(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】回転操作装置
(51)【国際特許分類】
G05G 1/10 20060101AFI20220209BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G05G1/10 B
G05G5/05
(21)【出願番号】P 2018005852
(22)【出願日】2018-01-17
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 新治
(72)【発明者】
【氏名】前田 卓矢
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175028(JP,A)
【文献】特開2003-22137(JP,A)
【文献】特開2010-62075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/10
G05G 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作部材の回動操作に伴って回動する第1の回動部材と、
前記第1の回動部材と同じ回転中心軸上において、回動自在に設けられた第2の回動部材と、
前記第1の回動部材と前記第2の回動部材との間に介在し、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材とを互いに連結することにより、前記第1の回動部材の回動に伴う前記第2の回動部材の回動を可能にする連結手段と、
前記第2の回動部材の回動を制動する制動手段と
を備え、
前記連結手段は、
前記回転中心軸を通る前記回転中心軸に垂直な第1の直線を間に挟んで、各々が回動可能に並べて設けられた一対のレバー部材と、
一対の前記レバー部材の間において、前記第1の直線と直交する方向を変形方向として設けられ、且つ、一対の前記レバー部材を互いに離間する方向に付勢する弾性部材とを有し、
前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの一方は、
一対の前記レバー部材の両外側の各々に設けられ、前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの一方の回動に伴い前記レバー部材を押圧可能な一対の押圧部を有し、
前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの他方は、
一対の前記レバー部材の両外側の各々に設けられ、一対の前記レバー部材の各々の、前記互いに離間する方向への移動を規制する一対の規制部を有
し、
一対の前記レバー部材の各々は、
その一端側において前記押圧部によって押圧されたとき、その他端側における前記規制部との接点が支点となって回動する
ことを特徴とする回転操作装置。
【請求項2】
前記連結手段、前記第1の回動部材、および前記第2の回動部材の各々は、
前記回転中心軸を対称軸とする、点対称な構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項3】
前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの他方は、
一対の前記押圧部の両外側の各々に設けられ、当該第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの他方に対する前記第1の回動部材および前記第2の回動部材のうちの一方の相対的な回動に伴って、前記押圧部が当接することにより、前記第1の回動部材と前記第2の回動部材との相対的な回動角度を規制する一対の規制面を有する
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の回転操作装置。
【請求項4】
前記回転操作部材と前記第1の回動部材との間に介在し、前記回転操作部材の回動角度を増幅しつつ、当該増幅後の回動角度により、前記第1の回動部材を回動させる複数の歯車をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の回転操作装置。
【請求項5】
前記制動手段は、電磁ブレーキである
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の回転操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車等の車両に搭載された変速機のシフトチェンジを行うための操作装置として、回転操作部材による回動操作を行うことが可能な回転操作装置が用いられている。
【0003】
このような回転操作装置において、制動装置によって回動が制動されている状態のときに、回転操作部材による回転操作がなされた場合、回転操作部材のみを僅かに過回動(以下、「過回動動作」と示す)させ、さらに、回転操作部材による回転操作が解消されたときに、回転操作部材を自動的に元の位置に復帰させること(以下、「自動復帰動作」と示す)ができるようにした技術が考案されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、操作ノブと一体的に回転する第1回転体に対し、駆動体および圧縮コイルばねを設け、圧縮コイルばねからの弾性付勢力により、第2回転体の内周面に設けられたカム面に対し、駆動体を弾接させる技術が開示されている。この技術によれば、電磁ブレーキから制動力が印加されていないとき、第1および第2回転体を一体的に回転させることが可能であり、電磁ブレーキから制動力が印加されている状態で、操作ノブの回転操作がなされたとき、駆動体をカム面に摺動させつつ、第1回転体を第2回転体に対して相対的に回転(すなわち、過回動動作)させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、圧縮コイルばねが、駆動体を半径方向に付勢する構成を採用しているため、装置全体のサイズを小型化することが困難であった。また、回転操作による回転方向への付勢力を、カム面に対する駆動体の摺動によって、圧縮コイルばねに対する半径方向への付勢力に変換する構成を採用しているため、カム面および駆動体の摩耗によって耐久性が低下してしまったり、圧縮コイルばねに対する付勢力の伝達効率が低下してしまったりする虞がある。
【0007】
