(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】レーザーマーキング用インキ組成物、レーザーマーキング用インキ層、積層体、レーザーマーキング方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/037 20140101AFI20220209BHJP
C09D 11/50 20140101ALI20220209BHJP
C09D 11/102 20140101ALI20220209BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220209BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220209BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20220209BHJP
B32B 23/14 20060101ALI20220209BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20220209BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C09D11/037
C09D11/50
C09D11/102
B32B27/40
B32B27/20 A
B32B27/18 Z
B32B23/14
B41M3/14
B41M1/30 D
(21)【出願番号】P 2018122961
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 裕史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼芝 慎一
(72)【発明者】
【氏名】金森 亮太
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143019(JP,A)
【文献】特開2010-248466(JP,A)
【文献】特開2017-061683(JP,A)
【文献】特開2016-104842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0188003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00 - 13/00
B32B 1/00 - 43/00
B41M 5/035
B41M 5/26 - 5/48
B41M 1/00 - 3/18
B41M 7/00 - 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、白色顔料、および有機溶剤を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、
前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体であり、
前記白色顔料は、無機化合物で被覆処理された酸化チタンであり、
前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中、酸化チタンの割合が94質量%以上であることを特徴とするレーザーマーキング用インキ組成物。
【請求項2】
前記無機化合物は、アルミニウム、ケイ酸、ジルコニウム、亜鉛、スズ、アンチモン、セリウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物または含水酸化物であることを特徴とする請求項1記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂と前記セルロース誘導体の質量比(ポリウレタン樹脂/セルロース誘導体)が60/40~95/5であることを特徴とする請求項1または2記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂が、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物、鎖伸長剤、および反応停止剤を反応して得られるポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
【請求項5】
グラビア印刷インキ組成物、またはフレキソ印刷インキ組成物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のレーザーマーキング用インキ組成物から形成されることを特徴とするレーザーマーキング用インキ層。
【請求項7】
請求項6記載のレーザーマーキング用インキ層の片面に支持体フィルムが設けられており、かつ前記インキ層の他面に基材が設けられていることを特徴とする積層体。
【請求項8】
請求項7記載の積層体に、レーザー光を照射することを特徴とするレーザーマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーマーキング用インキ組成物、レーザーマーキング用インキ層、積層体、レーザーマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶、飲料容器、食品容器、医薬品包装などの各種の包装材料には、製造ロット番号、製造年月日、内容物の消費期限、賞味期限などの各種トレーサビリティーの可変情報の印字あるいはマーキングが必要とされる。マーキング方法としては、レーザーマーキング方式が、ホットスタンプ方式やインクジェット方式と比較して、印字あるいやマーキングの剥離や消えが無く、改ざん防止によるトレーサビリティーの確立に有効であることが知られている。
【0003】
レーザーマーキング方式に使用できるインキ組成物としては、YVO4レーザー光(1064nm)などの波長域に吸収帯があるレーザー光吸収剤を含むレーザーマーキング用インキ組成物が開示されている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-47681号公報
