(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220210BHJP
B65B 51/16 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B51/16
(21)【出願番号】P 2018095957
(22)【出願日】2018-05-18
【審査請求日】2020-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-010706(JP,U)
【文献】特開平11-183153(JP,A)
【文献】特開2014-196944(JP,A)
【文献】特開平10-315129(JP,A)
【文献】特開2002-277227(JP,A)
【文献】特開平05-254693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/00-51/32
G01B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な第1シーラーと、
前記第1シーラーの回転軸と平行な回転軸回りに回転可能であり、前記第1シーラーと並列に設けられ、前記第1シーラーに対して接離可能に設けられる第2シーラーと、
前記第2シーラーの変位を検出する変位検出装置と、を備え、前記第1シーラーと前記第2シーラーとの間にフィルムを挟み込んでそのフィルムをシールするシール装置であって、
前記シール装置が、前記第2シーラー
を支持する可動部材を備え、
前記可動部材が前記第1シーラー及び前記第2シーラーの回転軸と平行な支点の回りに揺動可能に設けられ、前記可動部材が前記支点から、前記第1シーラー及び前記第2シーラーに関して前記支点の反対側まで設けられ、
前記第2シーラーが、前記支点の反対側の前記可動部材の端部と前記支点との間において前記可動部材に回転可能に取り付けられ、
前記変位検出装置が、
前記第1シーラー及び前記第2シーラーに関して前記支点の反対側に設けれ、前記支点の反対側の前記可動部材の端部よりも前記第1シーラー及び前記第2シーラーの近くにおいて前記可動部材に向けてエアを噴出するエアノズルを有し、
前記第2シーラーが前記第1シーラーから離れる動作に伴って前記可動部材が前記エアノズルから離れる方向に揺動し、前記第2シーラーが前記第1シーラーに近づく動作に伴って前記可動部材が前記エアノズルに近づく方向に揺動し、
前記変位検出装置が、
前記エアノズルに一定圧のエアを供給するレギュレーターと、
前記レギュレーターと前記エアノズルの間に設けられ、前記レギュレーターから前記エアノズルに供給されるエアの流量を検出する流量センサーと、
前記エアノズルから前記流量センサーまで設けられ、前記流量センサーから前記エアノズルにエアを送る配管と、
を有し、
前記配管が前記エアノズルから前記流量センサーまで設けられることによって前記流量センサー及び前記レギュレーターが前記第1シーラー及び前記第2シーラーから離れて設置されているシール装置。
【請求項2】
前記流量センサーによって検出される流量に基づいて、前記第1シーラーと前記第2シーラーとの間にフィルムとともに異物を挟み込んだか否かを判定する制御部を
更に備える請求項1に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1シーラーに対して接離可能に設けられた第2シーラーの変位を検出する変位検出装置を備えるシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ピロー包装装置では、搬送される帯状フィルムが製袋器によって筒状に丸められることによって物品がフィルムに包み込まれた後、そのフィルムの縦綴じ目がセンターシール装置によって連続的にシールされ、更に下流のエンドシール装置によってフィルムの横綴じ目が周期的にシールされる。
【0003】
ところで、フィルムの縦綴じ目又は横綴じ目のシールの際に、異物が縦綴じ目又は横綴じ目に浸入することがある。このような場合、完成した包装物を不良品として除外する必要がある。そこで、異物検出装置を搭載したシール装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような異物検出装置としては、特許文献1のように電気的接点を用いたものや、光学センサーを用いたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール装置及び異物検出装置は、熱、振動、封入ガス、オイル又は異物等を要因とした高負荷環境に曝される。