(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】データ管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20220209BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20220209BHJP
A61J 1/03 20060101ALI20220209BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G06Q50/04
G04G5/00 J
A61J1/03 370
B65B57/00 Z
(21)【出願番号】P 2021002286
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2022-01-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】澤田 英明
(72)【発明者】
【氏名】大谷 剛将
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6762593(JP,B1)
【文献】特開2008-262292(JP,A)
【文献】特開平11-331766(JP,A)
【文献】特開2017-220114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G04G 5/00
A61J 1/03
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産関連装置の動作に係るデータを管理するデータ管理システムであって、
時刻を計るローカル時計手段、及び、前記データを記憶可能なローカル記憶手段を有するとともに、複数の前記生産関連装置ごとに設けられ、対応する前記生産関連装置に係る制御処理を行う複数の制御処理装置と、
基準時刻を生成するとともに、該基準時刻に係る情報である基準時刻情報を送信可能に構成された基準時刻生成手段と、
前記データを記憶可能なメイン記憶手段を有し、前記制御処理装置とは別に設けられたデータ保存サーバとを備え、
前記基準時刻生成手段は、所定の時間間隔ごとに、又は、所定の要求に基づき、所定のネットワークを介して前記制御処理装置へと前記基準時刻情報を送信可能であり、
前記制御処理装置は、
前記ネットワークを介して前記基準時刻生成手段から送信された前記基準時刻情報に基づき前記ローカル時計手段における時刻を修正可能であり、
前記データが発生する都度、該データ及び該データが発生したときにおける前記ローカル時計手段が示す時刻に係る情報であるデータ発生時刻情報を前記ローカル記憶手段へと記憶可能であり、
前記ネットワークを介して前記ローカル記憶手段に記憶された前記データ及び前記データ発生時刻情報を前記データ保存サーバに送信可能であり、
前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していることを確認可能であり、
前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していることを条件として、対応する前記生産関連装置の起動を可能とし、
前記データ保存サーバは、前記ネットワークを介して前記制御処理装置から送信された前記データ及び前記データ発生時刻情報を、前記メイン記憶手段に記憶可能であることを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記データ保存サーバは、前記基準時刻生成手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記制御処理装置は、前記データ保存サーバに対する前記データ及び前記データ発生時刻情報の送信時における前記ローカル時計手段が示す時刻に係る情報である送信時刻情報を、前記データ保存サーバに送信可能であり、
前記データ保存サーバは、前記送信時刻情報を受信したときにおける前記基準時刻生成手段が示す基準時刻と、該送信時刻情報に基づく時刻とを比較可能であることを特徴とする請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記制御処理装置は、前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していること、及び、前記ネットワークを介して前記基準時刻生成手段から前記基準時刻情報が送信され、該基準時刻情報に基づき前記ローカル時計手段における時刻が修正されたことを条件として、対応する前記生産関連装置の起動を可能とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記制御処理装置は、前記ローカル時計手段における時刻の修正を最後に行ってから所定時間以上経過している場合、対応する前記生産関連装置の起動を不可とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記生産関連装置のうちの少なくとも1つは、容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が充填されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であり、
前記ブリスタ包装機は、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填手段と、
前記充填手段へと供給される錠剤が貯留される貯留手段とを備え、
前記ブリスタ包装機に係る制御処理を行う前記制御処理装置は、前記データ保存サーバ及び前記ネットワークのうちの少なくとも一方が機能していない場合、少なくとも前記貯留手段が空となるまで前記ブリスタ包装機の動作を継続させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産関連装置の動作に係るデータを記憶・管理するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の製造現場においては、様々な生産関連装置が使用されている。例えば、一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシート(例えばPTPシート)の生産に係るラインにおいては、生産関連装置として、ブリスタ包装機、集積装置及び包装装置などが使用されている。ブリスタ包装機は、容器フィルムにポケット部を形成する手段、ポケット部に内容物(例えば錠剤)を収容する手段及び容器フィルムにカバーフィルムを取着する手段などを備えており、ブリスタシートを製造する。集積装置は、製造されたブリスタシートを複数枚単位で集積する。包装装置は、集積された複数のブリスタシートに対し、例えばバンド結束やピロー包装、箱詰めなどの処理を行う。また、ブリスタ包装機や包装装置には、内容物やシート、包装などの良否を判定するための検査装置を設けることがある。このような検査装置も生産関連装置といえる。
