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  • 特許-収納容器及び収納容器の引き出し構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】収納容器及び収納容器の引き出し構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20220209BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B60R5/04
B60N3/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018245450
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020104710
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】鯉沼 康裕
(72)【発明者】
【氏名】小池 夏樹
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-126885(JP,A)
【文献】特開2008-155680(JP,A)
【文献】特開平03-186444(JP,A)
【文献】特開平08-085392(JP,A)
【文献】特開平10-287185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/00-7/14
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部の荷室の床部に載置される収納容器であって、
前記荷室の開口部から引き出し可能な引出収容部と、
前記荷室内に位置する荷室側収容部と、を有し、
前記荷室側収容部に前記収納容器の引き出しを制限する当接部が形成され
前記引出収容部の底角部が略円弧状に形成され、前記荷室側収容部の底角部が略角形状に形成されていることを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記当接部が前記荷室側収容部の前記開口部側に向いた面である前側面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記荷室側収容部の上端部に浮き上がり防止用の係止部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記当接部が前記荷室の内壁部に当接することで前記収納容器の引き出しを制限することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の収納容器の引き出し構造。
【請求項5】
前記引出収容部の横幅が前記開口部の横幅よりも短く形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の収納容器の引き出し構造。
【請求項6】
前記荷室の内壁部に係止受部が形成され、前記係止部が前記係止受部に当接することで、前記収納容器の浮き上がりを防止することを特徴とする請求項3に記載の収納容器の引き出し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部の荷室の床部に載置される収納容器及び当該収納容器の引き出し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の後部の荷室に配設されるラゲージフロアボックスの取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたラゲージフロアボックスの取付構造では、上面を開口しボックス状に形成されたラゲージフロアボックスが、左右側のラゲージサイドトリムの前後側2箇所に取り付けられた鉄クリップを介して固定支持されるものである。また、ラゲージフロアボックスは、上面開口を覆うリッドを備えており、このリッドでラゲージフロアボックスの上面開口を覆うことにより、リッドの上面にも荷物等を載置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-287185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のラゲージフロアボックスの取付構造では、ラゲージフロアボックスが左右側のラゲージサイドトリムに固定支持されていることから、ラゲージフロアボックスを車両の後方側に引き出すことができないため、車両の後方側からのラゲージフロアボックスへの荷物の出し入れがし難い場合があった。
【0005】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、車両の後部の荷室の床部に載置された状態から車両の後方側に引き出し可能な収納容器及び収納容器の引き出し構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収納容器は、車両の後部の荷室の床部に載置される収納容器であって、前記荷室の開口部から引き出し可能な引出収容部と、前記荷室内に位置する荷室側収容部と、を有し、前記荷室側収容部に前記収納容器の引き出しを制限する当接部が形成され、前記引出収容部の底角部が略円弧状に形成され、前記荷室側収容部の底角部が略角形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る収納容器は、前記当接部が前記荷室側収容部の前記開口部側に向いた面である前側面に形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る収納容器は、前記荷室側収容部の上端部に浮き上がり防止用の係止部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る収納容器の引き出し構造は、前記当接部が前記荷室の内壁部に当接することで前記収納容器の引き出しを制限することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る収納容器の引き出し構造は、前記引出収容部の横幅が前記開口部の横幅よりも短く形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る収納容器の引き出し構造は、前記荷室の内壁部に係止受部が形成され、前記係止部が前記係止受部に当接することで、前記収納容器の浮き上がりを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、車両の後部の荷室の床部に載置された状態の収納容器を車両の後方側に引き出すことができる。