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特許7022124回転工具の動作条件設定支援方法、同動作条件設定支援方法を実現させるプログラム並びに同プログラムを備える自動ねじ締め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】回転工具の動作条件設定支援方法、同動作条件設定支援方法を実現させるプログラム並びに同プログラムを備える自動ねじ締め装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20220209BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B23P19/06 E
B25B23/14 620E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019521979
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013735
(87)【国際公開番号】W WO2018220988
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017108669
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】山下 恵梨佳
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-334258(JP,A)
【文献】特開平08-197346(JP,A)
【文献】特開平07-276160(JP,A)
【文献】特開平07-227729(JP,A)
【文献】特開平08-112790(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104511740(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/06
B25B 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループのほかに、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループ、および/または、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、動作モードのほかに、締付方式、および/または、最終締付動作のうち少なくとも一つの選択を受け付けると、あらかじめ設定される無効な組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合わせに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせに係る動作モードのほか、締付方式、および/または、最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を表示することを特徴とする回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項2】
締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループと、前記締付方式に係る付加動作からいずれか一つを選択する付加動作選択グループと、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作のうち少なくとも二つの選択を受け付けると、あらかじめ設定される禁止組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合せに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせに係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を表示することを特徴とする回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項3】
前記有効な組み合わせに係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作に対する設定項目は、設定可能な設定項目、設定不可の設定項目を有し、前記必須設定項目とともに設定画面上に識別表示されることを特徴とする請求項2に記載の回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項4】
締付条件を、少なくとも複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、これら選択グループからそれぞれ標準となる動作モードおよび締付方式を選択可能として、標準となる動作モードおよび締付方式が選択されると、最終締付トルクの設定画面を表示し、最終締付トルクが入力されるとあらかじめ設定されて記憶部に記憶された駆動モータの持つ回転トルク毎の出力軸回転数-衝撃トルク特性から最終締付トルク以下の衝撃トルクが得られる出力軸回転数を仮締め回転数とし、これを前記最終締付トルクとともに標準となる動作モードおよび締付方法に係る設定項目の設定値としてこれを表示することを特徴とする回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項5】
締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式、前記締付方式に係る付加動作および複数の最終締付動作を任意に組み合わせてなる複数の締付方法を選択する締付方法選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、各選択グループから動作モード、締付方法の選択を受け付ける毎にあらかじめ設定されるこれらの禁止組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合わせに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせから動作コードを作成するとともに、当該動作コードに係る動作モード、締付方法に係る締付方式、付加動作および最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を動作コードとともに表示することを特徴とする回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項6】
前記締付方法選択グループは、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループと、前記締付方式に係る付加動作からいずれか一つを選択する付加動作選択グループと、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループとに分類されることを特徴とする請求項5に記載の回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項7】
前記設定画面は、標準となる動作モードおよび締付方式に対応する締付トルク波形に関する設定画面を有することを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載の回転工具の動作条件設定支援方法。
【請求項8】
