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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220209BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220209BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220209BHJP
   H02J 50/50 20160101ALI20220209BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20220209BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J7/02 F
H02J50/10
H02J50/50
H02J50/80
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020002616
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2020114169
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】62/791,587
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/424,331
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ナレンドラ エス メータ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン シー テリー
(72)【発明者】
【氏名】ロハン ダヤール
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061468(JP,A)
【文献】特開2007-116369(JP,A)
【文献】特開2012-196126(JP,A)
【文献】特開2009-219330(JP,A)
【文献】特開2001-069388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 50/10
H02J 50/50
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス送電デバイスを有し、バッテリケースに取り外し可能に取り付けられたワイヤレス受電デバイスを有するシステムにおいて動作可能なバッテリケースであって、
バッテリと、
第1のコイルと、
第2のコイルと、
前記第1のコイルと第2のコイルとの間に連結されたスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を(1)開状態及び(2)閉状態に選択的に配置するように構成された制御回路と、を備え、
前記閉状態において、前記第1及び第2のコイルが共に短絡されており、電力が前記ワイヤレス送電デバイスから前記第1のコイルによってワイヤレスで受け取られ、所与の電流を前記第1のコイルを流れるように誘導し、前記所与の電流を前記第2のコイルに流れさせ、前記第2のコイルは前記ワイヤレス受電デバイスにワイヤレスで前記電力を提供し、前記開状態において、電力が前記ワイヤレス受電デバイスから前記第2のコイルによってワイヤレスで受け取られ、前記バッテリを充電するように構成されている、バッテリケース。
【請求項2】
前記制御回路は、前記バッテリを充電するために前記ワイヤレス送電デバイスから電力をワイヤレスで受け取るために前記第1のコイルを使用しながら、前記スイッチング回路を前記開状態にするように構成されている、請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項3】
前記制御回路は、前記バッテリから前記第2のコイルを介して前記ワイヤレス受電デバイスに電力をワイヤレスで伝送するために前記第2のコイルを使用しながら、前記スイッチング回路を前記開状態にするように構成されている、請求項2に記載のバッテリケース。
【請求項4】
前記第1のコイルが第1及び第2の端子を有し、前記第2のコイルが第1及び第2の端子を有し、前記スイッチング回路が、
前記第1のコイルの前記第1の端子に接続された第1の端子、及び前記第2のコイルの前記第1の端子に接続された第2の端子を有する第1のスイッチと、前記第1のコイルの前記第2の端子に接続された第1の端子、及び前記第2のコイルの前記第2の端子に接続された第2の端子を有する第2のスイッチと、を含む、請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項5】
前記閉状態において、前記スイッチング回路が、前記第1のコイルの第1の端子を前記第2のコイルの第1の端子に短絡させ、前記第1のコイルの第2の端子を前記第2のコイルの第2の端子に短絡させて、前記所与の電流が前記第1及び第2のコイルを通って直列に流れる、請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項6】
前記バッテリを取り囲む筐体を更に備え、前記第1のコイルが前記バッテリの第1の側の前記筐体内に配置され、前記第2のコイルが前記バッテリの対向する第2の側の前記筐体内に配置される、
請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項7】
前記ワイヤレス受電デバイスがセルラー電話を含み、前記筐体が前記セルラー電話を受容するように構成されている、請求項6に記載のバッテリケース。
【請求項8】
前記第2のコイルは、前記セルラー電話が前記筐体内に受容されたときに、前記バッテリと前記セルラー電話との間に介在される、請求項7に記載のバッテリケース。
【請求項9】
前記制御回路が、前記スイッチング回路を前記開状態にして、電流が前記第1及び第2のコイルを通って直列に流れるのを防止するように構成されている、請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第2のコイルを使用して前記バッテリから前記ワイヤレス受電デバイスに電力をワイヤレスで伝送しながら、前記スイッチング回路を前記開状態にするように構成されている、
請求項1に記載のバッテリケース。
【請求項11】
前記スイッチング回路が前記開状態にある間、前記制御回路が、
前記制御回路が前記第1のコイルを使用して電力をワイヤレスで受け取る第1のモードと、
