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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220210BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20220210BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F25B1/00 331Z
F25B13/00 331A
F28D9/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019564443
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018063326
(87)【国際公開番号】W WO2018215425
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】1750634-6
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ダールベリ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特許第5025783(JP,B2)
【文献】特開平9-318178(JP,A)
【文献】特開平1-98860(JP,A)
【文献】特開昭61-235651(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10245257(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1873466(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
F28D 1/00 ~ 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆冷凍システムであって、気体冷媒を圧縮するように配置された圧縮機(C)と、ペイロードが加熱される加熱位置とペイロードが冷却される冷却位置との間で切り換え可能な四方弁(FWV)と、加熱または冷却を必要とするペイロードに接続されたペイロード熱交換器(PLHE)と、ダンプ熱交換器(DHE)と、2つの一方向弁(OWV1,OWV2)と、2つの制御可能な膨張弁(EXPV1,EXPV2)と、を備える可逆冷凍システムであって、一方向弁(OWV1,OWV2)が、それぞれ対応する膨張弁に並列に接続され、加熱位置と冷却位置との間の四方弁の切り換えが、ペイロード熱交換器(PLHE)またはダンプ熱交換器(DHE)のいずれかへの加圧冷媒の流れを制御し、加圧冷媒の流れを受け取る熱交換器が、凝縮器として機能し、他方の熱交換器が、蒸発器として機能し、前記システムは、第1の吸気熱交換器と、第2の吸気熱交換器と、を備え、ダンプ熱交換器(DHE)は、四方弁が加熱位置にあるときに、ペイロード熱交換器(PLHE)が凝縮器として機能するときにペイロード熱交換器(PLHE)を出た液体高圧冷媒と、ダンプ熱交換器(DHE)を出た低圧気体冷媒と、の間で熱を交換するように構成された第1の吸気熱交換器に接続され、ダンプ熱交換器(DHE)は、並流モードで冷媒とダンプとの間で熱を交換するように構成され、第1の膨張弁(EXPV1)は閉じ、第1の一方向弁(OWV1)は開き、第2の膨張弁(EXPV2)は開き、第2の一方向弁(OWV1)は閉じ、ペイロード熱交換器(PLHE)の第2の吸気熱交換器は不活性化される、可逆冷凍システム。
【請求項2】
請求項1に記載の可逆冷凍システムであって、第2の吸気熱交換器が、四方弁(FWV)が冷却位置にあるときにペイロード熱交換器(PLHE)を出た低圧気体冷媒とダンプ熱交換器(DHE)を出た液体高圧冷媒との間で熱交換するように構成される、可逆冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体冷媒を圧縮するように配置された圧縮機と、ペイロードが加熱される加熱位置とペイロードが冷却される冷却位置との間で切り換え可能な四方弁と、加熱または冷却を必要とするペイロードに接続されたペイロード熱交換器と、ダンプ熱交換器と、2つの一方向弁と、2つの制御可能な膨張弁と、を備える可逆冷凍システムに関し、一方向弁が、それぞれ対応する膨張弁に並列に接続され、加熱位置と冷却位置との間の四方弁の切り換えが、ペイロード熱交換器またはダンプ熱交換器のいずれかへの加圧冷媒の流れを制御し、加圧冷媒の流れを受け取る熱交換器が、凝縮器として機能し、他方の熱交換器が、蒸発器として機能する。
