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  • 特許-抵抗溶接装置 図1
  • 特許-抵抗溶接装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】抵抗溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/30 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
B23K11/30 307
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018537584
(86)(22)【出願日】2017-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2017031776
(87)【国際公開番号】W WO2018043738
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2016172957
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596008817
【氏名又は名称】ナグシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(72)【発明者】
【氏名】和田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】浅田 隆弘
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-99380(JP,A)
【文献】特開2004-337931(JP,A)
【文献】特開2012-55937(JP,A)
【文献】特開2000-90904(JP,A)
【文献】実開昭60-84190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下移動自在に設けられ、被溶接物を挟んで通電により溶接する上下一対の溶接電極と、溶接時に前記上下の溶接電極を介して被溶接物を加圧する加圧ユニットとを有する装置本体を備え
前記装置本体は、前記上下の溶接電極間に配置されて、少なくとも上下の溶接電極のいずれか一方側に設けられた中間電極セットを有しており、
前記中間電極セットは、中間電極セット治具とこれに対して着脱自在な中間電極とを備えた中間ユニットを複数有し、この複数の中間ユニットが前記上下の溶接電極と上下方向に一致する溶接位置に順次停止するように周方向に回動可能に配置されたロータリー式に構成され、
前記溶接位置における前記中間ユニットの中間電極を介して、被溶接物が前記加圧ユニットで加圧されながら抵抗溶接される、抵抗溶接装置であって、
前記溶接電極の電極部と前記中間電極の給電面とが面接触して、前記溶接電極から前記中間電極へ給電されるものであり、
前記中間電極の給電面の直径Dと前記中間電極の高さHの寸法が、D/H≧1/1.2である、抵抗溶接装置
【請求項2】
請求項1において、
前記中間電極セットは、複数の上下一対の中間ユニットを有しており、前記上下の溶接電極から給電された前記溶接位置の上下の中間電極間に挟まれて被溶接物が抵抗溶接される、抵抗溶接装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記中間ユニットの中間電極が前記溶接位置に停止された状態で、被溶接物の1個がまたは連続して2個以上が抵抗溶接される、抵抗溶接装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記中間電極セットは、前記中間電極を保持する前記中間電極セット治具の保持孔と、この保持孔に挿入される前記中間電極の被保持部とがそれぞれ同一のテーパ状に形成されており、
前記中間電極の被保持部が前記中間電極セット治具の保持孔に挿入されて、前記中間電極セット治具に対する前記中間電極の芯出し調整がなされる、抵抗溶接装置。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項において、
各中間電極を少なくとも前記溶接位置にない溶接待機位置で強制冷却する冷却装置を有する、抵抗溶接装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記中間電極の電極部が着脱自在に設けられている、抵抗溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、日本国で2016年9月5日に出願した特願2016-172957の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一対の溶接電極間に被溶接物を挟んで加圧しながら抵抗溶接する抵抗溶接装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、一対の溶接電極間に金属の被溶接物を挟み、加圧しながら溶接電極に通電して抵抗溶接する抵抗溶接装置が知られている。一般にこの抵抗溶接は大電流を短時間流し、金属の抵抗発熱を利用してナゲット(合金層)を形成して溶融接合するもので、短時間で溶接するので、効率的に溶接できるとともに、材料に熱による影響を与えにくくできる。
