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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】間仕切パネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/215 20060101AFI20220209BHJP
   E06B 7/21 20060101ALI20220209BHJP
   E06B 5/20 20060101ALI20220209BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
E06B7/215
E06B7/21
E06B5/20
E05D15/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018019397
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019137984
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】安立 直也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛人
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆久
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-79593(JP,U)
【文献】特開2000-170458(JP,A)
【文献】特開平10-306664(JP,A)
【文献】特開2007-177588(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0008936(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00- 7/36
5/00- 5/20
E05D 15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に配設されたレールに沿って走行可能に吊支されたパネル本体と、前記パネル本体の進行方向に突出した状態で前記パネル本体の下端部に収納される閉塞部材と、前記パネル本体と前記閉塞部材との間に設けられ該閉塞部材が前記パネル本体側に押し込まれることにより該閉塞部材を床に向けて押し付ける進退機構と、を備えた間仕切パネルであって、
前記進退機構は、一端が前記パネル本体に取付けられ、他端が前記閉塞部材に取付けられ、前記一端と前記他端との間にコイル部が設けられた捻りコイルバネと、
一端が前記パネル本体に回動自在に軸支され、他端が前記閉塞部材に回動自在に軸支された回動アームと、を備え、
前記回動アームは、前記閉塞部材の長手方向両側に離間して複数配設され、前記捻りコイルバネは、前記回動アーム同士の間に配設されており、
前記回動アームの他端は、前記閉塞部材に設けられた溝部に進行方向へのスライドが許容された状態で遊嵌されており、
前記回動アームは、前記閉塞部材が前記床に当接するまで前記一端を中心として回動し、前記閉塞部材が前記床に当接した後は前記他端が前記溝部内をスライド移動することを特徴とする間仕切パネル。
【請求項2】
記捻りコイルバネは、前記一端及び前記他端の少なくとも一方が、前記パネル本体または前記閉塞部材に対し回動不能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の間仕切パネル。
【請求項3】
前記捻りコイルバネは、前記コイル部を該捻りコイルバネの長手方向に複数有していることを特徴とする請求項1または2に記載の間仕切パネル。
【請求項4】
前記捻りコイルバネは、前記閉塞部材が進行方向に突出した状態において、前記コイル部が回動不能に軸支されている前記一端または前記他端と略水平方向に並んで配設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の間仕切パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや大会場、会議室等を所定の区画に仕切って使用するための間仕切パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや会議室、病院等の室内空間を用途に合わせて区画して分割して使用する場合に、天井面に固定されたレールに沿って移動可能に吊支される間仕切パネルが用いられている。この間仕切パネルは、天井面に配設されたレールに沿って走行可能に吊支されたパネル本体と、パネル本体の上下端部に沿ってそれぞれ固定されるチャンネル部と、チャンネル部の内部に収納され該チャンネル部の長手方向に沿って延びる閉塞部材と、閉塞部材を天井面及び床面に向けて進出させる進退機構と、を備え、閉塞部材を進退機構により進出させて、天井面及び床面に当接させることでパネル本体と天井面及び床面との隙間を閉塞している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示される間仕切パネルにおける進退機構は、リンク部材と捻りコイルバネとを備えている。リンク部材の一端には、該リンク部材の長手方向に延びる長孔が形成され、該長孔にチャンネル部に設けられた支軸が挿入されており、リンク部材の他端は、閉塞部材に枢着されている。また、捻りコイルバネは、一端が支軸に枢着され他端が閉塞部材に枢着されている。
【0004】
