(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】抽出シートの加工方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
B65B 29/04 20060101AFI20220210BHJP
B65D 85/812 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B65B29/04
B65D85/812
(21)【出願番号】P 2018002673
(22)【出願日】2018-01-11
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-018507(JP,A)
【文献】特許第5397381(JP,B2)
【文献】特開2016-049986(JP,A)
【文献】米国特許第05511359(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0226263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 29/04
B65D 85/812
B65D 85/808
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したタグ付き吊下げ糸の吊下げ糸を、一時的にタグを挟んで対向する一対のピンに巻き付けて長円状に纏め、前記長円状に纏めた吊下げ糸の前記タグに重なり合った状態で互いに対向する一対の直線部を前記タグと抽出シートとの間に挟みながら、前記タグを前記一対の直線部を挟んで対向する一対の位置で前記抽出シートに対して接合すると共に、前記吊下げ糸の巻付け後続側を前記抽出シートに対して接合することで、前記抽出シートを前記タグ付き吊下げ糸付きに加工する抽出シートの加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載した抽出シートの加工方法において、
タグとして矩形のものを使用し、吊下げ糸の一対の直線部が前記矩形タグの対角線上で重なり合うように纏めることを特徴とする加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載した抽出シートの加工方法において、
吊下げ糸の巻付け後続側
がタグの一対の接合部の間
から引き出されて、1つのテトラ状抽出バッグに製袋化するシート単位の角部
まで延びていることを特徴とする加工方法。
【請求項4】
連続したタグ付き吊下げ糸のタグを一時的に挟んで対向する一対のピンを有し、前記一対のピンに前記吊下げ糸を巻き付けて長円状に纏める巻付け手段と、前記吊下げ糸の巻付け後続側と共に、前記長円状に纏めた吊下げ糸の互いに対応する一対の直線部の湾曲部寄りをタグに重ね合わせたまま、互いの位置関係を維持しながら抽出シートに向かって移送する移送手段と、前記移送されてきたタグを前記一対の直線部を挟んで対向する一対の位置で抽出シートに対して接合して前記一対の直線部を前記タグと前記抽出シートとの間に挟ませると共に、前記吊下げ糸の巻付け後続側を前記抽出シートに対して接合する接合手段を備えたことを特徴とする抽出シートの加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載した抽出シートの加工装置において、
巻付け手段が軸方向に回転可能なタグチャックで構成され、軸芯を挟んで対向する位置に一対のピンが配置されていることを特徴とする加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載した抽出シートの加工装置において、
一対のピンの間には、別のタグチャックの侵入用の空間が設けられていることを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶、コーヒーなどの被抽出物を充填した抽出バッグのシート側材料となる抽出シートにタグ付き吊下げ糸を取付け加工する抽出シート加工方法及びその実施装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抽出バッグには、抽出時の取り扱いの便宜を考慮してタグ付き吊下げ糸を取り付ける場合がある。
その場合、タグ付き吊下げ糸の取付けは、特許文献1に示すように、通常、抽出バッグに成形した後ではなく、成形前の連続した抽出シートに対して行われている。その際には、タグと吊下げ糸の基端部は抽出シートにそれぞれ接合させて取り付けている。
そして、抽出バッグは、特許文献2に示すように、連続した抽出シートをシールアンドカットにより製袋化すると共に被抽出物を充填するようになっており、平袋状だけでなく、テトラ状のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-24907号公報
【文献】特開2011-255924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吊下げ糸が短いと抽出時に容器内に落ち込み易いため、吊下げ糸はできる限り長くすることが望まれている。そのため、吊下げ糸を抽出シートに対して直線状ではなく弛んだ状態で取り付けて長さを稼ぐことが提案されている。
