(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】工作機械の切屑除去装置および切屑除去方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20220209BHJP
B23B 47/34 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B23Q11/00 N
B23B47/34 A
(21)【出願番号】P 2021069231
(22)【出願日】2021-04-15
【審査請求日】2021-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 研次郎
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-180585(JP,A)
【文献】実開平04-115552(JP,U)
【文献】特開2017-094420(JP,A)
【文献】特開平06-071231(JP,A)
【文献】特許第6774587(JP,B1)
【文献】特開平4-197477(JP,A)
【文献】特開平4-343642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23B 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去装置であって、
主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置され、前記一方の側面から他方の側面に向けてクーラントを吐出することで前記ワークから切屑を除去する吐出ノズルを含むクーラント吐出機構を備
え、
前記クーラント吐出機構は、高さ方向に延在し前記吐出ノズルを装着する開口部が形成された給液管と、前記給液管を前記一方の側面に沿って水平方向に移動させる移動機構と、を備え、
前記給液管の前記高さ方向に延在する管軸方向に沿って前記開口部を、複数、異なる高さに形成し、前記吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されている工作機械の切屑除去装置。
【請求項2】
前記給液管の移動方向は前記ワークに対する加工点の水平方向成分の移動方向に沿う方向である請求項
1記載の工作機械の切屑除去装置。
【請求項3】
前記開口部のうち前記吐出ノズルを装着した開口部以外の開口部に着脱自在な閉栓部材が装着されている請求項
1または2記載の工作機械の切屑除去装置。
【請求項4】
前記開口部は前記ワークに対する加工点の上下方向への移動範囲と対応する範囲に形成されている請求項
1から
3の何れかに記載の工作機械の切屑除去装置。
【請求項5】
前記移動機構は前記カバー部材の天井に取り付けられた案内レールと、前記案内レールに沿って前記給液管を移動させるボールねじ機構とを備えている請求項1から
4の何れかに記載の工作機械の切屑除去装置。
【請求項6】
カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去方法であって、
吐出ノズルを装着する開口部が形成され、高さ方向に延在する給液管と、前記給液管を前記カバー部材の側面に沿って水平方向に移動させる移動機構と、を備え、前記給液管の前記高さ方向に延在する管軸方向に沿って前記開口部を、複数、異なる高さに形成し、前記吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されているクーラント吐出機構を、主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置し、前記一方の側面から他方の側面に向けて前記吐出ノズルからクーラントを吐出することで、前記ワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去装置および切屑除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械には、ワークの加工時に発生した切屑を加工部位から除去するために、ワークの加工部位に向けてクーラントを吹き付けるクーラントノズルを備えている。このようなクーラントノズルは工具軸に設けられ、或いはワークの加工領域を覆うカバー部材、つまりスプラッシュガードの天井部に設けられている。
【0003】
特許文献1には、クーラント液供給源に接続され、加工領域の広範囲にわたってクーラント液を噴射可能にスプラッシュガードの上部に配管したクーラント配管と、クーラント配管の管路の上部から分岐して配管され、根元部は上方または横向きに取付けられ、先端部は下方に向けて開口した複数のクーラントノズルを備えたシャワークーラント装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、横形マシニングセンタにおいて、水平姿勢の主軸に取り付けたツールを用いて、テーブル上に固定されたワークを切削加工する際や、テーブルに固定されたイケールの4面に取り付けたワークを順番に加工する際に、ワークに付着した切屑を除去する必要がある。
【0006】
ワークの外面に付着している切屑は、例えば天井に設置したシャワークーラント装置からクーラントを吐出して除去することが出来る。しかし、横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑はシャワークーラント装置では除去することができない。
【0007】