初期状態においては、閉塞部材の端部がパネル本体の進行方向に突出した状態でチャンネル部内に収容されるようにリンク部材が略水平方向に傾いており、捻りコイルバネの付勢力によりリンク部材が略水平方向に傾いた状態が保持されている。また、閉塞部材が先行する間仕切パネルや躯体に当接することで、閉塞部材が前記パネル本体側に押し込まれ、これに伴いリンク部材が一端を中心として回動して立ち上がり/立ち下がり、閉塞部材を天井面及び床面に押し上げまたは押し下げるようになっている。閉塞部材が天井面及び床面に押し付けられると、リンク部材が長孔に沿ってスライドするとともに捻りコイルバネの付勢力が上下方向にかかり、閉塞部材を天井面及び床面に押し付けた状態を保持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭59-32709号公報(第6頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の間仕切パネルにあっては、リンク部材を用いて閉塞部材を動作させる構成であることから、リンク部材が立ち上がったとき/立ち下がったときに、該リンク部材がチャンネル部の底面や天井面または床面に干渉しないように、チャンネル部の底面と天井面及び床面との間にリンク部材の寸法分の収納空間を上下方向に確保する必要があり、チャンネル部が上下方向に大きくなってしまい、見栄えが悪かった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、進退機構の動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくすることができる間仕切パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の間仕切パネルは、
天井に配設されたレールに沿って走行可能に吊支されたパネル本体と、前記パネル本体の進行方向に突出した状態で前記パネル本体の下端部に収納される閉塞部材と、前記パネル本体と前記閉塞部材との間に設けられ該閉塞部材が前記パネル本体側に押し込まれることにより該閉塞部材を床に向けて押し付ける進退機構と、を備えた間仕切パネルであって、
前記進退機構は、一端が前記パネル本体に取付けられ、他端が前記閉塞部材に取付けられ、前記一端と前記他端との間にコイル部が設けられた捻りコイルバネと、
一端が前記パネル本体に回動自在に軸支され、他端が前記閉塞部材に回動自在に軸支された回動アームと、を備え、
前記回動アームは、前記閉塞部材の長手方向両側に離間して複数配設され、前記捻りコイルバネは、前記回動アーム同士の間に配設されており、
前記回動アームの他端は、前記閉塞部材に設けられた溝部に進行方向へのスライドが許容された状態で遊嵌されており、
前記回動アームは、前記閉塞部材が前記床に当接するまで前記一端を中心として回動し、前記閉塞部材が前記床に当接した後は前記他端が前記溝部内をスライド移動することを特徴としている。
この特徴によれば、回動アームの他端と溝部の縁部との接触により、回動アームの一端を中心として該回動アームが回動することで、閉塞部材の進退動作を安定的に補助することができ、且つ閉塞部材を床に押し付けたときに、回動アームの他端が溝部内で進行方向にスライドすることで該回動アームが立ち上がらないようにできることから、進退機構における回動アームの動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくすることができる。また、捻りコイルバネは、回動アームと閉塞部材の長手方向にずれて配設されているため、回動アームの他端が溝部に沿ってスライドするときに、回動アームと捻りコイルバネが干渉することを防止できる。
【0010】
記捻りコイルバネは、前記一端及び前記他端の少なくとも一方が、前記パネル本体または前記閉塞部材に対し回動不能に取付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納状態の閉塞部材を持ち上げた状態において捻りコイルバネの付勢力が上方向に確実に働くため、閉塞部材を持ち上げた状態を保持できる。
【0011】
前記捻りコイルバネは、前記コイル部を該捻りコイルバネの長手方向に複数有していることを特徴としている。
この特徴によれば、複数のコイル部で捻りコイルバネが屈曲可能であるため、捻りコイルバネの動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくしながら、閉塞部材を天井または床に向けて押し付けた際において上下方向に大きな付勢力を働かせることができる。
【0012】
前記捻りコイルバネは、前記閉塞部材が進行方向に突出した状態において、前記コイル部が回動不能に軸支されている前記一端または前記他端と略水平方向に並んで配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞部材がパネル本体の進行方向に突出した状態において、捻りコイルバネの複数のコイル部が略水平方向に並ぶことで、捻りコイルバネの上下寸法を小さくできる。また、捻りコイルバネの付勢力が略水平方向に大きく働くのでその付勢力を利用して閉塞部材の持ち上げ力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における間仕切パネルを用いた移動間仕切装置を示す正面図である。
図2】(a)は間仕切パネルの構造を示す斜視図であり、(b)は同じく間仕切パネルの構造を示す分解斜視図である。
図3】上部閉塞部材及び下部閉塞部材の収納状態を示す縦断面図である。
図4】上部閉塞部材及び下部閉塞部材の閉塞状態を示す縦断面図である。
図5】パネル本体下部に設置された進退機構を示す模式図である。
図6】(a)は第1の捻りコイルバネの下面図、(b)は第1の捻りコイルバネの正面図である。
図7】(a)は第2の捻りコイルバネの下面図、(b)は第2の捻りコイルバネの正面図である。
図8】(a)~(e)は下部閉塞部材の閉塞動作における第1の捻りコイルバネ及び第2の捻りコイルバネの動きを示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る間仕切パネルを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0015】
実施例に係る間仕切パネルにつき、図1から図8を参照して説明する。以下、図1の紙面手前側及び図3の紙面右側を移動間仕切装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0016】
