(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】シート状海苔の異物除去装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220210BHJP
【FI】
A23L17/60 103F
(21)【出願番号】P 2021154145
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501044655
【氏名又は名称】小浅商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591033490
【氏名又は名称】株式会社ザ鈴木
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 伸康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 栄一
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198594(JP,A)
【文献】特開2018-068156(JP,A)
【文献】特開2017-169469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状海苔に付着又は漉き込まれた異物を検出し、除去する異物除去装置であって、
前記シート状海苔を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流側に配備され、前記シート状海苔の前記異物の位置を検出する第1異物検知手段と、
前記第1異物検知手段の下流側に配備され、前記第1異物検知手段により検知された前記位置にある前記異物を
吸引以外の方法で除去する第1異物除去手段と、前記第1異物除去手段の近傍に配備され、前記第1異物除去手段により除去された前記異物を吸引する第1異物吸引手段と、を含む第1異物除去吸引手段と、
を具える、
シート状海苔の異物除去装置。
【請求項2】
前記第1異物除去吸引手段の下流側に配備され、前記搬送移行路上で前記シート状海苔を表裏反転させる反転手段と、
前記反転手段の下流側に配備され、前記反転手段により反転された前記シート状海苔の前記異物の位置を検出する第2異物検知手段と、
前記第2異物検知手段の下流側に配置され、前記第2異物検知手段により検知された前記位置にある異物を
吸引以外の方法で除去する第2異物除去手段と、前記第2異物除去手段の近傍に配備され、前記第2異物除去手段により除去された前記異物を吸引する第2異物吸引手段と、を含む第2異物除去吸引手段と、
を具える、
請求項1に記載のシート状海苔の異物除去装置。
【請求項3】
第1異物除去手段は、前記異物を切削、巻き付け、はね飛ばす、又は、引っ掛けて除去する、
請求項1又は請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記第1異物除去手段は、軸状部材であって、前記異物の位置に降下し、軸回転することで前記異物を除去する、
請求項1又は請求項2に記載のシート状海苔の異物除去装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記シート状海苔を1枚ずつ載置する搬送テーブルを具え、前記搬送テーブルの回転により前記シート状海苔が搬送される、
請求項1乃至請求項
4の何れかに記載のシート状海苔の異物除去装置。
【請求項6】
前記搬送テーブルは、前記シート状海苔をクランプして位置決めするクランプ手段を有する、
請求項
5に記載のシート状海苔の異物除去装置。
【請求項7】
前記第2異物除去吸引手段の下流側には、前記第2異物除去吸引手段を通過した前記シート状海苔に残存する異物の有無、孔及び破れの有無を検知する検査装置を具える、
請求項2に記載のシート状海苔の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状海苔に付着、漉き込み等されている異物を取り除く異物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生海苔や焼き海苔、乾燥海苔などのシート状の海苔(以下、適宜「海苔」、「シート状海苔」という)は、紅藻、藍藻などの海藻を漉いてシート状に乾燥させて作製される。その生産工程で海苔には種々の異物の付着や漉き込み等がある。
【0003】
たとえば、異物として、上記以外の海藻類や、エビ、かに、魚、虫、藁片、木片、金属片、塗料片、テグス、髪の毛などが挙げられる。これら異物が付着、漉き込み等された海苔は、食用には適さないため、出荷前に1枚ずつ検査して、異物を除去している。
【0004】