しかしながら、連続した抽出シートは、その後に製袋充填装置にかけられてシールアンドカットにより順次製袋化されていくため、吊下げ糸を連続した抽出シートに大きく弛ませた状態で取り付けると、横方向のシールアンドカットの際に切断されてしまう恐れがある。したがって、タグ付き吊下げ糸を連続した抽出シートに対して弛ませて取り付けることで吊下げ糸を長くするには限界があった。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、タグ付き吊下げ糸を従来品より長く、且つその後のシールアンドカットの際に切断されないように抽出シートに取り付ける方法を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、上記した方法を実施できる装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1の発明は、連続したタグ付き吊下げ糸の吊下げ糸を、一時的にタグを挟んで対向する一対のピンに巻き付けて長円状に纏め、前記長円状に纏めた吊下げ糸の前記タグに重なり合った状態で互いに対向する一対の直線部を前記タグと抽出シートとの間に挟みながら、前記タグを前記一対の直線部を挟んで対向する一対の位置で前記抽出シートに対して接合すると共に、前記吊下げ糸の巻付け後続側を前記抽出シートに対して接合することで、前記抽出シートを前記タグ付き吊下げ糸付きに加工する抽出シートの加工方法である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した抽出シートの加工方法において、タグとして矩形のものを使用し、吊下げ糸の一対の直線部が前記矩形タグの対角線上で重なり合うように纏めることを特徴とする加工方法である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した抽出シートの加工方法において、吊下げ糸の巻付け後続側がタグの一対の接合部の間から引き出されて、1つのテトラ状抽出バッグに製袋化するシート単位の角部まで延びていることを特徴とする加工方法である。
【0009】
請求項4の発明は、連続したタグ付き吊下げ糸のタグを一時的に挟んで対向する一対のピンを有し、前記一対のピンに前記吊下げ糸を巻き付けて長円状に纏める巻付け手段と、前記吊下げ糸の巻付け後続側と共に、前記長円状に纏めた吊下げ糸の互いに対応する一対の直線部の湾曲部寄りをタグに重ね合わせたまま、互いの位置関係を維持しながら抽出シートに向かって移送する移送手段と、前記移送されてきたタグを前記一対の直線部を挟んで対向する一対の位置で抽出シートに対して接合して前記一対の直線部を前記タグと前記抽出シートとの間に挟ませると共に、前記吊下げ糸の巻付け後続側を前記抽出シートに対して接合する接合手段を備えたことを特徴とする抽出シートの加工装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した抽出シートの加工装置において、巻付け手段が軸方向に回転可能なタグチャックで構成され、軸芯を挟んで対向する位置に一対のピンが配置されていることを特徴とする加工装置である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した抽出シートの加工装置において、一対のピンの間には、別のタグチャックの侵入用の空間が設けられていることを特徴とする加工装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タグ付き吊下げ糸を従来品より長く、且つその後の横方向のシールアンドカットの際に切断しないように抽出シートに取り付けることができる。
また、テトラ状の抽出バッグでは、ピラミッド状に頂部が上を向いた状態で吊下げることができ、抽出効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】連続した抽出シートにタグ付き吊下げ糸を取り付けた状態を示す。
【
図2】
図1の吊下げ糸の纏め過程のイメージ図である。
【
図3】
図1のシート単位を製袋充填化した、完成品の抽出バッグを示す。
【
図4】本発明の実施の形態に係る抽出シートの加工装置の斜視図である。
【
図5】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図4に続く状態説明図である。
【
図6】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図5に続く状態説明図である。
【
図7】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図6に続く状態説明図である。
【
図8】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図7に続く状態説明図である。
【
図9】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図8に続く状態説明図である。
【
図10】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図9に続く状態説明図である。
【
図11】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図10に続く状態説明図である。
