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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】絶縁操作棒用補助具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
H02G1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018043042
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019161778
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】篠原 将之
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-56907(JP,A)
【文献】特開2011-125195(JP,A)
【文献】特開2011-125187(JP,A)
【文献】特開2015-15866(JP,A)
【文献】実開平4-98814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具を着脱自在な工具部を先端部に有し、把持部を基端部側に有し、把持部を把持することで、前記先端工具を操作する絶縁操作棒に備わる絶縁操作棒用補助具であって、
回動自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の半円弧状のクランプ部材を有し、前記把持部を外周方向から導入して前記把持部を挟持できると共に、前記クランプ部材の外周に雌ねじ座を形成した単クランプと、
前記雌ねじ座に螺合自在な雄ねじ部を基端部に有し、第1連結部を先端部に有し、前記雌ねじ座に前記雄ねじ部が螺合した状態で、前記把持部が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置された第1の操作補助アームと、
前記第1連結部と回動自在に固定できる第2連結部を先端部に有し、第1の操作補助アームが延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置された第2の操作補助アームと、を備えている、絶縁操作棒用補助具。
【請求項2】
前記第1連結部は、円板状に形成した第1菊座部を有し、
前記第2連結部は、前記第1菊座部と対向配置され、円板状に形成した第2菊座部を有し、
前記第1菊座部は、
略円形の第1菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第1菊座面から隆起した複数の第1突条と、
前記第1菊座面の中心から突出したスタッドボルトと、
前記スタッドボルトに螺合できる蝶ナットと、を有し、
前記第2菊座部は、
略円形の第2菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第2菊座面から隆起した複数の第2突条と、
前記第2菊座面の中心部に開口し、前記スタッドボルトを挿入自在な取り付け穴と、を有している、請求項1記載の絶縁操作棒用補助具。
【請求項3】
先端工具を着脱自在な工具部を先端部に有し、把持部を基端部側に有し、把持部を把持することで、前記先端工具を操作する絶縁操作棒に備わる絶縁操作棒用補助具であって、
回動自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の半円弧状のクランプ部材を有し、前記把持部を外周方向から導入して前記把持部を挟持できると共に、前記クランプ部材の外周に雌ねじ座を形成した単クランプと、
前記雌ねじ座に螺合自在な雄ねじ部を基端部に有し、第3連結部を先端部に有し、前記雌ねじ座に前記雄ねじ部が螺合した状態で、前記把持部が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置された第3の操作補助アームと、
前記第3連結部と回動自在に固定できる第4連結部を先端部に有し、第3の操作補助アームが延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置された第4の操作補助アームと、を備えている、絶縁操作棒用補助具。
【請求項4】
前記第3連結部は、
二山クレビス形の第1支持部と、
雄ねじ部を一端部側に形成した蝶ボルトと、を有し、
前記第4連結部は、前記第1支持部に嵌合する一山クレビス形の第2支持部を有し、
前記第1支持部は、
前記蝶ボルトの雄ねじ部が挿通自在な第1挿通穴を開口した第1クレビス片と、
前記蝶ボルトの雄ねじ部が螺合自在なねじ穴を螺設した第2クレビス片と、を有し、
前記第2支持部は、前記蝶ボルトの雄ねじ部が挿通自在な第2挿通穴を開口している、請求項3記載の絶縁操作棒用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁操作棒用補助具に関する。特に、用途の異なる先端工具を共用できる共用操作棒などの絶縁操作棒の把持部に着脱自在に接続できる絶縁操作棒用補助具であって、作業者の負担を軽減でき、安心かつ安定した間接活線作業ができる絶縁操作棒用補助具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線を無停電状態で配電工事を行う活線作業には、直接活線工法と間接活線工法の二通りがあることが知られている。直接活線工法は、作業者が高圧ゴム手袋などの保護具を着用して、通電中の高圧配電線に直接触れて配電工事を行なっている。一方、間接活線工法は、作業者が絶縁操作棒(ホットスティック)などを用いて、通電中の高圧配電線に直接触れることなく配電工事を行なうことができる。