特許文献1では、海苔の異物を検知すると、裏面側から海苔を吸引して位置決めしつつ、切削工具を軸回転して接近させ、付着、漉き込み等された異物を周囲の部位と共に切削除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、切削除去された異物は、切削工具の回転力で周囲に飛散し、再度海苔に付着してしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、シート状海苔に付着、漉き込み等された異物を検知して確実に取り除くことのできる異物除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の異物除去装置は、
シート状海苔に付着又は漉き込まれた異物を検出し、除去する海苔の異物除去装置であって、
前記シート状海苔を1枚ずつ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流側に配備され、前記シート状海苔の前記異物の位置を検出する第1異物検知手段と、
前記第1異物検知手段の下流側に配備され、前記第1異物検知手段により検知された前記位置にある前記異物を除去する第1異物除去手段と、前記第1異物除去手段の近傍に配備され、前記第1異物除去手段により除去された前記異物を吸引する第1異物吸引手段と、を含む第1異物除去吸引手段と、
を具える。
【0009】
前記第1異物除去吸引手段の下流側に配備され、前記搬送移行路上で前記シート状海苔を表裏反転させる反転手段と、
前記反転手段の下流側に配備され、前記反転手段により反転された前記シート状海苔の前記異物の位置を検出する第2異物検知手段と、
前記第2異物検知手段の下流側に配置され、前記第2異物検知手段により検知された前記位置にある前記異物を除去する第2異物除去手段と、前記第2異物除去手段の近傍に配備され、前記第2異物除去手段により除去された前記異物を吸引する第2異物吸引手段と、を含む第2異物除去吸引手段と、
を具える。
【0010】
前記第1異物除去手段、第2異物除去手段は、軸状部材であって、前記異物の位置に降下し、軸回転することで前記異物を除去する。
【0011】
前記搬送手段は、前記シート状海苔を1枚ずつ載置する搬送テーブルを具え、前記搬送テーブルの回転により前記海苔が搬送される。
【0012】
前記搬送テーブルは、前記海苔をクランプして位置決めするクランプ手段を有する。
【0013】
前記第1異物除去吸引手段又は前記第2異物除去吸引手段の下流側には、前記第2異物除去吸引手段を通過した前記シート状海苔に残存する異物の有無、孔及び破れの有無を検知する検査装置を具える。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート状海苔の異物除去装置によれば、海苔の異物の位置を検出し、当該位置に存在する異物を異物除去手段により除去する。海苔から除去された異物は異物吸引手段により吸引されるから、再度海苔に付着することはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る異物除去装置の平面図である。
【
図2】
図2は、搬送テーブルにクランプされた海苔の(a)平面図、(b)はb-b線断面図である。
【
図4】
図4は、異物検知手段により検知された異物とその位置を示す海苔の平面図である。
【
図5】
図5は、異物除去吸引手段により海苔の表面から異物が除去され、吸引される過程を示す説明図である。
【
図6】
図6は、最終検査の(a)良品海苔、(b)不良品海苔の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のシート状海苔の異物除去装置10について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0017】
異物除去装置10により異物の検知や除去が可能な海苔80として、生海苔、焼き海苔、乾燥海苔のようなシート状海苔を例示できる。シート状海苔80は、一般的な全形海苔(
図2参照)の場合、長さ約210mm、幅約190mm、厚さ約0.2mmである。もちろん、海苔80の長さ、幅、厚さはこれに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る異物除去装置10の全体構成を示す平面図である。異物除去装置10は、たとえば、海苔の加工製造工程の最終工程、或いは、既に製造された海苔の検査工程に配置することができる。図示の実施形態では、海苔の検査工程に異物除去装置10を採用している。
【0019】
異物除去装置10は、概略構成として、海苔80の搬送移行路上流側から見ると、
