(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム製造用潜在性触媒
(51)【国際特許分類】
C08G 18/22 20060101AFI20220209BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220209BHJP
C08G 18/18 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C08G18/22
C08G18/00 G
C08G18/18
(21)【出願番号】P 2017513674
(86)(22)【出願日】2015-07-21
(86)【国際出願番号】 US2015041294
(87)【国際公開番号】W WO2016039856
(87)【国際公開日】2016-03-17
【審査請求日】2018-06-29
【審判番号】
【審判請求日】2020-03-25
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(72)【発明者】
【氏名】ステンゲル,ジェイソン
【合議体】
【審判長】近野 光知
【審判官】福井 悟
【審判官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-31151(JP,A)
【文献】特開昭56-50919(JP,A)
【文献】特開2007-45980(JP,A)
【文献】特開2012-144679(JP,A)
【文献】特開平11-80219(JP,A)
【文献】特開昭56-59831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのポリオール;
b)少なくとも1つのイソシアネート;
c)溶媒中に溶解した銅(II)化合物を含有する触媒組成物、ここで溶媒はジアルキルスルホキシドである;および
d)少なくとも1つの界面活性剤
を含むフォーム形成用組成物。
【請求項2】
銅(II)化合物が、カルボキシレート、ジケトネート、サリシレート、有機塩、ハライド、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択されるリガンドに配位した銅(II)を含む、請求項1のフォーム形成用組成物。
【請求項3】
触媒組成物が銅(II)(アセチルアセトネート)
2(以下、銅(II)(acac)
2と略す)を含む、請求項1のフォーム形成用組成物。
【請求項4】
溶媒がDMSOを含む、請求項3のフォーム形成用組成物。
【請求項5】
触媒組成物が、脂肪酸、植物油、またはこれらの組み合わせから選択される共希釈剤を含む、請求項4のフォーム形成用組成物。
【請求項6】
触媒組成物が2種以上の銅(II)塩を含む、請求項1~5のいずれかのフォーム形成用組成物。
【請求項7】
触媒組成物が銅(II)(acac)
2および銅(II)(アセテート)
2を含む、請求項6のフォーム形成用組成物。
【請求項8】
触媒組成物が、触媒組成物
の0.04か
ら10重量%の銅濃度を含む、請求項1~7のいずれかのフォーム形成用組成物。
【請求項9】
発泡剤、連鎖延長剤、架橋剤、充填材、補強材、顔料、彩色剤、染料、着色剤、難燃剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤、抗生物剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される任意成分(e)を含む、請求項1のフォーム形成用組成物。
【請求項10】
助触媒(c’)を含む、請求項1~9のいずれかのフォーム形成用組成物。
【請求項11】
助触媒が第3級アミンから選択される、請求項10のフォーム形成用組成物。
【請求項12】
第3級アミンが、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項11のフォーム形成用組成物。
【請求項13】
助触媒が、触媒組成物
の0.1か
ら10重量%の量で存在する、請求項10~12のいずれかのフォーム形成用組成物。
【請求項14】
請求項1~3のいずれかのフォーム形成用組成物から形成された発泡体。
【請求項15】
(i):
a)少なくとも1つのポリオール;
b)少なくとも1つのイソシアネート;
c)溶媒中に溶解した銅(II)化合物を含有する触媒組成物、ここで溶媒はジアルキルスルホキシドである;および
d)少なくとも1つの界面活性剤を混合して混合物を形成し;および
(ii)(i)の混合物を硬化させることを含む、フォーム製造方法。
【請求項16】
銅(II)化合物が、カルボキシレート、ジケトネート、サリシレート、有機塩、ハライド、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択されるリガンドに配位した銅(II)を含む、請求項15の方法。
【請求項17】
触媒組成物が銅(II)(acac)
2を含む、請求項15の方法。
【請求項18】
溶媒がDMSOを含む、請求項17の方法。
【請求項19】
触媒組成物が、脂肪酸、植物油、またはこれらの組み合わせから選択される共希釈剤を含む、請求項15の方法。
【請求項20】
触媒組成物が2種以上の銅(II)塩を含む、請求項15~
19のいずれかの方法。
【請求項21】
触媒組成物が銅(II)(acac)
2および銅(II)(アセテート)
2を含む、請求項15の方法。
【請求項22】
混合物が、100部のポリオール当た
り0.04か
ら10部(pphr)の銅濃度を含む、請求項15~21のいずれかの方法。
【請求項23】
助触媒(c’)を含む、請求項15~22のいずれかの方法。
【請求項24】
助触媒が第3級アミンから選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
第3級アミンが、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項24の
方法。
【請求項26】
触媒組成物および助触媒が工程(i)で別個に添加される、請求項23~25のいずれかの方法。
【請求項27】
触媒組成物および助触媒が単一の組成物の成分である、請求項23~25のいずれかの方法。
【請求項28】
助触媒が触媒組成物
の0.1か
ら10重量%の量で存在する、請求項23~27のいずれかの方法。
【請求項29】
成分(e)を成分(a)~(d)と混合することをさらに含み、成分(e)が、発泡剤、連鎖延長剤、架橋剤、充填材、補強材、顔料、彩色剤、染料、着色剤、難燃剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤、抗生物剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項15~28のいずれかの方法。
【請求項30】
工程(i)が、成分(a)~(d)を発泡させて発泡混合物を形成することを含む、請求項15~29のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2014年9月12日に出願された、「ポリウレタンフォーム製造用潜在性触媒」と題する米国仮出願第62/049,797号の優先権および利益を主張し、またその開示内容は、ここでの参照によって本明細書に全体的に取り込まれる。
【0002】
本件技術は、ポリウレタンフォーム形成用組成物に関する。より詳しくは、本件技術は、在来の触媒よりも低い毒性を有する潜在性硬化触媒を用いた、ポリウレタンフォームの製造を提供する。
【背景技術】
【0003】
イソシアネートと高分子量のポリオールを含んだポリウレタンフォーム形成用組成物を用いることにより、弾性のある発泡体を作成しうることが知られている。ポリウレタンフォームの製造における触媒としては、ニッケル系の組成物が用いられており、また広く受け入れられている。しかしながらニッケルはよく知られた発がん性物質であり、その使用には相当の健康上のリスクを伴う。したがって産業界には、ポリウレタンフォームの製造に用いられるニッケル系触媒の量を低減または最小限としようとする動きがある。この目標は望ましいが、他の金属触媒を含めて、他の触媒の用途は限定されたものである。そうした代替的な触媒は、例えば系中へのそれらの溶解性および/または触媒の調節可能な反応性によって、限定的なものでありうる。
