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特許7022146保存・分配ステーションのための保存容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】保存・分配ステーションのための保存容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019555179
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018053747
(87)【国際公開番号】W WO2018188837
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】17166081.4
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516389064
【氏名又は名称】ベクトン・ディッキンソン・ロワ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ディートマー
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02804156(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183208(US,A1)
【文献】特開2005-247355(JP,A)
【文献】特開2002-153541(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)であって、前記保存容器(1)は、
案内区分(11)及び底面(14)と共に薬剤分の保持空間(2)を取り囲む筐体(10)であって、前記案内区分(11)は、案内空間(3)を画定し、前記筐体を貫通しない垂直案内凹部(20)を有し、前記底面(14)は、分配開口(15)を有する、筐体(10)、
前記筐体(10)の前記案内空間(3)内に配置し、少なくとも1つの薬剤分を受ける少なくとも1つの通路(31)を有する分離デバイス(30)、並びに
維持区分(41)を有する維持手段(40)であって、前記筐体(10)はスロットを有さず、前記維持区分(41)は、前記案内空間(3)内に完全に配置し、前記分配開口(15)の上に保持し、前記分配開口(15)と位置合わせした前記通路(31)に更なる薬剤分が進入しないようにする、維持手段(40)、並びに
案内手段(45)
を備え、前記案内手段(45)は、前記案内凹部(20)内に配置し、前記垂直案内凹部(20)及び前記案内手段(45)は、前記維持手段(40)が、前記案内凹部(20)内で前記案内手段(45)によって垂直に調節可能に配置され、前記維持手段(40)の回転移動を防止するように協働する、保存容器(1)。
【請求項2】
前記案内手段(45)及び前記案内凹部(20)は、あり継ぎ接続(49a、49b、24a、24b)により結合することを特徴とする、請求項1に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【請求項3】
前記案内手段(45)及び前記案内凹部(20)は、磁気的に作用する保持手段(25、42)を介して結合することを特徴とする、請求項1に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【請求項4】
前記案内凹部(20)及び前記案内手段(45)は、係止手段(43)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【請求項5】
前記案内空間(3)は円筒形であり、前記案内空間(3)に面する前記案内手段(45)の表面は、円筒形外形を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【請求項6】
前記筐体(10)は、前記案内区分(11)の領域内に、前記案内凹部(20)を配置させる突起(11b)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【請求項7】
前記維持手段(40)は、動作要素(47)を備え、前記動作要素(47)は、前記案内手段(45)に結合し、前記案内区分(11)の外側に配置することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬剤保存・分配ステーションのための保存容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位物品、特に薬剤の保存・分配ステーションのための保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