また、横向きに切削された孔などの凹部に付着した切屑を除去するために、主軸に取り付けたクーラントノズルからクーラントを吐出する場合には、切屑を除去する迄の間はワークを加工することができず、加工効率が低下する。このような問題は横形マシニングセンタに限るものではなく、複合加工機でも同様に生じる。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、加工効率の低下を招くことなく、横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑を効率的に除去できる工作機械の切屑除去装置および切屑除去方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明による工作機械の切屑除去装置は、カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去装置であって、主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置され、前記一方の側面から他方の側面に向けてクーラントを吐出することで前記ワークから切屑を除去する吐出ノズルを含むクーラント吐出機構を備え、前記クーラント吐出機構は、高さ方向に延在し前記吐出ノズルを装着する開口部が形成された給液管と、前記給液管を前記一方の側面に沿って水平方向に移動させる移動機構と、を備え、前記給液管の前記高さ方向に延在する管軸方向に沿って前記開口部を、複数、異なる高さに形成し、前記吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による工作機械の切屑除去方法の特徴構成は、カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去方法であって、吐出ノズルを装着する開口部が形成され、高さ方向に延在する給液管と、前記給液管を前記カバー部材の側面に沿って水平方向に移動させる移動機構と、を備え、前記給液管の前記高さ方向に延在する管軸方向に沿って前記開口部を、複数、異なる高さに形成し、前記吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されているクーラント吐出機構を、主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置し、前記一方の側面から他方の側面に向けて前記吐出ノズルからクーラントを吐出することで、前記ワークから切屑を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加工効率の低下を招くことなく、横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑を効率的に除去できる工作機械の切屑除去装置および切屑除去方法を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】工作機械の切屑除去装置の側面視の説明図であり、背面側に設置されたクーラント吐出機構が表された説明図である。
【
図2】工作機械の切屑除去装置の正面視の説明図である。
【
図3】工作機械の切屑除去装置の平面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[工作機械の切屑除去装置および除去方法の基本的な実施形態]
上述したように、本発明による工作機械の切屑除去装置は、カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去装置であって、主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置され、前記一方の側面から他方の側面に向けてクーラントを吐出することで前記ワークから切屑を除去する吐出ノズルを含むクーラント吐出機構を備えている。
【0014】
主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置された吐出ノズルから他方の側面に向けて、つまり横方向に吐出されるクーラントによって、例えば横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑が効果的に除去される。そして、その間もツールによるワークの加工を継続することが可能になるので、加工効率の低下を招くこともない。
【0015】
前記クーラント吐出機構は、高さ方向に延在し前記吐出ノズルを装着する開口部が形成された給液管と、前記給液管を前記一方の側面に沿って水平方向に移動させる移動機構と、を備えていることが好ましい。
【0016】
このように構成すれば、上述のノズルを備えたクーラント吐出機構として、吐出ノズルを装着する開口部が形成された給液管を高さ方向に延在させ、その給液管を移動機構を用いて一方の側面に沿って水平方向に移動させることにより、開口部に装着された吐出ノズルの位置を水平方向に移動させることができる。
【0017】
前記給液管の移動方向は前記ワークに対する加工点の水平方向成分の移動方向に沿う方向であることが好ましく、ワークに対する加工点の水平方向成分の移動方向に沿う方向に給液管を移動させることで、加工済みのワークの位置に対応させることができる。
【0018】
さらに、前記給液管の管軸方向に沿って前記開口部を複数形成し、前記吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されていることが好ましく、ワークの加工位置に対応して吐出ノズルの位置を容易に調整することができる。
【0019】
前記開口部のうち前記吐出ノズルを装着した開口部以外の開口部に着脱自在な閉栓部材が装着されていることが好ましく、閉栓部材が装着されることで、無用のクーラントの消費を回避することができ、また吐出ノズルから吐出されるクーラントの吐出し圧の低下を回避して、切屑を適切に除去できる。
【0020】
前記開口部は前記ワークに対する加工点の上下方向への移動範囲と対応する範囲に形成されていることが好ましく、加工点の移動範囲に対応して適切な位置に吐出ノズルを装着できる。
【0021】
