(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】疎水性材料を含むゲル
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20220209BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20220209BHJP
A61Q 13/00 20060101ALN20220209BHJP
A61K 8/02 20060101ALN20220209BHJP
A61K 8/92 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
A61L9/01 Q
C11B9/00 Z
A61Q13/00 102
A61K8/02
A61K8/92
(21)【出願番号】P 2019569883
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(86)【国際出願番号】 IB2018055305
(87)【国際公開番号】W WO2019016706
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2019-12-17
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518326032
【氏名又は名称】プロクター アンド ギャンブル インターナショナル オペレーションズ エスエー
【氏名又は名称原語表記】PROCTER & GAMBLE INTERNATIONAL OPERATIONS SA
【住所又は居所原語表記】47, route de Saint-Georges, 1213 Petit-Lancy 1, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス-プリート、スサナ
(72)【発明者】
【氏名】フランコ、ホセ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】フラティニ、エミリアノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ、クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】マルチネス、ガルシア・イッマクラダ
(72)【発明者】
【氏名】オーサリヴァン、デニス・ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】サイニ、ゴーラヴ
(72)【発明者】
【氏名】サンタン、ハーシャル・ディリプラオ
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス、ラフル
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-265558(JP,A)
【文献】特開2009-242798(JP,A)
【文献】実開昭57-097544(JP,U)
【文献】特開2007-131715(JP,A)
【文献】特表2010-528127(JP,A)
【文献】特開昭57-155251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
C11B 1/00-15/00
A61Q 1/00-90/00
A61K 8/00- 8/99
C11C 1/00- 5/02
C08G 18/00-18/87、
71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的に架橋されたゲル及び疎水性材料を含む、エアフレッシュニング用
のゲル組成物であって、前記
化学的に架橋されたゲルは、化学的に架橋されたポリエステルポリオールであり、前記ポリエステルポリオールは、
ポリ(ペンタメチレンジイソシアネート)である架橋剤を用いて架橋されており、前記ゲル組成物は、未反応のイソシアネート及び/又はイソチオシアネートを含まない、ゲル組成物。
【請求項2】
前記疎水性材料は、前記ゲル組成物の3重量%~85重量%の濃度で存在する香料である、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオールは、ヒマシ油である、請求項1又は2に記載のゲル組成物。
【請求項4】
前記ゲルは、1:0.75~1:2のポリエステルポリオールと架橋剤とのモル比を用いて形成される、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項5】
前記疎水性材料は、香料又は香料混合物であり、0.01超のlogPを有する、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項6】
前記疎水性材料は、3.0超のlogPを有する香料原料を(PRM)を、香料混合物の総重量に基づいて少なくとも20重量%含む香料混合物である、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項7】
前記疎水性材料は、香料又は香料混合物であり、3未満のlogPを有する、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項8】
前記ゲル組成物は、ヒドロキシル含有ポリマー、ヒドロキシル含有オリゴマー、又はこれらの混合物を更に含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項9】
前記ゲル組成物は、3.0~100cm
2の表面積を有する、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載のゲル組成物である第1の層であって、前記ゲル組成物は香料である疎水性材料を含む、第1の層と、第2の層と、を含む、多層組成物。
【請求項11】
前記第2の層は接着剤層である、請求項
10に記載の多層ゲル組成物。
【請求項12】
前記第1の層及び第2の層は、架橋ポリエステルポリオールを含む、請求項
11に記載の多層ゲル組成物。
【請求項13】
前記第1の層及び第2の層は、同じポリエステルポリオールを架橋することによって製造された架橋ポリエステルポリオールを含む、請求項
10に記載の多層ゲル組成物。
【請求項14】
前記第1の層の前記ゲルは、1:0.75~1:2のポリエステルポリオールと架橋剤とのモル比を用いて形成され、前記第2の層の前記ゲルは、1:0.05~1:0.7のポリエステルポリオールと架橋剤とのモル比を用いて形成される、請求項
12に記載の多層ゲル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
消費者製品などにおいて、エアフレッシュナーとして使用するための疎水性材料、特に香料を含むゲル。
【背景技術】
【0002】
香料などの疎水性材料をゲルに装入することは望ましい。こうしたゲルの一例はエアフレッシュナーゲルである。エアフレッシュナーゲルは、典型的にはゲルを含み、ゲル内に分散された香料のコロイド分散体を有する。一般に、疎水性材料は長時間にわたってゆっくりと放出されることが望ましい。例えば、香料を含むゲルの場合、香料が急速に放出され過ぎると臭気が強烈になり、また新鮮さの寿命は所望されるよりもはるかに短くなり得る。
【0003】
ゲルは、カラギーナン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチン、又はジェランガムなどを含むヒドロゲルであり得る。こうしたゲルは、典型的には、香料が表面活性剤の添加によって安定化されることを必要とする。加えて、こうしたゲルは、高い香料装入量で配合することが困難である。透明なゲルが望まれる場合、典型的には、達成可能な香料装入量は更に低くなり、また高濃度の表面活性剤が必要とされる。更に、こうしたゲルは、周囲湿度に敏感である。
【0004】
無水香料ゲルもまた知られている。例えば、米国特許第5,780,527号は、香料基剤の存在下で、液体ポリマー材料を架橋剤と反応させることによって形成される無水ゲル要素を記載している。こうして形成される剛性で乾燥した透明なゲル要素は、全組成物の最大90重量%である高い割合の香料基剤を含有し得る。しかしながら、こうしたゲルは、典型的には疎水性が高く、あまり高くないlogPを有する香料原料を含む香料と共に配合することは困難である。
【0005】
疎水性材料を含むゲルを作製する際の更なる課題は、特に疎水性材料が周囲温度で液体である場合の離漿である。離漿は、ゲルからの液体の排出であり、ゲル上に疎水性材料の液体層をもたらし得る。香料に典型的に見られるものなどの疎水性材料の複雑なブレンドの場合、疎水性材料のブレンドの個々の成分は、異なる速度でゲルから「滲出」し得る。その結果、離漿は、時間と共に香料装入ゲルからの臭気プロファイルを変化させ得る。
【0006】
加えて、香料装入ゲルは、成形型から取り外し可能でなければならないため、通常は複雑な形状に形成することが困難である。
【0007】
したがって、湿度の変化による影響を受けにくく、容易に複雑な形状へと形成され、高い装入量の疎水性材料が、材料が高疎水性でない場合であっても達成可能であり、疎水性材料のより制御された放出を提供する、疎水性材料を含むゲルが依然として必要とされている。更に、高い香料装入量を有しながらも透明であるこうしたゲルが依然として必要とされている。
【0008】
