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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】アンカー中のMIMSを使用するDVC
(51)【国際特許分類】
   H01G 5/38 20060101AFI20220209BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220209BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
H01G5/38
B81B3/00
B81C1/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2017541645
(86)(22)【出願日】2016-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-05
(86)【国際出願番号】 US2016015360
(87)【国際公開番号】W WO2016126517
(87)【国際公開日】2016-08-11
【審査請求日】2018-08-31
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】62/112,217
(32)【優先日】2015-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511112445
【氏名又は名称】キャベンディッシュ・キネティックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CAVENDISH KINETICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルトゥス・ペトルス・ファン・カンペン
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ガッディ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エル・ナイプ
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】清水 稔
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/165624(WO,A1)
【文献】特開2010-245276(JP,A)
【文献】特表2005-528751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0248423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 5/38, B81B 3/00, B81C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に配置された、少なくとも1つのRF電極および少なくとも1つのアンカー電極を有する基板と、
少なくとも1つのアンカー電極の上に設けられた絶縁性層と、
絶縁性層の上に設けられた導電性層であって、少なくとも1つのアンカー電極、絶縁性層、および導電性層がMIMキャパシタを形成する導電性層と、
導電性層の上に設けられた導電性コンタクト材料と、
基板の上かつ少なくとも1つのアンカー電極の上に設けられ、導電性層の上に設けられた導電性コンタクト材料に固定された少なくとも1つのMEMSブリッジであって、RF電極から第1の距離を隔てた位置から、RF電極から第1の距離より小さい第2の距離だけ隔てた位置まで可動であり、第2の距離では、少なくとも1つのMEMSブリッジが少なくとも1つのRF電極とオーミックコンタクトを形成する、少なくとも1つのMEMSブリッジと、
を含むDVC。
【請求項2】
絶縁性層は、RF電極の上に、少なくとも部分的に設けられる請求項に記載のDVC。
【請求項3】
少なくとも導電性層の一部が、RF電極の上に設けられる請求項に記載のDVC。
【請求項4】
導電性コンタクト材料は、W、Pt、Ir、Rh、Ru、RuO、ITOおよびMoからなるグループから選択される材料を含む請求項に記載のDVC。
【請求項5】
少なくとも1つのアンカー電極は、2つのアンカー電極を含む請求項1に記載のDVC。
【請求項6】
それぞれのアンカー電極は、絶縁性層の少なくとも一部がその上に設けられる請求項に記載のDVC。
【請求項7】
導電性層の少なくとも一部は、それぞれのアンカー電極の上に設けられる請求項に記載のDVC。
【請求項8】
少なくとも1つのMEMSブリッジは、少なくとも1つのアンカー電極の上の複数のMEMSブリッジを含み、それぞれのMEMSブリッジは、導電性層の上に設けられた導電性コンタクト材料に固定される請求項1に記載のDVC。
【請求項9】