図1に示すように、検査される海苔80が搬入される搬入ステーション20、検査待ちの海苔80が待機する待機ステーション24、海苔80を1枚ずつ搬送テーブル31に載せる載置ステーション35、海苔80の表面の異物81の位置を検出する第1異物検知ステーション40、異物81を除去、吸引する第1異物除去吸引ステーション50、海苔80を反転させる第1反転ステーション60、反転して裏面側が表面となった海苔80の異物81の位置を検出する第2異物検知ステーション40a、異物81を除去、吸引する第2異物除去吸引ステーション50a、海苔80を再び反転させて元の表裏に戻す第2反転ステーション60a、搬送テーブル31から海苔80を搬出する搬出ステーション70、表裏の異物81が除去された海苔80に残存する異物81の有無、孔及び破れの有無を検知する最終検査ステーション73、最終検査ステーション73で合格となった良品海苔85を集積する良品海苔集積ステーション77、不良品海苔86を集積する不良品海苔集積ステーション78を含んでいる。
【0020】
海苔80は、移送手段22,25,71,79、搬送手段30、振分手段76によって各ステーション間の搬送移行路を移動し、異物81の検知や除去吸引が行なわれる。
【0021】
なお、異物除去装置10のすべての制御は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリーなどのメモリー、バッファー等により構成される制御手段により実行され、これらに記録された各種プログラム等の連繋によってその制御を実現することができる。また、これら機能は、1の装置によって実現することもできるし、複数のシステムを共同して実現したシステムとすることもできる。以下では、各手段について個々の説明を行なうが、これら手段は上記した制御手段により統括的に制御され、作動する。
【0022】
以下、各ステーションについて詳述する。
【0023】
<搬入ステーション20>
搬入ステーション20は、検査される海苔80を搬入し、検査まで保管する。たとえば、海苔80は、数十枚から数百枚重ねた束の状態で、海苔ストッカー21に搬入される。海苔ストッカー21には、複数の束を収容可能とし、本実施形態では、検査前の海苔80、検査後の良品海苔85、不良品海苔86を保管するようにしている。
【0024】
海苔ストッカー21に収容された海苔80は、ロボットハンドやロボットアーム、コンベアベルト、アクチュエーターなどの移送手段22により束のまま海苔ストッカー21から取り出され、待機ステーション24に運ばれる。
【0025】
<待機ステーション24>
待機ステーション24では、海苔80が重ねられて検査を待つ。海苔80は、移送手段25によって1枚ずつ載置ステーション35に運ばれる。たとえば、移送手段25は、2軸直交ロボットに吸引機能を設け、重ねられた一番上に位置する海苔80を吸引して載置ステーション35まで運ぶ構成とすることができる。また、移送手段25は、ロボットハンドやロボットアームに吸引機能を有するハンドピースを装着して海苔80を載置ステーション35まで搬送する構成としてもよい。
【0026】
<搬送手段30、搬送テーブル31>
海苔80は、搬送手段30によって、載置ステーション35から第2異物除去吸引ステーション50aまで搬送手段30によって搬送され、その間に異物81の検査や除去吸引が行なわれる。たとえば、搬送手段30は、
図1に示すように、矢印R方向に間欠回転可能する円盤状の搬送テーブル31とし、搬送テーブル31上に海苔80を保持し、各ステーションを順に海苔80が搬送される構成である。図示では、搬送テーブル31は、45°間隔で円環状にステーション35,40,50,60,40a,50a,60a,70を配置している。搬送テーブル31には、最大8枚の海苔80が載置可能であり、検査や異物除去吸引等が順次行なわれる。なお、搬送テーブル31に代えて、コンベアベルトを採用し、各ステーションは直線状の配置としても構わない。
【0027】
<載置ステーション35>
載置ステーション35では、待機ステーション24から移送手段25によって運ばれた海苔80を搬送テーブル31に載せて固定する。本実施形態では、後述のとおり、海苔80の異物81の位置を特定し、当該位置にある異物81を除去吸引するため、海苔80が各ステーション間(第1、第2反転ステーション60,60aを除く)を移動する間、位置ずれすることなく保持しておく必要がある。そこで、搬送テーブル31は、位置決め機構として、クランプ手段32を有し、海苔80を搬送テーブル31に固定する。具体的実施形態として、
図2は、搬送テーブル31にクランプ手段32によって固定された海苔80の平面図である。クランプ手段32は、アクチュエーターやソレノイド等により作動する構成を例示でき、海苔80が弛むことなく張った状態で海苔80の縁部をクランプする。図示の実施形態では、海苔80は四隅をクランプ手段32によりクランプしているが、クランプ手段32の数やクランプ位置は図示の例に限られない。なお、位置決め機構は、クランプ手段32に代えて吸引等によって海苔80を搬送テーブル31に固定するようにしてもよい。