このようなことから、比較的簡易な構成により、回転操作部材の過回動動作および自動復帰動作を効率的に行うことが可能な、小型且つ耐久性の高い回転操作装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の回転操作装置は、回転操作部材の回動操作に伴って回動する第1の回動部材と、第1の回動部材と同じ回転中心軸上において、回動自在に設けられた第2の回動部材と、第1の回動部材と第2の回動部材との間に介在し、第1の回動部材と第2の回動部材とを互いに連結することにより、第1の回動部材の回動に伴う第2の回動部材の回動を可能にする連結手段と、第2の回動部材の回動を制動する制動手段とを備え、連結手段は、回転中心軸を通る回転中心軸に垂直な第1の直線を間に挟んで、各々が回動可能に並べて設けられた一対のレバー部材と、一対のレバー部材の間において、第1の直線と直交する方向を変形方向として設けられ、且つ、一対のレバー部材を互いに離間する方向に付勢する弾性部材とを有し、第1の回動部材および第2の回動部材のうちの一方は、一対のレバー部材の両外側の各々に設けられ、第1の回動部材および第2の回動部材のうちの一方の回動に伴いレバー部材を押圧可能な一対の押圧部を有し、第1の回動部材および第2の回動部材のうちの他方は、一対のレバー部材の両外側の各々に設けられ、一対のレバー部材の各々の、互いに離間する方向への移動を規制する一対の規制部を有する。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、比較的簡易な構成により、回転操作部材の過回動動作および自動復帰動作を効率的に行うことが可能な、小型且つ耐久性の高い回転操作装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る回転操作装置の外観斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る回転操作装置の平面図である。
【
図3】一実施形態に係る回転操作装置の側面図である。
【
図4】一実施形態に係る回転操作装置の分解斜視図である。
【
図5】
図3に示す回転操作装置のA-A断面図である。
【
図6】一実施形態に係る制動ユニットの外観斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る制動ユニットの分解斜視図である。
【
図8】
図6に示す制動ユニットのB-B断面図である。
【
図9】一実施形態に係る連結手段(第2の回動部材に組み込まれた状態)の外観斜視図である。
【
図10】一実施形態に係る連結手段(第2の回動部材から取り外された状態)の外観斜視図である。
【
図11】一実施形態に係る連結手段(第2の回動部材に組み込まれた状態)の平面図である。
【
図12】一実施形態に係る第1の回動部材の底面側の構成を示す外観斜視図である。
【
図13】一実施形態に係る第1の回動部材および第2の回動部材の連結手段による連結状態を示す平面図である。
【
図14】一実施形態に係る回転操作装置において回転操作部材による回動操作がおこなわれたときの連結手段の動作を説明するための図である。
【
図15】一実施形態に係る回転操作装置において回転操作部材による回動操作がおこなわれたときの連結手段の動作を説明するための図である。
【
図16】一実施形態に係る回転操作装置において回動操作がおこなわれたときの連結手段による過回動動作を説明するための図である。
【
図17】一実施形態に係る回転操作装置において回動操作が解消されたときの連結手段による復帰動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向を、前後方向とし、図中Y軸方向を、左右方向とする。
【0012】
(回転操作装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る回転操作装置100の外観斜視図である。
図2は、一実施形態に係る回転操作装置100の平面図である。
図3は、一実施形態に係る回転操作装置100の側面図である。
【0013】
図1~
図3に示す回転操作装置100は、自動車等の車両の車内において、運転席の近傍に設置される回転操作装置であって、車両に搭載された変速機のシフトチェンジを行うための回転操作装置である。回転操作装置100は、変速機を機械的に制御するものではなく、シフト操作に応じた制御信号を外部に出力することによって変速機を電気的に制御する、いわゆるシフトバイワイヤ方式を採用している。
【0014】
なお、回転操作装置100は、変速機のシフトチェンジ以外の目的に用いられてよく、車両以外の機器(例えば、航空機、鉄道車両、ゲーム機、リモコン等)に用いられてもよい。また、回転操作装置100は、実際には、シフト操作に応じた電気信号を出力するための電気的な構成を有しているが、本実施形態では、この電気的な構成についての図示および説明を省略することとする。
【0015】
図1~
図3に示すように、回転操作装置100は、直方体形状を有する筐体120の上面(上側蓋部122)から、円柱状の回転操作部材110が突出した、全体形状をなしている。また、回転操作装置100は、上方(図中Z軸正方向)からの平面視において、反時計回り方向(
図2に示す矢印D1方向)および時計回り方向(
図2に示す矢印D2方向)のそれぞれの方向に、回転操作部材110を回動操作することが可能である。
【0016】
また、回転操作装置100における筐体120の上面(上側蓋部122)には、シフトポジションインジケータ122Bが設けられている。シフトポジションインジケータ122Bは、5つのシフトポジション(P,R,N,D,S)を、左右方向に直線状に並べて表示するものである。すなわち、回転操作装置100は、回転操作部材110による回動操作により、変速機のシフトポジションを、5つのシフトポジション(P,R,N,D,S)のいずれかに切り替えることが可能である。
【0017】
回転操作装置100は、公知のクリック感付与機構(図示省略)が設けられている。これにより、回転操作装置100は、所定の角度の回動操作がなされる毎に、当該回動操作に対してクリック感を付与しつつ、変速機のシフトポジションを切り替えることが可能である。すなわち、回転操作装置100は、回動操作の操作者に対して、シフトポジションの切り替えが確実になされたことを、触覚的に把握させることができるようになっている。
【0018】
(回転操作装置100の構成)
図4は、一実施形態に係る回転操作装置100の分解斜視図である。
図4に示すように、回転操作装置100は、回転操作部材110、筐体120、制動ユニット130、および基板140を備えて構成されている。
