(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】決済処理方法及び決済処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/28 20120101AFI20220209BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20220209BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20220209BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220209BHJP
G07G 1/14 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G06Q20/28
G06Q20/32 330
G07G1/01 301D
G07G1/12 321L
G07G1/12 331Z
G07G1/14
(21)【出願番号】P 2019214153
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2020-10-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/008981(WO,A1)
【文献】特開2018-116435(JP,A)
【文献】特許第6585808(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/01
G07G 1/12
G07G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する、
コードを利用した決済手段に関連して前記コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザ識別情報を前記ユーザの端末から取得するステップと、
取得された前記ユーザ識別情報に対応するユーザの前記決済手段に関連付けられている口座が
、決済可能な状態を示す
前記口座の残高が所定金額以上であるという所定条件を満たすか否かを、前記ユーザが前記決済手段を用いて支払う支払金額を使用することなく
前記口座の残高を前記所定金額と比較することにより判定するステップと、
前記口座が前記所定条件を満たすと判定された場合に、前記ユーザの端末に表示される前記ユーザに対応する前記コードに関するトークンを生成するステップと、
生成された前記トークンを前記端末に送信するステップと、
前記端末に送信された前記トークンに基づいて前記端末が表示した前記コードを読み取った当該端末とは異なる端末から、前記トークンと、前記ユーザが支払う支払金額とを含む決済要求を取得するステップと、
取得された前記決済要求に含まれる前記トークンと前記支払金額とに基づいて決済を行うステップと、
を有する決済処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータが実行する前記所定金額を設定するステップをさらに有し、
前記判定するステップにおいて、前記口座の残高が、前記設定するステップにおいて設定された
前記所定金額以上か否かを判定する、
請求項
1に記載の決済処理方法。
【請求項3】
前記設定するステップにおいて、前記ユーザから前記所定金額を設定する情報を取得し、当該情報に基づいて前記所定金額を設定する、
請求項
2に記載の決済処理方法。
【請求項4】
前記設定するステップにおいて、前記決済手段を提供する事業者から前記所定金額を設定する情報を取得し、当該情報に基づいて前記所定金額を設定する、
請求項
2に記載の決済処理方法。
【請求項5】
前記設定するステップにおいて、予め定められた金額を上限として前記所定金額を設定する、
請求項
2から
4のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項6】
前記判定するステップにおいて
前記所定金額未満と判定された場合に、前記コンピュータが、前記残高に関する情報を前記ユーザに通知するステップをさらに有する、
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項7】
前記通知するステップにおいて、前記口座への入金を促す情報を前記ユーザに通知する、
請求項
6に記載の決済処理方法。
【請求項8】
前記所定金額は0円である、
請求項
1から
7のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項9】
前記所定金額は1円以上の金額である、
請求項
1から
7のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項10】
前記コードを生成するステップにおいて、前記所定金額未満と判定された場合であっても、前記口座の残高が前記所定金額よりも低い設定金額となった場合に前記口座に自動的に入金を行うように設定がされているときには、前記ユーザの端末に前記ユーザに対応する前記コードを表示させる、
請求項
9に記載の決済処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータが実行する、
前記ユーザ識別情報と、生成された前記トークンとを関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
受信した前記決済要求に含まれているトークンに関連付けられて前記記憶部に記憶されている前記ユーザ識別情報に対応する前記口座の残高が、受信した前記決済要求に含まれている支払金額よりも少ないか否かを判定するステップと、
をさらに有し、
前記決済を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記口座の残高が、受信した前記決済要求に含まれている支払金額よりも多いと判定すると、前記ユーザ識別情報に対応するユーザの前記決済手段を用いて決済を行う、
請求項1から
10のいずれか1項に記載の決済処理方法。
【請求項12】
コードを利用した決済手段に関連して前記コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザ識別情報を前記ユーザの端末から取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記ユーザ識別情報に対応するユーザの前記決済手段に関連付けられている口座が
、決済可能な状態を示す
前記口座の残高が所定金額以上であるという所定条件を満たすか否かを、前記ユーザが前記決済手段を用いて支払う支払金額を使用することなく
前記口座の残高を前記所定金額と比較することにより判定する判定部と、
前記口座が前記所定条件を満たすと前記判定部が判定した場合に、前記ユーザの端末に表示される前記ユーザに対応する前記コードに関するトークンを生成するトークン生成部と、
生成された前記トークンを前記端末に送信する送信部と、
