(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ロータリプレス用のモジュール式充填シュー
(51)【国際特許分類】
B30B 11/08 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
B30B11/08 A
(21)【出願番号】P 2019564139
(86)(22)【出願日】2018-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2018063653
(87)【国際公開番号】W WO2018215594
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-01-22
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】594163246
【氏名又は名称】コルシュ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】クレル インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ミース シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ペウッカー ロベルト
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027917(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204757(JP,U)
【文献】特開2009-226437(JP,A)
【文献】特開平11-197891(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0139756(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/08
B30B 11/00
B30B 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリプレスのダイ穴に材料を給送するためのインペラ充填シューであって、
第1室に配置されて材料を充填用開口部に搬送するための充填用羽根車(24)および第2室に配置されて余分な材料を前記第1室に戻すための定量化用羽根車(17)を備えた2室充填シュー(9)と、第1室に配置されて材料を充填用開口部に搬送するための充填用羽根車(24)、第2室に配置されて余分な材料を前記第1室に戻すための定量化用羽根車(17)、および第3室に配置されて材料を前記第1室に給送するための給送用羽根車(25)を備えた3室充填シュー(38)との間の機能切り替えを可能にするために、前記インペラ充填シューは、前記充填用羽根車(24)を有する前記第1室および前記定量化用羽根車(17)を有する前記第2室を備えた第1の組立体と、前記充填用羽根車(24)に位置合わせされた
第1の材料入口を備えた第2の組立体とによって前記2室充填シュー(9)が構成され、かつ、前記給送用羽根車(25)を有する前記第3室および前記給送用羽根車(25)に位置合わせされた
第2の材料入口を備えた第3の組立体と、前記第1の組立体とによって前記3室充填シュー(38)が構成されるように、モジュール式に構成され、
前記インペラ充填シューは、前記羽根車を駆動するためのギアボックスを備えない、
ことを特徴とするインペラ充填シュー。
【請求項2】
前記羽根車の各々は、外部ギアボックス(32)を接続するための駆動軸を取り付けるためのアダプタを有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のインペラ充填シュー。
【請求項3】
前記インペラ充填シューは、前記充填用羽根車(24)が
第1室としての第1左室に存在し、前記定量化用羽根車(17)が
第2室としての第2右室に存在する
第1の組立体としてのベースモジュール(39)を備え、
前記2室充填シュー(9)は、前記ベースモジュール(39)に取り付け可能な、第1の材料入口(11)を有する、
第2の組立体としての第1のモジュール式ビルドアップ(40)を有し、第1の材料入口(11)は、取り付けられた状態で、前記充填用羽根車(24)の上方に位置付けられ、
前記3室充填シュー(38)は、前記給送用羽根車(25)が
第3室としての第3の中心室に挿入されている
第3の組立体としての第2のモジュール式ビルドアップ(41)を有し、前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)は、前記ベースモジュール(39)上に取り付け可能であり、第2の材料入口(23)を有する、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のインペラ充填シュー。
【請求項4】
前記モジュール式インペラ充填シューの個々の搭載構成要素の重量が20kg以下である、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のインペラ充填シュー。
【請求項5】
前記2室充填シュー(9)では、プレス材料が前記第1の材料入口(11)から、前記ベースモジュール(39)を含む1つのZステージにおいて、前記充填用開口部(26)および前記ダイ穴に送られ、前記3室充填シュー(38)では、プレス材料が前記第2の材料入口(23)から、前記ベースモジュール(39)および前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を含む2つのZステージにおいて、前記充填用開口部(26)および前記ダイ穴に送られる、
ことを特徴とする、請求項3に記載のインペラ充填シュー。
【請求項6】
前記ベースモジュール(39)は、充填用開口部(26)を構成する対向する縁部に交換可能な弾性狭着シール(36)を具備する充填用開口部(26)を底部に有する、および/または
前記インペラ充填シューは、材料の損失を減らすために、円弧形状の前記充填用開口部(26)の端部に弾性押圧片(37)を有する、
ことを特徴とする、請求項3または5に記載のインペラ充填シュー。
【請求項7】
前記インペラ充填シューの構成要素は、ステンレス鋼、アルミニウム、および/またはプラスチックを含む群から好ましくは選択された材料を含む、
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のインペラ充填シュー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のインペラ充填シューを備えたロータリプレスであって、
前記ロータリプレスは、前記インペラ充填シューの外側に位置する、前記羽根車を駆動するためのギアボックス(32)を備え、前記羽根車は、差し込み可能な駆動軸によって前記ギアボックス(32)に接続可能である、
ことを特徴とするロータリプレス。
【請求項9】
前記羽根車を駆動するための前記ギアボックス(32)は、前記インペラ充填シューの下方に、前記ロータリプレスの振動が遮断されたキャリアプレート(34)の底部に位置する、
ことを特徴とする、請求項8に記載のロータリプレス。
【請求項10】
前記ロータリプレスは、出口管(3)を備えた材料給送装置(43)を前記充填シューの上方のヘッドピース内に有し、前記出口管(3)は、2室充填シュー(9)が取り付けられている場合は前記出口管(3)が前記2室充填シュー(9)の前記第1の材料入口(11)の上方の第1の位置(7)にあり、3室充填シュー(28)が取り付けられている場合は前記出口管(3)が前記3室充填シュー(38)の前記第2の材料入口(23)の上方の第2の位置(8)にあるように、少なくとも2つの位置に設定可能である、
ことを特徴とする、請求項3、5、6のいずれか一項に従属するときの、請求項8または9に記載のロータリプレス。
【請求項11】
2室充填シュー(9)を3室充填シュー(38)に、または3室充填シュー(38)を2室充填シュー(9)に、変換するための方法における、請求項1~7のいずれか一項に記載のインペラ充填シューの使用。
【請求項12】
2室充填シュー(9)を3室充填シュー(38)に変換するための前記方法は、
a.2室充填シュー(9)としての請求項3、5、6のいずれか一項に記載のインペラ充填シューを用意するステップと、
b.第1の材料入口(11)を備えた前記2室充填シュー(9)の前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を取り外すステップと、
c.第2の材料入口(23)を備えた前記3室充填シュー(38)のための前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を用意するステップと、
d.前記給送用羽根車(25)を前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)の前記第3の中心室に挿入するステップと、
e.前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を前記インペラ充填シューの前記ベースモジュール(39)上に取り付けるステップと、
を含む、請求項11による使用。
【請求項13】
