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特許7022426ヒートシンク及び電子部品パッケージ並びにヒートシンクの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び電子部品パッケージ並びにヒートシンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220210BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018083971
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019192780
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 雅暉
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝
(72)【発明者】
【氏名】松浦 宗佑
(72)【発明者】
【氏名】金子 修平
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3140605(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第1790688(CN,A)
【文献】特開2009-170607(JP,A)
【文献】特開平08-267214(JP,A)
【文献】実開昭59-189248(JP,U)
【文献】特開平05-315776(JP,A)
【文献】特開2014-220365(JP,A)
【文献】特開平09-283667(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1866502(CN,A)
【文献】中国実用新案第201127157(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、
前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続し
前記放熱片が、前記ベース部の前記他方の面から遠ざかる方向へ間隔を置いて複数設けられ、
前記支柱部は、前記放熱片毎に該放熱片のベース部側に設けられ、前記ベース部と該ベース部に対向する前記放熱片を連結するとともに、隣接する二つの放熱片を連結していることを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記放熱片は、前記ベース部の面に沿う平板状に形成され、前記ベース部の中央側に対応する位置に前記第二の通気路となる開口部を確保していることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記ベース部の電子部品接触面に、電子部品が接触していることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートシンクを用いた電子部品パッケージ。
【請求項4】
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、
前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続しているヒートシンクの製造方法であって、
平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、前記突片部を前記平板部に対し折り曲げることで、前記平板部を前記ベース部として構成するとともに前記突片部を前記支柱部として構成することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【請求項5】
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、
前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続しているヒートシンクの製造方法であって、
平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、
前記突片部に対しその一部分を折り曲げることで前記放熱片を形成する工程と、前記平板部に対し前記突片部を折り曲げることで前記支柱部を形成する工程とを含むことを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【請求項6】
前記放熱片は、前記ベース部の面に沿う平板状に形成され、前記ベース部の中央側に対応する位置に前記第二の通気路となる開口部を確保していることを特徴とする請求項4又は5記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項7】
前記放熱片の端部側が、前記支柱部に対し凹凸状に嵌合していることを特徴とする請求項4記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項8】
前記放熱片には、前記支柱部を挿通して係止する係止孔が設けられていることを特徴とする請求項4記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項9】
前記支柱部には、前記放熱片をベース部側から支持して前記放熱片のベース部側の空間を確保するスペーサが環状に設けられていることを特徴とする請求項8記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項10】