間仕切パネル1は、例えば、オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の建物内の室内を所定の区画に仕切るために用いられるものであり、図1に示されるように、本実施例では、複数の間仕切パネル1,1,…を組み合わせて移動間仕切装置10を構成している。
【0017】
移動間仕切装置10は、室内空間の天井面Rに設けられるレール3に沿って移動可能な一対の吊支部材9,9により上端が吊支される複数の間仕切パネル1,1,…から主に構成され、間仕切パネル1,1,…をレール3に沿って所定の位置まで手動で順次移動させ、間仕切パネル1,1,…を左右方向(進行方向)に一列に連接させることができるとともに、後述する上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに向けて押し付けられることにより天井面Rから床面Fに亘って室内空間を仕切ることができるようになっている。
【0018】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、間仕切パネル1は、前後に間隔をおいて対向配置される一対のガラスパネル4,4(透光パネル部材)と、ガラスパネル4,4を一体に保持する枠部材5(上部フレーム6、縦フレーム7,7及び下部フレーム8)と、上部フレーム6及び下部フレーム8(枠部材5の上下端部)に収納される上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12と、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を進退動作させる進退機構13,13(図5参照)と、から主に構成される二重ガラスパネル構造を成し、パネル材として透明のガラスパネル4が使用されることにより、間仕切パネル1によって仕切られる室内空間の開放感を演出することができるとともに、強度や遮音性に優れている。尚、本実施例では、ガラスパネル4,4と枠部材5とが一体化されてパネル本体20を構成している。
【0019】
図3を用いて、先ずガラスパネル4の構造について説明する。ガラスパネル4は、2枚の透明な板ガラス41,41を重合して強化された合わせガラスとなっている。尚、板ガラス41,41は、透明度の高いポリカーボネートやアクリル樹脂製を使用してもよい。
【0020】
次いで、枠部材5の構造について説明する。図2(a)及び図2(b)に示されるように、枠部材5は、ガラスパネル4,4の上端部に沿って取付けられる上部フレーム6と、上端部が上部フレーム6の左右両端部に接続される一対の縦フレーム7,7と、ガラスパネル4,4の下端部に沿って取付けられ、左右両端部が一対の縦フレーム7,7の下端部に接続される下部フレーム8と、から主に構成され、一対のガラスパネル4,4の上下左右端に沿って配置される、いわゆる四方枠形状を成している。
【0021】
図3に示されるように、上部フレーム6は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部61,61と、上面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる上部チャンネル部62と、を備えている。凹溝部61は、側方から見て下向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の上端部を上方から嵌合している。上部チャンネル部62は、側方から見て上向きコ字状を成し、上部閉塞部材11を収容している。
【0022】
下部フレーム8は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上面側の前後に長手方向に沿って設けられる凹溝部81,81と、下面側の前後略中央部に長手方向に沿って設けられる下部チャンネル部82と、を備えている。凹溝部81は、側方から見て上向きコ字状を成し、ガラスパネル4,4の下端部を下方から嵌合している。下部チャンネル部82は、側方から見て下向きコ字状を成し、下部閉塞部材12を収容している。
【0023】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、縦フレーム7は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、ガラスパネル4,4の間に配設されている。この縦フレーム7の左右両側には、側部カバー部材76が取付けられている。隣接した間仕切パネル1,1が左右方向に連設される際には、側部カバー部材76同士が直接接触するため、ガラスパネル4,4の両側端面を保護できるようになっている。また、側部カバー部材76にはゴム等の弾性部材(図示略)が設けられており、隣接した間仕切パネル1,1が左右方向に連設される際には、該弾性部材が圧接されるため、隣接する間仕切パネル1,1間における密閉性及び遮音性が高められている。
【0024】
次に、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12について説明する。図2図4に示されるように、上部閉塞部材11は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、上部フレーム6と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て下向きコ字形状を成している。下部閉塞部材12は、アルミ合金等の金属製の押出成形品であり、下部フレーム8と略同一寸法で左右方向に延びており、側方から見て上向きコ字形状を成している。
【0025】
図5に示されるように、下部閉塞部材12は、下部フレーム8の下部チャンネル部82に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している(図1参照)。尚、上部閉塞部材11も同様に、上部チャンネル部62に収納された状態において、パネル本体20よりも左側(間仕切り位置への進行方向)に向かって左端部(先端部)が突出している(図1参照)。
【0026】
