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特許7022231最小侵襲性切断器具操作のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】最小侵襲性切断器具操作のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/295 20060101AFI20220209BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20220209BHJP
【FI】
A61B17/295
A61B34/35
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021020619
(22)【出願日】2021-02-12
(62)【分割の表示】P 2019047519の分割
【原出願日】2016-05-13
(65)【公開番号】P2021074623
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】62/162,217
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウェイアー,デイヴィッド ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,メロディー
(72)【発明者】
【氏名】ワルドー,マイケル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0005718(US,A1)
【文献】特開昭60-132550(JP,A)
【文献】特表2014-513570(JP,A)
【文献】特表2012-504016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28-17/295
A61B 17/32-17/326
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれよりも多くのプロセッサと、
モータ又は他の能動アクチュエータと、
切断ブレードを有する器具を支持するように構成される関節作動アームとを含み、
前記1つ又はそれよりも多くのプロセッサは、前記モータ又は他の能動アクチュエータを用いて前記器具を制御して、
前記切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延出させ、
前記切断ブレードを前記第2の位置から前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置まで後退させ、
前記切断ブレードを前記第3の位置で保持し、且つ
前記切断ブレードを前記第1の位置まで更に後退させる
ように構成される、
コンピュータ支援デバイス。
【請求項2】
前記1つ又はそれよりも多くのプロセッサは、前記切断ブレードが使用されていないときに、前記器具を制御して、前記切断ブレードを前記第1の位置で保持するように更に構成される、請求項1に記載のコンピュータ支援デバイス。
【請求項3】
前記切断ブレードは、前記器具の駆動ユニット内の拘束機構を用いて、前記モータ又は他の能動アクチュエータによって前記駆動ユニットに加えられる力又はトルクを用いて、或いは前記拘束機構及び前記モータ又は他の能動アクチュエータによって前記駆動ユニットに加えられる前記力又はトルクの両方を用いて、前記第1の位置で保持される、請求項2に記載のコンピュータ支援デバイス。
【請求項4】
前記拘束機構は、バネである、請求項3に記載のコンピュータ支援デバイス。
【請求項5】
前記第1の位置は、前記切断ブレードが使用されていないときに、前記切断ブレードを収容するためのガレージ内にあり、
前記第3の位置は、前記切断ブレードが前記ガレージのすぐ外側に後退させられる位置に対応する、
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ支援デバイス。
【請求項6】
前記1つ又はそれよりも多くのプロセッサは、前記切断ブレードを前記第2の位置から前記第3の位置まで後退させる前に、前記器具を制御して、前記切断ブレードを前記第2の位置において保持するように更に構成される、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のコンピュータ支援デバイス。
【請求項7】
コンピュータ支援デバイスと共に使用するための器具であって、
駆動ユニットと、
当該器具の遠位端に配置されるエンドエフェクタであって、対向可能な把持ジョーと、切断ブレードとを含む、エンドエフェクタと、
前記駆動ユニットと前記エンドエフェクタとの間のシャフトであって、前記駆動ユニットからの力又はトルクを前記エンドエフェクタに連結するための1つ又はそれよりも多くの駆動機構を収容する、シャフトと、
前記切断ブレードが使用されていないときに前記切断ブレードを収容するガレージとを含み、
前記器具は、
前記切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延出させ、
前記切断ブレードを前記第2の位置から前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置まで後退させ、
前記切断ブレードを前記第3の位置で保持し、且つ
前記切断ブレードを前記第1の位置まで更に後退させる
ように構成される、
器具。
【請求項8】
前記器具は、前記切断ブレードが使用されていないときに、前記切断ブレードを前記第1の位置で保持するように更に構成される、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記切断ブレードは、前記駆動ユニット内の拘束機構を用いて、モータ又は他の能動アクチュエータによって前記駆動ユニットに加えられる力又はトルクを用いて、或いは前記拘束機構及び前記モータ又は他の能動アクチュエータによって前記駆動ユニットに加えられる前記力又はトルクの両方を用いて、前記第1の位置で保持され、
前記拘束機構は、バネである、
請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記器具は、前記切断ブレードを前記第2の位置から前記第3の位置まで後退させる前に、前記切断ブレードを前記第2の位置において保持するように更に構成される、請求項7乃至9のうちのいずれか1項に記載の器具。
【請求項11】
前記第1の位置は、前記切断ブレードが使用されていないときに前記切断ブレードを収容するガレージ内にあり、
前記第3の位置は、前記切断ブレードが前記ガレージのすぐ外側に後退させられる位置に対応する、
請求項7乃至10のうちのいずれか1項に記載の器具。
【請求項12】
コンピュータ支援デバイスと共に使用するための器具の作動方法であって、
前記コンピュータ支援デバイスの制御ユニットが、前記器具の駆動ユニットを作動させて、前記器具の切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延出させること、
前記制御ユニットが、前記駆動ユニットを作動させて、前記切断ブレードを前記第2の位置から前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置まで後退させること、
前記制御ユニットが、前記駆動ユニットを作動させて、前記切断ブレードを前記第3の位置で保持すること、及び
前記制御ユニットが、前記駆動ユニットを作動させて、前記切断ブレードを前記第1の位置まで更に後退させることを含む、
作動方法。
【請求項13】
前記切断ブレードが使用されていないときに、前記制御ユニットが、前記駆動ユニットを作動させて、前記切断ブレードを前記第1の位置で保持することを更に含む、請求項12に記載の作動方法。
【請求項14】
前記制御ユニットが、前記駆動ユニットを作動させて、前記切断ブレードが前記第2の位置から前記第3の位置まで後退させられる前に、前記切断ブレードを前記第2の位置において保持することを更に含む、請求項12又は13に記載の作動方法。
【請求項15】
前記第1の位置は、前記切断ブレードが使用されていないときに前記切断ブレードを収容するガレージ内にあり、
前記第3の位置は、前記切断ブレードが前記ガレージのすぐ外側に後退させられる位置に対応する、
請求項12乃至14のうちのいずれか1項に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2015年5月15日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR MINIMALLY INVASIVE CUTTING INSTRUMENT OPERATION」という名称の米国仮特許出願第62/162,217号の優先権及び利益を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0002】
本開示は、一般的には、関節作動アームとエンドエフェクタとを備えるデバイスの操作(operation)に関し、より具体的には、最小侵襲性切断器具の操作に関する。
【背景技術】
【0003】