前記支柱部の側面には、段部が設けられ、
前記支柱部は、前記放熱片の前記係止孔に挿通され、その係止孔の内縁を前記段部によって受けていることを特徴とする請求項8記載のヒートシンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の熱を放熱するヒートシンク及び電子部品パッケージ並びにヒートシンクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、電子部品に接触可能な板状のベース部と、このベース部の厚み方向の一方側の空間を囲む四枚の突片部と、各突片部から前記空間とは逆の方向へ突出する複数の筒状突起と、四枚の突片部の内側に形成された複数の溝とを有するヒートシンクがある。
このヒートシンクは、前記複数の筒状突起や複数の溝により、良好な放熱性能を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-14539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、ベース部の輪郭から、複数の突起が水平方向へ突出する構造であるため、放熱能力を増大するためには、複数の突起の突出量を大きくする必要がある。このため、水平方向の取付けスペースが予め決められている場合には、対応が困難になることが想定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続し、前記放熱片が、前記ベース部の前記他方の面から遠ざかる方向へ間隔を置いて複数設けられ、前記支柱部は、前記放熱片毎に該放熱片のベース部側に設けられ、前記ベース部と該ベース部に対向する前記放熱片を連結するとともに、隣接する二つの放熱片を連結していることを特徴とするヒートシンク。
また、このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続しているヒートシンクの製造方法であって、平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、前記突片部を前記平板部に対し折り曲げることで、前記平板部を前記ベース部として構成するとともに前記突片部を前記支柱部として構成することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
また、このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続しているヒートシンクの製造方法であって、平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、前記突片部に対しその一部分を折り曲げることで前記放熱片を形成する工程と、前記平板部に対し前記突片部を折り曲げることで前記支柱部を形成する工程とを含むことを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、省スペースな形状により放熱能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るヒートシンクの一例を示す斜視図である。
図2図1のヒートシンクの分解斜視図である。
図3図1のヒートシンクの作用を示す要部断面図である。
図4】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図5図4のヒートシンクの分解斜視図である。
図6】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図7図6のヒートシンクの分解斜視図である。
図8図6のヒートシンクの平板状原材を曲げ加工して、ベース部及び支柱部を形成する過程を(a)~(c)に順次に示す斜視図である。
図9】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図10図9のヒートシンクの分解斜視図である。
図11】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図12図11のヒートシンクの分解斜視図である。
図13】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図14図13のヒートシンクの分解斜視図である。
図15図13のヒートシンクの要部断面図である。
図16】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図17図16のヒートシンクの製造手順を示す斜視図である。
図18】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図19図18のヒートシンクの要部断面図である。
図20図18のヒートシンクの製造手順を示す斜視図である。
図21】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図22図21のヒートシンクの要部断面図である。
図23図21のヒートシンクの製造手順を示す斜視図である。
図24】本発明に係るヒートシンクの他例を示す斜視図である。