【0004】
例えば筒状の容器内に電池要素を収容する電池の製造時に、電池要素の端子と容器の内底面の被溶接物を溶接する必要がある。この場合に、上下一対の溶接電極間に上下方向に延びる中間電極を介在させ、当該中間電極を容器内に挿入して被溶接物の溶接を行なうことが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-252350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の装置では、例えば1万アンペア(A)のように特に大電流の通電が必要とされたり、生産効率の向上のために生産ラインの高速化や連続生産などが要請される場合があった。このような場合、当該大電流や高速化などにより、図7のように、溶接電極や中間電極における蓄熱によって溶接性能のバラツキや、電極の消耗度が大きくなってその劣化を招く場合があった。また、被溶接物が例えばアルミニウムのような金属の場合に、アルミニウムが溶融飛散して電極に付着することにより一層消耗度が大きくなる場合もあった。
【0007】
このような場合、電極の寿命が短くなって電極交換の頻度が多くなり、かつその都度交換時間もかかるため、抵抗溶接における生産効率の向上が困難となるという問題があった。このため、電極交換の頻度を減少させて容易に生産効率を向上できる抵抗溶接装置が要望されている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決して、大電流の通電や生産ラインの高速化などが必要とされる場合であっても、電極交換の頻度を減少させて容易に生産効率を向上できる抵抗溶接装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る抵抗溶接装置は、上下移動自在に設けられ、被溶接物を挟んで通電により溶接する上下一対の溶接電極と、溶接時に前記上下の溶接電極を介して被溶接物を加圧する加圧ユニットとを有する装置本体を備えている。
前記装置本体は、前記上下の溶接電極間に配置されて、少なくとも上下の溶接電極のいずれか一方側に設けられた中間電極セットを有しており、前記中間電極セットは、中間電極セット治具とこれに対して着脱自在な中間電極とを備えた中間ユニットを複数有し、この複数の中間ユニットがそれぞれ前記上下の溶接電極と上下方向に一致する溶接位置に順次停止するように周方向に回動可能に配置されたロータリー式に構成される。前記溶接位置の前記中間ユニットの前記中間電極を介して、被溶接物が前記加圧ユニットで加圧されながら抵抗溶接される。
【0010】
この構成によれば、複数の中間電極を順次使用して被溶接物を抵抗溶接するので、中間電極の数の分、使用頻度を下げることにより電極交換の頻度を下げることができ、また、中間電極は着脱自在なので、その交換時間も短縮でき、大電流の通電や生産ラインの高速化などが必要とされる場合であっても、容易に生産効率を向上することができる。
【0011】
本発明では、前記中間電極セットは、複数の上下一対の中間ユニットを有しており、前記上下の溶接電極から給電された前記溶接位置の中間電極間に挟まれて被溶接物が抵抗溶接されるようにしてもよい。この場合、全て中間電極を介して被溶接物を抵抗溶接するので、より生産効率を向上できる。
【0012】
また、前記中間ユニットの中間電極が前記溶接位置に停止された状態で、被溶接物の1個がまたは連続して2個以上が抵抗溶接されるようにしてもよい。この場合、被溶接物の種類や溶接状態による中間電極の劣化に応じて中間電極の使用状態を適正に選択できる。
【0013】
本発明では、前記溶接電極の電極部と前記中間電極の給電面とが面接触して、前記溶接電極から前記中間電極へ給電されるものであり、前記中間電極の給電面の直径Dと前記中間電極の高さHの寸法が、D/H≧1/1.2である。したがって、中間電極が若干傾いた状態でセットされても直ちに直立した状態に矯正されるので、中間電極は溶接電極と確実に面接触され、交換時間をより短縮できる。
【0014】
好ましくは、前記中間電極セットは、前記中間電極を保持する前記中間電極セット治具の保持孔と、この保持孔に挿入される前記中間電極の被保持部とがそれぞれ同一のテーパ状に形成されており、前記中間電極の被保持部が前記中間電極セット治具の保持孔に挿入されて、前記中間電極セット治具に対する前記中間電極の芯出し調整がなされる。この場合、中間電極が自動的に調芯されて、調芯作業が簡単になって中間電極の交換時間をより短縮でき、生産効率を向上することができる。
【0015】
好ましくは、各中間電極を少なくとも前記溶接位置にない溶接待機位置で強制冷却する冷却装置を有する。したがって、中間電極の蓄熱を防止して、蓄熱による溶接のばらつきおよび中間電極の劣化をより抑制できる。また、好ましくは、前記中間電極の電極部が着脱自在に設けられている。したがって、電極部の消耗時や別の材質の電極部の変更時に、電極部のみを容易に交換することができる。