【0003】
また、生産に際して製品の異常などが見つかると、再発防止の観点等から、問題のある工程、異常の発生時期、異常製品の製造個数、製造等に係る各種設定情報(例えば、温度や圧力等)などが調査される。このような調査を行うためには、製造等に係る各種データを保存しておくことが必要となる。ここで、調査の容易性などを考慮すると、データを電子データの形で保存しておくことが好ましい。しかし、電子データはその変更や削除が容易であるため、情報の完全性を担保する措置を採る必要がある。
【0004】
データの完全性などを担保するための指針としては、FDA(米国食品医薬品局)の定めたガイドライン(ALCOA原則)が知られている。ALCOA原則には、5つの要件が定められている。第一の要件は帰属性(Attributable)であり、第二の要件は判読性(Legible)であり、第三の要件は同時性(Contemporaneous)であり、第四の要件は原本性(Original)であり、第五の要件は正確性(Accurate)である。特に同時性とは、データの発生時(処理の実行時)に即時に記憶することをいい、同時性を満たすためには、データの発生時刻を記憶させておく必要がある。
【0005】
近年では、上述の第三の要件(同時性)を厳格に順守するために、制御処理手段(処理手段)、データ保存サーバ(サーバ用コンピュータ)、ネットワーク(情報接続手段)及び駆動規制手段を備え、制御処理手段、ネットワーク又はデータ保存サーバが機能しない場合に装置(例えば、上述の生産関連装置)の駆動を規制するとともに、データを発生時刻とともにデータ保存サーバのみに記憶させるシステムが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
このシステムにおいて、制御処理手段は、装置の動作に係る制御処理を行い、ネットワークは、制御処理手段及びデータ保存サーバ間の情報伝達を行う。また、装置を駆動させるための処理アプリケーションが制御処理手段に記憶される一方、この処理アプリケーションを実行させるための設定情報がデータ保存サーバに記憶される。そのため、ネットワーク又はデータ保存サーバに異常がある場合、制御処理手段はデータ保存サーバから設定情報を読み出すことができないこととなり、装置の駆動(特に起動)が規制される。これにより、ネットワークやデータ保存サーバ、制御処理手段に異常がある場合には、記憶させるべきデータが生じなくなり、その結果、時刻とともにデータ保存サーバに記憶されたデータは、同時性の要件を満たす、欠落のないデータになるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記システムでは、装置が一旦起動した後に、データ保存サーバやネットワークに異常が生じると、データ保存サーバにおいてデータを記憶することができなくなる。そのため、異常が生じたときには装置を一旦停止させることが考えられるが、装置の停止に係るデータをデータ保存サーバに記憶させることができないため、装置を停止させることはできない。一方、装置を動作させ続けようとしても、動作中のデータをデータ保存サーバに記憶させることができないため、装置を動作させ続けることもできない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、データ保存サーバやネットワークに異常が生じた場合であってもデータを記憶することができるとともに、記憶されたデータにおいて同時性の要件をより厳格に満たすことができるデータ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.複数の生産関連装置の動作に係るデータを管理するデータ管理システムであって、
時刻を計るローカル時計手段、及び、前記データを記憶可能なローカル記憶手段を有するとともに、複数の前記生産関連装置ごとに設けられ、対応する前記生産関連装置に係る制御処理を行う複数の制御処理装置と、
基準時刻を生成するとともに、該基準時刻に係る情報である基準時刻情報を送信可能に構成された基準時刻生成手段と、
前記データを記憶可能なメイン記憶手段を有し、前記制御処理装置とは別に設けられたデータ保存サーバとを備え、
前記基準時刻生成手段は、所定の時間間隔ごとに、又は、所定の要求に基づき、所定のネットワークを介して前記制御処理装置へと前記基準時刻情報を送信可能であり、
前記制御処理装置は、
前記ネットワークを介して前記基準時刻生成手段から送信された前記基準時刻情報に基づき前記ローカル時計手段における時刻を修正可能であり、
前記データが発生する都度、該データ及び該データが発生したときにおける前記ローカル時計手段が示す時刻に係る情報であるデータ発生時刻情報を前記ローカル記憶手段へと記憶可能であり、
前記ネットワークを介して前記ローカル記憶手段に記憶された前記データ及び前記データ発生時刻情報を前記データ保存サーバに送信可能であり、
前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していることを確認可能であり、
前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していることを条件として、対応する前記生産関連装置の起動を可能とし、
前記データ保存サーバは、前記ネットワークを介して前記制御処理装置から送信された前記データ及び前記データ発生時刻情報を、前記メイン記憶手段に記憶可能であることを特徴とするデータ管理システム。
【0012】
尚、データとは、生産関連装置に対する操作情報(起動、停止、設定の変更など)や、生産関連装置の状態を示す状態情報をいう。例えば、生産関連装置が、ブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機である場合、状態情報とは、ポケット部に対する内容物の充填スピード、容器フィルムに対しカバーフィルムを熱溶着する際の加熱温度や付与圧力、エラーの発生情報などをいう。また、例えば、生産関連装置が、集積されたブリスタシートに対し包装や箱詰めを行う包装装置である場合、状態情報とは、例えば包装スピードやエラーの発生情報などをいう。さらに、生産関連装置が検査装置である場合、状態情報とは、照明による輝度やエラーの発生情報などをいう。