図25図24のヒートシンクの製造手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、ヒートシンクであって、一方の面を電子部品接触面とした板状のベース部と、このベース部の他方の面から離間して該他方の面に対向する放熱片と、前記ベース部に立設されて前記放熱片を支持する支柱部とを備え、前記放熱片のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路にするとともに、前記他方の面側の内部空間に、前記放熱片を貫通して前記他方の面から遠ざかる方向の外部空間へ連通する第二の通気路を形成し、これら第一の通気路と第二の通気路が連続している(図1図25参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記放熱片は、前記ベース部の面に沿う平板状に形成され、前記ベース部の中央側に対応する位置に前記第二の通気路となる開口部を確保している(図1図25参照)。
【0010】
第3の特徴は、前記放熱片の端部側が前記支柱に対し凹凸状に嵌合している(図1図8参照)。
【0011】
第4の特徴として、前記放熱片には、前記支柱部を挿通して係止する係止孔が設けられている(図9図17参照)。
【0012】
第5の特徴として、前記支柱部には、前記放熱片をベース部側から支持して前記放熱片のベース部側の空間を確保するスペーサが環状に設けられている(図9及び図10参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記支柱部の側面には、段部が設けられ、前記支柱部は、前記放熱片の前記係止孔に挿通され、その係止孔の内縁を前記段部によって受けている(図11及び図12及び図17参照)。
【0014】
第7の特徴として、前記放熱片が前記ベース部の前記他方の面から遠ざかる方向へ間隔を置いて複数設けられ、前記支柱部は、前記放熱片毎に該放熱片のベース部側に設けられ、前記ベース部と該ベース部に対向する前記放熱片を連結するとともに、隣接する二つの放熱片を連結している(図13図15参照)。
【0015】
第8の特徴は、電子部品パッケージであって、前記ベース部の電子部品接触面に、電子部品が接触している(図3図15図19及び図22参照)。
【0016】
第9の特徴は、前記ヒートシンクの製造方法であって、平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、前記突片部を前記平板部に対し折り曲げることで、前記平板部を前記ベース部として構成するとともに前記突片部を前記支柱部として構成する(図7図8図17図20,及び図25参照)。
【0017】
第10の特徴は、前記ヒートシンクの製造方法であって、平板部と該平板部の端部から突出する突片部とを有する平板状原材について、前記突片部に対しその一部分を折り曲げることで前記放熱片を形成する工程と、前記平板部に対し前記突片部を折り曲げることで前記支柱部を形成する工程とを含む(図20,及び図25参照)。
【0018】
第11の特徴は、前記ヒートシンクの製造方法であって、平板状の前記放熱片に、その厚み方向の塑性加工を施して前記支柱部を一体的に形成する工程を含む(図22参照)。
【0019】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すヒートシンクAは、一方の面を電子部品接触面11とした板状のベース部10と、このベース部10の他方の面12から離間して該他方の面12に対向するとともに所定間隔を置いて平行に配設された複数の放熱片20と、ベース部10に立設されて複数の放熱片20を支持する複数の支柱部30とを備え、放熱片20のベース部側の空間を側方の外部空間に連通する第一の通気路v1にするとともに、他方の面12側の内部空間S2に、放熱片20を貫通して他方の面12から遠ざかる方向の外部空間S1へ連通する第二の通気路v2を形成し、これら第一の通気路v1と第二の通気路v2が連続している。
【0020】
このヒートシンクAは、電子部品接触面11を電子部品X(例えば、CPUや、トランジスタ、サイリスタ、その他の半導体や電子部品等)に接触させて電子部品パッケージを構成する(図3参照)。なお、この電子部品パッケージの周囲には、必要に応じてファンを設けるようにしてもよい。
このヒートシンクAの構成部材(図示例によれば、ベース部10,放熱片20及び支柱部30)は、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル又はマグネシウム等を含む金属材料から形成され、必要に応じて、その表面にアルマイト処理が施される。
【0021】
ベース部10は、矩形平板状(図示例によれば平面視正方形状)に形成され、その厚み方向の一方(図示例によれば下側)の面を、平坦状に形成して電子部品Xに接触させるための電子部品接触面11としている。
このベース部10の他方(反対側)の面12は、図示例によれば、貫通孔や凹凸のない平坦状に形成されるが、必要に応じて、適宜形状の放熱フィン等を設けることも可能である。
【0022】
また、ベース部10の各角側には、後述する支柱部30を凹凸状に嵌合するための凹状の被嵌合部13(図2参照)が設けられる。
この被嵌合部13は、図示例によれば、平面視矩形凹状に形成され、その内部に支柱部30を嵌合して固着している。
【0023】
各放熱片20は、ベース部10と略同じ輪郭の四角形平板状に形成され、その平面視中央側に、厚み方向へ貫通して第二の通気路v2を確保する四角形状の開口部aを有し、各角側に、支柱部30を凹凸状に嵌合するための凹状の被嵌合部22を有する。そして、被嵌合部22は、その内部に支柱部30を嵌合して固着している。
複数の放熱片20の開口部aは、その内側の空間を上下に連続する内部空間S2としている。この内部空間S2は、その上方側で外部の空間に連通している。
【0024】
