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  • 特許-カッターガイド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】カッターガイド
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
E04G21/18 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020077566
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021173052
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2020-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390032090
【氏名又は名称】マグ・イゾベール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100195545
【弁理士】
【氏名又は名称】鮎沢 輝万
(72)【発明者】
【氏名】塚本 雅也
(72)【発明者】
【氏名】長屋 孝介
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-034902(JP,U)
【文献】特表2014-506320(JP,A)
【文献】特開2004-251875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/18
B27B 9/04
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材の切断に用いるカッターガイドであって、
平板状であり、縁部が切断線を規定する切断ガイドとなる本体部と、
前記本体部の裏面から突出する、前記裏面から突出する高さを変更できる突出部と、
前記本体部の表面に設けられるレーザ距離計と、
を備える、カッターガイド。
【請求項2】
前記レーザ距離計が測定した距離が設定条件を満たす場合に通知を行う通知手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のカッターガイド。
【請求項3】
前記通知手段は、発光部、音、又は振動で通知を行うことを特徴とする、請求項2に記載のカッターガイド。
【請求項4】
前記突出部は、前記断熱材の側面と接触した際に、前記レーザ距離計が前記側面と平行な方向の距離を測定するように前記カッターガイドの位置を決定することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のカッターガイド。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のカッターガイドと、
前記レーザ距離計が通知を行うための測定距離設定条件を設定する設定装置と、
を備える、断熱材の切断システム。
【請求項6】
前記設定装置が、前記レーザ距離計とは異なる第2のレーザ距離計であることを特徴とする、請求項5に記載の断熱材の切断システム。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のカッターガイドと、
断熱材の一端に当接させる反射部材と、を備え、
前記レーザ距離計が、前記反射部材までの距離を測定することを特徴とする、断熱材の切断システム。
【請求項8】
前記レーザ距離計は、前記断熱材の前記一端と垂直な方向の長さを測定することを特徴とする、請求項7に記載の断熱材の切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッターガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材施工においては、断熱材を施工する箇所のサイズを計測し、計測したサイズに合わせて断熱材を切断する工程が行われる。従来、断熱材施工において、断熱材を直線状に切断するために、定規、又は垂直切断を可能とするカッターガイドを用いて切断を行う技術がある。
【0003】
計測したサイズに合わせて断熱材を切断するためには、例えば、以下のような工程が必要となる。まず、断熱材の上に巻尺(コンベックス)を当て、端部からの距離を、断熱材側面と平行にして正確に測り、切断する長さの位置にペンなどで印をつける。次いで、定規などを添えて、印の位置を通るようにして断熱材の長さ方向とは垂直に切断する。特許文献1では、一般的に用いられる断熱材を、縦3m×横400mm×厚さ50mmのサイズで使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-104287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、断熱材を所定のサイズに切断するためにカッターガイドの位置を調整する工程は、距離の測定を手作業で行う場合には煩雑になりやすいという問題があった。例えば、断熱材の端部からの距離を正確に測る作業には、熟練を要する上に時間がかかり、さらに、切断するサイズが大きい(1m以上など)場合には作業者が2人必要となる場合もある。