【0019】
回転操作部材110は、筐体120の上面(上側蓋部122)に形成された開口部122Aから突出して設けられた円柱状(上部が閉じた円筒状)の部材であり、操作者によって回動操作がなされる部材である。回転操作部材110は、その内筒部に対し、本体部121に設けられた軸部121Bが下側から挿入されることにより、当該軸部121Bによって回転自在に軸支される。
【0020】
筐体120は、概ね直方体をなす箱状の部材である。筐体120は、本体部121、上側蓋部122、下側蓋部123、スペーサ124、および固定ネジ125を備えて構成されている。本体部121は、各構成部品が内部に組み込まれる、四角筒状の部材である。本体部121は、仕切り板121Aによって、その内部空間が上部空間と下部空間とに分割されている。本体部121における上部空間(仕切り板121Aの上面)には、回転操作部材110を回転自在に軸支するための、円柱状の軸部121Bが設けられている。本体部121における下部空間には、基板140および制動ユニット130が収容される。上側蓋部122は、本体部121の上部空間を閉塞する、蓋状の部材である。上側蓋部122には、軸部121Bおよび回転操作部材110を貫通させるための円形の開口部122Aが形成されている。また、上側蓋部122には、現在のシフトポジションを表示可能な、シフトポジションインジケータ122Bが設けられている。上側蓋部122は、その4隅の各々において、固定ネジ125によって、本体部121に対してネジ止め固定される。下側蓋部123は、本体部121の下部空間を閉塞する、底板状の部材である。下側蓋部123の外周縁部には、爪状の複数の係合部123Aが形成されている。下側蓋部123は、複数の係合部123Aの各々が、本体部121に形成された開口部121Cに係合することにより、本体部121の下部空間を閉塞した状態で、本体部121に対して固定される。
【0021】
基板140は、複数枚の板状の部材が積層されてなる部材であり、筐体120の本体部121の下部空間内に収容される。基板140の上面には、制動ユニット130および導光板141が設置されている。
【0022】
制動ユニット130は、「制動手段」の一例である電磁ブレーキ134を備えており、当該電磁ブレーキ134によって、回転操作部材110の回動を制動することが可能な装置である。具体的には、制動ユニット130は、上部に設けられた外歯車131Aが、回転操作部材110の内筒部に形成された内歯車111(
図5参照)と噛み合うことにより、回転操作部材110による回転操作に伴って、内部に設けられた第1の回動部材131および第2の回動部材132が回動するようになっている。そして、制動ユニット130は、電磁ブレーキ134によって、第2の回動部材132の回動を制動することにより、回転操作部材110の回動を制動することができるようになっている。例えば、制動ユニット130は、所定のロック条件に合致するときに、電磁ブレーキ134を作動させて、第2の回動部材132の回動を制動することにより、回転操作部材110による回動操作ができないようにすることができる。これにより、制動ユニット130は、所定のロック条件に合致するときに、不適切なシフトポジションの切り替えがなされないようにすることができる。所定のロック条件とは、例えば、シフトポジションが「P」にあり、且つ、ブレーキペダルが踏まれていないとき、または、車両が前進している状態で、シフトポジションを「R」に切り替えようとする回転操作がなされたとき、等である。また、制動ユニット130は、磁気式の回転角度検出センサ(図示省略)を備えており、当該回転角度検出センサにより、第1の回動部材131および第2の回動部材132の回動角度を検出することが可能である。回転角度検出センサによって検出された回転角度は、例えば、外部の制御装置へ出力され、外部の制御装置において、回転操作部材110による回動操作を検知し、その検知結果に応じて、制動ユニット130の動作を制御する、等の目的で利用される。以後説明の便宜上、第1の回動部材131および第2の回動部材132を単に回動部材と呼ぶ場合がある。
【0023】
導光板141は、基板140の上面から、上側蓋部122に設けられたシフトポジションインジケータ122Bにまで達する、棒状の部材である。導光板141は、基板140に設けられた発光手段(例えば、LED等。図示省略)から発せられた光を、シフトポジションインジケータ122Bに導くことにより、シフトポジションインジケータ122B(5つのポジション(P,R,N,D,S)、および、現在のシフトポジション)を発光させることができるようになっている。
【0024】
図5は、
図3に示す回転操作装置100のA-A断面図である。
図5に示すように、回転操作部材110の内筒部の内周面には、当該内周面の全域に亘って、内歯車111が形成されている。この内歯車111には、制動ユニット130の上部に設けられた外歯車131Aが噛み合うようになっている。ここで、回転操作部材110の内歯車111の歯数は、制動ユニット130の外歯車131Aの歯数よりも多くなっている。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、回転操作部材110を回動操作したとき、当該回動操作における回動角度を増幅して、制動ユニット130を回動動作させることができるようになっている。すなわち、本実施形態の回転操作装置100は、回転操作部材110によって、比較的小さい回転角度の回動操作が行われた場合であっても、その回転角度を増幅することにより、その回動操作が行われたことを、制動ユニット130が備える回転角度検出センサによって、より確実に検出することができるようになっている。なお、内歯車111および外歯車131Aは、「複数の歯車」の一例である。
【0025】
(制動ユニット130の構成)
図6は、一実施形態に係る制動ユニット130の外観斜視図である。
図7は、一実施形態に係る制動ユニット130の分解斜視図である。
図8は、
図6に示す制動ユニット130のB-B断面図である。
【0026】
図6~
図8に示すように、制動ユニット130は、上方(図中Z軸正側)から順に、第1の回動部材131、第2の回動部材132、ブレーキロータ133、電磁ブレーキ134、および基板135を備えて構成されている。
【0027】
