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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】携帯用情報機器及びマイク押圧部品
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20220209BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20220209BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
H04M1/02 C
H05K7/12 A
G06F1/16 312F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020119316
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016051
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】田角 和也
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-134351(JP,U)
【文献】特開平08-009481(JP,A)
【文献】特開2012-222473(JP,A)
【文献】特表2017-510065(JP,A)
【文献】特開2017-055361(JP,A)
【文献】特開平09-327083(JP,A)
【文献】特開2002-247166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
G06F 1/16- 1/18
B60R 9/00-11/06
H04M 1/02- 1/23
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用情報機器であって、
上面を形成する上カバー部と、下面を形成する下カバー部と、前記上カバー部の縁部と前記下カバー部の縁部との間で起立するように設けられて側面を形成する立壁部と、を有する筐体と、
前記立壁部を貫通し、前記側面に開口したマイク孔と、
前記筐体内に設けられ、前記マイク孔に臨んで配置されるマイクを用いて前記筐体外の音情報を取得するマイクモジュールと、
前記上カバー部及び前記下カバー部のうちの一方と、前記立壁部との間で突っ張るように設けられ、前記マイクモジュールを前記立壁部の内面に対して押し付けるマイク押圧部品と、
を備え
前記マイク押圧部品は、
前記一方のカバー部の内面に設けられた受け部で係止される係止部と、
前記マイクモジュールを保持するマイク保持部と、
前記係止部と前記マイク保持部との間に設けられ、前記係止部及び前記マイク保持部に対して互いに離間する方向の付勢力を発生することで、前記マイク保持部を介して前記マイクモジュールを前記立壁部の内面に押し付ける弾性部と、
を有し、
前記弾性部は、リング体で構成されると共に、前記一方のカバー部の内面に沿って横臥した姿勢で配置されてい
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項2】
請求項に記載の携帯用情報機器であって、
前記リング体は、平面視で略三角形状に形成されており、
前記係止部は、前記リング体の頂部に設けられ、
前記マイク保持部は、前記リング体の底辺から前記立壁部に沿って起立している
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項3】
携帯用情報機器であって、
上面を形成する上カバー部と、下面を形成する下カバー部と、前記上カバー部の縁部と前記下カバー部の縁部との間で起立するように設けられて側面を形成する立壁部と、を有する筐体と、
前記立壁部を貫通し、前記側面に開口したマイク孔と、
前記筐体内に設けられ、前記マイク孔に臨んで配置されるマイクを用いて前記筐体外の音情報を取得するマイクモジュールと、
前記上カバー部及び前記下カバー部のうちの一方と、前記立壁部との間で突っ張るように設けられ、前記マイクモジュールを前記立壁部の内面に対して押し付けるマイク押圧部品と、
記一方のカバー部の内面に設けられ、前記マイク押圧部品が前記マイクモジュールを前記立壁部の内面に押し付ける押付方向に延びた位置決め穴と、