前記制御回路が前記第2のコイルを使用して電力をワイヤレスで伝送する第2のモードと、で動作するように構成されている、請求項1に記載のバッテリケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して電力システムに関し、より具体的には、ワイヤレス電力システムに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年5月28日に出願された米国特許出願第16/424,331号及び2019年1月11日に出願された米国仮特許出願第62/791,587号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス充電システムでは、ワイヤレス充電マットは、マットに置かれたポータブル電子デバイスに電力をワイヤレスで伝送する。ポータブル電子デバイスは、コイルと整流回路を有する。コイルは、ポータブル電子デバイス内のコイルと重なり合うワイヤレス充電マット内のコイルから交流ワイヤレス電力信号を受信する。整流回路は、受信した信号を直流電力に変換する。
【発明の概要】
【0003】
ワイヤレス電力システムは、ワイヤレス充電マット又は他のワイヤレス送電デバイスなどのワイヤレス充電デバイスを有する。セルラー電話、ウォッチ、及びアクセサリなどのバッテリ給電式電子デバイスは、ワイヤレス充電マットの充電面に置かれると、ワイヤレスで充電される。
【0004】
バッテリケースが、セルラー電話などのバッテリ給電式電子デバイス用に提供される。バッテリケースは、セルラー電話に取り外し可能に取り付けられる。セルラー電話を長時間使用する場合、バッテリケース内のバッテリが、セルラー電話用の補助電力を提供する。
【0005】
バッテリケースは、ワイヤレス充電マットに置かれると、ワイヤレスで充電される。いくつかの構成では、取り付けられたバッテリケースを有するセルラー電話が、ワイヤレス充電マットに置かれる。この状況で、セルラー電話をマットから効率的に充電するために、セルラー電話に取り付けられたバッテリケースは、バイパスモードで動作可能な回路を有する。
【0006】
バッテリケースは、筐体内に搭載された第1のコイルと第2のコイルを有する。筐体は、対向する第1面と第2面を有する。第1面は、充電面に面する筐体の一部によって形成される。第2面は、セルラー電話に面する筐体の一部によって形成される。第1のコイルが第1の面とバッテリとの間に配置され、第2のコイルが第2のコイルとバッテリとの間に配置されるように、バッテリケースのバッテリは筐体内に封入されている。
【0007】
一対のスイッチなどのスイッチング回路が、第1のコイルと第2のコイルとの間に連結される。開状態では、スイッチング回路は、第1及び第2のコイルを電気的に絶縁するので、コイルのうちの一方に流れる電流がスイッチを介して第2のコイルを流れることがない。閉状態では、スイッチング回路は、第1及び第2のコイルを共に短絡させる。閉状態では、第1のコイルを通って流れる電流は、第2のコイルにも直列に流れる。
【0008】
ケースは、スイッチング回路が開状態にある場合、ワイヤレス充電マットから第1のコイルを用いてワイヤレスで電力を受け取ることができる。このように受け取った電力は、ケース内のバッテリを充電するのに使用することができる。所望であれば、スイッチング回路を開状態にして、ケース内のワイヤレス送電回路が、第2のコイルを用いてセルラー電話にワイヤレスで電力を伝送するのが可能になる。閉状態では、スイッチング回路は、第1及び第2のコイルを共に短絡させ、ワイヤレス充電マットからの電力はバッテリをバイパスしてセルラー電話を充電する。閉状態では、第1のコイルは、ワイヤレス充電マットからワイヤレス電力信号を受信し、対応する電流が第1のコイルに誘導される。この電流は第2のコイルを流れ、それにより、対応するワイヤレス電力信号をセルラー電話に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態にかかるワイヤレス電力システムを説明するための概略図である。
図2】実施形態にかかるワイヤレス電力回路を説明するための回路図である。
図3】実施形態にかかる電子デバイス回路を説明するための概略図である。
図4】実施形態にかかるワイヤレス電力システムを説明するための回路図である。
図5】実施形態にかかるワイヤレス電力システムの使用に関連する動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ワイヤレス電力システムは、ワイヤレス電力を伝達する電子デバイスを備える。例示的なワイヤレス電力システム(ワイヤレス充電システム)の分解側面図を図1に示す。図1に示すように、ワイヤレス電力システム8は、電子デバイス10を備える。各電子デバイス10は、制御回路及びワイヤレス電力回路を含むことができる。電子デバイスはまた、入出力デバイス、バッテリ、及び/又は他の回路などの追加の部品を有してもよい。
【0011】
デバイス10は、電力アダプタ、ウォッチ、セルラー電話若しくは他のハンドヘルドデバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、イヤーバッド、電子ペンシル(例えば、スタイラス)、若しくはコンピュータマウスなどのアクセサリ、他のポータブル電子デバイス、及び/又は他の電子機器などの任意の好適な電子デバイスであってもよい。例として本明細書で時折説明される例示的な構成では、システム8は、第1の電子デバイス10A、第2の電子デバイス10B、及び第3の電子デバイス10Cを有する。電子デバイス10Aは、ワイヤレス充電マットなどのワイヤレス送電デバイスである。デバイス10Aは、筐体22Aのような筐体(例えば、充電されるデバイスが置かれる平らな上部充電面を有する筐体)を有する。電子デバイス10Cはセルラー電話などのポータブル電子デバイスであり、電子デバイス10Bはバッテリケースである。デバイス10Bは、凹部R及び/又はデバイス10Cの筐体22Cを受容するように構成された他の構造、を有する筐体22Bのような筐体を有する。このようにして、ユーザは、デバイス10Bとデバイス10Cがポータブルユニットとして一緒に使用できるように、デバイス10Cをデバイスに取り外し可能に取り付けることができる。筐体22Cは、(例として)平らな前面及び後面を有することができる。図1の向きで上向きに面する前面は、ディスプレイを有する。筐体22Cの後面は、デバイス10Bの筐体22Bに面している。
【0012】
落下事象などのストレスが発生する事象による損傷からデバイス10Cを保護しつつ、デバイス10Cに補助電力を提供するために、デバイス10Bはデバイス10Cに設置される(例えば、デバイス10Cの筐体22Cは、デバイス10Bの筐体22B内の対応する凹部R内に置かれる)。この位置では、デバイス10B及び10Cは、(例として)ユーザのポケットにいれて運ぶことができる。デバイス10Aからワイヤレス電力を受け取りたい場合、デバイス10B及びデバイス10Cは、デバイス10Cの充電面に一緒に置かれてもよい。
【0013】