【0013】
また、「所定の要求」とあるのは、制御処理装置から基準時刻生成手段に送られる要求や、基準時刻生成手段にて自動的に生じる要求などをいう。この要求のタイミングとしては、制御処理装置の起動時、制御処理装置とネットワークとの接続確立時、基準時刻又はローカル時計手段の示す時刻が予め設定された定刻となったとき、生産関連装置の起動時などを挙げることができる。
【0014】
上記手段1によれば、生産関連装置の制御処理を行う制御処理装置は、データ保存サーバ及びネットワークが(正常に)機能していることを確認可能であり、これらが機能していることを条件として、対応する生産関連装置の起動を可能とする。従って、データ保存サーバにデータを記憶できない状態で生産関連装置が起動することを防止でき、データ保存サーバに記憶されるデータの完全性をより確実に担保することができる。
【0015】
また、制御処理装置は、データが発生する都度、該データ及び該データに係るデータ発生時刻情報をローカル記憶手段へと記憶する。そして、ローカル記憶手段に記憶されたデータ及びデータ発生時刻情報は、ネットワークを介してデータ保存サーバに送信される。データ保存サーバは、制御処理装置から送信されたデータ及びデータ発生時刻情報をメイン記憶手段に記憶する。このようにデータ等はローカル記憶手段に一旦記憶されるため、データ保存サーバやネットワークに異常が生じたとしても、データ等を記憶し続けることができる。そのため、仮にデータ保存サーバやネットワークに異常が生じた場合においては、生産関連装置の動作を継続させてその動作中のデータを記憶したり、生産関連装置を停止させてその停止に係るデータを記憶したりすることができる。従って、データ保存サーバやネットワークに異常が生じたときに、データ等の記憶に係る懸念が生じることなく、生産関連装置の動作継続又は停止を適宜選択することができる。
【0016】
加えて、ローカル記憶手段にデータ等を記憶するため、データ保存サーバやネットワークに異常が生じることに伴うデータの消失をより確実に防止することができる。その結果、データ保存サーバに記憶されたデータの完全性を一層確実に担保することができる。
【0017】
さらに、制御処理装置は、ネットワークを介して基準時刻生成手段から送信された基準時刻情報に基づきローカル時計手段における時刻を修正する。従って、複数の制御処理装置において各ローカル時計手段が示す時刻をほぼ一致させることができ、各制御処理装置は、統一的な基準(基準時刻)を用いてデータの発生時刻を得ることができる。これにより、データ保存サーバ(メイン記憶手段)に記憶されたデータの発生時刻をより正確なものとすることができる。その結果、データ保存サーバに記憶されたデータにおいて同時性の要件をより厳格に満たすことができる。
【0018】
手段2.前記データ保存サーバは、前記基準時刻生成手段を備えることを特徴とする手段1に記載のデータ管理システム。
【0019】
上記手段2によれば、制御処理装置は、基準時刻信号を受信することで、データ保存サーバ及びネットワークが(正常に)機能していることを確認することができる。従って、基準時刻信号の受信は、データ保存サーバ及びネットワークが機能していることの確認を兼ねることとなり、この確認のために制御処理装置が特段の動作を行う必要がなくなる。従って、制御処理装置における処理負担の低減を図ることができる。
【0020】
手段3.前記制御処理装置は、前記データ保存サーバに対する前記データ及び前記データ発生時刻情報の送信時における前記ローカル時計手段が示す時刻に係る情報である送信時刻情報を、前記データ保存サーバに送信可能であり、
前記データ保存サーバは、前記送信時刻情報を受信したときにおける前記基準時刻生成手段が示す基準時刻と、該送信時刻情報に基づく時刻とを比較可能であることを特徴とする手段2に記載のデータ管理システム。
【0021】
上記手段3によれば、データ保存サーバは、送信時刻情報を受信したときにおける基準時刻生成手段が示す基準時刻と、該送信時刻情報に基づく時刻とを比較することができる。そのため、各制御処理手段のローカル時計手段が示す時刻がそれぞれ適切であるかを把握して、その把握結果に基づく対応を行うことができる。例えば、基準時刻とローカル時計手段が示す時刻との誤差が一定値を越えたときには、基準時刻信号の送信を行う時間間隔を短縮して、各ローカル時計手段が示す時刻をより精度よく一致させること等が可能となる。
【0022】
手段4.前記制御処理装置は、前記データ保存サーバ及び前記ネットワークが機能していること、及び、前記ネットワークを介して前記基準時刻生成手段から前記基準時刻情報が送信され、該基準時刻情報に基づき前記ローカル時計手段における時刻が修正されたことを条件として、対応する前記生産関連装置の起動を可能とすることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0023】
上記手段4によれば、制御処理装置は、基準時刻信号に基づきローカル時計手段における時刻を修正した後に、対応する生産関連装置の起動を可能とする。従って、生産関連装置の起動時において、各ローカル時計手段の時刻を基準時刻に合わせることができ、データ保存サーバに記憶されたデータにおいて同時性の要件を一層厳格に満たすことが可能となる。
【0024】
手段5.前記制御処理装置は、前記ローカル時計手段における時刻の修正を最後に行ってから所定時間以上経過している場合、対応する前記生産関連装置の起動を不可とすることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0025】
上記手段5によれば、制御処理装置は、ローカル時計手段の時刻の修正が所定時間以上行われていない場合、対応する生産関連装置の起動を不可とする。従って、基準時刻に対しローカル時計手段の時刻が比較的大きくずれているおそれがあるときには、生産関連装置を起動させることができず、ひいては生産関連装置の動作に係るデータが記憶されないようにすることができる。従って、データ保存サーバ(メイン記憶手段)に記憶されたデータにおいて同時性の要件をより一層厳格に満たすことができる。
【0026】
手段6.前記生産関連装置のうちの少なくとも1つは、容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が充填されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機であり、
前記ブリスタ包装機は、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填手段と、