前記端末に送信された前記トークンに基づいて前記端末が表示した前記コードを読み取った当該端末とは異なる端末から、前記トークンと、前記ユーザが支払う支払金額とを含む決済要求を取得する決済要求取得部と、
取得された前記決済要求に含まれる前記トークンと前記支払金額とに基づいて決済を行う決済部と、
を備える決済処理装置。
【請求項13】
前記判定部が前記口座の残高が前記所定金額未満と判定した場合に、前記残高に関する情報を前記ユーザに通知する通知部をさらに備える、
請求項
12に記載の決済処理装置。
【請求項14】
前記ユーザから前記所定金額を設定する情報を取得し、当該情報に基づいて前記所定金額を設定する設定部をさらに備える、
請求項
12又は
13に記載の決済処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理方法及び決済処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
QRコード(登録商標)等の二次元バーコードを用いたコード決済が普及している(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。コード決済は、店舗側が表示した二次元バーコードをユーザ端末により読み取るか、ユーザ端末が表示した二次元バーコードを店舗側が読み取ることにより決済が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6528160号公報
【文献】特許6473539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコード決済では、二次元バーコードが読み取られた後に、コード決済に対応する口座の残高が支払金額よりも少ないと判定すると、エラーメッセージ等を表示し、決済を中断することから、決済が中断されるまでに時間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、決済を開始する前に口座の残高が不足する可能性が高いと判断される場合に、決済を速やかに中断することができる決済処理方法及び決済処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る決済処理方法は、コンピュータが実行する、コードを利用した決済手段に関連して前記コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザ識別情報を前記ユーザの端末から取得するステップと、取得された前記ユーザ識別情報に対応するユーザの前記決済手段に関連付けられている口座が決済可能な状態を示す所定条件を満たすか否かを判定するステップと、前記口座が前記所定条件を満たすと判定された場合に、前記ユーザの端末に表示される前記ユーザに対応する前記コードに関するトークンを生成するステップと、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係る決済処理装置は、コードを利用した決済手段に関連して前記コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザ識別情報を前記ユーザの端末から取得する取得部と、前記取得部が取得した前記ユーザ識別情報に対応するユーザの前記決済手段に関連付けられている口座が決済可能な状態を示す所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記口座が前記所定条件を満たすと前記判定部が判定した場合に、前記ユーザの端末に表示される前記ユーザに対応する前記コードに関するトークンを生成するトークン生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、決済時に口座の残高が不足する可能性が高い場合に決済を速やかに中断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】コード決済におけるユーザの口座の残高が不足しているときの口座残高、支払金額、第2の決済手段の決済枠、口座への入金額、第2の決済手段の請求額の関係を示す図である。
【
図6】決済処理装置が決済を行うまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】決済処理装置における、コード決済に関連付けられている口座の残高が不足状態となっている場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】ユーザ端末が決済要求を決済処理装置に送信する場合の処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[決済処理装置1の概要]
図1は、決済処理装置1の概要を示す図である。決済処理装置1は、ユーザが商品を購入する場合に、商品の支払金額に対応する決済用コードをユーザ端末2又は店舗端末3から受信したことに応じて決済を行うコンピュータである。決済用コードは、ユーザ端末2又は店舗端末3において読み取れるテキスト又は画像であり、決済時に用いられるコードである。
【0011】
決済処理装置1は、携帯電話網及びインターネット等の通信ネットワークを介して、ユーザ端末2と、店舗端末3とに接続されている。ユーザ端末2は、ユーザが使用する携帯端末であり、例えばスマートフォン、ウェアラブルデバイス、タブレット又はパーソナルコンピュータである。店舗端末3は、例えば、POS端末である。
【0012】
以下、コード決済により決済が行われる例を参照しながら、商品の代金の決済が行われるまでの流れを説明する。
図1は、店舗端末3が決済用コードを読み取ったことを決済処理装置1で特定したことに応じて決済を行う例を示している。なお、本実施形態において、第1の決済手段としてのコード決済には、金額を支払うための支払手段が決済処理装置1において関連付けられている。本実施形態では、第1の決済手段に関連付けられた支払手段として、プリペイド式の口座で残高が管理され、支払金額が残高から支払われるプリペイド口座支払い手段が関連付けられているものとする。プリペイド口座は、ユーザが保有するプリペイドカードに関連付けられていてもよい。
【0013】
まず、ユーザは、店舗において商品を購入する場合に、決済用コードをユーザ端末2に表示させるための操作を行う。ユーザ端末2は、決済用コードの取得要求と、ユーザIDとを決済処理装置1に送信する(
図1における(1))。
【0014】
決済処理装置1は、ユーザ端末2から、決済用コードの取得要求と、ユーザIDとを受信すると、ユーザIDに関連付けられている第1の決済手段としてのコード決済に関連付けられているユーザの口座が決済可能な状態を示す第1の条件(所定条件)を満たすか否かを判定する。ここで、第1の条件は、口座の残高が所定金額以上であることである。すなわち、決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が所定金額以上であるか否かを判定する(
図1における(2))。
【0015】