3室充填シュー(38)を2室充填シュー(9)に変換するための前記方法は、
a.3室充填シュー(38)としての請求項3、5、6のいずれか一項に記載のインペラ充填シューを用意するステップと、
b.第2の材料入口(23)と前記給送用羽根車(25)とを備えた前記3室充填シュー(38)の前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を取り外すステップと、
c.第1の材料入口(11)を備えた前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を用意するステップと、
d.前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を前記インペラ充填シューの前記ベースモジュール(39)上に取り付けるステップと、
を含む、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
2室充填シュー(9)を3室充填シュー(38)に変換するための前記方法は、
a.請求項3、5、6のいずれか一項に従属するときの、請求項10に記載のロータリプレスを用意するステップであって、前記インペラ充填シューは2室充填シュー(9)としての構成で取り付けられている、ステップと、
b.第1の材料入口(11)を備えた前記2室充填シュー(9)の前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を取り外すステップと、
c.第2の材料入口(23)を備えた前記3室充填シュー(38)のための前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を用意するステップと、
d.前記給送用羽根車(25)を前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)の前記第3の中心室に挿入するステップと、
e.前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を前記インペラ充填シューの前記ベースモジュール(39)上に取り付けるステップと、
f.前記材料給送装置(43)の前記出口管(3)を前記第1の位置(7)から前記第2の位置(8)に変更するステップと、
g.差し込み可能な駆動軸(31)を使用して、前記給送用羽根車(25)を前記ギアボックス(32)に接続するステップと、
を含む、請求項11に記載の使用。
【請求項15】
3室充填シュー(38)を2室充填シュー(9)に変換するための前記方法は、
a.請求項3、5、6のいずれか一項に従属するときの、請求項10に記載のロータリプレスを用意するステップであって、前記インペラ充填シューは3室充填シュー(38)としての構成で取り付けられている、ステップと、
b.前記給送用羽根車(25)と前記ギアボックス(32)との間に取り付けられている前記駆動軸を切り離すステップと、
c.前記第2の材料入口(23)と前記給送用羽根車(25)とを備えた前記3室充填シュー(38)の前記第2のモジュール式ビルドアップ(41)を取り外すステップと、
d.第1の材料入口(11)を備えた前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を用意するステップと、
e.前記第1のモジュール式ビルドアップ(40)を前記インペラ充填シューの前記ベースモジュール(39)上に取り付けるステップと、
f.前記材料給送装置(43)の前記出口管(3)を前記第2の位置(8)から前記第1の位置(7)に変更するステップと、
を含む、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填用羽根車および定量化用羽根車を備えた2室充填シューと、充填用羽根車、定量化用羽根車、および給送用羽根車を備えた3室充填シューとの間での機能切り替えを可能にするためにモジュール式に構成された、ロータリプレスのダイ穴への材料給送のためのインペラ充填シューであって、羽根車を駆動するためのギアボックスを備えないインペラ充填シューに関する。さらに、本発明は、モジュール式インペラ充填シューを備えたロータリプレスであって、羽根車を駆動するためのギアボックスがインペラ充填シューの外側に位置する、ロータリプレスに関する。本発明は、さらに、モジュール式インペラ充填シューを2室充填シューから3室充填シューに、およびこの逆に、変換するための方法における、本発明によるインペラ充填シューの使用に関する。インペラ充填シューの機能変換は、タブレットプレスの外側で、ならびにタブレットプレスの内部に取り付けられた状態で、行うことができる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、医薬、技術、または化学業界において、あるいは食品業界において、粉末状材料からタブレットまたはペレットを大量生産するために使用されるロータリプレスの分野に関する。複数のロータリプレスが従来技術において周知である。これらは、複数のパンチを収容するための上側および下側パンチガイドを備えたロータと、粉末状材料を受け入れるための穴を複数有するダイを複数有するダイプレートとを特徴とする。ダイ穴への充填後、上側および下側パンチの相互作用によって材料をプレス加工してペレットまたはタブレットにすることができる。
【0003】
ダイ穴への充填のために、さまざまな従来技術の充填装置が使用されている。所謂重量式の室充填シューは、複数のバッフルおよび複数の堰がそこに位置するオープンフレームを特徴とする。重量式の室充填シューでは、導入されたプレス材料は、摩擦によってダイプレートに進められ、バッフルによってダイ穴の上に案内され、フレームの下を通過するダイ穴に重力のみによって落下する。重量式の充填の故に、粉末のさまざまな流速への簡単且つ迅速な適合化を行うことができない。これは、今日では医薬部門において重量式の室充填シューが殆ど使用されず、代わりにインペラ充填シューが使用されている理由の1つである。
【0004】
インペラ充填シューは、材料が上から給送されるモータ駆動式の充填装置である。この目的のために、材料容器を充填シューの上方、ロータリプレスのヘッドピース上に位置付けることができ、粉末は材料入口からインペラ充填シューに連続的に充填される。インペラ充填シューには、通常、1つ、2つ、または3つの羽根車が存在する。これら羽根車は、材料入口からの粉末材料を回転運動によってダイ穴のピッチ円の上方に位置する充填シューベースプレートの充填用開口部に搬送する。粉末は充填用開口部を通って穴に入る。これにより、複数のダイ穴へのより一様且つ精確な充填が可能になる。
【0005】
当初開発されたインペラ充填シューは、ギアリムとギアドライブとを使用するタブレットプレスのロータの回転によって、直接駆動されていた。この充填結果は、プレス加工が困難な化合物の場合、室充填シューを使用した場合より、既に著しく良好であった。ただし、ロータによる羽根車の直接駆動は、欠点であることが分かった。その理由は、より低速のロータ速度では充填ホイールが対応して低速で回転し、より高速の充填はロータ速度を上げることによってのみ可能であったことによる。したがって、プレス材料の充填および流動挙動に応じたロータおよび羽根車のさまざまな速度の個別設定は不可能であり、このことが欠点となった。
【0006】
ロータリプレスにおけるダイ穴への充填についてのより有意な改良が実現されたのは、別個の無段変速モータによって羽根車の直接駆動が行われたときに限られた。この時点で、プレス材料、ロータ速度、およびタブレット重量に応じて、ロータ速度に対する羽根車の最適速度の設定が可能になったので、許容公差内の一定重量の優れたタブレットを最小の相対標準偏差で製造できるようになった。
【0007】
従来技術においては、1つ、2つ、または3つのスターラブレードを有するインペラ充填シューを設計することが公知である。このようなインペラ充填シューは、例えば、特許文献1、特許文献2、または特許文献3に開示されている。
【0008】
1つの充填用羽根車および1つの定量化用羽根車の2つの羽根車を有する充填装置は、広範な標準になっている。このようなインペラ充填シューは、2室充填シューとも称される。
【0009】
2室充填シューは、通常、以下の様に設計されている。充填シューの底部には、左側に載置された充填用羽根車と右側に載置された定量化用羽根車とのための円形の切抜きが上面に存在する。方向情報は、取り付けられた充填シューに基づく。この場合、ロータの中心方向に向いた視野方向が想定される。充填シューの底部には、ダイプレートの穴のピッチ円の高さに、材料出口または充填用開口部と称される開口部が底部領域にさらに存在する。通常、中間プレートが充填シューの底部の上側を覆う。中間プレートは、2つの羽根車の駆動軸のための2つの開口部と、材料給送用の開口部とを含む。充填シューカバーは、中間プレートに載り、材料入口、2つの羽根車の駆動用のギア、およびギアドライブ用の駆動ピンを収容する。従来技術において、羽根車は、充填シュー筐体の上側および下側の両側から駆動されている。ただし、全てのロータリプレスのうちの95%において、インペラ充填シューは上側から駆動されている。すなわち、駆動用モータは、ロータリプレスのヘッドピース内に位置する。駆動用モータは、対応する駆動軸を介して、上からインペラ充填シューのギアボックスに接続されている。