【文献】特開2009-137261号公報
【文献】特開2009-83185号公報
【文献】特開2007-55110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記のようなYVO4レーザー光(1064nm)などの波長域よりも短い波長域(紫外線領域)を有するUVレーザー光(355nm)は、レーザー光の照射による熱ストレスが少ないなどの観点から、次世代のレーザーマーキング方式のレーザー光として期待されている。
【0006】
上記の特許文献で開示されたレーザーマーキング用インキ組成物は、YVO4レーザー光などの照射により、一定のレーザー印字性(視認性)を有するが、UVレーザー光によるレーザーマーキング方式のレーザーマーキング用インキ組成物としては、レーザー印字性(視認性)が不十分であった。
【0007】
さらに、レーザーマーキング用インキ組成物としては、印刷物の生産性を考慮して、当該インキ組成物の印刷面(インキ層)と非印刷面が接着(ブロッキング)しないような耐ブロッキング性が要求される。加えて、レーザーマーキング用インキ組成物は、印刷面(インキ層)の支持体フィルムに対する接着性を有し、かつ、印刷面(インキ層)に接着剤などを介して樹脂フィルムを貼合して積層する加工法(ドライラミネート加工法ともいう)におけるラミネート強度を有し、また、レーザーマーキング用インキ組成物をグラビア印刷などの印刷方式を適用した際の、良好なドクター切れ性を有するインキ組成物が切望されている。
【0008】
このように、上記のレーザー印字性(視認性)、耐ブロッキング性、接着性、ラミネート強度、およびドクター切れ性を十分に備えたレーザーマーキング用インキ組成物は未だ見出されていないのが現状であった。
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、レーザー印字性(視認性)、耐ブロッキング性、接着性、ラミネート強度、およびドクター切れ性を十分に備えたレーザーマーキング用インキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、バインダー樹脂、白色顔料、および有機溶剤を含み、前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体であり、前記白色顔料は、無機化合物で被覆処理された酸化チタンであり、前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中、酸化チタンの割合が94質量%以上であることを特徴とするレーザーマーキング用インキ組成物。
に関する。
【0011】
また、本発明は、前記レーザーマーキング用インキ組成物から形成されることを特徴とするレーザーマーキング用インキ層、に関する。
【0012】
また、本発明は、前記レーザーマーキング用インキ層の片面に支持体フィルムが設けられており、かつ前記インキ層の他面に基材が設けられていることを特徴とする積層体、に関する。
【0013】
また、本発明は、前記積層体に、レーザー光を照射することを特徴とするレーザーマーキング方法、に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0015】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、バインダー樹脂、白色顔料、および有機溶剤を含み、前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体であり、前記白色顔料は、無機化合物で被覆処理された酸化チタンであり、前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中、酸化チタンの割合が94質量%以上である。前記無機化合物で被覆処理された酸化チタンは、粒子中の酸化チタン(TiO2)の含有量が多いため、UVレーザー光(355nm)などの短波長域(紫外線領域)を有するレーザー光を効率よく吸収し、インキ層に含まれる前記酸化チタンの周囲のバインダー樹脂を炭化し発色(変色)させることができることから、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、レーザー印字性(視認性)に優れるものと推定される。また、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、酸化チタンが無機化合物で被覆処理されているため、良好なドクター切れ性を有する。また、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、前記酸化チタンを、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体(低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体)を含むバインダー樹脂に配合することにより、耐ブロッキング性、接着性、およびラミネート強度をバランスよく有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物は、バインダー樹脂、白色顔料、および有機溶剤を含む。
【0017】
<バインダー樹脂>
本発明のバインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂とセルロース誘導体を含み、前記セルロース誘導体が、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体である。
【0018】