第1の回動部材131は、回転操作部材110の回動操作に伴って回動する部材である。具体的には、第1の回動部材131の上面かつ回転中心には、外歯車131Aが設けられている。外歯車131Aは、回転操作部材110の内歯車111と噛み合う。これにより、第1の回動部材131は、回転操作部材110の回動操作に伴って、回動することが可能である。第1の回動部材131の底面かつ回転中心には、下方(図中Z軸負方向)に向って直線状に延在する回転軸部材131Bが設けられている。回転軸部材131Bは、第2の回動部材132およびブレーキロータ133を回動自在に軸支する部材である。第1の回動部材131としては、例えば、アルミダイキャスト、ポリアセタール樹脂等、比較的硬質な素材を用いることができる。なお、図示は省略するが、回転軸部材131Bおよびその近傍には、磁気式の回転角度検出センサが設けられている。この回転角度検出センサは、回転軸部材131Bに固定された永久磁石と、永久磁石と対向して回転軸部材131Bの近傍に設けられた磁気センサとを備えて構成されている。回転角度検出センサは、永久磁石の回転に伴う磁束密度の変化を、磁気センサによって検出することにより、回転軸部材131Bの回転角度を検出することができるようになっている。なお、磁気式の回転角度検出センサの代わりに、その他の方式(例えば、光学式、機械式等)の回転角度検出センサを設けるようにしてもよい。
【0028】
第2の回動部材132は、第1の回動部材131と同じ回転中心軸P上において、回動自在に設けられた部材である。具体的には、第2の回動部材132は、第1の回動部材131に設けられた回転軸部材131Bによって、回動自在に軸支される。また、第2の回動部材132は、その上面側に設けられた連結手段200によって、第1の回動部材131と連結されることにより、第1の回動部材131に連れ回ることができるようになっている。第2の回動部材132としては、例えば、アルミダイキャスト、ポリアセタール樹脂等、比較的硬質な素材を用いることができる。なお、連結手段200の具体的な構成については、
図9以降で説明する。
【0029】
ブレーキロータ133は、第2の回動部材132と同軸上において、第2の回動部材132に連れ回るように設けられた、円盤状の部材である。具体的には、ブレーキロータ133の表面には、複数の円形の開口部133Aが形成されている。複数の開口部133Aの各々は、第2の回動部材132の底面から下方に突出した円柱状のピン132G(
図8参照)と係合する。これにより、ブレーキロータ133は、第2の回動部材132に連れ回るようになっている。なお、ブレーキロータ133は、電磁ブレーキ134が発生する磁力によって吸着可能なように、磁性体(例えば、鉄)から形成される。
【0030】
電磁ブレーキ134は、ブレーキロータ133と同軸上に設けられた装置である。電磁ブレーキ134は、電線が多重に巻かれてなる電磁石134Aを有しており、当該電磁石134Aが通電されることにより、磁力を発生する。電磁ブレーキ134は、この磁力により、ブレーキロータ133を吸着して、ブレーキロータ133の回動を制動することにより、第2の回動部材132の回動を制動することができる。
【0031】
基板135は、各構成部材を下側から支持する平板状の部材である。基板135には、軸受136が取り付けられている。軸受136は、第1の回動部材131が備える回転軸部材131Bの下端部を、回転自在に軸支する部材である。
【0032】
このように構成された制動ユニット130は、回転操作部材110の回動操作に伴って、第1の回動部材131および第2の回動部材132が回動するようになっている。また、制動ユニット130は、電磁ブレーキ134に通電することによって、電磁ブレーキ134に磁力を発生させ、当該磁力によって、電磁ブレーキ134に対してブレーキロータ133を吸着させることにより、ブレーキロータ133の回動を制動することができる。ブレーキロータ133は、第2の回動部材132と連れ回るものであるから、ブレーキロータ133の回動が制動されることにより、第2の回動部材132の回動も制動されることとなる。さらに、第1の回動部材131を介して第2の回動部材132と連結された回転操作部材110の回動も、制動されることとなる。
【0033】
(連結手段200の構成)
図9は、一実施形態に係る連結手段200(第2の回動部材132に組み込まれた状態)の外観斜視図である。
図10は、一実施形態に係る連結手段200(第2の回動部材132から取り外された状態)の外観斜視図である。
図11は、一実施形態に係る連結手段200(第2の回動部材132に組み込まれた状態)の平面図である。
【0034】
図9~11に示すように、連結手段200は、第2の回動部材132の表面上において、外周縁部に沿って左側(図中Y軸正側)に形成された第1の壁部132Aと、外周縁部に沿って右側(図中Y軸負側)に形成された第2の壁部132Bとの間に組み込まれるものである。連結手段200は、レバー部材201、レバー部材202、コイルばね203、およびコイルばね204を備えている。
【0035】
レバー部材201,202は、「一対のレバー部材」の一例である。レバー部材201,202は、それぞれ、概ね、直線状に延伸する四角棒状の部材である。
図11に示すように、レバー部材201,202は、第2の回動部材132の表面上において、第1の壁部132Aと、第2の壁部132Bとの間に配置される。特に、レバー部材201,202は、回転中心軸Pを通る直線L1(「回転中心軸を通る回転中心軸に垂直な第1の直線」の一例)を間に挟んで、当該直線L1に沿った方向(図中X軸方向)に、互いに平行に並べて配置される。
【0036】
図11に示すように、レバー部材201は、その一端側(図中X軸正側)に、内側(コイルばね203側)に向って切り欠かれた、切り欠き部201Aを有しており、その他端側(図中X軸負側)に、内側(コイルばね204側)に向って切り欠かれた、切り欠き部201Bを有している。同様に、レバー部材202は、その一端側(図中X軸正側)に、内側(コイルばね203側)に向って切り欠かれた、切り欠き部202Aを有しており、その他端側(図中X軸負側)に、内側(コイルばね204側)に向って切り欠かれた、切り欠き部202Bを有している。
【0037】
レバー部材201に切り欠き部201Aが設けられ、且つ、レバー部材202に切り欠き部202Aが設けられたことにより、レバー部材201,202の両外側に配置される、ピン131Cおよびピン131D(
図13参照)の互いの間隔を狭めることができる。また、レバー部材201に切り欠き部201Bが設けられ、且つ、レバー部材202に切り欠き部202Bが設けられたことにより、ピン131Eおよびピン131F(
図13参照)の互いの間隔を狭めることができる。よって、第1の回動部材131および第2の回動部材132の大径化を抑制することができる。