【発明の概要】
【0004】
本件技術は、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つのイソシアネート、少なくとも1つの触媒組成物、および少なくとも1つの界面活性剤を含む、フォーム形成用組成物を提供する。
【0005】
1つの実施形態において、銅触媒組成物は、溶媒に溶解した銅(II)化合物を含む。
【0006】
銅(II)化合物が、カルボキシレート、ジケトネート、サリシレート、有機塩、ハライド、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択されるリガンドに配位した銅(II)を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0007】
銅触媒組成物が(銅(II)(acac)2)を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0008】
(銅(II)(acac)2)が溶媒中に溶解している、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0009】
溶媒がDMSOを含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0010】
銅触媒組成物が、脂肪酸、植物油、またはこれらの組み合わせとして選択された共希釈剤を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0011】
銅触媒組成物が、触媒組成物の約0.04から約10重量%、触媒組成物の約0.045から約5重量%、触媒組成物の約0.05から約2重量%、さらには触媒組成物の約0.075から約2重量%の濃度の銅を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0012】
フォーム形成用組成物が、発泡剤、連鎖延長剤、架橋剤、充填材、補強材、顔料、彩色剤、染料、着色剤、難燃剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤、抗生物剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される任意成分(e)を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0013】
助触媒(c’)を含む、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0014】
助触媒が第3級アミンから選択される、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0015】
実施形態において、第3級アミンは、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0016】
助触媒が、触媒組成物の約0.1から約10重量%の量で存在する、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、前述の実施形態のいずれかのフォーム形成用組成物から形成された発泡体を提供する。
【0018】
1つの側面において、本件技術は、(i):a)少なくとも1つのポリオール;b)少なくとも1つのイソシアネート;c)少なくとも1つの銅触媒組成物;およびd)少なくとも1つの界面活性剤を混合すること;および(ii)(i)の混合物を硬化させることを含む、フォーム製造方法を包含する。
【0019】
1つの実施形態において、銅触媒組成物は、溶媒に溶解した銅(II)化合物を含む。
【0020】
銅(II)化合物が、カルボキシレート、ジケトネート、サリシレート、有機塩、ハライド、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択されるリガンドに配位した銅(II)を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0021】
銅触媒組成物が(銅(II)(acac)2)を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0022】
(銅(II)(acac)2)が溶媒中に溶解している、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0023】
溶媒がDMSOを含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0024】
銅触媒組成物が、脂肪酸、植物油、またはこれらの組み合わせから選択された共希釈剤を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0025】
銅触媒組成物が、触媒組成物の約0.5から約10重量%、触媒組成物の約1から約9重量%、触媒組成物の約3から約7重量%、さらには触媒組成物の約4から約5重量%の濃度の銅を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0026】
助触媒(c’)を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0027】
助触媒が第3級アミンから選択される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0028】
実施形態において、第3級アミンは、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0029】
助触媒が、触媒組成物の約0.1から約10重量%の量で存在する、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0030】
成分(a)~(d)を、発泡剤、連鎖延長剤、架橋剤、充填材、補強材、顔料、彩色剤、染料、着色剤、難燃剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤、抗生物剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される任意成分(e)と混合することをさらに含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0031】
ステップ(i)が、成分(a)~(d)を泡立たせて発砲混合物を形成することを含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】2つの異なる触媒を用いたフォーム配合物Aにおいて確立される粘度を比較するグラフである。
【0033】
【
図2】2つの異なる触媒を用いたフォーム配合物Aにおいて発現される発熱を比較するグラフである。
【0034】
【0035】
【
図4】2つの異なる触媒を使用し、機械的に発泡されたフォームについて、内部発泡体温度と指触乾燥時間を示すグラフである。
【0036】
【
図5】異なる触媒を用いたフォーム配合物Aにおいて確立される粘度を比較するグラフである。
【0037】
【
図6】異なる触媒を用いたエラストマーフォーム配合物において確立される粘度を比較するグラフである。
【0038】
【
図7】異なる触媒を用いたエラストマーフォーム配合物において確立される粘度を比較するグラフである。
【0039】
【
図8】異なる触媒を用いたフォーム配合物について、ライズ高さを比較したグラフである。
【0040】
【
図9】異なる触媒を用いたフォーム配合物について、触媒作用に対する水の効果を示すグラフである。
【0041】
【
図10】異なる触媒を用いたフォーム配合物について、触媒作用に対する水の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本件技術は、銅触媒を含有するポリウレタンフォーム形成用組成物と、このポリウレタンフォーム形成用組成物から形成されたポリウレタンフォームと、かかるポリウレタンフォームを作成するためのプロセスを提供する。
【0043】
