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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】遊技用装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 352F
A63F7/02 352L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018040745
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2019154484
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
【審査官】後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-093795(JP,A)
【文献】特開2017-006300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の結果、入賞が発生した場合に遊技者に遊技価値として遊技媒体を付与する遊技価値付与手段と、所定の移行条件が成立した場合に前記入賞が発生し易くなる特別遊技状態に遊技状態を移行させる状態移行手段と、を備えた遊技機に対応した遊技用装置において、
遊技場の従業員の設定操作に応じて所定の遊技終了条件の有無を設定する条件設定手段と、
遊技の結果、遊技者が獲得した遊技価値を計数する計数手段と、
前記計数手段の計数結果を記録するための口座である第1遊技価値口座及び第2遊技価値口座が対応付けられた記録媒体を受け付ける受付手段と、
発行条件の成立に応じて、前記計数手段の計数結果を、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定していない場合には、前記第1遊技価値口座に記録して記録媒体を発行する一方、前記遊技終了条件を設定している場合には、前記第2遊技価値口座に記録して記録媒体を発行する発行手段と、
前記特別遊技状態に移行している場合に、当該特別遊技状態中における前記計数手段の計数結果を使用した遊技を可能にし、前記受付手段が前記記録媒体を受け付けた場合に、前記受付手段が受け付けた記録媒体に対応する前記第1遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を可能にする一方、前記受付手段が受け付けた記録媒体に対応する前記第2遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限する遊技可能化手段と、を備えたことを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
前記遊技可能化手段は、前記受付手段が前記記録媒体を受け付けたときに、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定していない場合には、前記受付手段が受け付けた記録媒体に対応する前記第1遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を可能にする一方、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している場合には、前記受付手段が受け付けた記録媒体に対応する前記第1遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限することを特徴とする請求項1に記載の遊技用装置。
【請求項3】
前記発行手段は、前記特別遊技状態に移行している場合に、前記記録媒体の発行を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技用装置。
【請求項4】
前記記録媒体には、会員として登録された遊技者が所持すると共に前記第1遊技価値口座及び前記第2遊技価値口座が対応付けられた会員記録媒体と、会員として登録されていない遊技者が所持する一般記録媒体とが含まれるものであり、
前記一般記録媒体を貯留する貯留手段と、
前記受付手段が前記記録媒体を受け付けていない状態で遊技者が遊技を開始した後、前記発行条件が成立した場合に、前記計数手段の計数結果及び他の遊技用装置と識別するための識別情報を、前記貯留手段が貯留していた一般記録媒体に記録して発行する一般記録媒体発行手段と、
他の遊技用装置に対する前記遊技終了条件の有無を各遊技用装置の識別情報別に特定可能な条件有無情報を記憶する記憶手段と、
前記受付手段が前記一般記録媒体を受け付けた場合に、前記条件有無情報及び当該一般記録媒体が記録する識別情報に基づいて、前記遊技終了条件が設定された遊技用装置が発行した一般記録媒体であるか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記遊技可能化手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記遊技終了条件が設定されていない遊技用装置から発行された一般記録媒体である場合には、当該一般記録媒体が記録する遊技価値を使用した遊技を可能にする一方、前記遊技終了条件が設定されている遊技用装置から発行された一般記録媒体である場合には、当該一般記録媒体が記録する遊技価値を使用した遊技を制限することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の遊技用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場では様々な営業形態を採用しており、例えば特許文献1には、営業形態として大当たり1回毎に出玉を計数して交換する(遊技を終了する)所謂1回交換営業について記載されている。1回交換営業を採用すると、現金による貸出頻度が高くなり、売上が増加することや、等価交換でなければ遊技機の出率を高めに設定することが可能になる。そのため、遊技場に設置されている遊技機のうち一部の遊技機のみ1回交換営業にすることで、有利な遊技機であるかのように遊技者に感じさせることができる。又、例えば特許文献2には、貸出機に計数機能を設け、遊技者が獲得した玉やメダル(遊技価値)の計数結果をカード(記録媒体)に記録することが記載されている。計数結果をカードに記録することで、他の遊技機で遊技を行う際や景品交換を行う際に大量の玉やメダルを持ち運ばなくとも良くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-177393号公報