各放熱片20のベース部側の空間、すなわち、ベース部10と該ベース部10に対向する放熱片20の間の空間、及び隣接する二つの放熱片20の間の空間は、支柱部30以外の部分で側方に開口しており、側方の外部空間S1の空気を導入する第一の通気路v1として機能する。
この第一の通気路v1は、開口部a内(内部空間S2)の第二の通気路v2に連続している。そして、第二の通気路v2は、ベース部10から離れる方向へ連続して、図示の上方側の外部空間S1へ連通している。
【0025】
支柱部30は、その一端側(図示例によれば下端側)がベース部10の角側に固定され、ベース部10に対し略垂直に立設され、その立設方向の途中箇所を各放熱片20端部側の被嵌合部22に嵌合している。
この支柱部30は、図1及び図2に示すように、上下方向へ長尺な略帯板状に形成され、その下端部の幅方向の中央側を下方へ突出させて、ベース部10の被嵌合部13に凹凸状に嵌り合って固着する嵌合部31としている。また、この支柱部30は、その両側縁に、所定間隔置きに凹部を有し、これら両側の凹部を、放熱片20角側の被嵌合部22に嵌り合って固着する嵌合部32としている。
【0026】
なお、被嵌合部13(又は22)と嵌合部31(又は32)との凹凸関係は図示と逆にしてもよい。すなわち、被嵌合部13(又は22)を凸部とし、嵌合部31(又は32)を凹部にすることも可能である。
また、被嵌合部13(又は22)と嵌合部31(又は32)とを固着する手段は、圧入、溶接、接着、ねじ止め等とすることが可能である。
【0027】
次に、上記構成のヒートシンクAについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図3に示すように、ヒートシンクAのベース部10を下向きにし、このベース部10の下面(電子部品接触面11)を発熱源である電子部品Xに接触させると、開口部aの内側の空間S2には、電子部品X及びベース部10側から伝達する熱によって、上昇気流が発生する。そして、この上昇気流に、各放熱片20の下側の空間の空気が誘引され、さらに、側方の外部空間S1の空気が、各放熱片20の下側の空間(第一の通気路v1)に吸い込まれる。このため、外部空間S1から第一の通気路v1を通って内部空間S2へ向かい、さらに内部空間S2において第二の通気路v2に沿って上方へ向かう連続的な空気の流れが形成される。
よって、比較的低温な側方の外部空間S1の空気を、各放熱片20や支柱部30の表面に効果的に接触させて、効率的な熱交換を行うことができる。
【0028】
また、放熱能力を増加する場合には、放熱片20の数をベース部10から離れる方向(図示例によれば上方)へ増やせばよく、ベース部10の面に沿う方向(図示例によれば水平方向)のスペースは増大しなくてもよいため、省スペースな形状により放熱能力を容易に増大することがきる。
【0029】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係るヒートシンクの他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上述した実施態様を一部変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、共通部分の詳細説明を適宜省略する。
【0030】
図4図5に示すヒートシンクBは、一方の面を電子部品接触面41とした板状のベース部40と、このベース部40の他方の面42から離間して該他方の面に対向するとともに所定間隔を置いて複数配設された放熱片50と、ベース部40に立設されて複数の放熱片50を支持する複数の支柱部60とを備え、各放熱片50のベース部側の空間を側方の外部空間S1に連通する第一の通気路v1にするとともに、この第一の通気路v1を、各放熱片50に形成した開口部a内の内部空間S2(第二の通気路v2)にも連通している。
このヒートシンクBは、上記ヒートシンクAと略同材質の材料から形成され、電子部品接触面41を電子部品Xに接触させて電子部品パッケージを構成する。
【0031】
ベース部40は、矩形平板状(図示例によれば平面視正方形状)に形成され、その厚み方向の一方(図示例によれば下側)の面を、平坦状に形成して電子部品Xに接触させるための電子部品接触面41としている。
このベース部40の他方(反対側)の面42は、図示例によれば、貫通孔や凹凸のない平坦状に形成される。この面42おける角側には、後述する支柱部60の下端部が固着される。
【0032】
各放熱片50は、ベース部40よりも一回りほど小さい輪郭の四角形平板状に形成され、その平面視中央側に四角形状の開口部aを有し、各角部を、支柱部60を嵌合するための被嵌合部52としている。
【0033】
支柱部60は、円柱状に形成され、その一端部をベース部40の他方の面42における角側に固定して、ベース部40に対し略垂直に立設される。
この支柱部60における立設方向の途中箇所には、所定間隔を置いた複数の嵌合部61が設けられる。各嵌合部61は、放熱片50の各被嵌合部52の輪郭に沿う凹状に形成され、被嵌合部52に嵌合して固着される。
【0034】
なお、支柱部60の他例としては、角柱状等、円柱状以外の形状とすることも可能である。
また、被嵌合部52と嵌合部61との凹凸関係は図示と逆にしてもよい。すなわち、被嵌合部52を凹部とし、嵌合部61を凸部にすることも可能である。
また、ベース部40と支柱部60とを固着する手段、及び各被嵌合部52と各嵌合部61を固着する手段は、圧入、溶接、接着、ねじ止め等とすることが可能である。
【0035】