ますます多くのデバイスが自律型及び半自律型の電子デバイスに取って代わられている。これは手術室、介入室、集中治療室、救急室などに見られる自律型及び半自律型電子デバイス装置の大規模アレイを備える今日の病院に特に当て嵌まる。例えば、ガラス及び水銀体温計は、電子体温計に取って代わられており、静脈内点滴ラインは、現在のところ電子モニタ及び流量調整器を含み、従来的な手持ち式の手術器具は、コンピュータ支援医療デバイスに取って代わられている。
【0004】
コンピュータ支援医療デバイスを用いる最小侵襲性外科技術は、一般的に、健康な組織への損傷を最小限に抑えながら、外科処置及び/又は他の処置を行うことを試みる。幾つかの最小侵襲性処置は、手術器具を備えるコンピュータ支援医療デバイスの使用を通じて遠隔に実行されることがある。多くのコンピュータ支援医療デバイスでは、外科医及び/又は他の医療従事者は、典型的には、操作者コンソール上の1以上(1つ又はそれよりも多く)の制御装置を用いて入力デバイスを操作することがある。外科医及び/又は他の医療従事者が操作者コンソールで様々な制御装置を操作すると、命令は操作者コンソールから患者側デバイスに中継され、患者側デバイスには、1以上のエンドエフェクタ及び/又は手術器具が取り付けられている。このようにして、外科医及び/又は他の医療従事者は、エンドエフェクタ及び/又は手術器具を用いて患者に対して1以上の処置を行うことができる。所望の処置及び/又は使用中の手術器具に依存して、所望の処置は、部分的に又は全体的に、遠隔操作を用いる外科医及び/又は医療従事者の制御の下で、並びに/或いは、手術器具が外科医及び/又は他の医療従事者による1以上のアクティブ化行為に基づき一連の操作を行うことがある半自律的な制御の下で、行われることがある。
【0005】
手動で作動させられるにしろ、遠隔操作で作動させられるにしろ、及び/又は半自律的に作動させられるにしろ、最小侵襲性外科器具は、様々な操作及び/又は処置において用いられることがあり、様々な構成を有することがある。多くのそのような器具は、関節作動アームの遠位端に取り付けられることがあるシャフトの遠位端に取り付けられるエンドエフェクタを含む。多くの手術シナリオにおいて、シャフトは、遠隔手術部位に到達するよう、開口(例えば、体壁切開部、自然開口部、及び/又は同等物)を通じて(例えば、腹腔鏡下で、胸腔鏡下で、及び/又は同等物の下で)挿入されるように構成されてよい。幾つかの器具では、関節作動リスト機構を器具のシャフトの遠位端に取り付けて、シャフトの長手軸に対するエンドエフェクタの向きを変更する能力をもたらす関節作動リストでエンドエフェクタを支持する。
【0006】
外科医及び/又は他の医療従事者が様々な外科処置のいずれかを実行するのを可能にするよう、異なるタスク、処置、及び機能を実行するために、異なる設計及び/又は構成のエンドエフェクタが用いられてよい。例は、焼灼、切除、縫合、切断、ステープル留め、融合、封止など、及び/又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。従って、エンドエフェクタは、これらの外科処置を実行する様々なコンポーネント及び/又はコンポーネントの組み合せを含み得る。
【0007】
最小侵襲性の処置の目標と一致して、エンドエフェクタの大きさは、典型的に、エンドエフェクタがその意図されるタスクを実行するのを依然として可能にしながら、可能な限り小さく維持される。エンドエフェクタの大きさを小さく維持する1つのアプローチは、患者の外部に典型的に位置する手術器具の近位端での1以上の入力の使用を通じてエンドエフェクタの作動を達成することである。次に、様々なギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物を用いて、手術器具のシャフトに沿って1以上の入力から行為を伝達し、エンドエフェクタを作動させてよい。適切な手術器具を備えるコンピュータ支援医療デバイスの場合、器具の近位端にある伝動機構は、患者側デバイス又は患者側カートの関節作動アームに設けられる、様々なモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学(hydraulics)、空気力学(pneumatics)、及び/又は同等物とインターフェース接続する。モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学、空気力学、及び/又は同等物は、典型的には、マスターコントローラを通じて制御信号を受信し、伝動機構の近位端で力及び/又はトルクの形態の入力を提供し、様々なギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物は、最終的に入力を伝達して、伝動機構の遠位端でエンドエフェクタを作動させる。
【0008】
そのようなエンドエフェクタの動作の遠隔性の故に、幾つかの場合には、外科医及び/又は他の医療従事者が所望の処置を実行する作動中にエンドエフェクタの1以上のコンポーネントの位置を知ることは困難な場合がある。例えば、幾つかの場合には、エンドエフェクタ自体を含む手術器具の他の部分及び/又は患者の解剖学的構造の部分は、1以上のコンポーネントの作動中に手術器具の1以上のコンポーネントのビューから隠れることがある。加えて、所望の処置を実行しようと試みる間にコンポーネントのうちの1以上が故障状態に直面するときに、外科医及び/又は他の医療従事者が故障状態を検出し且つ/或いは修正することは、エンドエフェクタの限定的な可視性、手術器具が作動する限定的な空間、手術器具への限定的なアクセス、外科医及び/又は他の医療従事者に対するエンドエフェクタの遠隔位置、及び/又は同様のことの故に、困難なことがある。
【0009】
加えて、安全状態も手術器具の設計及び/又は動作の要因となることがある。幾つかの例において、切断ツールのような手術ツールのエンドエフェクタは、鋭利な切断ブレードを含むことがある。非手術中に切断ブレードが手術ツールを操作する医療従事者及び/又は患者の組織を誤って切断し得ない位置に位置付けられるように、切断ブレードが積極的に切断に用いられないときに、切断ブレードはエンドエフェクタ上のハウジング又はガレージ内で被覆され(sheathed)且つ/或いは格納され(garaged)てよい。同様に、エンドエフェクタの1以上の繊細なコンポーネントも、非手術中の繊細なコンポーネントへの損傷を防ぐために被覆され且つ/或いは格納されてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、切断器具のような手術器具の操作のための改良された方法及びシステムが望ましい。幾つかの例では、手術器具が所望の処置を成功裡に行い得ることがあるのを保証するのに役立つよう、手術器具の自動制御を提供することが望ましい場合がある。幾つかの例では、手術及び非手術の両方の間に患者及び/又は医療従事者に対する安全性並びに手術器具に対する保護をサポートする手術器具の構成を提供することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかの実施形態と一致する、コンピュータ支援医療デバイスと共に用いる手術切断器具。手術切断器具は、駆動ユニットと、器具の遠位端に配置されるエンドエフェクタと、駆動ユニットとエンドエフェクタとの間のシャフトと、切断ブレードが使用されていないときに切断ブレードを収容するガレージとを含む。エンドエフェクタは、対向する把持ジョーと、切断ブレードとを含む。シャフトは、駆動ユニットからの力又はトルクをエンドエフェクタに結合する1つ又はそれよりも多くの駆動機構を収容する。切断操作を実行するために、器具は、切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延伸させ、切断ブレードを第2の位置から第1の位置と第2の位置との間の第3の位置まで後退させ、且つ切断ブレードを第1の位置まで更に後退させる。切断ブレードが使用されていない間に、切断ブレードは、駆動ユニット内の拘束機構、モータ若しくは他の能動アクチュエータによって駆動ユニットに適用される力若しくはトルク、又は両方を用いて、第1の位置に維持される。
【0012】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療デバイスと共に使用する手術切断器具を用いて切断操作を実行する方法が、切断ブレードの不使用時にエンドエフェクタの切断ブレードを第1の位置に保持すること、力又はトルクを駆動ユニットに適用することによって切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延伸させること、切断ブレードを第2の位置から第1の位置と第2の位置との間の第3の位置まで後退させること、及び切断ブレードを第1の位置まで更に後退させることを含む。第1の位置における切断ブレードの保持は、駆動ユニットの拘束機構、モータ若しくは能動アクチュエータによって駆動ユニットに適用される力若しくはトルク、又は両方によって実行される。延伸させること及び後退させることは、モータ又は能動アクチュエータを用いて駆動ユニットに力又はトルクを適用することを含む。
【0013】