【文献】特開2017-60625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1回交換営業を採用した遊技機に対応した貸出機に計数機能を設け、計数結果をカードに記録した場合には、当該計数結果の遊技価値を他の遊技機での遊技に使用できないようにする必要がある。しかしながら、1回交換営業を採用した場合において、当該カードの使用可否に関する設定を行えていないのが実情である。尚、この問題は、1回交換営業に限らず、遊技を終了する条件(遊技終了条件)を設けた営業形態を採用すれば該当し得るものである。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技終了条件を設けた状況で、一の遊技機での遊技により獲得した遊技価値が他の遊技機での遊技に使用されるのを適切に抑制することができる遊技用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、一の遊技用装置において、発行条件が成立すると、計数手段の計数結果を、遊技終了条件を設定していなければ、第1遊技価値口座に記録して記録媒体を発行する一方、遊技終了条件を設定していれば、第2遊技価値口座に記録して記録媒体を発行する。その後、他の遊技用装置において、一の遊技用装置から発行された記録媒体を受付手段が受け付けると、その受け付けた記録媒体に対応する第1遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を可能にする一方、その受け付けた記録媒体に対応する第2遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限する。これにより、遊技終了条件を設けた状況で、第2遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限することができ、一の遊技機での遊技により獲得した遊技価値が他の遊技機での遊技に使用されるのを適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の遊技場用システムの全体構成を示す図
図2】貸出機及び管理装置の機能ブロック図
図3】機種別再プレイ設定画面を示す図
図4】機種別1回交換設定画面を示す図
図5】当日貯玉の区分を示す図
図6】運用形態1の動作を説明する図
図7】運用形態2の動作を説明する図
図8】運用形態3の動作を説明する図
図9】運用形態4の動作を説明する図
図10】運用形態5の動作を説明する図
図11】運用形態6の動作を説明する図
図12】運用形態7の動作を説明する図
図13】運用形態8の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成の概略図を示している。遊技場内には多数のパチンコ遊技機1(遊技価値付与手段、状態移行手段)が設置されており、パチンコ遊技機1に対応して貸出機2(遊技用装置)及び情報表示装置3が設置されている。パチンコ遊技機1、貸出機2及び情報表示装置3は、中継装置4及びLAN5を介して管理装置6と接続されている。又、遊技場にはPOS7や残額精算機(図示せず)も設置されており、これらPOS7や残額精算機もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台のパチンコ遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。又、POS7にはカードリーダライタ8が接続されている。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード9、モニタ10及びプリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(パチンコ遊技機1、貸出機2等)から送信される遊技信号を受信してパチンコ遊技機1の遊技データ、会員登録を行った会員遊技者の個人データ等を管理する。
【0010】
パチンコ遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13及び下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18及び大入賞口19を有する。又、上部受皿13には貸出ボタン20及び返却ボタン21が並設されている。第1始動口17は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口18は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。
【0011】
パチンコ遊技機1のスペックは以下の通りである。
普図当選確率は、通常状態では1/30であり、時短状態(確変状態)では1/1である。
電チュー開放時間は、通常状態では0.2秒であり、時短状態(確変状態)では1.5秒×3回である。
普図変動時間は、通常状態では30秒であり、時短状態では1秒である。
払出は、大入賞口19で15個である。
特図の種類は、1~9の9種類である。
特図大当たり当選確率は、通常状態と時短状態では、設定1で1/280であり、設定2で1/290であり、設定3で1/300である。確変状態では、設定1で1/56であり、設定2で1/58であり、設定3で1/60である。
【0012】
特図大当たり当選時の確変割合は、50%(0~9の図柄のうち奇数図柄が確変大当たり状態の発生に対応)である。
大当たり状態1回の出玉(差玉)は、10Rで約1000個であり、15Rで約1500個である。
【0013】
第1始動口17への入賞は、10R大当たり状態:15R大当たり状態=3:1である(確変割合が50%であり、10R大当たり状態の一部と15R大当たり状態の全部とが確変大当たり状態)。
第2始動口18への入賞は、10R大当たり状態:15R大当たり状態=1:3である(確変割合が50%であり、10R大当たり状態の全部と15R大当たり状態の一部とが通常大当たり状態)。
1Rは10個入賞又は30秒経過で終了する。
通常大当たり状態の後の時短状態は50回転である。
小当たり確率は、1/1000(設定1~設定3で共通)である。
【0014】
尚、パチンコ遊技機1のスペックは、上記した以外でも良い。又、パチンコ遊技機1では、後述する1回交換運用が「有」に設定されている場合、大当たり状態(特別遊技状態)が発生してから確変状態及び時短状態を消化して通常状態に戻ることが遊技終了条件に対応する。
【0015】
パチンコ遊技機1及び当該パチンコ遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による遊技の進行に伴って以下の遊技信号を送信する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから送信される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが送信されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、パチンコ遊技機1から送信される信号でも良い。
【0016】