決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が所定金額以上であると判定すると、決済用トークンを生成する(
図1における(3))。ここで、所定金額は、例えば0円である。決済用トークンは、コードの取得要求に対してワンタイムに発行され、ユーザが店舗に提示する決済用コードをユーザ端末2が生成する際に用いるデータ列である。決済処理装置1は、生成した決済用トークンと、ユーザIDとを関連付けて記憶媒体に記憶する。決済用トークンには、決済処理装置1を保有している決済事業者を識別する決済事業者情報、決済用トークンの有効期限を示す期限情報の少なくともいずれかが含まれていてもよい。また、決済処理装置1は、決済用トークンを生成した時間と決済用トークンを関連付けて記憶してもよい。
【0016】
決済処理装置1は、生成した決済用トークンをユーザ端末2に送信する(
図1における(4))。決済処理装置1は、決済用トークンを暗号化した後に、暗号化した決済用トークンをユーザ端末2に送信してもよい。
【0017】
ユーザ端末2は、受信した決済用トークンに基づいて決済用コードを生成して表示させる(
図1における(5))。
店舗端末3は、例えば店員の撮像操作により、ユーザ端末2に表示された決済用コードを読み取る(
図1における(6))。店舗端末3は、店舗IDと、ユーザが支払う支払金額を含む決済情報と、読み取った決済用コードが示す決済用トークンとを含む決済要求を決済処理装置1に送信する(
図1における(7))。決済情報には、支払い対象商品に関する情報が含まれていてもよい。また、店舗IDは、または店舗内に設置された個々の端末を識別可能な情報であってもよい。また、店舗IDには、店舗の名称やブランドを識別する店舗ブランド情報が含まれていてもよい。
【0018】
決済処理装置1は、店舗端末3から決済要求を取得すると、受信した決済要求に含まれる店舗IDにより識別される店舗が、コード決済の利用が可能な店舗(コード決済の加盟店)として決済処理装置1が登録しているか否かを判定し、登録されていると判定した場合に、決済用トークンに関連付けられている第1の決済手段としてのコード決済に対応するユーザの口座の残高を特定する。そして、決済処理装置1は、決済要求に含まれる決済用トークンに関連付けられている第1の決済手段としてのコード決済に対応するユーザの口座の残高が、支払金額以上であるかを判定する(
図1における(8))。決済処理装置1は、この判定に用いられる支払金額として、受信した決済要求に含まれる決済情報が示す支払金額を利用する。
【0019】
決済処理装置1は、コード決済に対応するユーザの口座の残高が支払金額以上である場合には、支払金額の決済を行い、口座の残高が支払金額未満の場合には、ユーザに関連付けられた第2の決済手段が第2の条件を満たすかを判定する(
図1における(9))。
【0020】
決済処理装置1は、第2の決済手段が第2の条件を満たすと判定すると、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足することを許容して、コード決済により支払金額の決済を行う(
図1の(10))。ここで決済処理装置1は、決済を実行する際、ユーザの口座への入金は行わない。これにより、ユーザの口座の残高は0円未満となる。なお、本実施形態では、ユーザの口座の残高が0円未満となる例について説明するが、これに限らない。ユーザの口座の残高を0円とするとともに、ユーザの債務の残高を管理するとともに、ユーザに債務があることを示す情報を関連付けるようにしてもよい。
【0021】
その後、ユーザの口座の残高が0円未満の状態で商品の購入を行い、ユーザが決済用コードをユーザ端末2に表示させるための操作を行うと、ユーザ端末2は、決済用コードの取得要求と、ユーザIDとを決済処理装置1に送信する(
図1における(1))。
【0022】
決済処理装置1は、ユーザ端末2から、決済用コードの取得要求と、ユーザIDとを受信すると、ユーザIDに関連付けられている第1の決済手段としてのコード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が所定金額以上であるか否かを判定する(
図1における(2))。ここでは、ユーザの口座の残高は0円未満であることから、決済処理装置1は、決済用トークンを生成せずに、決済用コードが表示できない旨を示すエラーメッセージをユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、受信したエラーメッセージを表示させる。
【0023】
決済処理装置1は、以上のように動作することで、決済時に口座の残高が不足する可能性が高い場合に決済を速やかに中断することができる。これにより、ユーザは現金による支払に切り替えたり、口座に入金を行う等の対応を速やかに行うことができる。
【0024】
また、一般的に行われているオートチャージは、残高が不足するような決済では、自動的に口座に入金されるため、金銭をどの程度消費したのかユーザが把握しにくく、金銭の消費上限を管理しようとするユーザには不向きの場合がある。これに対し、決済処理装置1は、決済時に残高不足が生じても口座に自動的に入金することなく、残高が不足することを許容して、コード決済により支払金額の決済を行い、次回以降の支払時に、決済用コードが表示できない旨を示すエラーメッセージを表示する。これにより、金銭消費の管理を求めるプリペイド式口座を利用するユーザに対して、口座の残高が不足していることを認識させることができる。これにより、ユーザは、金銭消費を管理し易くなる。
以下、決済処理装置1、ユーザ端末2及び店舗端末3の構成の詳細を説明する。
【0025】
[決済処理装置1の機能構成]
図2は、決済処理装置1の機能構成を示す図である。決済処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0026】
通信部11は、インターネット等のネットワークを介してユーザ端末2及び店舗端末3とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0027】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、設定部131、発行要求取得部132、第1判定部133、トークン生成部134、送信部135、決済要求取得部136、第2判定部137、決済部138、及び通知部139として機能させる決済処理用プログラムを記憶する。
【0028】
また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、コード決済に関連付けられている当該ユーザのプリペイド式口座とを関連付けた口座情報を記憶する。また、記憶部12は、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの第2の決済手段を特定するための情報とを関連付けて記憶する。
【0029】