図3及び図4に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12は、レール3及び床面Fに対して進退動作するようになっている。また、上部閉塞部材11の上面側の前後及び下部閉塞部材12の下面側の前後には、長手方向に沿って延びるゴム製等のシール部材14が固着されており、特に図4に示されるように、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに近づく方向に延出した状態にあっては、シール部材14がそれぞれ上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12とレール3の下面及び床面Fとの間で圧接され、密閉性及び遮音性が高められる。
【0027】
次に、進退機構13の構造について説明する。尚、上下の進退機構13は、後述する回動アーム19の構成以外、上下対称をなす略同一構成であるため、ここでは、下方側の進退機構13について説明し、上方側の進退機構13の説明を省略する。
【0028】
図5に示されるように、進退機構13は、下部チャンネル部82と下部閉塞部材12との間に配設される第1の捻りコイルバネ15,15と、第2の捻りコイルバネ16,16と、回動アーム19,19と、を備えている。詳しくは、回動アーム19,19は、下部チャンネル部82の長手方向両側に離間して配設されており、回動アーム19,19の間に第1の捻りコイルバネ15,15は離間して配設されており、第1の捻りコイルバネ15,15の間に第2の捻りコイルバネ16,16は離間して配置されている。また、下部閉塞部材12の下壁部12aには上下に開口する貫通孔が形成されており、第1の捻りコイルバネ15,15及び第2の捻りコイルバネ16,16の一部は、前記貫通孔内に配置されている。これにより、下部チャンネル部82と下部閉塞部材12とを上下方向に近付けて配置できる。
【0029】
第1の捻りコイルバネ15について説明する。図6に示されるように、第1の捻りコイルバネ15は、リング状の上端部15a及び下端部15bと、上端部15aと下端部15bとの間に複数に巻かれた螺旋状のコイル部15c,15dと、上端部15aとコイル部15cとを連結する直線部15eと、コイル部15c,15d間を連結する直線部15fと、下端部15bとコイル部15dとを連結する直線部15gと、から構成されている。
【0030】
リング状を成す上端部15a、下端部15b、及びコイル部15c,15dは、各中心軸が前後方向に平行に位置しており、左右方向にそれぞれ重畳しないようになっている。また、コイル部15c,15dは、中心軸を中心とした巻方向が正面から見て時計回り(巻方向が同一)となっている。つまり、コイル部15c,15dの中心軸を中心とした屈曲許容方向が同一となっている。尚、本実施例におけるコイル部15c,15dの巻き数及び内径はほぼ同一となっている。さらに尚、本実施例でいうコイル部の屈曲とは、コイル部に連結された2つの直線部同士が互いに近づくことであり、例えばコイル部15cの屈曲とは、該コイル部15cの中心軸を中心として、直線部15eが正面から見て反時計回りに、直線部15fが正面から見て時計回りに相対的に回動して近づくことである。
【0031】
図5に戻って、第1の捻りコイルバネ15の上端部15aは、下部チャンネル部82の上面部82aに固定された取付片17から前後方向に延びる軸部17aに挿通され、該軸部17aに対して回動自在に軸支されている。また、第1の捻りコイルバネ15の下端部15bは、下部閉塞部材12の下壁部12aの上面に固定された取付片18から前後方向に延びる軸部18aに挿通されており、下端部15bと隣接するコイル部15dは、取付片18において軸部18aの右方から前後方向に延びる軸部18bに挿通されているため、下端部15bは軸部18aに対して回動不能となっている。
【0032】
下部閉塞部材12が左側に突出した状態(以下、下部閉塞部材12の収納状態という)にあっては、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dは下端部15bと略水平方向に並んで配設されている。
【0033】
次に、第2の捻りコイルバネ16について説明する。図7に示されるように、第2の捻りコイルバネ16は、リング状の上端部16a及び下端部16bと、上端部16aと下端部16bとの間に複数に巻かれた螺旋状のコイル部16cと、上端部16aとコイル部16cとを連結する直線部16eと、下端部16bとコイル部16cとを連結する直線部16gと、から構成されている。
【0034】
リング状を成す上端部16a、下端部16b、及びコイル部16cは、各中心軸が前後方向に平行に位置しており、左右方向にそれぞれ重畳しないようになっている。また、コイル部16cは、中心軸を中心とした巻方向が正面から見て時計回りとなっている。
【0035】
図5に戻って、第2の捻りコイルバネ16の上端部16aは、下部チャンネル部82の上面部82aに固定された取付片17’から前後方向に延びる軸部17a’に挿通され、該軸部17a’に対して回動自在に軸支されている。また、第2の捻りコイルバネ16の下端部16bは、下部閉塞部材12の下壁部12aの下面に固定された取付片18’から前後方向に延びる軸部18a’に挿通され、該軸部18a’に対して回動自在に軸支されている。また、下部閉塞部材12の収納状態にあっては、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cは下端部16bと略水平方向に並んで配設されている。
【0036】
次に、回動アーム19について説明する。回動アーム19は、金属製の板材からなるリンク部材であり、回動アーム19の上端部は、下部チャンネル部82の上面部82aに固定された取付片30から前後方向に延びる軸部30aに挿通され、該軸部30aに対して回動自在に軸支されている。また、回動アーム19の下端部には、前後方向に延びる軸部19aが設けられており、該軸部19aは、下部閉塞部材12に形成された溝部12bに挿入されている。尚、軸部30aは取付片30ではなく回動アーム19の上端部に設けられていてもよい。
【0037】