前記マイク押圧部品に設けられ、前記位置決め穴に挿入されることで、前記押付方向に移動可能であると共に、該押付方向と直交する方向には移動が規制された位置決めピンと、
を備え、
前記マイクの音孔及び前記マイク孔の中心を通る直線が、平面視で前記位置決めピンの中心を通過するように設定されている
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の携帯用情報機器であって、
前記マイクモジュールは、第1面が第1の粘着部材を用いて前記マイク押圧部品に固定され、前記第1面の裏面であって前記マイクの音孔が設けられた第2面が第2の粘着部材を用いて前記立壁部の内面に固定されている
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の携帯用情報機器であって、
前記マイクモジュールは、複数設けられると共に、各マイクモジュールは前記側面に沿って並んで設けられている
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の携帯用情報機器であって、
前記筐体は、
第1筐体と、
前記第1筐体と隣接し、前記第1筐体に対してヒンジによって相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
を有し、
さらに、少なくとも前記第1筐体の上面に設けられたディスプレイを備え、
前記一方のカバー部は、前記下カバー部である
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項7】
請求項に記載の携帯用情報機器であって、
前記マイク押圧部品は、前記第1筐体内に設けられ、少なくとも一部が前記ディスプレイと重なる位置にある
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項8】
請求項又はに記載の携帯用情報機器であって、
前記ディスプレイは、前記第1筐体の上面から前記第2筐体の上面に亘って延在し、前記ヒンジと重なる位置に折り曲げ可能な折曲領域を有する
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項9】
携帯用情報機器の筐体の内面にマイクモジュールを押し付けて保持するマイク押圧部品であって、
リング体で構成される弾性部と、
前記リング体に設けられ、前記筐体内に設けられた受け部で係止される係止部と、
前記リング体から起立し、前記弾性部側を向いた面の裏面で前記マイクモジュールを保持するマイク保持部と、
を備え、
前記弾性部が前記係止部と前記マイク保持部との間で該係止部及び該マイク保持部に対して互いに離間する方向の付勢力を発生することで、前記マイク保持部を介して前記マイクモジュールを前記筐体の内面に押し付ける
ことを特徴とするマイク押圧部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクを備えた携帯用情報機器及び該携帯用情報機器に搭載されるマイク押圧部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り畳み可能に構成した携帯用情報機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-112833号公報
【文献】特開2013-165409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、ディスプレイの周囲を囲むベゼル部材の裏側に多くの電子部品や構造部品が設けられている。このため、この構成では、例えば特許文献2に開示された一般的なノート型PCのように、ベゼル部材の裏側にマイクを設けることができない場合がある。そこで、このような構成では、マイクを筐体の側面に向けて配置することが考えられる。
【0005】