【0006】
本発明は、断熱材の切断線の規定を簡便に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、一実施形態に係るカッターガイドは以下の構成を備える。すなわち、断熱材の切断に用いるカッターガイドであって、平板状であり、縁部が切断線を規定する切断ガイドとなる本体部と、前記本体部の裏面から突出する、前記裏面から突出する高さを変更できる突出部と、前記本体部の表面に設けられるレーザ距離計と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
断熱材の切断線の規定を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係るカッターガイドの構成の一例を示す図。
図2】実施形態1に係るレーザ距離計の構成の一例を示す図。
図3】実施形態1に係るカッターガイドの使用例の俯瞰図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
本発明の一実施形態に係るカッターガイドは、断熱材の切断線を規定する切断ガイドが設けられた本体部と、断熱材の一端に位置する反射部材までの距離を測定するレーザ距離計と、を備える。
【0012】
[実施形態1]
本実施形態に係るカッターガイドの本体部は、切断対象物である断熱材に当接させて用いられ、本体部が有する切断ガイドに切断用の刃部を添わせることによって断熱材の切断線を規定し、切断の補助を行う。また、本実施形態に係るレーザ距離計は、断熱材の一端に位置する反射部材へとレーザを投光し、反射部材によって反射されたレーザを受光することによって反射部材までへの距離を測定する。レーザ距離計は、例えば、投光時点のレーザの波長と受光時点のレーザの波長との位相差に基づいて、断熱材の一端から切断ガイドまでの距離(すなわち、切断線までの距離)を算出することができる。このような構成によれば、ユーザは、レーザ距離計による測定結果に基づいてカッターガイドの位置を調整し、切断ガイドに添った切断を行うことにより、煩雑な計測及び切断作業を簡便に済ませることができる。図1は、本実施形態に係るカッターガイドの一例を示す図である。カッターガイド100は、本体部110、及び距離測定部120を備える。
【0013】
[本体部の構成]
本体部110は、切断ガイド111と、押さえ部112と、を有する。しかしながら、本体部110の構成は特にこのようには限定されず、一般的に用いられる種々のカッターガイドと同様の構成を有していてもよい。例えば、本体部110は、切断ガイド111と押さえ部112とが一体となった直線定規状又は三角定規状の形状を有していてもよく、押さえ部112に対する切断ガイド111の角度(すなわち、切断角度)が調節できる構成であってもよい。本体部の構成については、一般的なカッターガイドが有する構成と基本的に共通であるため、詳細な説明は省略する。
【0014】
本体部110を構成する物質は、切断ガイド111に添った切断工程に耐えうる限りは特に限定されない。例えば、本体部110は、アルミニウム又はステンレスのような金属によって構成されていてもよく、合成樹脂によって構成されていてもよく、竹のような木材によって構成されていてもよい。以下においては、図1に示される115が本体部110の基端側とし、116が本体部110の先端側とする。
【0015】
切断ガイド111は、断熱材の切断を行う際の切断線を規定する。本実施形態においては、切断ガイド111は、切断用の刃部を添わせるために用いられる。本実施形態においては説明のため、切断ガイド111の形状(すなわち、断熱材を切断する形状)は直線状であるものとするが、特にそのようには限定されず、例えば曲線状であってもよい。
【0016】
切断ガイド111の長さは、一度の切断作業による十分な切断量を確保することを考えてある程度以上の長さを有していてもよく、取り回しを考慮して短めに設計されていてもよい。例えば、切断ガイド111の長さは、10cm以上であってもよく、30cm以上であってもよく、45cm以上であってもよく、1m以上であってもよい。また、切断ガイド111の長さは、4m以下であってもよく、3m以下であってもよく、2m以下であってもよい。また、切断ガイド111は、切断の始点を正確に設定しやすくするために、押さえ部112に対して、基端側にはみ出すような構成であってもよい。
【0017】
切断中に刃が乗り上げてくるのを防止するという観点から、切断ガイド111はある程度以上の厚みを有していてもよい。例えば、切断ガイド111の厚みは、例えば1mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、20mm以上であってもよい。また、切断ガイド111の厚みは、80mm以下であってもよく、60mm以下であってもよく、50mm以下であってもよい。また、切断中に刃が乗り上げてくるのを防止するために、本体部110は、手元保護部(不図示)をさらに有していてもよい。手元保護部は、本体部110に設けられる局所的に厚みを盛り上げた箇所である。本実施形態に係る手元保護部は、切断ガイド111の表面(後述)から垂直に突出する、主面の長辺が切断ガイド111の長さ方向と平行に延びる平板状の部材であってもよい。また、手元保護部の高さは、例えば10mmであってもよく、30mmであってもよく、50mmであってもよい。なお、主面とは、表面積が最も大きい表面を示すものとする。