本件技術は:(a)ポリオール;(b)イソシアネート;(c)銅触媒組成物;(d)界面活性剤;および(e)任意成分を含む、ポリウレタンフォーム形成用組成物を提供する。このフォーム形成用組成物は、ニッケル触媒に類似した仕方で作用する、ニッケルの代替として、銅触媒を用いる。
【0044】
ポリオール(a)成分は、ポリオールポリウレタンフォームを形成するのに有用な、どのようなポリオールであってもよい。ポリオールは、ヒドロキシル基を有する液体ポリマーであってよい。用語「ポリオール」は、直鎖および分岐鎖のポリエーテル(エーテル連結基を有する)、ポリエステルおよびその混合物であって、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むものを包含してよい。1つの実施形態において、ポリオールは、ポリウレタンフォームを調製するのに一般に使用される種類の少なくとも1つであってよい。ポリウレタンフォームを調製するのに適切なポリオール(a)の中には、分子当たりに2から8のヒドロキシル基と、約150から約10,000、約200から約8,000、約350から約7,500、約500から約5,000、さらには約1,000から約3,000の数平均分子量を有するものがある。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0045】
有用なポリオールの中には、ポリエーテルジオールおよびトリオールならびにポリオール、ポリエステルジオールおよびトリオールならびにポリオール、およびヒドロキシル末端ポリオレフィンポリオール、例えばポリブタジエンジオールが含まれる。他の有用なポリオールには、スクロースおよびアミンから出発した(開始した)ポリオール、ポリマーポリオール(グラフトポリマーポリオール、グラフトポリオールまたはコポリマーポリオールとも言う。これらは全て、ベースポリオール中へのビニルモノマー(通常はスチレンおよび/またはアクリロニトリル)の現場重合によって生成される、ポリオール中のビニルポリマー分散物を記述するのに使用される名称である)、天然材料、例えばヒマシ油、化学変性された大豆油、または他の化学変性された脂肪酸油から誘導されたポリオール、ならびにヒマシ油や大豆油のような天然材料のアルコキシル化の結果得られるポリオールが含まれる。
【0046】
幾つかの具体的な、ポリエーテルポリオールの非限定的な例には、限定するものではないが、ポリオキシアルキレンポリオール、特に直鎖および分岐鎖ポリ(オキシエチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、これらのコポリマー、およびこれらの2つまたはより多くの組み合わせを含んでよい。変性されたポリエーテルポリオールの非限定的な例には、ポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が分散されたポリオキシプロピレンポリエーテルポリオール、ならびにポリ(スチレンアクリロニトリル)またはポリ尿素が分散されたポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリエーテルポリオールが含まれる。
【0047】
適切なポリエステルポリオールには、限定するものではないが、芳香族ポリエステルポリオール、例えば無水フタル酸(PA)、ジメチルテレフタレート(DMT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)で作成されたもの、および脂肪族ポリエステルなどが含まれる。
【0048】
適切なポリオールの他の非限定的な例には、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドならびに有機開始剤またはアルキレンオキシド重合の開始剤の混合物から誘導されたもの、およびこれらの2またはより多くの組み合わせを含んでよい。
【0049】
1つの実施形態において、ポリウレタンフォーム形成用組成物が含んでよいポリエーテルポリオールは、約10から約3000、約15から約1000、約20から約500、そしてさらには約30から約40の水酸基価を有する。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0050】
フォーム形成用組成物はまた、イソシアネート(b)を含む。このイソシアネートは、ポリウレタンフォームの生成のために用いられてよい少なくとも2つのイソシアネート基を含む、どのような有機化合物を含んでもよい。1つの実施形態において、イソシアネートは、少なくとも2つのポリイソシアネート基を含む有機化合物であってよく、そして一般には、どのような既知のまたは後に見出される芳香族または脂肪族ポリイソシアネートであってもよい。
【0051】
1つの実施形態において、イソシアネート(b)は、トルエンジイソシアネートやジフェニルメタンイソシアネートなどの炭化水素ジイソシアネート(例えば、アルキレンジイソシアネートおよびアリーレンジイソシアネート)であり、また高分子形態のものを含み、またこれらの2またはより多くの組み合わせであってよい。別の実施形態において、イソシアネート(b)は上記のものの異性体であってよく、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、さらには既知のトリイソシアネート、およびポリメリックMDIまたはクルードMDIとしても知られるポリメチレンポリ(フェニレンイソシアネート)、およびこれらの2またはより多くの組み合わせである。MDIとポリオールの反応から得られるMDIのイソシアネートプレポリマー;ウレトンイミン変性MDIのような変性された形態;および上述したMDI変異体の何らかの割合における組み合わせ。他に適切なものとしては、他の芳香族または脂肪族ポリイソシアネート、およびウレトンイミン変性ポリイソシアネートおよびそれらのプレポリマーなどを含む変性形態がある。ポリイソシアネートのブレンドもまた、本技術の範囲内にある。
【0052】
1つの実施形態において、イソシアネート(b)は、2,4-トルエンジイソシアネートおよび2,6-トルエンジイソシアネートの少なくとも1つの混合物であってよい。2,4-トルエンジイソシアネートは、この混合物の約80重量パーセントから約85重量パーセントの量で存在してよく、2,6-トルエンジイソシアネートは、混合物の約20重量パーセントから約15重量パーセントの量で存在してよい。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0053】
ポリウレタンフォーム形成用組成物中の他の物質の量に対する、ポリウレタンフォーム形成用組成物中に含まれるイソシアネート(b)の量は、「イソシアネートインデックス」という用語で記述される。本明細書のプロセスにおいて用いられるポリウレタンフォーム形成用組成物におけるイソシアネートインデックスは、約60から約300、約70から約200、約80から約120、そしてさらには約100から約105である。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0054】
ポリウレタンフォーム形成用組成物に用いる触媒(c)は、銅触媒物質を含有する触媒組成物を含む。この触媒組成物は、銅触媒と溶媒を含んでいる。この銅触媒は、2価の銅の錯体または塩を含む。この錯体は、リガンドまたは対イオンに配位した銅を含む。このリガンドはカルボキシレート、ジケトネート、サリシレート、有機塩、ハライド、あるいはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択してよい。適切なカルボキシレートには、限定するものではないが、サリシレート、サブサリシレート、ラクテート、シトレート、サブシトレート、アスコルベート、アセテート、ジプロピルアセテート、タータレート、タータレートナトリウム、グルコネート、サブガレート、ベンゾエート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、プロピオネート、ステアレート、ウンデシレート、アスピリネート、ネオデカノエート、リシノレート、その他が含まれる。ジケトネートの例には、限定するものではないが、アセチルアセトネートが含まれる。適切なハライドの例には、ブロミド、クロリド、およびヨージドが含まれる。1つの実施形態において、触媒は第2銅アセチルアセトネート(銅(II)(acac)2)である。