前記ポリウレタン樹脂は、分子中に2個以上のウレタン結合を有する樹脂であり、特に制限なく使用できるが、例えば、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物、鎖伸長剤、および反応停止剤を反応して得られる(ジイソシアネート化合物とジオール化合物を反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらに、鎖伸長剤および反応停止剤を反応させて得られる)ポリウレタン樹脂などが挙げられる。前記ポリウレタン樹脂は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート化合物;トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物などが挙げられる。これらの中でも、反応の制御が簡単で、得られるポリウレタン樹脂の性能のバランスが良好である観点から、脂環族または芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましく、特に、イソホロンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。前記ジイソシアネート化合物は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
前記ジオール化合物としては、例えば、ポリエステルジオール化合物、ポリエーテルジオール化合物、ポリカーボネート化合物、ポリブタジエングリコール化合物などの高分子ジオールなどが挙げられる。ジオール化合物は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
前記ジオール化合物の数平均分子量は、良好な皮膜特性を有するレーザーマーキング用インキ層が得られる観点から、400以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。また、ジオール化合物の数平均分子量は、ジイソシアネート化合物との反応性を高める観点から、10,000以下が好ましく、6,000以下がより好ましい。
【0022】
前記ポリエステルジオール化合物としては、例えば、低分子ジオール成分(エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールなどの直鎖状グリコール類;1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールなどの分岐グリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのエーテル系ジオール類)と、ジカルボン酸成分(コハク酸、アジピン酸、マレイン酸などの飽和および不飽和脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸などの芳香族ジカルボン酸類)を反応させて得られるものなどが挙げられる。
【0023】
前記ポリエーテルジオール化合物としては、例えば、環状エステル化合物(ラクトンなど)を開環反応させて得られるポリエステルジオール化合物、あるいはジオール化合物((ポリ)アルキレングリコール化合物、ビスフェノールなど)にオキシアルキレン(酸化エチレン、酸化プロピレンなど)やテトラヒドロフランなどを重付加させて得られるポリエーテルジオール化合物などが挙げられる。
【0024】
前記ジオール化合物は、インキ諸物性の観点から、ポリエステルジオールやポリエーテルジオールが好ましい。
【0025】
前記鎖伸長剤は、分子内にイソシアネート基との反応可能な官能基(アミノ基、水酸基など)を2つ以上有する化合物が利用できる。分子内にアミノ基を2つ以上含有化合物としては、例えば、1級アミノ基を2つ有するジアミン類(エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンなど)、1級アミノ基と2級アミノ基を1つずつ有するジアミン類(2-エチルアミノエチルアミンなど)、1級アミノ基を2つと2級アミノ基を1つ以上有するポリアミン類(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなど)などが挙げられる。また、分子内に水酸基を2つ以上含有する水酸基含有化合物としては、低分子ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)などが挙げられる。さらに、分子内にアミノ基を2つと水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミンなど、上記1級アミノ基を2つ有するジアミン類にエチレンオキサイドの1モル付加物などが挙げられる。前記鎖伸長剤は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
前記鎖伸長剤は、ポリウレタン樹脂の分子内に水酸基やアミノ基などの官能基を導入する観点から、アミノ基、水酸基などの官能基を3つ以上有する化合物を用いることができる。前記アミノ基、水酸基などの官能基を3つ以上有する化合物としては、グリセリン、アミノエチルエタノールアミンなどが挙げられる。
【0027】
前記反応停止剤は、分子内にイソシアネート基との反応可能な官能基(アミノ基、水酸基など)を1つ以上有する化合物が利用でき、具体的には、モノアルコール類(メタノール、エタノールなど)、モノアミン類(n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミンなど)、分子内にアミノ基と水酸基と1つずつ有するアルカノールアミン類(モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン)などが挙げられる。また、前記反応停止剤としては、前記鎖伸長剤として挙げた化合物も利用できる。反応停止剤は、ポリウレタン樹脂の分子内に水酸基やアミノ基などの官能基を導入する観点から、前記分子内にアミノ基と水酸基と1つずつ有するアルカノールアミン類や、前記鎖伸長剤として例示した、1級アミノ基を2つ有するジアミン類や、低分子ジオール類を用いることができる。前記反応停止剤は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