上記構成のヒートシンクBによれば、上記ヒートシンクAと略同様に、第一の通気路v1及び第二の通気路v2に沿って連続する気流を形成し、効率的な熱交換を行うことができる。しかも、各放熱片50がベース部40から側方へ突出しないため、省スペースな構成にすることができる。
【0036】
<第三の実施態様>
図6図7に示すヒートシンクCは、おおまかには、上記ヒートシンクAにおけるベース部と各支柱部とを一体化したものである。
詳細に説明すれば、このヒートシンクCは、一方の面を電子部品接触面11’とした板状のベース部10’と、このベース部10’の他方の面12’から離間して該他方の面12’に対向するとともに間隔を置いて複数配設された放熱片20と、ベース部10’に立設されて複数の放熱片20を支持する複数の支柱部30’とを備え、各放熱片20のベース部側の空間を側方の外部空間S1に連通する第一の通気路v1にするとともに、この第一の通気路v1を、各放熱片20に形成した開口部a内の内部空間S2(第二の通気路v2)にも連通している。
【0037】
ベース部10’及び複数の支柱部30’は、図8に示すように、平板状原材Mを曲げ加工することで一体に構成される。
【0038】
平板状原材Mは、多角形状(図示例によれば四角形状)の平板部m1と、この平板部m1の端部(図示例によれば複数の角部)からそれぞれ平面方向へ突出する複数の突片部m2とを有する。
突片部m2は、上記支柱部30と同様に、長尺な略帯板状に形成され、その両側縁に所定間隔置きに凹部を有し、これら両側の凹部を、放熱片20角側の被嵌合部22に嵌り合って固着する嵌合部32としている。
【0039】
複数の突片部m2は、図8(a)~(c)に示すように、平板部m1に対し略直角に折り曲げられる。そして、これら突片部m2は、前記折り曲げの過程で複数の放熱片20に嵌り合い、支柱部30’を構成する。
また、平板部m1は、複数の突片部m2(支柱部30’)の下端側に位置して、ベース部10’を構成する。
【0040】
上記構成のヒートシンクCによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、側方の外部空間S1から第一の通気路v1を通って内部空間S2に流通し、さらに内部空間S2の第二の通気路v2に沿って上昇する連続的な気流を形成して、効率的な熱交換を行うことができる。その上、各放熱片20がベース部10’の側方へ突出しないため、省スペースな構造を得ることができる。
しかも、支柱部30’とベース部10’の接続強度が十分に得られる上、生産性も良好である。
【0041】
<第四の実施態様>
図9図10に示すヒートシンクDは、一方の面を電子部品接触面71aとした板状のベース部71と、このベース部71の他方の面71bから離間して該他方の面71bに対向するとともに所定間隔を置いて複数配設された放熱片72と、ベース部71に立設されて複数の放熱片72を支持する支柱部73と、各放熱片72をベース部側から支持して各放熱片72のベース部側の空間を確保する環状のスペーサ74とを備える。
【0042】
ベース部71は、矩形平板状に形成され、角側の四か所に、支柱部73を挿通して支持する支持孔71cを有する。この支持孔71cの電子部品接触面71a側には、座ぐり加工が施されている。
【0043】
放熱片72は、ベース部71と略同じ輪郭の矩形平板状に形成され、その平面視中央側に開口部aを有し、角側の四ケ所に、それぞれ、支柱部73を挿通して係止するための係止孔72bを有する。
【0044】
支柱部73は、頭部73a及びネジ部73bを有するボルト又はネジであり、ネジ部73bを、ベース部71及び複数の放熱片72の各角側に挿通している。
この支柱部73の頭部73aは、ベース部71における支持孔71cの座ぐり加工部分に埋没され、電子部品接触面71aから突出しない。
この支柱部73のネジ部73bには、ナット状部材73cが螺合され締め付けられている。
【0045】
スペーサ74は、各支柱部73に環状に装着される円筒状の部材である。
このスペーサ74は、ベース部71と該ベース部71に対向する放熱片72との間、および隣接する二つの放熱片72,72の間に挟まれるようにして配設され、これらの間に第一の通気路v1となる空間を確保する。
【0046】
よって、上記構成のヒートシンクDによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、側方の外部空間S1から第一の通気路v1を通って内部空間S2に侵入し、さらに内部空間S2の第二の通気路v2に沿って上昇する連続的な気流を形成して、効率的な熱交換を行うことができる。その上、例えば、支柱部73を長くし、放熱片72及びスペーサ74等を増設すれば、各放熱片72がベース部71の側方へ突出しない省スペースな形状により、放熱能力を容易に増大することがき、生産性も良好である。
<第五の実施態様>
図11図12に示すヒートシンクEは、一方の面を電子部品接触面81aとした板状のベース部81と、このベース部81の他方の面81bから離間して該他方の面81bに対向するとともに所定間隔を置いて複数配設された放熱片82,83,84と、ベース部81の角側にそれぞれに立設されて複数の放熱片82,83,84を支持する支柱部85とを備える。
【0047】
ベース部81は、矩形平板状に形成され、その角側の四か所に、支柱部83を立設し固着している。この固着手段は、溶接や、接着、圧入嵌合、ねじ止め等とすることが可能である。
【0048】
放熱片82,83,84は、それぞれ、ベース部81と略同じ輪郭の矩形平板状に形成され、その平面視中央側に開口部aを有する。
最もベース部81寄りの放熱片82は、その四角側の各々に、係止孔82cを有する。