第2の決済手段は、例えば、通信サービスを提供する事業者が携帯電話網の利用に係る通信料金と併せて、各種サービスの利用料金を請求する決済方法であるキャリア決済、又はクレジットカード決済等の後払い決済である。ここで、コード決済の決済要求を受ける事業者と、コード決済とは異なるサービスを提供する事業者(通信サービスを提供する事業者、第2の決済手段を提供する事業者)とは同一の事業者である。
【0030】
また、第2の決済手段を特定するための情報は、例えば、キャリア決済に関する契約を識別する契約ID、クレジットカードのカード番号である。なお、第2の決済手段を特定するための情報は、ユーザにより任意で決済処理装置1に登録されるものであり、ユーザの中には、第2の決済手段を特定するための情報が関連付けられていないユーザが存在するものとする。
【0031】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶された決済処理用プログラムを実行することにより、設定部131、発行要求取得部132、第1判定部133、トークン生成部134、送信部135、決済要求取得部136、第2判定部137、決済部138、及び通知部139として機能する。制御部13の各部の動作の詳細については後述する。
【0032】
[ユーザ端末2の機能構成]
図3は、ユーザ端末2の機能構成を示す図である。ユーザ端末2は、操作部21と、通信部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。制御部25は、操作受付部251と、要求送信部252と、コード生成部253とを有する。
【0033】
操作部21は、ユーザの操作を受け付ける操作デバイスであり、例えば表示部23の表面に設けられたタッチパネルである。操作部21は、ユーザがタッチした位置を示す信号を操作受付部251に通知する。
【0034】
通信部22は、例えば携帯電話網の基地局との間でデータを送受信するための無線通信インターフェースである。通信部22は、決済処理装置1から受信した決済用トークン等をコード生成部253に入力する。
【0035】
表示部23は、各種の情報を表示するディスプレイである。表示部23は、コード生成部253の制御に基づいて、決済用コードを表示する。
【0036】
記憶部24は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。記憶部24は、制御部25を、操作受付部251、要求送信部252、及びコード生成部253として機能させるプログラムを記憶する。また、記憶部24は、決済処理装置1から受信した決済用トークン、及び決済用トークンに基づいて生成された決済用コード等を記憶する。
【0037】
制御部25は、例えばCPUであり、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、操作受付部251、要求送信部252及びコード生成部253として機能する。
【0038】
操作受付部251は、操作部21から入力された信号に基づいて、ユーザの操作内容を特定する。操作受付部251は、特定した操作内容が、決済用コードをユーザ端末2に表示させるための操作である場合に、操作内容を要求送信部252に通知する。要求送信部252は、操作受付部251が、決済用コードをユーザ端末2に表示させるための操作を受け付けた場合に、通信部22を介して、ユーザIDと、決済用コードの取得要求とを決済処理装置1に送信する。
【0039】
コード生成部253は、決済処理装置1が送信した決済用トークンを受信すると、決済用トークンに基づく決済用コードを生成する。コード生成部253は、例えば、予め定められた規則に基づいて決済用コードを生成する。コード生成部253は、生成した決済用コードを表示部23に表示させる。
【0040】
[店舗端末3の機能構成]
図4は、店舗端末3の機能構成を示す図である。店舗端末3は、例えばPOS端末であり、操作部31と、読取部32と、通信部33と、表示部34と、記憶部35と、制御部36とを有する。
【0041】
操作部31は、ユーザの操作を受け付ける操作デバイスであり、例えばユーザが購入する商品を選択するためのボタンや、表示部34の表面に設けられたタッチパネルである。
【0042】
読取部32は、例えば、バーコードリーダ及びカメラであり、ユーザが購入する商品に付されているバーコードや、ユーザ端末2が表示した決済用コードを読み取る。読取部32は、読み取ったバーコード及び決済用コードが示す情報を制御部36に出力する。
【0043】
通信部33は、例えば決済処理装置1との間でデータを送受信するための通信インターフェースである。通信部33は、制御部36の制御に応じて、決済用トークン、決済情報、店舗IDを含む決済要求を決済処理装置1に送信する。
【0044】
表示部34は、各種の情報を表示するディスプレイである。表示部34は、例えば、決済金額を表示する。
【0045】
記憶部35は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部35は、制御部36が実行するプログラムを記憶している。記憶部35は、制御部36を、決済情報生成部361、トークン取得部362、及び決済情報送信部363として機能させるプログラムを記憶する。また、記憶部35は、商品IDと、商品の価格とを関連付けた商品DBを記憶する。
【0046】
制御部36は、例えばCPUであり、記憶部35に記憶されたプログラムを実行することにより、決済情報生成部361、トークン取得部362、及び決済情報送信部363として機能する。
【0047】
決済情報生成部361は、決済対象の一以上の商品を特定し、決済情報を生成する。具体的には、決済情報生成部361は、操作部31において店員が入力した商品ID又は読取部32が商品に付されたバーコードから読み取った商品IDを取得することにより、取得した商品IDの商品を決済対象の商品と特定する。決済情報生成部361は、記憶部35に記憶されている商品DBを参照し、取得した商品IDに関連付けられている商品の価格を特定する。決済情報生成部361は、操作部31において店員が入力した商品ID又は読取部32が商品に付されたバーコードから読み取った商品IDを一以上取得し、当該商品IDから特定した商品の価格を集計する。決済情報生成部361は、操作部31において精算操作を受け付けると、集計した商品の価格を決済金額に決定する。決済情報生成部361は、決定した決済金額を含む決済情報を生成する。決済情報には、商品IDで特定される商品に関する情報、例えば、商品の属性、名称、製造者、販売者、が含まれていてもよい。
【0048】
トークン取得部362は、読取部32が、ユーザ端末2に表示された決済用コードを読み取ることにより、決済用コードから抽出した情報を、決済用トークンとして取得する。
【0049】
決済情報送信部363は、決済情報生成部361が決済情報を生成し、トークン取得部362が決済用トークンを取得すると、通信部33を介して、決済用トークンと、決済情報と、店舗IDとを決済処理装置1に送信する。
【0050】
[制御部13の各部の動作]
続いて、制御部13の各部の動作について説明する。