国際公開第2003074095(A1)号は、3~80重量%の香料基剤を含むゲルであって、ゲル要素が実質的に無水の熱可逆性ゲルを含む、ゲル、及びこうしたゲルを利用する物品に関する。米国特許出願公開第20100310492(A1)号は、揮発性物質(複数可)、特に香料、及び不揮発性物質(複数可)、特に架橋シリコーンネットワークを含み、充填剤又は補強剤を含まない、透明な無水ゲルに関する。国際公開第2013030153(A1)号は、中に収容される活性揮発性成分の長期蒸発を可能にするゲル装置であって、ゲル装置は、活性揮発性物質と、本質的にカラギーナンから形成されたゲル化剤と、を含み、更にジブチルラウロイルグルタミド及び/又はジブチルエチルヘキサノイルグルタミドをポリオールと共に含む、ゲル装置に関する。米国特許出願公開第2013/0157922(A1)号は、メチルヒドロキシエチルセルロースなどの非イオン性セルロース誘導体を添加することにより、離漿及び斑点形成に対する耐性を示す水性カラギーナンゲル組成物に関する。米国特許出願公開第2012/0230936(A1)号は、C14~C18脂肪族アルコールからなる相対的に少量の増量剤を添加することによって可能となる緩徐蒸発及び長期寿命を示す、固形かつ自立式のカラギーナンゲルエアフレッシュナー組成物に関する。国際公開第2012/041411(A1)号は、揮発性香料の蒸発速度を低下させ、ゲルの寿命を向上させるために、グリセロールのアルコキシル化部分脂肪酸エステルとアルコキシル化グリセロールとの混合物をエアフレッシュナーゲル中で使用することに関する。米国特許出願公開第2013/0202788(A1)号は、芳香油及びヒドロキシルアルキルセルロース誘導体を含む非水性自立式硬質芳香剤ゲルに関する。米国特許出願公開第2016/0310623(A1)号は、装飾用ゲル、並びに視覚効果のためにその装飾用ゲルを使用するキャンドル、エアフレッシュナー、及びその他の物品に関する。国際公開第2016/173892(A1)号は、ポリウレタンホットメルト接着剤を製造するための2段階方法であって、A)イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと非変換ジイソシアネートとを含有する反応混合物を得るために、少なくとも1つのポリオールを少なくとも1つのジイソシアネートと反応させ、NCO/OH比が1.5超である段階と、B)段階A)で得られたイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと非変換ジイソシアネートとを含有する上記の混合物を少なくとも1つのポリエステルポリオールと反応させ、NCO/OH比が3超である段階と、を有する方法に関する。国際公開第2012088758(A1)号は、エアフレッシュニング又は殺菌用の無機ゲル組成物であって、ケイ素アルコキシド又はコロイドシリカ、揮発性又はガス状芳香剤及び/又は殺菌剤、水、酸又は塩基触媒、水溶性溶剤、並びに任意にその他の揮発性成分及び添加剤を含む組成物と、その調製方法と、に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5,780,527号
【文献】国際公開第2003074095(A1)号
【文献】米国特許出願公開第20100310492(A1)号
【文献】国際公開第2013030153(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2013/0157922(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2012/0230936(A1)号
【文献】国際公開第2012/041411(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2013/0202788(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2016/0310623(A1)号
【文献】国際公開第2016/173892(A1)号
【文献】国際公開第2012088758(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、疎水性材料を含む化学的に架橋されたゲル組成物であって、ゲルが、小角X線散乱(SAXS)を使用して測定したときに8nm未満の平均相関長を有する、ゲル組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゲル組成物は、その多孔質構造中に疎水性材料を含有する。本発明のゲル組成物は、中に含有される疎水性材料の緩徐放出を提供する。緩徐放出は、8nm未満の相関長を有する密な架橋ネットワークを有するようにゲルを形成することによって達成されると考えられる。こうした相関長によってゲルの有効孔径は小さくなる。孔径は、小角X線散乱(SAXS)を使用して測定したときの平均相関長と相関する。平均相関長を8nm未満、好ましくは0.3nm~8nm、より好ましくは0.3nm~4nmに制限することにより、疎水性材料が短いバーストで放出されるブルーミング効果ではなく、疎水性材料の長期間持続する放出が達成される。
【0012】
別途記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0013】
全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、全組成物に基づいて計算される。
【0014】
全ての測定は、別段に明記しない限り、25℃で実施される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲において使用されるときは、特許請求されている又は記載されるもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0016】
ゲル組成物:
好適なゲル組成物は、化学的に架橋されており、小角X線散乱(SAXS)を使用して測定したときに8nm未満の平均相関長を有する。しかしながら、本明細書に記載されるゲル組成物は、任意の所望の相関長を有するように配合することができる。
【0017】
ゲル組成物は、機械的及び熱的に安定である共有結合を形成する架橋剤を使用して形成することができ、そのため、一旦形成されると破断し難い。対照的に、物理的架橋は、結晶領域又は高絡み合い領域などの安定性を達成するために、微細構造の変化に依存する。
【0018】
物理的ゲルはまた、香料などの疎水性材料を高濃度で保持することができるが、そのような物理的ゲルは操作中により容易に破壊されるため、その処理はより繊細である。加えて、こうした物理的ゲルは、典型的には、疎水性材料が蒸発すると、疎水性材料が蒸発するにつれて表面積が減少することにより、本発明の架橋ゲルと比較して、典型的には50%~90%のレベルで、体積のより大きな減少を示す。その結果、こうした物理的ゲルは、疎水性材料の極めて不均一な放出プロファイルを有する。対照的に、本発明の架橋ゲルは、疎水性材料が放出されるときに、より少ない、典型的には約10%~30%の表面積の収縮を示す。結果として、本発明のゲルは、疎水性材料のはるかに均一な放出プロファイルを示す。
【0019】
ゲル組成物は、0.1kPa超、好ましくは1kPa超、更により好ましくは2kPa超、かつ100kPa未満の弾性率G’を有し得る。
【0020】
ゲルは、化学的に架橋されたポリオール又はその誘導体であってよい。好適なポリオール又はその誘導体は、ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリグリセロールは、複数のヒドロキシル基を含み、コンパクトなネットワークを有するゲルを形成するのに好適である。加えて、得られるゲルは、疎水性のより低い疎水性材料に対してより高い親和性を有する。
【0021】
好適なポリオール又はその誘導体は、60Da~10000Da、好ましくは150Da~3000Da、より好ましくは500Da~2000Da、更により好ましくは600Da~1300Daの分子量を有し得る。より長いポリオール及びその誘導体は、ゲルのより高い柔軟性をもたらす。
【0022】
好適なポリオール及びその誘導体は、末端ヒドロキシル基を含まない。第二級アルコールが特に好適である。末端ヒドロキシル基を有する第一級アルコールは、典型的には、より多くの直鎖、及びよりコンパクトなネットワークをもたらす。第一級アルコールと第二級アルコールとの組み合わせが、より望ましい相関長をもたらすために好ましい。第二級アルコールが使用されると、より最適な孔径を有するゲルが得られる。ポリ(ジエチレングリコールアジペート)などの軽度に分岐したポリオール及びその誘導体は、より柔軟なゲルをもたらす。好ましいポリオール及びその誘導体は、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基、より好ましくは1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル基を有する。
【0023】
ポリオールは、複数のヒドロキシル基を含有する化合物である。2つのヒドロキシル官能基を有するジオールポリオールは、直鎖状ポリマー又は大きな孔径を有する、より開いたネットワーク中における架橋後に生じる。対照的に、2つを超える官能性を有するヒドロキシル官能性モノマーは、より小さい孔径を有する、よりコンパクトなゲルを形成する。好適なポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、4,6-ジ-tert-ブチルベンゼン-1,2,3-トリオール、プロパントリオール(グリセロール)、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,4-シクロヘキサントリオール、2,5-ジメチルヘキサン-1,2,6-トリオール、3-ヒドロキシメチルペンタン-1,2,5-トリオール、1,3,6-ヘキサントリオール、1,1,5,5-ペンタントレトラオール(pentanetretraol)、1,2,5,6-ヘキサントレトラオール(hexanetretraol)、1,2,3,4,5,6-ヘキサンヘキソール(hexanehexol)(ソルビトール)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
ポリエステルポリオールは、ヒドロキシル含有エステルである。好適なポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族ポリエステルポリオール、有機油系ポリエステルポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。有機油系ポリエステルポリオールが好ましい。好ましい有機油は植物油であるが、それは典型的に高濃度の不飽和(C=C結合)を含み、天然でヒドロキシル基を含むためである。好適なポリエステルポリオールとしては、ヘキサン酸、4-ヒドロキシ-,1,1’,1’’-(1,2,3-プロパントリイル)エステル;ペンタン酸、5-アミノ-4-ヒドロキシ-,1,1’,1’’-(1,2,3-プロパントリイル)エステル;ポリカプロラクトントリオール;ヒマシ油、ヒドロキシヒマワリ油(HSO)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
ヒマシ油が特に好適である。ヒマシ油(トウゴマ油)は、ヒマシ植物の豆(トウゴマ)から抽出された淡黄色かつ粘性の液体である。ヒマシ油は、主に、87~90%のリシノール酸(シス-12-ヒドロキシオクタデカ-9-エン酸)を含有する脂肪酸のトリグリセリドから構成され、高純度等級で得ることができる。ヒマシ油及びその誘導体は、ポリウレタン及び接着剤用のポリオールとして使用されてきた。ヒマシ油は、部分的に水素化され得る。ヒマシ油は、分岐の長さ、及びヒドロキシル基の位置を提供し、これは特に疎水性材料が香料である場合に疎水性材料の緩徐放出をもたらす孔径を有する化学的に架橋されたゲルを提供するのに特に適していることが判明している。加えて、ヒマシ油由来の化学的に架橋されたゲルは、ゲルからの疎水性材料の離漿がより少ないことを示す。