前記ジイソシアネート化合物とジオール化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーの製造において、ジイソシアネート化合物のNCOとジオール化合物のOHの当量比(ジイソシアネート化合物のNCOの当量/ジオール化合物のOHの当量)は、1.3~3で反応させることが好ましく、1.5~2で反応させることがより好ましい。
【0029】
前記鎖伸長剤は、前記プレポリマーの残存するイソシアネート基に対して、0.5~0.95当量程度の範囲で反応させることが好ましい。また、前記反応停止剤は、鎖伸長後のポリウレタン樹脂1モルに対して、2モル程度の比率で反応させることが好ましい。
【0030】
前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、5,000~50,000であることが好ましく、10,000~30,000であることがより好ましい。なお、本発明の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0031】
前記ポリウレタン樹脂は、水酸基やアミノ基などの官能基を有するポリウレタン樹脂が好ましい。このような官能基を有するポリウレタン樹脂を得る方法としては、上記のアミノ基、水酸基などの官能基を3つ以上有する化合物を鎖伸長剤として用いる方法や、前記鎖伸長剤や前記反応停止剤を用いずに、前記ジイソシアネート化合物を前記ジオール化合物の1.0倍未満のモル比率で反応させる方法などの既知の方法が採用できる。なお、前記ポリウレタン樹脂がアミノ基を有する場合、アミン価は0.1~10mgKOH/gの範囲が好適である。前記アミン価は、固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATIONK-900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算して測定できる。
【0032】
前記セルロース誘導体は、低級アシル基置換体セルロース誘導体および/または低級アルキル置換体セルロース誘導体である。前記低級アシル基置換体セルロース誘導体は、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。また、前記低級アルキル置換体セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどが挙げられる。前記セルロース誘導体は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
前記セルロース誘導体の重量平均分子量は、10,000~500,000であることが好ましく、10,000~300,000であることがより好ましい。
【0034】
前記バインダー樹脂において、前記ポリウレタン樹脂と前記セルロース誘導体の質量比(ポリウレタン樹脂/セルロース誘導体)は、支持体フィルムへの接着性を向上させる観点から、60/40以上であることが好ましく、75/25以上であることがより好ましく、80/20以上であることがさらに好ましく、そして、ラミネート強度を向上させる観点から、95/5以下であることが好ましい。
【0035】
前記バインダー樹脂中、前記ポリウレタン樹脂と前記セルロース誘導体の合計の割合は、
80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0036】
前記バインダー樹脂には、インキ組成物の性能が低下しない範囲で、前記ポリウレタン樹脂、および前記セルロース誘導体以外のその他の樹脂を用いてもよい。前記その他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系共重合体、ブチラール樹脂などが挙げられる。
【0037】
<白色顔料>
本発明の白色顔料は、無機化合物で被覆処理された酸化チタンであり、前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中、酸化チタン(TiO2)の割合が94質量%以上である。
【0038】
前記酸化チタンは、レーザー印字性(視認性)を向上させる観点から、平均粒子径が0.30μm以下であることが好ましく、0.28μm以下であることがより好ましく、0.26μm以下であることがさらに好ましい。また、前記酸化チタンは、ドクター切れ性を向上させる観点から、平均粒子径が0.20μm以上であることが好ましく、0.23μm以上であることがより好ましい。なお、前記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で撮影された像を統計処理する方法により求めることができる。当該方法としては、例えば、特開2003-26856号公報、特開2006-341628号公報などに開示の方法を採用すればよい。また、前記酸化チタンは、アナターゼ型でも、ルチル型であってもよく、チタンゾルであってもよい。前記酸化チタンは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
前記無機化合物としては、例えば、アルミニウム、ケイ酸、ジルコニウム、亜鉛、スズ、アンチモン、セリウムなどの金属の酸化物あるいは含水酸化物などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、ケイ酸、ジルコニウム、亜鉛の酸化物あるいは含水酸化物が好適である。具体的に、前記金属の酸化物あるいは水酸化物としては、例えば、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ケイ酸ソーダ、含水ケイ酸、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸スズ、塩化スズ、塩化アンチモン、塩化セリウム、硫酸セリウムなどが挙げられる。
【0040】
