコイルに電流を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-234602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハードディスク駆動装置には、図6に示すスピンドルモータ200のように、ベースプレート201に、FPC基板202の両端の位置決め用の壁部203を有しているものがある。FPC基板202には2か所以上の電源供給用のパッド(端子)がある。ベースプレート201に対してそのパッドの位置精度を維持するために、FPC基板202の延び方向両端を2か所以上で位置決め用の壁部203によってFPC基板202の位置ずれを抑制している。FPC基板202の延び方向の長さは、ばらつきにより位置決め用の壁部203間の長さよりも長くなってしまう場合がある。この場合、FPC基板202がベースプレート201から剥離して浮いてしまう。なお、FPC基板202の浮いてしまった箇所が引出線用孔204近辺であると、引出線用孔204から気体が漏れてハードディスク駆動装置内の気密性が損なわれるおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、ベースプレートからFPC基板が浮いてしまうのを防止することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るスピンドルモータは、ステータのコイルの引出線を外部に引き出す貫通孔が形成されたベースプレートと、前記引出線と接続され、前記ベースプレートの外側に接着固定されるフレキシブルプリント基板とを備える。前記ベースプレートは、前記外側に、前記フレキシブルプリント基板の一端側と当接するように前記外側から突出する一端側当接部と、前記フレキシブルプリント基板の他端側と当接するように前記外側から突出する他端側当接部と、前記一端側当接部と前記他端側当接部との間に少なくとも1つ形成された凹部である収容凹部とを備える。前記一端側当接部は、前記他端側当接部よりも前記貫通孔の近くに形成されており、前記収容凹部は、前記フレキシブルプリント基板の一部が収容されるようになっている。
【0007】
本発明の一態様に係るスピンドルモータにおいて、前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記収容凹部および前記他端側当接部が形成されている。
【0008】
本発明の一態様に係るスピンドルモータにおいて、前記ベースプレートの前記外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、前記傾斜面にも前記収容凹部が形成されている。
【0009】
本発明の一態様に係るスピンドルモータにおいて、前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記他端側当接部が形成されており、前記ベースプレートの外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、前記平面と前記傾斜面との接続部分をまたいで前記収容凹部が形成されている。
【0010】
本発明の一態様に係るスピンドルモータにおいて、前記ベースプレートの前記外側には平面が形成されており、前記平面に前記他端側当接部が形成されており、前記ベースプレートの前記外側には前記平面に続く傾斜面が形成されており、前記傾斜面に前記収容凹部が形成されている。
【0011】
本発明の一態様に係るスピンドルモータにおいて、前記収容凹部の底面は、前記ベースプレートの前記外側の平面となだらかに接続されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスピンドルモータによれば、ベースプレートからFPC基板が浮いてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係るスピンドルモータを備えたハードディスク駆動装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るスピンドルモータの構成を概略的に示す部分拡大断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るスピンドルモータの構成を概略的に示す底面図である。