デバイス10Aは、ワイヤレス電力コイル12などの1つ以上のワイヤレス電力コイルを有する。コイル12のようなコイルは、誘導ワイヤレス電力転送に使用されるため、誘導電力コイルと呼ばれる場合がある。ワイヤレス電力を伝送したい場合、交流電流がコイル12に印加され、それにより、対応する交流電磁界が生じる。このように伝送されるワイヤレス電力は、対応する近くのワイヤレス電力コイルにより受け取られる。図1に示すように、例えば、デバイス10Cは、デバイス10Bがない場合、コイル12から直接ワイヤレス電力を受け取ることができるコイル20のような少なくとも1つのワイヤレス電力コイルを有する。デバイス10Bは、コイル14及びコイル16のような2つのワイヤレス電力コイルを有する。
【0014】
バイパスモードで動作中、コイル14とコイル16は共に短絡される。共に短絡されている間、コイル12によって送信される交流電磁信号はコイル14によって受信される。コイル16は、この動作モードでコイル14に短絡されており、コイル16は、デバイス10C内のコイル20によって受信される電磁信号を発する。バッテリ18などの電気部品がコイル14とコイル16との間に介在されてもよい。コイル14とコイル16との間の短絡経路がない場合、ワイヤレス電力信号は、バッテリ18があることによって遮断される傾向があり得る。しかし、コイル14とコイル16が共に短絡されると、コイル14が受け取るワイヤレス電力は、コイル20が受け取るためにコイル16が送信するワイヤレス電力信号のように再び発せられる。結果として、コイル14とコイル16の短絡により、バッテリ18などの内部デバイス部品を効果的にバイパスすることができる。これは、バッテリ18などのデバイス10B内の部品がデバイス10Aからデバイス10Bへの電力の転送が遮断するのを防止するのに有用である。本明細書で使用するとき、コイル14とコイル16の短絡は、コイル14及びコイル16のそれぞれからの第1のリードと、コイル14及びコイル16のそれぞれからの第2のリードとの接続を指すものである。コイル14及びコイル16と直列に接続された1つ以上のスイッチは、2つのコイルを選択的に短絡させることができる。一緒に短絡されると、コイル14が受け取るワイヤレス電力により、直列にコイル16を流れるコイル14を流れるように所与の電流が誘導される(例えば、コイル14及びコイル16を通るループ内で交流信号が流れる)。実際に、短絡コイル14及び16は共に、一体型二部位コイル構造を形成する。バイパスモードでは、二部位コイル構造の第1の部位は交流電磁場を受け取り、交流(AC)電流を第1及び第2の部位を直列に流す。AC電流が第2の部位を流れている間、第2の部位が発する電磁場は、ワイヤレス受電デバイス10Cによって受け取られる。
【0015】
デバイス10Bの筐体22Bは、対向する平面を有してもよい。デバイス10Bの筐体の第1面は、デバイス10Bが充電のためにデバイス10Aに置かれたときに、デバイス10Aの上部充電面に面し得る。デバイス10Cがデバイス10Bに取り付けられた場合、デバイス10Bの筐体の対向する第2面は、筐体22Cの下面に面してもよい。バッテリ18は、(例として)平面形状を有してもよい。図1に示すように、バッテリ18は、デバイス10Bの筐体22Bの対向する第1面と第2面との間に位置する。コイル14は、バッテリ18と筐体22Bの(デバイス10Aに面する)第1面との間に配置される。コイル16は、バッテリ18と筐体22Bの(デバイス10Cに面する)第2面との間に配置される。この実施形態では、バッテリ18はコイル14とコイル16との間に介在する。
【0016】
図1のデバイス10は電力を伝送してもよく、かつ/又はワイヤレス電力を受け取ってもよい。デバイス10の中で使用することができる種類の例示的なワイヤレス電力回路を、図2に示す。図2のワイヤレス電力回路は、ワイヤレス送電機TX及びワイヤレス受電機回路RXを含む。動作中、ワイヤレス電力信号44は回路TXによって送信され、回路RXによって受信される。図2の実施形態では、ワイヤレス電力は、コイル36からコイル82に単一方向に転送される。所望であれば、ワイヤレス電力を双方向に転送できるように(例えば、第1の受信機回路で受信するために、第1の送信機回路がコイル36からコイル82に電力を伝送することができるようにし、また、第2の受信機回路で受信するため、第2の送信機回路がコイル82からコイル36に電力を伝送できるようにするために)、追加の送信機及び受信機回路を設けてもよい。図2の一方向性送電回路は例示的なものである。
【0017】
図2に示すように、回路TXはインバータ回路80を含む。制御回路はインバータ回路80に制御信号を供給する。インバータ回路80は対応する交流駆動信号をコイル36に供給する。コンデンサ70などの回路構成要素は、図2に示すようにコイル36と直列に連結されてもよい。交流電流信号が、コイル36に供給されると、対応する交流電磁信号(ワイヤレス電力信号44)が受信機回路RX内の例示的なコイル82などの近くのコイルに送信される。これにより、コイル82内の対応する交流(AC)電流信号が誘導される。コンデンサ72のようなコンデンサは、コイル82と直列に連結することができる。整流器50は、コイル82からAC電流を受け取り、出力端子76において対応する直流電力(例えば、直流電圧Vrect)を生成する。この電力は、負荷に給電するのに使用され得る。
【0018】
双方向ワイヤレス電力システムでは、インバータ80などのワイヤレス送電回路及び受信機50などのワイヤレス受電回路は、共通コイルに連結されてもよい。これにより、(ワイヤレス受電回路がアクティブである場合に)ワイヤレス電力を受け取る際に、(ワイヤレス送電回路がアクティブである場合に)ワイヤレス電力を伝送する際に同一のコイルを使用することができる。一対のコイル(例えば、コイル14及びコイル16を参照)が共にスイッチング回路と選択的に連結される構成も使用することができる。図2の回路は、デバイス10A、10B及び/又は10Cで使用されてもよい(例えば、コイル36及び/又はコイル82は、図1のコイル12、14、16及び/又は20などのコイルを用いて実装されてもよい)。
【0019】
図3は、システム8の各デバイス10において使用され得る例示的な回路を示す概略図である。図3の回路は、所与のデバイスにおいて全て使用される必要はない。例えば、図3のデバイス10の回路の一部は、デバイス10Aで使用されてもよいが、デバイス10B及び10Cでは使用されなくてもよい。デバイス10Aは、例として、主電源(例えば、壁コンセント)にケーブルで連結されたワイヤレス充電マットであってもよい。この構成では、デバイス10Aは、交流(AC)主電力を、デバイス10Aが使用する直流(DC)電力に変換するためにAC-DCコンバータ90などの交流-直流電力変換器を使用してもよいが、AC-DCコンバータ90などの回路は、デバイス10B及びデバイス10Cから省略されてもよい。所望であれば、デバイス10A並びに/又はデバイス10B及び10Cは、他の種類の電源を含んでもよい。例えば、デバイス10A、デバイス10B、及び/又はデバイス10Cは、バッテリ92などのバッテリを含んでもよい。
【0020】