【0018】
押さえ部112は、切断ガイド111に沿った断熱材の切断を行っている間に、切断ガイド111がずれないようにユーザが押さえつけるための構成である。本実施形態においては、押さえ部112は、図1に示されるような把持用のハンドル113を有している。以下、ハンドル113を有する側の主面を押さえ部112(本体部110)の表面とし、反対の主面(すなわち、断熱材と接触する面)を押さえ部112(本体部110)の裏面として説明を行う。
【0019】
垂直ガイド114は、押さえ部112の主面から突出する、切断ガイドに対して所定の姿勢を有する突出部である。垂直ガイド114は、断熱材の一端に当接することによって断熱材に対する切断ガイドの姿勢を固定する。したがって、切断ガイドによる切断線の規定を補助することができる。本実施形態に係る垂直ガイド114は、押さえ部112の裏面から切断ガイドの長さ方向に対して垂直に突出する、主面の長辺が切断ガイド111の長さ方向と垂直に延びる板状の突き当て部である。垂直ガイド114の主面を断熱材の幅方向の一端に当接させることにより、切断方向が断熱材の幅方向に設定される。
【0020】
垂直ガイド114の長さは特に限定されるわけではないが、長いほど位置の固定が容易となり、短いほど位置の固定の際に邪魔になることが少なくなる。そのような観点から、垂直ガイド114は、使用用途に応じた長さを有していてもよく、断熱材の一端に当接させる際に押さえ部112の裏面から突出する高さを変更できるような構成であってもよい。例えば、押さえ部112が垂直ガイド114を貫通させるための細長い貫通孔(不図示)を有し、貫通孔を通る垂直ガイド114を上下動させることにより、押さえ部112の裏面に対して垂直ガイド114が突出する長さを変動させてもよい。この場合、垂直ガイド114は、上部(押さえ部112の表面側)に貫通孔の幅以上の幅を備える栓部(不図示)を有していてもよい。そのような垂直ガイド114は、測定を行っていない時は栓部によって押さえ部112に保持され、本体部110を断熱材に当接させた時は押さえ部112の表面側にスライドし、断熱材の厚みに応じた長さで突出する。
【0021】
本実施形態においては、断熱材としてグラスウールが使用されるものとするが、特にこれに限定されるわけではない。断熱材としては、例えば、ロックウール又はウールブレスなどの繊維系断熱材が用いられてもよく、ウレタンフォーム又はフェノールフォームなどの発泡プラスチック系断熱材が用いられてもよい。なお、使用される断熱材の形状も特に限定はされないが、本実施形態においては、長さ方向及び幅方向に延びる表面及び裏面の2つの主面と厚み(側面の高さ)とを有する、板状の断熱材が用いられるものとする。以下では、カッターガイドを用いて、断熱材を幅方向に沿って切断する場合について説明するが、本実施形態に係るカッターガイドは、断熱材を長さ方向に沿って切断する場合にも使用可能である。
【0022】
本実施形態においては、上述のように、垂直ガイドを断熱材の一端に当接させた状態で切断ガイドに添って刃部を動かすことによって断熱材の切断を行う。ここで用いられる刃部の形態は特に限定されない。例えば、ユーザは、断熱材を切断するために、把持部と刃部とを有するナイフ状のカッター(例えば、マグ・イゾベール株式会社製,製品名イゾベール・グラスウールカッター)を用いてもよい。また、ユーザは、カッターナイフを用いてもよく、電動の丸鋸を用いてもよい。さらに、ユーザは、切断用の刃部として、断熱材を切断する際に一般的に用いられる装置を用いてもよく、例えば電熱線を用いて断熱材の切断を行ってもよい。
【0023】
[距離測定部の構成]
距離測定部120は、レーザ距離計121と、反射部材122と、を備える。本実施形態に係るレーザ距離計121は、本体部110上に載置されるレーザ距離計であり、反射部材122から入射する反射光に基づいて、反射部材122の位置する断熱材の一端から切断ガイドまでの距離を算出する。本実施形態に係る反射部材122は、切断を行う断熱材の一端に当接される反射板であり、レーザ距離計121が放射するレーザを反射してレーザ距離計121の受光部202(後述)に入射させる。反射部材122は、上述のような反射板であってもよく、断熱材の一端を当接させた壁であってもよく、距離が測定できる限りは限定されない。
【0024】
レーザ距離計121は、断熱材の長さ方向に対する距離を測定するために、断熱材の長さ方向に対して平行にレーザ光を放射する姿勢で載置されるものとするが、用途に応じたユーザ所望の姿勢での載置がなされてもよい。例えば、レーザ距離計121は、断熱材の幅方向に対する距離を測定するために、断熱材の幅方向に対して平行にレーザ光を放射する姿勢で載置されてもよい。本実施形態においては、レーザ距離計121は、垂直ガイド114を断熱材の一端に当接させた場合に上述のような各方向へとレーザ光を放射する姿勢で載置されるものとする。