ところが、従来のマイクモジュールは、例えば特許文献2に開示されているようにねじを用いて筐体に固定されるが、筐体側面はアンダーカットとなるため、位置決めピン等の複雑な加工を行うことが難しい。他方、マイクは、ノイズ防止のため、高い空気密閉度が確保される必要がある。従って、マイクは、単に筐体の表面に両面テープ等で固定しただけでは必要な空気密閉度(エアタイトネス)が得られない可能性がある。なお、このようなマイクの配置の問題は、上記特許文献1のような折り畳み型の携帯用情報機器だけでなく、例えば平板型のタブレット型PCや、ベゼル部材を極めて幅狭に形成したノート型PCでも同様に起こり得る。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、マイクを高い空気密閉度で筐体に取り付けることができる携帯用情報機器及び該携帯用情報機器に搭載されるマイク押圧部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る携帯用情報機器は、携帯用情報機器であって、上面を形成する上カバー部と、下面を形成する下カバー部と、前記上カバー部の縁部と前記下カバー部の縁部との間で起立するように設けられて側面を形成する立壁部と、を有する筐体と、前記立壁部を貫通し、前記側面に開口したマイク孔と、前記筐体内に設けられ、前記マイク孔に臨んで配置されるマイクを用いて前記筐体外の音情報を取得するマイクモジュールと、前記上カバー部及び前記下カバー部のうちの一方と、前記立壁部との間で突っ張るように設けられ、前記マイクモジュールを前記立壁部の内面に対して押し付けるマイク押圧部品と、を備える。
【0008】
本発明の第2態様に係る携帯用情報機器は、携帯用情報機器であって、外壁を貫通するマイク孔を有する筐体と、前記筐体内で前記マイク孔に臨んで配置されるマイクを有し、前記外壁の内面に対して粘着部材を用いて固定されたマイクモジュールと、前記マイクモジュールを前記外壁の内面に対して押し付けるマイク押圧部品と、を備える。
【0009】
本発明の第3態様に係るマイク押圧部品は、携帯用情報機器の筐体の内面にマイクモジュールを押し付けて保持するマイク押圧部品であって、リング体で構成される弾性部と、前記リング体に設けられ、前記筐体内に設けられた受け部で係止される係止部と、前記リング体から起立し、前記弾性部側を向いた面の裏面で前記マイクモジュールを保持するマイク保持部と、を備え、前記弾性部が前記係止部と前記マイク保持部との間で該係止部及び該マイク保持部に対して互いに離間する方向の付勢力を発生することで、前記マイク保持部を介して前記マイクモジュールを前記筐体の内面に押し付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、マイクを高い空気密閉度で筐体に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る携帯用情報機器を閉じて積層形態とした状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す携帯用情報機器を開いて平板形態とした状態を模式的に示す分解斜視図である。
図3図3は、下カバー部の一構成要素である底面プレートを省略した状態での携帯用情報機器10の分解斜視図である。
図4図4は、マイクモジュール及びマイク押圧部品とその周辺部を拡大した斜視図である。
図5図5は、所定のマイクモジュール及びマイク押圧部品とその周辺部を拡大した斜視図である。
図6A図6Aは、マイクモジュール及びこれの電気配線となるフレキシブル基板の構成を模式的に示す斜視図である。
図6B図6Bは、マイクモジュール及びフレキシブル基板を図6Aとは異なる方向から見た斜視図である。
図7図7は、図5に示すマイクモジュール及びマイク押圧部品の断面斜視図である。
図8図8は、図5に示すマイクモジュール及びマイク押圧部品の平面断面図である。
図9図9は、図5に示すマイクモジュール34及びマイク押圧部品の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯用情報機器及びマイク押圧部品について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る携帯用情報機器10を閉じて積層形態とした状態を示す斜視図である。図2は、図1に示す携帯用情報機器10を開いて平板形態とした状態を模式的に示す分解斜視図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、携帯用情報機器10は、上カバー部12、下カバー部14、及び立壁部15で扁平な箱状に形成された第1筐体16A及び第2筐体16Bを備える。携帯用情報機器10は、筐体16A,16B間が相対的に回動可能に連結され、本のように折り畳み可能なノート型PC或いはタブレット型PCである。携帯用情報機器10は、携帯電話、スマートフォン、携帯用ゲーム機等であってもよい。図1中に2点鎖線で示す外面カバー材17は、筐体16A,16Bの外面を覆うレザーや布地による柔軟なカバー材である。
【0015】
