(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】水中ライト
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220210BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20220210BHJP
A01K 79/00 20060101ALI20220210BHJP
A01K 85/01 20060101ALI20220210BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220210BHJP
【FI】
F21S2/00 640
F21S9/02
A01K79/00 H
A01K79/00 J
A01K85/01 A
A01K85/01 B
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020555620
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2019043840
(87)【国際公開番号】W WO2020100732
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2018215735
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591171976
【氏名又は名称】山田実業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-257839(JP,A)
【文献】特表2017-513471(JP,A)
【文献】特開平10-33089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 9/02
A01K 79/00
A01K 85/01
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性樹脂材料で形成された本体と、
前記本体内に埋設され、発光ダイオード及び電池を含む回路装置と、
前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、
前記本体内を貫通する第1ライン孔と、
前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成され
、
前記本体が、円柱状の胴部と、前記胴部の一端に一体的に設けられて前記胴部の直径より大きい外径を有する第1球状部とを備え、
前記第1ライン孔が前記第1球状部を貫通するように形成されていることを特徴とする記載の水中ライト。
【請求項2】
前記本体が、前記胴部の他端に一体的に設けられて前記胴部の直径より大きい外径を有する第2球状部を更に備え、
前記第2ライン孔が前記第2球状部を貫通するように形成されている、請求項1に記載の水中ライト。
【請求項3】
透光性樹脂材料で形成された本体と、
前記本体内に埋設され、発光ダイオード及び電池を含む回路装置と、
前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、
前記本体内を貫通する第1ライン孔と、
前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成され、
前記本体が棒状であって、前記第1ライン孔上に沿って延びる流線形の第1膨出部が前記本体の一端部に一体的に形成されている
ことを特徴とする水中ライト。
【請求項4】
前記第2ライン孔上に沿って延びる流線形の第2膨出部が前記本体の他端部に一体的に形成されている、請求項
3に記載の水中ライト。
【請求項5】
透光性樹脂材料で形成された本体と、
前記本体内に埋設され、発光ダイオード及び電池を含む回路装置と、
前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、
前記本体内を貫通する第1ライン孔と、
前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成され、
前記第1ライン孔と前記第2ライン孔との間にラインを収容するためのライン溝が形成されている
ことを特徴とする水中ライト。
【請求項6】
透光性樹脂材料で形成された本体と、
前記本体内に埋設され、発光ダイオード及び電池を含む回路装置と、
前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、
前記本体内を貫通する第1ライン孔と、
前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成され、