前記充填手段へと供給される錠剤が貯留される貯留手段とを備え、
前記ブリスタ包装機に係る制御処理を行う前記制御処理装置は、前記データ保存サーバ及び前記ネットワークのうちの少なくとも一方が機能していない場合、少なくとも前記貯留手段が空となるまで前記ブリスタ包装機の動作を継続させることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のデータ管理システム。
【0027】
データ保存サーバ及び/又はネットワークが(正常に)機能していないことが確認されたときに、直ちにブリスタ包装機を停止させると、貯留手段に錠剤を貯留されたままとなり得る。貯留手段に貯留された錠剤は、空気や水分などに曝された状態となり得るため、ブリスタ包装機の動作を再開したときには、成分の変化などの異常が生じて、使用に適さない状態となっているおそれがある。そのため、このような錠剤については、廃棄処理をせざるを得ず、製造コストの増大を招くおそれがある。
【0028】
この点、上記手段6によれば、ブリスタ包装機に係る制御処理を行う制御処理装置は、データ保存サーバ及び/又はネットワークが機能していない場合に、少なくとも貯留手段に貯留された錠剤を使い切るまで、ブリスタ包装機の動作を継続させる。従って、錠剤が無駄に廃棄処理されることをより確実に防止でき、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】データ管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】PTP包装機などの概略構成を示す模式図である。
【
図5】制御装置や処理判定装置にて行われる処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態において、データ管理システム100は、ブリスタシートとしてのPTPシート1(
図2参照)の生産ライン200、及び、該生産ライン200に対応して設けられた検査装置70に適用されている。データ管理システム100の説明に先立って、PTPシート1、生産ライン200及び検査装置70について説明する。
【0031】
まず、PTPシート1について説明する。PTPシート1は、
図2,3に示すように、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。尚、各フィルム3,4の材料やポケット部2の数・位置、ポケット部2に収容される内容物などについては、上記に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0032】
次いで、PTPシート1の生産ライン200について説明する。
図1に示すように、生産ライン200は、上流側から順に、PTP包装機10、集積装置50及び包装装置60を備えている。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」を構成する。また、本実施形態では、PTP包装機10、集積装置50、包装装置60及び検査装置70がそれぞれ「生産関連装置」を構成する。
【0033】
まず、PTP包装機10について説明する。
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反が設けられており、ここから送り出された容器フィルム3が、所定経路を通って搬送される。PTP包装機10は、容器フィルム3の搬送経路に沿って、上流側から順に、予熱装置15、ポケット部形成装置16、充填装置21、シール装置25、スリット形成装置33、刻印装置34及びシート打抜装置37を備えている。また、充填装置21に対応して貯留装置20が設けられている。本実施形態では、貯留装置20が「貯留手段」を構成し、充填装置21が「充填手段」を構成する。
【0034】
予熱装置15は、容器フィルム3の予熱を行う。ポケット部形成装置16は、所定の金型等を用いて、予熱された容器フィルム3にポケット部2を形成する。
【0035】
充填装置21は、錠剤5を一列に並んだ状態で収容する筒状のシュート、及び、該シュートの出口を開閉可能なシャッタ(それぞれ不図示)を備えており、所定のタイミングにて前記シャッタを開くことでポケット部2に錠剤5を充填する。尚、充填装置21は、錠剤5を吸着可能な吸着ドラム(不図示)を備え、吸着解除によりポケット部2に錠剤5を充填するものであってもよい。
【0036】
貯留装置20は、多数の錠剤5を貯留可能であり、貯留された錠剤5を充填装置21へと順次供給する。
【0037】
シール装置25は、加熱機能を有する加熱ロール25aと、容器フィルム3を連続搬送するフィルム送りロール25bとを備えており、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3にカバーフィルム4を取着する。より詳しくは、加熱ロール25aへとカバーフィルム4が案内されており、容器フィルム3とカバーフィルム4とが両ロール25a,25b間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着される。容器フィルム3にカバーフィルム4が取着されることで、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0038】
スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する。刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す。尚、
図2では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0039】
シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0040】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって集積装置50へと搬送される。但し、後述する処理判定装置140によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、集積装置50へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。尚、PTPフィルム6における打抜き後に残ったスクラップ部分は、裁断装置41により所定寸法に裁断された上で、スクラップ用ホッパ43に貯留される。
【0041】