セーフ信号=パチンコ遊技機1から送信される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが送信されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。
【0017】
始動信号=パチンコ遊技機1から送信される始動入賞(特定の入賞)により変動(作動)する液晶表示部15(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に送信されるので、始動信号の受信に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート回数(スタート処理数)として特定する。尚、第1始動口17又は第2始動口18への入賞を示す信号としても良い。
【0018】
大当たり信号=パチンコ遊技機1から送信される大当たり期間を特定可能な信号である。大当たり中にレベル送信される状態信号であるので、大当たり信号の受信中を大当たり中として特定する。
【0019】
特別信号=パチンコ遊技機1から送信される時短状態又は高確率状態を特定可能な信号である。第2始動口18の入賞率が向上する時短状態又は高確率状態でレベル送信される状態信号であるので、特別信号の受信中を時短状態又は高確率状態として特定する。又、大当たり信号と特別信号の何れも受信していない期間を通常状態として特定する。
【0020】
貸出機2は、各台計数機能を有する貸出機である。貸出機2は、パチンコ遊技機1の遊技状態を示す状態表示部22、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口23、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部24、持玉(会員遊技者であれば貯玉も含む)を払い出すための払出ボタン25、払い出された玉が通過する払出ノズル26、ICカード(記録媒体)が挿入されるカード挿入口27、対応するパチンコ遊技機1を遊技する遊技者の顔を撮影するカメラ28、パチンコ遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿29を有する。貸出機2が受け付け可能なICカードは、会員として登録された遊技者が所持する会員カード(会員記録媒体)と、会員として登録されていない遊技者が所持する一般カード(一般記録媒体)とがある。
【0021】
貸出機2は以下のように動作する。
(1)カードストック部にストックしている一般カードの枚数(残り枚数)を検知する機能を有し、貨幣が貨幣投入口23に投入されると、その時点での残り枚数が1枚以上であることを条件として貨幣を受け付け、その投入された貨幣の金額である投入金額を残額としてRAMに記憶すると共に、その残額を液晶表示部24に表示する。この状態(残額がある状態)からパチンコ遊技機1の貸出ボタン20が操作されると、その貸出ボタン20の操作に応じて残額の範囲内で1度数分に対応する玉数の玉をパチンコ遊技機1内部の払出機構から貸し出す毎に貸出玉数を特定可能な売上信号を送信する。例えば貸出単価が4円であれば125玉を払い出し、貸出単価が1円であれば500玉を払い出す。このとき、パチンコ遊技機1から貸出機2に1度数分の玉を払い出したことを示す信号が送信されるので、RAMに記憶している残額及び液晶表示部24に表示させている残額から1度数分を減算する。売上信号は1度数分の玉を払い出す毎に1パルスが送信されるパルス信号であるので、1パルスを500円分の売上額として特定する。尚、カードストック部に一般カードを1枚もストックしていない、即ち、一般カードの残り枚数が0枚であるときには、貨幣の受け付けを制限する。
【0022】
(2)パチンコ遊技機1の下部受皿14から落下した玉が計数受皿29で受けられると、その計数受皿29で受けられた玉が計数部に流入することで玉を計数し、その計数した玉数である計数玉数を持玉数としてRAMに記憶すると共に、その持玉数を液晶表示部24に表示する。この状態(持玉数がある状態)から払出ボタン25が操作されると、その払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数分に対応する玉数の玉を貸出機2の後述する払出部40から払出ノズル26を経由して払い出す。このとき、RAMに記憶している持玉数及び液晶表示部24に表示させている持玉数から1度数分を減算すると共に、払い出した遊技媒体の数を示す払出玉数を特定可能な払出信号を送信する。尚、持玉数が1度数分に対応する玉数に満たない場合であれば、その1度数に満たない分の全ての玉数の玉を貸出機2の払出部40から払出ノズル26を経由して払い出し、同様に、RAMに記憶している持玉数及び液晶表示部24に表示させている持玉数から1度数に満たない分を減算する。
【0023】
(3)一般カードがカード挿入口27に挿入されると(受け付けられると)、一般カードに記録されている残額や持玉数をカードリーダライタにより読み出し、その読み出した残額や持玉数をRAMに記憶する(一般カードからRAMへとデータを移行する)と共に液晶表示部24に表示する。このとき、一般カードに記録されている残額や持玉数をゼロリセットする(初期化する、一般カードの残額や持玉数のデータを消去する)。一般カードが受け付けられたときは、その一般カードから読み出した残額や持玉数の範囲内で貸出処理及び払出処理を行う。
【0024】
(4)会員カードがカード挿入口27に挿入されると(受け付けられると)、会員カードに記録されている残額をカードリーダライタにより読み出し、その読み出した残額をRAMに記憶する(会員カードからRAMへとデータを移行する)と共に液晶表示部24に表示する。このとき、会員カードに記録されている残額をゼロリセットする(初期化する、会員カードの残額のデータを消去する)。又、暗証番号の操作入力を条件として管理装置6の会員口座に記憶されている貯玉数を受信することで、会員カードに対応する貯玉数もRAMに記憶すると共に液晶表示部24に表示する。会員カードが受け付けられたときは、会員カードから読み出した残額、その会員カードに対応する貯玉数の範囲内で貸出処理及び払出処理を行う。
【0025】
(5)パチンコ遊技機1の返却ボタン21が操作されると、その返却ボタン21が操作された時点での一般カードや会員カードの受け付け状態に応じて残額や持玉数を一般カードや会員カードに記録して発行する。返却ボタン21が操作された時点で一般カードがカード挿入口27に挿入されており、残額及び持玉数のうち少なくとも何れかがあれば(「0」でなければ)、RAMに記憶している残額や持玉数を当該一般カードに記録し(RAMから一般カードへとデータを移行し)、一般カードを発行する。このとき、RAMに記憶している残額や持玉数をゼロリセットする(初期化する、RAMの残額や持玉数のデータを消去する)。一般カードを発行すると、その発行した一般カードを特定可能な一般IDと共に一般カードに記録した残額や持玉数を特定可能なカード発行信号を管理装置6に送信し、一般カードに記録した残額や持玉数を管理装置6でも記憶して管理する。