設定部131は、コード決済の決済用コードをユーザ端末2に表示させるか否かの判定に用いる所定金額を設定する。例えば、設定部131は、コード決済に関するサービスを提供する事業者から所定金額を設定する情報を取得し、当該情報に基づいて所定金額を設定する。設定部131は、所定金額を示す情報を記憶部12に記憶させる。
【0051】
なお、設定部131は、予め定められた金額を上限として所定金額を設定してもよい。このようにすることで、決済処理装置1は、口座の残高が支払金額を超えているにもかかわらず、決済コードが表示できなくなることを抑制することができる。
【0052】
また、所定金額は、複数のユーザにおいて共通であるものとするが、これに限らず、複数のユーザのそれぞれで異なっていてもよい。この場合、設定部131は、通信部11を介して、ユーザ端末2から、ユーザIDと、所定金額を設定する情報とを取得し、当該情報に基づいて所定金額を設定してもよい。そして、設定部131は、ユーザIDと、所定金額を設定する情報とを取得すると、ユーザIDと、所定金額を示す情報とを関連付けて記憶部12に記憶させるようにしてもよい。この場合、設定部131は、所定金額の設定を行っていないユーザに対応する所定金額を、コード決済に関するサービスを提供する事業者が設定した所定金額としてもよい。
【0053】
発行要求取得部132は、コード決済に関連して決済用コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザIDをユーザ端末2から取得する。具体的には、発行要求取得部132は、ユーザ端末2から、ユーザIDを含む決済用コードの発行要求を取得することにより、ユーザIDを取得する。
【0054】
第1判定部133は、発行要求取得部132が取得したユーザIDに対応するユーザのコード決済に関連付けられている口座が決済可能な状態を示す第1の条件を満たすか否かを判定する。第1の条件は、口座の残高が、設定部131が設定した所定金額以上であることである。第1判定部133は、発行要求取得部132が取得したユーザIDに対応するユーザのコード決済に関連付けられている口座の残高が、設定部131が設定した所定金額以上か否かを判定する。
【0055】
具体的には、まず、第1判定部133は、発行要求取得部132が取得したユーザIDに関連付けられて記憶部12に記憶されているユーザの口座の残高を特定する。また、第1判定部133は、発行要求取得部132が取得したユーザIDに対応する所定金額を特定する。例えば、第1判定部133は、発行要求取得部132が取得したユーザIDに関連付けられて所定金額を示す情報が記憶部12に記憶されているか否かを判定する。第1判定部133は、ユーザIDに関連付けられて所定金額を示す情報が記憶部12に記憶されている場合、当該情報に基づいて所定金額を特定する。第1判定部133は、ユーザIDに関連付けられて所定金額を示す情報が記憶部12に記憶されていない場合、コード決済に関するサービスを提供する事業者が設定した所定金額を特定する。そして、第1判定部133は、特定した口座の残高が、特定した所定金額以上であるか否かを判定する。
【0056】
トークン生成部134は、ユーザの口座が第1の条件を満たさないと第1判定部133が判定した場合に、ユーザ端末2に表示されるユーザに対応するコードに関する決済用トークンを生成せず、ユーザの口座が第1の条件を満たすと第1判定部133が判定した場合に、決済用トークンを生成する。具体的には、トークン生成部134は、ユーザの口座の残高が所定金額未満と第1判定部133が判定した場合に、ユーザ端末2にユーザに対応する決済用コードを表示させず、所定金額以上と判定された場合に、ユーザ端末2にユーザに対応する決済用コードを表示させる。また、トークン生成部134及び送信部135は、通知部として機能し、ユーザの口座の残高が所定金額未満と第1判定部133が判定した場合に、残高が不足していることをユーザに通知する。
【0057】
より具体的には、まず、トークン生成部134は、ユーザの口座の残高が所定金額以上と判定された場合に、決済用コードを生成するための決済用トークンを生成する。そして、トークン生成部134は、生成した決済用トークンと、ユーザIDとを関連付けて記憶部12に記憶させる。送信部135は、トークン生成部134が決済用トークンを生成すると、当該決済用トークンを、決済用コードの発行要求を送信したユーザ端末2に送信し、ユーザ端末2に決済用コードを表示させる。
【0058】
また、トークン生成部134は、ユーザの口座の残高が所定金額未満と判定された場合に、残高が不足していることを示す残高不足情報を生成する。残高不足情報には、現在の口座の残高と、残高が不足していることにより決済用コードを表示しないことを示すメッセージとが含まれている。
【0059】
送信部135は、トークン生成部134が残高不足情報を生成すると、当該残高不足情報を決済用コードの発行要求を送信したユーザ端末2に送信することにより、ユーザ端末2に決済用コードを表示させずに、残高不足情報を表示させる。このようにすることで、ユーザは、残高が不足していることにより決済用コードが表示されないことを認識し、現金等の他の決済手段により決済を行ったり、口座に入金したりする等の対応をとることができる。
【0060】
なお、トークン生成部134及び送信部135は、ユーザの口座の残高が所定金額未満と第1判定部133が判定した場合に、残高が不足していることをユーザに通知したが、これに限らない。トークン生成部134及び送信部135は、ユーザの口座の残高が所定金額未満と第1判定部133が判定した場合に、口座への入金を促す情報をユーザに通知してもよい。この場合、トークン生成部134は、残高不足情報に口座への入金を促す情報を含め、送信部135は、当該残高不足情報をユーザ端末2に送信する。
【0061】
また、トークン生成部134及び送信部135は、ユーザの口座の残高が所定金額未満と第1判定部133が判定した場合に、ユーザ端末2にユーザに対応する決済用コードを表示させないようにしたが、これに限らない。トークン生成部134及び送信部135は、ユーザが、口座の残高が所定金額よりも低い設定金額となった場合に当該口座に自動的に入金を行うように設定がされているときには、ユーザ端末2にユーザに対応する決済用コードを表示させるようにしてもよい。
【0062】
例えば、ユーザが、所定金額を2000円に設定しているとともに、口座の残高が1000円未満となった場合に自動的に入金を行うオートチャージの設定を行っている場合、トークン生成部134は、口座の残高が所定金額よりも低い場合であっても、決済用トークンを生成する。そして、送信部135は、トークン生成部134が決済用トークンを生成すると、当該決済用トークンをユーザ端末2に送信して、決済用コードを表示させる。このようにすることで、決済処理装置1は、ユーザがオートチャージを設定している場合に、オートチャージにより残高の不足が解消される可能性が高いにもかかわらず、決済用コードが表示されずコード決済ができなくなることを防止することができる。
【0063】
決済要求取得部136は、決済用トークンに基づいてユーザ端末2が表示した決済用コードを読み取った店舗端末3から、店舗IDと、ユーザが支払う支払金額を含む決済情報と、決済用コードが示す決済用トークンとを含む決済要求であって、第1の決済手段としてのコード決済に対応する決済要求を取得する。