尚、PTP包装機10においては、上記各種装置で行われる各処理に対応すべく、容器フィルム3やPTPフィルム6の搬送態様が、連続搬送又は間欠搬送に適宜変更される。このような搬送態様の変更による容器フィルム3等の弛み防止などを図るべく、容器フィルム3等の搬送経路における所定位置には、容器フィルム3等のテンションを一定範囲内で保つためのテンションロールが設けられている。
【0042】
図1に戻り、集積装置50は、供給されたPTPシート1を所定数ごとに積み上げた上で、積み上げたPTPシート1を次工程を担当する包装装置60に受け渡すものである。
【0043】
包装装置60は、ピロー包装機やバンド掛包装機、箱詰め装置などを備えており、集積装置50から受け渡されたPTPシート1に対し包装処理や箱詰め処理を行うことで、PTPシート1が箱詰め梱包されてなるシート梱包体を製造する。このシート梱包体が最終的に出荷される。
【0044】
検査装置70は、PTP包装機10や包装装置60に対応して設けられており、被検査対象に対する検査を行うための装置である。PTP包装機10に設けられる検査装置70の場合、被検査対象は、錠剤5や容器フィルム3等のシート部分などである。包装装置60に設けられる検査装置70の場合、被検査対象は、シート梱包体である。
【0045】
本実施形態において、検査装置70は複数設けられており、各検査装置70は、検査すべき内容に応じた適切な位置に設置されている。例えば、ポケット部2に充填された錠剤5の外観やポケット部2に対する異物の混入などの検査を担当する検査装置70は、充填装置21の直下流における容器フィルム3の搬送経路に沿って設けられている(
図4参照)。
【0046】
また、ポケット部2に対する充填前の錠剤5の外観検査などを担当する検査装置70(
図4では不図示)は、ポケット部2に対する錠剤5の充填ポジションよりも上流における錠剤5の搬送経路に対応して設けられている。さらに、PTPフィルム6におけるシール状態などの検査を担当する検査装置70(
図4では不図示)は、シール装置25の直下流におけるPTPフィルム6の搬送経路に沿って設けられている。加えて、シート梱包体の外観や重量などの検査を担当する検査装置70は、包装装置60におけるシート梱包体の搬送経路に沿って設けられている。
【0047】
各検査装置70は、被検査対象に係る各種の検査用情報(例えば、被検査対象の画像データや被検査対象の重量など)を取得するための各種手段(例えば、照明装置やカメラ、重量計測装置など)を備えている。そして、各検査装置70に対応して後述する処理判定装置140が設けられており、各検査装置70は、前記各種手段を用いて取得した情報を、それぞれ対応する処理判定装置140へと送る。例えば、ポケット部2に充填された錠剤5の外観などの検査を担当する検査装置70(
図4参照)は、照明装置から錠剤5及び容器フィルム3に対し所定の光を照射した状態で、カメラにより錠剤5及び容器フィルム3を撮像する。そして、この検査装置70は、撮像により得られた画像データを、該検査装置70に対応する処理判定装置140へと送る。
【0048】
次いで、データ管理システム100について説明する。データ管理システム100は、生産ライン200を構成する各装置(PTP包装機10など)及び各検査装置70の動作に係るデータを、該データの発生時刻とともに一元的に記憶・管理する。データ管理システム100は、ネットワーク110、データ保存サーバ120、制御装置130及び処理判定装置140を備えている。本実施形態において、制御装置130及び処理判定装置140は、それぞれ複数設けられている(但し、
図1では、処理判定装置140を1つのみ図示している)。制御装置130及び処理判定装置140は、それぞれ「制御処理装置」に相当する。
【0049】
ネットワーク110は、例えばローカルエリアネットワーク回線などによって構成されており、複数の制御装置130、複数の処理判定装置140及びデータ保存サーバ120のそれぞれの間における通信を可能とする。ネットワーク110は、上流側ネットワーク111、下流側ネットワーク112及び中継装置113等を備えている。
【0050】
上流側ネットワーク111は、複数の処理判定装置140、データ保存サーバ120及び中継装置113間における通信を担う。下流側ネットワーク112は、複数の制御装置130及び中継装置113間における通信を担う。
【0051】
中継装置113は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAM、情報を長期記憶するための記憶媒体(例えばメモリ、HDD、SSD等)などを備えたコンピュータシステムにより構成されている。中継装置113は、前記記憶媒体からなる記憶部113aを備えている。該記憶部113aには、通信の中継に係る各種プログラムやパラメータなどが記憶されている。中継装置113は、記憶部113aに記憶されたプログラム等に基づき、上流側ネットワーク111及び下流側ネットワーク112間における通信を中継する。
【0052】
データ保存サーバ120は、生産ライン200を構成する各装置及び各検査装置70の動作に係るデータ及びそのデータの発生時刻を保存する。データ保存サーバ120は、CPU、RAM、ROM及び記憶媒体などを備えたコンピュータシステムにより構成されている。
【0053】
データ保存サーバ120は、メイン記憶部121及び基準時刻生成部122を備えている。本実施形態では、メイン記憶部121が「メイン記憶手段」を構成し、基準時刻生成部122が「基準時刻生成手段」を構成する。
【0054】
メイン記憶部121は、前記記憶媒体により構成されており、制御装置130及び処理判定装置140から送られたデータ及びデータ発生時刻情報を記憶する。データ発生時刻情報とは、生産ライン200を構成する各装置及び各検査装置70の動作に係るデータの発生した時刻を示す情報である。
【0055】
基準時刻生成部122は、データ保存サーバ120内の時計機能により構成されており、基準時刻を生成する。基準時刻は、後述する複数のローカル時計部150における時刻を合わせるための基準である。基準時刻生成部122は、ネットワーク110を介して、基準時刻を示す情報である基準時刻情報を制御装置130及び処理判定装置140へと送信する。基準時刻情報の送信は、予め設定された所定の時間間隔ごとに、又は、所定の要求に基づき行われる。
【0056】
尚、「所定の要求」とあるのは、制御装置130や処理判定装置140から基準時刻生成部122に送られる基準時刻情報の送信要求や、基準時刻生成部122にて自動的に生じる基準時刻情報の送信要求などをいう。この要求のタイミングとしては、制御装置130や処理判定装置140の起動時、制御装置130や処理判定装置140とネットワーク110との接続確立時、基準時刻又はローカル時計部150の示す時刻が予め設定された定刻となったとき、PTP包装機10などの生産関連装置の起動時などを挙げることができる。