幾つかの実施形態と一致して、非一時的な機械可読媒体が、コンピュータ支援医療デバイスと関連付けられる1つ又はそれよりも多くのプロセッサによって実行されるときに、1つ又はそれよりも多くのプロセッサに方法を実行させるように構成される、複数の機械可読指令を含む。方法は、切断ブレードが使用されていないときにエンドエフェクタの切断ブレードを第1の位置に保持すること、駆動ユニットに力又はトルクを適用することによって切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延伸させること、切断ブレードを第2の位置から第1の位置と第2の位置との間の第3の位置まで後退させること、及び切断ブレードを第1の位置まで更に後退させることを含む。切断ブレードを第1の位置に保持することは、駆動ユニットの拘束機構、モータ若しくは能動アクチュエータによって駆動ユニットに適用される力若しくはトルク、又は両方によって実行される。
【0014】
幾つかの実施態様と一致して、コンピュータ支援医療デバイスが、1つ又はそれよりも多くのプロセッサと、関節作動アームと、モータ又は他の能動アクチュエータと、関節作動アームの遠位端に連結される手術器具とを含む。手術器具は、手術器具の近位端に配置される駆動ユニットと、手術器具の遠位端に配置されるエンドエフェクタと、駆動ユニットとエンドエフェクタとの間に配置されるシャフトと、切断ブレードが使用されていないときに切断ブレードを収容するガレージとを含む。エンドエフェクタは、対向する把持ジョーと、切断ブレードとを含む。シャフトは、駆動ユニットからの力又はトルクをエンドエフェクタに結合するための1つ又はそれよりも多くの駆動機構を収容する。コンピュータ支援医療デバイスは、切断ブレードを第1の位置から第2の位置まで延伸させ、切断ブレードを第2の位置から第1の位置と第2の位置との間の第3の位置まで後退させ、且つ切断ブレードを第1の位置まで更に後退させることによって、切断ブレードを用いて切断操作を実行するように構成される。切断ブレードが使用されていない間に、切断ブレードは、駆動ユニット内の拘束機構、モータ又は他の能動アクチュエータによって駆動ユニットに適用される力若しくはトルク、又は両方を用いて、第1の位置に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】幾つかの実施形態に従ったコンピュータ支援システムの簡略図である。
【0016】
図2】幾つかの実施形態に従った最小侵襲性の手術器具を示す簡略図である。
【0017】
図3】幾つかの実施形態に従った図2の手術器具の遠位端の簡略化された斜視図である。
【0018】
図4A】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
図4B】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
図4C】幾つかの実施形態に従った図2及び図3のエンドエフェクタの簡略化された切欠図である。
【0019】
図5】幾つかの実施形態に従った自由度についての駆動ユニットの簡略化された斜視図である。
【0020】
図6】幾つかの実施形態に従った切断操作のための位置プロファイル及び対応するトルク限界プロファイルの簡略図である。
【0021】
図7】幾つかの実施形態に従った切断操作を実行する方法の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図において、同一の記号表示を有する要素は、同一又は類似の機能を有する。
【0023】
以下の記述では、本開示と一致する幾つかの実施形態を記載する具体的な詳細を示す。しかしながら、幾つかの実施形態はこれらの具体的な詳細の一部又は全部なしで実施されてよいことが当業者に明らかであろう。本明細書に開示する具体的な実施形態は例示的であることを意図し、限定的であることを意図しない。当業者は、本明細書で具体的に記載されていなくても、他の要素が本開示の範囲及び精神内にあることを認識することがある。加えて、不必要な繰返しを避けるために、1つの実施形態に関連して示し且つ記載する1以上の構成は、他のことが特に記載されていない限り或いは1以上の構成が実施形態を機能しないようにさせない限り、他の実施形態に組み込まれてよい。
【0024】
図1は、幾つかの実施形態に従ったコンピュータ支援システム100の簡略図である。図1に示すように、コンピュータ支援システム100は、1以上(1つ又はそれよりも多く)の可動又は関節作動アーム120(articulated arms)を備えたコンピュータ支援デバイス110を含む。1以上の関節作動アーム120の各々は、1以上の器具130を支持してよい。幾つかの例において、コンピュータ支援デバイス110は、コンピュータ支援手術デバイスと一致してよい。1以上の関節作動アーム120は、それぞれ、手術器具、撮像デバイス、及び/又は同等物のような、医療器具130のための支持をもたらしてよい。幾つかの例において、器具130は、実行(performing)、把持(gripping)、(retracting)、焼灼(cauterizing)、切除(ablating)、縫合(suturing)、切断(cutting)、ステープル留め(stapling)、融合(fusing)、封止(sealing)など、及び/又はこれらの組み合わせを行うことができる、エンドエフェクタを含んでよい。
【0025】
コンピュータ支援デバイス110は、操作者ワークステーション(図示せず)に更に連結されてよく、操作者ワークステーションは、コンピュータ支援デバイス110、1以上の関節作動アーム120及び/又は器具130を作動させる、1以上のマスターコントロール(主制御装置)を含んでよい。幾つかの例において、1以上のマスターコントロールは、マスターマニピュレータ、レバー、ペダル、スイッチ、キー、ノブ、トリガ、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの実施形態において、コンピュータ支援デバイス110及び操作者ワークステーションは、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって市販されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemに対応してよい。幾つかの実施形態では、他の構成、より少ない若しくはより多い関節作動アーム、及び/又は同等物を備える、コンピュータ支援手術デバイスが、コンピュータ支援システム100と共に用いられてよい。
【0026】
コンピュータ支援装置110は、インターフェースを介して制御ユニット140に連結される。インターフェースは、1以上のケーブル、ファイバ、コネクタ、及び/又はバスを含んでよく、1以上のネットワークスイッチング及び/又はルーティングデバイスを備える1以上のネットワークを更に含んでよい。制御ユニット140は、メモリ160に連結されるプロセッサ150を含む。制御ユニット140の動作は、プロセッサ150によって制御される。制御ユニット140は、1つのプロセッサ150のみで示されているが、プロセッサ150は、制御ユニット内の1以上の中央処理装置、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(EPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は同等物の代表であってよい。制御ユニット140は、スタンドアローンサブシステム及び/又はコンピュータデバイスに追加されたボードとして或いは仮想マシンとして実施されてよい。幾つかの実施形態において、制御ユニット140は、操作者ワークステーションの部分として含められてよく、且つ/或いは操作者ワークステーションと別個であるが操作者ワークステーションと協調して作動させられてよい。
【0027】
メモリ160は、制御ユニット140によって実行されるソフトウェア及び/又は制御ユニット140の動作中に用いられる1以上のデータ構造を格納するために用いられてよい。メモリ160は、1以上の種類の機械可読媒体を含んでよい。機械可読媒体の幾つかの一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを備える任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又はプロセッサ若しくはコンピュータが読み出すように構成される任意の他の媒体を含んでよい。
【0028】
図1に示すように、メモリ160は、コンピュータ支援デバイス110の自律的な、半自律的な、及び/又は遠隔操作された制御をサポートするために用いられてよい制御アプリケーション170を含む。制御アプリケーション170は、コンピュータ支援装置110、関節作動アーム120、及び/又は器具130から位置、動き、力、トルク、及び/又は他のセンサ情報を受信し、位置、動き、力、トルク、及び/又は衝突回避情報を他のデバイスに関する他の制御ユニットと交換し、且つ/或いは、コンピュータ支援デバイス110、関節作動アーム120、及び/又は器具130の動き計画し且つ/或いは計画を支援するために、1以上のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含んでよい。幾つかの例において、制御アプリケーション170は、外科処置中の器具130の自律的な、半自律的な、及び/又は遠隔操作される制御を更にサポートしてよい。制御アプリケーション170は、ソフトウェアアプリケーションとして示されているが、制御アプリケーション170は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実装されてよい。