また、収納容器が一定以上引き出されることを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の収納容器を一部引き出した状態を示す荷室の斜視図である。
図2】同、収納容器を収容した状態を示す荷室の正面図である。
図3】同、収納容器を収容した状態を示す荷室の斜視図である。
図4】同、収納容器を一部引き出した状態を示す荷室の斜視図である。
図5】同、収納容器の平面図である。
図6】同、収納容器の正面図である。
図7】同、収納容器の背面図である。
図8】同、収納容器の底面図である。
図9】同、収納容器の左側面図である。
図10】同、収納容器の右側面図である。
図11】同、当接部が開口縁部に当接すると共に、係止部が支持部に当接した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について、添付の図1図11を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。なお、実施例において、図6に示す収納容器1の正面視における上、下、手前、奥、左、右を収納容器1の上、下、前、後、左、右として説明する。
【実施例1】
【0015】
図1図11は本発明の実施例1を示している。本実施例の収納容器1は、上面が開口した有底箱型に形成されている。図1図4に示すように、収納容器1は、車両2の後部の荷室3の床部4に載置され、車両2の開口部5を開閉するバックドア(図示せず)を開くと、荷室3の開口部5から車両2の後方側に引き出すことができる。
【0016】
本実施例の荷室3には、着脱可能なトノカバー6が設けられており、このトノカバー6の下方に収納容器1が配置される。トノカバー6により収納容器1に収容した物を車外から見え難くすることができ、また、図3及び図4に示すように、トノカバー6の上面部7に荷物8等を載置することもできる。
【0017】
荷室3の内壁部9のうち、左内壁部9A及び右内壁部9Bには、トノカバー6の左後端部6A及び右後端部6Bを支持する支持部10A,10Bが設けられている。本実施例では、この支持部10A,10Bが係止受部として機能する。
【0018】
図5図10に示すように収納容器1は、前壁部21と、後壁部22と、左壁部23と、右壁部24と、底部25とを有している。収納容器1は、左右対称に形成されており、前壁部21、後壁部22、左壁部23、右壁部24及び底部25の内側に形成された空間に荷物8等を収納することができる。
【0019】
前壁部21の上端部21Aの左右両側には、後壁部22と反対の方向に水平に延設された取手部26A,26Bが設けられている。収納容器1の使用者は、この取手部26A,26Bを把持して収納容器1を荷室3から引き出したり、押し入れたりすることができる。
【0020】
後壁部22は、左右両側の幅狭後壁部27A,27Bと、幅狭後壁部27Aと幅狭後壁部27Bの間に位置する幅広後壁部28とを有している。幅広後壁部28は、幅狭後壁部27A,27Bよりも前壁部21と反対の方向に突出している。
【0021】
左壁部23は、前壁部21側部分である左前壁部23Aと後壁部22側部分である左後壁部23Bを有する。左後壁部23Bの上端部23Cには、右壁部24と反対の方向に水平に延設された係止部29Aが設けられている。左前壁部23Aと左後壁部23Bは面一となっている。
【0022】
右壁部24は、前壁部21側部分である右前壁部24Aと後壁部22側部分である右後壁部24Bを有する。右後壁部24Bの上端部24Cには、左壁部23と反対の方向に水平に延設された係止部29Bが設けられている。右前壁部24Aと後右後壁部24Bは面一となっている。
【0023】
図6に示すように、底部25の前壁部21側部分である前底部25Aと左前壁部23Aとの接続部分である底角部30は、外側に凸の略円弧状に形成されている。底角部30は、左前壁部23Aから前底部25Aに向かって幅が狭くなっている(図5及び図8参照)。また、図6に示すように、前底部25Aと右前壁部24Aとの接続部分である底角部31、外側に凸の略円弧状に形成されている。底角部31は、右前壁部24Aから前底部25Aに向かって幅が狭くなっている(図5及び図8参照)。これに対して、底部25の後壁部22側部分である後底部25Bと左後壁部23Bとの接続部分である底角部32は、外側に凸の略角形状に形成されている(図6及び図7参照)。また、後底部25Bと右後壁部24Bとの接続部分である底角部33は、外側に凸の略角形状に形成されている(図6及び図7参照)。そのため、図6に示すように、収納容器1の正面視において底角部32,33は底角部30,31よりも突出しており、この突出している部分の前側面が当接部34,35である。前底部25Aと後底部25Bは面一となっている。
【0024】
底角部30及び底角部31は、後述するように、引出収容部が内壁部9により制限されることなく、開口部5から引き出すことができる形状であればよく、略円弧状に限らず、開口縁部11の形状を考慮して様々な形状を選択可能である。また、底角部32及び底角部33は、後述するように、当接部34,35が内壁部9に当接し荷室側収容部が荷室3から引き出されることを制限することができる形状であればよく、略角形状に限らず、開口縁部11の形状を考慮して様々な形状を選択可能である。
【0025】