図4図4(a)は、本発明の実施の形態に係るスピンドルモータの収容凹部の構成を概略的に示す断面図であり、図4(b)は、本発明の実施の形態に係るスピンドルモータの変形例における収容凹部の構成を概略的に示す断面図である。
図5図5(a)~(c)は、本発明の実施の形態に係るスピンドルモータの変形例における収容凹部の構成を概略的に示す断面図である。
図6】従来のスピンドルモータの構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るスピンドルモータ1を備えたハードディスク駆動装置100の構成を概略的に示す断面図である。図2は、スピンドルモータ1の構成を概略的に示す部分拡大断面図である。図3は、スピンドルモータ1の構成を概略的に示す底面図である。図4(a)は、スピンドルモータ1の収容凹部30の構成を概略的に示す断面図であり、図4(b)は、スピンドルモータ1の変形例における収容凹部30の構成を概略的に示す断面図である。以下、説明の便宜上、図1におけるスピンドルモータ1の中心軸線Y1に沿って延びる方向を矢印ab方向とし、矢印a方向を上側、矢印b方向を下側とする。また、図1におけるスピンドルモータ1の長手方向を矢印cd方向とし、矢印c方向を左側、矢印d方向を右側とする。以下の説明において、各部材の位置関係や方向を上下左右を用いて説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
【0016】
本発明の実施の形態に係るスピンドルモータ1は、ステータ42のコイル44の引出線45を外部に引き出す貫通孔15が形成されたベースプレート10と、引出線45と接続され、ベースプレート10の外側(下側(矢印b方向))に接着固定されるFPC(Flexible printed circuits)基板20とを備える。ベースプレート10は、外側に、FPC基板20の一端側と当接するように外側から突出する一端側当接部としてのスピンドルモータ側壁部12と、FPC基板20の他端側と当接するように前記外側から突出する他端側当接部としてのボイスコイルモータ側壁部13と、スピンドルモータ側壁部12とボイスコイルモータ側壁部13との間に少なくとも1つ形成された凹部である収容凹部30とを備える。スピンドルモータ側壁部12は、ボイスコイルモータ側壁部13よりも貫通孔15の近くに形成されており、収容凹部30は、FPC基板20の一部が収容されるようになっている。以下、スピンドルモータ1の構成について具体的に説明する。
【0017】
図1に示すように、スピンドルモータ1を備えたハードディスク駆動装置100には、スピンドルモータ1のベースプレート10内を密閉して塵や埃等が極度に少ない清浄な空間を形成するカバー101が設けられている。カバー101とベースプレート10とにより、ハードディスク駆動装置100の筐体が形成される。カバー101とベースプレート10とにより形成される内部空間には、気体が充填されている。気体としては、例えば、空気やヘリウム等である。後述するロータ部50のロータハブ51の外周面には、ハードディスク(記録ディスク)102が一枚装着されている。
【0018】
ハードディスク102は、回転軸の上端部(矢印a方向)に、加工された軸方向ねじ孔にセンターピン103を螺合してクランプ部材104を固定することにより、ロータハブ51に固定されている。これにより、ハードディスク102は、ロータハブ51と一体に回転するようになっている。なお、本発明の実施の形態では、ハードディスク102がロータハブ51に一枚装着された構成となっているが、ハードディスク102の枚数はこれに限定されるものではない。
【0019】
また、ハードディスク駆動装置100は、ハードディスク102に対して情報の書込み及び/又は読出しを実行する磁気ヘッド105と、磁気ヘッド105を支持するアーム106と、磁気ヘッド105及びアーム106を所要の位置に移動させるボイスコイルモータ107とを備えている。ボイスコイルモータ107は、コイル108と、コイル108に対向して設けられたマグネット109とを有している。
【0020】