【0029】
幾つかの実施形態において、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入室内に見出されることがある。コンピュータ支援システム100は、2つの関節作動アーム120及び対応する器具130を備える1つだけのコンピュータ支援デバイス110を含むが、当業者は、コンピュータ支援システム100がコンピュータ支援デバイス110と類似の及び/又は異なる設計の関節作動アーム及び/又は器具を備える任意の数のコンピュータ支援デバイスを含んでよいことを理解するだろう。幾つかの例において、コンピュータ支援デバイスの各々は、より少ない又はより多い関節作動アーム及び/又は器具を含んでよい。
【0030】
図2は、幾つかの実施形態に従った最小侵襲性の手術器具200を示す簡略図である。幾つかの実施形態において、手術器具200は、図1の器具130のいずれかと一致してよい。本明細書で用いられる図2に描くような「近位」(“proximal”)及び「遠位」(“distal”)という方向は、手術器具200のコンポーネントの相対的な向き及び場所を記載するのに役立つ。遠位は、一般的に、コンピュータ支援デバイス110のようなコンピュータ支援デバイスの基部(ベース)からの運動学的連鎖に沿って離れる方向における及び/又は手術器具200の意図される操作的使用において手術作業部位に最も近い要素を指す。近位は、一般的に、コンピュータ支援デバイスの基部及び/又はコンピュータ支援デバイスの関節作動アームの1つに向かう運動学的連鎖に沿うより近い方向における要素を指す。
【0031】
図2に示すように、手術器具200は、長いシャフト210を含み、シャフト210は、シャフト210の遠位端に配置されるエンドエフェクタ220を、手術器具200がシャフト210の近位端で関節作動アーム及び/又はコンピュータ支援デバイスに取り付けられる場所に連結するために用いられる。手術器具200を用いる特定の手順に依存して、シャフト210は、エンドエフェクタ220を患者の解剖学的構造内に位置する遠隔手術部位の近傍に配置するために、開口(例えば、体壁切開部、自然開口部、及び/又は同等のもの)を通じて挿入されてよい。図2に更に示すように、エンドエフェクタ220は、2つのジョー付きグリッパ型のエンドエフェクタと概ね一致しており、幾つかの実施形態では、図3及び4A乃至4Cに関して以下に更に詳細に記載するように、切断及び/又は融合若しくは封止機構を更に含んでよい。しかしながら、当業者は、異なるエンドエフェクタ220を備える異なる手術器具200が可能であり、本明細書の他の箇所に記載するような手術器具200の実施形態と一致してよいことを理解するであろう。
【0032】
エンドエフェクタ220を備える手術器具200のような手術器具は、典型的には、その動作中に多数の自由度(DOF)に依存する。手術器具200及び関節作動アーム及び/又はそれが取り付けられるコンピュータ支援デバイスの構成に依存して、エンドエフェクタ220を位置付け、方向付け、且つ/或いは作動させるために用いられてよい様々なDOFが可能である。幾つかの例では、シャフト210を遠位方向に挿入し且つ/或いは近位方向に後退させて、そのエンドエフェクタ220が患者の解剖学的構造内にどれぐらい深く配置されるかを制御するために用いられてよい挿入DOFを提供してよい。幾つかの例では、シャフト210をその長手軸について回転させて、エンドエフェクタ220を回転させるために用いられてよいロールDOFを提供してよい。幾つかの例では、エンドエフェクタの位置及び/又は向きにおける追加的なフレキシビリティ(柔軟性)が、エンドエフェクタ220をシャフト210の遠位端に連結するために用いられる関節作動リスト230(articulated wrist)によって提供されてよい。幾つかの例において、関節作動リスト230は、シャフト210の長手軸に対するエンドエフェクタ220の向きを制御するために用いられてよい(複数の)「ロール」(“roll”)、「ピッチ」(“pitch”)、及び「ヨー」(“yaw”)DOFをそれぞれ提供することがある、1以上のロール、ピッチ、又はヨージョイント(joint)のような、1以上の回転するジョイント(関節)を含んでよい。幾つかの例において、1以上の回転ジョイントは、ピッチ及びヨージョイント、ロール、ピッチ、及びヨージョイント、ロール、ピッチ、及びロールジョイント、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、エンドエフェクタ220は、エンドエフェクタ220のジョーの開閉を制御するために用いられるグリップDOF、及び/又は以下に更に詳細に記載するような切断機構の延伸、収縮、及び作動を制御するために用いられる作動DOFを更に含んでよい。
【0033】
手術器具200は、シャフト210の近位端に配置される駆動システム240を更に含む。駆動システム240は、手術器具200によってサポートされる様々なDOFを操作するために用いられてよい、手術器具200に力及び/又はトルクを導入する1以上のコンポーネントを含む。幾つかの例において、駆動システム240は、図1の制御ユニット140のような制御ユニットから受信する信号に基づき作動させられる1以上のモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ(hydraulic actuators)、空圧アクチュエータ(pneumatic actuators)、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、信号は、1以上の電流、電圧、パルス幅変調波形、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例において、駆動システム240は、手術器具200を取り付ける関節作動アーム120のうちのいずれかのような関節作動アームの部分一部である、対応するモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、水力学(hydraulics)、空気力学(pneumatics)、及び/又は同等物に連結されてよい、1以上のシャフト、ギア、プーリ、ロッド、バンド、及び/又は同等物を含んでよい。幾つかの例では、シャフト、ギア、プーリ、ロッド、バンド、及び/又は同等物のような、1以上の駆動入力を用いて、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、及び/又は同等物から力及び/又はトルクを受け取り、それらの力及び/又はトルクを適用して手術器具200の様々なDOFを調節してよい。
【0034】
幾つかの実施形態において、駆動システム240によって生成され且つ/或いは受け取られる力及び/又はトルクは、1以上の駆動機構250を用いて、駆動システム240から、シャフト210に沿って、駆動システム240の遠位に配置される手術器具200の様々なジョイント及び/又は要素に伝達されてよい。幾つかの例において、1以上の駆動機構250は、1以上のギア、レバー、プーリ、ケーブル、ロッド、バンド、及び/又は同等物を含んでよい。幾つか例において、シャフト210は中空であり、駆動機構250は、シャフト210の内側に沿って、駆動システム240から、エンドエフェクタ220及び/又は関節作動リスト230の対応するDOFに進む。幾つかの例において、駆動機構250の各々は、ボーデンケーブルのような構成において中空シース又は内腔の内側に配置されるケーブルであってよい。幾つかの例において、ケーブル及び/又は内腔の内側は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び/又は同等物のような低摩擦被膜で被覆されてよい。幾つかの例では、ケーブルの各ケーブルの近位端が、例えば、キャプスタン又はシャフトの周りにケーブルを巻き付け且つ/或いは巻き戻すことによって、駆動システム240の内側に引っ張られ且つ/或いは押し込まれると、ケーブルの遠位端は相応して動いて、適切な力及び/又はトルクを適用して、エンドエフェクタ220、関節作動リスト230、及び/又は手術器具200のDOFのうちの1つを調節する。
【0035】
図3は、幾つか実施形態に従った手術器具200の遠位端の簡略化された斜視図である。図3に示すように、手術器具200の遠位端は、エンドエフェクタ220、関節作動リスト230、及び駆動機構250の追加的な詳細を示すために描かれている。より詳細には、エンドエフェクタ220は、開放位置において示された対向ジョー310を含む。ジョー310は、処置中にエンドエフェクタ220を用いて、組織及び/又は手術部位に配置される縫合糸のような他の構造を把持し且つ解放するよう、開放位置と閉塞位置との間で移動するように構成される。幾つかの例において、ジョー310は、両方のジョー310が同時に開放及び/又は閉塞する単一ユニットとして一緒に操作されてよい。幾つかの例では、例えば、他方のジョーが開放及び/又は閉塞されてよい間に一方のジョー310が安定的に保持され得るよう、ジョー310は独立して開放及び/又は閉塞されてよい。