【0055】
触媒組成物は、溶媒を含む。銅の錯体は一般に、ポリオール樹脂成分に添加されたとすれば、溶解性に乏しい。適切な溶媒の例には、限定するものではないが、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシドなどのようなジアルキルスルホキシド;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドその他のようなN,N-ジアルキルアルカノアミド;O,O-ジメチル、O,O-ジエチル、O,O-ジイソプロピルメチルホスホネート、O,O-ジ(2-クロロエチル)ビニルホスホネートその他のようなホスホネート;トルエン、キシレン、ベンゼンその他のような芳香族溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジグリムその他のようなエーテル系溶媒;テトラメチレンスルホン、1-メチル-2-ピロリドン、トリメチルホスフェートおよびトリエチルホスフェートのようなトリアルキルホスフェート、アセトニトリル、その他、ならびにジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのような有機カーボネートが含まれる。1つの実施形態において、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0056】
触媒組成物は任意選択的に、共希釈剤を含んでよい。共希釈剤は、脂肪酸、植物油、またはこれらの組み合わせから選択してよい。適切な植物油の例には、限定するものではないが、ひまわり油、サフラワー油、ヒマシ油、菜種油、コーン油、ペルーバルサム油、大豆油、その他が含まれる。適切な脂肪酸の例には、限定するものではないが、C8からC22のモノおよびジカルボキシル脂肪酸が含まれる。他の適切な共希釈剤には、限定するものではないが、ポリエーテルポリオール、Arcol 11-34、PEG-400およびPPG-425のようなポリエーテルジオール、およびプロピレンカーボネートが含まれる。
【0057】
触媒組成物は、銅の錯体または塩を約0.04重量%から約10重量%;約0.1から約7重量%、約0.5から約5重量%;約1から約2.5重量%の量で含んでよい。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。触媒組成物の残余部分は、溶媒および/または共希釈剤を含んでよい。
【0058】
反応性ポリウレタンフォーム形成用組成物中に存在する銅触媒(銅の錯体または塩)の量は、活性水素含有成分の重量に基づいて、約0.1から約10重量%;約0.5から約7重量%;約1から約5重量%、さらには約2から約4重量%であってよい。実施形態においては、ポリウレタンフォーム形成用組成物中に存在する銅触媒の量は、活性水素含有成分の重量に基づいて、約0.3重量%から約0.9重量%である。触媒組成物はフォーム形成用組成物に対して、銅触媒を所望のレベルで提供するだけの濃度で仕込まれねばならない。実施形態において、触媒組成物は0.045%Cu+/-0.005%Cuまたは0.16%~0.18%の銅(II)塩を含有し、また触媒組成物は、1%または1pphrを最小限として仕込まれてよい。この反応の活性は、Cuの含有量に基づく。1つの実施形態において、触媒の重量%は2%または2pphrであり、従って銅(II)に対する仕込みは0.32%~0.36%である。
【0059】
銅錯体は溶媒に添加して溶解させてよく、得られる触媒溶液は透明になるよう濾過して、窒素雰囲気下、室温で貯蔵してよい。代替的に、この溶液は、銅(II)塩が製造時に過剰に仕込まれた場合を除いて、濾過を必要としなくてもよい。
【0060】
触媒組成物は、2またはより多くの銅(II)塩の混合物を含んでよいことが理解されよう。1つの実施形態において、触媒組成物は、溶媒系中に溶解された第1の銅(II)塩を備えてよい。第2の銅(II)塩を、第1の銅(II)塩を含む組成物に対して添加してよい。実施形態において、触媒組成物は銅(II)アセチルアセトネートおよび銅(II)(アセテート)
2
を含む。特定の目的または意図する用途について、金属塩の他の組み合わせを所望に応じて選択してよい。
【0061】
触媒組成物はポリオールに対して仕込んで、触媒組成物の約0.04から約10重量%の銅濃度、触媒組成物の約0.045から約5重量%、触媒組成物の約0.05から約2重量%、さらには触媒組成物の約0.075から約2重量%の銅濃度をもたらすようにしてよい。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0062】
銅(II)系の触媒を溶媒中の触媒組成物として提供することで、銅(II)が触媒ポリウレタンフォームを形成するのに適切な触媒として用いられ、またニッケルの適切な代替物でありうることが見出された。銅は一般に、ポリウレタン組成物の迅速な反応を促進し、このことは適切な発泡体の形成にとっては実際的でないであろう。しかしながら、本件触媒組成物を用いる本件技術は、ニッケルと類似した仕方で作用し、安定した発泡体の生成を可能にする触媒を提供するものであることが見出されている。
【0063】
本発明のフォーム形成用組成物およびプロセスは、さらに助触媒(c’)を含んでよい。本件技術によれば、第3級アミンを本発明の銅触媒と共に用いてよく、所望の性質または反応性を備えた発泡体が提供されることが見出されている。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、第3級アミン助触媒は、銅触媒の反応性を促しうる。助触媒の使用は、系の反応性を調節または調整することを可能にしうる。助触媒はまた、反応性を低減させつつ、系中での銅の濃度を比較的低く保つことを可能にしうる。
【0064】
助触媒(c’)として適切な第3級アミンの例には、限定するものではないが、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、その他、またはこれらの2またはより多くの組み合わせが含まれる。
【0065】
助触媒はフォーム組成物または触媒組成物に対し、それが触媒組成物の約0.1から約10重量%;触媒組成物の約0.2から約8重量%;触媒組成物の約0.5から約5重量%;さらには触媒組成物の約1から約4重量%の量で存在するように提供されてよい。ここで、明細書および請求の範囲の他の個所と同様に、数値は組み合わせて、新たな非開示の範囲を形成してよい。
【0066】
実施形態において、助触媒は系に対して、銅系の触媒とは別個に添加されてよい。他の実施形態において、触媒は、銅系の触媒および助触媒を含有する組成物を含む。すなわち、銅系の触媒と助触媒は現場で組み合わせて触媒組成物を提供してよい。
【0067】
界面活性剤(d)成分は、特定の種類のポリウレタンフォームを形成するのに有用な、どのような適切な界面活性剤であってもよい。適切な界面活性剤には、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート,エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマー、ブチレンオキシド、およびシリコーンとポリエーテルのコポリマー(シリコーンポリエーテルコポリマー)、シリコーンのコポリマー、ジメチルシリコーンオイル、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、ならびにこれらの2またはより多くの何らかの組み合わせが含まれる。他の有用な界面活性剤には、アルコキシレート、エトキシレート、アルキルアリールアルコキシレート、特にエトキシレートまたはプロポキシレート、およびアルキルフェノールエトキシレートを含むそれらの誘導体;エトキシレートやプロポキシレートを含むアリールアリールアルコキシレート、およびそれらの誘導体;アミンアルコキシレート、アミンエトキシレート;脂肪酸アルコキシレート;脂肪族アルコールアルコキシレート;アルキルスルホネート;アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホネート;硫酸化脂肪族アルコール、アミンまたは酸アミド;イセチオン酸ナトリウムの酸エステル;スルホコハク酸ナトリウムのエステル;硫酸化またはスルホン酸化脂肪酸エステル;石油スルホネート;N-アシルサルコシネート;アルキルポリグリコシド;アルキルエトキシル化アミン;アミンエトキシレート;アルキルポリグリコシド;オキソトリデシルアルコールエトキシレート;アルキルアセチレンジオール、ピロリドン系界面活性剤、2-エチルヘキシルサルフェート、イソデシルアルコールエトキシレート、エチレンジアミンアルコキシレート;およびこれらの2またはより多くの組み合わせが含まれる。適切な界面活性剤の例には、米国特許第8,476,330号に列挙されたものが含まれ、この文献の内容は本書での参照によって全体的に取り込まれる。