磁気ヘッド105は、ベースプレート10の所定の箇所に、旋回自在に支持されるように固定されたアクセス部110の先端に取り付けられている。磁気ヘッド105は、例えば、一枚のハードディスク102に対して、この一枚のハードディスク102を挟むように配置され、ハードディスク102の両面に対して情報の書込み及び/又は読み出しを行うようになっている。なお、本発明の実施の形態では、ハードディスク102が一枚の構成となっているため、磁気ヘッド105は一対設けられているが、ハードディスク102の枚数はこれに限定されるものではなく、構成に応じてハードディスク102毎に磁気ヘッド105が設けられてもよい。
【0021】
図2に示すように、スピンドルモータ1は、ステータ部40と、ロータ部50と、潤滑剤(不図示)の流体動圧を利用する流体動圧軸受機構(以下、軸受機構)60とを備えている。スピンドルモータ1では、ロータ部50が軸受機構60を介してステータ部40に対して回転可能に支持されている。
【0022】
ステータ部40は、ハードディスク駆動装置100の筐体の一部であるベースプレート10と、ベースプレート10の円筒状のボス部41の外周に取り付けられたステータ42とを備えている。ステータ42は、ステータコア43にコイル44が巻回されて構成されている。ベースプレート10の外側(下側(矢印b方向))の面である下側面10aには、FPC基板20が貼り付けられている。後述するFPC基板20の出力端27より制御電流がステータ42に供給されるようになっている。
【0023】
ロータ部50は、ハードディスク102が取り付けられる有蓋略円筒状のロータハブ51と、ロータハブ51の円筒部の内側に固定されている円筒状のヨーク52と、ヨーク52の内側に固定されている多極着磁されたロータマグネット53とを備えている。また、ロータハブ51の中央に形成される孔部54には、軸受機構60のシャフト部61の上端(矢印a方向)が固定されている。
【0024】
軸受機構60は、シャフト部61と、シャフト部61が挿入されるスリーブ部62と、シャフト部61とスリーブ部62との間に形成される隙間69~71(後述)に充填された潤滑剤(不図示)とを備えている。シャフト部61は、シャフト63と、スラストプレート64とを備えている。スラストプレート64は、シャフト63の下端(矢印b方向)に取り付けられて、径方向外方へと広がる円板状に形成されている。スリーブ部62は、シャフト63が挿入される略円筒状のスリーブ65と、スリーブ65の下端(矢印b方向)に取り付けられたカウンタプレート66とを備えている。
【0025】
スリーブ部62は、ベースプレート10のボス部41の内側に固定されている。スリーブ65の下部(矢印b方向)には、径の大きい第1凹部67が形成されるとともに、第1凹部67の上側(矢印a方向)には第1凹部67よりも径の小さい第2凹部68が形成されている。スリーブ部62では、スリーブ65の第1凹部67にカウンタプレート66が嵌め込まれ、第2凹部68とカウンタプレート66との間に形成される空間には、シャフト部61のスラストプレート64が収容されている。
【0026】
軸受機構60では、スリーブ65とシャフト63との間に形成される隙間69と、スリーブ65とスラストプレート64との間に形成される隙間70と、スラストプレート64とカウンタプレート66との間に形成される隙間71とが連通し、これらの隙間69~71に潤滑剤(不図示)が充填されている。
【0027】
スリーブ65とシャフト63とが互いに対向するそれぞれの面のいずれか一方には、潤滑剤の流体動圧を発生するラジアル動圧溝(不図示)が形成されている。また、スリーブ65とスラストプレート64とが互いに対向するそれぞれの面のいずれか一方には、潤滑剤の流体動圧を発生するスラスト動圧溝(不図示)が形成されている。また、スラストプレート64とカウンタプレート66とが互いに対向するそれぞれの面のいずれか一方には、潤滑剤の流体動圧を発生するスラスト動圧溝(不図示)が形成されている。
【0028】
なお、ラジアル動圧溝やスラスト動圧溝は、例えば、ヘリングボーン状やスパイラル状に形成されている。このような軸受機構60により、スピンドルモータ1の駆動時には、シャフト部61がスリーブ部62に対して径方向及び軸線方向に非接触にて支持され、ロータ部50がステータ部40に対して回転するようになっている。
【0029】