【0003】
一般に、絶縁操作棒は、長尺の操作棒とこの操作棒の先端部に取り付けた配電作業用工具(以下、先端工具という)で構成している。そして、絶縁操作棒は、高圧配電線を把持、又は切断するなど、用途に対応して、先端工具を交換できるように構成している。
【0004】
このような間接活線工事用の絶縁操作棒は、様々な種類のものが開発されているが、用途の異なる先端工具を共用できる、いわゆる共用操作棒は、先行技術文献に開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図5は、一例による絶縁操作棒の構成を示す正面図である。図6は、図5の先端部側及び基端部側を拡大した斜視図である。図7は、絶縁操作棒の先端部に着脱自在な先端工具の一例による構成を示す正面図である。なお、本願の図5は、特許文献1の図6に相当している。
【0006】
図5を参照すると、一例による絶縁操作棒(以下、共用操作棒という)7は、工具部71、柄部72、及び把持部73を備えている。工具部71には、後述するバインド打ち器8などの先端工具を着脱自在となっている(図7参照)。把持部73は、作業員が把持し易いように滑り止めを施こしている。柄部72は、工具部71と把持部73とを連結し、絶縁性を有する長尺の管体からなっている。
【0007】
図5を参照すると、柄部72は、円錐体状の水切り鍔7aを中間部に取り付けている。水切り鍔7aは、工具部71から進出する水を堰き止めることができる。又、柄部72と把持部73との接続部には、円錐体状の限界鍔7bを取り付けている。限界鍔7bの取り付け位置は、絶縁性を考慮して、共用操作棒7を安全に作業できる限界を示している。
【0008】
図5又は図6を参照すると、工具部71は、円柱状の軸部71aと一対のピン71b・71bを備えている。又、工具部71は、プッシュロッド71cとリングナット71dを有している。軸部71aは、柄部72の軸方向に突出している。一対のピン71b・71bは、相反する向きに軸部71aの外周から突出している。
【0009】
図6を参照すると、プッシュロッド71cは、工具部71に内蔵された圧縮コイルばね(図示せず)によって、力を付勢され、軸部71aの先端面から突出している。
【0010】
図6を参照すると、リングナット71dは、軸部71aの下方に配置されている。リングナット71dは、軸部71aと螺合している。リングナット71dを一方の方向に回転すると、後述するバインド打ち器8のジョイント部81の底面に当接して(図7参照)、バインド打ち器8を固定できる。リングナット71dを他方の方向に回転すると、後述するバインド打ち器8のジョイント部81の底面(図7参照)からリングナット71dが離れて、バインド打ち器8を解除できる。
【0011】
図5又は図6を参照すると、共用操作棒7は、円筒状のジョイント部74を基端部に更に備えている。ジョイント部74は、底面が開口された円筒状に形成している。ジョイント部74には、図示しない足し棒の軸部が嵌合する軸穴74aを有している。
【0012】
又、図5又は図6を参照すると、ジョイント部74には、一対のT字状の係合溝74b・74bを有している。図示しない足し棒に設けた一対のピンを軸穴74aの軸方向に挿入した後に、これらのピンを軸穴74aの周方向に回動することで、これらのピンを係合溝74b・74bに係合できる。つまり、図5に示した共用操作棒7には、図示しない足し棒を継ぎ足しできる。
【0013】
上述したような係合手段は、ツイストロックと呼ばれている。そして、図5又は図6を参照して、図示しない足し棒とジョイント部74が嵌合した状態では、プッシュロッドが軸穴74aの上壁を弾圧すると共に、リングナットが軸穴74aの底面に当接して、ジョイント部74に図示しない足し棒を確実に固定できる。
【0014】
例えば、図5又は図6を参照して、共用操作棒7の工具部71には、フック形状のバインド打ち器8などの先端工具を取り付けることができる(図7参照)。
【0015】
図7を参照すると、バインド打ち器8は、共用操作棒7の工具部71に着脱自在に取り付けできる(図5又は図6参照)。バインド打ち器8は、円筒状のジョイント部81を基端部に備えている。
【0016】
図7を参照すると、ジョイント部81は、底面が開口された円筒状に形成している。ジョイント部81には、軸部71a(図6参照)が嵌合する軸穴81aを有している。又、ジョイント部81には、一対のT字状の係合溝81b・81bを有している。一対のピン71b・71b(図6参照)を軸穴81aの軸方向に挿入した後に、これらのピン71b・71bを軸穴81aの周方向に回動することで、これらのピン71b・71bを係合溝81b・81bに係合できる。
【0017】
図5から図7を参照して、工具部71とジョイント部81が嵌合した状態では、プッシュロッド71cが軸穴81aの上壁を弾圧すると共に、リングナット71dが軸穴81aの底面に当接して、バインド打ち器8を工具部71に確実に固定できる。