【0010】
充填用羽根車は、通常、(ロータリプレスを上から見て)時計回りに回転し、定量化用羽根車は反時計回りに回転する。すなわち、充填用羽根車は、交点においてダイのピッチ円と同じ方向に回転する。プレス材料は充填用羽根車によって、左側から充填シューベースプレートの充填用開口部に搬送され、そこから個々のダイ穴の充填用開口部の中心に達する。この領域において、交換可能な充填カーブは、下側カーブシーケンスに位置し、下側パンチを、例えば、6~22mmの範囲内で、ダイ表面の下に引き込む。したがって、プレス材料は、充填カーブの引き込み領域の上方でダイ穴に吸い込まれる。通常、選択された充填カーブは、常に、所望のタブレット重量のために必要な量より多くのプレス材料をダイ穴に充填する。これは、粗充填とも称される。定量化ユニットは、充填装置の第2の右半分の下方の下側カーブシーケンスに位置する。下側カーブシーケンスは、通常、捕捉および引き込みカーブを有する高さ調整可能な定量化ユニットと、充填カーブと定量化ユニットとの間に配置された可動または不動の移送用レールとで構成される。例えば、10mmの充填カーブがロータリプレスにおいて使用され、6mmの正味充填がタブレット重量のために必要とされる場合、6mmの充填量がダイ穴に残るように、充填工程後、定量化ユニットによって下側パンチが4mm上昇させられる。したがって、この充填は、正味充填と称される。定量化ユニットによって除去された4mmのプレス材料は、下側パンチによって、充填装置の第2の半分を介して、充填用開口部に、ひいてはインペラ充填シューの右室に、押し戻される。この右室には、所謂定量化用羽根車が存在する。この羽根車は、反時計回りに回転し、ひいては余分な材料を左側の充填用羽根車の方向に搬送する。余分なプレス材料は、適切なガイドレールを介して、左側の充填室に戻され、そこで、新しい充填のために、充填用羽根車によって比例式に使用される。
【0011】
標準的な粒状および直接混合では、良好な打錠結果が2室充填装置によって既に達成できている。ただし、極めて高速の流動特性を有する化合物も存在するので、給送容器の材料出口から充填用羽根車までの材料柱によって加えられる材料圧は、ダイ充填に強い影響を有する。ロータリプレスの上方にある、従来技術によると通常は2.5~6mの間の高さに位置する、材料容器の位置に応じて、タブレット重量は大幅に変動し得る。これが意味するのは、高い材料柱は、より重いタブレット重量をもたらし、低い材料柱は、より軽いタブレット重量をもたらすことである。最終製品に対する材料柱の高さのこの影響を排除するために、従来技術の3室充填シューが開発された。
【0012】
3室充填シューの場合、充填用および定量化用の羽根車の上方にさらなる第3の室が存在し、そこに第3の羽根車が載置されている。第3の羽根車は、給送用羽根車とも称される。
【0013】
給送用羽根車の回転方向は、決定的に重要ではないので、従来技術においては異なる使い方がされている。ただし、給送用羽根車への材料入口は、充填シューの下側の室への材料出口とは異なる位置にずらされていることに注目することが重要である。材料入口は内側ピッチ円上にあり、粉末状材料用の出口開口部は外側ピッチ円上にあることが好ましい。これにより、充填シュー筐体内への粉末の搬送用のさらなるZステージが形成される。これは、主弁の開弁後、極めて流動性の高いプレス塊が充填装置をそのまま高速で通過することを防止する。
【0014】
3室充填シューの場合、プレス材料は、最初に、給送用羽根車を備えた給送室に給送される。そこから、給送用羽根車を回転させることによって、プレス材料は、下方に位置する、好ましくは外側ピッチ円上に位置する、平面上の充填用羽根車の室に搬送される。これにより、材料は、給送室から充填室に落下し、そこから、充填用羽根車によって取り込まれ、ダイピッチ円に移動され、そこから、充填シューの底部の充填用開口部を通ってダイ穴に落下する。したがって、給送用羽根車は、セルラーホイールスルースの機能を担う。これにより、材料柱の圧力に拘らず、常に同じ量の材料が充填室内に搬送される。第3室の追加によって、プレス材料の流動挙動に拘らず、優れた打錠結果の実現が可能である。
【0015】
3室充填装置の基本設計は、2室充填装置の基本設計に対応する。充填用および定量化用の羽根車の上方に、給送用羽根車のためのさらなる室が存在するだけである。
【0016】
3室充填シューの場合でも、規定された回転方向への羽根車の駆動をモータによって可能にするために、従来技術の充填装置は、通常、駆動軸を有する対応するギアボックスと3つの羽根車用の接続部とを充填装置の筐体カバー上に有する。
【0017】
汎用の3室インペラ充填シューによって、優れた充填結果の実現が可能である。特に、材料入口の上方の異なる材料柱によるタブレット重量への影響は、材料入口から充填用羽根車への、および充填用羽根車から充填用開口部への、2つのZステージを有する設計によって最小化できる。ただし、この利点は、従来技術においては、大きな欠点に直面する。従来技術において、V4A鋼製の3室インペラ充填シューの重量は、50kgを超える。この大重量の故に、3室充填シューの取り外しは極めて困難である。
【0018】
さらに、従来の技術は、より低速の流動挙動を有する粉末材料の場合は、2室充填シューの使用を優先し得る。3室充填シューと異なり、2室充填シューはエネルギー消費を減らすであろう。したがって、タブレットプレスの異なる材料充填の故に、一方では、粉末材料の異なる流動挙動への適応性が特に高く、他方では、軽い自重と、例えば洗浄のための、容易な取り外しとを特徴とする、充填シューの提供が望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】仏国特許出願公開第1 334 257 A号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2551 099 A2号明細書
【文献】独国実用新案第20 2007 002707 U1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、従来技術の諸欠点を排除し、粉末材料の流動挙動への高い適応性と簡単な交換可能性とを特徴とする充填シューを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、本発明によると、独立請求項によって達成される。従属請求項は、本発明による装置および方法の好適な実施形態を表している。
【0022】
好適な一実施形態において、本発明は、ロータリプレスのダイ穴に材料を給送するためのインペラ充填シューに関する。本インペラ充填シューは、充填用羽根車および定量化用羽根車を備えた2室充填シューと、給送用羽根車、充填用羽根車、および定量化用羽根車を備えた3室充填シューとの間での機能切り替えを可能にするために、モジュール式に構成される。インペラ充填シュー自体は、羽根車を駆動するためのギアボックスを備えない。
【0023】
本発明は、上記種類のインペラ充填シューに関し、タブレットプレスのダイ穴に粉末状材料を充填するために適している。本発明によると、インペラ充填シューは、モジュール式設計を有する。本発明の意味において、モジュール式インペラ充填シューは、少なくとも2つの機能を実施するために少なくとも2つの構成で組み立て可能な、少なくとも3つの異なる組立体で構成されると理解されることが好ましい。
【0024】
本発明によると、インペラ充填シューは、2室インペラ充填シューとしての初期構成で利用可能であることが好ましい。この構成において、インペラ充填シューは、充填用羽根車を第1室に有し、定量化用羽根車を第2室に有する。従来技術の2室充填シューについて説明したように、材料は、材料リザーバから、初めに、充填用羽根車を備えた第1室に、上から、または材料入口を介して、給送されることが好ましい。
【0025】
この第1室は、インペラ充填シューの左側領域に位置することが好ましい。本発明の意味において、右および左の方向は、取り付けられた充填シューについて、ロータの中心方向を見る視野方向から規定されることが好ましい。左および右の指示は、上から見てダイディスクが反時計回りに回転する、タブレットプレスの現在の設計にも当てはまる。回転方向が逆の場合、それに応じて左側および右側の室の位置付けも逆にすることが好ましいかもしれない。したがって、ダイプレートが充填シューの下方で回転されると、ダイ穴は、初めに、インペラ充填シューの充填シューベースプレートの左側領域の下に案内される。そこには、充填用羽根車が位置している。充填用羽根車は、粉末状材料をインペラ充填シューの所謂充填用開口部に搬送することが好ましい。本発明の意味において、充填用開口部とは、好ましくは充填シューの下面の窪みまたは開口部を意味し、第1および/または第2室と複数のダイ穴を備えたダイプレートとの間の接続を可能にする。したがって、充填用開口部は、材料出口とも称される。
【0026】