図2,3に示すように、ベースプレート10の下側面10aには、スピンドルモータ1側からボイスコイルモータ107側に向かって延びており、ベースプレート10の上側(矢印a方向)に凹んだ凹部11が形成されている。ベースプレート10の凹部11には、スピンドルモータ1側に形成された一端側当接部としてのスピンドルモータ側壁部12と、ボイスコイルモータ107側に形成された他端側当接部としてのボイスコイルモータ側壁部13とが設けられている。
【0030】
凹部11の底部14は、スピンドルモータ側壁部12が形成されたスピンドルモータ側平坦面14aと、ボイスコイルモータ側壁部13が形成されたボイスコイルモータ側平坦面14bと、スピンドルモータ側平坦面14aとボイスコイルモータ側平坦面14bとを接続する傾斜面14cとを有している。スピンドルモータ側平坦面14aの端部と傾斜面14cの端部とはなだらかに接続されており、傾斜面14cの端部とボイスコイルモータ側平坦面14bの端部とはなだらかに接続されている。ボイスコイルモータ側平坦面14bは、スピンドルモータ側平坦面14aよりも上側(矢印a方向)に設けられている。傾斜面14cにおいてベースプレート10の厚さは、ボイスコイルモータ側平坦面14bからスピンドルモータ側平坦面14aに向かうに連れて厚くなっている。傾斜面14cは、スピンドルモータ側平坦面14aの端部からボイスコイルモータ側平坦面14bの端部に向かって上側(矢印a方向)に傾斜している。
【0031】
凹部11の底部14におけるスピンドルモータ側平坦面14aには、ステータ42のコイル44から引き出された4本の引出線45に対応して、ベースプレート10の下側面10aと上側面10bとの間でベースプレート10を貫通した4つの貫通孔15が形成されている。貫通孔15には、絶縁ブッシング16が配置されている。また、1つの貫通孔15には、引出線45が1本のみ通されている。なお、絶縁ブッシング16は、貫通孔15の内周面に圧入等の手段により固定されている。また、コイル44と引出線45とは、単一の部材から構成されているのが好ましい。
【0032】
凹部11内には、FPC基板20が粘着剤(不図示)により貼り付けられて固定されている。FPC基板20においては、例えば、ポリイミド等のフィルム状の絶縁体からなる絶縁層(基材)に銅箔等で導電層(配線)が形成されている。FPC基板20の表面には導電層の一部が露出してなるパッド(端子)が形成されている。また、FPC基板20の裏面には前もって粘着剤が圧着されており、この粘着剤によりベースプレート10の外側(下側(矢印b方向))にFPC基板20が接着固定されている。具体的にはFPC基板20は、凹部11の底部14に貼り付けられている。FPC基板20は、ベースプレート10の4つの貫通孔15に対応する位置に、FPC基板20の下側面20aと上側面20bとの間でFPC基板20を貫通した4つの接続孔23が形成されている。言い換えると、ベースプレート10の4つの貫通孔15のそれぞれに4つの接続孔23が連通するように位置合わせされてFPC基板20がベースプレート10の外側に接着固定される。
【0033】
ステータ42のコイル44から引き出された4本の引出線45は、それぞれ対応する4つの貫通孔15及び4つの接続孔23を通じてFPC基板20のパッド(導電層)に電気的に接続されて半田24により半田付けされている。FPC基板20の各接続孔23は、半田24により密閉されている。言い換えると、4つの接続孔23とそれぞれ連通する4つの貫通孔15は、FPC基板20のパッドで半田付けされた半田24(および場合によってはFPC基板20に圧着されている粘着剤)により密閉される。このため、ハードディスク駆動装置100の内部空間は、気密性が維持されるようになっている。なお、貫通孔15は、半田24に限らず、FPC基板20の接続孔23を封止するための接着剤により密閉されてもよい。
【0034】
FPC基板20におけるスピンドルモータ1側の端部であるスピンドルモータ側端部25は、スピンドルモータ側壁部12に当接又は近接されており、スピンドルモータ側壁部12の形状に合わせて形成されている。FPC基板20におけるボイスコイルモータ107側の端部であるボイスコイルモータ側端部26は、ボイスコイルモータ側壁部13に当接又は近接されており、ボイスコイルモータ側壁部13の形状に合わせて形成されている。FPC基板20は、スピンドルモータ側端部25がスピンドルモータ側壁部12の形状に合わせて当接又は近接され、ボイスコイルモータ側端部26がボイスコイルモータ側壁部13の形状に合わせて当接又は近接されて、凹部11内において所望の位置に位置合わせされるようになっている。スピンドルモータ側壁部12及びボイスコイルモータ側壁部13の形状は、FPC基板20を所望の位置に位置合わせできる形状であればよく、例えば、下側から上側を見た形状(断面形状)が直線状、L字状、T字状となっている。