【0036】
図3は、ジョー310の各ジョーの内側の把持面が、切断ブレード330のためのガイドとして機能することがある対応する溝320を含むことを示しているが、溝320は、ジョー310の1以上から省かれてよい。ブレード330がエンドエフェクタ220の遠位端に向かって延伸させられ且つ/或いはエンドエフェクタ220の近位端に向かって引っ込められると、溝320の各々は切断動作中に切断ブレード330の整列及び/又は位置決めを助けることがある。切断ブレード330の引抜き(extraction)及び/又は引込み(retraction)は、切断ブレード330を取り付ける駆動コンポーネント340を用いて達成される。幾つかの例において、駆動コンポーネント340は、切断ブレード330を押して切断ブレード330を延伸させ、切断ブレード330を引っ張って切断ブレード330を後退させる。切断ブレード330の使用及び位置決めは、幾つかの実施形態に従ったエンドエフェクタ220の簡略化された切欠図である図4A乃至4Cに示されている。図4Aは、切断ブレード330と駆動コンポーネント340との間の関係を示している。
【0037】
エンドエフェクタ220は、ジョー310の近位端に配置されるガレージ構成350(garage feature)を更に含む。ガレージ構成350は、駆動コンポーネント340及び切断ブレード330の両方が通ることがある開口を含む。ガレージ構成350は、切断ブレード330が用いられないときに、切断ブレード330のための安全な格納領域を提供するように構成される。よって、切断ブレード330が切断作業の一部として積極的に用いられるとき、エンドエフェクタ220は、切断ブレード330を、切断ブレード330が図4Bに示すようにジョー310の背後に近位に隠される「格納」(“garaged”)又は収容(stored)位置において、ガレージ構成350内に引っ込めることがあるように、構成される。切断ブレード330は、図4Cに示すように溝320のうちの1つの溝の遠位端に又はその付近に位置付けられる位置まで追加的に延伸させられてよい。幾つかの例において、図4Cに示すような切断ブレード330の位置決めは、切断動作中の切断ブレード330の位置に対応してよい。
【0038】
幾つかの例において、エンドエフェクタ220及び手術器具200は、切断ブレード330の初期設定又はホーム位置がガレージ構成350内にあるように設計される。このガレージ構成350の配置は、エンドエフェクタ220に幾つかの構成をもたらすことがある。幾つかの例において、切断ブレード330がガレージ構成350内に引っ込められるとき、切断ブレード330の鋭利な切断エッジは、切断ブレード330が処置中の組織及び/又は処置前及び/又は処置後に手術器具200及びエンドエフェクタ200を取り扱う医療従事者を誤って切断する可能性がないように、効果的に被覆される(sheathed)。幾つかの例では、切断ブレード330がガレージ構成350内に引っ込められるとき、切断ブレード330は、切断ブレード330が切断のために積極的に用いられていないときの、偶発的な鈍化(dulling)のような損傷から保護されることもある。
【0039】
図3に戻ると、幾つかの実施形態において、ジョー310の各ジョーの内側の把持面は、1以上の任意的な電極360を更に含んでよい。幾つかの例では、電極360を用いて、電気外科エネルギを送り、ジョー310の間に保持される組織を融合してよい。幾つかの例では、組織が同じ手術器具200を用いて切断され且つ/或いは融合/封止されてよいよう、電極360はエンドエフェクタ220に電気焼灼、融合、及び/又は封止構成をもたらしてよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、ジョー310、切断ブレード330、及び/又は関節作動リスト230のジョイントの動作は、駆動機構250の対応するものを用いて達成されてよい。幾つかの例では、ジョー310が独立して作動させられるときに、対応する駆動機構250が(例えば、ケーブル、リードスクリュー、及び/又は同等物を用いて)プル力(pull force)及び/又はプッシュ力(pushing force)を適用するに応じて、それぞれのジョー310が開放され且つ/或いは閉塞されてよいように、駆動機構250(ジョー310の各々について1つずつ)のうちの2つの駆動機構の遠位端が、それぞれのジョー310に連結されてよい。幾つかの例では、ジョー310が一緒に操作されるとき、両方のジョー310は、同じ駆動機構250の遠位端に連結されてよい。幾つかの例において、駆動コンポーネント340は、対応する駆動機構250に適用される力及び/又はトルクが駆動コンポーネント340のプッシュ及び/又はプル動作に伝達されてよいように、対応する駆動機構250の遠位端に連結されてよい。幾つかの例では、追加的な駆動機構350を用いて、関節作動リスト230内のロール、ピッチ、及び/又はヨーDOFを作動させてよい。
【0041】
図5は、幾つかの実施形態に従った自由度についての駆動ユニット500の簡略化された斜視図である。幾つかの実施形態によれば、駆動ユニット500は、図2の駆動システム240中のコンポーネントの部分を表してよい。図5に示すように、駆動ユニット500は、キャプスタン510を回転させてDOFを作動させる回転作動アプローチに基づく。キャプスタン510は、駆動シャフト520に連結され、駆動シャフト520は、モータ、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物(図示せず)の駆動シャフトであってよい。トルクが駆動シャフト520に適用され、駆動シャフト520及びキャプスタン510が回転させられると、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520に取り付けられるケーブル530は、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の周りに更に巻き付けられ且つ/或いはそれらから巻き戻されることがある。ケーブル530が、駆動機構250のいずれかのような対応する駆動機構の近位端に取り付けられると、ケーブルの巻付け及び巻戻しは、駆動機構の遠位端に配置されるエンドエフェクタのDOFに適用されることがある対応するプル及びプッシュ力及び/又はトルクになることがある。幾つかの例において、キャプスタン510及び駆動シャフト520の回転、並びにケーブル530の対応する巻付け及び/又は巻戻しは、ジョー310のようなグリッパジョーの開放及び/又は閉塞、切断ブレード530のような切断ブレードの延伸(extending)及び/又は引込み(retracting)、関節作動リストジョイントの屈曲(flexing)及び/又は非屈曲(unflexing)、及び/又は同等のこと引き起こすことがある。幾つかの例において、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の回転角度及び/又は回転速度をモニタリングすることは、対応する駆動機構を介してケーブル530に連結される対応するDOFの現在位置及び/又は速度を示すこともある。よって、駆動ユニット500が手術器具200のDOFと共に用いられるとき、キャプスタン510及び/又は駆動シャフト520の回転角度及び/又は回転速度は、駆動機構250のうちのどれにケーブル530が連結されるかに依存して、ジョー310が開放されている角度、切断ブレード330の位置、及び/又は関節作動リスト230のピッチ及び/又はヨー角度に関する、有用なフィードバックをもたらすことがある。
【0042】
DOFが作動していないときに、エンドエフェクタのDOFが初期位置、休止位置、及び/又はホーム位置で構成されることが望ましいことが多いので、幾つかの実施形態では、駆動ユニット500のような駆動ユニットは、駆動ユニット500を対応するホーム位置に戻す抵抗(resitive)及び/又は拘束機構(restraining mechanism)を含んでよい。幾つかの例において、DOFのためのホーム位置の使用は、手術器具200のような手術器具の構成を支持することがあり、その場合、把持ジョー(gripping jaws)は自動的に閉塞され且つ/或いは殆ど閉塞され、切断ブレードはガレージ構成内に引っ込められ、関節作動リストジョイントは真っ直ぐにされ、且つ/或いは同等のことが行われる。図5に示すように、駆動ユニット500は、捩りバネ540の形態の拘束機構を含む。捩りバネ540は、一端550でキャプスタン510に取り付けられ、キャプスタン510に巻き付けられて示されている。キャプスタン510が回転させられると、捩りバネ540の第2の端560は、それが回転して駆動ユニット500の本体の部分であってよいストップ570に当たるまで、自由に回転してよい。捩りバネ540の第2の端560がストップ570に当たった後に、キャプスタン510が回転し続けると、捩りバネ540は、キャプスタン510の回転量及び捩りバネのバネ定数によって決定されるように、拘束及び/又はホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510にもたらし始める。よって、より大きい回転量がキャプスタン510に適用されると、捩りバネ540は、増大したホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用する。例えば、把持ジョーを閉塞し、切断ブレードを後退させ、且つ/或いは関節作動リストジョイントを真っ直ぐにするために用いられることがあるのは、キャプスタン510に対するこのホーム復帰力及び/又はトルクである。