コンピュータに予め記憶されまたは読み込まれ、当該コンピュータを通じた入力または選択を受け付けることにより、当該コンピュータに請求項1~7の少なくとも何れかに記載の動作条件設定支援方法を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを読み込んだコンピュータと、回転工具を駆動する駆動手段とを具備し、コンピュータを通じて設定された動作条件に基づいて、前記駆動手段を駆動する制御を行うことを特徴とする自動ねじ締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ、ボルト、ナット等の部品を所定部材に所定の締付トルクで締結するような回転工具の動作条件設定支援方法、同動作条件設定支援方法を実現させるプログラム並びに同プログラムを備える自動ねじ締め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ、ボルト、ナット等の部品を使用して複数の部材を締結する際には、過不足のない適正な締付トルクでの締結が得られるように締付トルクを制御する締付方法が多用されている。この種の締付方法にあっては、特開平7-276160号公報に記載の自動部品締結機(特許文献1参照)や、図2に示すような回転工具1(基本構成が実施形態の回転工具と同一のため、当該回転工具に係る図を参照)が使用されている(以下、回転工具1について説明する)。この回転工具1は、前述の部品に嵌合する嵌合部を持つ駆動ビット(図示せず)に回転を伝達する駆動軸1aと、この駆動軸1aに回転を与える駆動モータ2と、駆動モータ2の回転数を検出するパルスエンコーダ3と、前記駆動軸1aに加わる締付トルクを検出するトルクセンサ4とを備えている。また、この回転工具1には駆動手段5が接続されており、この駆動手段5は部品それぞれに応じて適正な締付方法で締付けが行えるように複数の締付方法を備え、かつ当該締付方法に応じた各種設定値の設定を行うことができるように構成されている。この駆動手段5は、演算制御部6と、記憶部7と、表示部8を有する操作部9と、入出力部10とを備え、この入出力部10の入力端には前記回転工具1内のパルスエンコーダ3の出力信号およびトルクセンサ4のトルク信号が入力するように接続されている。また、前記入出力部10の出力端にはモータ駆動手段11が接続されており、演算制御部6からの指令値に応じて前記駆動モータ2を駆動するように構成されている。
【0003】
前記記憶部7には、部品の種類に応じた締付けに係るすべての設定値を記憶するメモリ-シート用の記憶領域が配置されている。前記設定値は、部品の種類、締付方式、付加動作、最終締付動作(以下、これら4要素を総称してコード要素という)でなる動作コード(実施形態の動作コードと同一定義のため、図3を参照)毎に配置されている。また、前記記憶部7には前記回転工具1の特性に係る設定値を備えるパラメータシート用の記憶領域が配置されている。さらに、前記記憶部7には操作部9または後記パーソナルコンピュータ(以下、PCという)から送られる設定値と入出力部10に係るその他の情報とを一時記憶する一時記憶領域が配置されている。しかも、前記記憶部7には前述の動作コードに対応する動作プログラムを記憶するプログラム記憶領域が配置されている。
【0004】
前記演算制御部6は、PCまたは外部から入出力部10に入力する締付開始信号により駆動手段5内の記憶部7に一時記憶される動作コードを読み取るとともに、動作コードに応じた動作プログラムを記憶部7から順次呼出し、これを入出力部10に送り、モータ駆動手段11に指令値を与えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-276160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記回転工具1の駆動手段5にあっては、部品の種類等の変更があって、コード要素を変更する際には、当該変更に応じて記憶部7内のメモリーシートに記憶された設定項目の設定値を変更する場合がある。その際、操作部9から順次設定の必要な設定項目の設定値を呼出したり、通信ソフトが内蔵されたPCを通信用ケーブルまたは無線LAN(共に、図示せず)を介して入出力部10に接続して記憶部7に記憶されているメモリ-シートから部品の種類等の変更に応じた設定項目を呼出したりして、設定値を変更する設定方法が用いられている。これらいずれの設定方法であっても、前述の動作コード説明図に基づき、変更内容に応じてコード要素を変更して動作コードを作成する必要があるが、コード要素の中には同時組み合わせのできないものがある。そのため、これを知らずにコード要素を選択して動作コードを作成し、これに対応する設定項目の設定値を設定すると、回転工具1を駆動させる段階になって回転工具1が駆動せず、この時に初めて動作コードの設定が間違っていることが判明している。これにより、作業者は再度動作コードを設定してこれに係る設定項目を再選択し、当該設定項目の設定値を新たに入力して締付条件を変更しなければならず、手戻りに時間を要し、締付作業の立ち上げ時間が長くなるという問題が発生している。
【0007】
また、動作コードを作成できても、この動作コードに対応して、動作コード番号―設定項目一覧表並びにメモリーシート説明図(共に、実施形態の動作コード番号―設定項目一覧表並びにメモリーシート説明図と同一のため、図18および図19を参照)から必要な設定項目を選択し、当該設定項目の設定値を設定する必要がある。この時、選択される各設定項目の標準値が不明であるため、適切な値を設定することができず、熟知する作業者以外は設定項目の設定作業を行うことができないという問題が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するために発明されたもので、締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループのほかに、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループ、および/または、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、動作モードのほかに、締付方式、および/または、最終締付動作のうち少なくとも一つの選択を受け付けると、あらかじめ設定される無効な組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合わせに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせに係る動作モードのほか、締付方式、および/または、最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を表示することを特徴としている。この構成によれば、部品の種類等の変更があって、動作モードと、少なくとも締付方式、最終締付動作の一つとを変更する際には、操作部から順次設定の必要な設定項目を呼出してその設定値を設定したり、通信ソフトが内蔵されるPCを通信用ケーブルまたは無線LANを介して入出力部に接続し、記憶部に記憶されているメモリ-シートから部品の種類等の変更に係る設定項目の全設定値を呼出したりする設定方法が用いられている。これらいずれの設定方法であっても、変更内容に応じて動作コードを作成する必要があるが、動作モード、締付方式および最終締付動作の中で同時組み合わせができない禁止組み合わせについては、その作成時にこの禁止組み合わせと同一か否かが判定され、同一のものは排除される。そのため、動作モード、締付方式および最終締付動作の中で同時組み合わせができない禁止組み合わせを知らなくても、有効な動作コードを作成してこれに対応する設定項目の設定値を呼出してこれらを設定することができる。これにより、動作コード作成段階で動作コードの設定が間違っていることを知ることができ、回転工具を駆動した後に作業者は動作コードを再作成して、当該動作コードに係る設定項目の設定値を再設定する必要がなくなり、手戻りに時間を要せず、締付作業の立ち上げ時間を短縮することができる。