【0038】
コイルばね203,コイルばね204は、「弾性部材」の一例である。コイルばね203は、レバー部材201,202の一端側(図中X軸正側)において、レバー部材201,202の間に配置される。特に、コイルばね203は、回転中心軸Pを通る回転中心軸Pに垂直な直線L1と直交する方向(図中Y軸方向)を変形(伸縮)方向として設けられ、且つ、レバー部材201,202の各々の一端側の部分を、互いに離間する方向に付勢する。コイルばね204は、レバー部材201,202の他端側(図中X軸負側)において、レバー部材201,202の間に配置される。特に、コイルばね204は、回転中心軸Pを通る回転中心軸Pに垂直な直線L1と直交する方向(図中Y軸方向)を変形(伸縮)方向として設けられ、且つ、レバー部材201,202の各々の他端側の部分を、互いに離間する方向に付勢する。
【0039】
ここで、
図11に示すように、第2の回動部材132は、規制部132C,132Dを有する。規制部132C,132Dは、「一対の規制部」の一例である。規制部132Cは、第1の壁部132Aの一端(図中X軸正側の端部)から、外周縁部に沿って延長された部分である。規制部132Dは、第2の壁部132Bの一端(図中X軸正側の端部)から、外周縁部に沿って延長された部分である。規制部132C,132Dの間には、一対のレバー部材201,202(各々の一端側の部分)が配置される。これにより、規制部132C,132Dは、一対のレバー部材201,202(各々の一端側の部分)の、コイルばね203からの付勢力による、互いに離間する方向への移動を規制する。
【0040】
また、第2の回動部材132は、規制部132E,132Fを有する。規制部132E,132Fは、「一対の規制部」の他の一例である。規制部132Eは、第1の壁部132Aの他端(図中X軸負側の端部)から、外周縁部に沿って延長された部分である。規制部132Fは、第2の壁部132Bの他端(図中X軸負側の端部)から、外周縁部に沿って延長された部分である。規制部132E,132Fの間には、一対のレバー部材201,202(各々の他端側の部分)が配置される。これにより、規制部132E,132Fは、一対のレバー部材201,202(各々の他端側の部分)の、コイルばね204からの付勢力による、互いに離間する方向への移動を規制する。
【0041】
(第1の回動部材131の底面の構成)
図12は、一実施形態に係る第1の回動部材131の底面側の構成を示す外観斜視図である。
図12に示すように、第1の回動部材131の底面(第2の回動部材132と対向する面)には、一対の円柱状のピン131C,131Dが、円周方向に沿って並べて設けられている。また、第1の回動部材131の底面には、一対の円柱状のピン131E,131Fが、円周方向に沿って並べて設けられている。一対のピン131C,131Dと、一対のピン131E,131Fとは、回転軸部材131B(回転中心軸P)について、点対称に設けられている。なお、ピン131C,131D,131E,131Fの各々は、「レバー部材を押圧可能な一対の押圧部」の一例である。
【0042】
(第1の回動部材131および第2の回動部材132の連結状態)
図13は、一実施形態に係る第1の回動部材131および第2の回動部材132の連結手段200による連結状態を示す平面図である。なお、
図13では、構成をわかり易くするために、第1の回動部材131については、そのXY平面による断面を示している。
【0043】
図13に示すように、第1の回動部材131および第2の回動部材132が、連結手段200によって互いに連結された状態において、一対のレバー部材201,202の各々の一端側(図中X軸正側)においては、ピン131C,131Dが、一対のレバー部材201,202を間に挟み込むように、レバー部材201,202の両外側にそれぞれ配置される。具体的には、第1の壁部132Aの一端面(図中X軸正側の端面)132Aaと、レバー部材201の一端側に形成された切り欠き部201Aとの間に、ピン131Cが配置される。また、第2の壁部132Bの一端面(図中X軸正側の端面)132Baと、レバー部材202の一端側に形成された切り欠き部202Aとの間に、ピン131Dが配置される。
【0044】
また、
図13に示すように、第1の回動部材131および第2の回動部材132が、連結手段200によって互いに連結された状態において、一対のレバー部材201,202の各々の他端側(図中X軸負側)においては、ピン131E,131Fが、一対のレバー部材201,202を間に挟み込むように、レバー部材201,202の両外側にそれぞれ配置される。具体的には、第1の壁部132Aの他端面(図中X軸負側の端面)132Abと、レバー部材201の他端側に形成された切り欠き部201Bとの間に、ピン131Eが配置される。また、第2の壁部132Bの他端面(図中X軸負側の端面)132Bbと、レバー部材202の他端側に形成された切り欠き部202Bとの間に、ピン131Fが配置される。
【0045】
なお、
図13に示すように、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々は、直線L1(「第1の直線」の一例。回転中心軸Pを通る回転中心軸Pに垂直な直線)を対称軸とする、左右に線対称な構造を有する。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、時計回り方向への回転操作と、反時計回り方向への回転操作との、いずれの回転操作が行われた場合であっても、連結手段200による同様の過回動動作および復帰動作を生じさせることができる。
【0046】
また、
図13に示すように、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々は、回転中心軸Pを対称軸とする、前後に点対称な構造を有する。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、直線L2(回転中心軸Pを通り、且つ、回転中心軸Pおよび直線L1と直交する直線)によって分割される一方の側(図中X軸正側)と他方の側(図中X軸負側)との各々において、連結手段200による同様の過回動動作および復帰動作を同時に生じさせることができるので、前後の合力が必要な荷重となるように個々の発生する付勢力の強さが半分の小さなコイルばね203,204を用いることができる。もしくは、一個の場合と同じ強さのコイルばね203,204を用いれば、前後の合力により強さが2倍の付勢力を生じさせることができる。
【0047】