【0068】
界面活性剤(d)は、組成物全体の0.01重量パーセントから約20重量パーセント、約0.1重量パーセントから約5重量パーセント、さらには0.2重量パーセントから約1重量パーセントの範囲の量で添加してよい。
【0069】
ポリウレタンフォーム形成用組成物は、他の任意選択成分(e)を含んでよい。以下でさらに記載するように、発泡はフォーム形成用組成物の機械的な泡形成または泡立てによって提供されてよいが、この組成物は任意選択的に発泡剤を含んでよい。発泡剤は、物理的および/または化学的なタイプのひとつの発泡剤であってよい。典型的な物理的発泡剤には、限定するものではないが、塩化メチレン、アセトン、水または二酸化炭素が含まれ、これらは発泡工程において膨張をもたらすように使用される。典型的な化学的発泡剤は水であり、これは発泡体中のイソシアネートと反応して、二酸化炭素ガスを生成する反応混合物を形成する。これらの発泡剤は、ポリウレタンフォームの形成に用いられる他の成分に対して、種々のレベルの溶解性または相溶性を有する。相溶性に乏しい成分を用いる場合、良好な乳化を発現させ維持することは、ポリウレタンフォームに許容できる品質を持たせ、達成させるうえで重要である。
【0070】
ポリウレタンフォームには、添加剤のような他の任意選択成分(e)を添加して、ポリウレタンフォームに特定の性質を付与してよい。他の適切な添加剤の例には、限定するものではないが、連鎖延長剤、架橋剤、充填材、補強材、顔料、彩色剤、染料、着色剤、難燃剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、殺生物剤および抗生物剤が含まれてよい。
【0071】
本件技術のポリウレタンフォーム形成用組成物からポリウレタンフォームを製造する方法は、特に限定されない。当技術分野で一般に使用されている種々の方法を用いてよい。例えば岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1987)に記載された種々の方法を用いてよい。例えば組成物は、ポリオール、アミン触媒、界面活性剤、発泡剤、および任意選択成分を含む追加的な化合物を混ぜ合わせてプレミックスとすることにより調製してよい。このポリオールブレンドはイソシアネートに添加され、混合される。
【0072】
1つの実施形態において、発泡体は、フォーム形成用組成物の機械的な発泡または泡立てによってもたらされる。
【0073】
フォーム形成用組成物の機械的発泡操作は、オークスミキサーまたはファイアストンミキサーのような高剪断混合装置、および類似の装置で行ってよい。1つの実施形態によれば、ポリウレタンフォームは、ここでのポリウレタンフォーム形成用組成物の成分に対する高剪断混合を用いる工程によって調製され、機械的に発泡された泡が作られる。高剪断ミキサーに他の成分を添加するに先立って、成分の幾つかはバッチ混合プロセスを用いて予め混合し、予備混合物としてよい。また、高剪断ミキサーまたは高剪断混合工程に入るに先立って、低剪断ミキサーを用いて成分を予め混合してもよい。さらにまた、幾つかの成分は高剪断混合工程または高剪断ミキサーに対し、他の成分が混合ヘッドに投入されるのと同じ位置で、または混合工程の完了度合いが異なるミキサー内の種々の位置で、添加してもよい。発泡されたポリウレタンフォームは、既知の在来の手段によって硬化(すなわちウレタンの反応および恐らくは尿素の反応を完了)させてよい。
【0074】
空気、窒素、二酸化炭素のような気体を、成分の混合中に注入してよく、または混合成分の表面の上側から捕捉することで取り込ませてよい。気体はまた、圧力をかけて高剪断ミキサー中に注入してもよい。ミキサーには上述したもの、または混合中に高剪断条件を生成する他の類似した設備が含まれる。
【実施例】
【0075】
マスター樹脂ブレンドの作成
以下の実験用構成の組のそれぞれについて、マスター樹脂ブレンドを作成した。それぞれの発泡実験に先立って、樹脂材料をマスターブレンドから取り、系を機械発泡させる前に他の添加成分(すなわち界面活性剤および触媒)を添加した。
機械発泡された泡のためのマスター樹脂ブレンド:ポリウレタンフォーム配合物A
【0076】
70部のARCOL 11-34(水酸基価of35)、SANグラフトポリマーポリエーテルポリオール、30部のARCOL 24-32(水酸基価32)、および15部のジプロピレングリコール(水酸基価836)から、樹脂ブレンドを作成した。上記の配合物は、最初の2つのポリオールと連鎖延長剤を1ガロン(約4リットル)のガラス製容器(ジョッキ)に仕込み、単一の樹脂のマスターバッチ(典型的には、2100グラムのArcol 11-34、900グラムのArcol 24-32、および450グラムのジプロピレングリコールからなる3450グラムのバッチ)へと混合することによって形成された。
【0077】
上述したマスター樹脂ブレンドの混合は:記載したすべての成分を1ガロンのガラス製ジョッキに注ぎ、ジョッキをキャップで密封し、ガラス製ジョッキをガラス製のジャーまたはジョッキ用のローラー上に置き、そして「中ぐらいの速度」で約2時間にわたって転動させることによって達成された。これらの混合条件は、成分の均一な混合物が形成されることを確実にする。加えて、これらの成分を閉鎖された容器内で混合することにより、大気中の水分からの追加的な水の吸収は回避される。
ハンドミキサー法による機械発泡された泡の作成
【0078】
KitchenAid登録商標KSM-90ミキサーの4クオート(約4リットル)のステンレス鋼製の混合ボウルを、卓上型の計量器に乗せ、計量重量を風袋重量としてゼロ値とした。次いで300グラムの樹脂ブレンドマスターバッチ(ポリエーテルポリオール;SANグラフトポリエーテルポリオール、およびジプロピレングリコール連鎖延長剤)を4クオートのステンレス鋼製混合ボウル中に注いだ。次に、100部のマスター樹脂ブレンド当たり2部の、ポリメチルシロキサン/ポリエーテルの(AB)n型のブロックコポリマーと、100部のofマスター樹脂ブレンド当たり2部のウレタン触媒を、混合ボウル中のブレンドされたマスター樹脂バッチに添加した。このウレタン触媒は、(A)ポリエーテルポリオール(水酸基価51)中10%のニッケルアセトアセトネート;(B)DMSO中の銅(II)塩**(0.09%Cu)(水酸基価0);(C)DMSO/ヒマシ油中の銅(II)塩**(0.045%Cu)(水酸基価83);(D)アミン触媒(水酸基価560);(E)水銀触媒;(F)処方した触媒(水酸基価83);および(G)銅(II)の濃度を増大させた触媒Cから選択した。ボウルはKitchenAid登録商標ミキサーに配置し、成分を最低の設定速度(1)で、泡立て混合用アタッチメントを用いて2分間混合した。ミキサーを停止し、イミン変性イソシアネート(29.3%NCO)を、イソシアネートインデックス値が103.5となる量で添加した。添加したイソシアネートの重量は、作成した発泡体のそれぞれについて、使用した触媒のヒドロキシル含有量の相違に基づいて調節したが、113.49から114.78グラムの範囲にあった。次いでミキサーの速度は最高設定速度(10)まで増大され、混合は10分間にわたり継続された。この混合が完了した後に、発泡された混合物の幾らかを直ちに、250mlのプラスチック製使い捨てビーカーへと、泡がカップの一番上から僅かに出るまで注いだ。発泡体を入れたこのビーカーは、実験台の上で約10秒間軽くたたいて、大きめの気泡が発泡体から上方へと抜けるようにし、次いでビーカーの一番上の部分の発泡体を掻き取って、発泡体の一番上の表面がビーカーの一番上と同一面上になるようにした。ビーカーの容積は既知であり、ビーカー内の泡の重量を測定して、発泡体の発泡密度を計算した(泡の重量をビーカーの容積で除算して)。残っている発泡されたフォームの殆ど(~340グラム)は、8インチ×8インチのシリコーン製焼き型内へと注入し、次いで130℃に設定したオーブン中に45分間入れて硬化させた。発泡体は次いでオーブンから取り出し、表面品質と収縮度合いを記録した。