ベース部81側から遠ざかった二つ目の放熱片83は、その四角側の各々に、係止孔82cよりも小さい径の係止孔83cを有する。
同様に、ベース部81側からさらに遠ざかった三つ目の放熱片84は、その四角側の各々に、係止孔83cよりも小さい径の係止孔84cを有する。
すなわち、複数の放熱片82,83,84は、ベース部81から遠いものほど、係止孔82c,83c,84cの内径が小さい。
【0049】
また、各支柱部85の側面(図示例によれば外周面)には、複数の放熱片82,83,84に対応するように間隔を置いた複数の段部85a,85b,85cが設けられる。
詳細に説明すれば、この支柱部85は、ベース部81から遠ざかる方向(図示例によれば上方)へ向かって断面積を段階的に縮小する段付き円柱状に形成される。
そして、この支柱部85は、一段目の段部85aよりも上側の部分を放熱片82の係止孔82cに挿通するとともに、該段部85aによって係止孔82cの内縁を受けている。
同様に、支柱部85は、二段目の段部85bよりも上側の部分を放熱片83の係止孔83cに挿通するとともに、該段部85bによって係止孔83cの内縁を受け、さらに、三段目の段部85cよりも上側の部分を放熱片84の係止孔84cに挿通するとともに、該段部85cによって係止孔84cの内縁を受けている。
【0050】
そして、各支柱部85は、放熱片82,83,84に対し、圧入、溶接、接着等によって固着されている。
【0051】
よって、上記構成のヒートシンクEによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、側方の外部空間S1から第一の通気路v1を通って内部空間S2へ向かい、さらに内部空間S2の第二の通気路v2に沿って上昇する連続的な気流を形成して、効率的な熱交換を行うことができる。その上、スペーサ等を要さない簡素な構造によって、放熱片ベース部81、放熱片82,83,84の間隔を一定に保持することができ、生産性も良好である。
しかも、放熱能力を増大する場合には、支柱部85を長くして段数を増加するとともに、その段部に対応して放熱片を増やせばよいので、ベース部81の側方へ突出部分のない省スペースな形状にすることができる。
【0052】
なお、図11に示す一例によれば、各支柱部85の先端側が放熱片84から突出しているが、この突出部分は当該ヒートシンクEの完成後に切断するようにしてもよい。また、他例としては、前記突出部分をカシメ加工して放熱片84を固定する態様や、前記突出部分にナット状部材を螺合して放熱片84を固定する態様等とすることも可能である。
【0053】
<第六の実施態様>
図13図15に示すヒートシンクFは、一方の面を電子部品接触面91aとした板状のベース部91と、このベース部91の他方の面91bから離間して該他方の面91bに対向するとともに所定間隔を置いて複数配設された放熱片92と、放熱片92毎に該放熱片92のベース部側に設けられた支柱部93と具備する。
【0054】
ベース部91は、矩形平板状に形成され、角側の四か所に、支柱部93の端部側を嵌合し支持する嵌合孔91cを有する。
【0055】
各放熱片92は、ベース部91と略同じ厚みを有し且つ略同じ輪郭の矩形平板状に形成され、その平面視中央側に開口部aを有し、角側の四ケ所に、それぞれ、厚み方向の両側から支柱部93の端部側を嵌合するための嵌合孔92bを有する。
【0056】
各支柱部93は、円柱状の支柱本体93aと、該支柱本体93aの両端からそれぞれ突出する二つの嵌合突起93b,93bとから一体に形成される。
【0057】
嵌合突起93bは、支柱本体93aよりも小径の円柱状であって、放熱片92の厚みの1/2以下の突出高さに形成される。
【0058】
最もベース部91寄りに位置する支柱部93は、図15に示すように、一端側の嵌合突起93bを、ベース部91の嵌合孔91cに嵌め合わせるとともに、他端側の嵌合突起93bを、ベース部91に対向する放熱片92の嵌合孔92bに嵌め合わせて、これらベース部91と放熱片92を連結している。
【0059】
また、隣接する二つの放熱片92の間において、支柱部93は、一端側の嵌合突起93bを、一方の放熱片92の嵌合孔92bに嵌め合わせるとともに、他端側の嵌合突起93bを、他方の放熱片92の嵌合孔92bに嵌め合わせて、これら二つの放熱片92,92を連結している。
なお、前記嵌合箇所は、圧入、溶接、接着等によって固着されている。
【0060】
よって、上記構成のヒートシンクFによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、側方の外部空間S1から第一の通気路v1を通って内部空間S2に侵入し、さらに内部空間S2の第二の通気路v2に沿って上昇する連続的な気流を形成して、効率的な熱交換を行うことができる。
しかも、放熱能力を増大する場合には、放熱片92とそのベース部側の支柱部93を、ベース部91から遠ざかる方向(図示例によれば上方)へ積み重ねて行けばよいので、ベース部91の側方へ突出物のない省スペースな形状にすることができる上、生産性も良好である。
【0061】
なお、上記構成のヒートシンクFでは、一つの放熱片92と、そのベース部側の複数の支柱部93とによって、予め一体的な放熱ユニットを構成するようにしてもよい。
このようにすれば、ベース部91の上方に前記放熱ユニットを順次に積み重ねるようにしてヒートシンクFを組み立てることができる。また、放熱能力を増大する場合には、積み重ねる前記放熱ユニットの数を上方へ増やせばよいので、対応が容易な上、省スペースな構成にすることができる。
【0062】
<第七の実施態様>