前記移動機構は前記カバー部材の天井に取り付けられた案内レールと、前記案内レールに沿って前記給液管を移動させるボールねじ機構とを備えている点にある。
【0022】
カバー部材の天井に取り付けられた案内レールに給液管が移動可能に支持され、ボールねじ機構によって給液管を一対の側面に沿って精度よく移動させることができる。
【0023】
本発明による工作機械の切屑除去方法は、カバー部材で仕切られたワーク加工空間で、ツールとの相対移動により加工されたワークから切屑を除去する工作機械の切屑除去方法であって、主軸を挟んで対向する一対の側面の少なくとも一方の側面から他方の側面に向けてクーラントを吐出することで前記ワークから切屑を除去する。
【0024】
[工作機械の切屑除去装置の詳細な実施形態]
以下、図面に基づいて工作機械の切屑除去装置および切屑除去方法の詳細な実施形態を説明する。
【0025】
図1から
図3には、カバー部材200で仕切られワーク10を加工する加工空間210に設置された工作機械100が示されている。
【0026】
工作機械100は、ベッド1と、ベッド1上の案内面に沿ってZ軸方向に移動するテーブル2と、テーブル2上で垂直姿勢のB軸周りに回転するパレット3と、ベッド1に垂設され、ベッド1上の案内面に沿ってX軸方向に移動するコラム4と、コラム4の案内面に沿ってY軸方向に移動する主軸頭5とを備えた横形のマシニングセンタである。同図に二点鎖線で示されているように、マシニングセンタは周囲がカバー部材200で被覆され、カバー部材200には開閉可能な扉(図示せず)が設けられている。
【0027】
サーボモータMZが駆動されるとベッド1上でテーブル2がZ軸方向の直動駆動軸に沿って移動し、サーボモータMBが駆動されるとテーブル2上でパレット3がB軸周りに回転し、サーボモータMXが駆動されるとベッド1上でコラム4がX軸方向の直動駆動軸に沿って移動し、サーボモータMYが駆動されるとコラム4上で主軸頭5がY軸方向の直動駆動軸に沿って移動する。
【0028】
主軸頭5に設けられた主軸6によって工具7が保持され、サーボモータMS1が駆動されると工具7が水平軸心周りに回転する。パレット3に設けたイケール等の治具により被加工物であるワーク10が保持され、サーボモータMBが駆動されるとイケール3A等の治具によって保持されたワーク10がパレット3と共にB軸に沿う垂直軸心周りに回転する。
【0029】
予め設定されたNCプログラムに基づいて上述した各サーボモータMX,MY,MZ,MB,MS1がサーボ制御部を介して駆動されることにより、ワーク10と工具7が相対移動してワーク10が所望の形状に機械加工される。この例では直方体形状のイケール3Aの各側面に各ワーク10が取り付けられ、一つのワークの加工が終了するとパレット3がB軸周りに90度回転し、新たなワーク10が加工される。
【0030】
テーブル2の下方には冷却や洗浄に供給される流体であるクーラントを回収するクーラントタンク8が設置され、機械加工に伴って発生する切屑がクーラントとともにクーラントタンク8に回収されるように構成されている。クーラントタンク8の底部にはチップコンベア9が配設され、クーラントタンク8に回収された切屑11はチップコンベア9により機外に搬出されて回収容器12に回収される。
【0031】
クーラントタンク8に回収されたクーラントは、サイクロンフィルタなどを介して切屑などの異物が除去された後に第1および第2のクーラント吐出機構30、40に送液管30T,40Tを介して循環供給される(
図3参照)。
【0032】
第1のクーラント吐出機構30は、カバー部材200を構成する側面のうち、主軸6の軸心の延出方向に対して直交する方向から主軸6を挟むように配置された左右一対の側壁(側面)201,202の近傍のそれぞれに設置されている。
【0033】
第1のクーラント吐出機構30は、ボールねじ33と、ボールねじ33を回転駆動するサーボモータ34を備えている。当該ボールねじ33はカバー部材200の天井に取り付けられた一対の支持具32にベアリングを介して回転自在に支持されている。
【0034】
そして、ボールねじ33には、ボールねじ33の正回転または逆回転に伴ってボールねじ33の軸心に沿って往動又は復動する移動体35が螺合されており、移動体35には鉛直姿勢の給液管36が支持されている。なお、図示していないが、ボールねじ33に沿って往復移動する移動体35の移動姿勢を保持するガイドレールが移動体35を支持するように設置されている。ボールねじ33とサーボモータ34と、移動体35と、ガイドレールとによって、給液管36を一方の側面201,202に沿って水平方向に移動させる移動機構が構成される。ここで、サーボモータ34も他のサーボモータと同様にNCプログラムに基づいて位置決め制御される。
【0035】
給液管36には、側面201,202に直交する方向、つまりワーク10に向けて上下に三段の開口部36A,36B,36Cが形成され、何れか一つの開口部(本実施形態では上下中間部の符号36Bで示す開口部)に吐出ノズル31が装着され、他の開口部(本実施形態では符号36A,36C)は閉栓部材37により閉塞されている。吐出ノズル31および閉栓部材37は開口部36A,36B,36Cに形成されたねじ部に螺合するように取り付けられる。
【0036】
開口部36A,36B,36Cは、ツール7によってワーク10が加工される上下方向の加工領域をカバーするために複数設けられている。つまり加工点の上下方向への移動範囲と対応する範囲に複数設けられている。開口部36A,36B,36Cの数は上下3段に限定されるものではなく上下二段であってもよいし、上下四段以上であってもよい。すなわち、給液管36の管軸方向に沿って開口部36A,・・・を複数形成し、吐出ノズル31から吐出されるクーラントの吐出高さを調整可能に構成されている。
【0037】