【背景技術】
【0002】
冷凍技術において、いわゆる「吸気熱交換」は、例えば冷凍システムの安定性を改善するための方法である。要するに、吸気熱交換は、凝縮器出口からの温かい液体高圧冷媒と蒸発器出口からの冷たい気体冷媒との間の熱交換を提供することによって、実現する。吸気熱交換によって、冷たい気体冷媒の温度は上昇し、一方、温かい液体の温度は低下する。これは、2つの有益な効果を有する。第1に、温かい液体が後続の膨張弁を通過した後の瞬間沸騰に関する問題が減少する。第2に、蒸発器を出る気体冷媒の液滴のリスクが減少する。
【0003】
吸気熱交換は、周知である。多くの場合、吸気熱交換は、その間で互いに熱交換することが望まれる冷媒を運ぶ管を単にろう付けまたははんだ付けすることによって実現する。しかしながら、熱交換を実現するこの方法は、必要とされる冷媒体積の観点から費用がかかる。冷凍システムの異なる構成要素間の配管ができる限り短いと、常に有益である。異なる温度を有する流体を運ぶ配管を共にろう付けまたははんだ付けすることによる吸気熱交換は、そうでない場合よりも長い配管を必要とし、従って、配管の内容積が増加し、冷凍システムにおいてより多くの冷媒を必要とする。これは、経済的な観点からだけでなく、冷媒の量がいくつかの区域で制限されるので、有害である。
【0004】
別の選択肢は、吸気熱交換のための別個の熱交換器を提供することである。別個の熱交換器は、異なる配管部を互いに単にろう付けするよりも効率的であるが、別個の熱交換器を設けることは、蒸発器および凝縮器を吸気熱交換器に接続する配管も必要とし、この配管は、冷凍システムの冷媒体積を増加させる。
【0005】
さらに、冷凍システムは、必要とされる/所望の負荷に応じて、加熱モードおよび冷却モードの両方で動作することがしばしば要求される。通常、加熱モードと冷却モードとの間のシフトは、蒸発器が凝縮器となり、凝縮器が蒸発器となるように、四方弁をシフトすることによって実現する。
【0006】
残念ながら、これは、凝縮器/蒸発器ユニットの一方または両方における熱交換が、並流熱交換、すなわち、熱を交換する媒体が、加熱モードまたは冷却モードのいずれかで、同じ一般的な方向に移動する熱交換であることを、意味する。当業者に周知のように、並流熱交換は、向流熱交換よりも劣っている。蒸発器では、熱交換性能の低下は、熱交換器を出る冷媒蒸気の液滴のリスクの増加につながる可能性がある。このような液滴は、圧縮機に重大な損傷を与える可能性があり、従って非常に望ましくない。しかしながら、蒸発器内の冷媒と熱を交換するために媒体の流れ方向をシフトさせる装置は、高価であり、冷凍システムに複雑さを加える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記のおよび他の問題を解決または少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のおよび他の問題は、気体冷媒を圧縮するように配置された圧縮機と、ペイロードが加熱される加熱位置と、ペイロードが冷却される冷却位置との間で切り換え可能な四方弁と、加熱または冷却を必要とするペイロードに接続されたペイロード熱交換器と、ダンプ熱交換器と、2つの一方向弁と、2つの制御可能な膨張弁と、を備える可逆冷凍システムであって、一方向弁が、それぞれ対応する膨張弁に並列に接続され、加熱位置と冷却位置との間の四方弁の切り換えが、ペイロード熱交換器またはダンプ熱交換器のいずれかへの加圧冷媒の流れを制御し、加圧冷媒の流れを受け取る熱交換器が、凝縮器として機能し、他方の熱交換器が、蒸発器として機能し、ダンプ熱交換器は、四方弁が加熱位置にあるときに、ペイロード熱交換器が凝縮器として機能するときにペイロード熱交換器を出た液体高圧冷媒と、ダンプ熱交換器を出た低圧気体冷媒と、の間で熱を交換するように構成された吸気熱交換器に接続され、ダンプ熱交換器は、並流モードで冷媒とダンプとの間で熱を交換するように構成される、可逆冷凍システムによって、解決されるまたは少なくとも軽減される。