なお、
図13では、レバー部材201,202は、ピン131C,131D,ピン131E,131Fと、規制部132C,132D,132D,132Eの両方と接触しているがこれに限らない。例えば、変形例では、部品寸法のバラつき等により偶然に、もしくは設計的な意図により、どちらか一方が先に接触してどちらか他方との間に微小な隙間が発生するようにしても構わない。
【0048】
(連結手段200の動作)
図14および
図15は、一実施形態に係る回転操作装置100において回転操作部材110による回動操作がおこなわれたときの連結手段200の動作を説明するための図である。
【0049】
図14に示すように、回転操作部材110による回動操作が行われていないとき、コイルばね203,204の付勢力により、一対のレバー部材201,202が互いに離間する方向に付勢される。これにより、レバー部材201は、少なくともピン131C,131Eの各々、もしくは、規制部132C,132Eの各々に当接する(
図14では、一例として、両方に当接した状態を示している)。また、レバー部材202は、少なくともピン131D,131Fの各々、もしくは、規制部132D,132Fの各々に当接する(
図14では、一例として、両方に当接した状態を示している)。これにより、一対のレバー部材201,202は、互いに離間する方向への移動が規制された状態となっている。
【0050】
この状態から、例えば、
図14に示すように、回転操作部材110による反時計回り方向(矢印D1方向)の回動操作がなされたとき、第1の回動部材131も反時計回り方向に回動することとなる。したがって、第1の回動部材131の底面に設けられているピン131C,ピン131D,131E,131Fの各々も、反時計回り方向(矢印D1方向)に回動することとなる。
【0051】
このとき、ピン131Dが、切り欠き部202Aに当接して、レバー部材202の一端部(X軸正側の端部)を、レバー部材201に近づく方向(矢印D3方向)に押圧する。このピン131Dからの押圧力は、レバー部材202、コイルばね203を介して、レバー部材201の一端部(X軸正側の端部)に伝達される。レバー部材201の一端部は、規制部132Cに当接して、当該規制部132Cを、反時計回り方向(矢印D4方向)に押圧する(以下、「第1の押圧力」とする)。
【0052】
また、同時に、ピン131Eが、切り欠き部201Bに当接して、レバー部材201の他端部(X軸負側の端部)を、レバー部材202に近づく方向(矢印D5方向)に押圧する。このピン131Eからの押圧力は、レバー部材201、コイルばね204を介して、レバー部材202の他端部(X軸負側の端部)に伝達される。レバー部材202の他端部は、規制部132Fに当接して、当該規制部132Fを、反時計回り方向(矢印D6方向)に押圧する(以下、「第2の押圧力」とする)。
【0053】
図14に示すように、回転操作部材110による反時計回り方向の回動操作がなされた場合において、第2の回動部材132が、制動ユニット130によって制動されていないとき(すなわち、回動自在の状態となっているとき)、
図15に示すように、第2の回動部材132は、上記第1の押圧力および第2の押圧力により、第1の回動部材131とともに、反時計回り方向(矢印D1方向)に回動することとなる。
【0054】
(連結手段200による過回動動作)
図16は、一実施形態に係る回転操作装置において回転操作部材110による回動操作がおこなわれたときの連結手段による過回動動作を説明するための図である。
【0055】
一方、
図14に示すように、回転操作部材110による反時計回り方向の回動操作がなされた場合において、第2の回動部材132が、制動ユニット130によって制動された状態にあるとき(すなわち、回動できない状態となっているとき)、
図16に示すように、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、連結手段200の過回動動作により、第1の回動部材131のみが(すなわち、第1の回動部材131が第2の回動部材132に対して相対的に)、反時計回り方向(矢印D1方向)に僅かに過回動することとなる。
【0056】
具体的には、ピン131Dは、第1の回動部材131とともに反時計回り方向(矢印D1方向)に回動することにより、レバー部材202の一端部(X軸正側の端部)を押圧し、当該レバー部材202、コイルばね203、レバー部材201、および規制部132Cを介して、第2の回動部材132を反時計回り方向に回動させようとする。
【0057】
同時に、ピン131Eは、第1の回動部材131とともに反時計回り方向(矢印D1方向)に回動することにより、レバー部材201の他端部(X軸負側の端部)を押圧し、当該レバー部材201、コイルばね204、レバー部材202、および規制部132Fを介して、第2の回動部材132を反時計回り方向に回動させようとする。
【0058】
しかしながら、第2の回動部材132が、制動ユニット130によって制動されているため、ピン131D,131Eは、第2の回動部材132を回動させることができない。
【0059】
このため、ピン131Dは、対に設けられたピン131Cとともに、反時計回り方向に僅かに回動しつつ(図中矢印D9)、レバー部材202の一端部(X軸正側の端部)を押圧することにより、当該レバー部材202の一端部と、レバー部材201の一端部との間に設けられたコイルばね203を、押し縮めることとなる(図中矢印D7)。
【0060】
同様に、ピン131Eは、対に設けられたピン131Fとともに、反時計回り方向に僅かに回動しつつ(図中矢印D12)、レバー部材201の他端部(X軸負側の端部)を押圧することにより、当該レバー部材201の他端部と、レバー部材202の他端部との間に設けられたコイルばね204を、押し縮めることとなる(図中矢印D10)。
【0061】
このとき、レバー部材202においては、その他端部(X軸負側の端部)が、コイルばね204からの付勢力によって規制部132Fに押し付けられているとともに、規制部132Fによって移動が規制されている。したがって、レバー部材202は、規制部132Fとの接点が支点となって、反時計回り方向に僅かに回動した状態となる(図中矢印D8)。
【0062】
また、レバー部材201においては、その一端部(X軸正側の端部)が、コイルばね203からの付勢力によって規制部132Cに押し付けられているとともに、規制部132Cによって移動が規制されている。したがって、レバー部材201は、規制部132Cとの接点が支点となって、反時計回り方向に僅かに回動した状態となる(図中矢印D11)。