【0009】
また、本発明は締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループと、前記締付方式に係る付加動作からいずれか一つを選択する付加動作選択グループと、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作のうち少なくとも二つの選択を受け付けると、あらかじめ設定される禁止組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合せに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせに係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を表示することを特徴としている。この構成によれば、部品の種類等の変更があって、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作を変更する際には、動作コードを作成する必要があるが、動作モード、締付方式、付加動作および最終締付動作の中で同時組み合わせができない禁止組み合わせについては、その作成時に排除される。そのため、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作の中で同時組み合わせができない禁止組み合わせを知らなくても、有効な動作コードを作成してこれに対応する設定項目の設定値を呼出してこれらを設定することができ、前述と同様の効果が得られる。
【0010】
本発明は、部品の種類等の変更に応じて作業者が行う設定作業を簡単に行えるようにするために、前記有効な組み合わせに係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作に対する設定項目は、設定可能な設定項目、設定不可の設定項目を有し、これらが前記必須設定項目とともに設定画面上に識別表示されることが望ましい。
【0011】
さらに、本発明は締付条件を、少なくとも複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、これら選択グループからそれぞれ標準となる動作モードおよび締付方式を選択可能として、標準となる動作モードおよび締付方式が選択されると、最終締付トルクの設定画面を表示し、最終締付トルクが入力されるとあらかじめ設定されて記憶部に記憶された駆動モータの持つ回転トルク毎の出力軸回転数-衝撃トルク特性から最終締付トルク以下の衝撃トルクが得られる出力軸回転数を仮締め回転数とし、これを前記最終締付トルクとともに標準となる動作モードおよび締付方法に係る設定項目の設定値としてこれを表示することを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、部品の種類等の変更に応じて行う動作条件設定方法を知らない場合には、最終締付トルクを設定するだけで、標準の締付方法で締付作業を行うための必須設定項目に標準の設定値が設定されて、当該締付方法を行うことができ、当該動作条件設定方法を知らない作業者にも最適な回転工具の動作条件設定支援方法を提供することができる。
【0013】
さらにまた、本発明は締付条件を、複数の部品からいずれか一つを選択する動作モード選択グループと、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式、前記締付方式に係る付加動作および複数の最終締付動作を任意に組み合わせてなる複数の締付方法を選択する締付方法選択グループとに分類したデータとして予め記憶部に記憶し、各選択グループから動作モード、締付方法の選択を受け付ける毎にあらかじめ設定されるこれらの禁止組み合わせに関するデータに基づいてこれらの組み合わせに該当する選択を排除する一方で、有効な組み合わせが選択されると、当該組み合わせから動作コードを作成するとともに、当該動作コードに係る動作モード、締付方法に係る締付方式、付加動作および最終締付動作に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されている必須設定項目を抽出してこれらの設定画面を動作コードとともに表示することを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、締付方式、付加動作および最終締付動作を任意に組み合わせて作業者が理解しやすい表現の希望締付方法とすることができる。これにより、部品の種類等の変更に応じて行う回転工具の動作条件設定方法を知らない場合でも、部品の種類と希望締付方法とを選択するだけで、締付作業を行うための必須設定項目の設定値を設定することができ、当該動作条件設定方法を知らない作業者が詳細な設定を行うことができる回転工具の動作条件設定支援方法を提供することができる。
【0015】
この場合、前記締付方法選択グループを、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループと、前記締付方式に係る付加動作からいずれか一つまたは複数を選択する付加動作選択グループと、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループとに分類してもよい。これによっても、同様に回転工具の動作条件設定方法を知らない作業者が詳細な設定を行うことができる。
【0016】
本発明は、部品の種類等の変更に応じて行う回転工具の動作条件設定方法を知らない作業者であっても、部品の種類等の変更にともなう必須設定項目を知って、これを容易に設定できるようにするため、前記設定画面は標準の締付方法に対応する締付トルク波形、または選択された動作コードにより組み合わせられる締付トルク波形に関する設定画面を有することが望ましい。
【0017】
本発明は、回転工具の駆動手段の構造に変更を加えずに安価に動作条件の設定ができるようにするために、コンピュータに予め記憶されまたは読み込まれ、当該コンピュータを通じた入力または選択を受け付けることにより、前述の動作条件設定支援方法を実行させるためのプログラムであることが望ましい。
【0018】
また、本発明は前述のプログラムを読み込んだコンピュータと、回転工具を駆動する駆動手段とを具備し、コンピュータを通じて設定された動作条件に基づいて、前記駆動手段を駆動する制御を行う自動ねじ締め装置であることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明した本発明によれば、部品の種類等の変更に応じて締付方法を変更する際には、部品の種類等に係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作を順次選択したり、最終締付トルクだけを設定したり、希望締付方法を選択したりするだけで、当該変更内容に対応する締付作業を行うための設定作業を行うことができる回転工具の動作条件設定支援方法、同動作条件設定支援方法を実現させるプログラム並びに同プログラムを備える自動ねじ締め装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る回転工具の締付条件を設定する第1の動作条件設定支援方法である標準メモリーシート設定支援方法を説明するフローチャート。
図2】本発明の実施形態に係る回転工具の概略構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施形態に係る動作コードの説明図。
図4】本発明の実施形態に係る動作コードの禁止組み合わせを説明する禁則表。