【0009】
冷凍システムに一方向弁を設けることにより、四方弁が加熱位置にあるとき、吸気熱交換器は、不活性化される。第2の吸気熱交換器が、四方弁が冷却位置にあるときにダンプ熱交換器を出た気体冷媒とペイロード熱交換器を出た液体冷媒との間で熱交換するように配置される、二重吸気熱交換器を配置することによって、加熱モードおよび冷却モードの両方で吸気熱交換を得ることが可能である。
【0010】
以下では、添付図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1aは、一実施形態による熱交換器の平面図であり、図1bは、線A-Aに沿った図1aの熱交換器の断面図である。図1cは、線B-Bに沿った図1aの熱交換器の断面図である。
図2図1の熱交換器の分解斜視図である。
図3】別の実施形態による熱交換器の分解斜視図である。
図4】別の実施形態による熱交換器の分解斜視図である。
図5】別の実施形態による熱交換器の分解斜視図である。
図6】加熱モードで示されている可逆冷凍システムの一実施形態の概略図である。
図7】冷却モードで示されている図6の可逆冷凍システムの概略図である。
図7b】可逆冷凍システムの別の実施形態の概略図である。
図8】「マルチ回路」熱交換器に含まれる4つの熱交換器プレートの概略図である。
図9】好ましい実施形態による熱交換器プレートの概略斜視図である。
図10図9の熱交換器プレートを備える熱交換器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1a-2では、統合吸気熱交換器部分として使用可能な第2熱交換部分を有するろう付け熱交換器100が、示されている。熱交換器100は、熱交換器100を形成するように積み重ねられたシートメタルプレート110a-110gから作られ、媒体が熱を交換するためのプレート間流路の形成下でプレートを互いからある距離に保つように適合された隆起部Rおよび溝部Gのプレスパターンを備えている。大きいポート開口O2およびO3は、各熱交換器プレートの角付近に設けられ、一方、大きい開口01および04は、各熱交換器プレートの短い側の近くで中央に設けられる。ポート開口O1およびO4を囲む領域は、ポート開口とプレート間流路との間の選択的連通が実現するように、異なる高さで設けられる。熱交換器100において、ポート開口を囲む領域は、大きい開口O1とO2とが、いくつかのプレート間空間によって互いに流体連通し、一方、開口O3とO4とが、隣り合うプレート間空間によって互いに流体連通するように、配置される。
【0013】
熱交換器プレート110a-110gは、各熱交換器プレートの一方の長辺からその他方の長辺まで延びる分割面DWも設けられる。
【0014】
熱交換器プレートのスタックの端に配置された熱交換プレート110hは、ポート開口を備えていない。これは、プレートスタックの一端で導入された流体が、プレートパックからその他方の側で直ちに逃げず、接続部(図示せず)またはプレート間流路に押し込まれるように、ポート開口用のシールを提供するためである。他の全ての点において、熱交換器プレート110hは、熱交換器プレート110a-110gと同一である。
【0015】
特に図2に関し、複数の熱交換プレート210a-210hが示されている。熱交換器プレート210hを除いて、熱交換プレートのそれぞれには、ポート開口O1、O2、O3、O4、SO1およびSO2を備えている。ポート開口は、上記のように、ポート開口と、隣り合う熱交換器プレート間に形成されるプレート間流路との間の選択的連通が提供されるように、異なる高さで設けられる領域によって囲まれる。さらに、熱交換器プレートのそれぞれは、スカートSによって囲まれ、スカートSは、熱交換器プレートの平面にほぼ垂直に延び、熱交換器の周囲に沿ってシールを提供するように隣り合うプレートのスカートに接触するように適合される。
【0016】