それぞれのMEMSブリッジは、導電性層の異なる部分の上に設けられた導電性コンタクト材料に固定される請求項に記載のDVC。
【請求項10】
基板の上に複数の電極を形成する工程であって、少なくとも1つの電極はアンカー電極で、少なくとも1つの電極はRF電極である工程と、
複数の電極の上に絶縁性層を堆積する工程と、
絶縁性層の少なくとも一部を除去して、RF電極の少なくとも一部を露出させる工程と、
絶縁性層と露出したRF電極の上に導電性層を堆積する工程であって、アンカー電極、絶縁性層および導電性層がMIMキャパシタを形成する工程と、
導電性層の選択された部分を除去する工程と、
導電性層の一部の上に導電性コンタクト材料を形成する工程と、
導電性コンタクト材料と接続するMEMSブリッジを形成する工程であって、基板の上かつ少なくとも1つのアンカー電極の上に設けられ、導電性層の上に設けられた導電性コンタクト材料に固定されたMEMSブリッジであって、RF電極から第1の距離を隔てた位置から、RF電極から第1の距離より小さい第2の距離だけ隔てた位置まで可動である、MEMSブリッジであり、第2の距離では、MEMSブリッジがRF電極とオーミックコンタクトを形成する工程と、
を含むDVCの作製方法。
【請求項11】
MEMSブリッジは、RF電極から第1の距離だけ距離を隔てた請求項10に記載の方法。
【請求項12】
導電性コンタクト材料の第1部分は、RF電極と接続された導電性層の上に設けられる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
MEMSブリッジは、導電性コンタクト材料の第1部分から第1の距離だけ距離を隔てた請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基板の上に複数の電極を形成する工程であって、少なくとも1つの電極はアンカー電極で、少なくとも1つの電極はRF電極である工程と、
複数の電極の上に絶縁性層を堆積する工程と、
絶縁性層の少なくとも一部を除去して、RF電極の少なくとも一部を露出させる工程と、
絶縁性層と露出したRF電極の上に導電性層を堆積する工程であって、アンカー電極、絶縁性層および導電性層がMIMキャパシタを形成する工程と、
導電性層の選択された部分を除去する工程と、
導電性層の一部の上に導電性コンタクト材料を形成する工程と、
アンカー電極の上導電性層の上の導電性コンタクト材料に固定されたMEMSブリッジを形成する工程であって、MEMSブリッジはアンカー電極の上の導電性コンタクト材料と接続しており、MEMSブリッジはRF電極から距離を隔てられた位置からMEMSブリッジがRF電極とオーミックコンタクトを形成する位置まで可動であり、導電性コンタクト材料の第1部分はRF電極と接続する導電性層の上に設けられ、導電性コンタクト材料の第2部分は、絶縁性層の上に設けられる工程と、
を含むDVCの作製方法。
【請求項15】
MEMSブリッジは、導電性コンタクト材料の第2部分にコンタクトする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
導電性コンタクト材料は、W、Pt、Ir、Rh、Ru、RuO、ITOおよびMoからなるグループから選択される材料を含む請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の具体例は、一般に、ラジオ周波数(RF)チューニングおよびインピーダンスマッチングに用いるラジオ周波数(RF)デジタル可変キャパシタ(DVC)ユニットの関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタとして動作した場合に、MEMSキャパシタは非線形の挙動を示す。これは、1つの周波数で伝送された信号が他の周波数チャネルにリークした場合に、RF応用で問題になる。この1つの測定は、IP3値または入力値であり、ここでは3次の非線形性かける入力電圧または入力電流は、1次の項かける入力電圧または入力電流に等しい。
【0003】
MEMSキャパシタを用いて、RFラインへの電力を増やした場合、RFラインとMEMSカンチレバーとの間の酸化物を横切って増加した電圧が下がる。たとえMEMSデバイスが酸化層と機械的にコンタクトしていても、界面の粗さや凹凸が、与えられた電圧の関数として、(RF電極とMEMSデバイスの間の)間隔の小さな変化となる。この間隔の変化は、電力の関数として、最大キャパシタンスの変化となる。このように、電力の変調は、続いて周波数の変調となり、所望の周波数ウインドウの外で見られるより多くの信号となる。
【0004】
それゆえに、従来、RF入力電力に対して安定したキャパシタンスを有するMEMSDVCが必要であった。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般に、1またはそれ以上のMIMキャパシタを用いたMEMSDVCに関する。MIMキャパシタは、MEMSデバイス自身に組み込まれても良く、MEMSデバイスのアンカーの上に配置されても良い。