展開段階に応じて、例えば、WO2013/034504A1に開示される現代のブリスタ包装機械は、数百の保存・分配ステーションを備える。これらステーションのそれぞれにおいて、特定の薬剤の複数の薬剤分を保存し、個々の薬剤分を要求に応じて分配することができる。このブリスタ包装機械の場合、保存・分配ステーション内に保存した薬剤は、処方された投与時間に従って、患者別にまとめられ、ブリスタ包装される。
【0003】
薬剤分をまとめる場合、対応する保存・分配ステーションは、1つ又は複数の個々の薬剤分を分配するように作動する。保存・分配ステーションを作動する際、単一の薬剤分は、シンギュレータ(singulator)により分離され、分配開口を介してブリスタ機械の案内デバイスに移送される。案内デバイスにより、任意選択で収集デバイスを介在させ、分配した薬剤分を包装デバイスに供給し、包装デバイスは、個々又は複数の薬剤分を処方に従ってブリスタ包装する。
【0004】
保存・分配ステーションの保存容器内に保存した薬剤分の分離に関し、分離デバイスは、複数の通路を有する回転子を備え、通路は、通常、回転子の外周上に配置される。通路は、それぞれの薬剤分を寸法に対して分離するように適合し、通路内で、薬剤分が、互いに隣接するのではなく、上下のみに配置できるようにする。通路は、1つの薬剤分のみを通路内で受けることができるように寸法を決定してもよい。
【0005】
通路から薬剤分を分配する場合、通路は、保存容器の筐体内で分配開口の上を移動し、通路の最下点に配置された薬剤分は、分配開口に摺動又は落下する。通路内に保存した更なる薬剤分、又は通路上の更なる薬剤分も分配されるのを防止するため、分配開口の上の領域において、維持手段の維持区分は、少なくとも、分配開口と位置合わせした通路内若しくはその上に案内又は配置される。この維持区分は、通路内又はその上で、通路の高さに対して配置され、1つの薬剤分のみが維持区分の下に配置し得るようにする。維持区分を通路内に案内し、最も下にある薬剤分を通路の上に配置した薬剤分から分離する場合、個々の通路を分離する突起は、維持区分を受けるスロットを有する。維持区分を通路の上に配置又は案内する場合、維持区分は、通常、突起の上側端部の上でわずかに案内されるだけであり、薬剤分を分配する際に更なる薬剤分が通路に進入するのを防止するようにす
る。
【0006】
公知の供給・分配ステーションにおける維持手段の維持区分は、外側から水平筐体スロットを通して保存容器に案内され、通路の設計に応じて、維持区分がこれらの通路の上、又は通路内のスロットに配置されるようにする。上記で既に説明したように、通路、したがって、通路を画定する突起は、分離すべきそれぞれの薬剤分の寸法に適合する。このことは、とりわけ、突起が、異なる薬剤分に対して異なる高さにあることを意味する。複数の薬剤分を通路内で受けることができる場合、維持手段の維持区分が中で係合するスロットの位置も薬剤分の寸法に応じて異なる。このことは、筐体内の水平スロットの位置も薬剤分の寸法に応じて異なり、異なる筐体を異なる薬剤分に対して使用すべきであることを暗示する。言い換えれば、同じ筐体を異なる寸法の薬剤分に対して使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2013/034504A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、異なる寸法の薬剤分に対して使用し得る保存・分配ステーションのための保存容器であって薬剤の粉塵等が外側に漏出しない保存容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の保存容器によって達成される。本発明による薬剤保存・分配ステーションのための保存容器は、案内区分及び底面と共に薬剤分の保持空間を取り囲む筐体を備え、案内区分は、大部分が円筒形の案内空間を画定し、筐体を貫通しない垂直案内凹部を有し、底面は、分配開口を有する。保存容器は、筐体の案内区分内に配置され、少なくとも1つの薬剤分を受ける少なくとも1つの通路を有する分離デバイス、及び維持区分を有する維持手段を更に備え、筐体はスロットを有しておらず、維持区分は、案内区分内に完全に配置され、分配開口の上に保持され、分配開口と位置合わせした通路に更なる薬剤分が進入しないようにする。維持手段の維持区分が少なくとも1つの通路上に保持若しくは案内されるか、又は通路を画定する突起のスロット内に保持若しくは案内されるかどうかは、通路の正確な設計応じて異なり、したがって、本発明に影響を及ぼさない。