充填シューの助けを借りて、従来技術において十分に周知のように、充填工程を実施できることが好ましい。この目的のために、ダイ穴が充填用開口部の下に位置しているときに、下側パンチは後退させられることが好ましい。したがって、第1室内の粉末状材料を重力によってダイ穴に完全に充填できる。この第1ステップでは、好ましくは、所望のタブレット重量のために必要な量より多量のプレス材料がダイ穴に導入されることが好ましい。この所謂粗充填は、その後、定量化ユニットによって、所望のタブレット重量または正味重量にされる。この目的のために、下側パンチは、余分な材料を排出するために、再び上昇させられる。余分な粉末材料は、充填用開口部を通してインペラ充填シューの第2(右)室に給送可能であることが好ましい。この目的のために、ダイ穴が依然として第2室の下方にあるときに、排出および定量化が優先的に行われる。これにより、余分な粉末材料の再使用が可能になる。余分な粉末材料は、定量化用羽根車によって、第2(右)室から第1(左)室に搬送される。
【0027】
本発明によると、インペラ充填シューのモジュール式設計は、少なくとも第2の構成でのインペラ充填シューの組み立てを可能にする。第2の構成において、インペラ充填シューは、3室充填シューとしての利用が可能である。3室充填シューとしての構成において、インペラ充填シューは、充填用羽根車および定量化用羽根車に加え、給送用羽根車と称される、第3の羽根車をさらに有する。この目的のために、例えば、モジュール式充填シューは、第1の組立体を備えることができる。第1の組立体には、充填用羽根車が第1(左)室に据え付けられ、定量化用羽根車が第2(右)室に据え付けられる。2室充填シューの構成の場合、例えば、第2の組立体を第1の組立体の上に取り付けることができる。第2の組立体は、充填用羽根車に位置合わせされた材料入口を備える。2室構成から3室構成に切り替えるには、例えば、第2の組立体を給送用羽根車を備えた第3の組立体に置換することも可能であろう。第3の組立体は、給送用羽根車に位置合わせされた材料入口をさらに含むことが好ましい。組立体のこの上記のモジュール式交換に加え、2室充填シューから3室充填シューへのモジュール式インペラ充填シューの構成切り替えを可能にするものであれば、他の変形例も含まれる。
【0028】
インペラ充填シューの本発明のモジュール式設計は、上記のインペラ充填シューの2つの構成間の切り替えを驚くほど容易にする。これにより、複数の異なる加工条件への特に柔軟な調整が可能になる。タブレットの最終製品における重量を精確に制御するために、充填シューを使用してダイ穴への正確な充填を保証することが必須である。特定の用途のために、例えば、高速で流動する粉末材料の場合、3室充填シューの使用が有利であり得る。好適な2重Zステージによる粉末材料の案内は、特に制御可能な方法での粉末流の減速を可能にする。ただし、他のプレス材料の場合は、2室充填シューの使用も好適であり得る。3室充填シューに比べ、2室充填シューは、より低いエネルギー消費、より軽い重量、およびより容易な制御性を特徴とする。
【0029】
本発明のモジュール式設計により、ユーザは、対応する稼働条件への充填シューの構成の適合化を、迅速且つ容易な取り扱いによって、楽に行うことができる。
【0030】
ただし、本発明によるインペラ充填シューは、モジュール式設計と、インペラ充填シュー自体は羽根車を駆動するためのギアを含まないという設計条件とを組み合わせるだけで、その特に驚くべき技術的効果を実現する。本発明の意味において、この特徴は、羽根車を駆動するためのギアボックス自体はインペラ充填シューに属さないことを意味すると理解されることが好ましい。例えば洗浄および/または構成切り替えのために、インペラ充填シューを取り外すために、ギアボックスも取り外す必要はない。ギアは、稼働中、インペラ充填シューに機能的に接続されているが、インペラ充填シューには属していない。ギアボックスは、代わりに、インペラ充填シューから遠く離れたタブレットプレス内の位置に位置することが好ましい。ギアボックスはインペラ充填シューに属していないので、タブレットプレス内の位置を自由に選択できる。例えば、ギアボックスを下方の別個の機台に配置できる。
【0031】
冒頭において既に説明したように、充填用羽根車を駆動するためのギアボックスは、大重量を特徴とする。従来技術のインペラ充填シューの場合、ギアボックスは、通常、インペラ充填シューの構成要素として後者と共に据え付けられるので、インペラ充填シューを、例えば洗浄のために、取り外すとき、重いギアボックスも取り外す必要がある。従来技術の3室充填シューの重量は、多くの場合、50kgを優に超える。したがって、分解は、少なくとも2人で行う必要がある。また、これら重い要素の分解は、背中に問題がある特定グループの人々により大きな健康リスクをもたらし得る。インペラ充填シューの総重量は、ギアボックスの無いインペラ充填シューを設計することによって、早くも低減できるであろう。モジュール式設計と、ギアボックスの無い設計とを組み合わせることによって、組み立てまたは分解対象の組立体の重量が大幅に低減される。さらに、例えば、2室充填シューの構成および3室充填シューの構成の両構成において、インペラ充填シューの基本組立体はタブレットプレスに取り付けたままにし、その他の組立体の交換によってこれら構成間の機能切り替えが行われることも好適であり得る。
【0032】
ギアボックスの無い充填シューのこのようなモジュール式設計は、複雑な一連の構築ステップを表す。このような一連のステップは、専門家にとっては、公知の従来技術から明確な方法ではもたらされない。むしろ、驚くべきことに、モジュール式設計とギアボックスの不在との組み合わせは簡単な方法で可能であり、柔軟な機能性およびより容易な置換のための上記の特別な利点をもたらす。
【0033】
本発明の好適な一実施形態において、インペラ充填シューは、各羽根車が外部ギアボックスへの接続用の駆動軸を取り付けるためのアダプタを有するという事実を特徴とする。羽根車とは、2室充填シューの場合は、好ましくは、充填用羽根車および定量化用羽根車を指し、3室充填シューの場合は、好ましくは、充填用羽根車、定量化用羽根車、および給送用羽根車を指す。駆動軸を接続するためのアダプタを設けることによって、ギアボックスと充填シューの羽根車との間に、特に高速でありながら安全な接続をもたらすことができる。驚くべきことに、差し込み可能な駆動軸がこの目的のために特に信頼性が高いことが証明されている。駆動軸は、ギアボックスの回転運動を羽根車の回転に伝達する。アダプタの設計については、さまざまな実施形態が可能である。すなわち、アダプタを介した羽根車への駆動軸の接続は、ねじ込み、ロック、締め付け、または他の手段によって行えるが、解放は固有のハンドルによって行える。各アダプタが各駆動軸に適合すると好適であり得る。ただし、1つのアダプタを1つの駆動軸にそれぞれ割り当てることができるように、差し込み原則がコード化されることも好適であり得る。ギアボックス側でもコード化が行われる場合、不正な組み立てを特に容易に回避できる。
【0034】
本発明の好適な一実施形態において、インペラ充填シューは、充填用羽根車が第1左室に存在し、定量化用羽根車が第2右室に存在するベースモジュールを備え、2室充填シューは、ベースモジュール上に取り付け可能な第1のモジュール式ビルドアップを有し、取り付けられた状態で充填用羽根車の上方に位置する第1の材料入口を有し、3室充填シューは、給送用羽根車が第3の中心室に存在する第2のモジュール式ビルドアップを有し、第2のモジュール式ビルドアップはベースモジュール上に取り付け可能であり、第2の材料入口を有することを特徴とする。本発明の意味において、2室または3室充填シューは、本発明によるモジュール式インペラ充填シューの2室または3室充填シューとしての構成を示すことが好ましい。
【0035】
ベースモジュールは、2室および3室充填シューの両構成で使用される、インペラ充填シューの一組立体を指すことが好ましい。これら構成間の機能切り替えが行われるとき、ベースモジュールは置換されず、複数の異なるモジュールによって拡張される。ベースモジュールには、充填用羽根車が第1(左)室に位置し、定量化用羽根車が第2(右)室に位置することが好ましい。好適な一変形例において、ベースモジュールは、2つ以上の組立体で構成可能である。例えば、ベースモジュールは、充填用開口部が下面に位置する充填シューベースプレートを含むことができる。充填用開口部は、ダイ穴への充填および定量化を可能にするために、充填シューの左および右室に一致することが好ましい。充填用羽根車およびドージング用羽根車はベースプレートに据え付けられることが好ましく、そのため、ベースモジュールは、好ましくは、これら羽根車を覆う充填シューカバーも含むことができる。
【0036】
充填シューカバーが設けられる場合、ベースモジュールは、少なくとも2つの異なるモジュール式ビルドアップのための取り付けオプションを上面に有することが好ましい。
【0037】
2室充填シューとしての構成のために、好ましくは、第1のモジュール式ビルドアップを設けることができる。この目的のために、第1のモジュール式ビルドアップは、好ましくは、第1の材料入口を有する。そのため、このモジュール式ビルドアップは、充填用羽根車を備えた第1室の上方に材料入口が位置するように、取り付けられる。この目的のために、第1のモジュール式ビルドアップの規定された位置付けがベースモジュール上に、例えば穴の形態で、規定されることが好ましい。これにより、2室充填シューのための第1のモジュール式ビルドアップの再現可能な確実な組み立てが可能になる。
【0038】