図5】本発明の実施形態に係る第1の動作条件設定支援方法の設定画面。
図6図4の禁則表を数値化して詳説する説明図。
図7】本発明の実施形態に係る禁則処理の判定例(a),(b)を説明する説明図。
図8】本発明の実施形態に係る動作コード要素対応設定項目一覧表。
図9】本発明の実施形態に係る回転工具の締付条件を設定する第2の動作条件設定支援方法であるらくらくモード設定支援方法を説明するフローチャート。
図10】本発明の実施形態に係る第2の動作条件設定支援方法の設定画面図。
図11】本発明の実施形態に係る回転工具に使用される駆動モータの出力軸回転数-衝撃トルク特性図。
図12】本発明の実施形態に係る回転工具の締付条件を設定する第3の動作条件設定支援方法であるカスタムモード設定支援方法を説明するフローチャート。
図13】本発明の実施形態に係る第3の動作条件設定支援方法の設定画面図。
図14】本発明の実施形態に係る第3の動作条件設定支援方法で使用されるねじ締付方法の選択項目表。
図15】本発明の実施形態に係る第1の動作条件設定支援方法で使用するマスク表。
図16】本発明の実施形態に係る第3の動作条件設定支援方法で使用するねじの締付方法項目番号別動作コード加算排除表。
図17】本発明の実施形態に係る第3の動作条件設定支援方法で使用する動作コード算出表。
図18】本発明の実施形態に係る動作コード番号―設定項目一覧表(抜粋)。
図19図18の動作コード番号―設定項目一覧表を補足する設定項目一覧を示すメモリーシート説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る回転工具の動作設定支援方法を図面に基づき説明する。図2に示すように、1はねじ、ボルト、ナット等の部品を使用して複数の部材(図示せず)を締結する際に、過不足のない適正な締付トルクでの締結が得られるように締付トルクを制御するねじ締め装置Aに利用される回転工具である。この回転工具1の構成については前述の背景技術で説明済であるので、ここでの説明を省略する。また、この回転工具1には、部品それぞれに応じて適正な締付方法で締付けが行えるように複数の締付方法を備える駆動手段5が接続されており、この駆動手段5は当該締付方法に応じた各種設定値の設定を行うことができる構成となっている。この駆動手段5は、CPU、メモリおよびインターフェースからなる通常のマイクロコンピュータユニットをハードリソースとして含むもので、図2に示すように演算制御部6と、記憶部7と、表示部8を有する操作部9と、入出力部10とを備え、この入出力部10の入力端には前記回転工具1内のパルスエンコーダ3の出力信号およびトルクセンサ4のトルク信号が入力するように接続されている。また、前記入出力部10の出力端にはモータ駆動手段11が接続されており、演算制御部6からの指令値に応じて前記駆動モータ2を駆動するように構成されている。
【0022】
前記記憶部7には、締付条件に係るすべての設定値を後述するように分類されたデータとして予め記憶する標準メモリ-シート(以下、メモリーシートという)用および回転工具1の特性に係るパラメータを記憶するパラメータシート用の記憶領域、後記動作コードに対応する動作プログラムを記憶するプログラム記憶領域、後記パーソナルコンピュータ(以下、PCという)から送られる設定値および入出力部10に係るその他の情報を一時記憶する一時記憶領域が配置されている。また、この一時記憶領域には前記トルクセンサ4のトルク信号およびパルスエンコーダ3の出力信号が所定間隔のサンプリング値として記憶されており、後記最終締付トルク設定画面中の波形キー12からの波形表示信号により、これらサンプリング値から締付トルク・回転数波形が作成され、当該設定画面に表示されるように構成されている。
【0023】
前記締付条件に係る設定値は、図3に示すように部品の種類等に対応する動作モード(以下、ねじの種類という)、締付方式、付加動作、最終締付動作(以下、これら4要素を総称してコード要素という)に応じて作成される4桁のデータでなる動作コード毎に記憶されている。すなわち、前記締付条件は、動作コードの各コード要素によって分類されており、動作モード選択グループと、締付方式選択グループと、付加動作選択グループと、最終締付動作選択グループとに分類されている。
【0024】
前記動作モード選択グループは、小ねじ、ナット、ボルトでなる複数の部品と、単純な正転動作・逆転動作と、ユーザプログラム動作とでなる複数の動作に対応する項目番号からいずれか一つを選択する構成となっている。
【0025】
前記締付方式選択グループは、前記動作モードに対して設けられる2段締め、タッピング、増し締め等の複数の締付方式に対応する項目番号からいずれか一つまたは複数を選択する構成となっている。前記締付方式に係る項目番号は、複数個同時に選択されることから、後述の動作コード算出時の加算処理で「タッピング」、「増し締め」が算出されても、これらの項目番号の和に「タッピング+増し締め」の項目番号を割当てておくことにより、動作コードを加算処理で容易に算出することができる。
【0026】
また、前記付加動作選択グループは「付加動作無し」、「同期締付け動作有り」、「センサ入力動作有り」、「波形処理有り」等でなる付加動作に対応する項目番号からいずれか一つまたは複数を選択するように構成されている。
【0027】
さらに、前記最終締付動作選択グループは、「トルク法(チャンネル接続動作無し)」、「角度法(チャンネル接続動作無し)」、「トルク法(チャンネル接続動作有り)」、「角度法(チャンネル接続動作有り)」、「トルク角度法(チャンネル接続動作無し)」、「トルク角度法(チャンネル接続動作有り)」、「トルク法(ストール動作無し+チャンネル接続動作無し)」、「トルク法(ストール動作無し+チャンネル接続動作有り)」でなる複数の最終締付動作に対応する項目番号からいずれか一つを選択するように構成されている。
【0028】
前記表示部8は、4桁のデジタル数字で構成されており、この4桁の数字により、前述の動作コード、締付けに係る設定値、パラメータ、入出力部10の各種情報等を表示可能に構成されている。
【0029】
前記操作部9は、前記メモリーシートおよびパラメータシートに直接設定値を入力する際に、図示はしないが、表示部8の入力桁を選択する移動キー、各桁の値を増減する増減キー、並びにメモリーシ-ト、パラメータシート、プログラム、モニタリング画面等を切り替えるモード切替キー等の操作キーを有している。これら操作キーにより、それぞれ任意のモード、任意の桁、同桁の任意の数値が選択され、記憶部7の記憶領域または一時記憶領域に記憶される動作コード、設定値、パラメータ、プログラム、入出力部10に係る各種情報が呼出される。また、前記操作部9には前記入出力部10に接続される通信コネクタまたは無線LAN機能(共に、図示せず)が配置されており、通信用ケーブルまたは無線LAN(共に、図示せず)を介して通信ソフトを内蔵するPCと前記入出力部10とが接続可能に構成されている。
【0030】
前記演算制御部6は、PCまたは外部から入出力部10に締付開始信号が加わると、記憶部7の一時記憶領域に一時記憶される動作コードを読み取るとともに、動作コードに応じた動作プログラムを記憶部7から順次呼出し、PCを通じて設定される後述の動作条件に基づいて、指令値を入出力部10に送り、表示部8、モータ駆動手段11を駆動する制御を行うように構成されている。
【0031】
また、前記演算制御部6は入出力部10に通信用ケーブルまたは無線LANを介してPCが接続されると、当該PCを通じた入力または選択を受け付けることにより、記憶部7内の動作コード、設定値等のデータを読み出したり、記憶部7内の所定の記憶領域に書き込んだりするように構成されている。
【0032】