【0018】
図7を参照すると、バインド打ち器8は、棒状の軸部8sとフック部8aを備えている。フック部8aは、軸部8sから連続して、C字状に屈曲している。又、バインド打ち器8は、円柱状のピン部8pを備えている。ピン部8pは、フック部8aの開口8kと反対側に、軸部8sから突出している。なお、バインド打ち器の名称は、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作できることに由来している。
【0019】
図5又は図6に示した共用操作棒7は、間接活線工事に好適な絶縁操作棒の一種であるが、異なる用途の先端工具を接続自在に共用できることから、特に、「共用操作棒」と呼ばれている。
【0020】
図5又は図6を参照して、共用操作棒7の先端部には、圧縮工具などの重量物の先端工具を取り付けることがある。共用操作棒7は、把持部73を両手で把持して、先端工具を操作しているが、先端工具が重量物の場合は、先端工具を操作することが容易でないという問題がある。又、先端工具が重量物の場合は、作業者の肉体的及び精神的負担が増加し、作業者の疲労を増加させる要因となっている。
【0021】
以上のことから、腕を挿通自在な腕輪を取り付けた腕支持部材を共用操作棒の把持部に着脱自在に取り付けることで、作業者の腕への安定した支持性能を確保しつつ、作業者の作業範囲を拡大できる、絶縁操作棒用補助具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開2011-244552号公報
【文献】特開2011-125187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献2による絶縁操作棒用補助具は、絶縁操作棒の把持部に腕支持部材を取り付けているが、腕を支持することに限定され、間接活線作業の自由度を確保することが困難である、という問題がある。
【0024】
重量物の先端工具を先端部に取り付け可能な絶縁操作棒の把持部に着脱自在な補助具であって、腕を支持することに限定されることなく、重量物の先端工具の負担を軽減できる、絶縁操作棒用補助具が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0025】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、重量物の先端工具を先端部に取り付け可能な絶縁操作棒の把持部に着脱自在な補助具であって、腕を支持することに限定されることなく、重量物の先端工具の負担を軽減できる、絶縁操作棒用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者は、外周の中央部に雌ねじ座を設け、絶縁操作棒の把持部に外周方向から着脱自在な単クランプ、基端部が雌ねじ座に螺合でき、把持部が延びる方向と直交する方向に延びる第1の操作補助アーム、及び、先端部が第1の補助棒の先端部に設けた連結部と回動自在に連結した第2の操作補助アームで、絶縁操作棒用補助具を構成することで、腕を支持することに限定されることなく、重量物の先端工具の負担を軽減できると考え、これに基づいて、以下のような新たな絶縁操作棒用補助具を発明するに至った。
【0027】
(1)本発明による絶縁操作棒用補助具は、先端工具を着脱自在な工具部を先端部に有し、把持部を基端部側に有し、把持部を把持することで、前記先端工具を操作する絶縁操作棒に備わる絶縁操作棒用補助具であって、回動自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の半円弧状のクランプ部材を有し、前記把持部を外周方向から導入して前記把持部を挟持できると共に、前記クランプ部材の外周に雌ねじ座を形成した単クランプと、前記雌ねじ座に螺合自在な雄ねじ部を基端部に有し、第1連結部を先端部に有し、前記雌ねじ座に前記雄ねじ部が螺合した状態で、前記把持部が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置された第1の操作補助アームと、前記第1連結部と回動自在に固定できる第2連結部を先端部に有し、第1の操作補助アームが延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置された第2の操作補助アームと、を備えている。
【0028】
(2)前記第1連結部は、円板状に形成した第1菊座部を有し、前記第2連結部は、前記第1菊座部と対向配置され、円板状に形成した第2菊座部を有し、前記第1菊座部は、略円形の第1菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第1菊座面から隆起した複数の第1突条と、前記第1菊座面の中心から突出したスタッドボルトと、前記スタッドボルトに螺合できる蝶ナットと、を有し、前記第2菊座部は、略円形の第2菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第2菊座面から隆起した複数の第2突条と、前記第2菊座面の中心部に開口し、前記スタッドボルトを挿入自在な取り付け穴と、を有していることが好ましい。
【0029】