第2のモジュール式ビルドアップは、第2の材料入口に加え、給送用羽根車を挿入可能な、または給送用羽根車が挿入されている、第3の中間室をさらに含むことが好ましい。したがって、第2のモジュール式ビルドアップは、3室充填シューへの切り替えのために適している。第1のモジュール式ビルドアップの場合のように、第2のモジュール式ビルドアップは、締結具を使用して、ベースモジュールの上部に固締可能であることが好ましい。充填シューカバーの場合、例えば、第2のモジュール式ビルドアップの位置付けを規定する別個の穴が複数存在し得る。ただし、一部の穴が第1および第2の両モジュール式ビルドアップのために使用できることも好適であり得る。第2のモジュール式ビルドアップでは、給送用羽根車が第2の材料入口の下方に位置することも好適である。材料流を最適化するために、第2のモジュール式ビルドアップは、給送用羽根車が充填用羽根車および定量化用羽根車の上方の中心に位置付けられるように、ベースモジュール上に据え付けられることが好ましい。したがって、材料が3室充填シューに充填されると、粉末は、第1段階において、給送用羽根車から充填用羽根車に移送され、第2段階において、充填用羽根車から充填用開口部に運ばれる。冒頭で説明したように、さらなる羽根車の追加は、特に一様な粉末供給を保証できるので、優れた打錠結果をもたらすことができる。
【0039】
さらに、第1および第2のモジュール式ビルドアップの各々が複数の構成要素で構成されると好適であり得る。例えば、これらのモジュール式ビルドアップは、材料入口の取り付けが可能な中間プレートを備えることができる。別の変形例では、2室充填シューおよび3室充填シューの両構成に同じ材料入口を使用することもできる。これには、材料入口を第1の中間プレートから第2の中間プレートに変換する追加ステップのみが必要となるであろう。
【0040】
ベースモジュールを設けると、第1のモジュール式ビルドアップを第2のモジュール式ビルドアップに交換することによって、2室充填シューから3室充填シューへの特に簡単な変換が可能になる。したがって、この好適なバージョンの上記のモジュール式ビルドアップは、特にコンパクトで技術的に堅牢な解決策を表す。両構成でのベースモジュールの効果的な使用により、製造コストも減る。例えば、2つの別個の充填シューを設ける従来のバージョンは5つの羽根車を必要とするが、好適なモジュール式インペラ充填シューが必要とする羽根車は3つのみであり、これら羽根車は2つのモジュール式構成で使用可能である。
【0041】
本発明の別の好適な実施形態において、インペラ充填シューは、モジュール式インペラ充填シューの個々の組立体構成要素の重量が20kg以下、好ましくは15kg以下、であることを特徴とする。ギアボックスの無いインペラ充填シューのモジュール式設計の故に、インペラ充填シューの個々の組立体構成要素の個々の重量を20kg未満に、15kg未満にさえ、有利に維持可能である。組立体構成要素とは、充填シューの組み立てまたは分解時に全体として据え付けまたは取り外しが行われるべきインペラ充填シューの組立体を指すことが好ましい。組立体構成要素のこのような低重量は、特に3室充填シューについて、従来技術においては公知ではなく、ユーザの使い勝手および作業の安全性に関して特に有利である。現状の知識によると、例えば、15kg未満の重量の組立体構成要素の搬送および置換は、健康上の心配のない女性要員によって行うことができる。
【0042】
本発明の別の好適な実施形態において、2室充填シューとしての構成では、プレス材料が第1の材料入口から1つのZステージで充填用開口部およびダイ穴に案内され、3室充填シューでは、プレス材料が第2の材料入口から2つのZステージで充填用開口部およびダイ穴に案内される。本発明の意味において、Zステージとは、平面または段部を特徴とする、段階を優先的に意味する。したがって、粉末状材料は重力線に沿って直線流で流れ落ちず、最初にこの平面または段部で停止される。その後、材料は、この段階から充填用開口部などの材料出口または別の段階に搬送される。
【0043】
モジュール式インペラ充填シューの設計において、これらZステージは、各室の相対的な位置付けによって実現されることが好ましい。2室充填シューの場合、粉末のための材料入口は、充填用開口部の中心の上方の鉛直線に位置付けられず、材料は最初に材料入口から第1(左)室に給送され、そこで粉末流は、第1の段部または平面において停止されることが好ましい。充填用羽根車の助けを借りて、粉末はこの平面からさらに充填用開口部に搬送されるので、下方のダイ穴に充填できる。これは、第1のZステージを構成する。
【0044】
3室充填シューにおいて、材料入口は、粉末状材料が最初に第3室内の第1の段部または平面に案内されるように、位置付けられることが好ましい。ここから、粉末状材料は給送用羽根車によって下方の、充填用羽根車が位置する、第1(左)室に搬送される。そこから、2室充填シューの場合のように、さらなるZステージにおいて充填用開口部への搬送が行われる。したがって、3室充填シューの場合、給送用羽根車を設けることによって、第2のZステージを実現できる。この好適な実施形態においては、充填材料の特に精確な制御および定量化が可能である。固有のZステージによる充填シューの設計は、粉末状材料の高速通過を効果的に防止する。加えて、これらZステージは、材料に対する背圧を減らす。したがって、材料は自由な状態で個々の室内の中間レベルに中間貯蔵される。粉末材料を給送材料柱から分離することによって、ダイ穴への特に一様な充填が保証され、凝集を回避できる。したがって、好適なインペラ充填シューを使用して優れた打錠結果を実現できる。
【0045】
本発明の別の好適な実施形態において、インペラ充填シューは、ベースモジュールが充填用開口部を下面に有することを特徴とする。この充填用開口部は、両側に交換可能な弾性狭着シールを具備する、および/またはインペラ充填シューは、材料損失を減らすために、回転に沿って弾性の押圧片を充填用開口部の端部に有する。
【0046】
ベースモジュールの充填用開口部の各端縁に取り付けられたシールは、特に密封された充填区画の実現を可能にする。弾性押圧片および交換可能な弾性狭着シールは、材料損失を防止する。例えば、これらシールは、ダイプレートの表面上のダイ穴に隣接する粉末材料が回転して充填シューの領域から出ることを防止する。この好適な実施形態は、粉末材料の有効使用に加え、タブレットの特に純粋な製造を可能にする。充填シューの領域への粉末状材料の特に確実な制限が特に重要であるのは、例えば多層タブレットの製造のために、異種材料を有するさまざまな充填ステーションが1つのダイプレート状で稼働する場合である。交換可能な弾性狭着シールおよび弾性押圧片の故に、特に効果的で確実な充填ステーションを最小の材料キャリーオーバで実現できる。
【0047】
本発明の別の好適な実施形態において、インペラ充填シューは、インペラ充填シューの各構成要素が、ステンレス鋼、アルミニウム、および/またはプラスチックを含む群から好ましくは選択された材料を備えることを特徴とする。上記の材料は、特に低重量と高い耐久性との組み合わせを特徴とする。驚くべきことに、充填シューのアルミニウムおよびプラスチック製の構成要素の製作は、大幅な重量低減ばかりでなく、機能の安定性向上ももたらした。従来技術においては、充填シューのために好ましくはVA鋼が使用されている。したがって、精度、低摩耗および引裂き、およびエラーの生じ難さについての最高度の要求を満たす充填シューをプラスチックおよびアルミニウムなどの材料からも製作できることは驚くべきことであった。
【0048】
別の好適な実施形態において、本発明は、ロータリプレスに関する。本ロータリプレスは、インペラ充填シューの外側に位置する、差し込み可能な駆動軸によってギアボックスに接続可能な、各羽根車を駆動するためのギアボックスを有することを特徴とする。本発明によるロータリプレスは、上記のようなロータリプレスのカテゴリに属し、従来技術において十分に公知である。したがって、本ロータリプレスは、複数のパンチを収容するための上側および下側パンチガイドを備えたロータと、粉末状材料を受け入れるための穴を有するダイプレートとを特徴とする。本発明によるインペラ充填シューによるダイ穴への充填後、上側および下側パンチの相互作用によって材料を押圧してペレットまたはタブレットにすることができる。したがって、本ロータリプレスは、ダイ穴への材料充填のための本発明、またはその好適な実施形態、によるモジュール式インペラ充填シューを備える。インペラ充填シューの複数の好適な実施形態について明らかにされている諸利点は、本発明によるロータリプレスに使用されたときにも有利な技術的効果を有する。充填シューのインペラを駆動するために使用されるギアボックスは、インペラ充填シュー内には位置せず、インペラ充填シューの外側に、インペラ充填シューから分離したタブレットプレスの別個の組立体内に位置する。インペラ充填シューを稼働させるために、各羽根車は、差し込み可能な駆動軸によって、ギアに接続される。したがって、ギアボックスは、外部ギアボックスとも称される。すなわち、ギアボックスは、インペラ充填シューの外側に位置する。
【0049】