以下、図1及び図2に示すように、携帯用情報機器10について、筐体16A,16Bの並び方向をX方向、これと直交する方向をY方向、と呼んで説明する。
【0016】
図3は、下カバー部14の一構成要素である底面プレート18A,18Bを省略した状態での携帯用情報機器10の分解斜視図である。図1図3に示すように、筐体16A,16Bは、上カバー部12が上面16aを形成し、下カバー部14が底面16bを形成し、立壁部15が外周の側面16cを形成している。
【0017】
図2及び図3に示すように、上カバー部12は、ディスプレイ20と、第1プレート22Aと、第2プレート22Bと、ベゼル部材23と、を備える。
【0018】
ディスプレイ20は、タッチパネルを備え、柔軟性の高いペーパー構造を持った有機EL等のフレキシブルディスプレイである。ディスプレイ20は、筐体16A,16B間に亘って延在し、筐体16A,16Bの境界部を跨ぐ位置に、Y方向に延在した帯状の折曲領域Rを有する。ディスプレイ20は、フレキシブルディスプレイではなくてもよく、各筐体16A,16Bの上面16aにそれぞれ平板状のディスプレイを設けてデュアルディスプレイとしてもよいし、平板状のディスプレイを筐体16A,16Bの一方のみに設けてもよい。
【0019】
図3に示すように、プレート22A,22Bは、表面22Aa,22Baでディスプレイ20の裏面を支持する。プレート22A,22Bは、薄く且つ硬質のプレート状部材である。本実施形態のプレート22A,22Bは、炭素繊維等による繊維強化樹脂板である。プレート22A,22Bは、ステンレス等の金属板等で形成されてもよい。第1プレート22Aは、ディスプレイ20の図3中の左半部を支持する。第2プレート22Bは、ディスプレイ20の図3中の右半部を支持する。
【0020】
プレート22A,22Bは、互いの隣接端面22Ab,22Bbを除く3辺の外周端面に複数の取付片24が突設されている。各取付片24は、立壁部15を構成するフレーム26A,26Bにねじ止めされる。プレート22A,22Bは、取付片24の一部又は全部を用いず、その裏面をフレーム26A,6Bに直接的にねじ止めしてもよい。ディスプレイ20の構造等によっては、プレート22A,22Bは、省略されてもよい。
【0021】
ディスプレイ20は、折曲領域Rがプレート22A,22Bの表面22Aa,22Baに固定されず、折曲領域R以外の部分が両面テープや粘着剤等を用いて表面22Aa,22Baに貼り付けられる。つまり折曲領域Rは、表面22Aa,22Baに対して相対的に移動可能である。このため、携帯用情報機器10が積層形態に変化した際、折曲領域Rはプレート22A,22Bから離間して略U字状に湾曲する。
【0022】
プレート22A,22Bは、互いに面方向に並んで配置された平板形態において、互いの隣接端面22Ab,22Bb同士が当接する。これによりディスプレイ20は、平板状に開かれた1枚の大画面を形成し、その裏面が1枚板状に並んだプレート22A,22Bで支持される。図1に示すように、筐体16A,16B間が折り畳まれた積層形態では、プレート22A,22Bは、互いの隣接端面22Ab,22Bbが離間し、略U字状に折り畳まれたディスプレイ20を挟んで互いの表面22Aa,22Ba同士が対向する。
【0023】
図2に示すように、ベゼル部材23は、ディスプレイ20の周縁部を囲む枠状部材である。ベゼル部材23は、ディスプレイ20の表面の周縁部と、フレーム26A,26Bとの間に亘るように設けられ、両者に両面テープや粘着剤で固定される。ベゼル部材23は、ディスプレイ20及びプレート22A,22Bと、フレーム26A,26Bとの間に形成される隙間を覆い隠す。ベゼル部材23は、樹脂、ゴム又は金属等で形成されたシート状部材である。ベゼル部材23は、少なくとも折曲領域Rに重なる部分23aは可撓性を有する。ベゼル部材23は、第2筐体16B側に位置する部分に開口が形成され、この開口にカメラ25が設けられている(図2参照)。
【0024】
図1図3に示すように、立壁部15は、第1フレーム26Aと、第2フレーム26Bと、を備える。
【0025】
フレーム26A,26Bは、互いに隣接してX方向に並んだ金属製或いは樹脂製の枠状部材である。フレーム26A,26Bは、互いの境界線Bに面した隣接端部26Aa,26Ba間がヒンジ28によって連結され、境界線Bを中心として相対的に回動可能である。
【0026】