ポリウレタンエラストマー配合物用マスター樹脂ブレンド
【0079】
96部のARCOL11-34(水酸基価35)および4部のエチレングリコール(水酸基価1807)から樹脂ブレンドを作成した。配合物は、ポリオールと連鎖延長剤を1ガロンのガラス製容器(ジョッキ)に仕込み、混合して単一の樹脂マスターバッチ(典型的には3255グラムのArcol11-34および195グラムのエチレングリコールからなる3450グラムのバッチ)することにより形成した。マスター樹脂の混合は、ポリウレタンフォーム配合物Aのマスター樹脂ブレンドについて上述したようにして行った。
額用成型の手順
【0080】
額用成型品もまた調製した。これらは2つの異なる混合方法によって調製した:1)上述し、また以下に述べるような発泡を介して、または2)以下に述べるボール盤混合を介してである。ボール盤混合法は短時間であり、またポリウレタン樹脂中に連行される空気は殆どなかった。マスター樹脂を1クオート(約1リットル)の円筒形の混合カップ内へと、触媒および界面活性剤と一緒に入れ、次いでWilton社のボール盤で2000~4000rpmにおいて10秒間にわたり混合した。次いで5秒間かけてイソシアネートを添加し(100~103.5のインデックス値)、再度同じ速度で10秒間にわたり混合した。混合の後、材料は型に注入し(液体充填され華氏160~180度に加熱)、30~60分間にわたり密閉した。次いで額を取り出し、24時間にわたって冷却した。額用成型品から試験片を打ち抜き、伸び率%(ASTMD-412,ダイA)、引張強度(ASTMD-412,ダイA)、および引裂強度(ASTMD-624,ダイC)を求めた。物性は、Zwick社の静的材料試験装置で、テキストエキスパートデータ取得ソフトウェアを用いて測定した。
【0081】
発泡樹脂で作成した額は、上記したようにして発泡密度(FD)を求めた後に調製した。FDが求められたならば、~100~200グラムの発泡された樹脂が額用型内に配置され(160~180℃)、30~60分間にわたり密閉された。少なくとも24時間にわたって冷却した後、試験片を打ち抜いて、伸び率%、引張強度、および引裂強度を、上記のようにして求めた。結果を下記の表8に示す。
混合および試験手順
混合手順1:ボール盤混合
【0082】
この方法を用いて、3つの配合物(ポリウレタンフォーム配合物A、ポリウレタンエラストマー配合物、およびポリウレタンフォーム配合物B;それぞれ表2、3および4)を混合した。ポリオール樹脂は風袋調整したカップ中に計量し、次いでボール盤を用いて10秒間にわたり3500rpmで混合した。イソシアネートは5秒間かけて添加し、得られた混合物はさらに10秒間、3500rpmで混合した。
【0083】
成型額が調製される場合には、樹脂の所定量が型に注入され、型が密閉され、所定の時間後に額が取り出される。24時間にわたって硬化させた後に、物性の測定に用いる試験片が打ち抜かれる。
【0084】
ブルックフィールド粘度計を用いて反応性の検討を行う場合、得られるポリウレタン樹脂は断熱容器の内側に保持された紙コップへと注入される。ブルックフィールド粘度計のスピンドルをコップの底から約1cmに位置させ、混合シーケンスが終了したなら分析が開始される。ブルックフィールド粘度計は、DASYLab登録商標データ取得ソフトウェアと連結される。
【0085】
タックフリー(指触乾燥)のデータは、130℃のホットプレート上のFluorglas製のマット上へと樹脂を引き延ばすことによって得た。
混合手順2:KitchenAid登録商標混合
【0086】
上記したように、ポリウレタン配合物Aは風袋調整したボウル内に計量された。この混合ボウルは次いでミキサーに配置され、固定されて、雰囲気は窒素ガスで2分間にわたり不活性化された。ポリオール樹脂、触媒および界面活性剤は次いで、泡立て混合用アタッチメントを用いて2分間にわたり最低の設定速度で混合した。イソシアネートが次いで、特定のインデックス値で添加され、高速で10分間にわたり混合された。得られた発泡物は次いで風袋調整された容積既知のコップに注入され、重量測定されて、発泡密度が得られる。発泡密度が測定された後、発泡体は型、すなわちシリコーン製の焼き型に入れるか、或いは薄膜として引き下ろされて後続の分析、例えば物性測定または指触乾燥時間の判定が行われる。
【0087】
表1はこの研究において性能および反応性について比較を行った触媒を列挙している。触媒CおよびBは本件技術による銅触媒を表し、ここで触媒Bは触媒Cと比較して、2倍の濃度の活性金属塩を含有している。触媒Aは標準的なニッケル触媒であり、触媒Eは比較用に用いた標準的な水銀触媒である。触媒Fは、触媒CとDの組み合わせ処方である。触媒Gは触媒Cに類似するが、代替的な銅(II)塩によって、銅(II)の濃度が高くなっている。
【表1】
*Niaxはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インコーポレイテッドの商標
**モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社の製品
†バーテラス社の製品
【0088】
やはり上に述べたエラストマー配合物(表3)を用いて、(本発明による)触媒系C/DおよびFを、水銀系の触媒Eに対して比較した。この単純な処方は、反応性について最初の一般的な知見をもたらし、粘度の増大や発熱は経時的に観察される。
【0089】
表2~4は、この研究において用いられた発泡体およびエラストマーの配合を記載している。発泡体配合物A(表2)は、新規な触媒CおよびBの試験および開発のために用いられた基本的な発泡体配合物であった。この配合物は、ニッケル系触媒が使用される典型的な用途である、機械的に発泡された発泡体配合物の代表例である。
【0090】
発泡体配合物B(表4)は、水分含有配合物における触媒C、C/DおよびEの選択性を比較し/判定する手段として役立つ。水分を添加しまたは添加しない場合について、ゲル化反応または発泡反応について、水銀を含有する触媒と水銀を含有しない触媒の選択性を比較するため、ライズ高さおよび発熱を観察することができる。発泡体配合物Bは、マスターバッチとしては調製していない。
【表2】
*製品の配合は、例示的な実施例としてのみ記載されている。出願人モメンティブ社は、そのような配合のいずれについても、限定するものではないが、当該配合を用いて製造した何らかの製品の有効性や安全性などを含めて、どのような種類の表明および保証も行うものではない。
**pphr=樹脂100部に対する部数であり、樹脂配合物のそれぞれは表2~4に示されている。
【表3】
*製品の配合は、例示的な実施例としてのみ記載されている。出願人モメンティブ社は、そのような配合のいずれについても、限定するものではないが、当該配合を用いて製造した何らかの製品の有効性や安全性などを含めて、どのような種類の表明および保証も行うものではない。
【表4】
*製品の配合は、例示的な実施例としてのみ記載されている。出願人モメンティブ社は、そのような配合のいずれについても、限定するものではないが、当該配合を用いて製造した何らかの製品の有効性や安全性などを含めて、どのような種類の表明および保証も行うものではない。
例1~18
潜在性および迅速な最終硬化の実証
【0091】
ポリウレタンフォーム配合物Aにおける触媒Aの重要な特質は、可使時間が長く、いったん加熱されると迅速に最終硬化されることである。こうした特徴の組み合わせを達成することは難しい。これらの例は、単純な触媒配合でもって、潜在性と触媒能を評価する。触媒Cはフォーム配合物Aにおいて、冷間硬化条件下で触媒Aに対して比較され、粘度上昇と発熱を測定した。このデータは