異物検出装置の電気的接点又は光学センサーは高負荷環境によってダメージを受けてしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は高負荷環境によるダメージを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、回転可能な第1シーラーと、前記第1シーラーの回転軸と平行な回転軸回りに回転可能であり、前記第1シーラーと並列に設けられ、前記第1シーラーに対して接離可能に設けられる第2シーラーと、前記第2シーラーの変位を検出する変位検出装置と、を備え、前記第1シーラーと前記第2シーラーとの間にフィルムを挟み込んでそのフィルムをシールするシール装置であって、前記シール装置が、前記第2シーラーを支持する可動部材を備え、前記可動部材が前記第1シーラー及び前記第2シーラーの回転軸と平行な支点の回りに揺動可能に設けられ、前記可動部材が前記支点から、前記第1シーラー及び前記第2シーラーに関して前記支点の反対側まで設けられ、前記第2シーラーが、前記支点の反対側の前記可動部材の端部と前記支点との間において前記可動部材に回転可能に取り付けられ、前記変位検出装置が、前記第1シーラー及び前記第2シーラーに関して前記支点の反対側に設けれ、前記支点の反対側の前記可動部材の端部よりも前記第1シーラー及び前記第2シーラーの近くにおいて前記可動部材に向けてエアを噴出するエアノズルを有し、前記第2シーラーが前記第1シーラーから離れる動作に伴って前記可動部材が前記エアノズルから離れる方向に揺動し、前記第2シーラーが前記第1シーラーに近づく動作に伴って前記可動部材が前記エアノズルに近づく方向に揺動し、前記変位検出装置が、前記エアノズルに一定圧のエアを供給するレギュレーターと、前記レギュレーターと前記エアノズルの間に設けられ、前記レギュレーターから前記エアノズルに供給されるエアの流量を検出する流量センサーと、前記エアノズルから前記流量センサーまで設けられ、前記流量センサーから前記エアノズルにエアを送る配管と、を有し、前記配管が前記エアノズルから前記流量センサーまで設けられることによって前記流量センサー及び前記レギュレーターが前記第1シーラー及び前記第2シーラーから離れて設置されている。
【0008】
以上によれば、第2シーラーが第1シーラーから離れると、可動部材もエアノズルから離れるので、エアノズルから噴出されるエアの流量が増加する。一方、第2シーラーが第1シーラーに近づくと、可動部材もエアノズルに近づくので、エアノズルから噴出されるエアの流量が減少する。よって、流量センサーによって検出される流量は第2シーラーの変位や、第1シーラーと第2シーラーの間の間隔に換算できる。
また、異物がエアノズルの近傍に浸入しても、エアノズルから噴出されるエアによって異物が吹き飛ばされる。異物は検出精度に悪影響を及ぼさない。
また、流量センサー及びレギュレーターを第1シーラー及び第2シーラーから離して設置することができ、流量センサー及びレギュレーターは第1シーラー及び第2シーラーの周辺環境、つまり熱、振動、封入ガス、オイル又は異物等を要因とした高負荷環境に曝されない。よって、流量センサー及びレギュレーターは高負荷環境によるダメージを受けない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施態様によれば、流量センサー及びレギュレーターは高負荷環境によるダメージを受けない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】他の実施形態のエンドシール装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1に示すように、このピロー包装装置1は、物品3をフィルム4により順次包装することによって、包装物2を順次作製する装置である。ピロー包装装置1は、フィルム供給機10、製袋器18、物品供給機20、搬送台28、センターシール装置40、ベルトコンベヤ30、エンドシール装置60及び搬出ベルトコンベヤ35を備える。このピロー包装装置1では、物品3及び包装物2が後ろから前に向かって搬送される。そのため、搬送される物品3及び包装物2の流れの上流が後方であり、下流が前方である。
【0013】
製袋器18の上流側に物品供給機20及び搬送台28が設けられている。製袋器18の下流側にセンターシール装置40が設けられている。センターシール装置40の下流側にベルトコンベヤ30が設けられている。ベルトコンベヤ30の下流側に搬出ベルトコンベヤ35が設けられている。ベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35との間にエンドシール装置60が設けられている。製袋器18の上方にフィルム供給機10が設けられている。