溝部12bは、下部閉塞部材12の下壁部12aの上面に固定された溝形成部材31により形成されている。この溝形成部材31は、正面視において下向きコ字状を成す部分に、該下向きコ字状の部分の左右両端から左右方向に突出する下壁部12aに固定する部分が連結されたハット形状を成している。
【0038】
次に、下部閉塞部材12の閉塞動作について説明する。尚、ここでは、下部閉塞部材12の左端側のみを図示して説明し、下部閉塞部材12の右端側の図示及び説明を省略する。
【0039】
図8(a)に示されるように、間仕切パネル1を左方向に移動させると、パネル本体20の左側に突出する下部閉塞部材12の左端部が先行する間仕切パネル1’に接触する。尚、図8(a)は、下部閉塞部材12の左端部が先行する間仕切パネル1’に接触した直後、すなわち下部閉塞部材12にパネル本体20側(右側)に押し込まれる力が働いていない状態を示している。
【0040】
次いで、図8(b)に示されるように、図8(a)の状態からパネル本体20を左側に移動させると、下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれる。下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれると、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とが、上端部15aと上端部16aとをそれぞれ回動中心として回動し、下部閉塞部材12が押し下げられ、該下部閉塞部材12が床面Fに接触する。
【0041】
詳しくは、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、進行方向に2つずつ設けられているため、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がそれぞれ平行リンクとして機能して下部閉塞部材12を平行な状態のまま下降させるようになっている。
【0042】
また、下部閉塞部材12の左右両端には、回動アーム19,19が配設されており、回動アーム19,19が各軸部30aを中心として回動することにより、下部閉塞部材12の閉塞動作をガイドするため、下部閉塞部材12の閉塞動作が安定する。また、下部閉塞部材12が床面Fに接触したときには、回動アーム19の軸部19aは、軸部30aよりも左側に配置されており、回動アーム19は、上端部から見て左下方向に傾いている。
【0043】
このとき、第1の捻りコイルバネ15の下端部15bは、軸部18aに対して回動不能となっているため、下部閉塞部材12の閉塞動作がパネル本体20側に押し込まれたときからコイル部15dが屈曲して付勢力が増加するとともに、第2の捻りコイルバネ16の上端部16a及び下端部16bは、軸部17a’,18a’に対して回動自在に軸支されているため、コイル部16cはほとんど屈曲されずに回動する。
【0044】
また、このとき、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、略水平方向(下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向)に強く働くようになっている。
【0045】
図8(c)に示されるように、図8(b)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、軸部18a,18bと軸部17aとが左右方向に近接し、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cが屈曲し、コイル部15dの屈曲が解消される。また、軸部17a’と軸部18a’とが左右方向に近接し、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cが屈曲する。すなわち、1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16を屈曲させながら、下部閉塞部材12とパネル本体20とが左右方向に相対移動するようになる。このとき、回動アーム19の軸部19aが溝部12bに沿って左側へ移動することで、回動アーム19は、上端部から左下方向に傾いた状態が維持され、それ以上立ち下がらないようになっている。
【0046】
また、このときには、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cの中心軸と、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cの中心軸と、が軸部17a,17a’の直下に位置しており、コイル部15c及びコイル部16cを中心として、それぞれの下端部15b側及び下端部16b側を下方へ押し下げるように作用するため、図8(b)の状態よりも上下方向への付勢力が強く働くようになっている。
【0047】
尚、図8(c)の状態にあっても、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向にも働いているが、図8(b)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。さらに尚、軸部18a’は軸部17a’よりも左側に位置しているため、第2の捻りコイルバネ16の付勢力も下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向に若干働いている。
【0048】
また、図8(d)に示されるように、図8(c)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16とがさらに屈曲され、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15cの中心軸と、第2の捻りコイルバネ16のコイル部16cの中心軸と、が軸部17a,17a’の直下を越えて右側に移動する。したがって、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の付勢力は、図8(c)の状態よりも上下方向に強く働くようになっている。尚、回動アーム19の軸部19aが溝部12bに沿って左側へ移動することで、回動アーム19は、上端部から左下方向に傾いた状態が維持されている。