【0064】
第2判定部137は、決済要求に含まれる決済用トークンに関連付けられて記憶部12に記憶されている、コード決済に対応するユーザの口座の残高が支払金額よりも少ないか否かを判定する。具体的には、第2判定部137は、決済要求取得部136が取得した決済要求に含まれる店舗IDが、コード決済の加盟店の店舗IDとして登録されているか否かを判定する。例えば、記憶部12には、コード決済の利用な可能な店舗、すなわち、コード決済の加盟店の店舗IDが記憶されている。第2判定部137は、記憶部12を参照し、決済要求に含まれる店舗IDがコード決済の加盟店の店舗IDとして登録されているか否かを判定する。第2判定部137は、加盟店の店舗IDとして登録されていると判定した場合に、決済要求に含まれる決済用トークンに関連付けられて記憶部12に記憶されている、コード決済に対応するユーザの口座の残高を特定する。そして、第2判定部137は、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、ユーザに関連付けられた第2の決済手段が第2の条件を満たすか否かを判定する。
【0065】
第2の条件は、例えば、支払金額とユーザの口座の残高との差額を第2の決済手段により決済可能であることである。すなわち、第2判定部137は、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、第2の決済手段の利用可否を判定する判定装置に、決済枠の割当要求(オーソリの要求)を行う。判定装置は、決済枠の割当要求を受け付けると、第2の決済手段の有効性や利用限度額に到達しないか等の判定を行い、決済枠の割当が可能と判定すると、決済枠の割当要求の承認(オーソリの承認)を示す承認情報を決済処理装置1に送信する。第2判定部137は、判定装置から承認情報を取得したか否かを判定することにより、ユーザに関連付けられた第2の決済手段により、支払金額とユーザの口座の残高との差額を決済可能であるか否かを判定する。
【0066】
なお、第2の条件は、支払金額とユーザの口座の残高との差額を第2の決済手段により決済可能であることとしたが、これに限らない。第2の条件は、ユーザに第2の決済手段が関連付けられていることであってもよい。
【0067】
決済部138は、決済要求に基づいて支払金額の決済を行う。具体的には、決済部138は、ユーザの口座の残高が支払金額以上である場合に、コード決済に対応するユーザの口座の残高から、決済要求に含まれる決済情報が示す支払金額を減算して決済を行う。
【0068】
また、決済部138は、ユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、第2の決済手段が第2の条件を満たすと第2判定部137が判定すると、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足することを許容して、コード決済により支払金額の決済を行う。
【0069】
具体的には、決済部138は、第2判定部137が判定装置から決済枠の割当要求の承認(オーソリの承認)を示す承認情報を取得すると、決済要求取得部136が取得した決済要求に含まれる決済用トークンに関連付けられて記憶部12に記憶されているユーザIDのユーザの口座の残高から、決済要求に含まれる決済情報が示す支払金額を減算する。口座の残高は、支払金額よりも少ないことから、支払金額の減算後の口座の残高は0円よりも少なくなる。また、決済部138は、決済処理装置1が、当該判定装置から、決済枠の割当要求の承認を取得したことに応じて支払金額の減算を行うので、コード決済を運営する事業者は、割当が行われた決済枠を担保として、ユーザの口座の残高が不足することを許容することができる。
【0070】
その後、決済部138は、決済要求に含まれている店舗IDで特定される店舗の口座に支払金額を入金する処理を実行する。ここで、決済部138は、支払金額から、決済処理装置1における決済手数料を差し引いた金額を、店舗の口座に入金してもよい。
【0071】
通知部139は、決済金額の決済が完了した場合、決済が完了したことを示す決済完了情報を店舗端末3に通知する。また、通知部139は、決済金額の決済が完了した場合、支払いが完了したことを示す支払完了情報をユーザ端末2に通知する。
【0072】
通知部139は、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足している場合、決済部138により支払金額の決済が行われた後に、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足していることを示す情報を含む支払完了情報をユーザに通知する。例えば、通知部139は、決済用トークンの送信元のユーザ端末2に、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足していることを示す情報を含む支払完了情報を送信することにより、当該情報をユーザに通知する。
【0073】
通知部139は、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が支払金額よりも少ない場合に、ユーザに関連付けられた第2の決済手段により、支払金額とユーザの口座の残高との差額を決済可能と判定されると、第1の決済手段に対応する支払手段として第2の決済手段を設定することを促す情報をユーザに通知してもよい。このようにすることで、ユーザは、第1の決済手段に対応する支払手段を決済可能な決済手段の支払手段に切り替えて、決済を滞りなく進めることができる。
【0074】
通知部139は、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足していることを示す情報として、例えば、支払金額の決済が行われる前の残高と、支払金額との差額、すなわち、支払金額の支払いを行う場合における不足額をユーザに通知する。また、通知部139は、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足していることを示す情報とともに、コード決済に関連付けられているユーザの口座への入金を促す情報をユーザに通知する。このようにすることで、ユーザは、ユーザの口座の残高が不足していること及び不足額を認識し、口座への入金を行うことができる。
【0075】
なお、決済部138は、第2の決済手段に、支払金額を減算する前の残高と支払金額との差額に対応する決済枠の割当を要求した後に、コード決済に関連付けられているユーザの口座に、当該残高と支払金額との差額以上の金額が入金されると、第2の決済手段に、決済枠の割当の取消を要求する。ここで、金額の入金は、商品購入時の支払い対価として利用可能なポイントから換算された金額の入金であってもよい。
【0076】