【
図12】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図11に続く状態説明図である。
【
図13】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図12に続く状態説明図である。
【
図14】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図13に続く状態説明図である。
【
図15】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図14に続く状態説明図である。
【
図16】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図15に続く状態説明図である。
【
図17】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図16に続く状態説明図である。
【
図18】抽出シートへのタグ付き吊下げ糸の取付け動作の、
図17に続く状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る抽出シートの加工方法と加工装置を、図面にしたがって説明する。
図1は、連続した抽出シートSの下面側にタグ付き吊下げ糸THを取り付けた状態を示しており、抽出シートSを介してタグTと吊下げ糸Hが見えている。
図3に示すような1つのテトラ状抽出バッグBに製袋化するときに使用されるシート単位S(1)の枠内にタグ付き吊下げ糸THが1つ取り付けられている。
タグTは正方形をしており、製袋充填機にかけて作業する際の抽出シートSの矢印に示す送り方向に対して、対向する一対の辺縁が平行に、残りの一対の辺縁が垂直になるように取り付けられている。タグTは送り方向中心線に対してその両側に交互に取り付けられている。
【0015】
吊下げ糸Hは、一端側がタグTの裏側でその対角線上の全長にわたって固着されており、その先端が僅かにタグTからはみ出している。一方、他端側はタグTから外に出た後に、その先端近傍が抽出シートSに対して超音波溶着により剥がれ不能にシールされて取り付けられている。
図2に示すように、吊下げ糸Hはこの固着部Kの後続側がタグTの当該対角線上で長円状に巻かれており、互いに対向する一対の直線部H(c)と互いに対向する一対の湾曲部H(w)が形成されている。この一対の直線部H(c)は殆どがタグTにその対角線上で重なり合っているが、両側の一対の湾曲部H(w)はタグTの両角部からそれぞれはみ出している。そして、上記したように巻かれた後、後続側が他端側としてタグTから直線状に引き出されている。
【0016】
この他端側の先端近傍のシール部Pは、
図3に示す1つのテトラ状抽出バッグBの製袋化分に相当するシート単位S(1)の角部に位置している。タグTは一対の直線部H(c)を挟んで対向する一対の角部が抽出シートSに対して剥がれ可能にシールされている。
本発明では、タグTの対角線上に重なる位置で吊下げ糸Hを纏めているので、タグTの辺縁に平行な中心線上で纏めた場合よりも、タグTに隠れた状態で直線部を長く設定することができる。タグTに吊下げ糸Hの大部分を隠せば引っ掛かり難くなるので、より好ましい態様になっている。
また、タグTの両角部に一対のシール部Q、Qを形成しているので、その間の距離を大きく設定できる。そのため、吊下げ糸Hの巻き数を増やしても、すなわち吊下げ糸Hを長く設定しても、シール部Q、Qの形成の際に吊下げ糸Hを巻き込んでシール不良を起こす恐れがなく、この点からもより好ましい態様になっている。
【0017】
更に、タグTから、吊下げ糸Hは直線状に引き出されて、シート単位S(1)の角部まで延びており、タグT側の一対のシール部Q、Qの間を通り抜ける際にシール部Qによって無理に曲げられていないので、シール部Q、Qが剥がれるようなことはない。
加えて、本発明では、一対の直線部H(c)がタグTと抽出シートSとの間に挟まった状態になっているが絡まってはいないので、製袋充填後の完成品にした後に、タグTを剥がせば、吊下げ糸Hは容易にほぐれて、
図3に示す状態になる。
【0018】
図1に示すように、連続した抽出シートSにタグ付き吊下げ糸THを取り付けて加工する方法を実施する加工装置1の各部の構成と動作について、
図4以降の図にしたがって説明する。
図4に示すように、タグ付き吊下げ糸THの吊下げ糸Hは連続しており、タグTが一定の間隔をあけて既に固着されている。タグTに固着された吊下げ糸Hの固着部Kの直線方向を送り軌道として加工されながら連続した抽出シートSに向かって供給されるようになっている。その際、タグTの面が上下を向き、吊下げ糸Hが上側にくる姿勢になっている。
【0019】
加工装置1には、タグ直動チャック3、5が備えられており、タグ直動チャック3、5はいずれも送り軌道への接離移動と、送り軌道に沿って平行な移動が可能で、タグ直動チャック3は前側から送り軌道に接近し、タグ直動チャック5は後側から送り軌道に接近するようになっている。上方から見ると、タグ直動チャック3は反時計回りに矩形軌道を描くように移動し、タグ直動チャック5は時計回りに矩形軌道を描くように移動する。