(3)本発明による絶縁操作棒用補助具は、先端工具を着脱自在な工具部を先端部に有し、把持部を基端部側に有し、把持部を把持することで、前記先端工具を操作する絶縁操作棒に備わる絶縁操作棒用補助具であって、回動自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の半円弧状のクランプ部材を有し、前記把持部を外周方向から導入して前記把持部を挟持できると共に、前記クランプ部材の外周に雌ねじ座を形成した単クランプと、前記雌ねじ座に螺合自在な雄ねじ部を基端部に有し、第3連結部を先端部に有し、前記雌ねじ座に前記雄ねじ部が螺合した状態で、前記把持部が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置された第3の操作補助アームと、前記第3連結部と回動自在に固定できる第4連結部を先端部に有し、第3の操作補助アームが延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置された第4の操作補助アームと、を備えている。
【0030】
(4)前記第3連結部は、二山クレビス形の第1支持部と、雄ねじ部を一端部側に形成した蝶ボルトと、を有し、前記第4連結部は、前記第1支持部に嵌合する一山クレビス形の第2支持部を有し、前記第1支持部は、前記蝶ボルトの雄ねじ部が挿通自在な第1挿通穴を開口した第1クレビス片と、前記蝶ボルトの雄ねじ部が螺合自在なねじ穴を螺設した第2クレビス片と、を有し、前記第2支持部は、前記蝶ボルトの雄ねじ部が挿通自在な第2挿通穴を開口していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明による絶縁操作棒用補助具は、外周の中央部に雌ねじ座を設け、絶縁操作棒の把持部に外周方向から着脱自在な単クランプ、基端部が雌ねじ座に螺合でき、把持部が延びる方向と直交する方向に延びる第1の操作補助アーム、及び、先端部が第1の補助棒の先端部に設けた連結部と回動自在に連結した第2の操作補助アームで、絶縁操作棒用補助具を構成することで、腕を支持することに限定されることなく、重量物の先端工具を多方向から支持でき、支え方の自由度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す斜視分解組立図である。
図3】本発明の第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す正面図である。
図4】第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す斜視分解組立図である。
図5】一例による絶縁操作棒の構成を示す正面図である。
図6図5の先端部側及び基端部側を拡大した斜視図である。
図7】絶縁操作棒の先端部に着脱自在な先端工具の一例による構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
[絶縁操作棒用補助具の構成]
最初に、本発明の第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を説明する。
【0034】
なお、本発明による補助具に適用される絶縁操作棒を共用操作棒として説明するが、絶縁操作棒は、共用操作棒に限定されることなく、先端部に一対の把持腕を有する絶縁操作棒、いわゆる、絶縁ヤットコなどにも適用できる。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す正面図である。図2は、第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す斜視分解組立図である。
【0036】
なお、図5から図7で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略することがある。
【0037】
(全体構成)
次に、本発明の第1実施形態による絶縁操作棒用補助具の全体構成を説明する。図1又は図2を参照すると、本発明の第1実施形態による絶縁操作棒用補助具(以下、補助具と略称する)10は、単クランプ1、棒状の第1の操作補助アーム3、及び、棒状の第2の操作補助アーム5を備えている。
【0038】
図1又は図2を参照すると、単クランプ1は、一対の半円弧状のクランプ部材11・11を有している。これらのクランプ部材11・11は、互いに回動自在なヒンジ部1hを一端部側に有している(図2参照)。又、これらのクランプ部材11・11は、互いに開閉自在な延出部1cを他端部側に有している。これらの延出部1c・1cを開くことで、一対のクランプ部材11・11の内部に把持部73を外周方向から導入できる。又、一組のボルト部材1b・1bを用いて、一対のクランプ部材11・11を閉じることで、把持部73を挟持できる。単クランプ1は、把持部73の軸方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0039】
図1又は図2を参照すると、クランプ部材11は、その外周の中央部に雌ねじ座1sを形成している。雌ねじ座1sには、雌ねじ部1fsを形成している。一方、第1の操作補助アーム3は、雄ねじ部3msを基端部に形成している。雄ねじ部3msは、雌ねじ部1fsに螺合できる。雌ねじ部1fsに雄ねじ部3msが螺合した状態では、第1の操作補助アーム3は、把持部73が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置されている。図1を参照すると、一方の雌ねじ座1sに第1の操作補助アーム3を固定しているが、他方の雌ねじ座1sに第1の操作補助アーム3を固定することもできる。