【0043】
図5は、キャプスタン510の周りに巻き付けられている捩りバネのような拘束機構を示しているが、当業者は、類似の拘束/ホーム復帰機能を達成する拘束機構のための他の可能な拘束機構及び/又は構成を認識するであろう。幾つかの例において、駆動ユニット500の本体は、ストップ570に起因するホーム復帰力及び/又はトルクと反対方向において、ホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用する第2のストップを更に含んでよい。幾つかの例では、捩りバネ540がホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用し始める前に、捩りバネ540の自由な動きが許容されないよう、且つ/或いは、キャプスタン510の回転がないにも拘わらず、捩りバネ540が少なくとも幾らかのホーム復帰力及び/又はトルクをキャプスタン510に適用するよう、捩りバネ540の第2の端560は、駆動ユニット500の本体に取り付けられてよい。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、エンドエフェクタのDOFについての捩りバネ540のバネ定数のような適切な大きさの拘束機構の選択は、手術器具の設計者に幾つかの挑戦を提示することがある。幾つかの状況では、DOFの対応する駆動ユニットの所望のホーム復帰機能とのあらゆる可能性のある及び/又は合理的な干渉を克服するために、拘束機構の大きさを選択することが望ましい場合がある。幾つかの例において、可能性のある及び/又は合理的な干渉を克服する拘束機構の大きさの選択は、可能な操作シナリオのうちの多くについて拘束機構を過大にする傾向がある。加えて、拘束機構の大きさが増大すると、拘束機構を克服するために、対応するより大きな力又はトルクが駆動ユニットに適用されなければならない。幾つかの例において、これは、拘束機構を克服するより大きなモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物の使用を含むことがあり、DOFを駆動させて操作を実行するために利用可能なより少ない力及び/又はトルクをもたらすDOFについてのより小さな操作限界(operational margin)をもたらすことがある。例えば、切断を実行するために、より少ない切断力及び/又はトルクが、切断ブレードに適用するために利用可能であることがある。幾らかの例において、このより大きなホーム復帰力及び/又はトルクは、駆動機構に対する摩耗の増加、駆動機構の伸張(stretching)、及び/又は同等のことをもたらすことがある、駆動機構に加えられる応力及び/又はひずみを増加させることがある。幾つかの例において、駆動機構の伸張は、許容差から外れるようになる駆動機構及び対応するDOFをもたらすことがあり、よって、所望にDOFを制御する能力の低下をもたらすことがある。幾つかの例において、このより大きなホーム復帰力及び/又はトルクは、例えば、ホーム復帰把持力がエンドエフェクタの把持ジョーの間に依然として位置する組織の損傷及び/又は引裂きをもたらすことがあるときに、患者及び/又は医療従事者の怪我の可能性を増加させることがある。
【0045】
1つの可能な妥協は、拘束機構の大きさを、手術器具が用いられていないときに(即ち、手術器具が対応する関節作動アーム及び/又はコンピュータ支援デバイスに取り付けられていないときに)DOFをホーム位置に戻すのに十分なホーム復帰力及び/又はトルクを提供するような、並びに、追加的なホーム復帰力及び/又はトルクが望まれる操作シナリオの間に、駆動ユニットに連結されるモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物を用いて、追加的なホーム復帰力及び/又はトルクを提供するような、大きさにすることである。この妥協の下では、対応する手術器具の所望の動作をサポートする所望の量の動作限界を依然として提供しながら、より小さいモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物を用いることが一般的に可能である。幾つかの例において、拘束機構は、約0N~10Nのホーム復帰力及び/又は類似のトルクをDOFに提供するような大きさにされてよい。
【0046】
図6は、幾つかの実施形態に従った切断操作についての位置プロファイル610及び対応するトルク限界プロファイル620の簡略図である。幾つかの実施形態において、位置プロファイル610及びトルク限界プロファイル620は、駆動ユニット500を用いる切断ブレード330への適用に適することがある。図6に示すように、位置プロファイル610及びトルク限界プロファイル620は、時間tで開始する4段階切断操作を含む。4つの段階は、tからtへの延伸段階(extending phase)、tからtへの保持段階(holding phase)、tからtへの後退段階(retracting phase)、及びtからtへの格納段階(garaging phase)を含む。図6を議論する目的のために、切断ブレードの位置は、より正の位置が遠位方向にある切断ブレードのx位置に関して記載されるが、当業者は、切断ブレードのための位置が、溝320によって定められる軸に沿った位置、キャプスタン510の回転角、及び/又は同等のもののような、任意の適切な位置(positional)及び/又は回転軸(rotational axis)を用いて表されてよく、且つ/或いは、代替的に、より近位方向における正の値を用いて特徴付けられ得ることを理解するであろう。
【0047】
延伸段階の目標の1つは、切断ブレードをXRETの後退位置からXEXTの延伸位置まで迅速に延伸させることである。幾つかの例において、XRETは、切断ブレードのガレージ及び/又はホーム位置に対応してよい。幾つかの例において、切断ブレードのゼロ位置は、関節作動リストが直線位置又は非屈曲位置にあるときの、ガレージ構成350のようなガレージ構成の外側縁又は遠位縁に対応してよい。幾つかの例において、XRETは、異なる駆動機構及び/又は駆動ユニットの間の可変性を考慮するために、約-3mmのような十分に負の値として選択される。幾つかの例では、負のXRETは、手術器具内の関節作動リストの屈曲によって引き起こされる駆動機構の可能な偏差に対処してもよい。幾つかの例では、関節作動リストが屈曲すると、駆動機構は、手術器具の中空シャフト(例えば、シャフト210)内で屈曲及び/又は移動に晒されることがある。駆動機構が曲がり且つ/或いは移動すると、駆動機構によって見られるような有効距離は、切断ブレードの遠位端と駆動ユニットの近位端との間で変化することがある。結果的に、切断ブレードをガレージに戻す後退量は、関節作動リストが屈曲させられる状態と関節作動リストが屈曲させられない状態との間で異なることがある。幾つかの例において、XEXTは、約+18mmのような切断ブレードの完全に延伸した及び/又は殆ど延伸した位置に対応することがあるので、切断ブレードは、溝320のうちの1つの溝のような案内溝の端に当たらず、且つ/或いは、切断ブレードが案内溝から出て、ガレージ又はホーム位置に戻り得ない、切断ブレード露出の可能性を減少させる。幾つかの例において、延伸段階の持続時間(即ち、tとtとの間の時間)は幾分急速でよく、例えば、長さが50ms~250msで異なってよく、好ましくは、長さが175msであってよい。
【0048】
保持段階の目標の1つは、切断ブレードがXRETからXEXTに移行するための延伸段階の持続時間よりも長い時間を要するときの操作シナリオを考慮するために、XEXTで完全延伸するよう切断ブレードに命令し続けることである。幾つかの例において、保持段階は、切断ブレードが所望の延伸に達する前に切断ブレードが後退させられる可能性を減少させることもある。幾つかの例において、保持段階の持続時間(即ち、tとtとの間の時間)は、延伸段階の持続時間と類似の大きさであるか或いは僅かにより短くてよく、例えば、長さが50ms~150msで異なってよく、好ましくは、長さが100msであってよい。
【0049】
切断ブレードの後退は、後退段階と格納段階とを含む2段階動作を用いて起こることがある。後退段階の目標の1つは、切断ブレードを約+1mmのようなガレージ又はホーム位置に戻る道の大部分である保持位置まで後退させることに対応する位置XHLDまで切断ブレードを急速に後退させることである。後退段階に続いて、切断ブレードは、格納段階の間に、XRET位置までより完全に後退させられる。幾つかの例において、後退の後に格納が続く2段階操作の使用は、直接的にXRETへの単一段階操作と比較して、切断ブレードが後退中にガレージから出て跳ね返って戻る可能性を減少させ、且つ/或いは、格納段階の間に切断ブレード及び駆動機構に適用される荷重の大きさを減少させる。幾つかの例において、後退段階の持続時間(即ち、tとtとの間の時間)は、例えば、長さが50ms~175msで異なってよく、好ましくは、長さが120msであってよい。幾つか例において、格納段階の持続時間(即ち、tとtとの間の時間)は、例えば、長さが75ms~200msの間で異なってよく、好ましくは、長さが150msであってよい。