大きいポート開口O4とO3との間の流体流れ用のプレート間流路をシールするために、分割面DWが熱交換器プレートの長辺の間に設けられる。分割面DWは、異なるプレートの異なる高さに設けられた細長い平坦面を備え、隣り合うプレートの表面が互いに接触すると、チャネルはシールされ、そうでない場合にはそれは開かれる。この場合、分割面DWは、大きいポート開口O1およびO2を囲む領域と同じ高さで提供され、これは、大きいポート開口O1とO2を流体的に接続するプレート間流路については、分割面が開かれ、一方、大きいポート開口O3とO4を流体的に接続する流路については、分割面は、このプレート間空間内の流体を遮断することを意味する。
【0017】
分割面DWは、大きいポート開口O3およびO4と連通するプレート間空間内の流体流れを遮断するので、分割面DWの両側に別個のプレート間チャネルがある。分割面DWの側のプレート間流路は、大きい開口O3およびO4に連通しておらず、2つの小さいポート開口SO1およびSO2に連通している。なお、分割面DWは、大きいポート開口O1およびO2に連通するプレート間流路を遮らないので、小さいポート開口SO1およびSO2に連通するプレート間流路を流れる媒体は、大きいポート開口O3およびO4に連通するプレート間流路を流れる媒体と同様に、大きい開口O1およびO2に連通する流路を流れる媒体と熱交換する。
【0018】
図2に示されている実施形態では、分割面DWは、熱交換器プレート110a-hの一方の長辺から他方の(反対側の)長辺に直線状に延び、大きいポート開口O1とO4との間を通過する。小さい開口SO1およびSO2は、大きいポート開口O1の両側に位置している。なお、大きいポート開口O1は、小さいポート開口SO1およびSO2に連通するプレート間流路を流れる媒体が、大きいポート開口O1の両側を通過するように、配置されている。この配置は、ポート開口O1がその周囲に沿って均一な温度を有するという点で有益である。
【0019】
図3に示されている実施形態では、分割面は、直線状には延びておらず、それは、熱交換器の角付近に配置されたポート開口O1から離れるようにわずかに曲げられている。これは、小さい開口SO1から小さい開口SO2へのより均一な流れ領域を提供する。
【0020】
図4に示されている実施形態では、分割部は、ポート開口O1の周りに半円状に延びている。この実施形態は、大きいポート開口O1-O4を熱交換器の角の近くに配置することができ、従って、大きい熱交換領域を提供するという点で有益である。この実施形態は、大きい開口O3およびO4に連通していない分割面DWの側のプレート間流路の流れ領域が、小さい開口SO1と小さい開口SO2との間で一様な断面を有する点でも、有益である。図4の分割面は、熱交換器プレートの対向する側の間ではなく、熱交換器プレートの隣り合う側の間に延びることに、留意されたい。
【0021】
図5では、図2の実施形態に類似する実施形態が示されている。先に示した実施形態と同様に、分割面DWは、熱交換器の一方の長辺から他方の長辺に直線状に延び、大きいポート開口O1とO4との間を通過する。小さい開口SO1およびSO2は、大きいポート開口O1の両側に位置している。しかしながら、大きいポート開口O1は、流体が大きいポート開口O1と熱交換器の短辺との間を通過しないように、位置付けられるおよび配置される。これは、ポート開口O1と熱交換器の短辺との間の「デッドエリア」が回避されるので、小さい開口SO1とSO2との間を流れる流体と、大きい開口O1を通って熱交換器から出ようとする流体との間の熱交換が改善されるという点で、有益である。
【0022】
図6および7では、上記の熱交換器の実施形態のいずれかによる熱交換器を使用することができるチラーシステムの好ましい実施形態が、それぞれ加熱モードおよび冷却モードで示されている。
【0023】