図3に示すように、第1フレーム26Aは、境界線Bを除く3辺が第1筐体16Aの側面16cを形成する。第2フレーム26Bは、境界線Bを除く3辺が第2筐体16Bの側面16cを形成する。フレーム26A,26Bには、その内周壁面の各所から枠内側に突出した複数の支持部材30が設けられている。支持部材30の一部は、プレート22A,22Bの取付片24の取付台となる。
【0027】
ここで、第1フレーム26Aの4辺のフレーム材のうち、第2フレーム26Bから遠位側でY方向に沿って延びたフレーム材をフレーム材26Abと呼ぶ。このフレーム材26Abの内面には、支持部材30の1つである支持プレート31が設けられている。
【0028】
支持プレート31は、上下方向に沿った平面を形成するプレート部31aと、XY方向に沿った平面を形成するプレート部31bとを有し、側面視L字形状を成している。プレート部31aは、フレーム材26Abの内周壁面、つまりフレーム材26Abが形成する側面16cの裏側にある。プレート部31bは、プレート部31aの下端部からX方向に延びている。プレート部31bは、底面プレート18Aの内面に面して配置され(図4及び図9参照)、底面プレート18A,18Bと共に下カバー部14を構成する。
【0029】
図3に示すように、支持プレート31には、複数(本実施形態では4個)のマイクモジュール34がマイク押圧部品36によって支持されている。マイクモジュール34は、立壁部15(プレート部31a及びフレーム材26Ab)に貫通形成されたマイク孔15a(図1及び図7参照)を通して筐体16A,12Bの外部の音情報を取得する。マイクモジュール34及びマイク押圧部品36の詳細な構成は後述する。
【0030】
図3に示すように、ヒンジ28は、フレーム26A,26Bの隣接端部同士をY方向両端部に設けられている。各ヒンジ28は、フレーム26A,26B間を相対的に回動可能に連結し、これにより筐体16A,12B間を相対的に回動可能に連結する。本実施形態の場合、ヒンジ28によるフレーム26A,26B間の回動中心は、ディスプレイ20の表面と一致している。
【0031】
図1図3に示すように、下カバー部14は、第1底面プレート18Aと、第2底面プレート18Bと、フレーム26A,26Bの下面側に位置する一部の支持部材30と、を備える。
【0032】
底面プレート18A,18Bは、互いに隣接してX方向に並んでいる。底面プレート18A,18Bは、樹脂や金属等の薄板である。図2及び図3に示す平板形態において、底面プレート18A,18Bは、互いの隣接端面18Aa,18Baが当接し、両者間に境界線Bが配置される。図1に示す積層形態において、底面プレート18A,18Bは、互いの隣接端面18Aa,18Baが離間する。
【0033】
底面プレート18A,18Bの内面18Ab,18Bbには、隣接端面18Aa,18Baを跨ぐ背表紙部材38が設けられている。背表紙部材38は、第1底面プレート18A側の第1端部が第1底面プレート18Aに対してX方向にスライド可能な状態で支持され、第2底面プレート18B側の第2端部が第2底面プレート18Bに対してスライド不能に固定されている。背表紙部材38は、平板形態時には内面18Ab,18Bb上に収納される(図2参照)。背表紙部材38は、積層形態時には湾曲し、隣接端面18Aa,18Ba間の隙間を塞ぐ(図1参照)。
【0034】
第1底面プレート18Aは、第1フレーム26Aの下面開口を塞ぐように設けられる。第1底面プレート18Aは、ねじや係止爪を利用して第1フレーム26Aに着脱可能に固定される。第1底面プレート18Aの内面18Abには、図示しないCPUやメモリが実装されたマザーボード40や図示しないアンテナ装置等が固定されている。
【0035】
第2底面プレート18Bは、第2フレーム26Bの下面開口を塞ぐように設けられる。第2底面プレート18Bは、ねじや係止爪を利用して第2フレーム26Bに着脱可能に固定される。第2底面プレート18Bの内面18Bbには、バッテリ装置41や図示しないアンテナ装置等が固定されている。
【0036】
一部の支持部材30は、底面プレート18A,18Bの内面18Ab,18Bbに近接して平行配置され、底面プレート18A,18Bと共に下カバー部14を構成する。下カバー部14を構成する支持部材30は、第1フレーム26A側では、例えば支持プレート31のプレート部31bがある。また、下カバー部14を構成する支持部材30は、第2フレーム26B側では、例えばプレート部42がある(図3参照)。プレート部31b,42は、底面プレート18A,18Bと僅かな隙間を介して配置され(例えば、図9に示すプレート部31b参照)、実質的に底面プレート18A,18Bの一部となる。プレート部31b,42は、底面プレート18A,18Bに設けてもよい。但し、本実施形態では、メンテナンス等のために底面プレート18A,18Bがフレーム26A,26Bに着脱可能である必要があり、このためプレート部31b,42をフレーム26A,26Bに設けている。