デバイス10A、10B、及び10Cは、ワイヤレス送電機回路TX及び/又はワイヤレス受電機回路RXなどのワイヤレス電力回路96を含んでもよい。例えば、デバイス10Aは、送信機回路TXのみを含み、受信機回路RXを含まなくてもよい。デバイス10Cは、デバイス10Aから、かつ/又はデバイス10Bから電力を受け取るための受信機回路RXのみを含んでもよいし、あるいは、所望であれば、(デバイス10A及び/又はデバイス10Bから電力を受け取るための)受信機回路RX、及び(一対のイヤーバッド、電子スタイラス、又は他の電子デバイスなどの電子デバイス10に電力を伝送するため、かつ/又はデバイス10Bに電力を伝送するための)送信機回路TXの両方を含んでもよい。デバイス10Bは、(例えば、デバイス10B内のバッテリを充電するためにデバイス10Aから電力を受け取り、かつ所望であれば、デバイス10Cから電力を受け取るための)回路RXを含んでもよく、(例えば、デバイス10B及びデバイス10Cが共に連結されており、デバイス10Cがデバイス10Bから補助電力を要求する場合に、デバイス10B内のバッテリからデバイス10Cに電力を伝送するための、かつ/又はデバイス10B内のバッテリから他の電子デバイスに電力を伝送するための)回路TXを含んでもよい。所望であれば、他の構成(例えば、デバイス10Aがワイヤレス受電機回路RXなどを含む構成)を使用することもできる。ワイヤレス送電機回路TX及びワイヤレス受電機回路RXは、図2のコイル36及びコイル82に関連して説明したコイルを含む。
【0021】
デバイス10A、デバイス10B、及びデバイス10Cは、図3のデバイス10の制御回路104によって示されるような制御回路を含む。制御回路104は、デバイス10A、10B、及び10Cの動作を制御するのに使用される。この制御回路は、マイクロプロセッサ、電力管理ユニット、ベースバンドプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、及び/又は処理回路を有する特定用途向け集積回路に関連付けられた処理回路を含み得る。処理回路は、デバイス10A、10B、及び10C内に所望の制御及び通信機能を実装する。例えば、処理回路は、コイルの選択、送電レベルの判定、センサデータ及び他のデータの処理、ユーザ入力の処理、デバイス間の交渉の対処、帯域内データ及び帯域外データの送信及び受信、測定、その他の方法でシステム8の動作を制御する際に使用される場合がある。
【0022】
制御回路104などのシステム8内の制御回路は、ハードウェア(例えば、専用のハードウェア又は回路)、ファームウェア及び/又はソフトウェアを用いて、システム8で動作を実行するように構成されてもよい。システム8内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、制御回路104内の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、有形のコンピュータ可読記憶媒体)に記憶される。ソフトウェアコードは、時に、ソフトウェア、データ、プログラム命令、命令、又はコードと呼ばれることがある。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)などの不揮発性メモリ、1つ以上のハードドライブ(例えば、磁気ドライブ若しくはソリッドステートドライブ)、1つ以上のリムーバブルフラッシュドライブ、又は他のリムーバブル媒体、などを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアは、制御回路104の処理回路で実行されてもよい。処理回路は、処理回路を有する特定用途向け集積回路、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、又は他の処理回路を含むことができる。
【0023】
電子デバイス10A、10B、及び10Cは、図3の入出力デバイス94によって示されるような入出力回路を含むことができる。入出力デバイス94は、光ベースのデバイス(例えば、ディスプレイ、発光ダイオード又は他の発光体から形成された状態表示灯、周囲光センサ、画像センサ、光近接センサ、光線を投影する発光体及び、投影された光線が物体に当たる点を検出する対応する画像センサから形成された3次元画像センサ、カメラフラッシュ構成要素、並びに/又は光を放出及び/又は検出する他の回路)、高周波回路(例えば、レーダ回路及び/又は物体の位置及び動きを検出するための他の高周波回路などの高周波回路)、音響構成要素(例えば、集音用のマイク及び放音用のスピーカ)、振動及び他の触覚出力を提供するための触覚出力デバイス、タッチセンサ、ボタン、力センサ、ジョイスティック、ノブ、温度センサ、ガスセンサ、及び/又はユーザ入力を検出し、環境データを測定するための他の回路を含むことができる。
【0024】
電子デバイス10A、10B、及び10Cは、任意の好適な電子デバイスであってもよい。例えば、デバイス10Aは、スタンドアロン型電源アダプタ(例えば、電源アダプタ回路を含むワイヤレス充電マット)であってもよいし、電源アダプタ若しくはケーブルによって他の機器に連結されたワイヤレス充電マットであってもよいし、ポータブルデバイスであってもよいし、家具、車両、若しくは他のシステムに組み込まれた機器であってもよいし、あるいは他のワイヤレス電力転送機器であってもよい。デバイス10Aがワイヤレス充電マットなどのワイヤレス送電デバイスである例示的な構成を、時折、例として本明細書で説明する。電子デバイス10Bは、補助バッテリパックであってもよい。例えば、デバイス10Bは、デバイス10Cなどの電子デバイス及び/又は他の電子デバイスに補助バッテリ電力を提供するための、バッテリ92のようなバッテリを含み得る。デバイス10Bがバッテリケース(場合によっては、補助エンクロージャ、取り外し可能なケース、又は取り外し可能なバッテリケースと呼ばれる場合もある)である例示的な構成を、本明細書では、時折、例として説明する。電子デバイス10Cは、セルラー電話又は他のポータブル電子デバイス(例えば、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウォッチデバイス、ヘッドホン、イヤーバッド、スタイラス、又は他の電子デバイス)であってもよい。本明細書では、時折、デバイス10Cがセルラー電話である例示的な構成を例として説明する。
【0025】
デバイス10A、10B、及び/又は10Cは、図3のデバイス10の通信回路102のようなワイヤレス通信回路を含み得る。ワイヤレス通信回路は、デバイス10A、10B、及び/又は10Cによって使用されて、これらのデバイス(又はこれらのデバイスのサブセット)が、帯域内通信又は帯域外通信を用いてワイヤレスで通信するのを可能にする。回路102は、例えば、アンテナを用いて帯域外信号を外部デバイスにワイヤレスで送信するワイヤレス送受信機回路(例えば、ワイヤレス送信機)を有してもよい。回路102はまた、アンテナを用いて外部デバイスから帯域外信号をワイヤレスで受信するために使用されるワイヤレス送受信機回路(例えば、ワイヤレス受信機)を有することができる。
【0026】