図1から見ることができる。触媒Aは2~4pphrでの使用時に、5000cpsの粘度を~500秒(8分)で達成した。触媒Cはこの配合物における使用量が5pphrのとき、5000cpsの粘度に~1150秒(19分)で到達した。使用量が2pphrの触媒Cは、冷間硬化条件下では、~50分になるまで5000cpsの粘度を達成しない。触媒Cは2から5部の間の使用量において、硬化速度に非常に大きな変動をもたらすようであるが、触媒Aは2から4部の間の使用量では殆ど変動を示さない。触媒Cは触媒Aと同じ使用量において、可使時間の延長をもたらす。
【0092】
図2は、フォーム配合物Aにおける触媒Aおよび触媒Cについての発熱プロファイルを示す。発熱挙動の各々は、
図1に示した粘度上昇プロファイルに対応する。触媒AおよびCは両者とも加熱活性化され、それによってポリウレタン反応を急激に高温で触媒し始める。1.0pphrを超える使用量では、触媒Aはより多量の急激な発熱をもたらすが、これは活性化温度により迅速に到達すること、従ってよりはるかに急激な硬化に対応している(>2pphrにおいて5000cpsを非常に迅速に達成する。触媒Cは~70~80℃のほぼ同じ温度で活性化される(
図2および
図3)ようであるが、冷間硬化処理パラメータの下でその温度に到達するには、より多くの時間を必要とする。この相違点は、触媒組成物内部の担体溶媒、または他の成分といった、他の変動要因に起因することもある。
【0093】
図3は、
図1および
図2のからの両者のデータセットを重ねたグラフである。触媒Aおよび触媒Cの両者について、粘度の増大は、少なくとも70℃の発熱温度に到達した後に開始されている。
指触乾燥時間(例1~8)
指触乾燥時間の測定
【0094】
薄膜指触乾燥時間は、ボール盤を用いて樹脂を混合し、次いで~130℃のホットプレート上のFluorglas製のシート上へと材料を引き延ばすことによって測定した。「薄膜」の厚みは1/8インチ(3.2ミリメートル)であった。指触乾燥した表面を確認するために、舌圧子を用いた。発泡密度は、樹脂をKitchenAid登録商標ミキサーで混合し、空気中で10分間泡立て、風袋調整した既知容積のコップ中で得られた泡の重さを量ることによって測定した。得られた発泡体は次いで、上記のように引き延ばし、指触乾燥時間を測定した。
【0095】
表5は、触媒A、CおよびBについて、指触乾燥時間および発泡密度のデータを示している。指触乾燥時間について見ると、5pphrの触媒Bは本質的にが触媒Aと等価であり、触媒Cは僅かに13秒だけ遅れる。より実用的な用量である2pphrでは、触媒Cおよび触媒B**は両方とも、触媒Aのそれぞれ約3倍および2.2倍の指触乾燥時間を与える。従って一般に、触媒CまたはBは所定の配合物および用途において、高温が用いられる場合に処理条件に対する変更を最小限として、触媒Aを代替する適切な置換物でありうる。触媒Cでは、外部加熱が存在しなければ、急激な最終硬化は生じない。
【表5】
*フォーム配合物Aを使用(表2)
**10回の実験の平均(範囲=112~130秒)
***触媒Bは触媒Bと同じ活性金属レベルまで希釈
【0096】
高い温度は、触媒CおよびBの使用が有利であることを明らかにする。触媒Cの指触乾燥時間(Table5)は、触媒Aのそれと合致するものではないが、熱の存在下において活性は、冷間硬化粘度実験のものに比較して顕著に増大する。触媒CおよびBを用いて作成されたフォームの発泡密度は、触媒Aで作成されたフォームについて得られた発泡密度と合致し、また僅かに下回る。発泡密度は、典型的な負荷が用いられた実験についてだけ測定されている。
【0097】
発泡体フォームの指触乾燥時間はまた、配合物Aを用いて、340gのポリウレタン注型物についてオーブン中で測定した(
図4)。3つの発泡体のそれぞれを触媒Aを2pphrで用いて作成し(実行1~3)、触媒Cを2pphrで用いて作成した3つの発泡体(実行4~6)のそれぞれと比較し、目標密度は~300~320Kg/m
3とした(18~20pcf)。最初の3つの実行分の平均は122℃、実行分4~6の平均は130℃と、内部温度には僅かな相違があった。表面の指触乾燥時間は、触媒Cの平均が~11分、そして触媒Aの平均が~8分と、僅かな相違を示した。使用量を増大させた場合には(実行7~12、それぞれ4pphr)、指触乾燥時間は触媒Aおよび触媒Cの両者について同じであった(7分)。増大させた使用量において、触媒Cは触媒Aと類似した硬化速度をもたらすようであった。触媒Cの使用量が少ない場合、触媒Aと同程度には迅速に硬化せず、活性化して成型品を効率的に硬化させるためには、より高い温度が必要になる。
物性の比較(例9~16)
【0098】
額用成型品(調製については上に詳述)をフォーム配合物Aを用いて作成し、ボール盤混合方法(混合法1;エラストマー製品が得られる)およびKitchenAid登録商標混合方法(混合法2)の両者を使用した。これらの混合方法の間の相違は、上記のように、樹脂中に連行される(泡立て混入される)空気の量にあり、密度に大きな相違が生ずる
【0099】
表6から見て取れるように、触媒Bは、触媒Aに匹敵する物性をもたらす。樹脂を発泡させることを通じて、材料は多孔質性の増大により、一般に弱くなる。触媒Bは樹脂が発泡された場合に良好な物性を示したが、これに対し触媒Aは、樹脂が発泡なしに混合された場合に良好な物性をもたらした。ここでも、混合時間は影響を及ぼす要因でありうる。ボール盤混合は15秒間にわたり3500rpmで行われ、これに対してKitchenAid
登録商標での混合は10分間にわたり、ずっと低いrpmで行われた。混合が行われたら、樹脂は次いで、等温(61℃)のウォータージャケットを着せた304.8mm×304.8mm×6.35mmの大きさの型に注入した。これらの例における脱型時間は、発泡樹脂で作成された部材については90分、樹脂が発泡されない場合については60分であった。
【表6】
*試料破断せず
**ASTM D-412「ダイA」
***ASTM D-624「タイプCダイ」
【0100】
額用成型品(上述のものに類似)を、フォーム配合物Aを用いて調製した(混合法2-KitchenAid
登録商標)。2×2の正方形を額から打ち抜き、4つを積み重ねて計量した。額のそれぞれについて、これを2度繰り返した。各々の試料について報告された密度は、後の方の2×2×1インチの組の寸法および重量に基づいて得た密度である。次いでそれぞれの組は、50%の圧縮率で、圧縮永久歪について分析した。表7に示すこのデータは、2つの触媒について同様のものであるが、唯一の差別的データとしては、触媒Cが触媒Aよりも、50%の圧縮率において僅かに小さな永久圧縮永久歪を有することがある。
【表7】
*ASTM D-3574
【0101】
触媒Cは、触媒Aよりも僅かに小さな密度をもたらした。使用した配合物に起因して、引張および引裂強度は乏しかった。
触媒相乗作用手法
【0102】
触媒Aおよび触媒Cは両方とも、
図1~3に示すように潜在性をもたらす。しかしながら、増大された用量(5pphr)において、触媒Aは活性化され、50~70℃において実質的な粘度の増大をもたらし、初期に30秒以内で50℃付近への上昇という、比較的急激な発熱を伴い、これは触媒Cを5pphrで用いた場合よりずっと迅速である。以下の例は、開始剤または初期段階の触媒を触媒Cと共に用いて発熱(温度>70℃)をもたらし、これはポリウレタンフォーム配合物Aにおける潜在性に影響することなく、触媒の早期の活性化を可能にする。
【0103】
触媒Dは触媒Cと組み合わせて用いられ、そこでは反応性の増大が観察された(
図5)。触媒Dが0.1pphrで触媒Cが1.0pphrという組み合わせは、触媒Aが4pphrである場合と同様の粘度曲線を辿る。温度(発熱反応)は、触媒Aの発熱と類似して、600秒以内に70℃に到達する。このレベルにおいて触媒Aは、最初の90秒にわたり迅速な発熱を示し、次いで~55℃において横ばいになり、徐々に70℃まで上昇して、そこから粘度が増大を開始する。触媒系D/Cは、この初期の急激な発熱を示さないが、経時的にはやはり触媒Aとほぼ同じ粘度上昇を達成する。触媒D/Cについての発熱は、触媒Aのそれとほぼ同じ時間で、やはり70℃を達成する。
【0104】
触媒の組み合わせD/Cは、ニッケル系触媒Aの置き換えに対する実現可能な解決策である(