前記PCは、本発明に係る第1の回転工具1の動作条件設定支援方法であるメモリーシート設定支援方法、第2の回転工具1の動作条件設定支援方法であるらくらくモード設定支援方法、第3の回転工具1の動作条件設定支援方法であるカスタムモード設定支援方法をPCの記憶部7pのプログラム領域にプログラムおよびデータとして記憶している。
【0033】
以下、先ずは各設定支援方法の手順の概要をフローチャートに沿って説明し、フローチャート中で説明を要する事項については後述する。
【0034】
前記メモリーシート設定支援方法は、図1および図5に示すように、
【0035】
P1)動作コードの入力部13、締付けに係るすべての設定項目の入力部14およびチャンネル番号選択部15並びにらくらくモード選択キー(初心者キー)16を備える回転工具1の動作条件設定画面を表示する。
【0036】
P2)チャンネル番号の選択および動作コードの入力を待つ。
【0037】
P3)チャンネル番号が選択されるとともに動作コードが入力されると、選択されたチャンネル番号(以下、選択チャンネル番号という)とともに動作コードを一時記憶する。
【0038】
P4)動作コード中のコード要素の組み合わせを無効な組み合わせに関するデータでなる禁則ルール1~9(図4参照)中の禁止組み合わせか否かを判断し、これが禁止組み合せの時、前記動作条件設定画面に動作コードの禁則表示・同動作コードの再入力表示をして、P2に戻る。
【0039】
P5)動作コード中のコード要素の組み合わせが禁則ルール1~9の禁止組み合わせでなく、有効な組み合わせが選択されている時、同動作コードを選択チャンネル番号に対応させてメモリーシートに記憶するとともに、これを動作条件設定画面中の選択チャンネル番号に対応して表示する。
【0040】
P6)動作コード要素対応設定項目一覧表(図8参照)から有効な組み合わせが選択されている動作コード中のコード要素(動作モード・締付方法・付加動作・最終締付動作)に対しこれらに関連づけて記憶部に記憶されているすべての必須設定項目(同表中「2」として記憶)、設定可能項目(同表中「1」として記憶)、設定不要項目(同表中「0」として記憶)を抽出する。
【0041】
P7)動作条件設定画面中の設定項目を必須設定項目、設定可能項目、設定不要項目に分けて、これらを識別(白色、斜線、薄黒)して表示する。
【0042】
P8)必須設定項目または設定可能項目の入力を待つ。
【0043】
P9)入力された設定項目の設定値をメモリーシートに記憶する。
【0044】
P10)全必須設定項目が入力されたか否かを判断し、全必須設定項目が入力されてない時、P8)に戻る。
【0045】
P11)エンド。
【0046】
上記P1~P11の動作を実現させるように前記回転工具1の駆動手段5と通信して、PCを通じた入力または選択を受け付けるプログラムで構成されている。
【0047】
前記らくらくモード設定支援方法は、図9および図10に示すように、
【0048】
Q1)動作モード選択グループから、標準動作モードとして「小ねじ」(対応するデータ「0」)を選択する。
【0049】
Q2)締付方式選択グループから、標準締付方式として「2段締め」(対応するデータ「0」)を選択する。
【0050】
Q3)付加動作選択グループから、標準付加動作として「付加動作なし」(対応するデータ「0」)を選択する。
【0051】
Q4)最終締付動作選択グループから、標準最終締付動作として「トルク法ストールなし+チャンネル接続無し」(対応するデータ「7」)を選択する。
【0052】
Q5)目標トルクとなる最終締付トルクの入力部17、波形キー(波形を見るキー)12および設定反映キー(設定に反映キー)18並びにカスタムモード選択キー(もっと詳しくキー)19を備える最終締付トルク設定画面を標準動作コード(0007)およびチャンネル番号選択部15aとともに表示する。
【0053】
Q6)回転工具1が持つ締付トルク(設定範囲)と本締め回転数とを呼出す。これらを標準動作コードに対応する締付トルク・回転数波形とともに表示する。
【0054】
Q7)最終締付トルクの入力部17への入力を待つ。
【0055】
Q8)最終締付トルクが入力されると、これを読み込んで、記憶部7p内の一時記憶領域で記憶する。
【0056】
Q9)最終締付トルクから、所定安全率を見て最終締付トルク以下となる着座時の許容衝撃トルクを算出する。
【0057】
Q10)あらかじめ作成された駆動モータ2の出力軸回転数-衝撃トルク特性(図11参照)から許容衝撃トルクに対する仮締め時の出力軸回転数(以下、仮締め回転数という)を算出するとともに、この時の設定トルク値から仮締めトルクを決定する。
【0058】
Q11)最終締付トルク設定画面中の締付トルク・回転数波形に仮締めトルク、仮締め回転数を表示する。
【0059】
Q12)設定反映キー18からの設定反映信号の入力を待つ。
【0060】
Q13)動作コード(0,0,0,7)、最終締付トルク、仮締めトルク、仮締め回転数、本締め回転数をチャンネル番号毎にメモリーシートに記憶する。標準動作コードに係る他の必須設定項目には、標準値を記憶する。
【0061】
Q14)エンド。
【0062】
上記Q1~Q14の動作を実現させるように前記駆動手段5と通信して、PCを通じた入力または選択を受け付けるプログラムで構成されている。
【0063】
前記カスタムモード設定支援方法は、図12および図13に示すように、
【0064】
R1)設定反映キー18bおよび標準設定キー20並びに推奨項目に反映キー24を備える動作モードに係るねじの種類・ねじの締付方法設定画面(初期:小ねじ。以下、ねじの種類等設定画面という)およびねじの種類に対応する標準締付方法の締付トルク・回転数波形を表示する。
【0065】
R2)ねじの種類等設定画面で、動作コードのコード要素を組み合わせてなる希望締付方法(図14の項目番号)が選択されるのを待つ。
【0066】
R3)ねじの種類(データ0~3のいずれか)、選択される希望締付方法の各項目番号を読込み、一時記憶する。
【0067】
R4)希望締付方法に関連して選択可能項目、推奨選択項目、選択不可項目をデータ(1,2,0)として有するマスク表(図15参照)から、ねじの種類に対する推奨の希望締付方法の項目番号を読込み、その選択部22近くに推奨マークを表示する。
【0068】
R5)マスク表から、ねじの種類に対する選択不可の希望締付方法の項目番号を読込み、当該項目番号に係る希望締付方法すべてにマスクをする。
【0069】
R6)ねじの種類等設定画面で選択される希望締付方法の項目番号(以下、締付方法選択番号という)を呼出す。
【0070】
R7)ねじの締付方法項目番号別動作コード加算排除表(図16参照、加算可能な動作コード、排除される動作コードをデータ「1」と表示)から、締付方法選択番号に対する加算要素の動作コードを読込み、これを一時記憶する。この時、加算要素の動作コードであっても、他に該当する希望締付方法の項目番号があってこれが締付方法選択番号でないものは、排除される。
【0071】
R8)ねじの締付方法項目別動作コード加算排除表から、締付方法選択番号に対する排除要素の動作コードを読込み、これを一時記憶する。
【0072】
R9)希望締付方法の全選択項目番号について、加算・排除動作コードが算出されたか否かを判断し、全選択項目番号について加算・排除動作コードが算出されてない時、R7に戻る。
【0073】
R10)全選択項目番号について加算・排除動作コードが算出されると、一時記憶された加算動作コードから、排除動作コードと同一の動作コードを排除する。
【0074】
R11)残った加算動作コードを加算して、動作コードを作成する。
【0075】
R12)動作コード対応設定項目一覧表(図18参照)から、動作コード中の動作モードに対応する必須設定項目となるデータNoを選択し、一時記憶する。なお、動作コード対応設定項目一覧表中、○はデータNoに対応する設定項目にユーザ設定値の入力が必要で、△はデータNoに対応する設定項目へのデータの記入・未記入により動作が異なることを示し、データNoはメモリーシート説明図(図19参照)のデータNoに対応する。