【0057】
本実施形態では、基本的には所定の時間間隔ごとに(例えば24時間ごとに)、基準時刻情報の送信が行われる。また、制御装置130や処理判定装置140の起動時にも、基準時刻情報の送信が行われる。
【0058】
さらに、データ保存サーバ120は、制御装置130や処理判定装置140から後述する送信時刻情報を受信可能となっている。そして、データ保存サーバ120は、送信時刻情報が受信されたときにおける基準時刻生成部122が示す基準時刻と、この送信時刻情報に基づく時刻(すなわち、制御装置130等がデータ等の送信処理を行った時刻)とを比較する。そして、データ保存サーバ120は、両時刻のずれが所定値以下である場合、後述するローカル時計部150の示す時刻が適切であると判定する。一方、両時刻のずれが所定値を上回る場合、ローカル時計部150の示す時刻が不適切であると判定する。不適切があると判定した場合、データ保存サーバ120は、例えば、各ローカル時計部150が示す時刻をより精度よく一致させるべく、基準時刻情報の送信間隔をより短くする等の対応を行う。尚、データ保存サーバ120は、両時刻のずれが所定値を上回る場合、時刻に異常がある旨を外部に報知してもよい。
【0059】
また、本実施形態において、データ保存サーバ120(基準時刻生成部122)は、有線により上流側ネットワーク111へと接続されている。従って、無線接続と比べて、基準時刻情報の送信にかかる通信安定性を高めることが可能となっている。尚、ネットワーク110に対する制御装置130や処理判定装置140の接続態様は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0060】
さらに、データ保存サーバ120の記憶媒体には、制御装置130及び処理判定装置140から送信された、生産ライン200を構成する各装置及び各検査装置70を動作させるためのプログラム及びパラメータをバックアップとして記憶可能となっている。
【0061】
加えて、データ保存サーバ120に対するアクセス権限は、限られた管理者のみが有しており、一般作業者は、データ保存サーバ120にアクセスして、メイン記憶部121に記憶された情報や基準時刻生成部122における基準時刻を変更したり、削除したりすることが行えないようになっている。
【0062】
制御装置130は、PTP包装機10、集積装置50及び包装装置60ごとに設けられており、対応する装置における制御処理を行う。すなわち、1の制御装置130は、PTP包装機10の動作制御を行い、別の1の制御装置130は、集積装置50の動作制御を行い、さらに別の1の制御装置130は、包装装置60の動作制御を行う。
【0063】
各制御装置130は、CPU、RAM、ROM及び記憶媒体などを備えたコンピュータシステムにより構成されており、前記記憶媒体には、装置の動作制御を行うためのプログラム及びパラメータが記憶されている。各制御装置130は、記憶されたプログラム及びパラメータに基づき、対応する装置の動作を制御する。例えば、PTP包装機10に対応する制御装置130は、PTP包装機10を構成する各装置(ポケット部形成装置16、充填装置21、シール装置25、シート打抜装置37など)の起動、停止、動作タイミング、動作速度、加熱温度、加熱時間、付与圧力などを制御する。
【0064】
処理判定装置140は、検査装置70ごとに設けられており、対応する装置における制御処理を行う。各処理判定装置140は、RAM、ROM及び記憶媒体などを備えたコンピュータシステムにより構成されており、前記記憶媒体には、検査装置70の動作制御や検査装置70から送られた情報に基づく検査処理を行うためのプログラム及びパラメータが記憶されている。各処理判定装置140は、記憶されたプログラム及びパラメータに基づき、検査装置70の動作(例えば、起動、停止、カメラによる撮像タイミング、照明の輝度など)を制御したり、被検査対象の良否を判定したりする。
【0065】
また、各制御装置130及び各処理判定装置140(以下、単に「各制御装置130等」という)は、ネットワーク110を介して、所定のタイミングで、対応する装置を動作させるためのプログラム及びパラメータをデータ保存サーバ120へと送信する。上記の通り、このプログラム等は、データ保存サーバ120にてバックアップとして記憶される。
【0066】
さらに、各制御装置130等は、時刻を計るローカル時計部150、及び、対応する装置の動作に係るデータを記憶するローカル記憶部160を備えている。本実施形態では、ローカル時計部150が「ローカル時計手段」を構成し、ローカル記憶部160が「ローカル記憶手段」を構成する。ローカル時計部150は、各制御装置130等が有する時計機能により構成されている。
【0067】
各制御装置130等は、ネットワーク110を介して基準時刻生成部122から送信された基準時刻情報に基づき、ローカル時計部150における時刻を修正する。これにより、ネットワーク110等に異常がない限り、ローカル時計部150の示す時刻は、基準時刻とほぼ一致することとなる。
【0068】
また、各制御装置130等は、対応する装置にてデータが発生する都度、該データ及び該データの発生したときにおけるローカル時計部150の示す時刻に係る情報であるデータ発生時刻情報を、ローカル記憶部160に記憶する(
図5参照)。尚、この「データ」とあるのは、装置に対する操作情報(例えば、起動、停止、設定変更などに係るログなど)や装置の状態情報(加熱温度、付与圧力、エラー発生、照明装置の輝度、良否判定結果など)であって、装置による事象の再現や検証などに必要な情報をいう。このようなデータは、操作が行われたり、状態が確認されたりすることで発生する。
【0069】
さらに、各制御装置130等は、ネットワーク110を介してローカル記憶部160に記憶されたデータ及びデータ発生時刻情報をデータ保存サーバ120に送信する(
図5参照)。これらデータ等の送信は、例えば、ローカル時計部150の時刻が予め設定された所定時刻となる度に、予め設定された時間間隔ごとに、ローカル記憶部160に記憶されたデータ等のサイズが所定量に至る度に、又は、データ等が記憶される度に行われる。尚、ローカル記憶部160にデータ及びデータ発生時刻情報が記憶される前に、これらデータ等がデータ保存サーバ120に送信されることはない。
【0070】
加えて、各制御装置130等は、データ保存サーバ120に対する上記データ等の送信時におけるローカル時計部150の示す時刻に係る情報である送信時刻情報をネットワーク110を介してデータ保存サーバ120に送信可能とされている。本実施形態において、各制御装置130等は、上記データ及びデータ発生時刻情報を送信する際に、上記データ等とともに送信時刻情報をデータ保存サーバ120へと送信する(