ワイヤレス通信回路102は、1つ以上のコイル(例えば、送信機回路TX及び/又は受信機回路RX内のコイル)を使用して、帯域内信号を送信及び/又は受信することができる。デバイス10A、10B及び/又は10C間の帯域内通信をサポートするために、任意の好適な変調方式を使用することができる。1つの例示的な構成では、周波数偏移変調(FSK)は、送電回路から受電回路に帯域内データを伝達するのに使用される(例えば、ワイヤレス電力信号の周波数は、電力が送電回路から受電回路に送信されるときに変調される場合があり、振幅偏移変調(ASK)は、ワイヤレス受電回路からワイヤレス送電回路に帯域内データを伝達するのに使用される。これらのFSK送信及びASK送信中に、デバイス間においてワイヤレスで電力を伝達することができる。所望であれば、他の種類の帯域内通信を使用することもできる。
【0027】
ワイヤレス送電動作中、制御回路104は、送信機回路TX内のインバータ回路を駆動して、所与の送電周波数で1つ以上のコイルにAC駆動信号を供給する。送電周波数は、例えば、約125kHzの所定の周波数、少なくとも80kHz、少なくとも100kHz、500kHz未満、300kHz未満、又は他の好適なワイヤレス電力周波数であってもよい。いくつかの構成では、送電周波数は、デバイス間の通信において交渉され得る。他の構成では、送電周波数を固定してもよい。
【0028】
ワイヤレス送電デバイス(例えば、システム8のデバイス10のうちの1つ)とのワイヤレス電力転送動作中、送電機回路TXが、コイルのうち1つ以上の中にAC信号を駆動して、送電周波数のワイヤレス信号44を生成している間に、通信回路102は、FSK変調を使用して駆動AC信号の送電周波数を変調し、それによって信号44の周波数を変調する。ワイヤレス受電デバイス(例えば、システム8内のデバイス10のうち別のもの)では、信号44を受信するためにコイルが使用される。受電機回路RXは、コイルでの受信信号と、回路RX内の整流回路を使用して、DC電力を生成する。同時に、受電デバイス内のワイヤレス送受信機回路は、FSK復調を使用して、送信された帯域内データを信号44から抽出する。このアプローチにより、コイルを用いてデバイス10間で電力を同時にワイヤレスで伝達されている間に、コイルによるデバイス10間におけるFSKデータ(例えば、FSKデータパケット)の帯域内送信が可能になる。
【0029】
デバイス10間の帯域内通信は、ASK変調及び復調技法を使用することもできる。ワイヤレス受電デバイス(例えば、デバイス10のうちの1つ)内のワイヤレス送受信機回路は、スイッチ(例えば、ワイヤレス受電機コイルに連結された1つ以上のトランジスタ)を用いて、帯域内データをワイヤレス送電デバイス(例えば、デバイス10のうち別のもの)に送信し、ワイヤレス受電デバイスの受電機回路RXのインピーダンスを変調する。次いで、これにより、信号44の振幅、及び送信コイル(単数又は複数)を通過するAC信号の振幅を変調する。ワイヤレス送電デバイスのワイヤレス送受信機回路は、ワイヤレス送電コイル(単数又は複数)を通過するAC信号の振幅を監視し、ASK復調を用いて、ワイヤレス受電デバイスのワイヤレス通信回路内のワイヤレス送受信機回路によって送信されたこれらの信号から、送信された帯域内データを抽出する。ASK通信を使用することにより、電力が送電デバイスから受電デバイスに同時にワイヤレスで伝達されている間に、ASKデータビット(例えば、ASKデータパケット)を受電デバイスから送電デバイスへ帯域内送信することが可能になる。
【0030】
所望であれば、デバイス10A、10B及び/又は10C(例えば、図3のデバイス10)の制御回路104は、デバイス10に関連付けられた充電面又は他のワイヤレス電力出力領域上の外部物体を検出する外部物体測定回路100(異物検出回路又は外部物体検出回路と呼ばれることもある)を有することができる。回路100は、コイル、ペーパークリップ、及び他の金属物体などの異物を検出することができ、ワイヤレス送電回路の近傍におけるワイヤレス受電デバイスの存在を検出することができる。物体検出及び特徴付け動作中、外部物体測定回路100を使用して、デバイス10内のコイルの測定を行い、外部電子デバイスがデバイス10の上に、又は(例えば、デバイス10の筐体の表面に触れる)その近くに存在するかどうかを判定することができる。
【0031】
例示的な構成では、制御回路104の測定回路100は、信号発生器回路(例えば、1つ以上のプローブ周波数のACプローブ信号を生成するための発振器回路、パルス発生器など)と信号検出回路(例えば、フィルタ、アナログ-デジタルコンバータ、インパルス応答測定回路など)を含む。測定回路100から信号を受信するコイルの特性は、異物がそのコイル(例えば、コイン、ワイヤレス受電デバイスなど)と重なるかどうかに依存し、また、コイルを有するワイヤレス受電デバイスが存在するかどうかにも依存し、これは、コイルの測定インダクタンスを増加させ得る。信号測定回路100は、コイルに信号を印加し、対応する信号応答を測定するように構成される。例えば、信号測定回路100は、コイルに連結されたノードにおいて得られた信号を監視しながら、交流プローブ信号を印加することができる。別の例として、信号測定回路100は、コイルにパルスを印加し、得られたインパルス応答を測定する(例えば、コイルのインダクタンスを測定する)ことができる。測定回路100からの測定値を用いて、デバイス10は外部物体がデバイス10のコイル(単数又は複数)上に存在するかどうかを判定することができる。
【0032】
所望であれば、デバイスのコスト及び複雑さを低減するのに有用であるので、図3のデバイス10内の測定回路100及び/又は他の回路は、デバイス10A、10B、及び/又は10Cのうちの1つ以上から省略されてもよい。例えば、デバイス10Aは、エネルギーを蓄積するのに有用なバッテリを有してもよいし、バッテリ92は、コストを低減するために、(例えば、デバイス10Aが主電力を受け取るためのAC-DC電力コンバータ90を有する実施形態では)デバイス10Aから省略されてもよい。コンバータ90は、所望であれば、空間を節約し、それらのデバイスのコスト及び複雑さを低減するために、デバイス10B及び10Cから省略されてもよい。実施形態では、測定回路100はデバイス10Aに含まれ、デバイス10B及び10Cから省略される。デバイス10Cがワイヤレス送電機回路TXを有する実施形態では、デバイス10Cは測定回路100を含み得る。デバイス10Cがワイヤレス送電機回路TXを含まない実施形態では、デバイス10Cは(例として)測定回路100を含む必要はない。
【0033】
通信回路102は同様に、デバイス10A、10B、及び/又は10Cのうちの1つ以上に組み込まれ、かつ/又はそれから省略されてもよい。一部の実施形態では、デバイス10A、10B、及び10Cのうちの所与の1つは、送信機回路TXのみ、又は受信機回路RXのみを含む。所望であれば、デバイス10A、10B、及び/又は10Cのうちの1つ以上は、送信機回路TX及び受信機回路RXを含んでもよい。
【0034】