前記電極が前記本体の長手方向端面から離れた位置に設けられ、前記電極が前記本体の表面に形成された凹部内に設けられ、前記凹部は、前記電極位置から前記本体の端面に向けて延びる溝状に形成されている
ことを特徴とする水中ライト。
【請求項7】
透光性樹脂材料で形成された本体と、
前記本体内に埋設され、発光ダイオード及び電池を含む回路装置と、
前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、
前記本体内を貫通する第1ライン孔と、
前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成され、
前記第1ライン孔と前記第2ライン孔の対が2対形成されている
ことを特徴とする水中ライト。
【請求項8】
前記回路装置がバイブレータを更に含み、前記回路装置に電流が流れたときに前記バイブレータが振動するように構成されている、請求項1
~7の何れかに記載の水中ライト。
【請求項9】
前記回路装置が音波発信器を更に含み、前記回路装置に電流が流れたときに前記音波発信器が発信するように構成されている、請求項1
~7の何れかに記載の水中ライト。
【請求項10】
前記第1ライン孔および前記第2ライン孔の各々の軸線が交差する角度が120°以上160°以下である、請求項1
~7の何れかに記載の水中ライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延縄、立縄、曳縄等の漁労用或いは釣り用の仕掛けに取り付けられ、釣針に付けた疑似餌等の餌を照射するために用いられる水中ライトに係り、特に深海のマグロ等の大型の魚を釣るための仕掛に取り付けるのに適した水中ライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水中ライトは、仕掛けに用いられる縄、テグス、釣り糸等のライン(以下、単にラインと言う。)を結ぶための環を両端部に設けたもの(特許文献1等)や、ラインを通すための筒を本体の側面に設けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クロマグロのように100キログラムを超えるような大型魚を釣る仕掛けでは、水中ライト本体の両端に設けられた環にラインを結び付けると、魚の力で環が水中ライト本体から外れたり破損したりして、釣針の付いたライン(水中ライトの下端の輪に結び付けられていたライン)が水中ライトから外れ、獲物を取り逃がすという問題があった。
【0005】
また、水中ライト本体の側面に設けられた筒は、仕掛けを船上から投下する際に筒の部分にラインが引っ掛かり、投下する仕掛けをもつれさせて仕掛けが正常な状態で海中に投下できず、その結果、所望の水深に仕掛けが到達しないため、魚が針にかからないという問題があり、また、仕掛けを捲き上げる際にも筒の部分にラインが引っ掛かっていると、引っかかったラインに魚の力がかかって筒の部分が破損し、また、破損した筒の部分でラインが切れて釣針に掛っていた獲物を取り逃がすといった問題もあった。
【0006】
また、環の場合はラインを結び付ける必要があり、筒の場合は、ラインを真っ直ぐ通すようになっているため、水中ライトを固定するための他の部材が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決するため、ラインに大型魚による大きな力がかかっても破損せず、ラインの引っかかりを無くすることができ、別の部材がなくてもラインに保持させることができる水中ライトを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る水中ライトの第1の態様は、透光性樹脂材料で形成された本体と、前記本体内に埋設され、発光ダイオードおよび電池を含む回路装置と、前記本体の表面に露出して離隔配置された一対の電極であって、前記一対の電極間に水が介在することで前記回路装置に前記電池の電流が流れて前記発光ダイオードが発光するように構成された前記一対の電極と、前記本体内を貫通する第1ライン孔と、前記第1ライン孔と離間して前記本体内を貫通する第2ライン孔と、を備え、前記第1ライン孔および前記第2ライン孔は、各々の軸線が鈍角で交差するように形成されている。
【0009】
本発明に係る水中ライトの第2の態様は、上記第1の態様において、前記本体が、円柱状の胴部と、前記胴部の一端に一体的に設けられて前記胴部の直径より大きい外径を有する第1球状部とを備え、前記第1ライン孔が前記第1球状部を貫通するように形成されている。
【0010】
本発明に係る水中ライトの第3の態様は、上記第2の態様において、前記本体が、前記胴部の他端に一体的に設けられて前記胴部の直径より大きい外径を有する第2球状部を更に備え、前記第2ライン孔が前記第2球状部を貫通するように形成されている。
【0011】