【0076】
R13)動作コード対応設定項目一覧表から、動作コード中の締付方式に対応する必須設定項目(データNo)を選択し、一時記憶する。
【0077】
R14)動作コード対応設定項目一覧表から、動作コード中の付加動作に対応する必須設定項目(データNo)を選択し、一時記憶する。
【0078】
R15)動作コード対応設定項目一覧表から、動作コード中の最終締付動作に対応する必須設定項目(データNo)を選択し、一時記憶する。
【0079】
R16)ねじの種類等設定画面に動作コードに対応する締付トルク・回転数波形、必須設定項目の入力部を表示する。
【0080】
R17)必須設定項目の入力部22を読込み、入力された設定値を一時記憶する。
【0081】
R18)ねじの種類または希望締付方法が変更されたか否かを判定し、いずれかが変更されている時、R3に戻る。
【0082】
R19)ねじの種類または希望締付方法が変更されてない時、設定反映キー18bからの設定反映信号の入力を待ち、これが入力されない時、R17に戻る。
【0083】
R20)設定反映キー18bからの設定反映信号が入力されると、一時記憶された必須設定項目の設定値(未入力時、標準値)をメモリーシートに記憶する。
【0084】
R21)エンド。
【0085】
上記R1~21の動作を実現させるように前記駆動手段5と通信して、PCを通じた入力または選択を受け付けるプログラムで構成されている。
【0086】
前記メモリーシート設定支援方法に係るプログラムはPCが前記入出力部10(図2参照)に接続されると動作し、前記らくらくモード設定支援方法に係るプログラムは動作条件設定画面中のらくらくモードキー16(図5参照)かららくらくモード選択信号が出力されると動作し、前記カスタムモード設定支援方法は最終締付トルク設定画面中のカスタムモード選択キー19(図10参照)からカスタムモード選択信号が出力されると動作するように構成されている。
【0087】
上記回転工具1にあっては、図2に示すようにねじの種類等の変更があって、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作を変更する際には、駆動手段5の入出力部10に通信用ケーブルまたは無線ケーブルを介してPCが接続される。これにより、駆動手段5の記憶部7に記憶されているメモリ-シートの中の全設定値が設定項目とともにPCに呼出される。同時に、図5に示すようにPC上に動作コードの入力部13、前記設定項目の入力部14およびチャンネル番号選択部15並びにらくらくモード選択キー16を備える動作条件設定画面が表示される。
【0088】
この状態で、作業者がチャンネル番号選択部15でチャンネル番号を選択する。続いて、作業者は図3の動作コードの説明図に基づいて、動作モード選択グループから希望のねじの種類である一例として小ねじに対応する項目番号、締付方式選択グループから小ねじに係る希望の締付方式に対応する項目番号、付加動作選択グループから当該締付方式に係る希望の付加動作に対応する項目番号、最終締付動作選択グループから希望の最終締付動作に対応する項目番号を選択し、動作コードを作成する。この動作コードに対応するデータが動作条件設定画面中の動作コードの入力部13に入力されると、これがPC上に一時記憶される。その後、動作コードの各コード要素の組み合わせが無効な組み合わせに関するデータでなる禁則ルール1~9に該当する禁止組み合せか否かが判定される。このコード要素の組み合わせが禁則ルールに該当すると、前記動作条件設定画面上に禁止組み合せである旨の禁則表示とともに、動作コード再入力表示がなされる。
【0089】
この時の禁則判定を、動作コード2101の例について説明する。図4は動作コードの禁止組み合わせを説明する禁則表であり、図6図4の禁則表をデータ化して詳説する説明図である。動作コード2101に対する禁則判定を、図6から動作コードの位(桁)順に抜き書きしていくと、図7(a)に示すように、千の位の数値「2」に対する禁則ルールは「100001111」(1が有効、0が禁止)、百の位の数値「1」に対する禁則ルールは「010010000」、十の位の数値「0」に対する禁則ルールは「001010011」、一の位の数値「1」に対する禁則ルールは「000100100」となる。すなわち、千の位「2」が禁則No1,6,7,8,9に対して、百の位「1」が禁則ルールNo2,5に対して、十の位「0」が禁則ルールNo3,5,8,9に対して、一の位「1」が禁則ルールNo4,7に対して有効となる。これにより、動作コード2101についての禁則判定は各位の合算となることから、合算値が「111121222」となり、すべての禁則ルールに対して有効となる。すべての禁則ルールNo1~No9に対して有効か否かは、禁則ルールNo1~No9毎の合算値を積算した結果が0でないことをもって判断する。
【0090】
次に、動作コード3100の例を説明する。この動作コード3100の禁則判定を、動作コード2101の場合と同様に、図6から抜き書きしていくと、図7(b)に示すように千の位の値「3」に対する禁則ルールは「100010001」、百の位の数値「1」に対する禁則ルールは「010010000」、十の位の数値「0」に対する禁則ルールは「001010011」、一の位の数値「1」に対する禁則ルールは「000100100」となる。すなわち、千の位「3」が禁則ルールNo1,5,9に対して、百の位の「1」が禁則No2,5に対して、十の位の「0」が禁則ルールNo3,5,8,9に対して、一の位「0」が禁則ルールNo4,7に対して有効となる。これにより、動作コード3100についての禁則判定は各位の合算によることから、その合算値が「111130112」となり、禁則ルールNo1~No9毎の合算値を積算した結果が0になるので、動作コード3100は禁則No6の禁止組み合わせに該当し、前記動作条件設定画面中に禁則表示とともに、再入力表示がなされる。
【0091】
前述の例の動作コード2101のように、動作コードが禁則ルールすべてに該当せず、有効な組み合わせの動作コードである時、この動作コードがPCの記憶部7pに一時記憶される。その後、この動作コードが入出力部10を通じて駆動手段5の記憶部7内のメモリーシートに記憶されるとともに、これが前記動作条件定画面(図5参照)の選択チャンネル番号に対応する位置に表示される。同時に、この動作コードに対応する選択チャンネル番号が前記動作条件設定画面上で識別される。続いて、動作コード要素対応設定項目一覧表(図8参照)から、有効な動作コード中の各コード要素に対する必須設定項目を示す「2」を有する項目番号、設定可能項目を示す「1」を有する項目番号、設定不要項目を示す「0」を有する項目番号が読込まれ、これら設定項目の入力部14をそれぞれ識別(図5中、白色、斜線、薄黒参照)して表示することができる。
【0092】
この状態で、必須設定項目または設定可能項目の入力部14への設定値の入力を待ち、いずれかが入力されると、入力された設定値がPCの記憶部7pに一時記憶された後、駆動手段5の入出力部10を通じて記憶部7内のメモリ-シートに記憶される。すべての必須設定項目の入力部14に設定値が入力されると、回転工具1の動作条件の設定が完了する。
【0093】