図4は、デバイス10A、10B、及び10Cがシステム8内でどのように一緒に使用され得るかを示す回路図である。図4に示す実施形態では、デバイス10A及び10Bは電磁的に連結されている(例えば、デバイス10Aのコイル120は、デバイス10Bのコイル122と電磁的に連結されている)。デバイス10B及び10Cはまた、電磁的に連結されている(例えば、デバイス10Bのコイル124は、デバイス10Cのコイル126と電磁的に連結されている)。デバイス10Aでは、ワイヤレス電力をコイル120からデバイス10Bに伝送できるように、図3のワイヤレス電力回路96などのワイヤレス電力回路(例えば、ワイヤレス送電機回路TX)がコイル120に連結されている。伝送された電力はコイル122で受電される。デバイス10Cでは、図3のワイヤレス電力回路96(例えば、ワイヤレス受電機回路RX及び任意選択的にワイヤレス送電機回路TX)などのワイヤレス電力回路がコイル126に連結されている。デバイス10Bからデバイス10Cにワイヤレス電力を伝送したい場合、ワイヤレス信号をコイル126に送信するのにコイル124を使用することができる。デバイス10Cのワイヤレス受電機回路RX内の整流器は、受信信号を整流し、デバイス10Cの構成要素用のDC電力を生成する。デバイス10Bが存在しない実施形態では、ワイヤレス電力を、デバイス10Aのコイル120からデバイス10Cのコイル126に伝送することができる。デバイス10C内の任意のワイヤレス送電機回路を使用して、(例えば、デバイス10Bに、かつ/又はイヤーバッド及び他のアクセサリなどの他の電子デバイスに)ワイヤレス電力を伝送することができる。
【0035】
図4に示すように、デバイス10Bは回路130(制御回路又は制御電力回路と呼ばれることもある)を有する。回路130は、制御回路(例えば、図3の回路104を参照)と、電力回路(例えば、図3のワイヤレス電力回路96及びバッテリ92を参照)と、任意選択の入出力回路(例えば、図3の入出力デバイス94を参照)とを含む。動作中、制御回路130は、1つ以上のスイッチから形成されたスイッチング回路128に制御信号を供給する。スイッチング回路128は、コイル122とコイル124との間に連結される。スイッチング回路128は、例えば、コイル122の第1の端子とコイル124の第1の端子との間に介在される第1のスイッチと、コイル122の第2の端子とコイル124の第2の端子との間に介在される第2のスイッチと、を含み得る。この構成により、フルブリッジ整流器トポロジを回路130の整流回路に使用することが可能になる。所望であれば、第2のスイッチを省略することができる(例えば、コイル122の第2の端子は、コイル124の第2の端子に短絡されてもよい)。
【0036】
スイッチング回路128は、回路130が制御ポートCPを介してスイッチング回路128に供給する制御信号によって制御される。回路130はまた、ポートPP1と、ポートPP1をコイル122に連結する信号線140と、ポートPP2と、ポートPP2をコイル124に連結する信号線142とを有する。
【0037】
図4のシステム8の例示的な動作モードを図5に示す。システム8の制御回路は、図5の動作モード間でいつ移行するかを決定する際に使用される。例えば、デバイス10B内の制御回路は、スイッチング回路128をいつ開閉すべきかを決定でき、デバイス10Bがデバイス10Cに連結されているかどうか、及び/又はデバイス10Bがいつデバイス10Aに連結されているかを監視することによって、デバイス10Bの動作にその他の変更を行うことができる。実施形態では、デバイス10Bは、測定回路100と、任意選択的に帯域内通信回路又は他の回路などの通信回路とを使用し、デバイス10Bのコイルがいつ他のデバイスのコイルに電磁的に連結されているかを判定する。デバイス10Bが近くのデバイス(例えば、デバイス10C)を検出した場合、デバイス10B及びデバイス10Cは通信し、電力がデバイス10Bからデバイス10Cなどにワイヤレスで伝送されるべきかどうかを判定することができる。デバイス10Bは、デバイス10A及びデバイス10Cと独立して通信して、満足のいく動作モードを判定することができ、かつ/又はデバイス10Aとデバイス10Cとの間の通信を監視することができる。(例えば、デバイス10A、デバイス10B、及び/若しくは10C並びに/又は通信回路内の測定回路100によって検出されて)デバイス10Bがデバイス10Aから取り外された場合、(例えば、デバイス10Bがデバイス10Cとの帯域内通信リンクなどの通信リンクを確立できるように)リセット動作を実行することができる。
【0038】
モード134の動作中に、スイッチング回路128は開状態に置かれ、それによってコイル122及び124を電気的に絶縁する。このモードでは、コイル122内を流れる電流はコイル124をまったく流れず、コイル124内を流れる電流はコイル124をまったく流れない。コイル122はコイル124から絶縁されているので、コイル122は、線140及びポートPP1を介して回路130内の整流回路に渡されるコイル120からのワイヤレス電力を受け取ることができ、かつ/又はコイル124は任意選択的に、線142及びポートPP2を介して回路130内の整流回路に渡されるコイル126からのワイヤレス電力を受け取ることができる。実施形態では、デバイス10A(例えば、充電マット)は、デバイス10B(例えば、バッテリケース)に、コイル122及び回路130を用いて受電され、バッテリ132(例えば、バッテリケースの筐体内に搭載された補助バッテリ)を充電するために使用されるワイヤレス電力を供給する。
【0039】
モード136の動作中、デバイス10B(例えば、バッテリケース)は、デバイス10A(例えば、充電マット)からワイヤレス電力を受け取っておらず、デバイス10Aは存在する必要はない(例えば、デバイス10B及びセルラー電話又は他のデバイス10Cは、共に連結されてもよいし、ユーザのポケット内で運ばれてもよいし、又はそうでなければデバイス10Aから遠くに配置されてもよい)。このモードでは、デバイス10B(例えば、バッテリケース)は、バッテリ132に蓄積されたエネルギーを使用して、デバイス10C(例えば、デバイス10Bに取り付けられたセルラー電話)をワイヤレスで充電することができる。これらの動作中、スイッチング回路128は開状態に置かれ、ワイヤレス電力は回路130内のワイヤレス送電機回路TX及びコイル124によって伝送される。このようにワイヤレスで伝送された電力は、コイル126と、デバイス10C内のコイル126に連結されたワイヤレス受電機回路RXによって受電される。
【0040】
一部の状況では、デバイス10Cは、デバイス10Bに物理的に連結され(例えば、セルラー電話がバッテリケース内に設置され)、電話及びケースはデバイス10Aの充電面(例えば、充電マット)に置かれる。このシナリオでデバイス10Aからデバイス10Cに電力を効率的に提供するために、システム8はモード138で動作される。パススルーモード又はバイパスモードと呼ばれることもあるモード138の動作中に、デバイス10Bの回路130内の制御回路は、スイッチング回路128を閉状態にする(例えば、回路128の第1及び第2のスイッチはいずれも閉じられているので、コイル122の第1の端子がコイル124の第1の端子に短絡されており、コイル122の第2の端子がコイル124の第2の端子に短絡される)。コイル122及び124がこのように共に短絡されると、電流はコイル122及び124を直列に流れる(例えば、コイル122を流れる同じ電流がコイル124にも流れる)。