図5)。触媒D/Cは低用量において、放物線状の粘度上昇を維持し、増大した用量においては触媒Aのそれに等しい潜在性をもたらす。このことは、組み合わせ系の触媒においては、少しだけ低いレベルの用量で、触媒Aの典型的な用量における挙動が再現されることを示している。触媒BおよびCは単独では潜在性を示すが、触媒Aと同様に作用するためには高い用量が必要とされる。
水銀での置き換え(例17~18)
【0105】
水銀触媒の潜在的な代替物としての、触媒B、C、およびC/Dの実現可能性についても評価した。触媒Cの放物線状の硬化プロフィール(粘度上昇曲線)は、水銀を代替する触媒としての可能性を否定する。というのは、典型的な水銀触媒は、活性化温度に到達した場合に、ずっとより垂直な(ホッケーのスティックのような)粘度上昇を示すからである。
【0106】
ポリウレタンエラストマー配合物における、触媒Eに対する触媒C、D、およびC/Dの反応プロフィールを
図6に示す。触媒Cは1.0pphrにおいて、粘度上昇が非常に遅い(60℃において1500cpsに到達するのに22分)。触媒C/Dは1.0/0.1pphrにおいて、冷間硬化条件下で触媒Eと類似した粘度上昇を示す。この場合に注目すべき相違は、発熱を伴う場合、触媒EはS字状の温度曲線を呈するのに対し、触媒C/Dは放物線状の曲線を呈することである。またこのグラフから明らかなことは、触媒Dの用量が潜在性に与える影響と、触媒Cの用量が潜在性およびその後の硬化速度に与える影響である。1.0pphrの触媒Cを含有するエラストマー樹脂に対して0.1pphrの触媒Dを添加すると、反応性に顕著な増大がもたらされる。触媒Cの量を2.0pphrに増大し、触媒Dのレベルを0.1pphrに保つと、発熱において僅かにより迅速な増大がもたらされ、他方、粘度上昇の遅延は維持される。
【0107】
触媒Eおよび助触媒系C/Dは両方とも、25,000cpsの粘度を大体同じ時間枠で達成し、実験終了時に比較したとき(25,000cpsに到達後~30秒)、同様のグリーン強度をもたらす。
【0108】
触媒Cに対する触媒Dの効果を観察した後、それぞれを別々の存在として添加するのでなく、触媒CおよびDの両者を触媒Fとして使用して、選択的に配合した触媒について検討を行った。触媒Dの3つの異なる量について調査したが、そこでの組成は助触媒Dが0.05、0.1、および0.2pphrの組成と類似のものであり、これらに対する触媒Cの用量は1.0pphrであった。それぞれを
図7において、触媒F1、F2、およびF3として示す。
【0109】
図7は、ポリウレタンエラストマー配合物(表3)における硬化速度に対する触媒Fの効果を示す。配合された触媒(F2)は、助触媒組成物(触媒C/Dが1.0/0.1pphr)よりも速い速度で粘度を増大させるようであり、両者は事実上、触媒Gの粘度曲線に類似した放物線よりも曲線度合いの小さな粘度曲線をもたらす(この配合物において)。触媒F2として表された組成は、「ホッケースティック」状に近い粘度曲線でもって、増大された遅延をもたらす。触媒Eは後端部分が依然として触媒Fよりも速いが、これは粘度上昇のデータ点の間の距離を観察すれば明らかであり、その結果として僅かに迅速な最終硬化となる。
【0110】
活性金属含有量の濃度を増大させた触媒組成物についても評価を行った。この単純な変更は、反応性および粘度上昇に対する大きな増大という結果をもたらし、触媒Gの1.0pphrは、より高い用量における触媒Aと同様であった。この反応性レベルは触媒Aで2~4pphrの範囲にあり、粘度曲線は配合物とは無関係に依然として放物線状であって、触媒Aのそれに類似する。
【0111】
また物性試験を行って、水銀系触媒Eと、非水銀系触媒C/Dを含有する代表的なポリウレタンエラストマー配合物から作成された試験片について、硬度、引張強度、伸び、および引裂強度を比較した。
【0112】
樹脂をボール盤で3500rpmにおいて混合することにより、エラストマー額用成型品を調製した。次いで樹脂を、等温(61℃)のウォータージャケットを着せた304.8mm×304.8mm×6.35mmの大きさの型内に注入した。脱型時間は30分であった。このポリウレタンエラストマー配合物で調製した額用成型品の目標密度は1100Kg/m
3(69pcf)であった。両者は各々5分以内に冷間硬化粘度25,000cpsをもたらすため、より短い脱型時間でも十分であるが、種々の触媒を多くの用量で試験する場合の一貫性を確保するため、脱型時間は延長した。
【表8】
*ASTM D-412「ダイA」
**ASTM D-624「タイプCダイ」
【0113】
表8に見られるように、エラストマーの物性は、両方の触媒について同等であった。触媒Eは僅かに良好な引張および引裂強度をもたらしたが、触媒C/Dは僅かに良好な伸びをもたらした。
【0114】
反応性および物性は、触媒C/Dおよび触媒Eについて同等であった。水分量の少ない系においては、Hg系の触媒が水とイソシアネートの間の反応を促進しないことは周知である。この選択性は、無孔質の表面を備えた非気泡構造のポリウレタン部材の製造を可能にする。本発明者らは、ポリウレタンフォーム配合物Bにおいて、触媒Eを触媒Cおよび触媒C/Dに対して比較し、水の存在下における反応性/選択性を比較した。
【0115】
図8は、水1pphrを含有するポリウレタンフォーム配合物Bについての発泡のライズ高さを、触媒Eおよび触媒Cのそれぞれについて示す。触媒が存在しない場合は典型的に、強い発熱反応をもたらす水が存在する場合であっても、触媒Cは発泡のライズ高さに対して実質的な影響を与えないようであった。熱が存在しないことは、触媒Cの場合には要因となる可能性があり、加熱された型における挙動は異なる反応性を示すかも知れないが、しかしこの結果は、C/D触媒の組み合わせについて検討を進め、考察を行う根拠をもたらす。
【0116】
図9は、同じフォーム配合物における触媒Eおよび触媒C/Dの両者についての発熱データを示す。各々の触媒は3回実験し(データは平均して触媒ごとに1つの曲線とした)、1.0pphrの水を配合物に添加し、また水分なしで各々の触媒を含有する系についてのデータを含めた。触媒Eは、水の添加なしで約75℃の発熱温度に達したが、これに対して触媒C/Dは水が存在しないと、到達した最大温度は僅かに42℃であった。1.0pphrの水を添加すると、触媒Eについての発熱は100秒早められて120℃に到達し、比較的硬化された発泡体が500秒以内にもたらされた。触媒C/Dを用いて作成された発泡体は発熱の増大を示したが、触媒Eの場合のように明確なものではなく、300秒以内に>70℃の活性化温度に到達した。触媒C/Dで作成された発泡体は~100℃のオーブン中に置かれ、5分未満でタックフリー(表面硬化)状態となった。触媒Eで作成した発泡体は、表面を硬化するために外部加熱を必要としなかった。
【0117】
発泡体のライズ高さを
図10において比較したが、水が存在しない場合には、触媒とは無関係にエラストマーのライズプロフィールは類似することが見出された。水が存在する場合、発泡は触媒と無関係に生じ、発泡が上昇(ライズ)する結果となる。いずれの触媒で作成された発泡体も、大体同じ高さを達成するが、しかし触媒Eでは頭打ちになる。というのは、350秒の試験時間内において、発泡体は全体にわたり迅速に硬化するからである。触媒C/Dで作成された発泡体は上昇を続け、オーブン中に置く前には殆ど沈降(構造的に安定)しない。これらの発泡体は24時間の期間にわたって静置され(スラブ型および粘弾性型の発泡体では典型的)、次いで切断された。
【0118】
切断された発泡体を調べたところ、触媒Eはこの特定用途に適した触媒でないことが明らかであったが、しかし触媒C/Dは適したものでありえ、ポリウレタンフォーム配合物Bで作成される典型的な発泡体がもたらされる。触媒Eは迅速に硬化しすぎ、発泡体の底部に比較的大きな空所がもたらされるのに対し、触媒C/Dは均一な気泡をもたらし、発泡体内部に空所はない。
【0119】
この発熱データは、水の反応性についてより多くを、ライズ高さのデータよりも示している;しかしながら後者は、他のポリウレタン用途の領域が、触媒C/Dのような触媒から利益を得るであろうことを示すものである。
【0120】
以上においては本件技術の実施形態を記載しており、本明細書を読み、理解することで、他の者は修正および変更を想起するであろう。以下の請求項は、それらの請求項またはその均等物の範囲内に属する限りにおいて、すべての変更および変形を包含することを意図したものである。