【0050】
幾つかの例において、切断操作が開始するときのtより前の時間期間、及び切断操作が終了するときのtより後の時間期間は、駆動機構の拘束機構と、以下に更に議論するように駆動ユニットを作動させるために用いられるモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は類似物との両方によって提供される力及び/又はトルクを用いて、切断ブレードがXRETのガレージ又はホーム位置で保持される休止段階(idle phases)に対応してよい。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、図6の位置プロファイル610は、切断操作中の切断ブレードの所望の位置を表している。幾つかの例において、位置プロファイル610は、切断ブレード、並びに切断ブレードのための駆動ユニットを作動させるために用いられるモータ、ソレノイド、サーバアクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は類似物のための、位置命令の時間シーケンス(time sequence of position commands)に変換されてよい。幾つかの例では、例えば、三次スプラインを用いる補間及び/又は曲線のあてはめを用いて、切断操作を通じて切断ブレードについての滑らかな位置プロファイル610又は位置軌跡を提供するために、位置命令の時間シーケンスを決定してよい。幾つかの例において、切断ブレード及び/又は駆動ユニットの実際の位置は、切断ブレード及び/又は駆動ユニットが位置プロファイル610に追従し得るか否かを決定する1以上のセンサを用いて、切断操作中にモニタリングされてよい。幾つかの例において、切断ブレード及び/又は駆動ユニットが所定の許容差内で位置プロファイル610に追従し得ないときには、音声、視覚、及び/又は文字アラートを外科医及び/又は他の医療従事者に提供して、切断操作が成功しなかった場合があることを示してよい。幾つかの例では、切断ブレードがXEXTまで延伸し得ないとき及び/又は露出させられるようになってXRETに戻ることができないときには、成功しなかった場合がある。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、切断ブレードが、一般的に、位置プロファイル610によって示されるような位置制御アプローチを用いて操作されるとしても、切断ブレードのための駆動ユニットを駆動させるモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のための制御ユニットは、力及び/又はトルク上限及び/又は下限の制限に晒されることがある。幾つかの例では、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は類似物の大きさに基づき力及び/又はトルク限界を決定して、駆動ユニット、駆動機構、及び/又は切断ブレードへの損傷及び/又は過度の磨耗の可能性を低減させ、切断ブレードを作動させるために用いられる電力を減少させ、且つ/或いは切断操作の実際的な必要性に対処してよい。トルク限界プロファイル620は、1つの可能なそのようなプロファイルを表す。トルク限界プロファイル620をトルクに関して記載しているが、他の制御アクチュエータ及び/又は制御システムは、代替的に、当業者によって理解されるように、電圧、電流、力、デューティサイクル、類似のものに対する限界を用いてよい。
【0053】
図6に示すように、トルク限界プロファイル620は、切断ブレードが切断操作のどの段階にあるか及び/又は切断ブレードが現時点で休止しているか否かに依存して、3つのトルク限界の組み合わせを用いる。また、トルク限界は延在方向に対応する正のトルク限界値で特徴付けられるが、当業者はトルク限界の符号が切断ブレードのための駆動ユニット及び/又は制御アクチュエータの構成に依存して任意であることを理解する。トルク限界プロファイル620では、切断操作の延伸段階及び保持段階の間にTEXTのトルク限界が用いられる。幾つかの例において、TEXTは、駆動ユニット内の捩りバネ540のような任意の拘束機構を克服するよう、並びに、適切な作動力及び/又はトルクを供給して、切断ブレードが延伸させられている間に切断ブレードが組織を切断するのを可能にするよう、十分に高い限界に設定される。幾つか例において、TEXTは、延伸中に切断ブレードが15N~20Nの切断力を送るのに適した範囲内にあってよい。
【0054】
RETのトルク限界は、後退段階及び格納段階で用いられる。幾つかの例において、TRETは、切断が行われた後の切断ブレードの所望の後退及び/又は格納と干渉することがある切断操作からのあらゆる組織及び/又は他の破片を克服するよう、十分に高い限界に設定される。幾つかの例において、TRETは、TEXTと略同じ大きさを有してよいが、TRETが切断ブレードに15N~20Nの後退力を送るのに適した範囲内にあるよう、反対の符号を備えてよい。幾つかの例において、TRETは、延伸中に拘束機構を克服し且つ後退中に拘束機構によって提供される支援を反映するよう用いられるトルクを考慮するために、TEXTの大きさよりも小さい大きさを有してよい。
【0055】
切断ブレードが休止しているときに、TIDLEのトルク限界が用いられる。幾つかの例において、TIDLEは、TRETよりも小さいが、非使用の期間に拘束機構が切断ブレードを格納状態に維持するのを助ける十分な大きさに設定される。幾つかの例において、TIDLEの大きさは、XRETの負の後退位置の故にエンドエフェクタ及び/又はガレージ構成によって付与されるあらゆる物理的限界を超えて切断ブレードを後退させる試みに起因して、モータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、駆動機構、駆動装置などに対して過大なひずみを置くのを回避するように設定されてよい。幾つかの例において、TIDLEは、0N~5Nの後退力を切断ブレードに送るのに適した範囲内にあってよい。
【0056】
上で議論したように、そして、ここで更に強調するように、図6は、請求項の範囲を過度に制限すべきでない一例であるに過ぎない。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。幾つかの実施形態によれば、図6でより直接的に議論した切断DOFのような特定のDOFの所望の動作に依存して、異なる位置及び/又はトルク限界プロファイルが可能である。幾つかの例では、延伸段階及び保持段階並びに/或いは後退段階及び格納段階において異なるトルク限界値が用いられてよい。幾つかの例では、ランプ(ramps)及び/又は類似のものを用いるより複雑なトルク限界プロファイルが可能である。幾つかの例において、トルク限界は、切断ブレードの現在の位置に基づき可変であってよい。
【0057】
図7は、幾つかの実施形態に従った切断操作を実行する方法700の簡略図である。方法700のプロセス710乃至760のうちの1以上は、少なくとも部分的に、1以上のプロセッサ(例えば、制御ユニット140内のプロセッサ150)によって実行されるときに、1以上のプロセッサにプロセス710乃至760のうちの1以上を実行させることがある、非一時的な有形の機械可読媒体に格納される、実行可能コードの形態で実装されてよい。幾つかの実施形態において、方法700は、制御アプリケーション170のようなアプリケーションによって実行されてよい。幾つかの実施形態では、方法700を用いて、手術器具200のような手術器具の切断ブレード330のような切断ブレードを延伸させ且つ後退させてよい。幾つかの実施形態において、方法700の切断操作は、位置プロファイル610及び/又はトルク限界プロファイル620に従って実行されてよい。幾つかの実施形態において、方法700の実行中に図2図3、及び図4A乃至4Cに記載されるような駆動コンポーネントを用いて、切断ブレードを延伸させ、後退させ、且つ/或いは休止位置に維持してよい。
【0058】
プロセス710で、切断ブレードを休止位置に維持する。幾つかの例において、休止位置は、能動的な切断が行われていないときに組織及び/又は医療従事者を誤って切断する可能性を減少させるために、切断ブレードが損傷から保護される及び/又は切断ブレードがガレージ構成350のようなガレージ構成内に被覆される、格納及び/又はホーム位置に対応してよい。幾つかの例において、休止位置は、位置プロファイル610の位置XRETのような僅かに負の位置に対応してよい。幾つかの例において、切断ブレードは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータによって切断ブレードに適用される、力及び/又はトルクに基づき休止位置に保持されてよい。幾つかの例において、適用される力及び/又はトルクは、捩りバネ540のような拘束機構、アクチュエータ、及び/又は両方を用いて適用されてよい。幾つかの例において、アクチュエータによって適用される力及び/又はトルクの量は、トルク限界プロファイル620からのTIDLEのような制限を晒されることがある。幾つかの例では、切断ブレードが切断のために用いられない限り、切断ブレードは休止位置に維持されてよい。幾つかの例において、プロセス710は、図6に休止期間として印された期間に対応してよい。