【0006】
1つの具体例では、DVCは、少なくとも1つのRF電極と、その中に配置された少なくとも1つのアンカー電極とを含む基板と、少なくとも1つのアンカー電極の上に配置された絶縁性層と、絶縁性層の上に配置された導電性層とを含み、少なくとも1つのアンカー電極、絶縁性層、および導電性層はMIMキャパシタを形成し、DVCはさらに、基板の上に配置され導電性層と接続された少なくとも1つのMEMSブリッジを含み、少なくとも1つのMEMSブリッジは、RF電極から第1の距離だけ間を隔てた位置と、RF電極から第1の距離より小さい第2の位置だけ間を隔てた位置まで移動可能である。
【0007】
他の具体例では、DVCの製造方法は、基板の上に複数の電極を形成する工程であって、少なくとも1つの電極はアンカー電極であり、少なくとも1つの電極はRF電極である工程と、複数の電極の上に絶縁性層を堆積する工程と、絶縁性層の少なくとも一部を除去して、RF電極の少なくとも一部を露出させる工程と、絶縁性層と露出したRF電極の上に導電性層を堆積する工程と、導電性層の選択された部分を除去する工程と、導電性層の一部の上にオーミックコンタクトを形成する工程と、オーミックコンタクトと接続したMEMSブリッジを形成する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上述の特徴が詳細に理解出来るように、上で簡単に要約された開示のより特別な記載は具体例が参照され、その具体例のいくつかは添付の図面で示される。しかしながら、添付の図面は本開示の一般的な具体例のみを示し、それゆえにこの範囲を限定するものとは考えられず、この開示は、他の同等に効果的な具体例を許容するものである。
【0009】
図1】一つの具体例にかかるMEMSDVCの模式的な上面図である。
図2A図1のMEMSDVCのMEMSデバイスの模式的な上面図である。
図2B図1のMEMSDVCのMEMSデバイスの模式的な断面図である。
図3A図1のMEMSDVCのMEMSデバイス中の独立スイッチング素子の模式的な上面図である。
図3B図1のMEMSDVCのMEMSデバイス中の独立スイッチング素子の模式的な断面図である。
図3C図1のMEMSDVCのMEMSデバイス中の独立スイッチング素子の模式的な断面図である。
図4図1のMEMSDVCと固定されたMIMキャップの抵抗を比較するグラフである。
図5A】一つの具体例にかかる製造の様々な工程におけるMEMSDVCの模式図である。
図5B】一つの具体例にかかる製造の様々な工程におけるMEMSDVCの模式図である。
図5C】一つの具体例にかかる製造の様々な工程におけるMEMSDVCの模式図である。
図5D】一つの具体例にかかる製造の様々な工程におけるMEMSDVCの模式図である。
図5E】一つの具体例にかかる製造の様々な工程におけるMEMSDVCの模式図である。
【0010】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照符号が用いられた。一つの具体例に記載された要素が、特別な引用なしに他の具体例で有益に使用されるものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、一般に、1またはそれ以上のMIMキャパシタを用いたMEMSDVCに関する。MIMキャパシタは、MEMSデバイスのアンカーの上に配置されても良い。
【0012】
この開示では、MEMS可変キャパシタが抵抗スイッチに転用され、抵抗スイッチは、等方コーティングの絶縁体と第1金属の上に金属を有する金属絶縁体金属(MIM)キャパシタ中で切り替える。そのようなキャパシタは、絶縁体を横切る電圧降下により誘起される高電圧および機械的圧力に対してより強固である。なぜなら、力は界面に均等に分布するからである。抵抗スイッチとして働くMEMSでは、良好なQ値を得るためには低い抵抗値が必要である。低い抵抗値は、コンタクトに大きな力を適用できる大きなMEMSデバイスを必要とする。大きなMEMSデバイスの問題は、スイッチングが遅いことである。またそれぞれのMEMSスイッチは、MIMキャパシタを通って電流を維持できる必要がある。大きな値のMIMキャパシタでは、MEMSスイッチを通る電流は非常に高くなり、これは潜在的な信頼性の問題となる。これを避けるために、並列の多くの小さなMEMSデバイスが使用される。それぞれのMEMSデバイスは小さなMIMキャパシタと接続し、限定された電流の供給のみが必要である。それぞれのコンタクトはかなり大きな抵抗値を有するが、全ての平行なデバイスの全体の組み合わせ値は小さい。
【0013】