図5参照)。
【0071】
併せて、各制御装置130等は、データ保存サーバ120及びネットワーク110が正常に機能していることを確認可能である。本実施形態において、各制御装置130等は、所定時期における基準時刻情報の受信の有無に基づき、データ保存サーバ120及びネットワーク110が正常に機能していることを確認する。尚、各制御装置130等は、例えば、ネットワーク110を介してデータ保存サーバ120に対し所定の確認信号を送信し、その送信に対するリアクション信号がデータ保存サーバ120から受信されるか否かに基づき、データ保存サーバ120及びネットワーク110が正常に機能していることを確認可能であってもよい。尚、ネットワーク110及び各制御装置130等が無線接続されている場合、無線接続の性質上、短時間の通信停止が生じ得るが、上記確認にあたっては、このような通信停止を無視するように設定することが好ましい。
【0072】
また、各制御装置130等は、所定の入力手段を介して所定の起動信号又は停止信号が入力されると、PTP包装機10、集積装置50、包装装置60及び検査装置70を起動又は停止させる。但し、本実施形態では、各制御装置130等において装置(PTP包装機10等)の起動条件が次のように設定されている。すなわち、1つ目の起動条件は、データ保存サーバ120及びネットワーク110が正常に機能していることである。2つ目の起動条件は、送信された基準時刻情報に基づきローカル時計部150における時刻が修正されたことである。3つ目の起動条件は、ローカル時計部150における時刻の修正を行ってから所定時間(例えば24時間など)以上が経過していないことである。各制御装置130等は、これら起動条件の全てを満たす場合に限り、装置(PTP包装機10等)の起動を可能とする。
【0073】
加えて、各制御装置130等は、対応するPTP包装機10や検査装置70等が起動した後において、データ保存サーバ120及びネットワーク110のうちの少なくとも一方が正常に機能していないことが確認された場合、次のような動作を行う。
【0074】
すなわち、PTP包装機10に係る制御処理を行う制御装置130は、少なくとも貯留装置20が空となるまで、PTP包装機10の動作を継続させる。特に本実施形態において、該制御装置130は、貯留装置20が空になるとともに、貯留装置20に貯留された錠剤5を用いてPTPシート1を得ることができるまでの間、PTP包装機10の動作を継続させる。そして、該制御装置130は、錠剤5が不足し、PTPシート1を得ることができなくなる段階で、PTP包装機10を停止させる。
【0075】
また、集積装置50に係る制御処理を行う制御装置130は、PTP包装機10から送られるPTPシート1が不足するまで、PTPシート1の積み上げを行うように集積装置50の動作を継続させる。そして、該制御装置130は、PTP包装機10が停止されて、PTPシート1を所定数積み上げることができなくなった段階で、集積装置50を停止させる。
【0076】
さらに、包装装置60に係る制御処理を行う制御装置130は、集積装置50から受け渡された全てのPTPシート1に対し包装処理や箱詰め処理を行うまで、包装装置60の動作を継続させる。そして、該制御装置130は、全てのPTPシート1に対する包装処理などが完了した段階で、包装装置60を停止させる。
【0077】
加えて、検査装置70に係る制御処理を行う処理判定装置140は、PTP包装機10や包装装置60が動作を継続している間、検査装置70の動作を継続させる。そして、該処理判定装置140は、PTP包装機10や包装装置60の停止に合わせて、検査装置70を停止させる。
【0078】
上記のようにネットワーク110やデータ保存サーバ120が正常に機能していない場合において、生産や検査が継続されているときにも、ローカル記憶部160に対しデータ及びデータ発生時刻情報が記憶され続ける。また、PTP包装機10や検査装置70が停止されると、該停止に係るデータ及びデータ発生時刻情報がローカル記憶部160に記憶される。そして、この記憶されたデータ等は、ネットワーク110及びデータ保存サーバ120が復旧し、正常に機能するようになった段階で、ネットワーク110を介してデータ保存サーバ120に送信される。
【0079】
尚、データ保存サーバ120やネットワーク110が正常に機能していないことを確認したときに、PTP包装機10及び検査装置70等を直ちに停止させるようにしてもよい。この停止に係るデータ及びデータ発生時刻情報は、ローカル記憶部160に記憶される。
【0080】
以上詳述したように、本実施形態によれば、制御装置130等は、データ保存サーバ120及びネットワーク110が(正常に)機能していることを確認可能であり、これらが機能していることを条件として、対応するPTP包装機10や検査装置70等の起動を可能とする。従って、データ保存サーバ120にデータを記憶できない状態でPTP包装機10等が起動することを防止でき、データ保存サーバ120に記憶されるデータの完全性をより確実に担保することができる。
【0081】
また、データ及びデータ発生時刻情報は、データ保存サーバ120への送信前に、ローカル記憶部160に記憶されるため、データ保存サーバ120やネットワーク110に異常が生じたとしても、データ等を記憶し続けることができる。そのため、仮にデータ保存サーバ120やネットワーク110に異常が生じた場合においては、PTP包装機10等の動作を継続させてその動作中のデータを記憶したり、PTP包装機10等を停止させてその停止に係るデータを記憶したりすることができる。従って、データ保存サーバ120やネットワーク110に異常が生じたときに、データ等の記憶に係る懸念が生じることなく、PTP包装機10等の動作継続又は停止を適宜選択することができる。
【0082】
加えて、ローカル記憶部160にデータ等を記憶するため、データ保存サーバ120やネットワーク110に異常が生じることに伴うデータの消失をより確実に防止することができる。その結果、データ保存サーバ120に記憶されたデータの完全性を一層確実に担保することができる。
【0083】
さらに、各制御装置130等は、ネットワーク110を介して基準時刻生成部122から送信された基準時刻情報に基づき、ローカル時計部150における時刻を修正する。従って、複数のローカル時計部150が示す時刻をほぼ一致させることができ、各制御装置130等は、統一的な基準(基準時刻)を用いてデータの発生時刻を得ることができる。これにより、データ保存サーバ120(メイン記憶部121)に記憶されたデータの発生時刻をより正確なものとすることができる。その結果、データ保存サーバ120に記憶されたデータにおいて同時性の要件をより厳格に満たすことができる。