【0026】
(6)返却ボタン21が操作された時点で会員カードがカード挿入口27に挿入されており、残額があれば、RAMに記憶している残額を当該会員カードに記録し(RAMから会員カードへとデータを移行し)、会員カードを発行する。又、返却ボタンが操作された時点で会員カードがカード挿入口27に挿入されており、持玉数があれば、RAMに記憶している持玉数を当該会員カードに記録せず(RAMから会員カードへとデータを移行せず)、会員カードを発行する。会員カードを発行すると、その発行した会員カードを特定可能な会員IDと共に会員カードに記録した残額や記録しなかった持玉数を特定可能なカード発行信号を管理装置6に送信し、会員カードに記録した残額や記録しなかった持玉数を管理装置6で記憶して管理する。即ち、持玉数を特定可能なカード発行信号を管理装置6に送信することで、持玉数を管理装置6の会員口座に貯玉数として記憶させる(RAMから会員口座へとデータを移行する)。このときも、RAMに記憶している残額や持玉数をゼロリセットする(初期化する、RAMの残額や持玉数のデータを消去する)。
【0027】
(7)返却ボタン21が操作された時点で一般カード及び会員カードの何れもカード挿入口27に挿入されておらず、残額及び持玉数のうち少なくとも何れかがあれば、その時点での一般カードの残り枚数が2枚以上であることを条件とし、そのうちの1枚の一般カードをカード移動機構(図示せず)によりカードリーダライタに繰り出し(セットし)、RAMに記憶している残額や持玉数を記録し(RAMから一般カードへとデータを移行し)、一般カードを発行する。このときも、RAMに記憶している残額や持玉数をゼロリセットする(初期化する、RAMの残額や持玉数のデータを消去する)。又、この場合も、一般カードを発行すると、その発行した一般カードを特定可能な一般IDと共に一般カードに記録した残額や持玉数を特定可能なカード発行信号を管理装置6に送信し、一般カードに記録した残額や持玉数を管理装置6でも記憶して管理する。
【0028】
(8)一般カードがカード挿入口27に挿入されている状態で所定の合算操作が行われると、一般カードに記録されている残額や持玉数を会員カードの残額や管理装置6の会員口座の貯玉数に合算して記録する。即ち、一般カードがカード挿入口27に挿入されている状態で所定の合算操作が行われると、その一般カードに記録されている残額や持玉数をRAMに一旦退避し、一般カードの残額や持玉数をゼロリセットし、そのゼロリセットした一般カードをカード移動機構によりカードストック部に回収する。そして、会員カードがカード挿入口27に挿入されると、RAMに退避しておいた残額を当該会員カードに記録されている残額に加算した値に上書き記録し、会員カードに対応する貯玉数を管理装置6から取得してRAMに退避しておいた持玉数に加算し、その貯玉数を加算した持玉数を特定可能な信号を管理装置6に送信し、会員カードを発行する。尚、このような一般カードから会員カードへの合算は許容するが、会員カードから一般カードへの合算は制限する。
【0029】
情報表示装置3は、各種の遊技データを表示する表示部30、遊技場の従業員を呼び出すための呼出ボタン31、複数のボタンからなるボタン群32及びイルミネーション演出を行うイルミネーション演出部33等を有する。
【0030】
図2は、貸出機2及び管理装置6の機能ブロック図を示している。貸出機2は、CPU34a、ROM34b、RAM34c及びI/O34dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部34(条件設定手段、受付手段、発行手段、遊技可能化手段、一般記録媒体発行手段、記憶手段、判定手段、第1遊技可能化手段、第2遊技可能化手段、合算実行手段、合算制限手段、発行手段)と、当該制御部34と接続された周辺部とを有する。制御部34は、各種処理プログラム(ソフトウェア)を実行し、貸出機2の動作を制御する。周辺部としては、中継装置4との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部35、状態表示部22、液晶表示部24、払出ボタン25、貨幣投入口23に投入された貨幣の真贋を判定する貨幣処理部36、液晶表示部24上に設けられたタッチパネル37、ICカードがカード挿入口27に挿入されている状態で(受付中の状態で)当該ICカードに対する各種情報の読み書きを行うカードリーダライタ(カードRW)38、最大で10枚の一般カードをカードストック部39にストック可能なカードストック部39(貯留手段)、玉を払出ノズル26から払い出す払出部40及び計数受皿29から流入する玉を計数する計数部41(計数手段)等である。
【0031】
管理装置6は、CPU42a、ROM42b、RAM42c及びI/O42dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部42と、中継装置4との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部43とを有する。制御部42は、各種処理プログラム(ソフトウェア)を実行し、管理装置6の動作を制御する。
【0032】
さて、前述した[発明が解決しようとする課題]で述べたように、営業形態として大当たり1回毎に出玉を計数して交換する1回交換営業を採用した場合においては、カードの使用可否に関する設定を行えていないのが実情であり、その対応が要望されている。この点を考慮し、遊技場用システムは、以下に示す動作を行う。以下、本発明の特徴部分について説明する。尚、以下の説明では、持玉が残遊技価値に対応する。
【0033】
図3に示すように、管理装置6は、人体ロックの有無、呼出の有無、再プレイ(当日分含む)の有無を機種別に設定可能な機種別再プレイ設定画面を表示する。遊技場の管理者は、機種別再プレイ設定画面にて、人体ロックの有無、呼出の有無、再プレイの有無を機種別に設定可能となっている。この場合、再プレイが「有」に設定された機種は再プレイが可能であり、再プレイが「無」に設定された機種は再プレイが制限される。
【0034】
又、図4に示すように、管理装置6は、人体ロックの有無、呼出の有無、1回交換運用の有無、他機種持玉利用の可否を機種別に設定可能な機種別1回交換設定画面を表示する。遊技場の管理者は、機種別1回交換設定画面にて、人体ロックの有無、呼出の有無、1回交換運用の有無、他機種持玉利用の可否を機種別に設定可能となっている。この場合、1回交換運用が「有」に設定された機種は1回交換が有効にされ、1回交換運用が「無」に設定された機種は1回交換が無効にされる。他機種持玉利用が「可」に設定された機種は他機種での持玉利用が可能であり、他機種持玉利用が「不可」に設定された機種は他機種の持玉利用が制限される。
【0035】