【0026】
ポリグリセロールは、ヒドロキシ含有エーテルである。ポリグリセロールは、典型的には、アルキレンオキシド(エポキシドなど)の重合によって得られる。好適なアルキレンオキシドとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール(diethyelene glycol)、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ソルビトール、グリセロール、及びこれらの混合物などの連鎖開始剤を使用する、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なポリグリセロールは、α,α-ジグリセロール、α,β-ジグリセロール、超分岐ポリグリセロール、樹枝状ポリグリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。超分岐ポリグリセロールは、特別な内部柔軟性を提供する球状の分岐上分岐構造(branch-on-branch structure)をもたらすグリシドールのグリセロールへの非対称な重付加から得られる、複数のヒドロキシル末端基を有する脂肪族ポリエーテルである。樹枝状ポリグリセロールは、コアの周囲に明確に画定された対称的かつ球状の三次元構造を有する超分岐ポリグリセロールである。ゲル弾性の改善とは別に、超分岐状ポリグリセロールの例外的に多い官能基と共に立体的に遮蔽されたコアを有する樹枝状構造は、比較的小さな孔径を有する柔軟性ゲルを生成し、これは、疎水性材料を物理的に封入したことに加えてH結合及びファンデルワールス相互作用を向上させた結果として拡散速度を低下させることにより、最終組成物の寿命を増加させる。こうしたポリグリセロールは、Nanopartica GmbH(ドイツ)及びSigma-Aldrichから購入することができる。好適なポリグリセロールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(ジエチレングリコール)、ポリ(ジプロピレングリコール)、ポリ(1,4-ブタンジオール)、ポリ(ネオペンチルグリコール)、ポリ(1,6-ヘキサンジオール)、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリグリセロールは、好ましくは2~50個、好ましくは4~30個の繰り返し単位を有する。
【0027】
任意の好適な架橋剤を用いてよいが、イソシアネート、イソチオシアネート、及びこれらの混合物からなる群から選択される架橋剤が好ましい。架橋剤は、直鎖、分枝状、又は環状イソシアネート、及びこれらの混合物であり得る。環状イソシアネート及びその混合物が好ましい。好適な環状イソシアネートとしては、1,3,5-トリス(5-イソシアナトペンチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなどの複素環式イソシアネートが挙げられる。
【0028】
好適な架橋剤は、1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、L-リジンエチルエステルジイソシアネート(LDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、グリコリド-エチレングリコール-グリコリドイソシアネート(Bezwada,LLC)、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、2,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、2,2’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、ポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)(PDI)、1,3-ビス(2-イソシアナトプロパン-2-イル)ベンゼン、ポリ(ペンタメチレンジイソシアネート)、及びこれらの混合物、好ましくは1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、L-リジンエチルエステルジイソシアネート(LDI)、ポリ(ペンタメチレンジイソシアネート)、ポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)(PDI)、1,3,5-トリス(5-イソシアナトペンチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。こうした架橋剤は、Sigma-Aldrich及びCovestroからDesmodur(登録商標)eco N7300の商標名で入手可能である。
【0029】
架橋剤は、25℃で2,500mPa.s未満の粘度、及び15%~40%、好ましくは18%~30%のイソシアネート当量を有し得る。こうした架橋剤は、ポリオールとより容易にブレンドされる。結果として、より均一なゲルを得ることができる。
【0030】
ゲルは、1:0.75~1:2、好ましくは1:0.8~1:1.6、より好ましくは1:0.8~1:1.2のポリオール(又はその誘導体)と架橋剤とのモル比を用いて形成され得る。ポリオールと架橋剤とのこうした比率は、典型的には、粘性係数G”と桁が同じ弾性率G’を有するゲルをもたらす。加えて、ポリオールと架橋剤との比は、典型的には、0.1kPa超、好ましくは1kPa超、更により好ましくは2kPa超、かつ100kPa未満の弾性率G’を有するゲルをもたらす。
【0031】
ゲルは、好ましくは、未反応のイソシアネート及び/又はイソチオシアネートを本質的に含まないか、又は含まない。
【0032】
ゲルは、ヒドロキシル含有ポリマー、ヒドロキシル含有オリゴマー、又はこれらの混合物を更に含み得る。ヒドロキシル含有ポリマー及び/又はオリゴマーは、ゲル組成物の弾性、したがって香料放出寿命を変化させるために(より高い弾性率G’は香料の放出を遅らせるため)使用することができる。
【0033】
好適なヒドロキシル含有ポリマーは、ポロキサマー、ゼラチン、カラギーナン、キチン、キトサン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0034】
ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水鎖が隣接したポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロックコポリマーである。好適なポロキサマーは、1500g/mol~15000g/molの重量平均分子量、及び10%~80%、好ましくは50%~80%のポリ(エチレンオキシド)の重量パーセントを有する。好適なポロキサマーは、BASFからPluronic(登録商標)の商標名で市販されている。
【0035】
ゼラチンは、通常は半透明であり、無色であり、典型的には、様々な動物の身体部分からのコラーゲンから得られる。これらは、食品、医薬品産業、ビタミンカプセル、写真、及び化粧品製造におけるゲル化剤として一般的に使用される。好適なゼラチンは、90~300のブルームを有し得る。ブルームは、ゲル又はゼラチンの強度を測定するための試験であり、Bloomによる米国特許第1540979号で概説される方法に従って測定される。試験は、0.5インチ(12.7mm)の直径を有するプランジャによって、25℃の温度で4mmのゲルを破壊せずにその表面を押圧するために必要とされるグラム単位の重量を測定する。この結果は、ブルーム(等級)単位で表される。これは、通常30~300ブルームである。ゼラチン上でブルーム試験を実施するために、試験前に6.67重量%のゼラチン溶液を10℃で17~18時間保持する。
【0036】
カラギーナンは、例えば、一般にアイルランドコケとして知られる紅藻に由来する硫酸化多糖類である。これらは、典型的には、主にα-D-ガラクトピラノース-4-サルフェート単位及び3,6-アンヒドロ-α-Dガラクトピラノース単位から構成される。それぞれ「イオタ」、「カッパ」、及び「ラムダ」カラギーナンとして指定される少なくとも3つの形態が既知であり、これらは、2つのガラクトピラノース単位の比、及びしたがってそれらの硫酸エステル含量が異なる。
【0037】
カッパ-カラギーナンは、ヤハズツノマタ(Chondrus crispus)及びギガルチナステラータ(Gigartina stellata)からの水性抽出物中の主成分である。これは、イオタ及びラムダカラギーナンよりも硫酸エステル含量が低い。
【0038】
キトサンは、典型的には、自然界でセルロースに続いて2番目に豊富なバイオポリマーであるキチンをアルカリ性条件下で脱アセチル化することによって得られる。キチンは、動物、特に甲殻類、軟体動物、及び昆虫の外骨格の重要な構成要素として見出すことができ、また、特定の菌類の細胞壁における主要ポリマーでもある。キチン及びキトサンは、ランダムに分布したβ-(1~4)結合D-グルコサミン(脱アセチル化単位)及びN-アセチル-グルコサミン(アセチル化単位)からなる直鎖多糖類である。キトサンは、グラフト化可能な2種類の反応性基、すなわち脱アセチル化単位上の遊離アミン基、並びにアセチル化又は脱アセチル化単位上のC3及びC6炭素上のヒドロキシル基を有する。
【0039】
本発明のキトサンは、10,000g/mol~4,000,000g/mol、好ましくは70,000g/mol~1,600,000g/molの分子量を有し得る。好適なキトサンは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも75%の脱アセチル化度を有し得る。
【0040】
ゲルは、透明であっても、又は更には半透明であってもよい。ゲル組成物は、星形、円形、又は角錐などの任意の好適な形状を有することができる。本発明のゲル組成物は、所望の形状に成形されてもよく、更には3D印刷されてもよい。
【0041】
ゲル組成物は、任意の好適な形状又はサイズであってよい(その両方がゲル組成物の表面積を画定するため)。ゲル組成物の形状及びサイズは、疎水性材料の放出及び寿命に影響を及ぼし得ることが知られている。例えば、薄いシートは、同じ質量のゲル組成物の球と比較してより速い放出及びより短い寿命をもたらす。好適なゲル組成物は、150cm2未満、好ましくは3.0~100cm2、より好ましくは6.0~60cm2の表面積を有し得る。
【0042】
表面積は、CADソフトウェアを使用してゲル組成物の3Dモデルを作成し、CADソフトウェアを使用して表面積を計算することによって測定することができる。AutoCad(登録商標)2013などの任意の好適なCADソフトウェアを使用してよい。