本発明に係る水中ライトの第4の態様は、上記第1の態様において、前記本体が棒状であって、前記第1ライン孔上に沿って延びる流線形の第1膨出部が前記本体の一端部に一体的に形成されている。
【0012】
本発明に係る水中ライトの第5の態様は、上記第4の態様において、前記第2ライン孔上に沿って延びる流線形の第2膨出部が前記本体の他端部に一体的に形成されている。
【0013】
本発明に係る水中ライトの第6の態様は、上記第1の態様において、前記回路装置がバイブレータを更に含み、前記回路装置に電流が流れたときに前記バイブレータが振動するように構成されている。
【0014】
本発明に係る水中ライトの第7の態様は、上記第1の態様において、前記回路装置が音波発信器を更に含み、前記回路装置に電流が流れたときに前記音波発信器が発信するように構成されている。
【0015】
本発明に係る水中ライトの第8の態様は、上記第1の態様において、前記第2ライン孔との間にラインを収容するためのライン溝が形成されている。
【0016】
本発明に係る水中ライトの第9の態様は、上記第1の態様において、前記電極が前記本体の長手方向端面から離れた位置に設けられ、前記電極が前記本体の表面に形成された凹部内に設けられ、前記凹部は、前記電極位置から前記本体の端面に向けて延びる溝状に形成されている。
【0017】
本発明に係る水中ライトの第10の態様は、上記第1の態様において、前記第1ライン孔および前記第2ライン孔の各々の軸線が交差する角度が120°以上160°以下である。
【0018】
本他発明に係る水中ライトの第11の実施形態は、上記第1の態様において、前記第1ライン孔と前記第2ライン孔の対が2対形成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る水中ライトによれば、本体を貫通する第1ライン孔および第1来位孔と離間して軸線が鈍角で交差する第2ライン孔にラインを通すので、上記従来の環のように本体から外れて獲物を取り逃がすことがなく、また、上記従来の筒のような突起物が無いためラインが引っ掛かることによる上記不具合も防止でき、更に、ラインにかかるテンションによって他の固定具を使用せずに水中ライトをラインに保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る水中ライトの第1実施形態を示す正面図である。
【
図6】
図1のA-A線に沿う中央縦断側面図である。
【
図7】
図2のB-B線に沿う中央縦断正面図とその一部拡大図である。
【
図8】
図6の中央縦断側面図に仮想線でラインを挿通した状態を示す中央縦断側面図である。
【
図9】本発明に係る水中ライトの第2実施形態を示す中央縦断側面図である。
【
図11】本発明に係る水中ライトの第3実施形態を示す中央縦断側面図である。
【
図14】本発明に係る水中ライトの第4実施形態を示す正面図である。
【
図20】
図14の水中ライトのC-C線に沿う中央縦断側面図である。
【
図21】
図16の水中ライトのD-D線に沿う中央縦断正面図であり、疑似餌を仮想的に被せた状態を示す。
【
図22】本発明に係る水中ライトの第5実施形態を示す正面図である。
【
図23】
図22の水中ライトのE-E線に沿う中央縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る水中ライトの実施形態について以下に
図1~
図23を参照して説明する。全図および全実施形態を通じて同一又は類似の構成部分については同符号を付した。
【0022】
先ず、本発明に係る水中ライトの第1実施形態について、
図1~
図8を参照して説明する。
図1は、本発明に係る水中ライトの第1実施形態を示す正面図、
図2は平面図、
図3は底面図、
図4は右側面図、
図5は背面図、
図6は
図1のA-A線断面図、
図7は
図2のB-B線断面図、
図8は
図6の断面図に仮想線でラインを挿通した状態を示す断面図である。左側面図は
図4の右側面図と同一形であるため図示省略している。
【0023】
水中ライト1は、透光性樹脂材料、例えばポリカーボネート等で形成された本体2を有している。図示例の水中ライト1の本体2は、棒状であって、半球面状の両端面2a、2bを有し、円柱状の胴部2cに半球面上の両端面2a、2bが一体形成されている。本体2は、長手方向に延びる中心軸線Xに線対称な立体形状となっている。本明細書において、「透光性」は透明を含む意味として用いている。
【0024】
本体2内には、
図6及び
図7に示すように、回路装置3が埋設されている。回路装置3は、リチウムイオン電池等の電池3aと、電池3aの両側に配置された回路基板3b、3cを備え、それぞれの回路基板3b、3cに発光ダイオード3e、3fが実装されている。回路装置3は、回路基板3bと3cとの間を蓄光性フィルムで被覆されていてもよい。また、発光ダイオード3eの光を導光する複数本の光ファイバー3gが発光ダイオード3eから本体2の先端側に向けて円錐台状に配置されている。また、図示されていないが、本体2を形成している樹脂材料中に微小金属箔(ラメ)等が分散されて、光を反射させるようになっている。