【0035】
FPC基板20の下側面20aには、ボイスコイルモータ側端部26の近傍に外部と接続するための出力端27(パッド)が設けられている。また、FPC基板20の下側面20aには、スピンドルモータ側端部25の近傍にステータ42の導通を検査するための導通検査部28(パッド)が設けられている。
【0036】
ベースプレート10の凹部11の底部14には、ベースプレート10の上側(矢印a方向)に凹んだ収容凹部30が形成されている。収容凹部30は、例えば、底部14におけるボイスコイルモータ側平坦面14bに形成されており、下側から上側を見て矩形状又は略矩形状に形成されている。収容凹部30の幅は、FPC基板20の幅よりも大きくなっている。
【0037】
収容凹部30は、FPC基板20の延び方向に交差して延びる収容壁部31,32を有しており、例えば、図4(a)に示すように、収容凹部30の左側(矢印c方向)の壁部である左側収容壁部31及び収容凹部30の右側(矢印d方向)の壁部である右側収容壁部32は、それぞれ上下方向(矢印ab方向)に沿って又は平行に延びている。収容凹部30は、FPC基板20の一部が収容されるようになっている。
【0038】
図4(a)に示すように、FPC基板20の厚さをA、収容凹部30の深さをB、収容凹部30のスピンドルモータ1側からボイスコイルモータ107側に向かって延びる長さをCとする。FPC基板20の厚さAは、収容凹部30の深さBよりも小さくなっており、収容凹部30の深さBは、収容凹部30の長さCよりも小さくなっている。また、収容凹部30の深さBは、FPC基板20の厚さAの2倍よりも大きいことが望ましい。また、収容凹部30の長さCは、FPC基板20の厚さAの20倍よりも大きいことが望ましい。なお、図4(b)に示すように、収容凹部30の底面33は、ベースプレート10の下側面10aとなだらかに接続されており、左側収容壁部31及び右側収容壁部32は、テーパ状やR状となっていてもよい。
【0039】
このように、本発明の実施の形態に係るスピンドルモータ1では、ベースプレート10がスピンドルモータ側壁部12とボイスコイルモータ側壁部13との間に収容凹部30を備えており、収容凹部30がFPC基板20の一部を収容する。このため、FPC基板20の延び方向(長手方向)の長さがスピンドルモータ側壁部12とボイスコイルモータ側壁部13との間の長さよりも長くなっている場合であっても、FPC基板20の一部が収容凹部30に収容されることで、FPC基板20がベースプレート10から剥離して浮いてしまうことを防止することができる。その結果、ベースプレート10の4つの貫通孔15から気体が漏れてハードディスク駆動装置100内の気密性が損なわれるのを防止することができる。また、FPC基板20の浮き上がりを防止することで、ハードディスク駆動装置100をパーソナルコンピュータ等の装置に取り付ける際にそのFPC基板20がパーソナルコンピュータ等の装置に接触(干渉)してしまうのを防止することができる。
【0040】
また、スピンドルモータ1では、収容凹部30がベースプレート10の凹部11の底部14におけるボイスコイルモータ側平坦面14bに形成されている。このように、収容凹部30を4つの貫通孔15から傾斜面14cを介して離れて形成していることで、FPC基板20がベースプレート10から剥離して浮いてしまうのを更に有効に防止することができる。
【0041】
また、スピンドルモータ1では、上述のように、収容凹部30の底面33は、ベースプレート10の下側面10aとなだらかに接続されており、左側収容壁部31及び右側収容壁部32は、テーパ状やR状となっていてもよい。このように、左側収容壁部31及び右側収容壁部32をテーパ状としていることで、FPC基板20の長さがスピンドルモータ側壁部12とボイスコイルモータ側壁部13との間の長さよりも長くなっている場合に、FPC基板20の一部を更に収容凹部30に収容されやすくすることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0043】