【0043】
疎水性材料:
ゲルは疎水性材料を含む。好適な疎水性材料は、ゲル組成物の3重量%~85重量%、好ましくは15重量%~75重量%、更により好ましくは25重量%~70重量%の濃度で存在してよい。
【0044】
本発明のゲル組成物は、特に5未満のlogPを有する疎水性材料の場合、従来技術のゲルよりも高い濃度の疎水性材料を含み、改善された透明性を提供することができる。更に、香料の放出は、ゲルの相関長を制御することによって制御することができる。
【0045】
好適な疎水性材料としては、香料混合物、昆虫駆除剤、機能性香料成分(FPC)、審美剤、生物活性剤、悪臭中和剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
疎水性材料は、0.01超、好ましくは0.01~6.5、より好ましくは0.5~5.5のlogPを有し得る。
【0047】
好適な疎水性材料は、3.0超、好ましくは3.0~6.5、より好ましくは3.5~5.5のlogPを有し得る。こうした疎水性材料は、より速い硬化時間に加えて、改善された透明性を有するゲルを生じさせる。
【0048】
先行技術のゲルとは異なり、本発明の架橋ゲルは、非常に低いlogPを有する疎水性材料でさえ組み込むことができる。したがって、疎水性材料は、3未満、好ましくは0.01~3、更により好ましくは0.5~2.8のlogPを有し得る。従来技術のゲル、特に先行技術の物理的に架橋されたゲルにかかる低logPの疎水性材料を組み込むことを試みる場合、低logPの材料は離漿によってゲルからにじみ出る傾向がある。疎水性材料は、疎水性材料のブレンドであってよい。こうした場合、logPは、疎水性材料のブレンドの加重平均logPである。特に好適な疎水性材料は、香料原料、特に香料混合物である。
【0049】
好適な香料混合物は、少なくとも1つの香料原料(PRM)を含む。様々なPRMが使用され得る。香料混合物は、1つ以上のPRMを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「香料原料」とは、以下の成分のうちの1つ以上を指す:芳香性精油;芳香化合物;プロ香料;安定剤、希釈剤、加工剤、及び混入物質を含む、芳香性精油、アロマ化合物と共に供給される材料;並びに芳香性精油、芳香化合物に一般的に付随する任意の材料。
【0050】
香料混合物は、3以上のlogPを有するPRMを、香料混合物の総重量に基づいて少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、更により好ましくは少なくとも70重量%含むことができる。更に、香料混合物は、3以上のlogPを有するPRMのみを含んでもよい。こうした高logPの香料混合物は、より速い硬化時間、及びより高い透明性をもたらす。
【0051】
前述したように、本発明の架橋ゲルは、低logPの疎水性材料さえも組み込むことができる。したがって、好適な香料混合物は、3未満のlogPを有するPRMを、香料混合物の総重量を基準に少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも45重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、又は更には少なくとも70重量%含むことができる。香料混合物は、3未満のlogPを有するPRMさえも含むことができる。
【0052】
疎水性材料は、特に疎水性材料が香料又は香料混合物である場合は、揮発性であることが好ましい。したがって、疎水性材料及び疎水性材料のブレンドは、450℃未満、好ましくは60℃~400℃、より好ましくは75℃~380℃の沸点を有する。
【0053】
疎水性材料の少なくとも一部又は全部は、300℃超、好ましくは350℃超の沸点を有する不揮発性又は低揮発性のものであってよい。こうした不揮発性又は低揮発性の疎水性材料は、香料及び香料混合物の溶出剤としてであってもよい。
【0054】
香料混合物は、ケトンを含む1つ以上のPRMを含んでもよい。ケトンを含むPRMは、1つ以上のケトン部分を含有し、かつ望ましい香りを付与することができる、任意のPRMを含むことができる。香料混合物は、イソジャスモン、メチルβナフチルケトン、ムスクインダノン、tonalid(商標)又はムスクテトラリン(musk tetralin)、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマセノン、メチル-ジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、ジヒドロ-β-イオノン、γ-メチルイオノン、α-メチルイオノン、n-βメチルイオノン異性体、fleuramone(商標)又は2-ヘプチルシクロペンタン-1-オン、ジヒドロジャスモン、cis-ジャスモン、iso-e-super(商標)又はパチョリエタノン、メチルセドリルケトン又はメチルセドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-β-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトン又はlivescone(商標)、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、freskomenthe(商標)又は2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、4-(1-エトキシビニル)-3,5,5,5,テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルナン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5h)-インダノン、4-damascol(商標)又はペッパーヘキサノン(pepper hexanone)、dulcinyl(商標)又は4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)ブタン-2-オン、gelsone(商標)又はエチル-2-アセチルオクタノエート、hexalon(商標)又はアリルαイオノン、methyl cyclocitrone(商標)又は1-(3,5,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)エタノン、methyl-lavender-ketone(商標)又は3-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、orivone(商標)又は4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、パラ-第3ブチル-シクロヘキサノン、verdone(商標)又は2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-オン、delphone(商標)又は2-ペンチルシクロペンタン-1-オン、ムスコン、neobutenone(商標)又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセニル)ペンタ-4-エン-1-オン、plicatone(商標)又はオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、veloutone(商標)又は2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、tetrameran(商標)又はフローラルウンデセノン、hedione(商標)又はメチルジヒドロジャスモネート、γ-ウンデカラクトン、γ-デカラクトン、γ-オクタラクトン、エチレンブラシレート、ペンタデカノリド、メチルノニルケトン、シクロペンタデカノン、3,4,5,6-テトラヒドロプソイドイオノン、8-ヘキサデセノリド(hexadecenolide)、ジヒドロジャスモン、5-シクロヘキサデセノン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるケトン部分を含むPRMを含んでよい。
【0055】
香料混合物は、香り特性に寄与し、かつ化学反応により蒸気相及び/又は液相中の悪臭を中和する、アルデヒドの混合物を含んでよい。部分的に反応性又は揮発性のアルデヒドは、本明細書で使用される反応性アルデヒドと見なすことができる。反応性アルデヒドは、シッフ塩基形成経路に従って、アミン系臭気と反応することができる。反応性アルデヒドはまた、硫黄系臭気とも反応し、蒸気相及び/又は液相中に、チオールアセタール、ヘミチオールアセタール、及びチオールエステルを形成することができる。これらの蒸気相及び/又は液相での反応性アルデヒドは、実質的に、製品の所望の香料特性、色又は安全性に悪影響を及ぼさないことが望ましくあり得る。
【0056】
香料混合物は、本明細書で使用する揮発性アルデヒドと見なすことができる、部分的に揮発性のアルデヒドの混合物を含んでよい。
【0057】