【0025】
図2は、本実施形態に係るレーザ距離計121の一例を示す図である。本実施形態に係るレーザ距離計121は、投光部201、受光部202、表示画面203、通知部204、測定ボタン205、距離設定ボタン206、切替ボタン207、及び測定基準面208を有する。投光部201は、距離測定用のレーザ光を投光する。受光部202は、投光部201によるレーザ光が反射された反射光を受光する。本実施形態においては、投光部201は反射部材122へとレーザ光を放射し、投光部201は反射部材122からの反射光を受光するものとする。
【0026】
本実施形態に係るレーザ距離計121は、投光部201から放射されたレーザ光と受光部202に受光されるレーザ光との位相差に基づいて、反射板から後述する測定基準面までの距離の測定を行うものとする。しかし、受光部202を介した受光結果に基づく距離の算出方法は特に限定されない。例えば、レーザ距離計121は、投光部201から放射されたレーザ光が受光部202に受光されるまでの時間を計測することによって距離を算出してもよい。また例えば、レーザ距離計121は、三角測量に基づく公知の手法(例えば、CMOS方式、CCD方式、又はPSD方式など)によって距離を算出してもよく、その他公知の手法を用いてもよい。レーザ距離計121による距離の計算処理については一般的なレーザ距離計と同様に行われるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
表示画面203は、測定結果又は設定画面など、レーザ距離計121が出力する各情報を表示する。通知部204は、レーザ距離計121による測定結果が設定条件を満たした場合に、ユーザに対して通知を行う。通知部204は、例えば、ユーザがレーザ距離計121を載置した本体部110を断熱材に当接させて移動させながら距離の測定を行う際に、切断ガイドまでの距離がユーザ所望の切断距離として予め設定された距離と一致した場合に、ユーザへの通知を行ってもよい。なお、通知部204は、通知を行うために、通知音を発してもよく、表示画面又は通知用の発光部(不図示)などを発光させてもよく、外部の通知装置(不図示)に音による通知、発光、又は振動などを行わせてもよく、これらを同時に行ってもよい。この場合、ユーザは、通知部204による通知が行われたことを確認した場合に、切断ガイドに添った断熱材の切断を行う。
【0028】
従来の断熱材切断の手法においては、上述のように、巻尺などを用いて切断距離を通るように印をつける工程と、印の位置にカッターガイドを設置してから切断を行う工程と、の2工程が行われる。一方で、本実施形態に係るレーザ距離計121を備えるカッターガイドによれば、通知部204による通知が行われた位置の切断ガイド111に添って切断を行うことができるため、上述の従来手法による2工程を省略することができる。
【0029】
本実施形態においては、通知部204は、切断ガイドまでの距離が切断距離と等しいと判定した場合に通知を行うものとするが、切断ガイドまでの距離にある程度の誤差を許容してもよい。例えば、通知部204は、切断ガイドまでの距離が、切断距離の値に対して前後5mm以内である場合には、これらの距離が等しいとして通知を行ってもよい。このような許容できる誤差の値は、ユーザの所望に応じて任意に設定できる。
【0030】
レーザ距離計121は、測定ボタン205が押下された場合に、投光部201及び受光部202によるレーザ光の受光、並びに距離の測定を開始する。本実施形態においては、ユーザは、レーザ距離計121を載置した本体部を断熱材に当接させて反射部材122から遠ざかる方向に移動させながら連続して距離の測定を行う。距離設定ボタン206は、ユーザが所望する断熱材を切断する距離(つまり、反射部材122から距離ガイドまでの長さ)(以下切断距離とする)を設定するためのボタンであり、ユーザはこのボタンを用いて予め切断距離を設定することができる。距離設定ボタン206は、図2に示されるようなボタンであってもよく、ダイヤル式の入力方式であってもよく、その形式は特に限定はされない。切替ボタン207は、レーザ距離計による測定モードを切り替えるためのボタンであり、ユーザは、切替ボタン207を押下することによって、例えば測定を一回行うモード又は測定を複数回行うモードなど、測定回数のモードを切り替えることができる。また例えば、ユーザは、切替ボタン207を押下することにより、カッターによる切断を行うモード又は電動の丸鋸による切断を行うモードなど、切断手段のモードを切り替えることができる。
【0031】
切断距離は、例えば、予め設定されていてもよく、距離設定ボタン206を介した入力に基づいて設定されてもよく、カッターガイドとは別個の外部の入力装置を介した入力によって切断距離が設定されてもよい。ユーザは、外部の入力装置として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、又は専用の入力端末などを用いることができる。また、ユーザは、外部の入力装置としてスマートフォンを用いる場合に、専用のアプリケーションを介して切断距離を設定できてもよい。