本実施例の収納容器1は、引出収容部と荷室側収容部を有し、前壁部21、左前壁部23A、右前壁部24A、前底部25A、底角部30及び底角部31が引出収容部を構成し、後壁部22、左後壁部23B、右後壁部24B、後底部25B、底角部32、底角部33及び当接部34,35が荷室側収容部を構成する。
【0026】
図2に示すように、引出収容部の横幅W1は、開口部5の横幅W2よりも短く形成されている。そのため、収納容器1は、車両2の荷室3の床部4に載置した状態から車両2の後方側に引くと、引出収容部が荷室3の内壁部9により制限されることなく、開口部5から引き出すことができるようになっている。収納容器1を開口部5から引き出していくと、当接部34,35が内壁部9の一部である開口縁部11に当接し、収納容器1の車両2の後方側への移動が制限され、収納容器1をそれ以上真っ直ぐに引き出すことができないようになっている。そのため、荷室側収容部は荷室3内に位置したままとなる。
【0027】
収納容器1を車両2の外から荷室3内に収容する場合や、荷室3から車両2外へ完全に取り出す場合には、収納容器1を持ち上げ、開口幅が広い開口部5の上側部分から出し入れを行うことができる。また、収納容器1の左側又は右側を持ち上げ、収納容器1を傾斜させた状態で開口部5から出し入れすることができる。
【0028】
図11に示すように、当接部34,35が開口縁部11に当接するまで収納容器1を引き出すと、前側底部30が開口縁部11の下縁部11Aに載置された状態となる。また、この状態のときに係止部29Aが支持部10Aの下方に位置し、係止部29Bが支持部10Bの下方に位置する。そのため、収納容器1に収容された物の重さや収納容器1自体の重さにより、下縁部11Aを支点として、収納容器1の前壁部21側(車両2の後方側)が下方に下がり、後壁部22側(車両2の前方側)が上方に浮き上がる場合がある。そのような場合に係止部29Aが支持部10Aに当接し、係止部29Bが支持部10Bに当接することで、収納容器1の後壁部22側の浮き上がりを最小限に抑えることができる。
【0029】
以上のように、本実施例の収納容器1は、車両2の後部の荷室3の床部4に載置される収納容器1であって、荷室3の開口部5から引き出し可能な引出収容部と、荷室3内に位置する荷室側収容部と、を有し、荷室側収容部に収納容器1の引き出しを制限する当接部34,35が形成されていることにより、収納容器1を引き出した際、引出収容部が開口部5から引き出され、当接部34,35が内壁部9の開口縁部11に当接し、荷室側収容部が開口部5から引き出されることを防止できる。
【0030】
また、本実施例の収納容器1は、引出収容部の底角部30,31が略円弧状に形成され、荷室側収容部の底角部32,33が略角形状に形成されていることにより、引出収容部を内壁部9の開口縁部11により制限されることなく開口部5から引き出すことができ、荷室側収容部の当接部34,35が開口縁部11に当接し、荷室側収容部が開口部5から所定量以上引き出されることを防止できる。
【0031】
また、本実施例の収納容器1は、荷室側収容部の上端部23C、24Cに浮き上がり防止用の係止部29A,29Bが設けられていることにより、収納容器1の後壁部22側が上方に浮き上がった場合に、係止部29A,29Bが支持部10A,10Bに当接し、所定量以上浮き上がることを防止できる。
【0032】
また、本実施例の収納容器1の引き出し構造は、当接部34,35が荷室3の内壁部9に当接することで収納容器1の引き出しを制限することにより、収納容器1を引き出し過ぎることや、意図せず収納容器1が開口部5から車両2の外部へ落下等することを防止できる。
【0033】
また、本実施例の収納容器1の引き出し構造は、引出収容部の横幅W1が開口部5の横幅W2よりも短く形成されていることにより、収納容器1の引出収容部を内壁部9の開口縁部11により制限されることなく開口部5から引き出すことができる。その結果、収納容器1への荷物8等の出し入れが容易となる。
【0034】
また、本実施例の収納容器1の引き出し構造は、荷室3の内壁部9に支持部10A,10Bが形成され、係止部29A,29Bが支持部10A,10Bに当接することで、収納容器1の浮き上がりを防止することにより、収納容器1の引出収容部を開口部5から引き出した状態で、下縁部11Aを支点として、収納容器1の前壁部21側が下方に下がり、後壁部22側が上方に浮き上がる量を、係止部29A,29Bと支持部10A,10Bとの間の距離以内に抑えることができる。この、係止部29A,29Bと支持部10A,10Bとの間の距離を短くすることで、収納容器1が浮き上がり係止部29A,29Bが支持部10A,10Bに当接したときの反動により収納容器1内に収容された物が外部へ飛び出ることを防止できる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例1においては、トノカバー6の後端部6A,6Bを支持する支持部10A,10Bに係止部29A,29Bを当接させる構成としているが、トノカバー6を備えない車両2等の場合には係止部29A,29Bを当接させる係止受部を別途設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 収納容器
2 車両
3 荷室
4 床部
5 開口部
9 内壁部
10A 支持部(係止受部)
10B 支持部(係止受部)
21前壁部(引出収容部)
22 後壁部(荷室側収容部)
23A 左前壁部(引出収容部)
23B 左後壁部(荷室側収容部)
23C 上端部
24A 右前壁部(引出収容部)
24B 右後壁部(荷室側収容部)
24C 上端部
25A 前底部(引出収容部)
25B 後底部(荷室側収容部)
29A 係止部
29B 係止部
30 底角部(引出収容部)
31 底角部(引出収容部)
32 底角部(荷室側収容部)
33 底角部(荷室側収容部)
34 当接部(荷室側収容部)
35 当接部(荷室側収容部)
W1 横幅
W2 横幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11