香料混合物で使用することのできる好適なアルデヒドとしては、Adoxal(商標)(2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール)、Bourgeonal(商標)(4-t-ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド)、Lilestralis 33(商標)(2-メチル-4-t-ブチルフェニル)プロパナール)、ケイ皮アルデヒド、シンナムアルデヒド(フェニルプロペナール、3-フェニル-2-プロペナール)、シトラール、ネラール(ジメチルオクタジエナール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール)、Cyclal C(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド)、Florhydral(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、シトロネラール(3,7-ジメチル6-オクテナール)、サイマール(2-メチル-3-(パラ-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド)、シクラメンアルデヒド、ライムアルデヒド(α-メチル-p-イソプロピルフェニルプロピルアルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド、アルデヒドC12 MNA(2-メチル-1-ウンデカナール)、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール水和物(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール)、Helional(商標)(3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール);2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール)、イントレレベン(Intreleven)アルデヒド(ウンデカ-10-エン-1-アール)、Ligustral(商標)(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド)、Trivertal(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Jasmorange(商標)又はサテンアルデヒド(satinaldehyde)(2-メチル-3-トリルプロイオンアルデヒド(tolylproionaldehyde)、4-ジメチルベンゼンプロパナール)、Lyral(商標)(4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Melonal(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、メトキシシンナムアルデヒド(trans-4-メトキシシンナムアルデヒド)、Myrac aldehyde(商標)(イソヘキセニルテトライドロベンズアルデヒド(iso hexenyl tetraydrobenzaldehyde))、trifernal(商標)((3-メチル-4-フェニルプロパナール、3-フェニルブタナール)、リリアール(3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール)、ベンゼンプロパナール(4-tert-ブチル-α-メチル-ヒドロシンナムアルデヒド)、Dupical(商標)(ミュゲ(muguet)ブタナール)、トリシクロデシリデンブタナール(4-トリシクロ5210-2,6-デシリデン-8-ブタナール)、Melafleur(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、メチルオクチルアセトアルデヒド、アルデヒドC-11 MOA(2-メチルデカ-1-アール)、Onicidal(商標)(2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、Muguet aldehyde50(商標)(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、Mefranal(商標)(3-メチル-5-フェニルペンタナール)、ジメチルテトラヒドロベンゼンアルデヒド(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、2-フェニルプロプリオンアルデヒド(phenylproprionaldehyde)、ヒドロトロープアルデヒド(2-フェニルプロピオンアルデヒド)、Canthoxal(商標)(パラ-アニシルプロパナール)、アニシルプロパナール4-メトキシ-α-メチルベンゼンプロパナール(2-アニシリデンプロパナール)、Cyclemone A(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、及びPrecyclemone B(商標)(1-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
更に他の好適なアルデヒドとしては、アセトアルデヒド(エタナール)、ペンタナール、バレルアルデヒド、アミルアルデヒド、Scentenal(商標)(オクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキサルデヒド)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、シクロシトラール、β-シクロシトラール、(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-アセトアルデヒド)、Iso Cyclocitral(商標)(2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、イソブチルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド(3-メチルブチルアルデヒド)、メチルブチルアルデヒド(2-メチルブチルアルデヒド、2-メチルブタナール)、ジヒドロシトロネラール(3,7-ジメチルオクタン-1-アール)、2-エチルブチルアルデヒド、3-メチル-2-ブテナール、2-メチルペンタナール、2-メチルバレルアルデヒド、ヘキセナール(2-ヘキセナール、トランス-2-ヘキセナール)、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ラウリンアルデヒド、トリデカナール、2-ドデカナール、メチルチオブタナール、ペンタンジアール、ヘプテナール、cis又はtrans-ヘプテナール、ウンデセナール(2-、10-)、2,4-オクタジエナール、ノネナール(2-、6-)、デセナール(2-、4-)、2,4-ヘキサジエナール、2,4-デカジエナール、2,6-ノナジエナール、オクテナール、2,6-ジメチル5-ヘプテナール、2-イソプロピル-5-メチル-2-ヘキセナール、β-メチルベンゼンプロパナール、2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-アセトアルデヒド、フェニルブテナール(2-フェニル-2-ブテナール)、2-メチル-3(p-イソプロピルフェニル)-プロピオンアルデヒド、3-(p-イソプロピルフェニル)-プロピオンアルデヒド、p-トリルアセトアルデヒド(4-メチルフェニルアセトアルデヒド)、アニスアルデヒド(p-メトキシベンゼンアルデヒド)、ベンズアルデヒド、Vernaldehyde(商標)(1-メチル-4-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド)、ヘリオトロピン(ピペロナール)、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、α-アミルケイ皮アルデヒド、2-ペンチル-3-フェニルプロペンアルデヒド、バニリン(4-メトキシ-3-ヒドロキシベンズアルデヒド)、エチルバニリン(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド)、ヘキシルケイ皮アルデヒド、Jasmonal H(商標)(α-n-ヘキシル-シンナムアルデヒド)、Floralozone(商標)(パラ-エチル-α,α-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド)、Acalea(商標)(p-メチル-α-ペンチルシンナムアルデヒド)、メチルシンナムアルデヒド、α-メチルシンナムアルデヒド(2-メチル3-フェニルプロペナール)、α-ヘキシルシンナムアルデヒド(2-ヘキシル3-フェニルプロペナール)、サリチルアルデヒド(2-ヒドロキシベンズアルデヒド)、4-エチルベンズアルデヒド、クミンアルデヒド(4-イソプロピルベンズアルデヒド)、エトキシベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、ベラトルムアルデヒド(3,4-ジメトキシベンズアルデヒド)、シリンガアルデヒド(3,5-ジメトキシ4-ヒドロキシベンズアルデヒド)、カテックアルデヒド(Catechaldehyde)(3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド)、サフラナール(2,6,6-トリメチル-1,3-ジエンメタナール)、ミルテナール(ピン-2-エン-1-カルバルデヒド)、ペリルアルデヒド(4-プロプ-1-エン-2-イルシクロヘキセン-1-カルバルデヒド)、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、2-メチル-2-ペンテナール、2-メチルペンテナール、ピルブアルデヒド、ホルミルトリシクロデカン、マンダリンアルデヒド、Cyclemax(商標)(クミニルアセトアルデヒド)、ピノアセトアルデヒド、Corps Iris、Maceal(バークカルバルデヒド(bark carbaldehyde))、及びCorps4322が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
香料混合物は、以下の香料原料:環状エチレンドデカンジオエート、4-三級ブチルシクロヘキシルアセテート又はvertenex(商標)、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アリルヘプタノエート、amber xtreme、ambrox、イソアミルアセテート、イソアミルプロピオネート、anethole usp、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、cis-3-ヘキセン-1-オール、β-ナフトールメチルエーテル又はネロリン、カラメルフラノン、カリオフィレンエキストラ、cinnamalva(商標)又はCinnamyl Nitrile、シンナミルアセテート、シンナミルニトリル、cis-3-ヘキセニルブチレート、cis-3-ヘキセニルアセテート、cis-3-ヘキセニル-α-メチルブチレート、cis-6-ノネン-1-オール、citrathal又はシトラールジエチルアセタール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルブチレート、クロナール又はドデカンニトリル、コラノール又は2,2-ジメチルシクロヘキサンプロパノール、クマリン、クミンニトリル、クミンアルコール、トリシクロデセニルイソブチレート又はcyclabute、シクロヘキシルエチルアセテート、ジヒドロミルセノール、ジメチルアントラニレート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチル-2,6-ヘプタン-2-オール又はfreesiol、サンダルペンテノール又はエバノール、エチル-2-メチルペンタノエート、エチルアセトアセテート、エチルリナロール、エチルマルトール、エチルフェニルグリシデート、エチルバニリン、エチル-2-メチルブチレート、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フロール(flor