【0041】
モード138の間、コイル120からコイル122にワイヤレス電力が伝送されると、対応する交流がコイル122に誘導される。コイル124がコイル122に短絡されるため、この交流はコイル124を流れる。コイル122を流れる交流がコイル124に流れると、電磁信号(例えば、ワイヤレス電力)がコイル124からコイル126に送信され、デバイス10Cのワイヤレス受電機回路RXによって受信される。
【0042】
図1の例におけるバッテリ18の両側のコイル14及び16が示すように、図4のコイル122及び124は、バッテリ132の両側に置かれてもよい。この構成は、デバイス10Aのコイル120とデバイス10Bのコイル122との間の電磁的連結を促進にし、デバイス10Bのコイル124とデバイス10Cのコイル126との間の電磁的連結を促進にする。結果として、デバイス10Aによって伝送される電力は、デバイス内のバッテリ132及び中間のAC変換工程をバイパスして、デバイス10Cに効率的に伝達される。
【0043】
所望であれば、スイッチング回路128が閉状態にある間に、システム8を逆に動作させてもよい。例えば、デバイス10Cは、ワイヤレス送電機を使用して、コイル122及び124が共に短絡されている間にコイル126からコイル124に電力を伝送することができ、アクセサリ又はコイル120などのコイルを有する他のデバイス内のコイルは、コイル122から伝送される対応するワイヤレス電力を受け取ることができる。この構成により、デバイス10Cからデバイス10A又はイヤーバッド、電子スタイラス、ヘッドホン、及び/又はコンピュータマウスなどの別の電子デバイスにエネルギーを転送することが可能になる。
【0044】
実施形態では、回路130は、スイッチング回路128が閉じられているとき、コイル122又はコイル124が受け取るワイヤレス電力を整流しない、又は別の方法でタッピング(tap)しない。別の実施形態では、回路130内の整流回路は、コイル122が受け取る電力の一部をタッピングする(例えば、このように受け取った電力の一部は、電力がデバイス10Aからデバイス10Cにバイパスモードで転送されている間に、回路130が使用するDC電力に変換される)。回路130は、例えば、受け取った電力の一部をタッピングして、バッテリ132の充電に使用する、かつ/又はデバイス10Aが(例えば、デバイス10C内のバッテリを充電するために)デバイス10Cにワイヤレス電力を供給している間に、入出力回路若しくは他の負荷回路に電力を供給することができる。
【0045】
デバイス10Bの通信回路(例えば、FSK及び/若しくはASKデコーダ回路、又は他の帯域内通信回路及び/若しくは帯域外通信回路)は、(例えば、回路128が閉じられている間に、デバイス10Aがデバイス10Cに伝送する電力量を動的に調節するために、デバイス10Cがデバイス10Aに制御信号を提供できるように)デバイス10A及び10Cが動作せずに通信することを可能にすることができる。例えば、スイッチング回路128が閉状態にあるときはいつでも、デバイス10A及び10Cは、ASK及び/又はFSK通信などの帯域内通信を用いて直接通信し、スイッチング回路128を介してコイル124及び122を直列に接合することによって形成された組合わせコイルを信号が通過できるようにすることができる。
【0046】
実施形態では、デバイス10Bの通信回路は、デバイス10Aとデバイス10Cとの間の通信トラフィックを監視するか、又は別の方法でデバイス10A及び/又は10Cと通信する。デバイス10Bは、例として、デバイス10Aと10Cとの間の通信を監視することによって、かつ/又は情報のためにデバイス10A及び/若しくは10Cを照会することによって、システム8の状態に関する情報を収集することができる。この情報は、例えば、充電状態情報、動作温度制限又は他の制約が満たされることを確実にするためにデバイス10Aが低減された電力量を伝送しているか、潜在的な障害が存在するか、それとも存在しないか、電力が伝送されているか、それとも伝送されていないか、システム8内の1つ以上のバッテリの充電量に関する情報(例えば、低、中、又は高)、及び/又はシステム8の動作状態に関する他の情報を含むことができる。この情報は、デバイス10A、デバイス10B、及び/又はデバイス10C内の入出力デバイスを用いてシステム8のユーザに提示されてもよい。
【0047】
実施形態では、デバイス10Bは、入出力デバイス(発光ダイオードなどの状態表示灯、ディスプレイ、スピーカ、振動器又は他の触覚出力デバイス、他の出力構成要素など)を有し、これらの入出力デバイスは状態情報をユーザに供給する。状態情報は、視覚状態情報(例えば、発光ダイオード又は他の視覚出力デバイスが示すバッテリ充電状態又はワイヤレス充電状態)として、可聴出力(例えば、システム8が充電されているか、又はバッテリが完全に若しくは部分的に充電されているかを示すトーン)として、触覚出力(例えば、バッテリ充電が開始若しくは停止したことなどを示す振動)として提供されてもよく、かつ/又はシステム8の動作に関する情報をユーザに伝達するために他の好適な出力として提供されてもよい。
【0048】
前述は、電力転送を制御すべく、充電状態、充電速度などの情報を提供するために帯域内通信(例えば、ASK)を使用するワイヤレス充電技術について説明している。本技術の実施形態を動作させるために、個人情報を送信する必要はない。しかし、ASKなどの通信技術はビットワイズ情報を通信するため、本技術の作成者が、ワイヤレス送電を実行するのに必要とされる情報を超える情報を通信することは技術的に可能である。
【0049】
プライバシーに関する懸念を暗示し得る情報を送信するために本技術が活用される範囲では、ユーザが個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを選択的にブロックするためのハードウェア及び/又はソフトウェア要素を提供することができる。例えば、ワイヤレス充電マット上にユーザ自身らの電話が配置されると、ワイヤレス充電セッションが継続される場合、個人情報データがアクセスされることをユーザに通知してもよい。
【0050】
個人特定可能な情報の使用は、ユーザのプライバシーを維持するための業界又は政府の要件を満たす又は上回ると一般に認識されているプライバシーポリシー及びプラクティスに従うべきであることに十分に理解されたい。個人特定可能な情報データは、意図しない若しくは許可されていないアクセス又は使用のリスクを最小限に抑えるように管理され、取り扱われるべきであり、許可された使用の種類はユーザに明確に示されるべきである。