【0028】
本実施形態では、海苔80は、長手方向が搬送テーブル31の直径と平行になる向きに載置し、固定している。
【0029】
図2は、異物81が付着、漉き込み等された海苔80であり、表側面と裏面側に夫々異物81が付着し、又は、漉き込まれた状態を示している。海苔80の表側面とは、一般的に光沢のあるつるつるした側、裏側面は、すのこに接触してざらざらした面である。なお、以下の説明では、海苔80の表側面、裏側面と呼ぶことがあるが、表裏は逆であっても構わない。たとえば、載置ステーション35には、海苔80が表側面を上向きに載置される。
【0030】
載置ステーション35に固定された海苔80は、搬送テーブル31の間欠回転により第1異物検知ステーション40に運ばれる。
【0031】
<第1異物検知ステーション40>
第1異物検知ステーション40は、第1異物検知手段41を有し、搬送テーブル31上の海苔80の異物81を検知し、その位置を特定する。第1異物検知ステーション40は、
図1に示すように、載置ステーション35から時計回りに45°移動した位置にある。第1異物検知手段41は、たとえば、光学的手法により、異物81を検知する。具体的実施形態には、第1異物検知手段41は、反射型画像処理装置とAI(人工知能:図示せず)を組み合わせた構成を採用できる。反射型画像処理装置は、
図3に示すように、LED等の光源42から海苔80に光L1を照射し、その反射光L2を撮像手段43で撮像する。なお、外光の影響を避けるために、海苔80、光源42及び撮像手段43をドーム状のカバーで覆うことが望ましい。そして、得られた画像をAI(たとえば制御手段に搭載)で分析し、AIがその学習結果から異物81の有無とその位置を判定する。異物81の位置は、一実施形態として、
図4に示すように、海苔80の長手方向中心をY軸、幅方向中心をX軸とする直交座標で特定することができる。
図4では、2つの異物81を示しており、一方の座標を(x1,y1)、他方の座標を(x2,y2)としている。
【0032】
異物81の有無及びその位置(座標)は、第1異物除去吸引ステーション50に送信される。また、搬送テーブル31が45°間欠回転して、第1異物検知ステーション40にあった海苔80を第1異物除去吸引ステーション50に移動させる。
【0033】
<第1異物除去吸引ステーション50>
第1異物除去吸引ステーション50では、第1異物検知ステーション40から異物81の有無及び位置が特定された海苔80が搬送され、検知された異物81を除去、吸引する。
【0034】
図5は、第1異物除去吸引手段51の一例を示している。第1異物除去吸引手段51は、海苔80から異物81を除去する第1異物除去手段52と、除去された異物81を吸引する第1異物吸引手段54を具える。第1異物除去手段52と第1異物吸引手段54は、水平面内で海苔80に平行な面内及び高さ方向の3次元に移動可能な移動機構(図示せず)に一体に装着できる。移動機構は、たとえば、3軸直交ロボットや、ロボットハンド、ロボットアームである。
【0035】
具体的実施形態として、第1異物除去手段52は、ルーターを採用できる。ルーターは、
図5に示すように、金属製のビット53の如き軸状部材を図示しないモーターにより軸回転させる機構である。ビット53は、先端が縮径した形状、先端が尖った形状、先端に切削刃を具える形状など種々選択でき、回転して異物81に当接することで、異物81のみ、或いは、異物81と共にその周囲の海苔
80部分を切削し、巻き付け、はね飛ばす等に除去する。ビット53は、直径約0.5mm~3mmが好適である。図示の実施形態では、第1異物除去手段52は、ビット53を鉛直軸中心で縦回転させているが、水平軸中心に横回転、或いは、斜め回転等する構成としてもよい。また、第1異物除去手段52は、先端にカギ状の爪を具え、異物81を引っ掛けて除去する構成であってもよい。
【0036】
第1異物吸引手段54は、吸引ポンプ(図示せず)などにホースを介して連繋されたノズル55を例示できる。ノズル55は、
図5に示すように、ビット53の先端に近接して配備され、ビット53により除去された異物81を吸引する。
【0037】
第1異物除去吸引手段51は、第1異物検知ステーション40にて検知された異物81の有無と、異物81が存在する場合にその座標の情報を受信する。異物81がない場合には、第1異物除去吸引手段51は作動することなく、搬送テーブル31を回転させて、次の海苔80の到着を待つ。
【0038】
海苔80に異物81が検知された場合の異物除去吸引過程について、