【0014】
フィルム供給機10は原反ロール11、フィードローラ12及びモーター13を備える。原反ロール11には、帯状のフィルム4が巻回されている。原反ロール11は製袋器18の上方にセッティングされている。フィードローラ12は製袋器18の斜め上において水平に設けられている。原反ロール11から繰り出されたフィルム4はフィードローラ12を経由して製袋器18に案内される。モーター13がフィードローラ12を回転駆動すると、フィルム4が原反ロール11から引き出される。これにより、フィルム供給機10がフィルム4を製袋器18に連続的に供給する。なお、原反ロール11がモーターによって駆動されることによって、原反ロール11からフィルム4が繰り出されてもよい。
【0015】
搬送台28はその上面が水平に設けられている。搬送台28上の物品3が物品供給機20によって所定間隔で製袋器18に供給される。
【0016】
物品供給機20は押送コンベヤである。物品供給機20は第1スプロケット21、第2スプロケット(図示略)、無端チェーン22、複数の押送部材23及びモータを備える。第1スプロケット21は搬送台28及び製袋器18の下に配置されている。第2スプロケットは第1スプロケット21よりも上流側且つ搬送台28の下に配置されている。無端チェーン22は第1スプロケット21及び第2スプロケットに掛け渡されている。押送部材23は無端チェーン22に所定間隔で取り付けられている。第1スプロケット21がモーターによって回転駆動されると、無端チェーン22が周回する。無端チェーン22の周回によって、押送部材23が搬送台28の上へ突出した状態で第2スプロケットから第1スプロケット21に向かって移動する。そのため、搬送台28上の物品3はその後ろから押送部材23によって前へ押されて送られる。
【0017】
フィルム供給機10によって供給されるフィルム4が製袋器18を下流へ通過する際に、フィルム4の両側部5(以下、縦綴じ目5という。)が製袋器18によって下方に曲げられて、フィルム4が製袋器18によって筒状に丸められる。フィルム4が筒状に丸められることによって、製袋器18に供給された物品3がフィルム4に包み込まれる。
【0018】
筒状フィルム4内の物品3はフィルム4とともにセンターシール装置40の上を前に搬送される。縦綴じ目5は、物品3の下から垂下した状態でセンターシール装置40を前に通過するが、その際センターシール装置40によって連続的にシールされる。センターシール装置40の詳細については後述する。
【0019】
シールされた縦綴じ目5は、センターシール装置40からベルトコンベヤ30に搬送される際に、筒状のフィルム4の下面に接するように折り畳まれる。筒状のフィルム4及びその内側の物品3がベルトコンベヤ30によって前に搬送される。ベルトコンベヤ30の前端まで搬送されたフィルム4及び物品3はベルトコンベヤ30から搬出ベルトコンベヤ35に載せ換えられる。ベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35との間にエンドシール装置60が設けられており、筒状のフィルム4がエンドシール装置60によって周期的にシールされるとともに切断される。エンドシール装置60がフィルム4のシール及び切断をするタイミングは、物品3がエンドシール装置60を通過してから次の物品3がエンドシール装置60を通過するまでの間である。エンドシール装置60の詳細については後述する。
【0020】
続いて、
図2及び
図3を参照して、センターシール装置40について詳細に説明する。
図2はセンターシール装置40の平面図であり、
図3は変位検出装置50,70を制御部55とともに示したブロック図である。
【0021】
図2及び
図3に示すようにセンターシール装置40は機枠41、第1シーラー42、第2シーラー43、可動レバー(可動部材)44、エアシリンダー45、固定ブラケット46、調整機構47、マイクロメーター48、変位検出装置50及び制御部55を備える。
【0022】
制御部55は制御回路等からなる。制御部55はピロー包装装置1全体の制御回路も兼ねている。
機枠41は製袋器18の下流側に設けられている。