【0037】
次に、マイクモジュール34の構成及び取付構造を説明する。図4は、マイクモジュール34及びマイク押圧部品36とその周辺部を拡大した斜視図である。図5は、所定のマイクモジュール34及びマイク押圧部品36とその周辺部を拡大した斜視図である。図6A及び図6Bは、マイクモジュール34及びこれの電気配線となるフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)44の構成を模式的に示す斜視図である。
【0038】
図6A及び図6Bに示すように、マイクモジュール34は、マイク46と、基板47と、を備える。マイク46は、例えば、振動膜を有するMEMSチップやICチップをシールディングしたMEMSマイクロフォンである。基板47は、マイク46が実装された基板であり、フレキシブル基板44を介してマザーボード40或いは図示しないサウンドボード等の回路基板に接続されている。
【0039】
マイクモジュール34は、図6Aで正面側の第1面34aにマイク46を有し、図6Bで正面側の第2面34bに音孔46aが開口している。音孔46aは、マイクモジュール34の音入力部である。音孔46aは、マイク46の第2面34b側の面から基板47までを貫通した微細孔であり、マイク46内部の振動膜へと連通している。
【0040】
図4に示すように、本実施形態の携帯用情報機器10は、支持プレート31上でフレーム材26Abに沿って並び、側面16cに臨んだ4個のマイクモジュール34を備える。各マイクモジュール34は、共通のフレキシブル基板44に接続され、このフレキシブル基板44を介してマザーボード40等に接続される。マイクモジュール34の設置数は適宜変更してもよい。フレキシブル基板44は、1~3個毎のマイクモジュール34につき1枚使用してもよい。図4及び図5に示すように、各マイクモジュール34は、マイク押圧部品36を介してプレート部31aの内面に当接配置されている。
【0041】
そこで、次にマイク押圧部品36の構成を説明する。図7は、図5に示すマイクモジュール34及びマイク押圧部品36の断面斜視図である。図8は、図5に示すマイクモジュール34及びマイク押圧部品36の平面断面図である。図9は、図5に示すマイクモジュール34及びマイク押圧部品36の側面断面図である。
【0042】
図5及び図7に示すように、マイク押圧部品36は、立壁部15と下カバー部14との間で突っ張るように設けられ、マイクモジュール34を立壁部15の内面に押し付ける部品である。マイク押圧部品36は、係止部50と、弾性部51と、マイク保持部52と、位置決めピン53と、を有する。マイク押圧部品36は、樹脂の成形部品である。マイク押圧部品36は、弾性部51が平面視略三角形状のリング体(三角リング)で構成されることで、全体として略三角形の枠状を成している。
【0043】
図5及び図7図9に示すように、マイク押圧部品36が配置されるプレート部31b(下カバー部14)は、矩形状の取付穴54aと、取付穴54aのプレート部31a側縁部からX方向に延在した長穴である位置決め穴54bと、が形成されている。取付穴54a周縁部のうち、位置決め穴54b側とは逆側の縁部には、上方に起立して取付穴54a側に屈曲したフック形状の受け部55が設けられている。
【0044】
係止部50は、弾性部51の三角リングの頂部(首部)に設けられている。係止部50は、平面視略矩形状であり、断面略クランク形状である。係止部50は、取付穴54aを通して受け部55に突き当てられる。つまり係止部50は、受け部55で係止され、前後左右上下方向に位置決めされる。
【0045】
弾性部51は、平面視略三角形状のリング体で構成されたハンガー形状のばね部材である。弾性部51は、係止部50とマイク保持部52との間に設けられ、係止部50及びマイク保持部52に対して互いに離間するX方向の付勢力を発生する。この際、係止部50のX方向でマイク保持部52から離間する方向の移動は受け部55で規制されている。このため、弾性部51は、マイク保持部52を介してマイクモジュール34を立壁部15の内面に押し付ける。つまり弾性部51は、樹脂で成形された三角形状のリング体で構成されることで、リング体が圧縮力に対する反発力をX方向に発生する。