図5を参照して説明する。異物81の位置は、上述のとおり、第1異物検知ステーション40にてその座標が特定されている。本実施形態では、
図4に示すように、異物81は2つであり、その座標は(x1,y1)、(x2,y2)である。
【0039】
異物81が存在する海苔80が第1異物除去吸引ステーション50に到着すると、
図5(a)に矢印aで示すように、移動機構(図示せず)は、第1異物除去手段52及び第1異物吸引手段54を水平面内で移動させ、1つめの異物81の座標位置(x1,y1)上にビット53を位置合わせする。
【0040】
位置合わせが完了すると、ビット53を回転させると共に(
図5(b)の矢印b1)、ノズル55から吸引を開始する(同矢印b2)。なお、ビット53の回転、ノズル55からの吸引の開始タイミングはこれに限らず、たとえば常時作動する構成としてもよい。
【0041】
続いて、
図5(b)に矢印b3で示すように、ビット53をノズル55と共に降下させ、ビット53の先端を異物81に当接させる。これにより、
図5(c)に示すように、ビット53が海苔80上の異物81を切削や巻き付け、はね飛ばし等することで、異物81が海苔80から除去される。そして、除去された異物81は、
図5(c)に矢印cで示すように、近接して配備されたノズル55により吸引される。異物81がノズル55により吸引されて取り除かれるから、異物81が海苔80上に再度落下や飛散することはない。
【0042】
その後、
図5(d)に矢印dで示すように、ビット53とノズル55を上昇させ、次の異物81(座標(x1,y1))を除去吸引するために、移動機構により移動を行なう。
【0043】
図5(d)を参照すると、海苔80から異物81及びその周辺の部分が除去され、除去された部分に凹み82が形成されていることがわかる。なお、海苔80に貫通孔が形成されてしまうことを防止するため、ビット53が海苔80に侵入する深さは、海苔80の厚さの1/3~1/2とすることが望ましい。
【0044】
上記記載のように、第1異物検知ステーション40、第1異物除去吸引ステーション50により海苔80の表側面の異物81を取り除くことができる。続いて、海苔80の裏側面の異物81の有無を検知し、異物81がある場合には異物81を取り除く。
【0045】
<第1反転ステーション60>
第1反転ステーション60では、続く工程で海苔80の裏側面を検査するために、海苔80の表裏をひっくり返す。具体的には、クランプ手段32により搬送テーブル31に固定されていた海苔80の固定を解除し、海苔80の表裏をひっくり返して再び搬送テーブル31に海苔80を固定し直す。
【0046】
搬送テーブル31が45°間欠回転して、第1異物除去吸引ステーション50にあった海苔80が第1反転ステーション60に移動する。そして、まず、第1反転ステーション60では、搬送テーブル31から海苔80の固定を解除する。たとえば、クランプ手段32(
図2参照)により海苔80が固定されている場合には、そのクランプを解除する。
【0047】
続いて、海苔80を反転させる。海苔80の反転手段(
図1中矢印61)は、ロボットハンドやロボットアームなどを採用し、これらに吸引機能を付加して、海苔80を吸引した状態で反転する構成を例示できる。
【0048】
反転された海苔80は、再び搬送テーブル31の同じ位置に載置される。そして、この状態から、
図2に示すようにクランプ手段32により海苔80を再び固定すればよい。次に、搬送テーブル31を45°間欠回転し、表裏反転された海苔80を第2異物検知ステーション40aに搬送する。
【0049】
<第2異物検知ステーション40a、第2異物除去吸引ステーション50a>
海苔80の裏側面に対し、異物81の有無の検知及びその位置の特定と、異物81が存在する場合に異物81の除去吸引を行なう。第2異物検知ステーション40aは、第1異物検知手段41と同様の第2異物検知手段41aを具える(
図3参照)。また、第2異物除去吸引ステーション50aは、第1異物除去吸引手段51と同様に、第2異物除去手段52aと第2異物吸引手段54aを具える第2異物除去吸引手段51aを具える(
図5参照)。従って、その詳細な説明は省略するが、海苔80の裏面側の異物81も除去、吸引により取り除くことができる。第2異物除去吸引ステーション50aで異物を取り除いた後、搬送テーブル31を45°間欠回転させて、海苔80は第2反転ステーション60aに搬送される。
【0050】
<第2反転ステーション60a>
次に、裏側面が上になるように反転していた海苔80を再度表側面が上になるように反転させる。第2反転ステーション60aは、第1反転ステーション60と同様の構成であり、説明を省略する。反転手段(
図1の矢印61a)により、海苔80は表側面が上向きとなった状態で搬送テーブル31に固定される。その後、搬送テーブル31を45°間欠回転させ、海苔80を搬出ステーション70に搬送する。