【0049】
また、図8(d)の状態にあっても、軸部18aが軸部17aよりも左側に位置しているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向にも働いているが、図8(c)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。さらに尚、軸部18a’は軸部17a’よりも左側に位置しているため、第2の捻りコイルバネ16の付勢力も下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向に若干働くが、図8(c)の状態に比べ、上下方向に強く働くため、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向への力が小さくなっている。
【0050】
また、図8(e)に示されるように、図8(d)の状態からパネル本体20をさらに左側に移動させると、パネル本体20が間仕切パネル1’に接触する。このときには、軸部18a’,18bが軸部17a,17a’の直下を越えて右側に位置するとともに、軸部18aは、軸部17aの直下よりも左側に位置している。すなわち、第2の捻りコイルバネ16は死点を越えるが、第1の捻りコイルバネ15は死点を越えていない。
【0051】
つまり、図8(e)の状態にあっては、第2の捻りコイルバネ16の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向に作用し、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向には作用しないが、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向以外に、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向にもわずかに作用している。
【0052】
これによれば、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16による付勢力は、下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向よりもパネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向に大きく働くため、パネル本体20が隣接する間仕切パネル1’に押し付けられた状態で下部閉塞部材12が床面Fに圧接された間仕切パネル1の閉塞状態が保持される。尚、回動アーム19の軸部19aが溝部12bに沿って左側へ移動し、且つ軸部19aに溝部12bの左端部が接触しないことで、回動アーム19は、上端部から左下方向に傾いた状態が維持されている。
【0053】
また下部閉塞部材12の閉塞解除動作は、間仕切パネル1を右方向に移動させることにより行われる。この下部閉塞部材12の閉塞解除動作時における第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との動作態様は、上述した下部閉塞部材12の閉塞動作時における第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16との動作態様と逆になる(図8(e)、図8(d)、図8(c)、図8(b)、図8(a)の順となる)。
【0054】
また、下部閉塞部材12の閉塞解除動作時にも回動アーム19が軸部30aを中心として回動することにより、下部閉塞部材12の閉塞解除動作をガイドするため、下部閉塞部材12の閉塞解除動作が安定する。具体的には、下部閉塞部材12の閉塞状態から間仕切パネル1を右方向に移動させることにより、回動アーム19の軸部19aが溝部12bの右端に当接する。これにより、回動アーム19が第1の捻りコイルバネ15の左側への付勢力により下部閉塞部材12を持ち上げる方向に回転されるため、下部閉塞部材12の持ち上げ動作をスムーズに行うことができるとともに、下部閉塞部材12を持ち上げた後は、下部閉塞部材12の重量により、第1の捻りコイルバネ15の付勢力が常に発生するため、下部閉塞部材12の収納状態を維持できる。
【0055】
以上、説明したように、本実施例の間仕切パネル1は、パネル本体20と下部閉塞部材12との間に配置され下部閉塞部材12を床面Fに付勢する付勢手段としての第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16と、一端がパネル本体20に回動自在に軸支され、他端が下部閉塞部材12の他方に回動自在に軸支された回動アーム19と、を備え、回動アーム19の他端は、下部閉塞部材12に設けられた溝部12bに進行方向へのスライドが許容された状態で遊嵌されている。
【0056】
具体的には、回動アーム19の軸部19aと溝部12bの縁部との接触により、軸部30aを中心として回動アーム19が回動することで、下部閉塞部材12の進退動作を安定的に補助することができる。さらに下部閉塞部材12を床面Fに押し付けたときには、回動アーム19の軸部19aが溝部12b内で左方向にスライドすることで回動アーム19が立ち下がらないようにできる。
【0057】
すなわち、各コイル部15c,15d,16cの屈曲により上下寸法が小さくなる第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16の収容空間を用意すればよいため、進退機構13の収納空間の上下寸法を小さくしつつ、下部閉塞部材12の動作を安定させることができる。これにより、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16を収容する下部チャンネル部82の上下寸法をコンパクトにすることができるとともに、下部チャンネル部82を床面Fに近付けて配置することが可能であるため、ガラスパネル4の可視領域を大きく確保することができ、美観に優れた間仕切パネル1を構成することができる。
【0058】