また、決済部138は、第2の決済手段に、支払金額を減算する前の残高と支払金額との差額に対応する決済枠の割当を要求した後に、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が所定期間にわたって不足した場合、第2の決済手段に、決済枠に対応する金額を請求する。この場合、決済部138は、第2の決済手段が支払手段とされたユーザが利用するサービスの利用額の請求と合わせて、決済枠に対応する金額をユーザに請求するとともに、口座の残高を0円とすることにより、口座の残高の不足分を解消させる。
【0077】
ここで、通知部139は、当該サービスの利用額の請求と合わせて、決済枠に対応する金額がユーザに請求されたことを、ユーザに通知するようにしてもよい。また、通知部139は、決済枠に対応する金額がユーザに請求されたことに伴い、口座残高の不足状態が解消されたことをユーザに通知するようにしてもよい。
【0078】
図5は、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足しているときの口座残高、支払金額、第2の決済手段の決済枠、口座への入金額、第2の決済手段の請求額の関係を示す図である。
図5(a)は、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足してから所定期間内に口座への入金が行われた例を示し、
図5(b)は、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足してから所定期間内に口座への入金が行われなかった例を示している。なお、
図5に示される金額の単位は円であるものとする。
【0079】
例えば、
図5(a)、(b)に示すように、ユーザが商品を購入する前のコード決済におけるユーザの口座の残高が300円であったものとし、商品の購入時の支払金額が700円であったものとする。この場合、決済部138は、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足することを許容して、コード決済により支払金額の決済を行うとともに、第2の決済手段に、支払金額を減算する前の残高と支払金額との差額に対応する金額の決済枠の割当を要求する。これにより、口座の残高が-400円になるとともに、決済枠として、400円が割り当てられる。
【0080】
その後、
図5(a)に示すように、所定期間内にコード決済におけるユーザの口座に1000円の入金があると、口座の残高は600円となり、不足状態が解消されるとともに、決済枠の割当の取消が行われ、割り当てられている決済枠の金額は0円となる。
【0081】
他方、
図5(b)に示すように、所定期間内にコード決済におけるユーザの口座に入金がなかった場合、口座の残高における不足額分(400円)が第2の決済手段に請求される。また、第2の決済手段に請求されたことに応じて、口座の残高は、0円に変更される。
【0082】
[決済処理装置1における処理の流れ]
続いて、決済処理装置1における処理の流れについて説明する。まず、決済処理装置1が決済を行うまでの処理の流れについて説明する。
図6は、決済処理装置1が決済を行うまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
まず、発行要求取得部132は、ユーザ端末2から、決済用コードの発行要求を取得する(S1)。発行要求には、ユーザ端末2のユーザのユーザIDが含まれている。
続いて、第1判定部133は、発行要求取得部132が取得した発行要求に含まれているユーザIDに対応するユーザのコード決済に関連付けられている口座の残高が、設定部131が設定した所定金額以上か否かを判定する(S2)。第1判定部133は、口座の残高が所定金額以上と判定すると、S3に処理を移し、口座の残高が所定金額未満と判定すると、S6に処理を移す。
【0084】
S3において、トークン生成部134は、決済用トークンを生成する。そして、トークン生成部134は、生成した決済用トークンと、発行要求に含まれているユーザIDとを関連付けて記憶部12に記憶させる(S4)。
送信部135は、決済用コードの発行要求を送信したユーザ端末2に決済用トークンを送信する(S5)。これにより、ユーザ端末2において決済用コードが表示される。
【0085】
S6において、トークン生成部134は、ユーザの口座の残高が不足していることを示す残高不足情報を生成する。
送信部135は、決済用コードの発行要求を送信したユーザ端末2に残高不足情報を送信する(S7)。
【0086】
S5において決済用トークンが送信された後、決済要求取得部136は、決済情報と、店舗IDと、決済用トークンとを含む決済要求を店舗端末3から取得したか否かを判定する(S8)。決済要求取得部136は、決済要求を取得したと判定すると、S9に処理を移し、決済要求を取得していないと判定すると、S8を再実行する。
【0087】
S9において、第2判定部137は、決済要求に含まれている決済用トークンに関連付けられているユーザIDのユーザのコード決済における口座の残高が支払金額以上か否かを判定する。第2判定部137は、口座の残高が支払金額以上と判定すると、S11に処理を移し、口座の残高が支払金額未満と判定すると、S10に処理を移す。
【0088】
S10において、第2判定部137は、第2の決済手段の利用可否を判定する判定装置に、支払金額とユーザの口座の残高との差額に対応する決済枠の割当を要求することにより、ユーザに関連付けられた第2の決済手段により当該差額を決済可能であるか否かを判定する。第2判定部137は、第2の決済手段により差額を決済可能であると判定すると、S11に処理を移し、第2の決済手段により差額を決済可能ではないと判定すると、S14に処理を移す。
【0089】
S11において、決済部138は、コード決済により支払金額の決済を行う。ここで、決済部138は、S9において、コード決済に関連付けられている口座の残高が支払金額よりも少ないと判定された場合には、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足することを許容して、口座の残高から支払金額を減算する。
続いて、決済部138は、決済要求に含まれている店舗IDで特定される店舗の口座に支払金額を入金する処理を実行する(S12)。
【0090】
続いて、通知部139は、支払いが完了したことを示す支払完了情報をユーザ端末2に通知する(S13)。ここで、通知部139は、コード決済に対応するユーザの口座の残高が不足している場合には、当該口座の残高が不足していることを示す情報を含む支払完了情報をユーザ端末2に通知する。
【0091】
一方、S10において、第2の決済手段により差額を決済可能ではないと判定された場合、通知部139は、コード決済により支払金額の決済が行えない旨を示すエラー情報をユーザ端末2に通知する(S14)。
【0092】
続いて、決済処理装置1における、コード決済に関連付けられている口座の残高が不足状態となっている場合の処理の流れについて説明する。
図7は、決済処理装置1における、コード決済に関連付けられている口座の残高が不足状態となっている場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、所定時間(例えば1日)おきに実行されるものとする。