本発明の好適な一実施形態において、ロータリプレスは、羽根車を駆動するためのギアボックスがインペラ充填シューの下方、好ましくはロータリプレスの振動が遮断されたキャリアプレートの下面に、位置するという事実を特徴とする。本発明の意味において、キャリアプレートは、ロータと、充填ステーション、定量化ステーション、または押圧ステーションなどの加工ステーションとがその上に据え付けられる構成要素を指すことが好ましい。したがって、キャリアプレートの上側には、ロータ、ロータ駆動軸線、押圧工具用の上側および下側の制御カーブ、充填装置、事前および主印字欄、タブレットストリッパ、タブレット排出シュートが存在し、キャリアプレートの下方には、ロータ駆動用のモータを有する駆動用ギアボックス、充填装置(単数または複数)用のギアボックスを有する駆動装置が存在することが好ましい。キャリアプレートは、機台に、振動が遮断された状態で、例えば、4つの鋼製または空気ばねの上に、取り付けられることが特に好ましい。キャリアプレートのこの取り付けは、一切の振動または揺動が機械筐体に伝達されないことを意味する。これは、プレスの雑音レベルが極めて低く、したがって、静かな稼働を特徴とすることを意味する。
【0050】
振動が遮断されたキャリアプレートの下面にギアボックスを取り付けることによって、タブレットプレスの特にコンパクトな設計が可能になる。他方、ギアボックスは押圧ゾーンの外側に取り付けられ、ひいてはほこりおよび汚れから保護されるので、ギアボックスを開放的な、したがって安価な、設計での使用も可能である。
【0051】
さらに別の好適な実施形態において、本ロータリプレスは、出口管を有する材料供給装置を充填シューの上方のヘッド部内に有することを特徴とする。この出口管は、2室充填シューが取り付けられている場合は出口管が2室充填シューの第1の材料入口の上方の第1の位置にあり、3室充填シューが取り付けられている場合は出口管が3室充填シューの第2の材料入口の上方の第2の位置にある、ように、少なくとも2つの位置に調整可能である。この実施形態において、ロータリプレスは、充填シューの上方に配置されたヘッドピースを有することが好ましい。このヘッドピースは、粉末状材料を充填シューに給送する材料給送装置を担持することが好ましい。充填シューの上方へのヘッドピースの配置の故に、充填のために重力を有利に使用できる。この目的のために、充填装置の両バージョンにおいて、2つの材料入口の上方のヘッドピースは、別個の旋回式材料給送部の挿入および固締が可能な開口部を有する。材料給送部は、その下面に、使用されるプレス材料を充填シューに正確に導入させる出口管を有することが好ましい。充填シューは、出口管が充填シューの材料入口に一致するように、好適なロータリプレスに取り付けられる。
【0052】
インペラ充填シューの好適な一変形例において、2室充填シューの場合の材料入口の位置は、3室充填シューの場合の位置とは同じでない。2室充填シューの場合、材料入口は、上記のように、充填用羽根車の上方、すなわち第1(左)室の上方、に位置付けられることが好ましい。他方、3室充填シューの場合、材料入口は給送用羽根車の上方、第1(左)室と第2(右)室との間の中間位置、に位置する。したがって、同じベースモジュールの使用時、2つの構成における材料入口は、組み立て後の稼働状態においてそれぞれ異なる位置にある。この理由により、この好適なバージョンのロータリプレスにおいて、ヘッドピースは、出口管を2つの異なる位置に載置できるように、設計される。
【0053】
この目的のために、例えば、2室および3室充填装置の材料入口の上方のヘッドピースは、円形開口部を有することができる。この開口部は、材料給送ユニットが取り付けられると、円形カバープレートによって上から閉じられる。そのため、出口管は円形カバープレートに取り付けられ、2つの位置に回転可能に固定される。この回転角度は、2つの構成における材料入口の異なる局所的位置付けを反映することが好ましい。この設計は、特に、タブレットプレス内のモジュール式インペラ充填シューの異なる構成間の切り替えを容易にする。例えば、タブレットプレスのヘッドピースの時間がかかる変換が不要である。代わりに、タブレットプレスのヘッドピース上の回転式材料給送ユニットを、簡単な手の移動によって、2室または3室充填シューとしての充填シューの構成に適合化できる。
【0054】
別の好適な実施形態において、本発明は、本発明、または好適な実施形態、によるインペラ充填シューを2室充填シューから3室充填シューに、ならびにこの逆に、変換するための方法における、インペラ充填シューの使用にさらに関する。この変換は、タブレットプレスの外側およびタブレットプレスの内側の両方で、インペラ充填シューに対して行うことができる。
【0055】
好ましくは、本発明によるインペラ充填シューを変換するための下記の各方法において、本明細書に記載のインペラ充填シューの好適な各実施形態が使用されることを当業者は認識する。したがって、インペラ充填シューについて開示されている有利な技術的特徴は、本明細書に記載の使用または方法における有利な効果も伝える。例えば、インペラ充填シューについて明らかにされたことは、ベースモジュールと第1または第2のモジュール式ビルドアップとを備えたモジュール式設計が特に高速の変換を可能にすることである。この実施形態は、インペラ充填シューを下記の各方法で使用したときに、時間も節約することが明らかである。さらに、例えばインペラ充填シューについて開示されているのは、好ましくは、ねじの助けを借りて、第1および第2モジュール式ビルドアップをベースモジュールの対応するボア穴に取り付け可能であることである。これらの工程における対応する組み立てステップは、高速且つ精確な切り替えを可能にするために、好ましくは、ねじ接続による実現も可能であることを当業者は認識する。
【0056】
以下に説明する各方法は、本発明によるモジュール式インペラ充填シューの好適な使用を表す。インペラ充填シューは2室構成で設けられ、3室構成に変換されるか、またはインペラ充填シューは3室構成で設けられ、2室構成に変換されるかのどちらかである。
【0057】
本発明の好適な一実施形態において、本発明は、2室充填シューを3室充填シューに変換するための方法に関する。本方法は、
a.2室充填シューとしての構成の本発明、またはその好適な実施形態、によるインペラ充填シューを用意するステップと、
b.第1の材料入口を備えた2室充填シューの第1のモジュール式ビルドアップを取り外すステップと、
c.第2の材料入口を備えた3室充填シューのための第2のモジュール式ビルドアップを用意するステップと、
d.給送用羽根車を第2のモジュール式ビルドアップの第3室に挿入するステップと、
e.第2のモジュール式ビルドアップをインペラ充填シューのベースモジュール上に取り付けるステップと、
を含む。
【0058】
この方法は、2室構成の本発明によるインペラ充填シューから3室構成の本発明によるインペラ充填シューへの特に簡単且つ迅速な機能切り替えを特徴とする。ベースモジュールは両構成について同じままであるので、機能を持たせたモジュール式ビルドアップの構成交換のみが必要である。好適な一実施形態において、上記ステップは上記の順に実施される。ただし、これら方法ステップを異なる順番で、または互いに平行に、行うことも好適であり得る。例えば、2室充填シューの第1のモジュール式ビルドアップの取り外し前に、給送用羽根車を第2のモジュール式ビルドアップの第3室に挿入できる。給送用羽根車を第2のモジュール式ビルドアップの第3室に予め据え付けておくことも好適であり得る。
【0059】
別の好適な実施形態において、本発明は、3室充填シューを2室充填シューに変換するための方法に関する。本法は、
a.3室充填シューとしての構成の本発明、またはその好適な実施形態、によるインペラ充填シューを用意するステップと、
b.第2の材料入口と給送用羽根車とを備えた3室充填シューの第2のモジュール式ビルドアップを取り外すステップと、
c.第1の材料入口を備えた第1のモジュール式ビルドアップを用意するステップと、
d.第1のモジュール式ビルドアップをインペラ充填シューのベースモジュール上に取り付けるステップと、
を含む。
【0060】
この好適な方法は、基本的に、上記の方法とは方向が逆であり、3室構成の本発明によるインペラ充填シューから2室構成の本発明によるインペラ充填シューへの容易且つ確実な機能切り替えを特徴とする。この場合も、これらステップは所与の順番で、または他の何れかの順番で、行われることが好ましいこともあり得る。
【0061】
インペラ充填シューの変換は、タブレットプレスの外側で、またはタブレットプレス内に取り付けられているときに、行えることが好ましい。
【0062】
好適な一実施形態において、本発明は、2室充填シューを備えたロータリプレスを、3室充填シューを備えたロータリプレスに変換するための方法に関する。本方法は、
a.2室充填シューとしての構成で取り付けられている本発明によるインペラ充填シューを備えたロータリプレスを用意するステップと、
b.第1の材料入口を備えた2室充填シューの第1のモジュール式ビルドアップを取り外すステップと、
c.第2の材料入口を備えた3室充填シューのための第2のモジュール式ビルドアップを用意するステップと、
d.給送用羽根車を第2のモジュール式ビルドアップの第3室に挿入するステップと、
e.第2のモジュール式ビルドアップをインペラ充填シューのベースモジュール上に取り付けるステップと、
f.材料給送装置の出口管を第1の位置から第2の位置に変更するステップと、
g.差し込み可能な駆動軸を使用して給送用羽根車をギアボックスに接続するステップと、
を含む。
【0063】