【0063】
この一連の動作により、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、ピン131C,131D,131E,131Fの各々が、反時計回り方向に僅かに回動するため、したがって、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、第1の回動部材131のみが、反時計回り方向に僅かに過回動することとなる(図中矢印D1)。
【0064】
この際、第1の回動部材131の過回動によって、コイルばね203,204が押し縮められ、その弾性復帰力により、第1の回動部材131と第2の回動部材132との間に適度な回転負荷が発生することとなる。また、第1の回動部材131の過回動における回動可能な角度(「相対的な回動角度」の一例)は、ピン131Cが、第1の壁部132Aの一端面132Aa(「規制面」の一例)に当接するとともに、ピン131Fが、第2の壁部132Bの他端面132Bb(「規制面」の他の一例)に当接することにより、所定の角度(例えば、1度程度)に規制される。
【0065】
(連結手段200による復帰動作)
図17は、一実施形態に係る回転操作装置100において回転操作部材110による回動操作が解消されたときの連結手段200による復帰動作を説明するための図である。
【0066】
図16に示すように、第1の回動部材131が過回動した状態において、回転操作部材110による反時計回り方向の回動操作が解消されると、第1の回動部材131は、過回動した状態から、コイルばね203,204の弾性復帰力により、自動的に過回動前の元の状態に復帰することとなる。
【0067】
具体的には、
図17に示すように、コイルばね203が、その弾性復帰力によって伸長することにより(図中矢印D13)、レバー部材202を付勢する。レバー部材202は、コイルばね203からの付勢力により、その一端部が元の位置(
図14に示す状態)まで、時計回り方向に回動することにより(図中矢印D14)、ピン131Dを付勢する。これにより、ピン131Dは、対に設けられたピン131Cとともに、時計回り方向に回動して(図中矢印D15)、元の位置(
図14に示す状態)に復帰することとなる。
【0068】
これと同時に、コイルばね204が、その弾性復帰力によって伸長することにより(図中矢印D16)、レバー部材201を付勢する。レバー部材201は、コイルばね204からの付勢力により、その他端部が元の位置(
図14に示す状態)まで、時計回り方向に回動することにより(図中矢印D17)、ピン131Eを付勢する。これにより、ピン131Eは、対に設けられたピン131Fとともに、時計回り方向に回動して(図中矢印D18)、元の位置(
図14に示す状態)に復帰することとなる。
【0069】
この一連の動作により、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、ピン131C,131D,131E,131Fの各々が、時計回り方向に僅かに回動するため、したがって、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、第1の回動部材131のみが、過回動した状態から、時計回り方向に僅かに回動し、過回動前の元の位置(
図14に示す状態)に復帰することとなる。
【0070】
なお、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々は、左右対称の構成を有しているから、回転操作部材110による時計回り方向の回動操作がなされた場合であっても、
図14~
図17で説明したのと同様に、動作することとなる。
【0071】
すなわち、回転操作部材110による時計回り方向の回動操作がなされた場合において、第2の回動部材132が、制動ユニット130によって制動されていない状態のとき(すなわち、回動自在の状態となっているとき)、第2の回動部材132は、第1の回動部材131とともに、時計回り方向に回動することとなる。
【0072】
一方、回転操作部材110による時計回り方向の回動操作がなされた場合において、第2の回動部材132が、制動ユニット130によって制動されている状態のとき(すなわち、回動できない状態となっているとき)、第2の回動部材132の回動が停止した状態のまま、連結手段200の過回動動作により、第1の回動部材131のみが、時計回り方向に僅かに過回動することとなる。
【0073】
そして、第1の回動部材131が時計回り方向に過回動した状態において、回転操作部材110による時計回り方向の回動操作が解消されると、第1の回動部材131は、過回動した状態から、コイルばね203,204の弾性復帰力により、自動的に過回動前の元の状態に復帰することとなる。
【0074】
なお、本実施形態では、制動ユニット130に設けられた回転角度検出センサにより、第1の回動部材131が元の状態に復帰したことを検出したタイミングで、電磁ブレーキ134の制動を解除するようにしてもよい。これにより、回転操作部材110による回動操作の解消に伴って、電磁ブレーキ134による制動を解除することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の回転操作装置100は、第1の回動部材131と第2の回動部材132との間に、連結手段200を備えている。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、第2の回動部材132の回動が電磁ブレーキ134によって制動されていないとき、第1の回動部材131の回動に伴って、第2の回動部材132を回動させることができる。また、第2の回動部材132の回動が電磁ブレーキ134によって制動されているとき、第1の回動部材131を過回動動作および自動復帰動作させることができる。
【0076】
特に、本実施形態の回転操作装置100は、連結手段200が、一対のレバー部材201,202と、一対のレバー部材201,202を互いに離間する方向に付勢するコイルばね203,204とを有して構成されている。すなわち、本実施形態の回転操作装置100は、コイルばね203,204を、回転方向と略同方向に変形させる構成を採用しているため、装置全体が半径方向に拡大されることなく、装置全体のサイズの小型化を可能とし、且つ、コイルばね203,204に対する押圧力の伝達効率を高めることができる。
【0077】