【0059】
プロセス720で、切断命令を受信する。幾つかの例では、外科医及び/又は他の要員が、切断操作が行われるのを要求してよい。幾つかの例では、切断操作は、操作者コンソール上に配置される1以上のマスターマニピュレータ、レバー、ペダル、スイッチ、キー、ノブ、トリガ、及び/又は同等物のような、1以上のマスターコントロールを用いて要求されてよい。幾つかの例において、要求される切断操作は、割込み、入力ポーリング操作、API呼出し、及び/又は同等行為を介して、制御アプリケーション170のような制御アプリケーションによって受信されてよい。
【0060】
プロセス730で、切断ブレードが延伸される。幾つかの例において、切断操作の第1段階は、切断ブレードを作動させて、プロセスの休止位置710から位置プロファイル610の位置XEXTのような延伸位置まで急速に延伸させることを含んでよい。幾つかの例において、プロセス730中の切断ブレードの作動は、延伸段階中の位置プロファイル610のような滑らかな位置プロファイルが切断ブレードについて命令されるよう、位置命令の時間シーケンスを切断ブレードと関連付けられるDOFを作動させる駆動ユニットに提供することを含んでよい。幾つかの例において、切断ブレードは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータによって切断ブレードに適用される力及び/又はトルクに基づき、延伸させられてよい。幾つかの例において、切断ブレードに適用される力及び/又はトルクの量は、切断ブレードを休止位置に保持するために並びに組織を切断する十分な切断力を送るために用いられるあらゆる拘束機構を克服するように選択されてよい。幾つか例において、適用される力及び/又はトルクの量は、トルク限界プロファイル620からのTEXTのような制限に晒されることがある。幾つかの例において、プロセス730は、図6で延長期間として印される期間に対応してよい。
【0061】
プロセス740で、切断ブレードは延伸位置に保持される。幾つかの例において、切断操作の第2の段階は、切断ブレードを作動させ続けて、プロセス730の延伸位置まで延伸させることを含んでよい。幾つかの例において、この延伸位置は、位置プロファイル610の位置XEXTに対応してよい。幾つかの例において、切断ブレードは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータによって切断ブレードに適用される力及び/又はトルクに基づき、延伸され続けてよく且つ/或いは延伸位置で保持され続けてよい。幾つかの例において、切断ブレードに適用される力及び/又はトルクの量は、切断ブレードを休止位置に維持するために並びに組織を切断する十分な切断力を送るために用いられるあらゆる拘束機構を克服するために選択されてよい。幾つかの例において、適用される力及び/又はトルクの量は、トルク限界プロファイル620からのTEXTのような制限に晒されることがある。幾つかの例において、プロセス740は、図6に保持期間として印される期間に対応してよい。
【0062】
プロセス750で、切断ブレードを後退させる。幾つかの例では、切断操作の第3の段階は、切断ブレードを作動させて、プロセス730及び/又は740の延伸位置から、プロセス710の休止位置に向かって戻る道の殆どに位置付けられる位置プロファイル610の位置XHLDのような保持位置まで急速に後退させることを含んでよい。幾つかの例において、プロセス750中の切断ブレードの作動は、後退段階中の位置プロファイル610のような滑らかな位置プロファイルが切断ブレードのために命令されるように、切断ブレードと関連付けられるDOFを作動させる駆動ユニットに位置命令の時間シーケンスを提供することを含んでよい。幾つかの例において、切断ブレードは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータによって切断ブレードに適用される力及び/又はトルクに基づき、後退させられてよい。幾つかの例において、切断ブレードに適用される力及び/又はトルクの量は、切断ブレードの後退と干渉することがあるあらゆる可能性のある組織、破片、及び/又は同等のものを克服するよう選択されてよい。幾つかの例において、後退は、切断ブレードを休止位置に維持するために用いられる拘束機構によって追加的に補助されてよい。幾つかの例において、適用される力及び/又はトルクの量は、トルク限界プロファイル620からのTRETのような制限に晒されることがある。幾つかの例において、プロセス750は、図6に格納期間として印される期間に対応してよい。
【0063】
プロセス760で、切断ブレードを格納する。幾つかの例において、切断操作の第4の段階は、切断ブレードを作動させて、プロセス750の保持位置からプロセス710の休止位置に後退させることを含んでよい。幾つかの例において、プロセス760中の切断ブレードの作動は、格納段階中の位置プロファイル610のような滑らかな位置プロファイルが切断ブレードのために命令されるよう、切断ブレードと関連付けられるDOFを作動させる駆動ユニットに位置命令の時間シーケンスを提供することを含む。幾つかの例において、切断ブレードは、駆動コンポーネント、駆動機構、駆動ユニット、及び/又はモータ、ソレノイド、サーボ、能動アクチュエータ、液圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、及び/又は同等物のようなアクチュエータによって切断ブレードに適用される力及び/又はトルクに基づき後退させられてよい。幾つかの例において、切断ブレードに適用される力及び/又はトルクの量は、切断ブレードの格納と干渉することがあるあらゆる可能性のある組織、破片、及び/又は同等のものを克服するよう選択されてよい。幾つかの例において、格納は、切断ブレードを休止位置に保持するために用いられる拘束機構によって追加的に補助されてよい。幾つかの例において、適用される力及び/又はトルクの量は、トルク限界プロファイル620からのTRETのような制限に晒されることがある。幾つかの例において、プロセス760は、図6に格納期間として印される期間に対応してよい。
【0064】
プロセス760中に切断ブレードを格納した後、切断操作は完了し、他の切断命令を受信するまで、プロセス710を用いて切断ブレードを休止位置に維持する。
【0065】
図7に示していないが、当業者は、方法700が1以上のモニタリング及び/又は報告プロセスと協働して実行されてよいことを理解するであろう。幾つかの例では、方法700の間に1以上のセンサを用いて切断ブレード及び/又は切断ブレードのための駆動ユニットの実際の位置をモニタリングして、切断ブレード及び/又は駆動ユニットが、位置プロファイル610のような切断ブレードのための位置プロファイルに従い得るか否かを決定してよい。幾つかの例では、切断ブレード及び/又は駆動ユニットが所定の許容差内で位置プロファイルに従い得ないときに、音声、視覚、及び/又は文字アラートを外科医及び/又は他の医療関係者に提供して、切断作業が成功しなかったことを示してよい。幾つかの例において、切断操作は、プロセス730及び/又はプロセス740の間に切断ブレードが命令通りに延伸し得ないときに成功していないことがある。幾つかの例において、切断操作は、切断ブレードが露出させられるようになって、ガレージに戻り得ないときに成功していないことがある。幾つかの例では、延伸、保持、後退、及び/又は格納操作のいずれかがそれぞれの切断操作段階に対応する力及び/又はトルク限界のうちの1つに達するときに、1以上の音声、視覚、及び/又はアラートを用いた警告及び/又は警報が発せられてよい。
【0066】
制御ユニット140のような制御ユニットの幾つかの例は、1以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ150)によって実行されるときに、1以上のプロセッサに方法900のプロセスを実行させる、実行可能なコードを含む、非一時的で有形の機械可読媒体を含んでよい。方法900のプロセスを含んでよい機械可読媒体の幾つかの一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを備える任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又はプロセッサ若しくはコンピュータが読み取るように構成される任意の他の媒体である。
【0067】
例示的な実施形態を示し且つ記載したが、広範な修正、変更、及び置換が前述の開示において想定され、幾つかの場合には、実施形態の幾つかの構成は他の構成の対応する使用を伴わずに利用されてよい。当業者は、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。よって、本発明の範囲は後続の請求項によってのみ限定されるべきであり、請求項は本明細書で開示した実施形態の範囲と一致するように解釈されるべきことが理解されよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7