機種別再プレイ設定画面にて再プレイが「無」に設定され、機種別1回交換設定画面にて1回交換運用が「有」に設定され、且つ他機種持玉利用が「不可」に設定された機種は、遊技終了条件が設定された機種であり、遊技者が遊技する形態が現金による遊技のみに制限され、現金による貸出頻度が高くなる。図3及び図4の例示では、機種「AAAA」が、遊技終了条件が設定された機種である。尚、図3に示した機種別再プレイ設定画面と図4に示した機種別1回交換設定画面とで共通する人体ロックの有無及び呼出の有無は、一方の設定内容が他方に反映される。
【0036】
又、図5に示すように、管理装置6は、上記した会員口座に記憶する当日貯玉を当日口座(第1遊技価値口座)と交換専用口座(第2遊技価値口座)に区分して管理する。当日口座は、遊技終了条件が設定されていない機種に対応する貸出機2が会員カードを発行したときに、その計数結果が記録される口座であり、交換専用口座は、遊技終了条件が設定された機種に対応する貸出機2が会員カードを発行したときに、その計数結果が記録される口座である。交換専用口座に記録される貯玉は、営業日が変わっても交換専用口座から移行されることがなく維持されることで再プレイに使用不可である。又、交換専用口座に記録される貯玉は、景品交換時には優先的に使用される。
【0037】
以下、具体例な運用形態について説明する。
(1)運用形態1
図6は、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「有」に設定され、他機種持玉利用が「不可」に設定された機種で、会員カードによる遊技が行われた場合を示す。この場合は、再プレイが不可であり、残額のみを使用可能である。又、大当たり発生中では会員カードの発行を制限する。計数後に会員カードを発行すると、カード発行信号を管理装置6に送信し、その計数玉数を総貯玉に加算し、交換専用口座に記録する。図6の例示では、計数玉数が「1000」であれば、総貯玉に「1000」を加算し、交換専用口座に「1000」を記録する。この一連の処理は、遊技終了条件を設定している場合には、第2遊技価値口座に記録して記録媒体を発行することに対応する。
【0038】
(2)運用形態2
図7は、運用形態1で発行された会員カードが、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「無」に設定された機種に対応する貸出機2に挿入された場合を示す。この場合は、残額を使用可能であり、交換専用口座は「1000」があるが、当日口座が「0」であるので、当日貯玉が無いことで当日貯玉から持玉への移行が無く、当日貯玉による再プレイが不可である。この一連の処理は、第2遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限することに対応する。一方、過去貯玉による再プレイは可能であり、総貯玉の玉数から交換専用口座の玉数を差し引いた玉数が過去貯玉による再プレイ可能玉数となる。総貯玉の玉数から交換専用口座の玉数を差し引くことで、結果的に他機種への持玉利用を制限する。図7の例示では、総貯玉の「11000」から交換専用口座の「1000」を差し引いた「10000」が過去貯玉による再プレイ可能玉数となる。
【0039】
(3)運用形態3
図8は、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「有」に設定され、他機種持玉利用が「可」に設定された機種で、会員カードによる遊技が行われた場合を示す。この場合は、再プレイが不可であり、残額と他機種持玉とを使用可能である。又、大当たり発生中では会員カードの発行を制限する。計数後に会員カードを発行すると、カード発行信号を管理装置6に送信し、その計数玉数を総貯玉に加算し、当日口座に記録する。図8の例示では、計数玉数が「1000」であれば、総貯玉に「1000」を加算し、当日口座に「1000」を記録する。この一連の処理は、遊技終了条件を設定していない場合には、第1遊技価値口座に記録して記録媒体を発行することに対応する。
【0040】
(4)運用形態4
図9は、運用形態3で発行された会員カードが、再プレイが「有」に設定され、1回交換運用が「無」に設定された機種に対応する貸出機2に挿入された場合を示す。この場合は、残額が使用可能であり、当日口座が「1000」であるので、当日貯玉が有ることで当日貯玉から持玉への移行が有り、当日貯玉による再プレイが可能である。この一連の処理は、第1遊技価値口座に記録した遊技価値を使用した遊技を可能にすることに対応する。又、過去貯玉による再プレイも可能であり、総貯玉の玉数から当日口座の玉数を差し引いた玉数が過去貯玉による再プレイ可能玉数となる。図9の例示では、総貯玉の「11000」から当日口座の「1000」を差し引いた「10000」が過去貯玉による再プレイ可能玉数となる。
【0041】
(5)運用形態5
図10は、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「有」に設定された機種で、一般カードによる遊技が行われた場合を示す。この場合も、再プレイが不可であり、残額のみを使用可能である。又、大当たり発生中や確変中は払い出しが可能であり、大当たり状態になってから計数した値を記憶しておき、その記憶した値分はその大当たり発生中や確変中に払い出しが可能である。尚、会員カードによる遊技が行われた場合も同様であり、大当たり発生中や確変中は払い出しが可能である。この一連の処理は、特別遊技状態に移行している場合に、当該特別遊技状態中における計数結果を使用した遊技を可能にすることに対応する。又、大当たり発生中では一般カードの発行を制限する。この一連の処理は、特別遊技状態に移行している場合に、記録媒体の発行を制限することに対応する。計数後に一般カードを発行すると、その計数玉数を一般カードに記録すると共に、対応するパチンコ遊技機1の台番号を最終遊技台番(他の遊技用装置と識別するための識別情報)として記録する。この一連の処理は、計数結果及び他の遊技用装置と識別するための識別情報を一般記録媒体に記録して発行することに対応する。図10の例示では、計数玉数が「1000」であり、対応するパチンコ遊技機1の台番号が「1」であれば、一般カードに「1000」を加算し、台番号「1」を最終遊技台番として記録する。この場合、他の貸出機2に対する遊技終了条件の有無を各貸出機2の貸出機ID(識別情報)別に特定可能な条件有無情報を記憶しており、一般カードを受け付けると、条件有無情報と当該受け付けた一般カードに記録されている最終遊技台番とを照合することで、その受け付けた一般カードが、遊技終了条件が設定されたパチンコ遊技機1に対応する貸出機2から発行されたか、遊技終了条件が設定されていないパチンコ遊技機1に対応する貸出機2から発行されたかを判定可能となる。
【0042】
(6)運用形態6