機枠41には第1シーラー42が回転可能に取り付けられている。第1シーラー42は円柱状のローラーであり、第1シーラー42の回転軸が上下方向に延在する。この第1シーラー42の左側には第2シーラー43が配置されており、第1シーラー42と第2シーラー43が互いに平行に並列されている。この第2シーラー43はY字型の可動レバー44に回転可能に取り付けられている。第2シーラー43は円筒状のローラーであり、第2シーラー43の回転軸が上下方向に延在する。可動レバー44が揺動可能に機枠41に連結されている。可動レバー44が右に揺動すると第2シーラー43が第1シーラー42に近接し、可動レバー44が左に揺動すると第2シーラー43が第1シーラー42から離間する。フィルム4の縦綴じ目5が第1シーラー42と第2シーラー43との間に挟み込まれた状態で下流へ通過する際に、その縦綴じ目5がシーラー42,43によってシールされる。ここで、フィルム4に予め接着層が形成されている場合には、縦綴じ目5が接着層によってシールされる。一方、シーラー42,43にヒーターが設けられている場合には、縦綴じ目5がシーラー42,43によって熱圧着される。なお、第1シーラー42及び第2シーラー43は従動式であってもよいし、駆動式であってもよい。従動式とは、縦綴じ目5に従動して第1シーラー42及び第2シーラー43が回転することをいう。駆動式とは、第1シーラー42及び第2シーラー43がモーター等によって回転駆動されることをいう。
【0023】
可動レバー44はレバー本体部44a、第1アーム部44d及び第2アーム部44eを有する。レバー本体部44aの基端部44bが第1シーラー42及び第2シーラー43の上流側で機枠41に回転可能に連結されており、これにより可動レバー44及びそのレバー本体部44aが基端部44bを支点として左右に揺動可能に設けられている。レバー本体部44aの他端部44cには上述のように第2シーラー43が回転可能に取り付けられている。第1アーム部44d及び第2アーム部44eがレバー本体部44aの他端部44cから第2シーラー43の径方向に延設されることによって、これらレバー本体部44aと第1アーム部44dと第2アーム部44eが共同にY字型を形作る。
【0024】
第1アーム部44dの近傍においてエアシリンダー45が機枠41に取り付けられている。このエアシリンダー45は可動レバー44が右に揺動する方向に第1アーム部44dを付勢する。これにより、フィルム4の縦綴じ目5が第1シーラー42と第2シーラー43との間に挟み込まれて、その縦綴じ目5を挟み込む荷重が発生する。エアシリンダー45には、電空レギュレーター(圧力調整弁)を介して空気圧が供給される。この電空レギュレーターがエアシリンダー45への供給圧を一定に維持するように調整するため、縦綴じ目5を挟み込む荷重が一定である。
【0025】
第2アーム部44eの右側において固定ブラケット46が機枠41に固定されており、可動レバー44の揺動により第2アーム部44eが固定ブラケット46に対して接離する。第2アーム部44eには、第2アーム部44eと固定ブラケット46の間隔を調整するための調整機構47が設けられているとともに、その間隔を計測するためのマイクロメーター48が設けられている。調整機構47が調整ねじ47aを有し、その調整ねじ47aが第2アーム部44eを貫通するようにして第2アーム部44eに螺合し、その調整ねじ47aの先端が固定ブラケット46に突き当てられている。
【0026】
作業者はピロー包装装置1の稼働前に第2アーム部44eと固定ブラケット46の間隔を調整機構47によって調整しつつ、その間隔をマイクロメーター48によって計測できる。作業者が調整ねじ47aの回転によって調整ねじ47aを固定ブラケット46の方へ突き出すと、第2アーム部44eと固定ブラケット46の間隔が広がる。これにより、第1シーラー42と第2シーラー43の間隔が広がるため、厚い縦綴じ目5のシールに適する。一方、作業者が調整ねじ47aの逆回転によって調整ねじ47aを第2アーム部44eの雄ねじに引き込むと、第2アーム部44eと固定ブラケット46の間隔が狭まる。第1シーラー42と第2シーラー43の間隔が狭まるため、薄い縦綴じ目5のシールに適する。
【0027】
変位検出装置50は第2シーラー43の変位を検出する。変位検出装置50はエアノズル51、流量センサー52及びレギュレーター(圧力調整弁)53を有する。以下、エアノズル51、流量センサー52及びレギュレーター53について詳細に説明する。
【0028】
図2に示すように、エアノズル51は、その先端を第2アーム部44eに向けた状態で固定ブラケット46に取り付けられている。