第1実施形態によるチラーシステムは、圧縮機Cと、四方弁FWVと、加熱または冷却を必要とするブラインシステムに接続されたペイロード熱交換器PLHEと、第1の制御可能な膨張弁EXPV1と、第1の一方向弁OWV1と、望ましくない熱または冷気がダンプされることができる熱源に接続されたダンプ熱交換器DHEと、第2の膨張弁弁EXPV2と、第2の一方向弁OWV2とを備える。熱交換器PLHEおよびDHEは、それぞれ、上記で開示した4つの大きい開口O1-O4と、2つの小さい開口SO1およびSO2を備え、各熱交換器の大きい開口O1およびO2は、互いに連通し、各熱交換器の大きい開口O3およびO4は、互いに連通し、各熱交換器の小さい開口SO1およびSO2は、互いに連通する。熱交換は、O1からO2へ流れる流体と、O3とO4およびSO1とSO2の間を流れる流体との間で生じる。しかしながら、O3からO4に流れる流体とSO1からSO2に流れる液との間には熱交換はない。
【0024】
図6に示されている加熱モードでは、圧縮機Cは、高圧気体冷媒を四方弁FWVに供給する。この加熱モードでは、ペイロード熱交換器PLHEの大きい開口O1に高圧気体冷媒を運ぶように、四方弁は制御される。その後、高圧気体冷媒は、ペイロード熱交換器PLHEを通過し、大きい開口O2で出る。ペイロード熱交換器PLHEを通過する間に、高圧気体冷媒は、加熱を必要とする、および大きい開口O4から大きい開口O3へと流れる、すなわち、大きい開口O1から大きい開口O2へ流れる冷媒と比べて反対の流れ方向に流れる、ペイロードに接続されたブライン溶液と熱交換する。ブライン溶液と熱交換している間に、高圧気体冷媒は凝縮し、大きい開口O2を通って熱交換器PLHEを出るときに、それは、完全に凝縮する、すなわち液体状態になる。
【0025】
加熱モードでは、第1の膨張弁EXPV1は完全に閉じられ、ペイロード熱交換器を出る液体冷媒の流れは、第1の一方向弁OWV1を通過し、この一方向弁OWV1は、この方向への冷媒の流れを可能にし、他の方向への流れを遮断する(これについては、冷却モードの説明に関連して後述する)。
【0026】
第1の一方向弁OWV1を通過した後、液体冷媒(まだ比較的熱い)は、ダンプ熱交換器DHEの小さい開口SO2に入り、小さい開口SO1を通って熱交換器を出る。小さい開口SOとSO1との間を通過する間、冷媒の温度は、ダンプ熱交換器DHEを出ようとする低温の主に気体の冷媒との熱交換のために、著しく低下する。
【0027】
ダンプ熱交換器DHEを小さい開口SO1を通って出た後、液体冷媒は、第2の膨張弁EXPV2を通過し、そこで冷媒の圧力が低下し、冷媒の一部の瞬間沸騰を引き起こし、直ちに温度を低下させる。第2の膨張弁から、冷媒は、冷媒回路の高圧側と低圧側との間に接続され、高圧側と低圧側との間の圧力差によって冷媒流について閉じられる、第2の一方向弁OWV2の両方に接続された分岐を通過する。分岐を通過した後、低温低圧半液体冷媒は、大きい開口O2に入り、低温熱を収集することができる供給源、例えば、外気収集器、太陽熱収集器、または地中に穿孔された穴、に接続されたブライン溶液との熱交換下でダンプ熱交換器DHEを通過する。大きい開口O4から大きい開口O3に流れるブライン溶液との熱交換により、主に液体の冷媒は蒸発する。ブライン溶液と冷媒との間の熱交換は、並流状態下で行われ、それは、向流熱交換と比較して劣った熱交換性能を与えることがよく知られている。
【0028】
大きい開口O1を通ってダンプ熱交換器DHEを出る直前に、冷媒(ここではほぼ完全に気化されている)は、小さい開口SO2を通ってダンプ熱交換器に入った、および小さいポート開口SO1を通ってダンプ熱交換器を出た、比較的高温の液体冷媒と熱交換する。その結果として、開口O1を通ってダンプ熱交換器DHEを出ようとする冷媒の温度が上昇し、従って、この冷媒の全てが完全に気化されることが、保証される。
【0029】
並流熱交換は、向流熱交換よりも劣っていることは、当業者に周知である。しかしながら、小さい開口SO2に入る比較的高温の液体ブラインと、ダンプ熱交換器DHEを出ようとする主に気体の冷媒との間の熱交換(すなわち、いわゆる「吸気熱交換」)を提供することにより、ブライン-冷媒熱交換中に冷媒を完全に気化させる必要はない。その代わりに、残りの液相冷媒がこの熱交換中に蒸発するので、冷媒は、高温の液体冷媒との吸入ガス熱交換に入るときに半蒸発するだけであってもよい。液体-液体熱交換は、気体-液体熱交換よりもはるかに効率的であることが、よく知られている。従って、並流熱交換モードに起因するいくらか効果的でない熱交換が補償される。