【0016】
請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成のどのような組合せも、本発明に含まれる。特に請求の範囲の各請求項の2つ以上のどのような組合せも、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品符号は同一部分を示す。
図1】本発明の一実施形態に係る抵抗溶接装置を示す正面図である。
図2図1の抵抗溶接装置を示す側面図である。
図3A】本発明の抵抗溶接装置の一部拡大図である。
図3B】本発明の抵抗溶接装置の一部拡大図である。
図3C】本発明の抵抗溶接装置の一部拡大図である。
図4A】中間電極セット治具と中間電極を示す構成図である。
図4B】中間電極セット治具と中間電極を示す構成図である。
図5A】中間電極セット治具と中間電極を示す構成図である。
図5B】中間電極セット治具と中間電極を示す構成図である。
図5C】中間電極セット治具と中間電極を示す構成図である。
図6】溶接電極と中間電極の接触状態を示す構成図である。
図7】溶接時の発熱状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗溶接装置1を示す概略構成図である。本装置1は、大電流の通電、生産ラインの高速化などが必要な抵抗溶接に適している。例えば1万アンペア(A)のような大電流通電、生産効率の向上のための生産ライン高速化によって、電極の蓄熱による溶接性能のバラツキが発生する場合や、電極の消耗度の増大、アルミニウムのような被溶接物の溶融飛散による電極付着を通じて電極の劣化を招く場合などに特に有効である。
【0019】
本装置1は、架台20上に固定された装置本体2と、架台20内に配置されて装置全体を制御する制御部3と、装置本体2に例えば直流電力を供給する溶接電源部4とを備えている。この溶接電源部4で溶接電極に通電する電流値の設定がなされる。
【0020】
図2に示すように、装置本体2は、上下方向に延びる第1の軸Y1に沿って上下移動自在に設けられて、被溶接物Wを挟んで通電により溶接する上下一対の溶接電極5a、5bと、この上下溶接電極5a、5bをそれぞれ保持する上下電極フォルダ6a、6bと、上溶接電極5aの上方に配置されて溶接時に上下溶接電極5a、5bを介して被溶接物を上下方向に加圧する加圧ユニット7とを備えている。また、装置本体2の上部には本装置1を操作する操作パネル8が配置されている。
【0021】
上下溶接電極5a、5b間には、中間電極セット10が配置されており、この中間電極セット10は、中間電極セット治具11a、11bとこれに対してそれぞれ着脱自在な中間電極12a、12bを備えた上下一対の中間ユニット18a、18bを複数有している。この複数の中間ユニット18a、18bは上下溶接電極5a、5bと上下方向に一致する溶接位置に順次停止するように周方向に回動可能に配置されたロータリー式に構成されている。中間電極セット10は、前記第1の軸Y1と平行に離間して上下方向に延びる第2の軸Y2を中心に駆動モータ9により駆動されて回動する。上下中間電極12a、12bは溶接電源4のコネクタ4aから上下電極フォルダ6a、6bを介して上下溶接電極5a、5bの電極部から通電される。
【0022】
制御部3は、装置全体の制御のほかに、加圧ユニット7の加圧制御およびロータリー式の中間電極セット10のロータリー制御などを行なう。操作パネル8には、操作に関するスイッチ部および設定部などが設けられ、操作内容を表示する表示器も設けられている。
【0023】
図3B図3Cのように、ロータリー式の中間電極セット10は、例えば上下にそれぞれ6個の上下中間電極セット治具11a、11bおよび上下中間電極12a、12bを有しており、図3Aのように第2の軸Y2回りに矢印方向に水平に回動する。図2のように、上溶接電極5aと下溶接電極5b間の溶接位置に、複数の中間ユニット18a、18bの中間電極12a、12bのうちいずれか1つが回動停止して挟まれた被溶接物が溶接される。
【0024】
図4A図4Bのように、中間電極12a、12bをそれぞれ保持する中間電極セット治具11a、11bの中央部の各保持孔11d、11eはテーパ状の内面T1、T2を有しており、上下中間電極12a、12bは、それぞれ給電面13および治具装着部14をもつ給電用電極板15と電極部16とを有している。図4Aのように、上中間電極12aは、治具装着部14の下部に内面T1と同一テーパ状の面T1が形成されている。中間電極12aは、中間電極セット治具11aの中央部のテーパ状の保持孔11dにガイドされて嵌り込んで固定される。中間電極12aは中間電極セット治具11aから上方向に脱離可能になっている。
【0025】