タグ直動チャック3、5はそれぞれ一対の挟持片で構成されている。挟持片どうしが端部で枢着して、上下方向の回動により開閉可能になっており、閉じることでタグTを吊下げ糸Hと共に挟持、すなわちチャックする。
【0020】
タグ押えチャック7も一対の挟持片で構成されているが、一対の挟持片が送り軌道を挟んで上下に対向配置されて、互いに上下方向に接離移動可能になっており、送り軌道に平行な移動はしない。
タグ押えチャック7はタグTの中心部を吊下げ糸Hと共に挟持するようになっており、タグ直動チャック3、5はタグTの先行側の角部を吊下げ糸Hと共に挟持するので、タグ直動チャック3または5と共に1つのタグTを挟持可能になっている。
このタグ押えチャック7を介してタグ直動チャック5からタグ直動チャック3への移し替えが行われる。
【0021】
吊下げ糸Hの切断用にカッター9が設けられている。このカッター9は、
図14に示すように、タグ直動チャック3と同様に送り軌道に平行に移動し、前側から送り軌道に接近するが、その後は矩形軌道を描かずに元の軌道を辿って戻る。カッター9の刃先は吊下げ糸Hに前側から臨んでおり、送り軌道への接近・侵入により緊張状態にある吊下げ糸Hが切断される。
【0022】
カッター9の切断位置を超えて送り方向先側には、巻付け手段として糸巻付けチャック11が配置されている。この糸巻付けチャック11は一対の矩形の挟持面13、13が送り軌道を挟んで上下に対向配置されており、互いに接離移動して開閉する。それぞれの挟持面13、13は回転軸15、15によって支持されており、回転軸15、15は閉じた挟持状態で一体となって回転するようになっている。
下側の回転軸15の上面側には外周縁に沿って互いに対向する一対の支持壁17、17が立ち上がっている。各支持壁17の上面からは、更にピン19が立ち上がっている。このピン19の立ち上がりにより支持壁17の上面が水平な段差面21、23となっている。ピン19は中間より片方寄りから立ち上がっており、対向するピン19が偏心配置されている。すなわち、一方側に形成される段差面21が他方側に形成される段差面23より大きくなっている。この配置により、糸Hが巻付けを開始する際に、固着部Kから先の部分がピン19に当たって切れたりすることはない。
【0023】
一対の支持壁17、17と隙間をあけて、軸芯上側は隆起しており、その上面が上記した挟持面13になっている。この挟持面13の高さ位置は上記した段差面21、23と同じになっている。
挟持面13と支持壁17との間の凹部25は上方だけでなく、前後方向に開放されている。
【0024】
上側の回転軸15の下面側にも、同様に挟持面13と、一対の支持壁27、27が対向して備えられており、その間は凹部29になっている。但し、ピンは設けられていない。
図7に示すように、上下の回転軸15、15が接近し、挟持面13、13の角部が上下で合わさった姿勢で挟持することになるが、その際には、上側の回転軸15側の支持壁27がピン19に外側から嵌合し一体化して軸周りの回転が可能となっている。
なお、挟持の際には、凹部25と凹部29が上下で向かい合って大きな空間ができる。この空間が前後方向で開放されている。
【0025】
符号31はタグ移送用チャックを示す。このタグ移送用チャック31は吊下げ糸Hが巻き付けられたタグ付き吊下げ糸THを抽出シートS上の所定の位置まで移送するものである。
図7に示すように、タグ直動チャック3と同様に一対の挟持片が上下に対向配置され、矩形軌道を描いて動くようになっている。但し、このタグ移送用チャック31には、一対の挟持片を1組として3組設けられており、それぞれがフォーク状に互いに間隔をあけて並んだ状態になっている。これらの3組は同期で開閉される。
【0026】
図13、
図14に示すように、一対の挟持片33、33は送り方向前側の凹部25、29に、一対の挟持片35、35は送り方向後側の凹部25、29にそれぞれ前側から侵入する。残りの一対の挟持片37、37は、糸巻付けチャック11を超えて送り方向後側に位置して、一対の挟持片33、33はタグTの先行側の角部を吊下げ糸の湾曲部H(w)寄りの直線部H(c)と共に挟持し、一対の挟持片35、35は同じタグTの後行側の角部を同じように挟持し、一対の挟持片37、37は吊下げ糸Hのみを挟持する。
【0027】
糸巻付けチャック11の上下の回転軸15、15は上下に離間移動できるので、一対の挟持片33、33、一対の挟持片35、35、及び一対の挟持片37、37はそれぞれ挟持状態のまま、送り軌道に沿って移動可能になっている。その際、互いの挟持位置も維持されるので、吊下げ糸Hは緊張状態にある。
【0028】
抽出シートSに対向して、接合手段としてタグシールホーン39と糸シールホーン41が配設されている。それぞれ受け部が抽出シートSを挟んで対向した状態で配設されているが、視認の便宜のために省略されている。これらの作動による超音波溶着によりシール部P、Q、Qが形成される。
【0029】
加工装置1は、上記のように各部が構成されており、各部の動作が繋がっていくことで、以下に記載するように、連続した抽出シートSにタグ付き吊下げ糸THを順次取り付けていくことになる。
連続した吊下げ糸Hに一定の間隔をあけてタグTが固着されているが、
図4で先頭に見えるタグTに着目してその取付け過程を説明する。
タグTの送り方向先側では吊下げ糸HはタグTの近傍が切端となっており、後続側は連続している。このタグT(及び固着した吊下げ糸H)の先行側の角部がタグ直動チャック3によって送り軌道に沿って抽出シートSに向かって送られていく。