【0084】
さらに、各制御装置130等は、基準時刻信号に基づきローカル時計部150における時刻を修正した後に、対応するPTP包装機10や検査装置70等の起動を可能とする。従って、PTP包装機10等の起動時において、各ローカル時計部150の時刻を基準時刻に合わせることができ、データ保存サーバ120に記憶されたデータにおいて同時性の要件を一層厳格に満たすことが可能となる。
【0085】
併せて、各制御装置130等は、ローカル時計部150の時刻の修正が所定期間以上行われていない場合、対応するPTP包装機10や検査装置70等の起動を不可とする。従って、基準時刻に対しローカル時計部150の時刻が比較的大きくずれているおそれがあるときには、PTP包装機10等を起動させることができず、ひいてはPTP包装機10等の動作に係るデータが記憶されないようにすることができる。従って、データ保存サーバ120(メイン記憶部121)に記憶されたデータにおいて同時性の要件をより一層厳格に満たすことができる。
【0086】
さらに、本実施形態において、データ保存サーバ120は、基準時刻生成部122を備えている。そのため、各制御装置130等は、基準時刻信号を受信することで、データ保存サーバ120及びネットワーク110が(正常に)機能していることを確認することができる。従って、基準時刻信号の受信は、データ保存サーバ120及びネットワーク110が機能していることの確認を兼ねることとなり、この確認のために各制御装置130等が特段の動作を行う必要がなくなる。従って、各制御装置130等における処理負担の低減を図ることができる。
【0087】
加えて、データ保存サーバ120は、送信時刻情報を受信したときにおける基準時刻生成部122が示す基準時刻と、該送信時刻情報に基づく時刻とを比較することができる。これにより、各ローカル時計部150の示す時刻がそれぞれ適切であるかを把握して、その把握結果に基づく対応を行うことができる。
【0088】
また、PTP包装機10に係る制御処理を行う制御装置130は、データ保存サーバ120及び/又はネットワーク110が機能していない場合に、少なくとも貯留装置20に貯留された錠剤5を使い切るまで、PTP包装機10の動作を継続させる。従って、貯留装置20にて錠剤5が長時間放置されることを防止でき、ひいては錠剤5が無駄に廃棄処理されることをより確実に防止できる。これにより、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0089】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0090】
(a)上記実施形態において、PTP包装機10や検査装置70等の起動条件は、データ保存サーバ120及びネットワーク110が正常に機能していること、基準時刻情報に基づきローカル時計部150における時刻が修正されたこと、及び、ローカル時計部150の時刻修正から所定時間以上経過していないこと、とされている。これに対し、起動条件を適宜変更してもよい。例えば、ローカル時計部150における時刻の修正に係る条件を、起動条件に含めないようにしてもよい。尚、この場合には、PTP包装機10や検査装置70等の起動時に、制御装置130や処理判定装置140からデータ保存サーバ120(基準時刻生成部122)に対し、基準時刻信号の送信に係る要求を送り、この要求の返信として受信した基準時刻信号の基づき、ローカル時計部150における時刻を修正するように構成してもよい。
【0091】
(b)上記実施形態において、基準時刻生成部122は、データ保存サーバ120に設けられているが、基準時刻生成部を、データ保存サーバ120とは別に設けてもよい。例えば、基準時刻生成部は、データ保存サーバ120、制御装置130及び処理判定装置140から独立した状態でネットワーク110(例えば上流側ネットワーク111)に接続された装置であってもよい。また、各制御装置130等の少なくとも1つが、基準時刻生成部を備えるように構成してもよい。
【0092】
(c)上記実施形態において、データ管理システム100は、PTPシート1の生産・検査に適用されているが、データ管理システムをPTPシート1以外の製品の生産・検査などに適用してもよい。
【0093】
(d)上記実施形態では、基準時刻生成部122が1つのみ設けられているが、基準時刻生成部を複数設け、各基準時刻生成部から基準時刻信号が送信されるように構成してもよい。この場合、各基準時刻生成部から送信された基準時刻信号に基づき、ローカル時計部150の時刻が修正される。また、この場合には、複数の基準時刻信号(複数の基準時刻)を比較することで、各基準時刻生成部にて生成される基準時刻が適切であるか否かを判定可能としてもよい。この判定の主体は特に限定されるものではなく、例えば、各制御装置130等であってもよいし、基準時刻生成部であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、10…PTP包装機(生産関連装置、ブリスタ包装機)、20…貯留装置(貯留手段)、21…充填装置(充填手段)、50…集積装置(生産関連装置)、60…包装装置(生産関連装置)、70…検査装置(生産関連装置)、100…データ管理システム、110…ネットワーク、120…データ保存サーバ、121…メイン記憶部(メイン記憶手段)、122…基準時刻生成部(基準時刻生成手段)、130…制御装置(制御処理装置)、140…処理判定装置(制御処理装置)、150…ローカル時計部(ローカル時計手段)、160…ローカル記憶部(ローカル記憶手段)。
【要約】
【課題】記憶されたデータにおいて同時性の要件をより厳格に満たすこと等が可能なデータ管理システムを提供する。
【解決手段】制御装置130及び処理判定装置140は、ローカル時計部150及びローカル記憶部160を備える。各ローカル時計部150の時刻は、基準時刻生成部122からの基準時刻情報に基づき修正される。ローカル記憶部160には、データが発生する都度、データ及びデータ発生時刻情報が記憶される。ローカル記憶部160に記憶されたデータ及びデータ発生時刻情報は、データ保存サーバ120に送信され、メイン記憶部121に記憶される。これにより、各ローカル時計部150が示す時刻がほぼ一致することとなり、メイン記憶部121に記憶されたデータの発生時刻がより正確なものとなる。その結果、この記憶されたデータにおいて同時性の要件をより厳格に満たすことができる。
【選択図】
図1