【0046】
弾性部51は、三角形状ではなく、四角形状或いは楕円形状のリング体で構成されてもよい。また、弾性部51は、リング体以外で構成されてもよく、例えばコイルばねや板ばね等で構成されてもよい。なお、本実施形態の弾性部51は、リング体で構成され、プレート部31bの内面に沿って横臥した姿勢で配置されている。このため、弾性部51は、上下方向に可及的に薄型化が図られながらも、高い付勢力を発生することができる(図9参照)。その結果、弾性部51は、その上部にあるディスプレイ20と干渉することもない。
【0047】
マイク保持部52は、マイクモジュール34を保持し、立壁部15に押し付ける部分である。マイク保持部52は、弾性部51の三角形の底辺から起立し、立壁部15と隙間を介して平行している。マイク保持部52は、弾性部51側を向いた面の裏面、つまり立壁部15側を向いた面に凹状部52aを有する。凹状部52aは、マイクモジュール34のマイク46を嵌合して位置決め可能である。マイクモジュール34は、マイク46の第1面34aが凹状部52aの底面に対して両面テープや接着剤等の粘着部材58で固定される。
【0048】
位置決めピン53は、弾性部51の三角形の底辺から三角形の内側に突出した突出部53aに設けられ、突出部53aから下方に垂下された円柱状のピンである。位置決めピン53は、プレート部31bの位置決め穴54bに挿入される。位置決めピン53の外径は、位置決め穴54bのY方向幅と略同一で僅かに小さい程度である。つまり位置決めピン53が位置決め穴54bに挿入されると、マイク押圧部品36は、X方向、つまりマイクモジュール34を立壁部15に押し付ける押付方向に移動可能な状態となる。一方、位置決めピン53は、位置決め穴54b内でY方向、つまり押付方向と直交する方向には移動が規制される。
【0049】
次に、マイク押圧部品36を用いたマイクモジュール34の取付構造を説明する。
【0050】
マイクモジュール34は、先ず、フレキシブル基板44が接続された状態で、マイク押圧部品36のマイク保持部52に固定される。つまりマイクモジュール34は、マイク46の第1面34aが粘着部材58を用いて凹状部58aの底面に固定され、マイク押圧部品36とアセンブリされる。本実施形態では、4個のマイクモジュール34を用いるため、1枚のフレキシブル基板44で接続された全てのマイクモジュール34のそれぞれをマイク押圧部品36に固定する。この際、マイクモジュール34は、第2面34bに両面テープ等の粘着部材59を設けておく。図8中の参照符号61は、基板47とフレキシブル基板44との固定面の縁部を1周するように設けられた接着剤等のシール材である。シール材61は、基板47とフレキシブル基板44との境界面での空気密閉度を高めるものである。
【0051】
次に、各マイクモジュール34が固定された各マイク押圧部品36の係止部50を対応する受け部55に係合させる。同時に、位置決めピン53を位置決め穴54bに挿入する。これによりマイク押圧部品36がプレート部31bにセットされ、マイク保持部52がマイクモジュール34の第2面34bを立壁部15(プレート部31a)の内面に押し付ける。この際、マイクモジュール34は、第2面34bに設けられた粘着部材59を介してプレート部31aの内面に固定される。
【0052】
本実施形態では、図8に示す平面視において、位置決めピン53の中心を通過するX方向に延びた直線Lが、マイク46の音孔46a及びマイク孔15aの中心を通過するように設定されている。このため、マイクモジュール34は、マイク押圧部品36を介して位置決めされた際、同時に、音孔46aがマイク孔15aに対して軸方向に一致して連通する。このため、マイクモジュール34は、マイク孔15aを通した筐体16A,16Bの外部の音情報を効率よく取得することができる。
【0053】