【0010】
維持手段は、案内手段を更に備え、案内手段は、垂直案内凹部内に配置され、垂直案内凹部及び案内手段は、維持手段が、案内凹部内で垂直に調節可能に配置又は支持され、同時に、維持手段の回転又は環状移動を防止するように協働する。
【0011】
したがって、公知の保存容器では、維持区分を筐体スロットを通じて挿入し、したがって、筐体スロットの位置が薬剤分の寸法に応じて異なることを規定する一方で、本発明によれば、維持手段の高さは、保存容器内で調節可能であり、この目的で、垂直案内凹部は、案内区分内に設けられ、案内凹部は、維持区分の対応する案内手段と協働し、必要な高さの調節を保証することが規定される。垂直案内凹部及び案内手段は、案内区分又は案内空間内での案内手段の径方向のずれ及び円周方向の移動又は環状移動が防止されるように設計される。この移動を防止することは必須である。というのは、維持手段の維持区分は、常に、底面の分配開口と位置合わせした通路と位置合わせするか又は通路内に配置しなければならないためである。
【0012】
本発明による保存容器では、筐体内にスロットを設けない。このことは、保存・分配ステーション内に形成された薬剤の粉塵又は剥離材料が外側に漏出しないという更なる利点
を有する。このことは、時として、現代のブリスタ包装機械が、薬剤粉塵が清掃の必要性を増大させる超クリーン・ルームで使用されることに照らして、特に重要である。
【0013】
案内凹部及び案内手段の正確な設計は、一方で、案内凹部/案内手段の組合せに対して、維持手段の高さが調節可能であり、もう一方で、維持手段が径方向、円周方向又は環状に移動可能ではないことを保証されるかぎり、本発明にとって必須ではない。
【0014】
構造的に特に単純な実施形態では、案内手段及び案内凹部があり継ぎ接続により結合されることが好ましい。代替的に、案内手段及び案内凹部は、磁気保持手段を介して結合することを規定し得る。また、維持部分を分離デバイスの突起内のスロット内に保持する際、案内凹部の側面が垂直に互いに平行に形成されれば十分であり得る。
【0015】
本発明によれば、案内手段の高さは、案内凹部内で調節可能であるように構成する。重力により、維持区分は、分離デバイス上に載置されるか、又は突起を分割する水平スロット内に保持される。言い換えれば、案内手段は、案内区分において高さが調節可能であるにもかかわらず、必ずしも案内手段の高さを固定し得るように構成されない。高さの柔軟さも可能にするため、好ましい実施形態では、案内凹部及び案内手段が、そのような高さの柔軟さを可能にする係止手段を有することを規定してもよい。
【0016】
本発明によれば、案内手段は、案内凹部内に配置され、案内凹部は、案内区分内に形成される。案内区分は、大部分が円筒形の案内空間を画定する。したがって、それ以外の場合では、案内手段は円筒形案内空間であるが、案内凹部の設計のため、案内凹部が円筒形案内空間を「中断する」ケースである。この中断により、薬剤分を損なう又は粉塵が中に蓄積するのを防止するため、好ましい実施形態では、案内空間に面する案内手段の表面が円筒形外形を有することを規定する。
【0017】
本発明によれば、案内凹部は、筐体又は案内区分を貫通しない。筐体が、案内区分の全体領域において凹部の形成を可能にする壁厚を有さないようにするため、好ましい実施形態では、筐体は、案内区分の領域内に、案内凹部を配置させる突起(即ち、筐体壁の補強盛り)(のみ)を有することを規定する。
【0018】
既に示したように、分離すべき薬品分の寸法は、通路又は突起の構成を決定し、この構成は、維持手段の構成、即ち、筐体の円筒形区分における「高さ」又は位置を必要とする。維持手段の「高さ」に外側からも影響を及ぼすことができるように、好ましい実施形態では、維持手段は、動作要素を備え、動作要素は、案内手段に結合され、案内区分の外側に配置されることが規定される。案内手段と動作要素との間の結合は任意である。例えば、案内手段及び動作要素の両方において、磁石を配置し、磁石により、結合を生じさせることを規定することができる。
【0019】
以下、本発明による保存・分配ステーションのための保存容器の好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a-1d】本発明による保存容器の第1の好ましい実施形態の図である。
図2a-2c】保存容器の第1の実施形態の断面図である。