前記酸化チタンを前記無機化合物で被覆処理する方法としては、公知の方法を適用でき、例えば、酸化チタンのスラリーに、前記金属の酸化物あるいは含水酸化物などを加え攪拌し、pHなどを調整する方法が挙げられる。当該方法としては、例えば、特開昭55-10428号公報、特開昭55-154317号公報、特開平4-81470号公報などに開示の方法を採用すればよい。
【0041】
前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中、酸化チタン(TiO2)の割合は、95質量%以上であることが好ましい。また、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物に良好なドクター切れ性を付与する観点から、使用する酸化チタンが無機化合物で被覆処理されていれば、前記酸化チタン(TiO2)の割合の上限値はないが、例えば、前記酸化チタン(TiO2)の割合の上限値として、99.5質量%以下、99質量%以下が例示できる。このような酸化チタンの市販品としては、商品名「JR-405」(テイカ(株)製)などが挙げられる。なお、前記無機化合物で被覆処理された酸化チタン中の酸化チタン(TiO2)の割合は、通常、前記無機化合物に含まれる金属を当該金属酸化物(例えば、Al2O3、SiO2、ZrO2など)に換算した質量と、酸化チタン粒子中のTiO2の質量の合計質量の割合から算出される(特開昭55-10428号公報、特開平11-171541号公報、特開2008-069193号公報など、参照)。
【0042】
<有機溶剤>
本発明の有機溶剤は、上記の成分を溶解あるいは分散されるものであれば、特に制限なく使用できる。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系有機溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤は、少なくとも1種を用いればよく、バインダー樹脂の溶解性や乾燥性などを考慮して、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
前記有機溶剤は、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物をフレキソ印刷インキ組成物またはグラビア印刷インキ組成物に適用する観点から、前記アルコール系有機溶剤、および/または前記エステル系有機溶剤を使用することが好ましい。この場合、前記有機溶剤中、前記アルコール系有機溶剤および/または前記エステル系有機溶剤の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
【0044】
以下に、本発明のレーザーマーキング用インキ組成物に含まれる各成分の割合について説明する。
【0045】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物中の固形分(不発成分)において、前記バインダー樹脂の割合は、インキ層の皮膜強度や塗工適性の観点から、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、そして、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0046】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物中の固形分(不発成分)において、前記白色顔料の割合は、インキ層の隠蔽力を高め、レーザー印字性を向上させる観点から、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、そして、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
前記溶剤の割合は、レーザーマーキング用インキ組成物中、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましい。
【0048】
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物には、インキ組成物の性能が低下しない範囲でチタンキレート、ジルコニウムキレートなどの金属キレート架橋剤;ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどのワックス類;飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、変性脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド;ダイマー酸系樹脂、ロジン系樹脂、マレイン酸系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、ダンマー樹脂、コーパル樹脂、塩素化ポリプロピレン、酸化ポリプロピレンなどのハードレジン;レベリング剤、界面活性剤、可塑剤などを任意に添加することができる。
【0049】
<レーザーマーキング用インキ組成物の調製方法>
本発明のレーザーマーキング用インキ組成物を調製する方法としては、特に限定されず、例えば、上記の成分を順番に、あるいは同時に添加して、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル、高速攪拌装置、ペイントコンディショナーなどで混合して調製することができる。
【0050】
<レーザーマーキング用インキ層>
本発明のレーザーマーキング用インキ層は、前記レーザーマーキング用インキ組成物から形成される。具体的には、前記レーザーマーキング用インキ組成物を、後述する支持体フィルム(あるい後述する基材)に塗工(印刷)し、乾燥することによって得られるインキ層(印刷皮膜)である。前記印刷の方法は、オフセット印刷、枚葉印刷、デジタル印刷(インクジェット方式、トナー方式)、フレキソ印刷、グラビア印刷による方法を用いることができ、フレキソ印刷、グラビア印刷が好適である。前記乾燥は、熱風などにより溶剤を蒸発させる工程を設けてもよい。前記印刷機による印刷条件は、従来公知の条件が適宜採用できる。