図16図17に示すヒートシンクGは、一方の面を電子部品接触面101とした板状のベース部100と、このベース部100の他方の面102から離間して該他方の面102に対向する放熱片110と、ベース部100に立設されて放熱片110を支持する支柱部120とを備え、上述した他の実施態様と同様に、第一の通気路v1及び第二の通気路v2を形成している。
【0063】
ベース部100と支柱部120は、図17に示すように、矩形状の平板部n1と該平板部n1の端部(四角)から突出する突片部n2とを有する平板状原材Nについて、突片部n2を平板部n1に対し略直角に折り曲げることで、一体的に構成される。
支柱部120となる突片部n2は、帯板状に形成され、その突端側に、幅寸法を狭めるようにして段部121が形成される。
【0064】
放熱片110は、ベース部100の面に沿う矩形平板状に形成され、その中央側に第二の通気路v2を確保する開口部aを有し、四つの角側にそれぞれ貫通状の係止孔112を有する。
各係止孔112は、図17に示すように、各支柱部120の突端側に環状に装着され、その内縁部が段部121によって受けられる。各支柱部120の突端側は、係止孔112に挿通された後に、放熱片110の角側に固定される。
なお、放熱片110を支柱部120に固定する手段は、溶接や、圧入、接着等とする。
【0065】
よって、図16に示すヒートシンクGによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、比較的低温な側方の外部空間S1の空気を、連続する第一の通気路v1及び第二の通気路v2に流通させて、効率的に熱交換を行うことができる。しかも、ベース部100と各支柱部120、及び各支柱部120と放熱片110の接続強度を十分に得ることができ、生産性も良好である。その上、ベース部100の側方へ突出する部分のない省スペースな構成にすることができる。
【0066】
なお、上記ヒートシンクGによれば、単数の放熱片110を有する構成としたが、他例としては、各支柱部120の突端側を延長して、この延長部分にも他の放熱片110を係止するようにしてもよい。
【0067】
<第八の実施態様>
図18図19に示すヒートシンクHは、一方の面を電子部品接触面131とした板状のベース部130と、このベース部130の他方の面132から離間して該他方の面132に対向する単数又は複数の放熱片140と、ベース部130に立設されて放熱片140を支持する支柱部150とを備え、上述した他の実施態様と同様に、第一の通気路v1及び第二の通気路v2を形成している。
【0068】
このヒートシンクHは、図20に示す平板状部材Pを曲げ加工することで構成される。
平板状部材Pは、ベース部130となる矩形平板状の平板部p1と、この平板部p1の端側の各辺部から、平板部p1の面に沿う方向へ突出する突片部p2とを有する。そして、各突片部p2には、放熱片14を形成するための単数又は複数の凹状貫通孔p22が設けられる。
【0069】
このヒートシンクHの製造方法について説明すれば、図20に示すように、上記構成の平板状部材Pについて、各突片部p2に対しその一部分(詳細には凹状貫通孔p22の内側部分)が折り曲げられて放熱片140を構成し、平板部p1に対し各突片部p2が折り曲げられて放熱片140を支持する支柱部150を構成する。
【0070】
そして、ベース部130と対向する放熱片140の間、および隣接する二つの放熱片140の間には、側方の外部空間S1から内部空間S2へ連通する第一の通気路v1が形成される。
また、四辺側に位置する四つの放熱片140は、これらの内縁部により形成される開口部aの内側の内部空間S2を、上方の外部空間S1へ連通する第二の通気路v2にする。開口部aは、ベース部130の中央側に対応して位置している。
【0071】
よって、図18に示すヒートシンクHによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、比較的低温な側方の外部空間S1の空気を、連続する第一の通気路v1及び第二の通気路v2に流通させて、効率的に熱交換を行うことができる。しかも、ベース部130と各支柱部150、及び各支柱部150と放熱片140の接続強度を十分に得ることができ、生産性も良好である。その上、ベース部130の側方へ突出する部分のない省スペースな構成にすることができる。
【0072】
<第九の実施態様>
図21図23に示すヒートシンクIは、一方の面を電子部品接触面161とした板状のベース部160と、このベース部160の他方の面162から離間して該他方の面162に対向する放熱片170と、ベース部160に立設されて放熱片170を支持する支柱部180とを備え、上述した他の実施態様と同様に、第一の通気路v1及び第二の通気路v2を形成している。
【0073】
ベース部160は、矩形平板状に形成され、その四角側の各々に、プレス加工等の塑性加工によって形成された凸部163(図22参照)を有する。
【0074】
放熱片170は、ベース部160の面に対向して略平行する平板状に形成され、その中央側に第二の通気路v2を確保する開口部aを有する。
【0075】
支柱部180は、放熱片170の各角側に一体に構成される。
詳細に説明すれば、この支柱部180は、平板状の放熱片170の角側部分に対し、塑性加工(例えばプレス加工等)を施すことで、該部分をベース部側へ突出させたものであり、図22に示す一例によれば、有底筒状に形成され、その底壁部に、凸部163に嵌り合う貫通状の係止孔181を有する。
係止孔181は、前記塑性加工の工程中で打ち抜かれた孔としてもよいし、前記塑性加工の後に別加工によって設けられた孔としてもよい。