また、付勢手段である第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、一端がパネル本体20に取付けられ、他端が上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12に取付けられ、前記一端と前記他端との間にコイル部15c,15d,16cが設けられたものであり、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、前記一端及び前記他端の少なくとも一方が、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12に対し回動不能に取付けられている。
【0059】
具体的には、第1の捻りコイルバネ15は、その下端部15bが下部閉塞部材12に対し回動不能に取付けられているため、パネル本体20の下部に設けられる第1の捻りコイルバネ15は、下部閉塞部材12の収納状態において、下部閉塞部材12の重量がかかることにより、下部閉塞部材12を持ち上げる方向に第1の捻りコイルバネ15の付勢力が発生するため、下部閉塞部材12の収納状態を維持できる。
【0060】
また、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれたときから第1の捻りコイルバネ15の付勢力を確実に働かせることができる。これにより、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の進退動作を高い即応性で安定して行うことができ、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がレール3及び床面Fに接触したときから上下方向に付勢力を働かせることができる。
【0061】
また、回動アーム19は、左右方向に複数設けられている。具体的には、回動アーム19は、下部閉塞部材12との下部チャンネル部82との間に左右方向に離間して2つ設けられているため、下部閉塞部材12が2つの回動アーム19,19によりガイドされ、下部閉塞部材12を平行な状態で進退移動させやすい。
【0062】
また、第1の捻りコイルバネ15は、その長手方向に複数のコイル部15c,15dを有している。これによれば、複数のコイル部15c,15dで第1の捻りコイルバネ15が屈曲可能であるため、第1の捻りコイルバネ15の動作に必要な収納空間の上下寸法を小さくでき、さらに間仕切パネル1の閉塞状態にあっては、コイル部15dを中心とした付勢力もほぼ上下方向に働くため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12をレール3及び床面Fに向けて押し付けた際において上下方向に大きな付勢力を働かせることができる。
【0063】
また、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16は、パネル本体20の進行方向に複数(本実施例では2つずつ)設けられていることにより、第1の捻りコイルバネ15,15及び第2の捻りコイルバネ16がそれぞれ平行リンクとして機能するため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の進退動作を平行な状態で安定して行うことができる。
【0064】
また、第1の捻りコイルバネ15は、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12が進行方向に突出した状態(上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の収納状態)において、コイル部15c,15dが回動不能に取付けられている下端部15b及び上端部15aと略水平方向に並んで配設されているため、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の収納状態における第1の捻りコイルバネ15の上下寸法を小さくでき、上部チャンネル部62及び下部チャンネル部82の上下寸法をコンパクトにすることができる。
【0065】
また、第1の捻りコイルバネ15の付勢力が略水平方向に大きく働くのでその付勢力を利用して下部閉塞部材12の持ち上げ力を大きくすることができる。
【0066】
また、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dの中心軸を中心とした屈曲許容方向が同一となっているため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力を安定して働かせることができる。
【0067】
また、コイル部15dは、軸部18bに対して回動自在に挿通されているため、第1の捻りコイルバネ15を安定して屈曲させることができる。
【0068】
また、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dは、左右方向にそれぞれ重畳しないように中心軸方向にずれて配置されている。これによれば、第1の捻りコイルバネ15が屈曲してもコイル部15c,15d同士が干渉しないため、第1の捻りコイルバネ15を大きく屈曲させることができる。
【0069】
また、間仕切パネル1の閉塞状態において、第2の捻りコイルバネ16は死点を越えるが、第1の捻りコイルバネ15は死点を越えていないため、第1の捻りコイルバネ15の付勢力は、パネル本体20を隣接する間仕切パネル1’に向けて押し付ける方向以外に、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向にも作用する。これによれば、間仕切パネル1の閉塞状態において、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がともに死点を越える場合に比べて、間仕切パネル1の閉塞状態の解除を行いやすい。
【0070】