【0040】
図2を参照すると、第1の操作補助アーム3は、雄ねじ部3msを基端部に形成している。雄ねじ部3msは、雌ねじ座1sの雌ねじ部1fsに螺合できる。図1を参照して、雌ねじ座1sに雄ねじ部3msが螺合した状態では、第1の操作補助アーム3は、把持部73が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置されている。又、図2を参照して、第1の操作補助アーム3は、第1連結部となる第1菊座部3aを先端部に有している。
【0041】
図2を参照すると、第2の操作補助アーム5は、第2連結部となる第2菊座部5aを先端部に有している。第2菊座部5aは、第1菊座部3aと回動自在に固定できる。第1菊座部3aに対して、第2菊座部5aが固定された状態では、第2の操作補助アーム5は、第1の操作補助アーム3が延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置されている(図1参照)。
【0042】
図1又は図2を参照すると、第1実施形態による補助具10は、一方の手で把持部73を把持して、一方の手の肘で第1の操作補助アーム3を支持することもできる。又、第1実施形態による補助具10は、両手で把持部73を把持して、第2の操作補助アーム5を肩などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。更に、2の操作補助アーム5をステップボルト(図示せず)などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。
【0043】
(第1の操作補助アームの構成)
次に、実施形態による第1の操作補助アーム3の構成を説明する。図2を参照すると、第1の操作補助アーム3は、円板状に形成した第1菊座部3aを先端部に有している。第1菊座部3aは、略円形の第1菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第1菊座面から隆起した複数の第1突条31sを有している。
【0044】
又、図2を参照すると、第1菊座部3aは、スタッドボルト3bと蝶ナット3cを備えている。スタッドボルト3bは、当該菊座面の中心から突出している。蝶ナット3cは、スタッドボルト8bに螺合できる雌ねじ部3fsを中心部に螺設している。
【0045】
(第2の操作補助アームの構成)
次に、実施形態による第2の操作補助アーム5の構成を説明する。図2を参照すると、第2の操作補助アーム5は、円板状に形成した第2菊座部5aを先端部に有している。第2菊座部5aは、略円形の第2菊座面の中心から放射状に延びると共に、この第2菊座面から隆起した複数の第2突条41sを有している。
【0046】
又、図2を参照すると、第2菊座部5aは、当該第2菊座面の中心に取り付け穴51hを開口している。第1菊座部3aの第1菊座面と第2菊座部5aの菊座面が対面するように、スタッドボルト3bを取り付け穴51hに挿入し、蝶ナット3cを締結すると、第1の操作補助アーム3に対して、第2の操作補助アーム5を任意のステップ角度で固定できる。
【0047】
[絶縁操作棒用補助具の作用]
次に、第1実施形態による補助具10の作用及び効果を説明する。
【0048】
図1又は図2を参照すると、第1実施形態による補助具10は、一方の手で把持部73を把持して、一方の手の肘で第1の操作補助アーム3を支持することもできる。又、第1実施形態による補助具10は、両手で把持部73を把持して、第2の操作補助アーム5を肩などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。更に、第2の操作補助アーム5をステップボルト(図示せず)などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。
【0049】
[第2実施形態]
[絶縁操作棒用補助具の構成]
次に、本発明の第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を説明する。
【0050】
図3は、本発明の第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す正面図である。図4は、第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の構成を示す斜視分解組立図である。
【0051】
なお、図1又は図2」で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略することがある。
【0052】
(全体構成)
次に、本発明の第2実施形態による絶縁操作棒用補助具の全体構成を説明する。図3又は図4を参照すると、本発明の第2実施形態による絶縁操作棒用補助具(以下、補助具と略称する)20は、単クランプ1、棒状の第3の操作補助アーム2、及び、棒状の第4の操作補助アーム4を備えている。
【0053】