図11は、一般カードが、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「有」に設定され、他機種持玉利用が「不可」に設定された機種に対応する貸出機2に挿入された場合を示す。この場合、挿入された一般カードに残額が有るが持玉が無ければ、残額のみを使用可能である。
【0043】
挿入された一般カードに残額と持玉の両方が有れば、例えば「カードに利用できない持玉があります。持玉を取り出しますか?」というメッセージを液晶表示部24に表示し、一般カードに記録されている持玉を取り出すか(分割するか)否かを遊技者に選択させる。遊技者が「はい(肯定)」を選択する操作を行うと、残額のみを使用可能となり、一般カードに記録されている持玉をカードストック部39にストックされている別の一般カードに移行して分割発行する。この一連の処理は、条件設定手段が遊技終了条件を設定している状況にて、他の遊技用装置から発行された残額及び残遊技価値がある記録媒体を受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録していた残額を維持することで、当該残額を使用した遊技を可能にする一方、当該記録媒体が記録していた残遊技価値を貯留手段が貯留する別の記録媒体に移行して発行することで、残遊技価値を使用した遊技を制限することに対応する。又、遊技者が「いいえ(否定)」を選択する操作を行うと、挿入されている一般カードを自動返却(自動発行)する。
【0044】
挿入された一般カードに残額が無いが持玉が有れば、例えば「カードに利用できない持玉があるため、ご利用できません」というメッセージを液晶表示部24に表示し、挿入されている一般カードを自動返却(自動発行)する。この一連の処理は、条件設定手段が遊技終了条件を設定している状況にて、他の遊技用装置から発行された残遊技価値のみがある記録媒体を受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体を返却することで、残遊技価値を使用した遊技を制限する
挿入された一般カードに残額と持玉の両方が無ければ、その一般カードをカードストック部39にストックする。
【0045】
(7)運用形態7
図12は、他機種持玉利用が「不可」に設定された機種に対応する貸出機2から発行された一般カードが、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「無」に設定された機種に対応する貸出機2に挿入された場合を示す。この場合、挿入された一般カードに残額が有るが持玉が無ければ、残額のみを使用可能である。
【0046】
挿入された一般カードに残額と持玉の両方が有れば、例えば「カードに利用できない持玉があります。持玉を取り出しますか?」というメッセージを液晶表示部24に表示し、一般カードに記録されている持玉を取り出すか(分割するか)否かを遊技者に選択させる。遊技者が「はい(肯定)」を選択する操作を行うと、残額のみを使用可能となり、一般カードに記録されている持玉をカードストック部39にストックされている別の一般カードに移行して分割発行する。この一連の処理は、条件設定手段が遊技終了条件を設定していない状況にて、他の遊技用装置から条件設定手段が遊技終了条件を設定している状況にて発行された残額及び残遊技価値がある記録媒体を受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録していた残額を維持することで、当該残額を使用した遊技を可能にする一方、当該記録媒体が記録していた残遊技価値を貯留手段が貯留する別の記録媒体に移行して発行することで、残遊技価値を使用した遊技を制限することに対応する。又、遊技者が「いいえ(否定)」を選択する操作を行うと、挿入されている一般カードを自動返却(自動発行)する。
【0047】
挿入された一般カードに残額が無いが持玉が有れば、例えば「カードに利用できない持玉があるため、ご利用できません」というメッセージを液晶表示部24に表示し、挿入されている一般カードを自動返却(自動発行)する。
挿入された一般カードに残額と持玉の両方が無ければ、その一般カードをカードストック部39にストックする。
【0048】
(8)運用形態8
図13は、他機種持玉利用が「可」に設定された機種に対応する貸出機2から発行された一般カードが、再プレイが「無」に設定され、1回交換運用が「無」に設定された機種に対応する貸出機2に挿入された場合を示す。この場合、挿入された一般カードに残額が有るが持玉が無ければ、残額のみを使用可能である。挿入された一般カードに残額と持玉の両方が有れば、残額と持玉の両方を使用可能である。挿入された一般カードに残額が無いが持玉が有れば、持玉のみを使用可能である。挿入された一般カードに残額と持玉の両方が無ければ、その一般カードをカードストック部39にストックする。
【0049】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
一の貸出機2において、会員カードを発行する際には、計数結果を、遊技終了条件を設定していなければ、当日口座に記録して会員カードを発行する一方、遊技終了条件を設定していれば、交換専用口座に記録して会員カードを発行する。その後、他の貸出機2において、会員カードを受け付けると、その受け付けた会員カードに対応する当日口座に記録した遊技価値を使用した遊技を可能にする一方、その受け付けた会員カードに対応する交換専用口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限する。これにより、遊技終了条件を設けた状況で、交換専用口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限することができ、一のパチンコ遊技機1での遊技により獲得した遊技価値が他のパチンコ遊技機1での遊技に使用されるのを適切に抑制することができる。
【0050】
会員カードを受け付けた際に遊技終了条件を設定していれば、その受け付けた会員カードに対応する当日口座に記録した遊技価値を使用した遊技を制限するので、遊技終了条件を設定することで、他のパチンコ遊技機1での遊技により獲得した遊技価値が使用されるのを適切に抑制することができる。
【0051】
大当たり状態中でも入賞が発生せずに玉が無くなってしまうことが考えられるが、大当たり状態中における計数結果を使用した遊技を可能にするので、大当たり状態中でも入賞が発生せずに玉が無くなってしまった場合でも遊技者に不利益が発生する虞を抑制することができる。
【0052】
大当たり状態中に会員カードを発行可能にすると、その会員カードを再度受け付けても交換専用口座に記録した遊技価値が使用できなくなり、大当たり状態中に玉が無くなってしまい、対応することができない虞があるが、大当たり状態中の会員カードの発行を制限するので、そのような虞を低減することができる。
【0053】