また、間仕切パネル1の閉塞解除状態(下部閉塞部材12の収納状態)において、第1の捻りコイルバネ15の下端部15bは、下部閉塞部材12に対して回動不能に固定されているため、下部閉塞部材12をパネル本体20側に押し込む際に下部閉塞部材12を左側に押し戻す方向に付勢力が作用するが、第2の捻りコイルバネ16の上端部16a及び下端部16bは回動自在に軸支されているため、下部閉塞部材12をパネル本体20側に押し込む際に付勢力が発生しない。すなわち、第1の捻りコイルバネ15のみで進退機構13を構成する場合に比べて、下部閉塞部材12をパネル本体20側に押し込む際にかかる力を小さくできる。
【0071】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施例では、回動アーム19が左右方向に2つ設けられている形態を例示したが、回動アーム19の数量は自由に変更することができる。例えば、下部閉塞部材12と下部チャンネル部82との間における左右方向の略中央部に1つ回動アーム19を設ける形態であってもよい。また、前記実施例では、上側の進退機構13には、回動アーム19が設けられていない形態を例示したが、上側の進退機構13にも回動アーム19が設けられていてもよい。
【0073】
また、前記実施例では、付勢手段としての第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16を用いる形態を例示したが、押しバネ等の別の付勢手段を用いてもよい。
【0074】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15と第2の捻りコイルバネ16を併用して上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を動作させる形態を例示したが、第1の捻りコイルバネ15または第2の捻りコイルバネ16の1種類を用いて上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12を動作させてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15が2つのコイル部15c,15dを有する形態を例示したが、捻りコイルバネは、長手方向に3つ以上のコイル部を有していてもよい。
【0076】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16がパネル本体20の進行方向に2つずつ設けられる形態を例示したが、1つまたは3つ以上設けられていてもよい。尚、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の動作を安定させるために、第1の捻りコイルバネ15及び第2の捻りコイルバネ16のうち少なくとも1つは複数設けられることが好ましい。
【0077】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15におけるコイル部15c,15dの巻き数及び内径がほぼ同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各コイル部の巻き数及び内径を変えて、各コイル部が異なる態様で屈曲するようにしてもよい。
【0078】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15におけるコイル部15c,15dの巻方向が同一である形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各コイル部の巻方向を変えて、各コイル部の屈曲許容方向が異なるようにしてもよい。
【0079】
また、前記実施例では、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12がパネル本体20側に押し込まれたとき、または下部閉塞部材12の重量がかかったときに、第1の捻りコイルバネ15の付勢力が発生する形態を例示したが、第1の捻りコイルバネ15のコイル部15c,15dの少なくとも一方を予め屈曲させた状態で上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12とパネル本体20との間に設置して、常に第1の捻りコイルバネ15に付勢力を発生させ、前記実施例よりも上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の即応性や下部閉塞部材12の持ち上げ力などを向上させてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15の下端部15bが上部閉塞部材11に回動不能に固定されていることで、上部閉塞部材11及び下部閉塞部材12の左端部がパネル本体20よりも左側に突出した収容状態に戻るように構成されている形態を例示したが、捻りコイルバネとは別に閉塞部材を収容状態に戻す手段(例えば、引きバネ等)を設けてもよい。
【0081】
また、前記実施例では、第1の捻りコイルバネ15の下端部15bがリング状に形成されて軸部18aに挿入され、下端部15bと隣接するコイル部15dが軸部18bに挿通されているため、下端部15bは軸部18a(下部閉塞部材12)に対して回動不能となっている形態を例示したが、第1の捻りコイルバネの一方の端部が閉塞部材またはパネル本体に対して回動不能に取付けられていればよく、例えば、第1の捻りコイルバネの一方の端部をリング状に形成せず、ネジや溶接などにより閉塞部材またはパネル本体に固着してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1’ 間仕切パネル
3 レール
10 移動間仕切装置
11 上部閉塞部材(閉塞部材)
12 下部閉塞部材(閉塞部材)
13 進退機構
15 第1の捻りコイルバネ(捻りコイルバネ)
15c,15d コイル部
16 第2の捻りコイルバネ(捻りコイルバネ)
16c コイル部
17a,17a’ 軸部
18a,18a’ 軸部
18b 軸部
20 パネル本体
62 上部チャンネル部
82 下部チャンネル部
R 天井面
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8