【0051】
<搬出ステーション70>
搬出ステーション70では、表裏の異物81が取り除かれた海苔80を搬送テーブル31から搬出する。本実施形態では、
図1に示すように、海苔80は、最終検査ステーション73に搬出される。搬出ステーション70は、待機ステーション24の移送手段25と同様の移送手段71を有し、搬送テーブル31に対する海苔80の固定を解除すると共に、移送手段71により海苔80を吸引等して最終検査ステーション73に運ぶ。なお、海苔80が搬出された搬送テーブル31は間欠回転して、再度載置ステーション35で新たな海苔80が載置、固定され、異物81の検知、除去吸引が実行される。
【0052】
<最終検査ステーション73>
最終検査ステーション73は、海苔80に残留する異物81の有無や、貫通するような孔83、破れ、欠けなどの有無を検知する。上記工程において、海苔80の表裏に付着、漉き込み等された異物81は、取り除かれているはずであるが、異物が大きい場合、或いは、異物81が海苔80に絡んで取り除き切れていない場合がある。また、表裏からは検知できない異物81が海苔80の中に埋没していることもある。そこで、最終検査ステーション73では、
図1に示すように、検査装置74で海苔80を検査する。検査装置74は、透過型画像処理装置を例示でき、赤外光を表側面に海苔80に照射し、海苔80の裏側面でイメージセンサーにより受光して異物81、一定面積以上の貫通する孔83、破れ等の有無を検知する。なお、最終検査ステーション73で用いる検査装置は、透過型画像処理装置に限定されるものではない。
【0053】
<海苔集積ステーション77,78>
然して、最終検査ステーション73で、
図6(a)に示すように異物81、貫通する孔83、破れ等がない海苔80は、合格となり良品海苔85として選別され、最終検査ステーション73からロボットハンドやロボットアームなどの振分手段76により良品海苔集積ステーション77に集積される。一方、
図6(b)に示すように、表裏の異物は除去されて凹み82となるが、内部に異物81が残留している海苔80、或いは、貫通する孔83や破れがある海苔80は、不合格となり不良品海苔86として不良品海苔集積ステーション78に集積される。集積された海苔80は、良品、不良品に分けたまま、たとえば、
図1に矢印79で示す移送手段により海苔ストッカー21に戻され、海苔80の検査が完了する。
【0054】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、異物検知ステーション、異物除去吸引ステーション、反転ステーションを夫々2つずつ設けているが、1つのみとして表側面、裏側面で2回各ステーションを通過するようにしてもよい。
【0056】
また、海苔80の裏側面を上向きとして最終検査ステーション73に搬出する場合、第2反転ステーション60aは不要である。
【0057】
上記した各ステーションの移送手段等の構成は一例であり、その他の機構により本発明を実現できることは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 異物除去装置
20 搬入ステーション
24 待機ステーション
30 搬送手段
31 搬送テーブル
32 クランプ手段
35 載置ステーション
40 第1異物検知ステーション
40a 第2異物検知ステーション
41 第1異物検知手段
41a 第2異物検知手段
50 第1異物除去吸引ステーション
50a 第2異物除去吸引ステーション
51 第1異物除去吸引手段
51a 第2異物除去吸引手段
52 第1異物除去手段
52a 第2異物除去手段
54 第1異物吸引手段
54a 第2異物吸引手段
60 第1反転ステーション
60a 第2反転ステーション
70 搬出ステーション
73 最終検査ステーション
77 良品海苔集積ステーション
78 不良品海苔集積ステーション
80 海苔
81 異物
【要約】
【課題】本発明は、シート状海苔に付着、漉き込み等された異物を検知して確実に取り除くことのできる異物除去装置を提供する。
【解決手段】本発明の異物除去装置10は、シート状海苔80に付着又は漉き込まれた異物81を検出し、除去する異物除去装置であって、前記シート状海苔を1枚ずつ搬送する搬送手段30と、前記搬送手段の下流側に配備され、前記シート状海苔の前記異物の位置を検出する第1異物検知手段40と、前記第1異物検知手段の下流側に配備され、前記第1異物検知手段により検知された前記位置にある前記異物を除去する第1異物除去手段52と、前記第1異物除去手段の近傍に配備され、前記第1異物除去手段により除去された前記異物を吸引する第1異物吸引手段54と、を含む第1異物除去吸引手段51と、を具える。
【選択図】
図5