他の貸出機2から遊技終了条件を設定していない状況にて発行されたカードであるか設定している状況にて発行されたカードであるかの判定を、会員カードについては当日口座と交換専用口座を用いて行い、一般カードについては最終遊技台番を記録して行い、会員カードと一般カードとで判定の方法を異ならせることで、不正防止効果を高めることができる。
【0054】
他の貸出機2から遊技終了条件を設定していない状況にて発行された一般カードを受け付けると、その一般カードが記録する残額及び持玉を使用した遊技を可能にし、他の貸出機2から遊技終了条件を設定している状況にて発行された一般カードを受け付けると、その一般カードが記録する残額を使用した遊技を可能にする一方、持玉を使用した遊技を制限する。これにより、遊技終了条件を設けた状況で、一般カードの記録内容に基づいて遊技が一切行えなくなる事態を抑制することができ、一般カードの使用制限を適切に行うことができる。
【0055】
遊技終了条件を設定している状況にて、他の貸出機2から発行された一般カードを受け付け、その一般カードに持玉のみが記録されていると、その受け付けた一般カードを自動返却するので、持玉が誤って使用されてしまう事態を回避することができる。
【0056】
遊技終了条件を設定している状況にて、他の貸出機2から発行された一般カードを受け付け、その一般カードに残額及び持玉が記録されていると、その受け付けた一般カードが記録していた残額を維持し、その受け付けた一般カードが記録していた持玉を分割発行するので、残額を使用可能としつつ、持玉が誤って使用されてしまう事態を回避することができる。
【0057】
遊技終了条件を設定していない状況にて、他の貸出機2から遊技終了条件を設定している状況にて発行された一般カードを受け付け、その一般カードに残額及び持玉が記録されていると、その受け付けた一般カードが記録していた残額を維持し、その受け付けた一般カードが記録していた持玉を分割発行するので、残額を使用可能としつつ、持玉が誤って使用されてしまう事態を回避することができる。
【0058】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。又、以下に列挙する各変形例を適宜組み合わせても良い。
例示したパチンコ遊技機1とは異なる遊技機に適用しても良く、例えば玉が封入されており、遊技者が所有する得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機、メダルを使用することなくクレジットのみを使用して遊技が進行する完全クレジット式スロットマシンに対応することも可能である。これらの構成の場合では、得点やクレジットが遊技価値に対応する。又、スロットマシンであれば、同じ図柄の停止により入賞が発生し、ボーナスゲームやART状態が特別遊技状態に対応する構成が考えられる。即ち、入賞、遊技価値や特別遊技状態を任意に変更しても良い。
【0059】
遊技用装置として、玉を貸し出す貸出機2を例示したが、メダルを貸し出す貸出機、得点を付与する台間装置等を遊技用装置として採用することも可能である。又、遊技用装置は、遊技機に挟まれて設けられている必要はなく、例えば情報表示装置を遊技用装置として採用することも可能である。
【0060】
記録媒体としてICカードを例示したが、コイン型の記録媒体やスティック型の記録媒体を採用することも可能である。又、ICカードに残額や持玉数を直接記録する構成にしたが、ICカードにカードIDのみを記録し、カードIDに対応付けて管理装置6側で残額や持玉数を管理し、貸出機2において、ICカードを受け付けた際、管理装置6との間で通信を行うことで残額や持玉数を特定する構成としても良い。即ち、記録媒体への情報の記録態様として、残額や持玉数を直接的に記録する構成や、残額や持玉数を間接的に特定可能な情報を記録する構成を採用することが可能である。残額や持玉数を直接的に記録する場合、持玉数を記録する口座をカード内部に対応付けているということも可能である。
【0061】
従業員の設定操作として管理装置6の操作を例示したが、設定操作を変更しても良く、例えば貸出機2を操作することで1回交換運用の有無等を設定する構成が考えられる。
遊技終了条件として、大当たり状態が発生してから確変状態及び時短状態を消化して通常状態に戻ることを例示したが、遊技終了条件を任意に変更しても良い。例えば5000玉や10000玉等の所定数の差玉を遊技者が発生させた場合に遊技終了とする所謂打止めを遊技終了条件にすることも可能である。
【0062】
複数のICカードを1枚に纏める合算処理を実行可能な構成にしても良い。例えば貸出機2にて一般カードを受け付けている状況において、遊技者が貸出機2にて所定の合算操作を行った場合に会員カードや他の一般カードを受付可能にし、最初に受け付けていた一般カードの残額や持玉を会員カード又は他の一般カードに加算し、最初に受け付けていた一般カードを回収してカードストック部39にストックする構成にしても良い。又、合算処理を可能にした場合において、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2が発行した一般カードについては合算処理を制限する構成や、残額のみを合算可能にし、持玉は合算不可とする構成にしても良い。合算処理を制限する構成においては、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2から発行された一般カードを受け付けた場合に、その受け付けた一般カードを合算処理に使用不可である旨を報知し、その一般カードを返却する構成が考えられる。又、残額のみを合算可能にし、持玉は合算不可とする構成においては、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2から発行された一般カードを受け付けた場合に、残額はそれまで受け付けていたカードに加算し、受け付けた一般カードの残額を「0」にし、持玉を維持したまま返却する構成が考えられる。
【0063】
遊技者が貸出機2にて所定の分割操作を行った場合に、一般カードや会員カードに記録した持玉(当日貯玉)の一部を分割して他の一般カードに記録して発行する分割発行を実行可能にしても良い。本構成においては、会員カードにおいて、交換専用口座に記録した玉は分割発行を制限する構成や、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2から発行された一般カードについて分割発行を制限する構成にしても良い。
【0064】
発行した台番を一般カードに記録することで、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2から発行された一般カードであるか否かを判定する構成にしたが、一般カードについても会員カードと同様に、遊技に使用可能な第1遊技価値口座と、遊技への使用を制限した第2遊技価値口座とを対応付ける構成にしても良い。
【0065】
発行条件として貸出機2への操作を例示したが、例えば遊技終了条件が成立した場合にカードを自動的に発行する構成にしても良い。