【0051】
前記レーザーマーキング用インキ層の厚さは、通常、0.1~20μmであることが好ましく、0.2~15μmであることがより好ましい。
【0052】
<積層体>
本発明の積層体は、前記レーザーマーキング用インキ層の片面に支持体フィルムが設けられており、かつ前記インキ層の他面に基材が設けられている。
【0053】
前記支持体フィルムとしては、プラスチックフィルムであれば、制限なく使用できる。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリシクロオレフィン、ポリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィンなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
【0054】
前記支持体フィルムは、前記レーザーマーキング用インキ組成物の印刷適性(濡れ性や接着性)を良好にする観点から、表面がコロナ処理やプラズマ処理等により表面処理されていてもよく、また、ガスバリア性などを向上させる観点から、透明な無機酸化物の蒸着層などが積層されていてもよい。
【0055】
前記基材は、金属、紙、プラスチックのいずれでもよい。前記金属としては、例えば、アルミ箔などの金属薄膜が挙げられ、また、前記紙としては、例えば、アート紙、上質紙、和紙、合成紙などが挙げられる。前記プラスチックとしては、前記プラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0056】
また、前記基材は、本発明の積層体を包装容器として使用できる観点から、ラミネート加工ができるシーラント層を形成できる材料であることが好ましい。前記シーラント層を形成する方法としては、例えば、1)支持体フィルム上のインキ層(印刷面)に、必要に応じてアンカーコート剤(例えば、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン等)を塗布し、熱溶融ポリマー(例えば、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等)を薄膜状に積層させる押出しラミネート加工、2)支持体フィルム上のインキ層(印刷面)に、接着剤(例えば、ウレタン系、イソシアネート系等)を塗工した後、無延伸プラスチックフィルム(例えば、無延伸ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなど)を積層させるドライラミネート加工などが挙げられる。
【0057】
また、前記インキ層と前記基材との間に、各種機能を有する機能性層を設けてもよい。前記機能性層としては、前記積層体のガスバリア性の向上を目的として、例えば、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム、特殊変性エチレンビニルアルコールフィルムなどが挙げられる。また、機能性層としては、前記積層体の強度補強の向上を目的として、例えば、延伸ナイロンフィルムなどが挙げられ、さらに、上記の両者の機能の向上を目的として、例えば、ナイロン系メタキシレンジアミン樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0058】
<レーザーマーキング方法>
本発明のレーザーマーキング方法は、前記積層体に、レーザー光を照射する方法である。レーザー光としては、例えば、炭酸ガスレーザー光(10600nm)、YVO4レーザー光(1064nm)、UVレーザー光(355nm)などが挙げられ、これらの中でも、UVレーザー光(355nm)などの短波長域(紫外線領域)を有するレーザー光が好適である。
【0059】
レーザー光の照射は、通常、前記支持体フィルム側から行われる。ただし、前記基材が、レーザー光を透過する場合、レーザー光の照射は、前記基材側から行ってもよい。また、レーザー光の照射条件は、使用する機器、印刷物の印字性などの印刷品質を考慮して適宜設定すればよい。
【実施例】
【0060】
以下に本発明を実施例などによって説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0061】
<製造例1>
<ポリウレタン樹脂のワニスの製造>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量1,000のポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンアジペート)ジオール100質量部およびイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル379.4質量部、イソプロピルアルコール94.9質量部を加えた後、イソホロンジアミン7.1質量部、アミノエチルエタノールアミン4.2質量部を加えて鎖伸長反応させ、さらにエチレンジアミン2.4質量部を加えて反応停止させて、ポリウレタン樹脂のワニス(固形分:25質量%、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量約12,000、アミン価9.3mgKOH/g)を得た。
【0062】
<製造例2>
<低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニスの製造>
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP-482-0.5」、イーストマンケミカル社製)25質量部を、酢酸エチル56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部からなる混合有機溶剤に溶解させて固形分25質量%の低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニスを得た。
【0063】