【0051】
実施形態によれば、ワイヤレス送電デバイスを有し、かつバッテリケースに取り外し可能に取り付けられたワイヤレス受電デバイスを有するシステムにおいて動作可能なバッテリケースが提供され、それは、第1のコイルと、第2のコイルと、第1のコイルと第2のコイルとの間に連結されたスイッチング回路と、スイッチング回路を(1)開状態及び(2)閉状態に選択的に配置するように構成された制御回路と、を備え、閉状態では、第1及び第2のコイルは共に短絡されており、電力は、ワイヤレス送電デバイスから第1のコイルによってワイヤレスで受け取られ、所与の電流を第1のコイルを流れるように誘導し、所与の電流を第2のコイルに流れさせ、第2のコイルはワイヤレス受電デバイスにワイヤレスで電力を提供する。
【0052】
別の実施形態によれば、バッテリケースはバッテリを含み、制御回路は、バッテリを充電するためにワイヤレス送電デバイスから電力をワイヤレスで受け取るために第1のコイルを使用しながら、スイッチング回路を開状態にするように構成される。
【0053】
別の実施形態によれば、制御回路は、バッテリから第2のコイルを介してワイヤレス受電デバイスに電力をワイヤレスで伝送するために第2のコイルを使用しながら、スイッチング回路を開状態にするように構成される。
【0054】
別の実施形態によれば、第1のコイルが第1及び第2の端子を有し、第2のコイルが第1及び第2の端子を有し、スイッチング回路が、第1のコイルの第1の端子に接続された第1の端子及び第2のコイルの第1の端子に接続された第2の端子とを有する第1のスイッチと、第1のコイルの第2の端子に接続された第1の端子、及び第2のコイルの第2の端子に接続された第2の端子を有する第2のスイッチと、を備える。
【0055】
別の実施形態によれば、閉状態において、スイッチング回路は、第1のコイルの第1の端子を第2のコイルの第1の端子に短絡させ、第1のコイルの第2の端子を第2のコイルの第2の端子に短絡させて、所与の電流が第1及び第2のコイルを通って直列に流れる。
【0056】
別の実施形態によれば、バッテリケースは、バッテリと、バッテリを取り囲む筐体とを含み、第1のコイルはバッテリの第1の側の筐体内に配置され、第2のコイルはバッテリの反対側の第2の側の筐体内に配置される。
【0057】
別の実施形態によれば、ワイヤレス受電デバイスは、セルラー電話を含み、筐体は、セルラー電話を受容するように構成される。
【0058】
別の実施形態によれば、第2のコイルは、セルラー電話が筐体内に受容されたときに、バッテリとセルラー電話との間に介在される。
【0059】
別の実施形態によれば、制御回路は、スイッチング回路を開状態にして、電流が第1及び第2のコイルを直列に流れるのを防止するように構成される。
【0060】
別の実施形態によれば、バッテリケースはバッテリを含み、制御回路は、第2のコイルを使用してワイヤレス受電デバイスからワイヤレス電力を受け取り、バッテリを充電しながら、スイッチング回路を開状態にするように構成される。
【0061】
別の実施形態によれば、バッテリケースはバッテリを含み、制御回路は、第2のコイルを使用してバッテリからワイヤレス受電デバイスに電力をワイヤレスで伝送しながら、スイッチング回路を開状態にするように構成される。
【0062】
別の実施形態によれば、スイッチング回路が開状態にある間、制御回路は、制御回路は第1のコイルを使用して電力をワイヤレスで受け取る第1のモードと、制御回路が第2のコイルを使用して電力をワイヤレスで伝送する第2のモードとで動作するように構成される。
【0063】
実施形態によれば、第1のコイルと、第2のコイルと、第1及び第2のコイルが共に短絡されており、(1)第1のコイルを流れる電流が第2のコイルにも流れる第1のモードと、(2)共有電流が第1及び第2のコイルのいずれにも流れないように第1及び第2のコイルが電気的に絶縁される第2のモードと、で動作するように選択的に構成されたスイッチング回路と、バッテリと、第1のコイルに連結されており、バッテリを充電するために、第2のモードでワイヤレス電力を受け取るように第1のコイルを使用するように構成された整流回路と、を備える、電子デバイスが提供される。
【0064】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第2のモードでワイヤレスで電力を伝送するために第2のコイルを使用するように構成されたインバータを含む。
【0065】
別の実施形態によれば、第1のコイルは、第1及び第2のコイルを流れる電流を誘導する第1のモードでワイヤレス電力を受け取るように構成されており、第2のコイルは、電流が第2のコイルを流れるときに第1のモードでワイヤレス電力を伝送するように構成される。
【0066】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、バッテリを取り囲むバッテリケース筐体と、第1及び第2のコイルと、スイッチング回路と、整流回路と、インバータと、を備える。
【0067】
実施形態によれば、セルラー電話に取り外し可能に取り付けられ、ワイヤレス充電デバイスと共に動作可能であるように構成されたセルラー電話用バッテリケースが提供され、セルラー電話用バッテリケースは、バッテリと、第1のコイルと、第2のコイルと、第1及び第2のコイルの間に連結されたスイッチング回路と、スイッチング回路が開状態にあるときに、第1のコイルがワイヤレス充電デバイスから受け取るワイヤレス電力でバッテリを充電するように構成された整流回路と、を備え、スイッチング回路が閉状態にあり、かつセルラー電話が取り付けられているときに、第1のコイルは、ワイヤレス充電デバイスからワイヤレス電力を受け取るように構成されており、第2のコイルは第1のコイルに短絡されており、かつワイヤレス充電デバイスから第1のコイルによって受け取ったセルラー電話へのワイヤレス電力を伝送するように構成される。
【0068】
別の実施形態によれば、セルラー電話用バッテリケースは、第2のコイルに連結されており、スイッチング回路が開状態にあるときに、第2のコイルを用いてセルラー電話にワイヤレスで電力を伝送するように構成されたワイヤレス送電機回路を含む。
【0069】
別の実施形態によれば、セルラー電話用バッテリケースは、バッテリ充電レベルに対応するバッテリ充電状態情報を表示するように構成された状態表示灯を含む。
【0070】
別の実施形態によれば、セルラー電話用バッテリケースは、セルラー電話とワイヤレスで通信して、第2のコイルを用いてセルラー電話からバッテリ充電レベルに関する情報を取得する回路を含む。
【0071】
別の実施形態によれば、セルラー電話用バッテリケースは、第1及び第2のコイルのうちの少なくとも1つに連結された帯域内通信回路を含む。
【0072】
前述は、単なる例示に過ぎず、説明された実施形態に対して多様な変更を行うことができる。前述の実施形態は、個別に又は任意の組合せで実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5