図3に示すように、エアノズル51にはコンプレッサー54によってエアが供給される。コンプレッサー54からエアノズル51までの配管の中途部にはレギュレーター(電空レギュレーター)53及び流量センサー52が設けられている。流量センサー52からエアノズル51まで配管が設けられているため、レギュレーター53及び流量センサー52が第1シーラー42及び第2シーラー43から離れて設置されている。レギュレーター53は、エアノズル51への供給圧を一定に維持するよう調整する。流量センサー52は、レギュレーター53からエアノズル51に送られるエアの流量を検出して、検出流量を表す信号を制御部55に出力する。例えば、流量センサー52は2つの圧力センサーを有し、これら圧力センサーによって検出された圧力の差分は流量に換算できる。
【0029】
一定圧力のエアがレギュレーター53によってエアノズル51に供給されると、そのエアがエアノズル51の先端から第2アーム部44eに向けて噴出される。ここで、第1シーラー42と第2シーラー43の間隔が広がると、エアノズル51の先端と第2アーム部44eとの間の隙間が広がるため、エアノズル51の先端から噴出されるエアの流量が増加する。一方、第1シーラー42と第2シーラー43の間隔が狭まると、エアノズル51の先端と第2アーム部44eとの間の隙間が狭まるため、エアノズル51の先端から噴出されるエアの流量が減少する。従って、流量センサー52によって検出されるエア流量は、エアノズル51の先端と第2アーム部44eの間の間隔に、強いては第2シーラー43の変位に換算できる。第2シーラー43が固定された第1シーラー42に対して接離するため、第2シーラー43の変位は第1シーラー42と第2シーラー43の間隔も表す。
【0030】
以上のように構成される変位検出装置50は、縦綴じ目5以外の異物が第1シーラー42と第2シーラー43との間に挟み込まれたことを検出する異物検出装置に利用される。つまり、異物が第1シーラー42と第2シーラー43との間に挟み込まれた場合には、流量センサー52による検出流量が所定閾値以上になり、これにより異物が検出される。一方、異物が第1シーラー42と第2シーラー43との間に挟み込まれない場合には、流量センサー52による検出流量が所定未満となり、異物が第1シーラー42と第2シーラー43との間に存在しないことが検出される。そのため、制御部55は流量センサー52によって検出される流量を所定閾値と比較することによって異物の有無を判定する。
【0031】
この変位検出装置50はエアノズル51を用いたものであるので、変位検出装置50の検出精度は異物の影響を受けにくい。これは、異物がエアノズル51の近傍に浸入しても、その異物がエアノズル51によって吹き飛ばされるためである。また、シーラー42,43の近傍はオイル及び封入用不活性ガスが存在し、高温であり、更に振動が発生するが、エアノズル51はこれらの悪影響を受けにくい。
一方、精密機器である流量センサー52及びレギュレーター53をシーラー42,43から離して設置することができる。それゆえ、シーラー42,43の周辺の熱、振動及び異物等は流量センサー52及びレギュレーター53にダメージを及ぼさない。
【0032】
続いて、
図3及び
図4を参照して、エンドシール装置60について詳細に説明する。
図4はエンドシール装置60の側面図である。
【0033】
エンドシール装置60は機枠61、第1シーラー62、第2シーラー63、可動レバー(可動部材)64、エアシリンダー65、固定ブラケット66、調整機構67、マイクロメーター68及び変位検出装置70を備える。
【0034】
機枠61はベルトコンベヤ30の下流側に設けられている。
第1シーラー62は回転シャフト62a、複数のシーラー本体部62b及び複数の受け刃62cを有する。回転シャフト62aは、水平となって回転可能に機枠61に取り付けられている。回転シャフト62aの周面には、シーラー本体部62bが周方向に等ピッチで設けられている。各シーラー本体部62bの先端面には凹所が形成されており、その凹所に受け刃62cが設けられている。
第2シーラー63は回転シャフト63a、複数のシーラー本体部63b及び複数の切断刃63cを有する。回転シャフト63aは第1シーラー62の回転シャフト62aの上方においてY字型の可動レバー64に回転可能に取り付けられており、回転シャフト63aと回転シャフト62aが互いに平行に設けられている。
可動レバー64は揺動可能に機枠61に連結されている。可動レバー64が下に揺動すると第2シーラー63が第1シーラー62に近接し、可動レバー64が上に揺動すると第2シーラー63が第1シーラー62から離間する。
【0035】
筒状のフィルム4が回転シャフト62a,63aの間を前方へ通過するが、回転シャフト62a,63aがモーター等によって回転駆動されることによってフィルム4が周期的にシーラー本体部62b,63bの間に挟み込まれてシールされるとともに、シールされた部分が受け刃62cと切断刃63cによって切断される。なお、フィルム4はシーラー本体部62b,63bに設けられたヒーターによって熱圧着されてもよいし、接着剤によってシールされてもよい。