この好適な実施形態において、2室充填シュー構成から3室充填シュー構成へのインペラ充填シューの変換は、充填シューがタブレットプレス内に少なくとも部分的に取り付けられている状態で行われる。すなわち、インペラ充填シューのために、ベースモジュールを置換する必要がない。ベースモジュールをタブレットプレス内に取り付けたままにしておくことができる。取り付け時、2室充填シューは、2つの駆動軸によって、インペラ充填シューの外側のギアボックスに接続されることが好ましい。この接続は、機能変換のために切り離す必要がないので、有利である。代わりに、第1のモジュール式ビルドアップのみが給送用羽根車を備えた第2のモジュール式ビルドアップに置換される。ギアボックスへの給送用羽根車の接続および材料入口への材料給送装置の出口管の変更後、インペラ充填シューは3室充填シューとしての稼働のために既に準備が完了している。出口管の第1の位置は、インペラ充填シューが2室充填シューとして取り付けられているときは、第1の材料入口の上方の位置を指すことが好ましい。第2の位置は、3室充填シューの第2の材料入口との出口管の位置合わせに対応することが好ましい。
【0064】
好適な一実施形態において、本発明は、3室充填シューを備えたロータリプレスを2室充填シューを備えたロータリプレスに変換するための方法に関する。本方法は、
a.3室充填シューとしての構成で取り付けられている本発明によるインペラ充填シューを備えたロータリプレスを用意するステップと、
b.給送用羽根車とギアボックスとの間に取り付けられている駆動軸を切り離すステップと、
c.第2の材料入口と給送用羽根車とを備えた3室充填シューの第2のモジュール式ビルドアップを取り外すステップと、
d.第1の材料入口を備えた第1のモジュール式ビルドアップを用意するステップと、
e.第1のモジュール式ビルドアップをインペラ充填シューのベースモジュール上に取り付けるステップと、
f.材料給送装置の出口管を第2の位置から第1の位置に変更するステップと、
を含む。
【0065】
この好適な方法は、基本的に、上記方法とは方向が逆であり、2室構成のインペラ充填シューを有するロータリプレスから3室構成のインペラ充填シューを有するロータリプレスへの容易且つ確実な機能切り替えを特徴とする。
【0066】
インペラ充填シューの変換のためのこれら簡単な方法ステップは、公知の諸方法および従来技術の充填装置に勝る傑出した利点を表す。これら方法は、切り替え時間を大幅に減らすことができる。加えて、取り付けステップは、重い構成要素の持ち上げまたは担持を伴わないので、特に健康に優しい。さらに、ベースモジュールは、再構築全体にわたって、好ましくはタブレットプレス内に取り付けられたままであるので、不正な取り付けが最小化される。この場合、充填用羽根車または定量化用羽根車のための駆動軸の接続または切り離しは不要である。
【0067】
以下においては、複数の例を使用して、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】2室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図2】2室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図3】2室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図4】2室充填シュー用の第1のモジュール式ビルドアップの好適な一実施形態の概略図である。
【
図5】2室充填シュー用の第1のモジュール式ビルドアップの好適な一実施形態の概略図である。
【
図6】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図7】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図8】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図9】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図10】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図11】3室充填シューとしてのインペラ充填シューの好適な一実施形態の概略図である。
【
図12】駆動用モータを有するギアボックスへの2室充填シューの好適な一実施形態の接続を示す概略図である。
【
図13】駆動軸のための差し込み式アダプタを示すための、2室充填シューの好適な一実施形態の下からの概略図である。
【
図14】駆動用モータを有するギアボックスへの3室充填シューの好適な一実施形態の接続を示す概略図である。
【
図15】駆動軸の取り付けを示すための、3室充填シューの好適な一実施形態の下からの概略図である。
【
図16a】2室または3室充填シューのための柔軟な調整のための材料給送装置の好適な一実施形態の概略図である。
【
図16b】2室または3室充填シューのための柔軟な調整のための材料給送装置の好適な一実施形態の概略図である。
【
図16c】2室または3室充填シューのための柔軟な調整のための材料給送装置の好適な一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1~
図3は、2室充填シュー9としてのインペラ充填シューの好適な一実施形態のそれぞれ異なる概略図を示す。
図1は、2室充填シュー9の3次元全体図を示す。この図には、外側から見える構成要素のみが示されている。
図2は、2室充填シュー9の好適な実施形態の概略3次元断面図を示し、
図3は平面図を示す。
【0070】
図1~
図3に示されている2室充填シュー9は、ベースモジュール39を備える。ベースモジュール39は、ベースプレート14とカバー21とを有する。ベースプレート14とカバーとは、充填用羽根車24用の左室と定量化用羽根車17用の右室とをベースモジュール39内に形成する。ベースモジュール39のカバー21は、T型ハンドルねじ15を使用して、ベースプレート14に固締可能である。取り付け要素28は、羽根車の駆動軸を支持および密封するために使用される。2室充填シュー9は、ベースモジュールのカバー21上に据え付けられた第1のモジュール式ビルドアップ40を有する。モジュール式ビルドアップ40の固定は、簡単な組み立てを可能にするT型ハンドルねじ13によって行われることがさらに好ましい。モジュール式ビルドアップ40は、特に第1の材料入口11を含む。これは、材料導入スリーブのための締め付けリング10を具備する。材料給送装置(図示せず)の出口管が材料入口11に接続される。タブレットプレスにおける2室充填シュー9の稼働中、粉末状材料は、初めに材料給送装置から材料入口11を通して、充填用羽根車24を備えた左室に給送される。充填用羽根車24は、通常、平面図において時計回りに回転し、定量化用羽根車17は反時計回りに回転する。したがって、充填用羽根車24は、交点において、ダイ(図示せず)のピッチ円と同じ方向に回転する。プレス材料は、充填用羽根車24によって左側からベースプレート14の充填用開口部26に移送され、そこから個々のダイ穴に移送される。充填カーブは、タブレットプレス内に位置し、下側パンチをダイ表面の下に引き込むことによって、ダイ穴への充填を行う。その後、この充填工程の後に、定量化ユニットを使用して下側パンチを上昇させることができるので、規定の充填量がダイ穴に残る。反時計回りに回転する、右室内の定量化用羽根車17は、余分な材料を左室、すなわち充填用羽根車24、に戻す。これらの室からの粉末材料の排出は、ロック用スライダ35によって制御される材料排出管18および19を介して行うことができる。さらに、複数の点検窓16が各室および稼働中の各羽根車の監視を可能にする。
【0071】
図4および
図5は、
図1~
図3による2室充填シュー9のための第1のモジュール式ビルドアップ40の好適な一実施形態の概略図を示す。
図4は3次元図であり、
図5Aは断面図であり、
図5Bは平面図である。モジュール式ビルドアップ40は、中間プレート12を備える。中間プレート12は、
図1~
図3に示されているようにT型ハンドルねじ13を使用してベースモジュール39上に据え付け可能である。材料導入スリーブ10用の締め付けリングを有する材料入口11は、2室充填シュー9内の充填用羽根車24の上方に(
図1~
図3を参照)に位置するように、中間プレート12の左側に据え付けられる。
【0072】
図6~
図8は、3室充填シュー38としてのインペラ充填シューの好適な一実施形態のそれぞれ異なる概略図を示す。
図6は、3室充填シュー38の3次元全体図を示す。この図には、外側から見える構成要素のみが示されている。
図7は、3室充填シュー9の好適な実施形態の概略3次元断面図を示し、
図8は平面図を示す。
【0073】
図6~
図8に示されている3室充填シュー38は、
図1~
図3に示されている2室充填シュー9と同じベースモジュール39を備える。ベースモジュール39は、ベースプレート14とこれに適合するカバー21とを備える。カバー21は、T型ハンドルねじ15によって、ベースプレート14に固定される。ベースモジュール39において、充填用羽根車24は左室に位置し、定量化用羽根車17は右室に位置する。
図1~