【0030】
ダンプ熱交換器の開口O1から、気体冷媒は四方弁FWVに入り、四方弁FWVは、気体冷媒の流れを圧縮機に導くように制御され、圧縮機内で冷媒が再び圧縮される。
【0031】
図7では、チラーシステムが冷却モードで示されている。加熱モードから冷却モードにモードを切り替えるために、四方弁FWVは、圧縮機が圧縮気体冷媒をダンプ熱交換器DHEの開口O1に供給するように、制御される。膨張弁EXPV2は完全に閉じ、一方向弁OWV2は開き、一方向弁OWV1は閉じ、膨張弁EXPV1は開いて、冷媒が膨張弁EXPV1を通過する前後の圧力を制御する。
【0032】
従って、冷却モードでは、ダンプ熱交換器は並流凝縮器として機能し、その「吸気熱交換器」はいかなる熱交換も行わないが、ペイロード熱交換器PLHEは並流凝縮器として機能する。しかしながら、高温の液体冷媒とペイロード熱交換器PLHEを出ようとする半気化冷媒との間に吸気熱交換を提供することにより、並流熱交換の効率を許容可能なレベルに維持することができる。
【0033】
なお、図6および図7において、吸気熱交換部はダンプ熱交換器DHEおよびペイロード熱交換器PLHEと一体化されている。しかしながら、他の実施形態では、吸気熱交換器は、ダンプ熱交換器および/またはペイロード熱交換器から分離されてよい。
【0034】
図7bでは、可逆冷凍システムの第2実施形態が、示されている。
【0035】
一般に、このシステムは、図6および図7に示すシステムと同様であるが、ダンプ熱交換器DHEが吸気熱交換機能を備えていない点が異なる。また、この実施形態によるダンプ熱交換器は、外気/冷媒熱交換器である。そのような熱交換器は、例えばブライン溶液中で熱をダンプすることができない場合に使用されることが多い。一般に、空気/冷媒熱交換器は、交差流モードで機能し、これは、ペイロード熱交換器(PLHE)およびダンプ熱交換器DHEの両方について開示された方法で、空気/冷媒熱交換器を吸気熱交換器に接続する利点を意味する。
【0036】
図7bでは、可逆冷凍システムは、加熱モードで示されている、すなわち、ペイロード熱交換器は、凝縮器として機能する。気体冷媒は、圧縮機C内で圧縮され、大きい開口O1に運ばれ、そこからペイロード熱交換器PLHEを通過し、加熱を必要とする媒体、すなわちペイロードと熱交換する。熱交換は、向流モードで行われる。今や液体である冷媒は、その後、一方向弁OWV1を通過し、その後、膨張弁EXPV2を通過し、この膨張弁EXPV2において、冷媒圧力が低下し、対応する沸点の低下をもたらす。沸点の低下により、ダンプ熱交換器DHEにおいて、外気との熱交換により冷媒を気化させることができ、この実施形態ではヒートダンプとして機能する。蒸発した、すなわち気体冷媒は、その後、圧縮機Cに運ばれ、圧縮機Cは、再び冷媒を圧縮する。このモードでは、すなわち、四方弁FWVが加熱位置にあるとき、小さい開口SO1とSO2との間に冷媒の流れは全くないかまたはほんのわずかしかないことに、留意されたい。従って、熱交換器のこの部分では熱交換は行われない。
【0037】
図7bの可逆冷凍システムは、図6および図7に示されている実施形態と同様に、リバースモードでも使用することができる。このモードでは、圧縮された冷媒は、ダンプ熱交換器DHEに送られる。図6および図7に示されている実施形態と同様に、これは、四方弁FWVを切り換えることによって実現する。ダンプ熱交換器では、高圧気体冷媒が外気と熱交換し、その結果、冷媒が凝縮する。凝縮した冷媒は、ダンプ熱交換器を出て、一方向弁OWV1(この方向の流れを可能にする)を通過する。その後、冷媒は、ペイロード熱交換器PLHEの小さい開口SO2に移送され、低温気体冷媒との熱交換下で、ペイロード熱交換器PLHEを通過し、低温気体冷媒との熱交換下で、ペイロード熱交換器PLHEを出ようとする。
【0038】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの統合吸気熱交換器が、図8に概略的に示されているような、いわゆる「マルチ回路」熱交換器に設けられる。マルチ回路熱交換器は、熱を交換するための3つの異なる媒体のための入口および出口ポート開口、すなわち6つのポート開口を有する、熱交換器である。