【0076】
ヒートシンクIは、図23に示すように、ベース部160上に放熱片170を積み上げるようにして組み立てられ、この際、各凸部163が各係止孔181に挿入され、各凸部163の突端部分がかしめ加工等により係止孔181の内径よりも大きい外径の円盤状に潰されることで、各支柱部180がベース部160に固定される。なお、この固定手段の他例としては、圧入や、溶接、接着等とすることも可能である。
【0077】
よって、図21に示すヒートシンクIによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、比較的低温な側方の外部空間S1の空気を、連続する第一の通気路v1及び第二の通気路v2に流通させて、効率的に熱交換を行うことができる。しかも、ベース部160と各支柱部180、各支柱部180と放熱片170の接続強度を十分に得ることができ、生産性も良好である。その上、ベース部160の側方へ突出する部分のない省スペースな構成にすることができる。
【0078】
なお、上記ヒートシンクIによれば、単数の放熱片170を有する構成としたが、他例としては、放熱片170の上側にさらに他の支柱部及び放熱片を接続した態様とすることも可能である。
【0079】
<第十の実施態様>
図24図25に示すヒートシンクJは、一方の面を電子部品接触面191とした板状のベース部190と、このベース部190の他方の面192から離間して該他方の面192に対向する単数又は複数の放熱片210と、ベース部190に立設されて放熱片210を支持する支柱部220とを備え、上述した他の実施態様と同様に、第一の通気路v1及び第二の通気路v2を形成している。
【0080】
このヒートシンクJは、図25に示す平板状部材Qを曲げ加工することで構成される。
平板状部材Qは、ベース部190となる矩形平板状の平板部q1と、この平板部q1の端側の各辺部から、平板部q1の面に沿う方向へ突出する突片部q2とを有する。そして、各突片部q2には、第一の通気路v1となる単数又は複数の貫通孔q22が設けられる。
【0081】
このヒートシンクJの製造方法について説明すれば、図25に示すように、上記構成の平板状部材Qについて、各突片部q2に対しその一部分(詳細には貫通孔q22よりも突端側の部分)が折り曲げられて放熱片210を構成し、平板部q1に対し各突片部q2が折り曲げられて放熱片210を支持する支柱部220を構成する。
【0082】
そして、ベース部190と、対向する各放熱片210との間には、側方の外部空間S1から内部空間S2へ連通する第一の通気路v1が形成される(図24参照)。
また、四辺側に位置する四つの放熱片210は、これらの内縁部により形成される開口部aの内側の内部空間S2を、上方の外部空間S1へ連通する第二の通気路v2にする。開口部aは、ベース部190の中央側に対応して位置している。
【0083】
よって、図24に示すヒートシンクJによれば、先に説明したヒートシンクと略同様に、比較的低温な側方の外部空間S1の空気を、連続する第一の通気路v1及び第二の通気路v2に流通させて、効率的に熱交換を行うことができる。しかも、ベース部190と支柱部220、及び支柱部220と放熱片210等の接続強度を十分に得ることができ、生産性も良好である。その上、ベース部190の側方へ突出する部分のない省スペースな構成にすることができる。
【0084】
<他の変形例>
上記実施の形態のベース部及び放熱片は、図示する好ましい一例によれば、平面視四角形状に形成したが、他例としては、四角形以外の多角形状や、円形状、楕円形状等、四角形以外の形状とすることも可能である。
【0085】
また、上記実施の形態では、特に好ましい態様として、ベース部を下側へ向けて用いるようにしたが(図3参照)、他例としては、ベース部を側方へ向けて用いることも可能である。
【0086】
また、上記実施の形態では、特に好ましい態様として、各放熱片の略中央側に単数の開口部aを設けるようにしたが、他例としては、この開口部aを各放熱片の中央からずれた位置に設けたり、この開口部aを複数設けたりすることも可能である。
例えば、図13に二点鎖線で示すように、上記ヒートシンクFにおいて、各放熱片92の各辺側に、開口部aとは別の開口部bを追加するようにしてもよい。この態様では、開口部bによってベース部91上方側の空気流量を増大し、いっそう放熱性の向上をはかることができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、特に放熱性能の良好な態様として、上記放熱片を複数設けるようにしたが、他例としては、上記放熱片を単数とした態様とすることも可能である。
【0088】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
10,40,71,81,91,160:ベース部
20,50,72,82,83,84,92,110,140,170:放熱片
30,60,73,85,93,150,180,220:支柱部
85a,85b,85c,121:段部
74:スペーサ
S1:外部空間
S2:内部空間
a,b:開口部
m1(10’),n1(100),p1(130),q1(190);平板部
m2(30’),n2(120),p2,q2(210):突片部
v1:第一の通気路
v2:第二の通気路
A~J:ヒートシンク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図19
図20
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図25