【0036】
可動レバー64はレバー本体部64a、第1アーム部64d及び第2アーム部64eを有する。レバー本体部64aの基端部64bが第1シーラー62及び第2シーラー63の上流側で機枠61に回転可能に連結されており、これにより可動レバー64及びそのレバー本体部64aが基端部64bを支点として上下に揺動可能に設けられている。レバー本体部64aの他端部64cには上述のように第2シーラー63が回転可能に取り付けられている。第1アーム部64d及び第2アーム部64eがレバー本体部64aの他端部64cから第2シーラー63の径方向に延設されている。
【0037】
第2アーム部64eの下側において固定ブラケット66が機枠61に固定されており、可動レバー64の揺動により第2アーム部64eが固定ブラケット66に対して接離する。第2アーム部64eには、センターシール装置40の調整機構47及びマイクロメーター48とそれぞれ同様な調整機構67及びマイクロメーター68が設けられている。作業者が調整機構67の調整ねじ67aを回転することによって、回転シャフト62a,63aの間隔を初期設定することができる。
【0038】
第1アーム部64dの近傍においてエアシリンダー65が機枠61に取り付けられている。このエアシリンダー65は可動レバー64が下に揺動する方向に第1アーム部64dを付勢する。これにより、シーラー本体部62b,63bがフィルム4を挟み込む荷重が生じる。エアシリンダー65には、電空レギュレーター(圧力調整弁)を介して空気圧が供給される。このレギュレーターがエアシリンダー65への供給圧を一定に維持するように調整するため、フィルム4を挟み込む荷重が一定である。
【0039】
変位検出装置70はエアノズル71、流量センサー72及びレギュレーター73を有する。
エアノズル71は、その先端を第2アーム部64eに向けた状態で固定ブラケット66に取り付けられている。コンプレッサー54からエアノズル71までの配管の中途部にはレギュレーター73及び流量センサー72が設けられている。レギュレーター73はセンターシール装置40のレギュレーター53と同様であり、流量センサー72はセンターシール装置40の流量センサー72と同様である。第1シーラー62と第2シーラー63の間の間隔が広がると、エアノズル71の先端から噴出されるエアの流量が増加する。一方、第1シーラー62と第2シーラー63の間の間隔が狭まると、エアノズル71の先端から噴出されるエアの流量が減少する。従って、流量センサー72によって検出されるエア流量は、第2シーラー63の変位や、第1シーラー62と第2シーラー63の間の間隔に換算できる。
【0040】
フィルム4がシーラー本体部62b,63bの間に挟まれるタイミングに同期して、制御部55は流量センサー72の出力値つまり流量を所定閾値と比較することによって、シーラー本体部62b,63bの間の異物の有無を判定する。
【0041】
流量センサー72からエアノズル71まで配管が設けられているため、レギュレーター73及び流量センサー72が第1シーラー62及び第2シーラー63から離れて設置されている。それゆえ、変位検出装置70及びそれを用いた異物検出装置、特にそれらの流量センサー72及びレギュレーター73がシーラー62,63の周辺の高負荷環境に曝されない。それゆえ、流量センサー72及びレギュレーター73は高負荷環境によるダメージを受けない。高負荷環境とは、シーラー42,43の周辺で発生する熱、振動及び異物等のことをいう。
【0042】
上記のエンドシール装置60は回転式であったが、このエンドシール装置60を
図5に示すボックスモーション式のエンドシール装置80に変更してもよい。
図5を参照して、ボックスモーション式のエンドシール装置80について詳細に説明する。
図5は、エンドシール装置80をその下流側から見た正面図である。
【0043】
このエンドシール装置80はエンドシール装置60と同様にベルトコンベヤ30と搬出ベルトコンベヤ35との間に設けられている。
【0044】
エンドシール装置80は、下部基台81a、上部基台81b、第1シーラー82、第2シーラー83、可動ロッド84a、可動部材84b、エアシリンダー85、固定ブラケット86、変位検出装置90、駆動装置100及びカッターユニット110を備える。
【0045】
下部基台81aは駆動装置100に連結されている。第1シーラー82は下部取付台82a上に取り付けられ、その下部取付台82aは下部基台81aの上に取り付けられている。