図1は、上から見た抵抗スイッチデジタル可変キャパシタのありうる実施を示す。これは、小さなハイブリッドのオーミックMIMセル3のアレイを含む。それぞれのセルへのRF接続1、4は、反対側の端部にある。それぞれのセルは、並列に働く小さいオーミックMIMスイッチ5のアレイ(5から40)を含む。1つのセル3の中の全てのスイッチ5が同時に動いて、ターンオフされた時に最小キャパシタンスを提供し、またはターンオンされた時に最大キャパシタンスを提供する。複数のセルは2値の制御スキームになるように集められ、RF接続1、4の間の全キャパシタンスが1から8ビット解像度のデジタル制御で調整されても良い。
【0014】
図2Aは、図1中に3で示されたオーミックMIMセルの平面図を示す。セルは、オーミックMIMセルスイッチ5のアレイを含む。スイッチの下には、RF電極11、プルイン電極12、13があり、スイッチを下方の位置(スイッチが閉じる)に動かす。
【0015】
図2Bは、スイッチを上方の位置(スイッチが開く)に動かすプルアップ電極15、キャビティ16、および下方の基板層17を有する側面図を示す。基板は、相互接続のための複数の金属レベルと、デバイスを動かすためのCMOSアクティブ回路を含むことができる。
【0016】
図3Aは、図1、2Aに5で示されたアレイ中のスイッチの1つの平面図を示す。プルイン電極は12および13で示され、RF電極は11で示される。
【0017】
図3Bは、スイッチの断面図を示す。スイッチ素子は、ビア21のアレイを使用して互いに接続された導電性層20、22からなる固いブリッジを含む。層20は、構造の端部まですべて延びないで、層22より長さが短くても良い。MEMSブリッジは、MEMSブリッジの下方の層22の中に形成されたレッグ14により宙づりにされ、導電体8の上にビア23で固定される。これは、固いプレート部分と従属したレッグに高いコンタクト力を提供し、一方で動作電圧を受け入れられるレベルに保持することを可能にする。導電体8、10は、誘電層9と共に金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタを形成する。MEMSブリッジは、アンカービア23を介してMIMキャパシタの上部金属8に接続される。このスキームは、アンカー中のMIMキャパシタの小型化によりスイッチの最大オンキャパシタンスを設定することを可能にする。スイッチのオフキャパシタンスは、小さなRF電極11の寸法により支配され、MIMにより設定される最大キャパシタンスからは大きく独立する。
【0018】
ランディングポスト16は導電性であり、カンチレバーの導電性の下側に接続する。16Bは良好な導電性、周辺材料への低い反応性、および高い溶融温度、および長寿命のための硬さを提供する導電性ポストの上の表面材料である。それらの図面には示されないが、導電性層20、22の上側および下側に絶縁性層があっても良い。ランディングポスト領域中の層22の下側の上の絶縁体中に、孔が形成されて、MEMSが引き出された場合に、電気的接続を形成する導電性ポストのために、導電性領域16Cを露出させても良い。コンタクト層16、16B、16Cのために使用される典型的な材料は、Ti、TiN、TiAl、AiAlN、AlN、Al、W、Pt、Ir、Rh、Ru、RuO、ITOおよびMo、およびそれらの組み合わせを含む。動いた下方状態では、MEMSブリッジの層22は、複数のバンプ15A、15B、15C、15Dの上に乗り、これは信頼性の問題に結びつくプルイン電極12、13の上の誘電体層9の上へのMEMSブリッジが乗ることを防止する。それらのバンプは、MIMSキャパシタおよびランディングポスト16B、16Cのトッププレート8と同時に形成される。
【0019】
MEMSブリッジの上には誘電体層19があり、誘電体層19はオフ状態のルーフまでMEMSを引っ張るのに使用される金属18で覆われる。誘電体層19は、駆動状態で、MEMSブリッジと引き上げ電極との間の短絡を回避し、高信頼性のために電界を制限する。デバイスをトップに移動させることで、オフ状態のスイッチのキャパシタンスを減らす手助けとなる。キャビティは、犠牲層を除去するために使用されるそれぞれの孔を充填する誘電体層17でシールされる。誘電体層はそれらの孔に入り、カンチレバーの端部の支持を手助けし、一方でキャビティをシールして、キャビティ中を低圧力雰囲気にする。
【0020】
図3Cは、スイッチの代わりの具体例を示し、MEMSブリッジは2つの層20、22からなり、これらの層は中間誘電体層24と、層20、22を電気的に接続する幾つかのビア21で互いに接続される。誘電体層24のための適当な材料は、酸化シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、および酸窒化シリコンを含むシリコン系材料を含む。レッグ14は、MEMSブリッジの下層22中に設けられる。これは、固いプレート部分と従順なレッグを許容し、動作電圧を許容できるレベルに保持しつつ、高いコンタクト力を与えることができる。
【0021】