図3第2の好ましい実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1a及び図1bは、薬剤保存・分配ステーションのための保存容器1に対する第1の好ましい実施形態の2つの斜視図を示す。図1cは、保存容器の上面図を示し、図1dは、図1cの詳細図を示す。保存容器の全ての表現において、保存容器の通常動作で設けられるカバーは、より良好に見せるために省く。図1a~図1cに示す本発明による保存容器は、薬剤保存・分配ステーションの一部であり、その名前が既に明らかにしているように、分離すべき薬剤分が保存容器内に保存される。保存容器1は、分離デバイスを更に備え、分離デバイスは、保存容器及び分配部にわたり延在する分離機構の一部であり、以下の図を参照しながらより詳細に説明する。分配部は、例えば、分離デバイスのための制御器及び駆動器を備えることができる。
【0022】
保存容器自体は、薬剤分(図示せず)の保持空間2を取り囲む筐体10を備え、この筐体は、中間領域内の案内区分11及びその下の足区分12を備える。案内区分は、大部分が円筒形の案内空間を画定し、以下で説明するように、分離デバイスを中に配置する。案内空間は、「大部分が」円形である。というのは、以下でもより詳細に説明するように、案内部分において、案内区分の内部で完全な円筒形を中断する案内凹部が設けられるためである。保存容器の筐体は、ハンドル13を更に備え、ハンドル13を用いて、保存容器1は、保存・分配ステーションの分配部から容易に取り外すことができる。
【0023】
図1cからわかるように、筐体の案内空間3又は案内区分11は、底面14によって底部で閉鎖しており、底面14には、分配開口15及び中心開口を備え、図1cにおいて、案内空間3(図2aを参照)内に配置した分離デバイス30の結合手段35が示される。
【0024】
図1cにおいて、維持手段は、筐体の案内区分11の右側領域内に配置され、維持手段の維持区分41は、底部開口15と位置合わせされる。維持区分は、分配開口15と位置合わせした通路を閉鎖し、更なる薬剤分が、分配開口15と位置合わせした通路に貫入できないようにする(図4a、図4bも参照)。維持手段は、案内区分11の案内凹部20内の案内手段45を介して組み付け、案内凹部20及び案内手段45の設計は、分離デバイスの回転時、案内手段が径方向にずれないこと、言い換えれば、案内手段が、分離デバイスと共に円周方向で移動しないが、常に分配開口と位置合わせされることを保証する。
【0025】
図1dは、案内凹部20及び案内手段45の領域内の案内区分11の正確な構成を詳細に示す。2つの上述の構成要素は、あり継ぎ接続を介して互いに結合され、これにより、案内手段45は、径方向及び円周方向に変位可能ではないが、高さ(即ち、軸方向)の点で移動可能であることを保証する(即ち、径方向、円周方向に凸形の接続が存在する)。あり継ぎ接続を形成するため、案内凹部20を画定する側壁24a、24b、及び案内手段の境界を定める側壁49a、49bは、対応して、円錐形で内向きに収束している。
【0026】
図2a~図2cは、本発明による保存容器の第1の実施形態の様々な断面図を示す。図2aにおいて、維持手段の維持区分41は、分離デバイス30の突起32の上で保持されることがわかる。図2a~図2cにおいて、保存容器の案内区分11内の垂直案内凹部20が見える。図示の実施形態では、案内手段45は、あり継ぎ接続を介して案内凹部内に保持される。案内凹部20自体は、案内区分11の壁を貫通しないため、従来技術による保存容器とは対照的に、薬剤粉塵が漏出しないようにする。
【0027】
図3は、第2の好ましい実施形態の断面図を示す。この第2の実施形態では、案内手段は、高さが調節可能であるだけでなく、高さを固定可能でもある。高さを固定可能にすることは、係止手段43を介して達成され、係止手段43は、案内凹20の後壁上に配置され、後壁に面する案内手段の側部上又はその中で、対応する係止手段(図示せず)と協働する。高さを固定可能にすることは、磁気的に作用する保持手段25、42によって更に達成することができ、保持手段25、42は、後壁及び案内手段45内に配置される。保持手段25、42は、案内突起内で案内手段を結合するために使用することもできる。したがって、磁気保持手段は、軸方向、径方向及び円周方向での固定のために使用することができる。軸方向固定に対する2つの上述の構成は、1つの図又は一実施形態において技術的な説明の理由で示すにすぎず、あくまでも実際的には、これら2つの種類の固定は、通常、おそらくは代替的に使用される。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図3