このメモリーシート設定支援方法によれば、ねじの種類等の変更に係る設定項目のすべての設定値を呼出す際に、変更内容に応じて動作コードを作成する必要がある。この時、コード要素すなわち動作モード、締付方式、付加動作および最終締付動作の中で同時組み合わせができない禁止組み合わせがあっても、コード要素を入力して動作コードを作成する時にあらかじめ作成された禁止組み合わせと同一か否かが判定され、同一のものは排除される。そのため、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作の中で同時組み合わせができないものを知らなくても、有効な動作コードを作成してこれに対応する必須または設定可能な設定項目を呼出し、これらを設定することができる。また、作業者は動作コード作成段階で動作コードの設定が間違っていることを知ることができ、回転工具1を駆動した後に動作コードを再作成して当該動作コードに係る必須または設定可能な設定項目を再設定する必要がなくなる。これにより、手戻りに時間を要することがないので、締付作業の立ち上げ時間を短縮することができる。
【0094】
また、前述のメモリーシート設定支援方法にあっては、前記有効な組み合わせに係る動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作に対する設定項目が、設定可能な設定項目、設定不可の設定項目を有し、これらの入力部14が前記必須設定項目とともに識別表示される構成であることから、作業者はねじの種類等の変更に応じて必須設定項目、設定可能な設定項目、設定不可の設定項目を確認できるので、設定作業を簡単に行うことができる。
【0095】
なお、前述のメモリーシート設定支援方法によれば、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作それぞれの選択グループすべてを禁止組み合わせの判定に使用しているが、動作モード選択グループと、締付方式選択グループおよび/または最終締付動作選択グループを使用するだけでもよい。また、前記動作モード選択グループと、締付方式選択グループまたは最終締付動作選択グループとに、または動作モード選択グループのみに付加動作選択グループを加えて、言い換えれば前記動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作それぞれの選択グループから少なくも二つを使用して、前述の禁止判定を行ってもよい。これらのいずれの場合でも、ねじの種類等の変更があって、動作コードを作成する場合には、前述と同様の効果が得られる。
【0096】
次に、ねじの種類等の変更があって、動作モード、締付方式、付加動作、最終締付動作を変更する際に利用するらくらくモード設定支援方法について、説明する。前述のメモリーシート設定支援方法の動作条件設定画面から、らくらくモード選択キー(初心者マークキー)16が選択されると、図3に示す動作モード選択グループから標準動作モードとして「小ねじ」(対応するデータ「0」)、締付方式選択グループから標準締付方式として「2段締め」(対応するデータ「0」)、付加動作選択グループから標準付加動作として「付加動作無し」(対応するデータ「0」)、最終締付動作選択グループから標準最終締付動作として「トルク法(ストール動作無し、チャンネル接続動作無し)」(対応するデータ「7」)が自動的に選択され、これらデータ0007(図3参照)が標準動作コードとして、PC上に一時記憶される。続いて、図10に示すようにPC上に目標トルクとなる最終締付トルクの入力部17、チャンネル番号選択部15aおよび設定反映キー18並びにカスタムモード選択キー19を備える最終締付トルク設定画面が前記動作条件設定画面に代わり表示される。また、前記最終締付トルク設定画面には標準動作コードに対応する締付トルク・回転数波形に関する設定画面が表示される。この時、回転工具1が持つ標準の締付トルクおよび本締め回転数すなわち本締め回転速度が呼出されて、これらがこの波形内に表示される。
【0097】
この状態で、最終締付トルクの入力部17に設定値が入力されると、最終締付トルクの設定値が読込まれ、これがPCの記憶部7p上で一時記憶される。続いて、当該最終締付トルクの設定値から所定安全率を見て当該設定値以下の着座時の許容衝撃トルクが算出される。この許容衝撃トルクに対する仮締め回転数すなわち仮締め回転速度が、あらかじめデータとして記憶された回転工具1に係る駆動モータ2の出力軸回転数―衝撃トルク特性から算出され、同時に当該算出に使用したデータ作成時の駆動モータ2の設定トルク値から仮締めトルクが決定される。これら仮締め回転数および仮締めトルクが前記最終締付設定画面に表示される。その後、前記最終締付設定画面中の設定反映キー18から設定反映信号が出力されると、PCの記憶部7p上で一時記憶された最終締付トルクの設定値、仮締めトルク、仮締め回転速度、本締め回転速度がチャンネル番号毎に駆動手段5の記憶部7内のメモリーシートに記憶される。この時、標準動作コード0007にかかる他の必須設定項目には自動的に標準値が記憶され、回転工具1の動作条件の設定が完了する。
【0098】
このらくらくモード設定支援方法によれば、ねじの種類等の変更に応じて行う動作条件設定方法を知らない場合には、最終締付トルクを設定するだけで、標準の締付方法で締付作業を行うための必須設定項目に標準の設定値を設定して、当該締付方法を行うことができ、当該動作条件設定方法を知らない作業者にも最適な回転工具1の動作条件設定支援方法を提供することができる。
【0099】
すなわち、最終締付トルクを設定するだけで、所定の締付方法を行うことができる具体例を、最終締付トルクとして1.2Nmが設定される場合について説明する。この最終締付トルク1.2Nmから、小ねじの着座時に許容される許容衝撃トルクとして安全率(15%)を見て、1.0Nmが算出される。この許容衝撃トルク1.0Nmが得られる駆動モータ2の回転数として、仮締め時間を短縮することができるように、図11の出力軸回転数―衝撃トルク特性に対応するデータから最速の回転数である500rpmが呼出される。同時に、この値が得られる設定トルク値0.5Nmが仮締めトルクに決定される。これら最終締付トルク、駆動モータ2の仮締め回転数、仮締めトルクが本締め回転数の20rpmとともにそれぞれ図10の締付トルク・回転数波形中の該当位置に表示される。
【0100】
次に、ねじの種類等の変更があって、新たな動作コードがわからない際に利用するカスタムモード設定支援方法について、説明する。前述のらくらくモード設定画面中のカスタムモード選択キー(もっと詳しくキー)19から、カスタムモード選択信号が出力されると、動作モードに係るねじの種類(初期:小ねじ)と、前述のコード要素を含むわかり易い表現の希望締付方法とをそれぞれ選択する選択部21,22および設定反映キー18bを持つねじの種類等設定画面(図13参照)がPC上に表示される。同時に、当該ねじの種類等設定画面には小ねじに対応する標準締付方法の締付トルク・回転数波形が表示される。
【0101】
この状態で、希望締付方法選択部22が選択されるのを待ち、これが選択されると、ねじの種類のデータ(0~3のいずれか)、選択された希望締付方法それぞれの項目番号(図14参照)が一時記憶される。選択されたねじの種類のデータに対して、マスク表(図15参照)から希望締付方法に係る推奨項目番号が読込まれ、当該推奨項目番号に係る希望締付方法の選択部近くに推奨マークが付される。また、前記ねじの種類のデータに対して、マスク表から選択不可の希望締付方法の項目番号が読込まれ、当該項目番号に係る希望締付方法すべてがマスクされる。
【0102】
続いて、選択された希望締付方法の項目番号、すなわち選択項目番号が呼出され、ねじ締付方法項目番号別動作コード加算排除表(図16参照)から当該項目番号に対する加算要素の動作コードが呼出され、これが一時記憶される。この時、加算要素の動作コードであっても、他に該当する希望締付方法の項目番号があってこれが選択項目番号でないものは、呼出されない。また、前記選択項目番号に対して、排除要素の動作コードが呼出され、これが一時記憶される(図17参照)。この時には、排除要素の動作コードは他に該当するねじ締付方法の項目番号があっても、選択項目番号か否かに拘わらず呼出される。その後、前述の希望締付方法のすべての選択項目番号について同様に動作コードが呼出されると、加算要素の動作コードから排除要素の動作コードが排除され、残りの加算要素の動作コードが加算されて、動作コードが作成される。