図4Bのように、下中間電極12bも、治具装着部14はテーパ状の面T2を有しており、中間電極セット治具11aの中央部における内面T2と同一テーパ状の保持孔11eに嵌り込んで固定される。中間電極12aは中間電極セット治具11aから上方向に脱離可能になっている。こうして、上下中間電極12a、12bの脱着が容易であり、中間電極セット10は上下中間電極12a、12bを中間電極セット治具11a、11bに嵌め込むだけで位置決めでき、かつ上下中間電極12a、12bは上下溶接電極5a、5bと確実に面接触され、交換時間をより短縮できる。この例ではテーパ状の孔により位置決めしているが、これに代えて図示しない位置決め用ピンを使用してもよい。
【0026】
図5A図5Cは、溶接電極と中間電極の接触状態を示す構成図である。図5Aのように、上下溶接電極5a、5bの電極部は上下中間電極12a、12bの給電面13と面接触する。図5Bのように上下中間電極12a、12bを、給電面13の直径Dが大きく、高さHを短くした場合、上下中間電極12a、12bが若干傾いた状態であっても、加圧時に溶接電極5と給電面13が点αで当接すると、直立状態となって支点β間で給電面13全体で接触しようとする矯正力が大きくなる。これに対して、図5Cのように、給電面13の直径Dが小さく、高さHを長くした場合、矯正力が小さくなる。中間電極12a、12bにおいて、給電面13の直径Dと高さHは、D/H≧1/1.2が好ましい。より好ましくはD/H≧1である。これにより、上下溶接電極5a、5bと上下中間電極12a、12bは確実に面接触することができ、また給電面13の直径Dが大きいので大電流の通電も可能とする。
【0027】
図6に示すように、上中間電極12aは、給電用電極板15の孔15aに電極部16が嵌め込まれ、固定用ねじ17で固定される。電極部16は給電用電極板15の孔15aにより位置決めされる。下中間電極12bも同様な構成を有する。これにより、電極部16の消耗時や別の材質の電極部16の変更時に、電極部16のみを容易に交換することができる。
【0028】
上記抵抗溶接装置1において、例えば図3AのI~IIIで1~3回目のように、各中間電極12を順次溶接位置に停止させて、それぞれ異なる溶接物を1個ずつ溶接している。例えば1個の中間電極12で1000シュートを実施する場合、6個で6000シュートを実施できる。この場合、中間電極12の数だけ1個の中間電極12の使用頻度が下がり、中間電極12の数の分だけ連続した生産が可能となり、その交換頻度を下げることにより生産効率を向上することができる。
【0029】
なお、中間ユニット18の中間電極12が前記溶接位置に停止された状態で、被溶接物の1個がまたは連続して2個以上が抵抗溶接されるようにしてもよい。また、中間ユニット12を1個おき以上間欠させて溶接位置に停止させるようにしてもよい。こうして、被溶接物の種類や溶接状態による中間電極の劣化に応じて中間電極の使用状態を適正に選択できる。
【0030】
また、中間電極12の数の分だけ溶接間隔があき、その間、溶接に使用されていない中間電極の熱が発散されて溶接電極(中間電極)の蓄熱が抑制されるので、自然冷却でも溶接性能のバラツキ、溶接電極の熱による劣化を抑制することが可能となる。
【0031】
さらに、例えば図示しない送風機のような冷却装置を設けて、溶接待機位置にない溶接待機位置の中間電極12を強制的に冷却させてもよいし、中間電極12を取り外した状態で冷却させるようにしてもよい。これにより、熱による劣化を抑制して電極交換の頻度をさらに下げることができる。
【0032】
このように、本発明では、複数の中間電極12を周方向に回動可能としたロータリー式の中間電極セット10を有しているので、複数の中間電極12を使用して被溶接物を抵抗溶接するから、中間電極12の数の分、使用頻度を下げることにより電極交換の頻度を下げることができ、また、中間電極12は着脱自在なので、その交換時間も短縮でき、大電流通電や生産ライン高速化などが必要とされる場合であっても、容易に生産効率を向上することができる。
【0033】
なお、この実施形態では、図3A図3Bおよび図4A図4Bのように、上下溶接電極5a、5b間に上下にそれぞれ6個の中間ユニット18a、18bを有しているが、この数に何ら限定されず6個未満でも7個以上でもよい。また、上溶接電極5aの側だけに上中間ユニット18aを設けて下中間ユニット18bを設けないようにしてもよいし、または下溶接電極5bの側だけに下中間ユニット18bを設けて上中間ユニット18aを設けないようにしてもよい。この場合、前者では上中間ユニット18aの上中間電極12aと下溶接電極5bの間、後者では上溶接電極5aと下中間ユニット18bの下中間電極12bの間で被溶接物が溶接される。
【0034】
以上のとおり図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0035】
1:ロータリー式抵抗溶接装置
2:装置本体
3:制御部
4:溶接電源
5a、5b:溶接電極(上、下)
7:加圧ユニット
10:中間電極セット
11(11a、11b):中間電極セット治具(上、下)
12(12a、12b):中間電極(上、下)
18(18a、18b):中間ユニット(上、下)
W:被溶接物


図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7