図3又は図4を参照すると、クランプ部材11は、その外周の中央部に雌ねじ座1sを形成している。雌ねじ座1sには、雌ねじ部1fsを形成している。一方、第3の操作補助アーム2は、雄ねじ部2msを基端部に形成している。雄ねじ部2msは、雌ねじ部1fsに螺合できる。雌ねじ部1fsに雄ねじ部2msが螺合した状態では、第3の操作補助アーム2は、把持部73が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置されている。図3を参照すると、一方の雌ねじ座1sに第3の操作補助アーム2を固定しているが、他方の雌ねじ座1sに第3の操作補助アーム2を固定することもできる。
【0054】
図4を参照すると、第3の操作補助アーム2は、雄ねじ部2msを基端部に形成している。雄ねじ部2msは、雌ねじ座1sの雌ねじ部1fsに螺合できる。図3を参照して、雌ねじ座1sに雄ねじ部2msが螺合した状態では、第3の操作補助アーム2は、把持部73が延びる方向と直交する方向に延びた状態で配置されている。又、図4を参照して、第3の操作補助アーム2は、第3連結部となる二山クレビス形の第1支持部21を先端部に有している。
【0055】
図4を参照すると、第4の操作補助アーム4は、第4連結部となる一山クレビス形の第2支持部41を先端部に有している。第2支持部41は、第1支持部21と回動自在に固定できる。第1支持部21に対して、第2支持部41が固定された状態では、第4の操作補助アーム4は、第3の操作補助アーム2が延びる方向と交差する方向に延びた状態で配置されている(図3参照)。
【0056】
図1又は図2を参照すると、第2実施形態による補助具20は、一方の手で把持部73を把持して、一方の手の肘で第3の操作補助アーム2を支持することもできる。又、第2実施形態による補助具20は、両手で把持部73を把持して、第4の操作補助アーム4を肩などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。更に、第4の操作補助アーム4をステップボルト(図示せず)などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。
【0057】
(第3の操作補助アームの構成)
次に、実施形態による第3の操作補助アーム2の構成を説明する。図4を参照すると、第3の操作補助アーム2は、二山クレビス形の第1支持部21を先端部に有している。又、第3の操作補助アーム2は、雄ねじ部2msを一端部側に形成した蝶ボルト2bを有している。
【0058】
図4を参照すると、第1支持部21は、第1クレビス片211と第2クレビス片212を有している。第1クレビス片211は、第1挿通穴21hを中央部に開口している。第1挿通穴21hには、蝶ボルト2bの雄ねじ部2msを挿通できる。第2クレビス片212は、ねじ穴21sを中央部に螺設している。ねじ穴21sには、蝶ボルト2bの雄ねじ部2msを螺合できる。
【0059】
(第4の操作補助アームの構成)
次に、実施形態による第4の操作補助アーム4の構成を説明する。図4を参照すると、第2支持部41は、第2挿通穴41hを中央部に開口している。第2挿通穴41hには、蝶ボルト2bの雄ねじ部2msを挿通できる。
【0060】
図4を参照して、第1クレビス片211と第2クレビス片212の間に、第2支持部41を導入し、第1挿通穴21hと第2挿通穴41hを一致させた状態で、第1挿通穴21hと第2挿通穴41hに、蝶ボルト2bの雄ねじ部2msを挿通し、雄ねじ部2msをねじ穴21sに締結することで、第3の操作補助アーム2に対して、第4の操作補助アーム4を任意の角度で固定できる。
【0061】
[絶縁操作棒用補助具の作用]
次に、第2実施形態による補助具20の作用及び効果を説明する。
【0062】
図3又は図4を参照すると、第2実施形態による補助具20は、一方の手で把持部73を把持して、一方の手の肘で第3の操作補助アーム2を支持することもできる。又、第2実施形態による補助具20は、両手で把持部73を把持して、第4の操作補助アーム4を肩などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。更に、第4の操作補助アーム4をステップボルト(図示せず)などに係止することで、図示しない先端工具の重量を分担することもできる。
【0063】
図1及び図2図3及び図4を対比すると、第1実施形態による補助具10は、第1の操作補助アーム3に対して、第2の操作補助アーム5を任意のステップ角度で固定できるのに対し、第2実施形態による補助具20は、第3の操作補助アーム2に対して、第4の操作補助アーム4を連続した任意の角度で固定できるという、違いがある。
【0064】
本発明による絶縁操作棒用補助具は、次のような効果が期待できる。
(1)重量物の先端工具を多方向から支持でき、支え方の自由度を確保できる。
(2)圧縮ヘッドなど先端部に重量がある作業において、作業者の疲労低減を見込むことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 単クランプ
1h ヒンジ部
1s 雌ねじ座
3 第1の操作補助アーム
3a 第1菊座部(第1連結部)
5 第2の操作補助アーム
5a 第2菊座部(第2連結部)
7 共用操作棒(絶縁操作棒)
10 補助具(絶縁操作棒用補助具)
11・11 一対のクランプ部材
71 工具部
73 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7