acetate)、オゾンプロパナール又はfloralozone、fructalate(商標)又はラズベリージカルボキシレート、ゲラニオール又はトランス-3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、grisalva(商標)又はアンバーフラン、habanolide(商標)又は(E)-12-ムスクデセノン、helvetolide(商標)又はムスクプロパノエート、ヘキシルアセテート、ヘキシル-2-メチルブチレート、indocolore(商標)又は1-フェニルビニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソオイゲニルアセテート、イソプロピルミリステート、イソアミルブチレート、イソオイゲノール、koumalactone(商標)又はジヒドロミントラクトン、laevo trisandol又はサンドラノール(sandranol)、lemonile(商標)又はホモゲラニルニトリル(homogeranyl nitrile)、levistamel(商標)又はメシテンラクトン(mesitene lactone)、リナロール、リナリルアセテート、リナリルイソブチレート、リモレン又はジヒドロミルセノール、メントール、メチルジオキソラン又はfructone(商標)、メチルイソブテニルテトラヒドロピラン、methyl pamplemousse(商標)又はグレープフルーツアセタール、メチルフェニルカルビニルアセテート又はスチラリルアセテート、メチルサリチレート、montaverdi(商標)又はグリーンシクロプロピオネート(green cyclopropionate)、mugetanol(商標)又はミュゲエタノール、neocaspirene、neofolione又はメロンノネエートネロリドール(melon nonenoate nerolidol)、オレンジテルペン、orcinyl-3又は3-メトキシ-5-メチルフェノール、oxane(商標)又はcis-ガルバヌムオキサチアン、パラクレシルメチルエーテル又はパラメチルアニソール、パチョリ、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、polysantol(商標)又はサントールペンテノール、プレニルアセテート、sauvignone(商標)又は5-メルカプト-5-メチル-3-ヘキサノン、sclareolate(商標)又はクラリープロピオネート(clary propionate)、shisolia、strawberiff(商標)又は2-メチル-2-ペンテン酸、terpinolene又は4-イソプロピリデン-1-メチルシクロヘキセン、tetrahydro muguol(商標)又はシトラスオシメノール、thesaron(商標)(1R,6S)-2,2,6-トリメチル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、tobacarol(商標)又は5-テトラメチルオキサトリシクロドデカン、undecavertol(商標)又はバイオレットデセノール、verdox(商標)又はグリーンアセテート(green acetate)、verdural B(商標)又は(Z)-3-ヘキセン-1-イルイソブチレート、violettyne(商標)又はバイオレットジエニン(violet dienyne)、violiff(商標)又はバイオレットメチルカーボネート、及びこれらの混合物のうちの1つ以上を含んでよい。
【0060】
香料混合物は、機能性香料成分(「FPC」)を含んでよい。FPCは、従来の有機溶媒又は揮発性有機化合物(「VOC」)に類似する蒸発特性を有する香料原料の種類である。本明細書で使用するとき、「VOC」は、20℃で測定される蒸気圧が0.2mmHg超であり、香料の蒸発を助ける揮発性有機化合物を意味する。例示的なVOCとしては、以下の有機溶媒、すなわち、ジプロピレングリコールメチルエーテル(「DPM」)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(「MMB」)、揮発性シリコーン油、及びジプロピレングリコールのメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、又は商標名Dowanol(商標)のグリコールエーテルの任意のVOCが挙げられる。VOCは、一般に、香料の蒸発を補助するために流体組成物中で20%超の濃度で使用される。
【0061】
FPCは、香料物質の蒸発を補助し、快楽的芳香効果を提供し得る。FPCは、組成物全体での香料の性質に負の影響を与えずに比較的高濃度で用いることができる。したがって、流体組成物はVOCを実質的に含まなくてもよく、これは、流体組成物が、組成物の重量基準で18%以下、あるいは6%以下、あるいは5%以下、あるいは1%以下、あるいは0.5%以下のVOCを有することを意味する。流体組成物は、VOCを含まなくてもよい。
【0062】
FPCとしての使用に好適な香料物質はまた、所定の香料特性の香気を留めておくために、臭気検知閾値(「ODT」)及び非極性香気特性を用いて定義することができる。
【0063】
FPCは、1.0十億分率(「ppb」)超、あるいは5.0ppb超、あるいは10.0ppb超、あるいは20.0ppb超、あるいは30.0ppb超、あるいは0.1百万分率超のODTを有し得る。
【0064】
これらのFPCは、エーテル、アルコール、アルデヒド、アセテート、ケトン、又はこれらの混合物のいずれであってよい。
【0065】
FPCは、揮発性で低沸点(B.P.)の香料物質であってよい。例示的なFPCとして、イソノニルアセテート、ジヒドロミルセノール(3-メチレン-7-メチルオクタン-7-オール)、リナロール(3-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-1,6オクタジエン)、ゲラニオール(3,7ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール)、d-リモネン(1-メチル-4-イソプロペニル-1-シクロヘキセン)、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート(isopropyl mystristate)、ジエチルフタレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
香料混合物中のFPCの総量は、香料混合物の30重量%超、あるいは50重量%超、あるいは60重量%超、あるいは70重量%超、あるいは80重量%超、あるいは30~100重量%、あるいは50~100重量%、あるいは60~100重量%、あるいは70~100重量%、あるいは80~100重量%、あるいは85~100重量%、あるいは90~100重量%であってよい。香料混合物は、完全にFPC(すなわち100重量%)からなってもよい。
【0067】
表1は、FPCを含む非限定的な例示的流体組成物、及びそれらのB.P.の報告された値を列記する。
【0068】
【0069】
好ましくは、疎水性材料は、周囲条件下(5℃~25℃など)で液体である。
【0070】
好適な悪臭中和剤としては、アミン官能性ポリマー、金属イオン、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、酸化剤、活性炭、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
好適な昆虫駆除剤としては、シトロネラール、シトラール、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、Rotundial、8-アセトキシカルボタナセノン、及びこれらの組み合わせなどの任意の典型的な昆虫及び/又は蛾駆除剤が挙げられる。本明細書で使用するための昆虫及び/又は蛾駆除剤の他の例は、米国特許第4,449,987号、同第4,693,890号、同第4,696,676号、同第4,933,371号、同第5,030,660号、同第5,196,200号、「Semio Activity of Flavour and Fragrance molecules on various Insect Species」(B.D.Mookherjeeら)(Bioactive Volatile Compounds from Plants(ASC Symposium Series 525、R.Teranishi、R.G.Buttery、及びH.Sugisawa、1993,pp.35~48)中で公開)に開示されている。
【0072】
好適な感覚剤としては、メントール(L、D、ラセミ体)、ユーカリプトール及びユーカリ油、ペパーミント油、コーンミント又はアルベンシス15ミント(arvensis 15 mint)油、スペアミント油、カルボン、丁子油、ケイ皮アルデヒド及びケイ皮誘導体、脂肪族カルボキサミド、ケタール、シクロヘキシル誘導体、モノメンチルコハク酸塩(succinated)、並びにこれらの混合物が挙げられる。いくつかの例は、Qaroma,Inc.からISE3000として入手可能なWS-3、及びISE1000として入手可能なWS-23、Symriseから入手可能なMGA、TK10、LIPO Chemicals(Paterson,N.J.)から入手可能なCoolact、並びにPhyscool(商標)である。
【0073】
好適な審美剤としては、染料又は顔料などの着色剤、及び香料ゲルの外観を向上させるために添加することができるその他の審美物質が挙げられる。着色剤の非限定的な例は、ローダミン、フルオレセイン、ファタロシアニン(Phathalocyanine)、アルミナ、及びこれらの混合物である。異なる形状及びサイズを有する粒子の非限定的な例は、エポキシコーティングされた金属化アルミニウムポリエチレンテレフタレート、ポリエステルビーズ、キャンデリラビーズ、ケイ酸塩、及びこれらの混合物である。こうした審美物質は、Glittergo Limited、Impact colors、及びCQV Co.Ltdから入手可能である。
【0074】
多層ゲル組成物:
多層ゲル組成物は、異なる層に異なる成分を導入することを可能にすることができる。例えば、多層ゲル組成物は、2つ以上の層に異なる疎水性材料を含むことができる。例えば、多層ゲルは、2つ以上の層を含むことができ、少なくとも2つの層は、異なる疎水性材料、例えば、2つの異なる臭気組成物を有する。こうした多層ゲルの場合、臭気プロファイルは、香料が放出されるにつれて変化する。多層ゲル組成物は、異なる弾性を有し、したがって異なる放出速度を有する層を含むことができる。したがって、臭気プロファイルは、香料が放出されるにつれて変化する。