【0032】
なお、切断距離を設定するための外部の通信装置として、レーザ距離計121とは異なるレーザ距離計が用いられてもよい。すなわち、断熱材を施工する箇所のサイズをレーザ距離計によって測定し、測定したサイズの情報をレーザ距離計121へと伝達するような構成であってもよい。レーザ距離計によって施工サイズを計測することにより、メジャーなどによる従来の計測と比べて、素早く正確な測定を行うことができる。
【0033】
レーザ距離計121は、Bluetooth(登録商標)などの無線の通信によって外部の装置との情報の受け渡しを行うものとするが、その手段は特に限定されない。レーザ距離計121は、例えば、有線の通信によって外部の装置と通信を行ってもよく、SDカードなどを介して情報の受け渡しを行ってもよい。また、レーザ距離計121は、表示画面203に各情報を表示するものとしたが、情報を送信した外部の装置で表示するようにしてもよい。切断距離の情報を外部装置から受信することにより、測定したサイズの情報を人間が記憶して伝達する従来の手法に対して、情報の受け渡しの正確性を向上させることができる。
【0034】
本実施形態に係るレーザ距離計121は、放射したレーザ光の波長と検知したレーザ光の波長との位相差に基づいて、反射部材122の当接する断熱材の一端から測定基準面208までの距離を測定する。次いで、レーザ距離計121は、測定基準面208と切断ガイドとの距離に基づいて(すなわち、本体部110上のレーザ距離計121が載置される位置に基づいて)、反射部材の当接する断熱材の一端から切断ガイドまでの距離を算出する。以下、説明のため、反射部材の当接する断熱材の一端からの選択基準面までの距離及び切断ガイドまでの距離を、それぞれ単に選択基準面までの距離又は切断ガイドまでの距離と呼ぶ。
【0035】
測定基準面208と切断ガイドとの距離は、本体部110上のレーザ距離計121が載置される場所に応じて変動する。レーザ距離計121は、本実施形態においては本体部110上の所定の位置に載置されるものとするが特にその位置が限定されるわけではなく、載置される位置が変更可能であってもよい。レーザ距離計121は、測定基準面208と切断ガイドとの距離の情報を、予め有していてもよく、レーザ距離計121上のボタン又は外部装置からの通信などを介してユーザによって入力されてもよく、本体部110との位置関係に応じて取得してもよい。
【0036】
以下、図3を参照して、切断ガイドまでの距離の算出工程を説明する。図3(A)は、断熱材上にセットされた、本実施形態に係るカッターガイドの俯瞰図の一例を示す図である。レーザ距離計121は、反射部材122からの反射光を受光することにより、反射部材122から測定基準面208までの距離301を測定する。次いでレーザ距離計121は、測定基準面と切断ガイドとの距離に基づいて、切断ガイドまでの距離302を算出する。結果として、決定された切断線が303となる。
【0037】
また、例えば断熱材の切断に電動の丸鋸を用いる場合には、切断ガイドと当接する丸鋸のベース部と鋸刃との位置が異なるため、反射部材の当接する断熱材の一端から鋸刃までの距離と切断ガイドまでの距離とに差異が生じる。つまり、切断線が切断ガイドの位置と一致しない。このように、切断ガイドの位置と刃が切断する位置とが異なる場合には、レーザ距離計121は、断熱材の一端から刃が切断する位置までの距離が切断距離と一致するように、切断ガイドまでの距離を補正してもよい。切断ガイドまでの図3(B)は、切断ガイドに電動の丸鋸を当接させる場合の俯瞰図の一例を示す図である。図3(B)の例においては、切断ガイドに丸鋸のベース部305が当接し、鋸刃306によって断熱材の切断が行われる。このような場合、レーザ距離計121は、切断ガイドまでの距離302に対して、丸鋸のベース部と鋸刃との距離304分の補正を行ってもよい(すなわち、距離302と距離304とを足した値を切断ガイドまでの距離として算出してもよい)。307は、補正の結果決定される切断線である。切断ガイドの位置と刃が切断する位置との距離(この例では丸鋸のベース部と鋸刃との距離)は、予め設定されていてもよく、レーザ距離計121上のボタン又は外部装置からの通信などを介してユーザによって設定されてもよい。また、上述したような切断手段のモードに対して紐づけられる形で、切断ガイドの位置と刃が切断する位置との距離が設定されていてもよい。
【0038】
このような構成によれば、レーザ距離計の測定結果に応じてカッターガイドの位置を調整することにより、従来のカッターガイドの位置調整における煩雑な工程を省くことができる。したがって、断熱材の切断線の規定を簡便に行うことができる。
【0039】
(その他の実施例)
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100:カッターガイド、110:本体部、111:切断ガイド、112:押さえ部、113:ハンドル、114:垂直ガイド、120:距離測定部、121:レーザ距離計、122:反射部材
図1
図2
図3