図9に示すように、マイク押圧部品36は、少なくともディスプレイ20のアクティブ領域20aの外周縁部に形成された非アクティブ領域20bと重なる位置にある。すなわち、当該携帯用情報機器10は、図9に示すように薄型に形成され、さらにベゼル部材23が幅狭な構成である。このため、ディスプレイ20は、立壁部15に近接し、下面側のスペースも限られている。この点、マイク押圧部品36は、全体として側面視で略L字形状に構成され、特に弾性部51が薄型化されているため、ディスプレイ20の縁部下面側の小さいスペースに容易に配置できる。なお、図9中の参照符号60は、フレキシブル基板60aを介してディスプレイ20と接続されたディスプレイ制御基板である。また、図9中の参照符号62は、ディスプレイアセンブリの下面を覆う絶縁シートである。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る携帯用情報機器10は、立壁部15を貫通し、側面16cに開口したマイク孔15aと、マイク孔15aに臨んで配置されるマイク46を用いて筐体16A,16B外の音情報を取得するマイクモジュール34と、下カバー部14と立壁部15との間で突っ張るように設けられ、マイクモジュール34を立壁部15の内面に対して押し付けるマイク押圧部品36と、を備える。
【0055】
従って、当該携帯用情報機器10は、マイク押圧部品36を備えることで、筐体16Aの側面16cを形成する立壁部15の内面に対してマイクモジュール34を押し付けることができる。これにより、アンダーカットとなるため位置決めピン等の複雑な加工を行うことが難しい立壁部15の内面に対してマイクモジュール34を密着して配置できる。このため、マイク46は、立壁部15に対して高い空気密閉度で取り付けることができる。
【0056】
すなわち当該携帯用情報機器10は、例えばベゼル部材23の裏側のスペースが小さく、或いはベゼル部材23の幅が極めて幅狭である場合にも、マイク46を高い空気密閉度で筐体16A内に搭載できる。特に、本実施形態の携帯用情報機器10は、折り畳み可能なディスプレイ20が筐体16A,16Bの上面16aを覆うように設けられている。このため、筐体16A,16Bの上面16aに複数のマイクモジュール34を設置するスペースを確保することが難しい。この点、当該携帯用情報機器10は、マイク押圧部品36を用いてマイクモジュール34を立壁部15に対して取り付けることが可能となっている。
【0057】
換言すれば、マイク押圧部品36を用いることにより、筐体16A,16Bの2面を利用してマイクモジュール34を安定して取り付けることができる。このため、筐体16A,16B内のスペースの制約等の問題がある場合、マイクモジュール34は、立壁部15ではなく、上カバー部12や下カバー部14の内面にマイク46が臨むように取り付けられてもよい。この場合、マイク押圧部品36は、立壁部15の内面に取り付けられればよい。
【0058】
当該携帯用情報機器10では、マイクモジュール34は、第1面34aが粘着部材58を用いてマイク押圧部品36に固定され、マイク46の音孔46aが設けられた第2面34bが粘着部材59を用いて立壁部15の内面に固定されている。これにより、各粘着部材58,59は、それぞれマイク押圧部品36の押圧力によって圧縮力を受けるため、より高い空気密閉度でマイク46を設置することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0060】
上記では、マイク押圧部品36は、下カバー部14に取り付けた構成を例示した。しかしながら、ベゼル部材23の幅寸法や剛性等にもよるが、マイク押圧部品36は、下カバー部14ではなく、上カバー部12と立壁部15との間に設けられてもよい。また、上記では、下カバー部14として底面プレート18Aの内面側に配置される支持プレート31にマイク押圧部品36を取り付けた構成を例示した。しかしながら、マイク押圧部品36は底面プレート18Aに取り付けられてもよい。
【0061】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な携帯用情報機器10を例示したが、折り畳み型の携帯用情報機器としては、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成を例示でき、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 携帯用情報機器
12 上カバー部
14 下カバー部
15 立壁部
15a マイク孔
16A 第1筐体
16B 第2筐体
20 ディスプレイ
34 マイクモジュール
36 マイク押圧部品
44 フレキシブル基板
46 マイク
46a 音孔
47 基板
50 係止部
51 弾性部
52 マイク保持部
53 位置決めピン
54b 位置決め穴
55 受け部
58,59 粘着部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9