【0093】
決済部138は、残高が不足状態となっている口座にチャージが行われることにより、当該口座の残高の不足状態が解消したか否かを判定する(S21)。決済部138は、不足状態が解消したと判定すると、S22に処理を移し、不足状態が解消されていないと判定すると、S23に処理を移す。
【0094】
S22において、決済部138は、
図6のS10において割当が行われた決済枠について、割当の取消を第2の決済手段に要求する。
S23において、決済部138は、コード決済に関連付けられている口座の残高が所定期間にわたって不足しているか否かを判定する。決済部138は、口座の残高が所定期間にわたって不足していると判定すると、S24に処理を移し、口座の残高が所定期間にわたって不足していないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0095】
S24において、決済部138は、第2の決済手段に、
図6のS10において割当が行われた決済枠に対応する金額を請求する。
続いて、決済部138は、口座の残高の不足分を解消させる(S25)。
【0096】
[変形例1]
以上の説明においては、ユーザ端末2が決済用コードを表示し、店舗端末3がユーザ端末2に表示された決済用コードを読み取り、決済要求を決済処理装置1に送信したが、これに限らない。例えば、店舗端末3が決済用コードを表示し、ユーザ端末2が決済用コードを読み取り、決済要求を決済処理装置1に送信してもよい。
【0097】
図8は、ユーザ端末2が決済要求を決済処理装置1に送信する場合の処理の流れを説明する図である。まず、店舗における店員は、ユーザが店舗において会計を行う場合に、店舗端末3においてユーザが購入する商品に付されたバーコードを読み取り、ユーザの支払金額を示す決済情報を店舗端末3に生成させる。また、店員は、店舗端末3において、決済用コードを店舗端末3に表示させるための操作を行う。店舗端末3は、決済用コードの取得要求と、決済情報と、店舗IDとを決済処理装置1に送信する(
図8における(1))。
【0098】
決済処理装置1は、店舗端末3から、決済用コードの取得要求と、決済情報と、店舗IDとを受信すると、決済用トークンを生成する。決済処理装置1は、生成した決済用トークンと、店舗IDとを関連付けて記憶媒体に記憶する。決済処理装置1は、生成した決済用トークンを店舗端末3に送信する(
図8における(2))。
【0099】
店舗端末3は、受信した決済用トークンに基づいて決済用コードを生成して表示させる(
図8における(3))。
ユーザ端末2は、例えばユーザの操作により、店舗端末3に表示された決済用コードを読み取る(
図8における(4))。ユーザ端末2は、ユーザIDと、読み取った決済用コードが示す決済用トークンとを含む決済要求を決済処理装置1に送信する(
図8における(5))。
【0100】
決済処理装置1は、ユーザ端末2から決済要求を取得すると、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が、所定金額以上であるかを判定する(
図8における(6))。決済処理装置1は、ユーザの口座の残高が、所定金額未満である場合には、上述したように、残高不足情報を生成してユーザ端末2に通知する。ここで、決済処理装置1は、口座への入金を促す情報をユーザに通知してもよい。このようにすることで、決済処理装置1は、口座の残高が所定金額未満である場合にコード決済が行われ、口座の残高の不足額が増加することを防止することができる。
【0101】
決済処理装置1は、口座の残高が、所定金額以上であると判定した場合、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が、支払金額以上であるかを判定する(
図8における(7))。
【0102】
決済処理装置1は、コード決済に関連付けられているユーザの口座の残高が支払金額以上である場合には、支払金額の決済を行い、口座の残高が支払金額未満の場合には、ユーザに関連付けられた第2の決済手段が第2の条件を満たすかを判定する(
図8における(8))。
【0103】
決済処理装置1は、第2の決済手段が第2の条件を満たすと判定すると、コード決済におけるユーザの口座の残高が不足することを許容して、コード決済により支払金額の決済を行う(
図8の(9))。
【0104】
[変形例2]
また、上述の説明では、第1の決済手段は、コード決済であることとしたが、これに限らない。第1の決済手段は、決済処理装置1等のサーバ側で残高を管理するプリペイド式の決済手段、又は銀行口座から支払金額を引き落とす方式(デビット方式)の決済手段であってもよい。この場合、決済部138は、第1の決済手段に対応する口座の残高が不足することを許容して、第1の決済手段により支払金額の決済を行ってもよい。
【0105】
[変形例3]
また、上述の説明では、所定金額が0円であり、決済処理装置1が、ユーザの口座の残高が0円未満であると判定した場合に、決済用トークンを生成せずに、決済用コードが表示できない旨を示すエラーメッセージをユーザ端末2に送信したが、これに限らない。所定金額は、1円以上の金額、例えば、10円であってもよい。10円未満で購入できる商品は、限られていることから、ユーザの口座の残高が10円未満であると判定した場合に、決済用トークンを生成しないようにすることにより、決済時に口座の残高が不足する可能性が高いものとして決済を速やかに中断することができる。
【0106】
[決済システムSによる効果]
以上説明したように、決済処理装置1は、コード決済に関連して決済用コードの発行要求を行ったユーザを識別するユーザIDをユーザ端末2から取得すると、当該ユーザIDに対応するユーザのコード決済に関連付けられている口座が決済可能な状態を示す所定条件を満たすか否かを判定する。決済処理装置1は、口座の所定条件を満たさないと判定した場合に、ユーザ端末2にユーザに対応する決済用コードに関する決済用トークンを生成せず、所定条件を満たすと判定した場合に決済用トークンを生成する。このようにすることで、決済処理装置1は、決済時に口座の残高が不足する可能性が高い場合に決済を速やかに中断することができる。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0108】
1 決済処理装置
2 ユーザ端末
3 店舗端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
21 操作部
22 通信部
23 表示部
24 記憶部
25 制御部
31 操作部
32 読取部
33 通信部
34 表示部
35 記憶部
36 制御部
131 設定部
132 発行要求取得部
133 第1判定部
134 トークン生成部
135 送信部
136 決済要求取得部
137 第2判定部
138 決済部
139 通知部
251 操作受付部
252 要求送信部
253 コード生成部
361 決済情報生成部
362 トークン取得部
363 決済情報送信部