【0075】
多層ゲル組成物はまた、疎水性材料の改善された放出プロファイルを提供するためにも使用することができる。具体的には、ゲル組成物は、内層と、内層を完全又は部分的に取り囲む1つ以上の外層と、を含むことができ、層のゲル組成物の平均相関長は異なる。例えば、内層は、1.5超~8.0nm、好ましくは1.6超~6.0nmの平均相関長を有することができ、1つ以上の外層は、0.3~4.0nm、好ましくは0.5~1.5nm、より好ましくは0.5~1.0nmの平均相関長を有することができるが、ただし、外層の平均相関長は、内層の平均相関長よりも小さいことを条件とする。こうした多層組成物は、疎水性材料が、より制御された方法で外層を通って拡散する前に、内層と隣接する外層との間の界面により迅速に拡散することを可能にする。これは、多層ゲル組成物の寿命全体にわたる香料などの疎水性材料のより一貫した放出をもたらす。
【0076】
1つ以上の層は、異なる硬化度を提供するために、異なる濃度の架橋剤を含んでよい。こうした多層ゲル組成物では、多層ゲル組成物を表面に接着するために、1つの層がより高い粘着性を有することができる。
【0077】
多層ゲルの異なる層は更に、異なる疎水性材料又は他の添加剤を含んでもよい。例えば、第1の層は香料組成物を含むことができ、第2の層は悪臭成分を含むことができ、任意の第3の層は、接着剤であってもよく、又は接着剤を含んでもよい。
【0078】
多層ゲル組成物は、少なくとも2つの層、又は少なくとも3つの層を含む。層は、層板状であってよい。あるいは、第2の層は、分散液滴など、第1の層に埋め込まれてもよい。
【0079】
少なくとも1つの層は、好ましくは香料である疎水性材料を含む。
【0080】
第2の層は、接着剤層であってよい。存在する場合、接着剤層は、外層であることが好ましい。接着剤層は、100Pa未満、好ましくは60Pa未満、更により好ましくは20Pa未満のG’を有し得る。接着剤層は、好ましくは3Paを超えるG’を有する。接着剤層は、G’よりも大きいG”を有することが好ましい。
【0081】
多層ゲル組成物の1つ以上の層は、架橋ポリオール又はその誘導体を含んでもよい。多層ゲル組成物の1つ以上の層は、同じポリオール又はその誘導体を架橋することによって製造される、架橋ポリオール又はその誘導体を含み得る。
【0082】
第1の層のゲルは、1:0.75~1:2、好ましくは1:0.8~1:1.6、より好ましくは1:0.8~1:1.2のポリオール(又はその誘導体)と架橋剤とのモル比を用いて形成され得、第2の層のゲルは、1:0.05~1:0.7、好ましくは1:0.1~1:0.6、より好ましくは1:0.15~1:0.6のポリオール(又はその誘導体)と架橋剤とのモル比を用いて形成され得る。
【0083】
多層ゲル組成物の全ての層が疎水性材料を含む必要はない。
【0084】
多層ゲル組成物は、外層が内層を取り囲むコアシェル構造を含むことができる。あるいは、多層ゲル組成物は、外層によって部分的に取り囲まれた内層を含んでもよい。例えば、内層は、プラスチック成形物品などの不透過性層に取り付けられ、外層は、不透過性層と接触していない内層の表面の少なくとも一部、好ましくは全てを被覆してもよい。こうした物品では、内層の表面積の少なくとも90%が、ゲル組成物の不透過性層又は外層によって囲まれていることが好ましい。
【0085】
製造工程:
ポリオール又はその誘導体を疎水性材料と混合し、任意にヒドロキシル含有ポリマーを添加する。続いて、架橋剤を5℃~35℃、好ましくは15℃~30℃の温度で添加し、均質な混合物を得るために更に混合する。混合物を所望の形状の型に注ぎ込み、好ましくは20℃~30℃の硬化温度で硬化させる。こうした温度は、疎水性材料の揮発性成分の蒸発を制限する。あるいは、硬化を避けるために、混合物を5℃以下に維持してもよい。続いて、硬化は、温度が硬化温度まで上昇したときにのみ開始する。
【0086】
ポリオール又はその誘導体は、架橋剤、及び任意にヒドロキシル含有ポリマーと、好ましくは20℃~85℃、より好ましくは30℃~75℃の温度で、10分~10時間、好ましくは15分~2時間、混合することができる。混合物を冷却し、疎水性材料を好ましくは10℃~40℃、より好ましくは15℃~30℃の温度で添加し、例えば15~120分間更に混合してよい。混合物を所望の型に注ぎ込み、好ましくは20℃~30℃の温度で硬化させる。
【0087】
あるいは、ゲル組成物の成分の全てを、温度が硬化温度まで上昇する前に、5℃以下などの低温でブレンドしてもよい。
【0088】
多層ゲル組成物を提供するために、上記で説明したプロセスのうちの1つに従って第1のゲル層を提供するために第1の混合物を調製し、第1のゲル層がイソシアネートを実質的に含まなくなる前に、第2の混合物を添加して第2のゲル層を形成する。同じ手順を用いて追加の層を追加することができる。好ましい実施形態では、ゲル組成物は、好ましくは最後の層として添加される少なくとも1つの接着剤層を含む。赤外分光法によって、遊離イソシアネートの可視ピークが見られない場合、ゲル組成物はNCO基を実質的に含まないと見なされる。ゲル組成物の試料を採取してから5分以内に、赤外スペクトルを取得するべきである。
【0089】
コアシェル構造を有する多層ゲル組成物を得るために、以下の工程を用いてゲル組成物をコーティングしてよい:
(a)外表面を有するゲル構造体を提供する工程、及び
(b)外表面にコーティングを塗布して、シェルを提供する工程。
【0090】
コーティングは、以下の手段のいずれかによって塗布してよい:
(a)外表面上にコーティングを噴霧すること、
(b)ゲル構造体を溶媒含有コーティング組成物に浸漬すること、又は
(c)ゲル構造体を無溶媒の溶融コーティング組成物に浸漬すること。
【0091】
方法
1)小角X線散乱(SAXS)による相関長決定:
試料の調製:外科用メスを使用してゲルの小切片(~1mm×~1mm×~3mm)を切り出し、カプトンフィルム窓を有する取り外し可能なセル内に配置して、試料厚さを1mmにする。
【0092】
SAXS:SAXS測定は、1024チャネルを含む幅54μmの位置検知型50M OED検出器を備える、HECUS、S3-MICROクラツキーカメラを使用して実施する。超高輝度点マイクロフォーカスX線源(GENIX-Fox 3D、Xenocs、Grenoble)が、最大出力50Wで、1.542Åの波長λでCu Kα線を提供する。試料と検出器との距離は281mmであり、これは0.01~0.54Å-1の測定可能なq範囲を実現する(散乱ベクトルであるqは、q=4π/λsinθによって求められ、2θは散乱角である)。S3-MICROカメラはベヘン酸銀を用いて較正し(d=58.38Å)、真空下で維持して空気からの散乱を低減する。測定は、25℃の温度で実施され、0.1℃の精度を有するペルチエ素子によって制御される。未加工の散乱データは、相対透過率を用いて、セル及び未反応の純ヒマシ油の散乱に対して補正される。
【0093】
データ分析:典型的なゲルに対する散乱放射線の強度I(Q)は、ローレンツ型(式1.0)に従うQ依存性を有し(Hammouda,B.Insight into Clustering in Poly(ethylene oxide)Solutions.Macromolecules 2004.37,6932~6937):
【0094】
【数1】
式中、
I(Q)は散乱照射の強度であり、
I(0)は、q=0における散乱長の強度であり、
ξは相関長である。
【0095】
これは、ポリマー鎖がサイズξの「ブロブ」と見なされるポリマーからの散乱を説明する。1/I(Q)対Q2のプロットは、1/I(0)の切片と、相関長を得ることのできるξ2/I(0)の傾きと、を有する、低q領域内の直線をもたらす。
【0096】
2)赤外分光法-NCO分析:
器具の詳細:合成された接着剤の主な官能基を決定するために、減衰全反射(ATR)フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用する。全てのスペクトルは、Dilab FTS3500ARX(Varian)装置によって、透過モードで4cm-1の分解能で、4000~400cm-1の波数範囲で得られる。
【0097】
試料の調製:50mgの調製されたゲル(高粘性又は接着剤材料が含まれる)を、更なる処理なしに、装置の試料ホルダに入れる。
【0098】
結果:ポリオール及びその誘導体は、ヒドロキシル基に対応する3350~3600cm-1の範囲の広帯域を示し、更に、ポリエステルポリオールの場合は、ポリエステル部分のC=Oカルボニル結合の伸縮振動に対応する1740cm-1での激しい特性ピークを示す。遊離イソシアネート(-N-C=O)基の典型的な吸収ピークは、約2260~2275cm-1で示され、正確な波長は、隣接するCの置換に依存する。スペクトルが遊離イソシアネートの可視ピークを示さない場合、これはNCO基を本質的に含まず、したがって試料は完全に硬化していると見なされる。
【0099】
3)NCO割合の判定:
当量(eq.wt.)を使用して組成物中に存在するイソシアネートの重量%を計算し、反応性基は-N=C=O(NCO)である。その濃度は、NCOの重量パーセント単位で測定される。
【0100】
【数2】
式中、nは1分子当たりのイソシアネート基の数である。
【0101】
4)ゲル組成物の弾性率を決定するための方法:
弾性率は、25±1℃で35mmのチタン平行プレート(PP35 Ti)を用いて制御された応力レオメーター(Thermo ScientificのHAAKE MARS又は同等物など)を使用して測定する。弾性率は、剪断応力範囲にわたって対数的に分布した25個の点を取る、0.5Hzの周波数での0.01Pa~100Paの小振幅振動剪断応力掃引によって得られる。各剪断応力における弾性率値は、3回の振動の繰り返しの平均として得られる。弾性率値は、線形粘弾性領域から得られる。線形粘弾性領域は、弾性率が10%未満の変動を有する剪断応力範囲である。
【0102】
5)架橋剤の粘度を決定する方法:
架橋剤組成物の粘度は、Brookfield(登録商標)RVDV-E回転粘度計を用いて、60rpm、21℃で測定される。スピンドル1は、100mPa.s~20,000mPa.sの粘度に使用される。
【0103】
6)疎水性材料のlogPを決定する方法:
分配係数Pは、平衡状態の2つの不混和相の混合物、この場合、n-オクタノール/水中の化合物の濃度の比である。オクタノール/水分配係数(logP)のlogの値は、UV/VIS分光法によって溶質の分布を測定する「振盪フラスコ」法(例えば、Dearden JC,Bresnanによる「The Measurement of Partition Coefficient」、Molecular Informatics,Volume 7,Issue 3,1988,Pages133~144に記載)などの周知の手段を用いて実験的に測定することができる。試験される香料混合物中の各PRMについてlogPを計算することが好ましい。個々のPRMのlogPは、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Lab)(Toronto,Canada)から入手可能なConsensus logP Computational Model、バージョン14.02(Linux(登録商標))を用いて計算して、無単位のlogP値を得るのが好ましい。ACD/LabのConsensus logP Computational Modelは、ACD/実験室モデルの装置の一部である。
【0104】
疎水性材料のブレンドのlogPは、ブレンド中の個々の疎水性材料のlogPの重量平均として計算される。
【0105】
(7)臭気検知閾値(ODT)の決定
ODTは、炎イオン化及び嗅ぎ口を装備する商用GCを用いて測定され得る。GCを較正して、シリンジにより注入される物質の正確な体積、正確なスプリット比、並びに既知の濃度及び鎖長分布の炭化水素標準物質を用いた炭化水素反応を決定する。空気流量を正確に測定し、ヒトの吸息の時間が12秒間持続すると仮定して、サンプリングした体積を計算する。任意の時点における検出器での正確な濃度は既知であるので、吸入された体積当たりの質量も既知であり、物質の濃度を計算することができる。物質が50ppb未満の閾値を有するかどうかを決定するために、逆算された濃度で溶液を嗅ぎ口に送達させる。官能試験員は、GC溶出液の匂いを嗅ぎ、臭気が認められる保持時間を特定する。全官能試験員の平均から感知能の閾値を決定する。必要量の検体をカラムに注入して、検出器における濃度を50ppbにする。ODTを求めるための典型的なGCパラメータを以下に記載する。機器に関連付けられている指針に従って試験を実施する。
【0106】
装置:
GC:FID検出器を備える5890シリーズ(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA);
7673オートサンプラー(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA);
カラム:DB-1(Agilent Technologies,Ind.,Palo Alto,California,USA)
長さ30メートル、ID 0.25mm、フィルム厚1マイクロメートル(分離させるための選択的分割を提供する毛細管の内壁上のポリマー層)。
【0107】
方法のパラメータ:
スプリット注入:17/1スプリット比
オートサンプラー:1.13マイクロリットル/注入
カラム流量:1.10mL/分
空気流量:345mL/分
入口温度:245℃
検出器温度:285℃
【0108】
温度情報:
初期温度:50℃
速度:5℃/分
最終温度:280℃
最終時間:6分
有力な仮定:(i)臭い嗅ぎ1回当たり12秒
(ii)GCの空気が試料の希釈に加わる。
【実施例】
【0109】
以下は、本発明のゲル組成物用の疎水性材料として使用する香料混合物の例である。なお、実施例1及び実施例2は参考例とする。
【0110】
【0111】
実施例1:芳香剤及び審美剤を含むゲル組成物の作製:
250mLの丸底フラスコ内に、21グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び61グラムの香料組成物HC-Dを加え、均質な溶液が形成されるまで、25℃で、磁気撹拌器を使用して300rpmで30分間混合する。続いて、18グラムのポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)(418005、Sigma Aldrich)を添加し、混合物を25℃で30分間混合する。次に、審美剤として0.1グラムのスパークリングスター(sparkling stars)及び光沢材を加え、組成物を5分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を立方体の型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。25℃での硬化は、72時間を要する。続いて、ゲル組成物を型から取り出すと、使用する準備が整う。
【0112】
実施例2:芳香剤を含むゲル組成物の作製:
250mLの丸底フラスコ内に、18.9グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び65グラムの香料組成物HC-Aを加え、均質な溶液が形成されるまで、25℃で、磁気撹拌器を使用して300rpmで60分間混合する。続いて、16.1グラムのポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)(418005、Sigma Aldrich)を添加し、混合物を25℃で30分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を立方体の型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。25℃での硬化は、72時間を要する。続いて、ゲル組成物を型から取り出すと、使用する準備が整う。
【0113】
実施例3:2つの疎水性組成物及び接着剤層を含む多層ゲル組成物の作製:
250mLの丸底フラスコに、21グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び18グラムのDesmodur(登録商標)eco N7300(Covestro Germany)を添加し、75℃で、磁気撹拌器を用いて300rpmで20分間混合する。続いて、混合物を30℃まで冷却し、36グラムの香料組成物HC-A及び25グラムのミリスチン酸イソプロピルを加え、300rpmで40分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を丸形の型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。
【0114】
12時間後、250mLの丸底フラスコに、21グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び18グラムのDesmodur(登録商標)eco N7300(Covestro Germany)を添加し、75℃で、磁気撹拌器を用いて300rpmで40分間混合する。続いて、混合物を30℃まで冷却し、61グラムの香料組成物HC-Gを添加し、300rpmで40分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を香料組成物HC-Aを含む第1のゲル組成物層の上に注ぐ。
【0115】
10時間後、250mLの丸底フラスコに、86.15グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び13.85グラムのポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート)(418005,Sigma Aldrich)を添加し、75℃で、磁気撹拌器を用いて300rpmで45分間混合する。次に、混合物を30℃まで冷却し、磁気棒を除去し、5グラムの組成物を香料組成物HC-Gを含む第2のゲル組成物層の上に注ぐ。続いて、ゲル組成物を型から取り出すと、使用する準備が整う。
【0116】
24時間後、多層ゲル組成物を使用する準備が整う。異なる層を明確に区別するために、異なるゲル組成物に着色剤を添加して、視覚効果を高めることができる。
【0117】
実施例4:芳香剤を含むゲル組成物の作製:
250mLの丸底フラスコ内に、ヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び疎水性組成物を加え、均質な溶液が形成されるまで、25℃で、磁気撹拌器を使用して300rpmで30分間混合する。続いて、Desmodur(登録商標)eco N7300を添加し、混合物を25℃で30分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を星形の型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。120時間後、弾性率及び相関長を上記で説明した方法によって決定する。相関長に関しては、1/I(Q)をQ2に対してプロットし、直線をq=0.07~0.2Å-1から当てはめる。当てはめられた傾斜及び切片から、各試料に関する相関長を計算し、値を以下に示す。全ての場合において、透明のゲル組成物が得られる。
【0118】
【0119】
実施例5:長期持続放出
実施例4のゲル組成物の放出は、制御された温度(25℃)及び湿度(65%)の部屋での経時的な重量差によって測定され、以下の式を使用して計算された:
【0120】
【数3】
式中、
初期重量は、ゲル組成物を型から取り出した後のゲル組成物のグラム単位の重量である。
nは、ゲル組成物が空気に曝露された日数である
n日目の重量は、n日目のゲルのグラム単位の重量である
【0121】
【0122】
所与のポリオール:架橋剤比の場合、ネットワークの相関長が高いほど、香料の放出が速くなる。
【0123】
実施例6
250mLの丸底フラスコに、18.9グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び22.7グラムのDesmodur(登録商標)eco N7300(Covestro Germany)を添加し、75℃で、磁気撹拌器を用いて300rpmで40分間混合する。続いて、混合物を25℃まで冷却し、58.4グラムの香料組成物HC-Hを加え、300rpmで50分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。ゲル組成物は38時間後に硬化する。
【0124】
実施例7
250mLの丸底フラスコに、18.9グラムのヒマシ油(94481、Guinama、Spain)及び37.8グラムのDesmodur(登録商標)eco N7300(Covestro Germany)を添加し、75℃で、磁気撹拌器を用いて300rpmで40分間混合する。続いて、混合物を25℃まで冷却し、43.3グラムの香料組成物HC-Hを加え、300rpmで50分間混合する。磁気棒を除去し、組成物を型に注ぎ込み、硬化中に芳香剤が蒸発するのを避けるために閉じる。ゲル組成物は48時間後に硬化する。
【0125】
本明細書において開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。