図3に示されている2室充填シュー9と異なり、3室充填シュー38には、ベースモジュール39上に据え付けられた第1のモジュール式ビルドアップ40は存在せず、第2のモジュール式ビルドアップ41が存在する。3室充填シュー38用の第2のモジュール式ビルドアップ41は、中間プレート22を備える。中間プレート22は、T型ハンドルねじ13を使用して、ベースモジュールのカバー上に据え付けられる。中間プレート22上に、材料入口23が存在する。材料入口23は、中間プレート22によって形成された中間の第3室の上方に位置付けられる。中間の第3室には、給送用羽根車25が存在する。
【0074】
したがって、図示の3室充填シュー38の好適な構成において、インペラ充填シューは3つの羽根車を有する。材料給送装置(図示せず)の出口管は、材料入口23に接続される。3室充填シュー38において、粉末状材料は、2室充填シュー9の場合のように充填用羽根車24には直接供給されない。代わりに、材料は、材料入口23を通して、最初に、中間の第3室に位置する、給送用羽根車25に供給される。据え付けられているとき、給送用羽根車25は、充填用羽根車24からずれて外円上に位置する。これにより、粉末状材料の搬送経路のための第1のZステージがもたらされる。粉末状材料は、最初に、中間室内の給送用羽根車25によって、下方にずれた左室内の充填用羽根車24に運ばれる。充填用インペラ24から、粉末状材料は、さらなるZステージにおいて、材料出口に、または充填用開口部26に、搬送される。これにより、2室充填シュー9について説明したように、ダイ穴に充填される。
【0075】
充填後、ぞれぞれのダイ穴の充填レベルが定量化される。下側パンチは、ドージングユニットの助けを借りて上昇させられ、定量化用羽根車17によって余分な材料が充填用羽根車24に戻される。3室充填シュー38の機能は、充填用羽根車24および定量化用羽根車17に関しては、2室充填シュー9の機能と同じである。ただし、追加の給送用羽根車25は、改良された材料給送を可能にする。特に、追加の給送用羽根車25は、2重Zステージ、ひいては粉末材料の特に均一な搬送、を可能にする。3室充填シュー38では、プレス材料の流動挙動に大きく依存せずに、優れた打錠結果の実現が可能である。
【0076】
図9~
図11は、
図6~
図8による3室充填シュー38のための第2のモジュール式ビルドアップ41の好適な一実施形態の概略図を示す。
図9は、斜め上の視点からのモジュール式ビルドアップ41の3次元図を示す。
図10は、斜め底面図を示す。
図11は、モジュール式ビルドアップ41の好適な設計の平面図に対応する。
【0077】
第2のモジュール式ビルドアップ41は、中間プレート22を備える。中間プレート22は、
図6~
図8に示されているようにT型ハンドルねじ13を使用してベースモジュール39上に据え付け可能である。特に
図10に示されているように、中間プレート22には、中間の第3室が存在し、そこに給送用羽根車25が位置する。給送用羽根車25は、差し込み可能な駆動軸31によって作動させることができる。締結要素28は、羽根車25の駆動軸31の支持および密封を可能にする。材料入口23は、粉末状材料が最初に給送用羽根車25の中間室内に給送されるように、中間プレート22上に位置付けられる。
図6~
図8について説明されているように、均一な充填を保証する、粉末状材料の搬送用のための2重Zステージの実現が可能である。
【0078】
図12は、羽根車を駆動するためのギアボックス32への2室充填シュー9の接続の概略図を示す。ギアボックス32は、タブレットプレスの振動が遮断されたキャリアプレート34の下方に位置し、サーボモータ33によって駆動される。ギアボックス32は、2つの差し込み可能な駆動軸29および30によって各羽根車に接続される。第1の駆動軸29が左側の充填用羽根車24を駆動し、第2の駆動軸30が右側の定量化用羽根車17を駆動する。2室充填シュー9の構成には給送用羽根車がないので、第3の駆動軸は不要である。
【0079】
図13は、2室充填シュー38の好適な一実施形態の下からの概略図を示す。この図から分かるように、右側の定量化用羽根車17の駆動用の駆動軸30のためのアダプタ30aと、左側の定量化用羽根車24用の駆動軸29のためのアダプタ29aとがベースプレート14上で利用可能である。さらに、
図13は、ダイプレートの表面から充填シューの領域外への粉末材料の流出を防止する、狭着シール36と押圧片37とを示す。
【0080】
図14は、各羽根車の駆動用のギアボックス32への3室充填シュー38の接続の概略図を示す。ギアボックス32は、タブレットプレスの振動が遮断されたキャリアプレート34の下方に位置し、サーボモータ33によって駆動される。ギアボックス32は、3つの差し込み可能な駆動軸29、30、および31によって、羽根車に接続される。第1駆動軸29が左側の充填用羽根車24を駆動し、第2駆動軸30が右側の定量化用羽根車17を駆動し、第3駆動軸31が中間の給送用羽根車31を駆動する。
【0081】
図15は、3室充填シュー38の好適な一実施形態の下からの概略図を示す。この図から分かるように、右側の定量化用羽根車17の駆動用の駆動軸30のためのアダプタ30a、左側の定量化用羽根車24用の駆動軸29のためのアダプタ29a、および中間の給送用羽根車25の駆動用の駆動軸31のための第3のアダプタ31aがベースプレート14上で利用可能である。
【0082】
図16a~
図16cは、2室または3室充填シューのための調整が柔軟な材料給送装置43の好適な一実施形態の概略図を示す。
図16aは、材料給送装置43を平面図で示し、
図16bは3次元側面図で示し、
図16cは断面図で示す。材料給送装置43は、充填シューの上方のヘッドピース内に位置し、2つの位置7および8に調整可能な出口管3を備える。材料給送装置43をタブレットプレス内に据え付けるために、3つのT型ハンドルねじ2と取り付けフランジまたはプレート1が使用される。トライクランプフランジ4および5は、出口管3の安全確実な密封を保証する。さらに、出口管3の下端に遮断弁6が存在する。材料は、出口管3を介して2室または3室充填シュー用の材料入口に給送される。
図1~
図15に示されているように、インペラ充填シューが2室充填シュー9として構成される場合、材料入口11は、3室充填シュー38用の材料入口23とは異なる位置にある。したがって、出口管3の位置をそれぞれの材料入口の位置に調整する必要がある。この目的のために、出口管3を2つの位置7および8の間で旋回できるように、出口管3は、円形の取り付けフランジ1に非対称的に位置付けられる。図示の好適な実施形態において、旋回角度は35°である。ただし、旋回角度は、異なるモジュール式ビルドアップ40および41の材料入口11および23の位置付けに依存する。本ケースにおいて、位置7は、2室充填シュー9用の出口管3の位置に対応し、位置8は、3室充填シュー38用の出口管3の位置に対応する。材料給送装置43の図示の実施形態は、インペラ充填シューの2つの構成間の特に容易な組み立て切り替えを可能にする。
【0083】
本発明を実施するために、および本発明による解決策に達するために、本発明の記載の実施形態のさまざまな代替案が使用され得ることに注目されたい。したがって、本発明によるインペラ充填シューと、本発明によるインペラ充填シューを備えたロータリプレス、ならびに記載の方法は、それぞれの設計において、上記の好適な実施形態に限定されない。むしろ、図示の解決策とは異なり得るさまざまな設計変形例が考えられる。特許請求の範囲の目的は、本発明の保護範囲を規定することである。特許請求の範囲の保護範囲は、本発明によるインペラ充填シュー、本発明によるインペラ充填シューを備えたロータリプレス、好適な方法、ならびにそれらの均等な実施形態にわたることを目的とする。
【符号の説明】
【0084】
1 取り付けフランジ/プレート
2 蝶ねじ
3 出口管
4 トライクランプフランジ
5 トライクランプフランジ
6 遮断弁
7 2室充填シューのための材料用開口部の位置
8 3室充填シューのための材料用開口部の位置
9 2室充填シュー
10 材料導入スリーブ用の締め付けリング
11 2室充填シューのための第1の材料入口
12 2室充填シューのための第1の中間プレート
13 T型ハンドルねじ
14 ベースモジュールのベースプレート
15 T型ハンドルねじ
16 点検窓
17 定量化用羽根車
18 材料排出管右室
19 材料排出管左室
21 ベースモジュールのカバー
22 3室充填シュー用の第2の中間プレート
23 3室充填シュー用の第2の材料入口
24 充填用羽根車
25 給送用羽根車
26 ベースプレートの材料出口および/または充填用開口部
28 羽根車の駆動軸の支持および密封
29 左側の充填用羽根車用の差し込み可能な駆動軸
29a 左側の充填用羽根車用の駆動軸のためのアダプタ
30 右側の定量化用羽根車のための差し込み可能な駆動軸
30a 右側の定量化用羽根車用の駆動軸のためのアダプタ
31 第3/中間の給送用羽根車のための差し込み可能な駆動軸
31a 第3/中間の給送用羽根車用の駆動軸のためのアダプタ
32 羽根車を駆動するためのギアボックス
33 サーボモータ
34 振動が遮断されたキャリアプレート
35 材料排出管18および19のためのロック用スライダ
36 狭着シール
37 弾性押圧片
38 3室充填シュー
39 ベースモジュール
40 2室充填シューのための第1のモジュール式ビルドアップ
41 3室充填シューのための第2のモジュール式ビルドアップ
43 材料給送装置