多くの小さなオーミックMIMスイッチを備えた全デバイスを実施するのに多くの優位点がある。一般に、デバイスを多くのブランチに分ける場合、直列に接続された非常に小さなMIMキャパシタを有するオーミックスイッチからなるそれぞれのブランチは、全体として小さな等価直列抵抗(ESR)と高いデバイスQファクタを達成するために、それぞれのスイッチに要求されるオーミック抵抗値を緩和する。また、小さなRF電流だけが、所定のrms電圧のために、それぞれのスイッチを通って流れる。小さなMIMキャパシタは、それぞれのスイッチを通る電流を制限するため、これは信頼性の問題を最小にする。加えて、オーミックスイッチのアンカー中に小さなMIMキャパシタを配置した場合、閉状態のスイッチの最大キャパシタンスを、開状態の最小キャパシタスから大きな程度独立させることができる。
【0022】
図4は、MIMキャパシタのみが実装された(それゆえにキャパシタンス値が一定の)デバイスと、プログラム可能なC値を得るために全てのMIMキャパシタと直列にオーミックスイッチを導入したデバイスを比較したシミュレーション分析により作成したグラフである。MIMキャパシタのデバイスESRは0.3オームである。オーミックスイッチの付加に伴い、ESRは増加するが、0.1オーミックより小さいESRペナルティを有するために、それぞれのオーミックスイッチ抵抗を60オームより低くすれば十分である。これは、多くの非常に小さいオーミックMIMスイッチからなる並列化の構成で有利である。
【0023】
MEMSDVCの作製
図5A図5Dは、1つの具体例にかかる様々な製造工程におけるMEMSDVC1100の模式図である。図5Aに示すように、基板1102は、その中に形成された複数の電極1104A~1104Eを有する。電極1104A、1104EはMIMキャパシタの底部金属を形成し、電極1104B、1104Dは引き込み電極(pull-in electrode)を形成し、電極1104CはRF電極を形成する。
【0024】
基板1102は、単層基板、または1またはそれ以上の相互接続を有するCMOS基板のような多層基板を含んでも良い。加えて、電極1104A~1104Eに使用される好適な材料は、窒化チタン、アルミニウム、タングステン、銅、チタン、および異なる材料の多層スタックを含むそれらの組み合わせを含む。
【0025】
図5Bに示すように、電気的絶縁性層1106が、次に電極1104A~1104Eの上に堆積される。電気的絶縁性層1106に好適な材料は、酸化シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、および酸窒化シリコンを含むシリコン系材料を含む。図5Bに示すように、電気的絶縁性層1106はRF電極1104Cの上で除去され、下層の電極1104Cを露出させる。
【0026】
図5Cに示すように、次に、電気的導電性材料1108を、電気的絶縁性層1106の上に堆積しても良い。電気的導電性材料1108はRF電極1104Cに対して直接的な電気接続を形成する。加えて、電気的導電性材料1108は、電極1104A、1104Eの上に配置されたMIMキャパシタ中の上部「金属」を形成する。電気的導電性材料1108に使用できる好適な材料は、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、それらの組み合わせ、および異なる材料層を含む多層スタックを含む。導電性材料1108の上に、導電性コンタクト材料1101が堆積され、降りた状態(landed-down state)でMEMSブリッジに接続するオーミックコンタクトを形成する。電気的導電性コンタクト材料1101に使用される好適な材料は、W、Pt、Ir、Rh、Ru、RuO、ITOおよびMoを含む。
【0027】
電気的導電性材料1108、1110のパターニング中、複数の電気的に分離されたバンプ1112が、電気的絶縁性層1106の上に形成されても良い。それらは、駆動状態(actuated-down state)のプレートに対して、追加の機械的サポートを提供する。一旦、電気的導電性材料1108、1110がパターニングされれば、残りの処理は、図5Dに示すMEMDVC1100を形成するために、またはMEMSブリッジの2つのプレートの間に絶縁性硬化材1125を使用する図5Eの代わりの具体例を形成するために行われる。
【0028】
上述のように、スイッチ素子1114は、その底面をコーティングする絶縁性材料を有し、これにより表面材料1110の上に乗る露出した導電性材料の領域1124があっても良い。追加の電気的絶縁性層1118が、プルオフ(即ちプルアップ)電極1120の上に形成され、シール層1122は、スイッチ素子114がキャビティの中に配置されるように、全体のMEMSデバイスをシールしても良い。作製中に、犠牲材料が使用されて、キャビティの境界を形成しても良い。
【0029】
上述のことは本開示の具体例に関するが、その基本的範囲から離れることなく、本開示の他の及び更なる具体例が考案され、その範囲は以下の請求の範囲により規定される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E