<実施例1~3、および比較例1~7>
<レーザーマーキング用インキ組成物の調製>
表1に示す配合にて、各材料をペイントコンディショナーで混練し、実施例1~3、および比較例1~7のレーザーマーキング用インキ組成物を調製した。なお、表1に記載の数値は質量部である。
【0064】
<レーザー印字性の評価およびラミネート強度の評価用の積層体(印刷物)の作成>
上記で得られた実施例1~3、および比較例1~7のレーザーマーキング用インキ組成物を、ポリプロピレンフィルム(商品名「P-2161」、東洋紡株社製)に、バーコーター(線径0.10mm)を用いて塗工し、ドライヤーで乾燥後、60℃で12時間保持してインキ層(膜厚が約1μm)を形成した。得られたインキ層の上に、ポリエーテル系接着剤組成物(商品名「A-969V」、三井化学ポリウレタン社製)/硬化剤(商品名「A-5」、三井化学ポリウレタン社製)=3/1(質量比)を介して、シーラントフィルム(商品名「P-1128#25」、東洋紡株社製)を貼り合わせした後、40℃で48時間保持して、レーザー印字性の評価およびラミネート強度の評価用の積層体(印刷物)を得た。
【0065】
<耐ブロッキング性の評価および接着性の評価用の印刷物の作成>
上記で得られた実施例1~3、および比較例1~7のレーザーマーキング用インキ組成物を、ポリプロピレンフィルム(商品名「P-2161」、東洋紡株社製)に、バーコーター(線径0.10mm)を用いて塗工し、ドライヤーで乾燥後、60℃で12時間保持してインキ層(膜厚が約1μm)を形成して、印刷物を得た。
【0066】
上記の実施例および比較例で得られた、レーザーマーキング用インキ組成物、または積層体(印刷物)について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0067】
<レーザー印字性(視認性)の評価>
キーエンス社製のUVレーザーマーカーMD-U1000Cを用いて、上記で得られたレーザー印字性の評価用の積層体(印刷物)のポリプロピレンフィルム側からレーザー光を照射して印字し(印字条件:レーザーパワー20%、パルス周期40kHz、スキャンスピード5,000mm/min、印字回数1回)、レーザー印字性(視認性)について、以下の3段階で評価した。
A:印字部分の視認が容易にできる
B:明瞭ではないが、印字部分が確認できる
C:目視での視認が難しい
【0068】
<耐ブロッキング性の評価>
耐ブロッキング性の評価は、上記で得られた耐ブロッキング性の評価用の印刷物における各印刷面と非印刷面を合わせて、バイスでしめこみ、40℃で12時間放置後に手で剥がし、印刷皮膜の剥離の程度と剥離抵抗の強度について、以下の3段階で評価した。
A:印刷皮膜の剥離がなく、剥離抵抗が感じられない
B:印刷皮膜の剥離がないが、剥離抵抗が感じられる
C:印刷皮膜の剥離があり、剥離抵抗が強く感じられる
【0069】
<接着性の評価>
接着性の評価は、上記で得られた接着性の評価用の印刷物におけるインキ層(印刷皮膜)にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いについて、以下の3段階で評価した。
A:印刷皮膜のフィルムからの剥離がない
B:印刷皮膜のフィルムからの剥離があるが、剥離面積は30%未満である
C:印刷皮膜のフィルムからの剥離があり、剥離面積は30%以上である
【0070】
<ラミネート強度の評価>
ラミネート強度の評価は、上記で得られたラミネート強度の評価用の積層体(印刷物)において、剥離速度300mm/minのピール強度について、以下の3段階で評価した。
A:強度が200g/15mm以上である
B:強度が100g/15mm以上、200g/15mm未満である
C:強度が100g/15mm未満である
【0071】
<ドクター切れ性の評価>
ドクター切れ性の評価は、上記で得られた実施例1~3、および比較例1~7にかかるレーザーマーキング用インキ組成物を、グラビア印刷機(東芝5色機)にて、印刷スピードが100m/minのときの、印刷面の状態について、以下の3段階で評価した。
A:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが発生しなせず、実使用可能レベルにある
B:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが若干発生するが、実使用可能レベルにある
C:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが多く発生し、実使用可能レベルにない
【0072】
【0073】
表1中、
ポリウレタン樹脂は、製造例1のポリウレタン樹脂のワニス;
低級アシル基置換体セルロース誘導体は、製造例2の低級アシル基置換体セルロース誘導体のワニス;
酸化チタンA(TiO2の割合が95質量%)は、アルミナ被覆酸化チタン;
酸化チタンB(TiO2の割合が95質量%)は、アルミナおよびシリカ被覆酸化チタン;
酸化チタンC(TiO2の割合が95質量%)は、アルミナ、シリカおよびジルコニア被覆酸化チタン;
酸化チタンD(TiO2の割合が93質量%)は、アルミナ被覆酸化チタン;
酸化チタンE(TiO2の割合が93質量%)は、アルミナおよびシリカ被覆酸化チタン;
酸化チタンF(TiO2の割合が93質量%)は、アルミナ、シリカおよびジルコニア被覆酸化チタン;
酸化チタンG(TiO2の割合が90質量%)は、アルミナ被覆酸化チタン;
酸化チタンH(TiO2の割合が90質量%)は、アルミナおよびシリカ被覆酸化チタン;
酸化チタンI(TiO2の割合が90質量%)は、アルミナ、シリカおよびジルコニア被覆酸化チタン;
酸化チタンJ(TiO2の割合が100質量%)は、無機化合物で被覆処理されていない酸化チタン;
有機溶剤は、酢酸エチル/イソプロピルアルコール(質量比が4/1)の混合溶剤;を示す。
なお、上記の酸化チタンA~Iは、上述した酸化チタンを無機化合物で被覆処理する方法によって得られる。また、上記の酸化チタンA~Jは、平均粒子径が0.25μmである。