【0103】
前述の加算要素・排除要素の動作コードの呼出しを、希望締付方法中、項目番号11,22,32,05が選択される例に基づいて説明する。まず、前記項目番号11に対しては、図16から動作コード0001が対応し、この動作コードに対応する他の項目番号22があってこれが選択されているので、動作コード0001は加算要素として呼出される(図17参照)。この時、排除要素として動作コード3000,4000が対応するので、これらが排除要素として呼出される(図17参照)。次に、項目番号22に対しては動作コード0001(説明済),0004が対応し、この動作コード0004に対応する他の項目番号05があってこれが選択されているので、動作コード0004は加算要素として呼出される。この時、排除要素として動作コード0002、0005,0006,0007,0008が対応するので、これらが排除要素として呼出される(図17参照)。次に、項目番号32に対して動作コード0200,0400が対応し、動作コード0200は他の対応する項目番号を有さないので、加算要素として呼出される。動作コード0400は対応する他の項目番号13を有するが、これが選択されてないので、呼出されない。この時、排除要素として動作コード0010が対応するので、これらが排除要素として呼出される(図17参照)。次に、項目番号05に対しては動作コード0002,0004,0006,0008が対応し、動作コード0004は他の対応する項目番号22を有し、これが選択されているので、加算要素として呼出される(図17参照)。動作コード0002,0006,0008はそれぞれ他の対応する項目番号{12,21},31,21を有するが、これが選択されてないので、加算要素として呼出されない。この時、排除要素として動作コード0001,0005,0007が対応するので、これらが排除要素として呼出される(図17参照)。その後に、加算要素の動作コード0001,0004,0200から排除要素である動作コード0001が排除され、残りの加算要素の動作コード0200,0004が加算されて、新たな動作コード0204が作成される。
【0104】
前述するように新たな動作コードが作成されると、図18に示す動作コード番号―設定項目一覧表(抜粋)と図19に示すメモリーシート説明図とから、当該動作コードをなすコード要素の値に対して、すなわち動作モード、締付方式、付加動作および最終締付動作に対する必須設定項目(00,01,02,03,04,06,09)が順次選択され、これらが一時記憶される。その後、図示はしないが、あらかじめコード要素に対応して用意された締付トルク・回転数波形から、前記動作コードに対する波形が組み合わされて呼出される。この波形が前記ねじの種類等設定画面に表示されるとともに、同画面に必須設定項目の入力部23、回転工具1の型式から決まる最終締付トルク範囲が表示される。この状態で、ねじの種類または希望締付方法の変更の有無が判定され、いずれかに変更がある時には、選択されたねじの種類、希望締付方法の各項目番号が一時記憶され、前述の推奨マークの表示以降の動作が繰り返される。
【0105】
ねじの種類または希望締付方法の変更の有無が判定され、いずれにも変更がない時には、設定反映キー18bからの設定反映信号が入力されるまで、前記必須設定項目の入力部23が読込まれる。前記設定反映信号が入力されると、必須設定項目に入力された設定値が駆動手段5の記憶部7内のメモリーシートに記憶される。この時、前記入力部23に入力のない必須設定項目には、あらかじめ用意された標準値が入力され、これにより回転工具1の動作条件の設定作業が完了する。
【0106】
このカスタムモード設定支援方法によれば、締付方式、付加動作および最終締付動作を任意に組み合わせて作業者が理解しやすい表現の希望締付方法とすることができる。これにより、ねじの種類等の変更に応じて行う回転工具1の動作条件設定方法を知らない場合でも、ねじの種類と希望締付方法とを選択するだけで、締付作業を行うための必須設定項目の設定値を設定することができ、当該動作条件設定方法を知らない作業者が詳細な設定を行うことができる回転工具1の動作条件設定支援方法を提供することができる。
【0107】
この場合、前述の締付方法選択グループに代え、前記動作モードに対して設けられる複数の締付方式からいずれか一つまたは複数を選択する締付方式選択グループと、前記締付方式に係る付加動作からいずれか一つまたは複数を選択する付加動作選択グループと、複数の最終締付動作からいずれか一つを選択する最終締付動作選択グループを使用してもよい。これによっても、同様に回転工具1の動作条件設定方法を知らない作業者が詳細な設定を行うことができる。
【0108】
また、前述のらくらくモード設定支援方法にあっても、カスタムモード設定支援方法にあっても、各設定画面は標準となる動作モードおよび締付方式に対応する締付トルク・回転数波形を有する構成であるので、作業者はねじの種類等の変更に応じて行う回転工具1の動作条件設定方法を知らなくても、ねじの種類等の変更にともなう必須設定項目を知って、これを容易に設定できる。
【0109】
なお、本発明の実施形態に係る前述のメモリーシート設定支援方法、らくらくモード設定支援方法およびカスタムモード設定支援方法は、PCに予め記憶されたものでなくてもよく、PCに読み込まれ、当該PCを通じた入力または選択を受け付けることにより、当該PCに回転工具1の動作条件設定支援方法を実行させるためのプログラムであってもよい。この場合、回転工具1の駆動手段5の構造に変更を加えずに安価に動作条件の設定ができる。また、本発明の実施形態に係る前述のメモリーシート設定支援方法、らくらくモード設定支援方法およびカスタムモード設定支援方法は、プログラムとしてPCに予め記憶されまたは読み込まれ、当該PCと、前記回転工具1を駆動する駆動手段5とを具備し、PCを通じて設定される動作条件に基づいて、前記駆動手段5を駆動する制御を行う自動ねじ締め装置として構成されてもよい。さらに言えば、当該PCに回転工具1を駆動する駆動手段5の機能を組み込んで、当該PCでなる自動ねじ締め装置として構成されてもよい。
【0110】
その他、本発明の具体的例示として、トルクセンサを備える構成としているが、駆動ビットに掛かるトルクを駆動モータ2の負荷電流に基づいて算出する構成とし、トルクセンサを備えない構成であってもよく、また本発明の各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、ねじ、ボルト、ナット等の部品を所定部材に所定の締付トルクで締結するような回転工具の動作条件設定支援方法、同動作条件設定支援方法を実現させるプログラム並びに同プログラムを備える自動ねじ締め装置としての利用が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…回転工具
5 駆動手段
6 演算制御部
7 記憶部
8…表示部
9 操作部
10 入出力部
11 モータ駆動手段
13 動作コードの入力部
14 設定項目の入力部
15,15a チャンネル番号選択部
16…らくらくモード選択キー
17 最終締付トルクの入力部
19 カスタムモード選択キー
21 ねじの種類選択部
22 希望締付方法選択部
23 必須設定項目の入力部
24 推奨項目に反映キー
A ねじ締め装置
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