1回交換運用が「有」に設定されている状態で一般カードを受け付けた場合に、遊技価値の使用を制限する構成として、持玉の使用を制限する構成を例示したが、例えば所定数を上限とした値までは持玉の使用を許容するが、それ以上の使用は制限する構成、玉の払出速度を遅くする構成、その受け付けた一般カードを直ちに返却する構成にしても良い。又、持玉の使用を制限するだけでなく、残額の使用も制限しても良い。このように遊技価値を使用した遊技を制限する構成を適宜変更しても良い。同様に、これらの制限に関する構成を、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2から発行された一般カードを、1回交換運用が「有」に設定されている貸出機2が受け付けた場合に適用しても良い。
【0066】
一般カードを貸出機2が内部にストックする構成を例示したが、カードストック部39を有しておらず、カード発行時に従業員を呼出し、従業員が一般カードを挿入し、そのカードに情報を記録して発行する構成にしても良い。
【0067】
1回交換運用が「有」に設定されている状態で一般カードを受け付けた場合に、持玉を全て分割発行する構成を例示したが、残額及び持玉の有無に関わらず、その一般カードを返却して使用を制限する構成にしても良い。
【0068】
貸出機2が計数機能を備える構成を例示したが、貸出機2が計数機能を備えていなくとも良く、例えば複数の遊技機を設置した遊技島の端に設けられた所謂島端計数機にて獲得した玉を計数し、その計数結果をICカードに対応付ける構成にしても良い。
【0069】
会員カードについては、交換専用口座を設けることで、1回交換運用が「有」に設定されている状態で獲得した玉の使用を制限し、一般カードについては、最終台番を記録することで、1回交換運用が「有」に設定されている状態で獲得した玉の使用を制限する構成を例示したが、一般カードについて、1回交換運用が「有」に設定されている状態で獲得した玉であるか否かを最終台番から判定する構成にしても良い。
【0070】
尚、以上に例示した実施形態から以下の特徴を抽出することも可能である。
遊技の結果、入賞が発生した場合に遊技者に遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、所定の移行条件が成立した場合に前記入賞が発生し易くなる特別遊技状態に遊技状態を移行させる状態移行手段と、を備えた遊技機に対応した遊技用装置において、
遊技場の従業員の設定操作に応じて所定の遊技終了条件の有無を設定する条件設定手段と、
遊技者が投入した貨幣の残額及び遊技者が獲得してから遊技に使用する前の遊技価値である残遊技価値を特定可能な情報を記録した記録媒体を受け付ける受付手段と、
他の遊技用装置から前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定していない状況にて発行された前記記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録する残額及び前記残遊技価値を使用した遊技を可能にする第1遊技可能化手段と、
他の遊技用装置から前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している状況にて発行された前記記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録する残額を使用した遊技を可能にする一方、前記残遊技価値を使用した遊技を制限する第2遊技可能化手段と、を備えた構成にしても良い。
【0071】
前記記録媒体を貯留する貯留手段を備え、
前記第2遊技可能化手段は、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している状況にて、他の遊技用装置から発行された残遊技価値のみがある記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体を返却することで、前記残遊技価値を使用した遊技を制限する構成にしても良い。
【0072】
前記記録媒体を貯留する貯留手段を備え、
前記第2遊技可能化手段は、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している状況にて、他の遊技用装置から発行された残額及び残遊技価値がある記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録していた残額を維持することで、当該残額を使用した遊技を可能にする一方、当該記録媒体が記録していた残遊技価値を前記貯留手段が貯留する別の記録媒体に移行して発行することで、当該残遊技価値を使用した遊技を制限する構成にしても良い。
【0073】
前記記録媒体は、前記遊技終了条件が設定されている遊技用装置にて発行されたものであるか否かを特定可能な情報を記録するものであり、
前記第2遊技可能化手段は、前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定していない状況にて、他の遊技用装置から前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している状況にて発行された残額及び残遊技価値がある記録媒体を前記受付手段が受け付けた場合に、当該記録媒体が記録していた残額を維持することで、当該残額を使用した遊技を可能にする一方、当該記録媒体が記録していた残遊技価値を前記貯留手段が貯留する別の記録媒体に移行して発行することで、当該残遊技価値を使用した遊技を制限する構成にしても良い。
【0074】
前記記録媒体は、前記遊技終了条件が設定されている遊技用装置にて発行されたものであるか否かを特定可能な情報を記録するものであり、
所定の合算操作に応じて複数の記録媒体が記録する残額及び前記残遊技価値の情報を合算して一の記録媒体に記録する合算処理を実行する合算実行手段と、
他の遊技用装置から前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定していない状況にて発行された記録媒体については、前記合算処理の実行を許容する一方、他の遊技用装置から前記条件設定手段が前記遊技終了条件を設定している状況にて発行された記録媒体については、前記合算処理の実行を制限する合算制限手段と、を備えた構成にしても良い。
【符号の説明】
【0075】
図面中、1はパチンコ遊技機(遊技機、遊技価値付与手段、状態移行手段)、2は貸出機(遊技用装置)、34は制御部(条件設定手段、受付手段、発行手段、遊技可能化手段、一般記録媒体発行手段、記憶手段、判定手段、第1遊技可能化手段、第2遊技可能化手段、合算実行手段、合算制限手段、発行手段)、39はカードストック部(貯留手段)、41は計数部(計数手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13