さらに、本実施形態の回転操作装置100は、回転操作部材110による回転操作に伴って、ピン131C~131Fがレバー部材201,202を摺動することなく押圧する構成を採用しているため、ピン131C~131Fおよびレバー部材201,202の摩耗による耐久性の低下を抑制することができる。
【0078】
したがって、本実施形態の回転操作装置100によれば、比較的簡易な構成により、回転操作部材の過回動動作および自動復帰動作を効率的に行うことが可能な、小型且つ耐久性の高い回転操作装置を実現することができる。
【0079】
また、本実施形態の回転操作装置100は、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々が、回転中心軸Pを対称軸とする、点対称な構造を有する。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、直線L2によって分割される一方の側と他方の側との各々において、連結手段200による同様の過回動動作および復帰動作を、同時且つ対称的に生じさせることができる。したがって、本実施形態の回転操作装置100によれば、連結手段200による安定的な過回動動作および復帰動作を生じさせることができる。
【0080】
また、本実施形態の回転操作装置100は、一対のレバー部材201,202の各々が、その一端側において押圧部(ピン131C~131Fのいずれか)によって押圧されたとき、その他端側における規制部(規制部132C~132Fのいずれか)との接点が支点となって回動する構成を採用している。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、一対のレバー部材201,202の各々に対して、回動軸となる部材を別途設ける必要がないため、例えば、一対のレバー部材201,202の各々の部品点数の増加を抑制し、装置全体のコストを削減することができる。
【0081】
また、本実施形態の回転操作装置100は、第2の回動部材132に対する第1の回動部材131の相対的な回動に伴って、押圧部(ピン131C~131Fのいずれか)が規制面(第1の壁部132Aの端面および第2の壁部132Bの端面)に当接することにより、第2の回動部材132に対する第1の回動部材131の相対的な回動角度を規制する構成を採用している。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、各押圧部によって、一対のレバー部材201,202を押圧する機能と、第1の回動部材131の回動角度を規制する機能との双方を実現することができるため、部品点数を抑制し、装置全体のコストを削減することができる。また、装置全体のさらなる小型化を実現することができる。
【0082】
また、本実施形態の回転操作装置100は、回転操作部材110と第1の回動部材131との間に介在し、回転操作部材110の回動角度を増幅しつつ、当該増幅後の回動角度により、第1の回動部材131を回動させる複数の歯車(内歯車111および外歯車131A)を備える構成を採用している。これにより、本実施形態の回転操作装置100は、回転操作部材110による僅かな回転角度の回動操作が行われた場合であっても、その回転角度を増幅することにより、回転操作部材110による回動操作が行われたことを、制動ユニット130が備える回転角度検出センサによって、より確実に検出することができる。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態の回転操作装置100では、「回転操作部材」と「第1の回動部材」とが別々の部材であるが、これに限らず、例えば、「回転操作部材」と「第1の回動部材」とが一体となっていてもよい。
【0085】
また、例えば、上記実施形態の回転操作装置100では、第2の回動部材132の回動を制動する「制動手段」の一例として、電磁ブレーキ134を用いているが、これに限らない。例えば、第2の回動部材132の回動を制動する「制動手段」として、他の制動手段(例えば、モータ、電磁クラッチ等)を用いてもよい。
【0086】
また、例えば、上記実施形態の回転操作装置100では、一対のレバー部材201,202を互いに離間する方向に付勢する「弾性部材」の一例として、コイルばね203,204を用いているが、これに限らない。例えば、一対のレバー部材201,202を互いに離間する方向に付勢する「弾性部材」として、他の弾性部材(例えば、ゴム、シリコン等)を用いてもよい。
【0087】
また、例えば、上記実施形態の回転操作装置100では、第1の回動部材131を「一方の回動部材」とし、第2の回動部材132を「他方の回動部材」としているが、これに限らない。例えば、これとは反対に、第1の回動部材131を「他方の回動部材」とし、第2の回動部材132を「一方の回動部材」としてもよい。すなわち、第1の回動部材131に、第1の壁部132Aおよび第2の壁部132Bと同様の構成を設け、第2の回動部材132に、ピン131C~131Fと同様の構成を設けるようにしてもよい。
【0088】
また、例えば、上記実施形態の回転操作装置100では、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々が、回転中心軸Pを対称軸として、点対称な構造を有しているが、これに限らない。例えば、連結手段200、第1の回動部材131、および第2の回動部材132の各々は、直線L2によって分割される一方の側のみに、実施形態と同様の構成(「一対のレバー部材」、「弾性部材」、「一対の押圧部」、および「一対の規制部」)を有するものであってもよい。この場合、例えば、一対のレバー部材の各々に対し、回動軸を追加で設けることにより、一対のレバー部材の各々を回動可能としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
100 回転操作装置
110 回転操作部材
111 内歯車
120 筐体
130 制動ユニット
131 第1の回動部材
131A 外歯車
131B 回転軸部材
131C,131D,131E,131F ピン(押圧部)
132 第2の回動部材
132A 第1の壁部
132Aa 一端面(規制面)
132Ab 他端面(規制面)
132B 第2の壁部
132Ba 一端面(規制面)
132Bb 他端面(規制面)
132C,132D,132E,132F 規制部
133 ブレーキロータ
134 電磁ブレーキ(制動手段)
135 基板
200 連結手段
201,202 レバー部材
201A,201B,202A,202B 切り欠き部
203,204 コイルばね(弾性部材)
L1 直線(第1の直線)
L2 直線
P 回転中心軸