主軸6の前面には、工具7によってワーク10が機械加工される際に加工部位に付着した切屑を除去するとともに、加工部位に生じる切削熱による温度上昇を抑制するために、加工部位に向けてクーラントを噴射する第2のクーラント吐出機構40となる吐出ノズル41が設けられている。
【0038】
図1に示すように、平面視が方形のイケール3Aの各側面にワーク10が其々固定されている場合に、ツール7による加工対象となるワーク10に対して、加工中に吐出ノズル41からクーラントが吐出される。
【0039】
しかし、吐出ノズル41から吐出されるクーラントは、ワーク10の表面近傍に吐出されるが、ツール7により水平方向に形成された穴など形状が複雑な部位に付着した切屑を除去するのは困難であり、そのために上述した第1のクーラント吐出機構30が設けられている。
【0040】
イケール3Aに固定された一つのワーク10に対する加工が終了すると、パレット3がB軸周りに90度回転して、ツール7と正対する次のワーク10の加工が始まる。このとき、先に加工が終了したワーク10は、第1のクーラント吐出機構30の吐出ノズル31と正対する位置関係となるので、吐出ノズル31から吐出されたクーラントが当該ワーク10に形成された横向きの孔などに向けて噴射できるように、移動機構による移動量が調整される。すなわち、給液管36の移動方向はワーク10に対する加工点の水平方向成分の移動方向に沿う方向に設定されている。
【0041】
また、テーブル2上のワーク10が加工プログラムに基づいてZ軸方向に移動するような場合に、ワーク10の移動に同期して吐出ノズル31がZ軸方向に移動するようにサーボモータ34を制御することも可能である。
【0042】
以下、本発明の別の実施の形態を説明する。
上述した実施の形態では、第1のクーラント吐出機構30が、主軸6を挟むように左右一対の側壁(側面)201,202の近傍のそれぞれに配置された例を説明したが、左右一対の側壁(側面)201,202の何れか一方の側壁にのみ設けた構成であってもよい。
【0043】
上述した実施形態では、カバー部材200の天井に取り付けられた一対の支持具32にボールねじ33を取り付けた例を説明したが、側壁201,202に支持具32を取り付けて、側壁201,202に沿うようにボールねじ33を設置してもよい。この場合、クーラント吐出機構30は、主軸6を挟んで対向する側面201,202に配置されることになる。
【0044】
上述した実施形態ではイケール3Aにワーク10が取り付けられた例を説明したが、パレット3にワーク10を直接取り付けてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、給液管36に形成した複数の開口部36A,・・・の何れかに一本の吐出ノズル31を取り付ける例を説明したが、全ての開口部36A,・・・または予め選択した複数の開口部36A,・・・の其々に吐出ノズル31を取り付けてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、横形のマシニングセンタを例に説明したが、本発明が適用される工作機械は、横形のマシニングセンタに限るものではなく、水平姿勢に配置された主軸に固定されたワークに対して、刃物台に取付けたツールを軸心と直交する方向から接近させてワークを切削する旋盤や複合旋盤などにも適用できる。
【0047】
すなわち、切屑除去装置300は、カバー部材200で仕切られたワーク加工空間210で、ツール7との相対移動により加工されたワーク10から切屑を除去する装置で、主軸6を挟んで対向する一対の側面201,202の少なくとも一方の側面201またはその近傍に配置され、一方の側面201から他方の側面202に向けてクーラントを吐出することでワーク10から切屑を除去する吐出ノズル30Nを含むクーラント吐出機構30を備えている。
【0048】
そして、工作機械の切屑除去方法は、カバー部材200で仕切られたワーク加工空間210で、ツール7との相対移動により加工されたワーク10から切屑を除去する工作機械の切屑除去方法であって、主軸6を挟んで対向する一対の側面201,202の少なくとも一方の側面201から他方の側面202に向けてクーラントを吐出することでワーク10から切屑を除去するように構成されている。
【0049】
以上、本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上に説明したように、本発明により、加工効率の低下を招くことなく、横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑を効率的に除去できる工作機械の切屑除去装置が実現できる。
【符号の説明】
【0051】
1:ベッド
2:テーブル
3:パレット
3A:イケール
4:コラム
5:主軸頭
6:主軸
7:工具
8:クーラントタンク
9:チップコンベア
10:被加工物(ワーク)
11:切屑
30:第1のクーラント吐出機構
30T:送液管
31:吐出ノズル
32:支持具
33:ボールねじ
34:サーボモータ
35:移動体
36:給液管
36A,36B,36C:開口部
37:閉栓部材
40:第2のクーラント吐出機構
40T:送液管
41:吐出ノズル
100:工作機械
200:カバー部材
201,202:側壁(側面)
210:加工空間
【要約】
【課題】加工効率の低下を招くことなく、横向きに切削された孔など、入り組んだ場所に付着した切屑を効率的に除去できる工作機械の切屑除去装置を提供する。
【解決手段】カバー部材200で仕切られたワーク加工空間210で、ツール7との相対移動により加工されたワーク10から切屑を除去する工作機械の切屑除去装置であって、主軸6を挟んで対向する一対の側面201,202の少なくとも一方の側面またはその近傍に配置され、前記一方の側面から他方の側面に向けてクーラントを吐出することで前記ワーク10から切屑を除去する吐出ノズル31を含むクーラント吐出機構30を備えている。
【選択図】
図3