【0046】
上部基台81bは駆動装置100に連結されているとともに、下部基台81aの上方に配置されている。上部基台81bにはガイド孔81cが形成されており、可動ロッド84aがそのガイド孔81cに挿入されて、その可動ロッド84aがガイド孔81cによって上下に案内される。可動ロッド84aの下端には上部可動台83aが取り付けられており、上部可動台83aの下面に第2シーラー83が取り付けられている。この第2シーラー83は第1シーラー82の上方に配置されている。
【0047】
駆動装置100は、上部基台81bを下降させ且つ下部基台81aを上昇させた状態で、上部基台81b及び下部基台81aを上流から下流へ所定距離移動させる。その後、駆動機構100は、上部基台81b及び下部基台81aを下流から上流へ所定距離移動させながら、上部基台81bを上昇させた後に下降させるとともに下部基台81aを下降させた後に上昇させる。上部基台81bの下降タイミングと下部基台81aの上昇タイミングが同期することで、第2シーラー83と第1シーラー82が互いに近接して、フィルム4が第2シーラー83と第1シーラー82の間に挟み込まれてシールされる。上部基台81bの上昇タイミングと下部基台81aの下降タイミングが同期することで、第2シーラー83と第1シーラー82がシールされたフィルム4から離間する。駆動装置100が上部基台81b及び下部基台81aにこのような動作を繰り返し行わせることによって、フィルム4が繰り返しシールされる。なお、フィルム4のシールが熱圧着である場合、第2シーラー83及び第1シーラー82にヒーターが設けられており、フィルム4のシールが接着剤による接着である場合、第2シーラー83及び第1シーラー82にヒーターが設けられていない。
【0048】
カッターユニット110は切断刃111及びアクチュエーター112を備える。切断刃111は上下動可能となって上部可動台83a及び第2シーラー83内に収容されている。この切断刃111はアクチュエーター112に連結されている。アクチュエーター112は上部基台81bに取り付けられている。フィルム4が第2シーラー83と第1シーラー82の間に挟まれている時に、アクチュエーター112が切断刃111を下降させると、切断刃111が第2シーラー83の下面から下方へ突き出るので、フィルム4が切断される。フィルム4の切断後、アクチュエーター112が切断刃111を上昇させると、切断刃111が上部可動台83a及び第2シーラー83内に収容される。なお、第1シーラー82の上面には凹所が形成されており、切断刃111は下降時にその凹所に挿入される。
【0049】
上部基台81b上にはエアシリンダー85が設けられている。このエアシリンダー85は可動ロッド84aを一定荷重で下方に付勢する。そのため、フィルム4を挟み込む荷重が一定である。
【0050】
可動ロッド84aにはコ字形の可動部材84bが取り付けられている。一方、可動部材84bの先端の下方において、固定ブラケット86が上部基台81b上に取り付けられている。この固定ブラケット86には変位検出装置90のエアノズル91が取り付けられている。このエアノズル91の先端が可動部材84bの先端に向けられている。可動部材84bが可動ロッド84a及び第2シーラー83とともに昇降することによって、エアノズル91の先端と可動部材84bの先端の間隔が変化する。レギュレーターによって一定のエア圧がエアノズル91に付与されているため、エアノズル91の先端からエアが噴出される。レギュレーターからエアノズル91に流れるエアの流量が流量センサーによって検出される。検出流量は、第2シーラー83の変位に換算できる上、第2シーラー83と第1シーラー82の間の間隔にも換算できる。また、フィルム4がシーラー82,83の間に挟まれるタイミングに同期して、制御部が流量センサーの出力値(流量)を所定閾値と比較することによって異物の有無を判定する。
【0051】
変位検出装置90及びそれを用いた異物検出装置、特にそれらの流量センサー及びレギュレーターがシーラー82,83の周辺の高負荷環境に曝されない。よって、流量センサー及びレギュレーターは高負荷環境によるダメージを受けない。
【符号の説明】
【0052】
40…センターシール装置
42,62,82…第1シーラー
43,63,83…第2シーラー
44,64…可動レバー(可動部材)
50,70,90…変位検出装置
51,71,91…エアノズル
52,72…流量センサー
53,73…レギュレーター
55…制御部
60…エンドシール装置
80…エンドシール装置
84a…可動ロッド
84b…可動部材