【0030】
そして、
図5に示すように、糸巻付けチャック11まで送られていき、その開いた状態の中の挟持面13、13の間にタグTが到達すると送りが停止し、
図6に示すように、糸巻付けチャック11が閉じ、タグTが挟持される。タグTのサイズが大きく、その挟持の際には一対の角部がそれぞれ支持壁17、17に重なっても、ピン19、19は前後にズレており、段差面21、21上に重なるので、タグTが曲がることはない。ピン19、19はタグTを挟んで一時的に対向した状態になる。
その後、タグ直動チャック3の一対の挟持片は凹部25、29の間に入り込んだ状態から、
図7に示すように、挟持を解除して後退する。同時に、後続のタグTの先行側の角部がタグ直動チャック5によって挟持される。
【0031】
続いて、
図8、
図9、
図10に示すように、糸巻付けチャック11が軸周りに回転し、回転前の待機位置で停止する。この回転により、吊下げ糸Hが一対のピン19、19に長円状に巻き付けられて纏められる。ピン19、19に巻き付けた箇所が
図1に示す一対の湾曲部H(w)に相当し、その間が一対の直線部H(c)に相当している。
この巻付けと同期して、タグ直動チャック5が移動して吊下げ糸Hと共に、後続のタグTが送られてくる。その後、後続のタグTについては、
図11に示すように、タグ押えチャック7に中心部が挟持され、更に、
図12に示すように、タグ直動チャック5による後続のタグTの挟持が解除される。そして、代わりに、タグ直動チャック3で同じ個所が挟持される。
一方、先頭のタグTについては、タグ移送用チャック31が待機位置から糸巻付けチャック11に接近してくる。
【0032】
図13に示すように、一対の挟持片33、33は、送り方向先側の凹部25、29の間に侵入し、一対の挟持片35、35は後側の凹部25、29に侵入する。それぞれ開いた状態で侵入して、上側の挟持片33と下側の挟持片33が閉じて先行側の角部が挟持され、上側の挟持片35と下側の挟持片35が閉じて後続側の角部が挟持される。そのタグTの上面には長円状に吊下げ糸Hが巻かれて纏められており、上記の位置で挟持されると、タグTと共に吊下げ糸Hについては湾曲部H(w)、H(w)寄りの直線部H(c)、H(c)がそれぞれ挟持された状態となる。
また、一対の挟持片37、37により後続のタグTの近傍で吊下げ糸Hが挟持される。
【0033】
続いて、
図14に示すように、糸巻付けチャック11とタグ押えチャック7が挟持を解除してそれぞれ上下方向に離間する。また、カッター9が上記一対の挟持片37、37とタグ直動チャック3との間に侵入して吊下げ糸Hを切断する。この切断により後続の吊下げ糸Hと分離される。
その後、
図15、
図16に示すように、タグ付き吊下げ糸THは、タグ移送用チャック31により抽出シートSに向かって移送され、所定のシール位置に到達すると停止する。
この移送と同期して、タグ直動チャック5が移動して後続のタグTが送られている。
【0034】
そして、先頭のタグT側については、
図17に示すようにシールされてタグ付き吊下げ糸THが抽出シートSに対して取り付けられる。その際、一対の挟持片33、33、一対の挟持片35、35、及び一対の挟持片37、37は互いに所定の距離をあけて挟持状態を維持しており、タグT及び吊下げ糸Hの一対の直線部H(c)は緊張状態にあるので、抽出シートSに取り付ける際にシール位置がずれることはない。
その後、タグ移送用チャック31が挟持を解除して元の待機位置に戻り、
図18に示すように、抽出シートSはシート単位2つ分だけ矢印に示す方向に送られていく。
【0035】
抽出シートSの送りと同期して、後続のタグTは
図10の糸巻付けチャック11で処理する位置まで送られてきている。その後は、同じように取り付けられて、
図1に示すように、抽出シートSにタグ付き吊下げ糸THが取り付けられた状態になる。この加工装置1を使用すれば、吊下げ糸Hからは無駄になる切り屑は生じない。
なお、
図4~
図18は抽出シートSの一方側から順次取り付けており、
図1に示すように長手方向両側から取り付けるには、加工装置1を両側に1台ずつ配置させ、共に稼働させることになる。
【0036】
この加工装置1を使用すれば、自動的に、
図1に示すように、抽出シートSに対してタグ付き吊下げ糸THを取り付けることができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施の形態では、抽出シートの送り機構やチャックの駆動手段等は図示省略されているが、これらは形状や配置関係が異なっても従来から抽出シートの製造において利用されてきたものであり、モーターや油圧シリンダー等の適宜な駆動手段を用いて動作させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…加工装置 3、5…タグ直動チャック 7…タグ押えチャック
9…カッター 11…糸巻付けチャック 13…挟持面
15…回転軸 17…支持壁 19…ピン
21、23…段差面 25…凹部 27…支持壁
29…凹部 31…タグ移送用チャック 33、35、37…一対の挟持片
39…タグシールホーン 41…糸シールホーン
TH…タグ付き吊下げ糸 T…タグ H…吊下げ糸
K…固着部 P、Q…シール部