【0039】
図8では、統合吸気熱交換の可能性を有するマルチ回路熱交換器200におけるプレートおよびポート配置の例示的な実施形態が、示されている。図示の実施形態では、4つのプレート201、202、203、204には、それぞれ、6つの大きいポート開口210a-210fと、プレートが互いの上に積み重ねられたときに溝部を互いからある距離に保つように適合された隆起部Rおよび溝部Gのプレスされたパターンとが設けられ、媒体が熱交換するためのプレート間流路が、熱交換器プレート210a-210fの間に形成されるようになっている。ポート開口210a-210fは、ポート開口とプレート間流路との間の選択的な流体連通が得られるように、異なる高さで設けられる。
【0040】
この場合、ポート開口210aと210bとは同じ高さで設けられ、それらがプレート201と201との間のプレート間空間と連通することを意味する。ポート開口210cおよび210dは、プレート202と203との間のプレート間空間と連通し、ポート開口210eおよび210fは、プレート203と204との間のプレート間空間と連通する。
【0041】
さらに、分割面DWが設けられており、プレート202と203との間のプレート間流路が連通にシールされるようになっており、従って小さい開口SO1-SO4と連通する第1および第2の熱交換部分を形成し、小さい開口SO1およびSO2が、ポート開口210bに最も近い位置にある熱交換部分と連通し、小さい開口SO3およびSO4がポート開口210fに最も近い位置にある熱交換部分と連通する。
【0042】
通常、加熱および/または冷却の要件が広い境界内で変化するマルチ回路熱交換器が、使用される。典型的な構成では、1つおきのプレート間流路(ポート開口210cおよび210dと連通する流路)は、ブライン溶液の流れのために配置され、その隣り合うプレート間流路の一方は、第1の冷媒の流れのために配置され、その他方の隣り合う流路は、第2の冷媒の流れのために配置される。第1および第2の冷媒は、それぞれがそれ自体の圧縮機および膨張弁を有する別個の冷凍システムに接続される。高出力の冷却または加熱が必要とされる場合、両方の圧縮機が通電され、一方、冷却または加熱の要件がより低い場合、1つの圧縮機のみが通電される。
【0043】
マルチ回路熱交換器は、基本的に、図6および図7を参照して上記で開示したのと同じ方法で使用することができるが、二重圧縮機C、二重膨張弁EXPV1、二重膨張弁EXPV2、二重四方弁FWV、二重一方向弁OWV1および二重一方向弁OWV2を有する。
【0044】
図9では、熱交換器プレート300の別の実施形態が示されている。この実施形態による熱交換器プレート300は、図2のプレートのポート開口O1からO4と同じ方法で互いに流体連通する4つのポート開口O1-O4を備える。しかしながら、図1の熱交換器プレートとは対照的に、ポート開口O1からO4は、熱交換器プレート300の角付近に配置される。さらに、小さいポート開口SO1およびSO2が互いに近接して設けられ、それらは、図2の熱交換器プレート210a、210bの小さいポート開口と同様に互いに連通する。また、熱交換器プレート300には分割面DSが設けられており、分割面300は熱交換器プレート3の隣り合う2つの側部の間に延在する。熱交換器プレートが細長い場合、分割面DSは熱交換器プレート300の1つの長辺と1つの短辺との間に延び、従ってポート開口O1-O4を部分的に囲む。図4に示されている熱交換器プレートと対照的に、図9の実施形態の分割面DWは、完全に円形ではない。むしろ、分割面SWの端部は真っ直ぐであり、それらが熱交換器の側部に垂直にまたはほぼ垂直な仕方で接続することを意味する。
【0045】
図10では、図9による熱交換器プレートを備える熱交換器の分解図が示されている。それは、図1-2に関して上述したのと同じ機能を有する。しかしながら、図9および10の熱交換器プレートの実施形態は、小さいポート開口SO1とSO2との間の長さにわたる等しい流れ領域を提供するという利点を有する。

図1a-1b】
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7b
図8
図9
図10