例えば、スピンドルモータ1においては、収容凹部30がベースプレート10の凹部11の底部14におけるボイスコイルモータ側平坦面14bに形成されている場合を一例に本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、図5(a)~(c)に示すように、収容凹部30を種々の位置に形成してもよい。
【0044】
例えば、図5(a)に示すように、収容凹部30は、ボイスコイルモータ側平坦面14bと傾斜面14cとの接続部分をまたいで形成されていてもよい。接続部分ではFPC基板20も曲げられて貼り付けられることになるので、FPC基板20が剥離により浮いてしまうことが考えられる。しかしながら、接続部分に設けられた収容凹部30にFPC基板20の一部を収容させることで剥離によりFPC基板20が浮いてしまうのを防止することができる。また、図5(b)に示すように、収容凹部30は、傾斜面14cに形成されていてもよい。FPC基板20が、スピンドルモータ側壁部12(平坦面14a)およびボイスコイルモータ側壁部13(平坦面14b)の両側から貼り付けられていくと、これらの間の傾斜面14cでFPC基板20が剥離により浮いてしまうことが考えられる。しかしながら、傾斜面14cの収容凹部30にFPC基板20の一部を収容させることで剥離によりFPC基板20が浮いてしまうのを防止することができる。
【0045】
また、図5(c)に示すように、収容凹部30は、ボイスコイルモータ側平坦面14b及び傾斜面14cに形成されていてもよい。このように、収容凹部30をボイスコイルモータ側平坦面14b及び傾斜面14cに複数形成したことで、FPC基板20の長さが1ヶ所の収容凹部30では収容しきれなくなるおそれがある場合にも、FPC基板20の一部を2ヶ所の収容凹部30に収容してFPC基板20がベースプレート10から剥離して浮いてしまうのを有効に防止することができる。
【0046】
また、スピンドルモータ1においては、凹部11内にFPC基板20が粘着剤により貼り付けられて固定されている場合を一例に本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、凹部11を有していなくてもよい。この場合、ベースプレート10からスピンドルモータ側壁部12及びボイスコイルモータ側壁部13が立設されており、FPC基板20は、スピンドルモータ側端部25がスピンドルモータ側壁部12の形状に合わせて当接され、ボイスコイルモータ側端部26がボイスコイルモータ側壁部13の形状に合わせて当接されて、所望の位置に位置合わせされるようになっている。また、ベースプレート10に立設されるスピンドルモータ側壁部12及びボイスコイルモータ側壁部13に限らず、他の位置決め部材(例えばピン)によって、FPC基板の位置決めを行うこともできる。
【符号の説明】
【0047】
1…スピンドルモータ、10…ベースプレート、10a…下側面、10b…上側面、11…凹部、12…スピンドルモータ側壁部、13…ボイスコイルモータ側壁部、14…底部、14a…スピンドルモータ側平坦面、14b…ボイスコイルモータ側平坦面、14c…傾斜面、15…貫通孔、16…絶縁ブッシング、20…FPC基板(フレキシブルプリント基板)、20a…下側面、20b…上側面、23…接続孔、24…半田、25…スピンドルモータ側端部、26…ボイスコイルモータ側端部、27…出力端、28…導通検査部、30…収容凹部、31…左側収容壁部、32…右側収容壁部、40…ステータ部、41…ボス部、42…ステータ、43…ステータコア、44…コイル、45…引出線、50…ロータ部、51…ロータハブ、52…ヨーク、53…ロータマグネット、54…孔部、60…軸受機構、61…シャフト部、62…スリーブ部、63…シャフト、64…スラストプレート、65…スリーブ、66…カウンタプレート、67…第1凹部、68…第2凹部、69~71…隙間、100…ハードディスク駆動装置、101…カバー、102…ハードディスク、103…センターピン、104…クランプ部材、105…磁気ヘッド、106…アーム、107…ボイスコイルモータ、108…コイル、109…マグネット、110…アクセス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6