【0025】
回路装置3は、回路装置3の内部に海水が浸入しないように、本体2を形成している樹脂材料により本体2の内部に樹脂封止され、後述の電極3h、3iを除き、水中ライト1の外部から絶縁されている。このように回路装置3を樹脂封止することにより、例えば水深千メートル以上の深海であっても水圧に耐えて本体2内での絶縁性を確保することができる。
【0026】
回路基板3b、3cの電気回路を開閉するための一対の電極3h、3iが、本体2の表面に露出して設けられている。電極3h、3iは、図示例では、本体2の互いに反対側の側面に離隔して其々配置されている。水中ライト1が水中又は海水中に投下されると電極3hと電極3iとの間に水又は海水が介在することで電池3aからの電流が回路装置3の電気回路内に流れ、発光ダイオード3e、3fが発光する。回路装置3は、タイマーICを含むことができ、発光ダイオード3e、3fを自動点滅させるこができる。電池3aを充電可能な二次電池とし、ワイヤレス充電を可能にする受信コイル(図示せず。)を回路装置3に備えることもできる。
【0027】
電極3h、3iは、本体2の表面からの突起物を無くすため、本体2の表面に形成された一対の凹部3j、3k内において凹部3j、3kから突き出さずに露出するように配置されている。一対の凹部3j、3kは、胴部2cの表面で互いに反対側の側面に形成されている。電極3h、3iの周囲を囲む凹部3j、3kの深さは、1~3mmとされており、電極3h、3iは、凹部3j、3kの底から2mm以下の高さとされ、電極3h、3iが凹部3j、3kから突出しないように形成されている。電極3h,3iが凹部3j、3kから突出しないようにすることで、ラインLの引っ掛かりを無くすことができる。電極3h、3iは、突起状、プレート状、その他の形状とすることもできる。凹部3j、3kを形成せずに、電極3h,3iを薄いプレート状として表面の凸部を小さくして、ラインLの引っ掛かりを無くすこともできる。
【0028】
水中ライト1は、本体2内にバイブレータ4を内蔵することができ、バイブレータ4の駆動回路を回路装置3に組み込み、水中又は海中で電極3h、3i間の導通時にバイブレータ4が作動するように構成することができる。バイブレータ4は、小型振動モータによって振動を発生させるものとすることができる。バイブレータ4を作動させることにより、水中ライト1の本体2に疑似餌(
図21の符号G参照)を被せた場合に、疑似餌(G)が振動して、疑似餌に動きが出ることでマグロ等の魚の食いがよくなることが期待できる。
【0029】
また、水中ライト1は、本体2内に小型の音波発信器5を内蔵することができ、音波発信器5の発振回路を回路装置3に組み込み、水中又は海中で電極3h、3i間の導通時に音波発信器5が作動するように構成することができる。音波発信器5を作動させることにより、水中ライト1を取り付けた仕掛けに掛ける対象魚を捕食するイルカやクジラ等の海獣やサメ等を忌避することができる。イルカ忌避用の音波発信器5の周波数は例えば50kHz~120kHzであり、クジラ忌避用の音波発信器5の周波数は例えば3kHz~4kHzである。
【0030】
本体2には、本体2内を直線状に貫通する第1ライン孔6と第2ライン孔7とが形成されている。第1ライン孔6と第2ライン孔7とは離間して形成されている。第1ライン孔6と第2ライン孔7とは、各々の軸線6a、7aが鈍角の交差角αで交差するように形成されている。図示例において軸線6aと軸線7aとの交差角αは150°である。交差角αは、鈍角即ち90°<α<180°とすることができ、好ましくは120°≦α≦160°である。交差角αは第1ライン孔6及び第2ライン孔7とラインL(
図8参照)との間に生じる摩擦抵抗の大きさに影響し、交差角αが大きくなると摩擦抵抗が小さくなり、交差角αが小さくなると摩擦抵抗が大きくなる。摩擦抵抗が大きくなると、第1ライン孔6および第2ライン孔7にかかる負荷が大きくなり、負荷が大きくなり過ぎると本体2が破損する恐れが生じる。
【0031】
第1ライン孔6は、本体2の長手方向中間部の側面から本体2の一方の端面2aに貫通し、第2ライン孔7が本体2の長手方向中間部の側面から本体2の他方の端面2bに貫通している。第1ライン孔6は、本体2の長手方向中間部の一方の端面2a側の側面に開口6bを有している。第2ライン孔7は、本体2の長手方向中間部の他方の端面2b側の側面に開口7bを有している。第1ライン孔6は、本体2の一方の端面2aに開口6cを有している。第2ライン孔7は、本体2の他方の端面2bに開口7cを有している。
【0032】
図示例において、第1ライン孔6の軸線6aと第2ライン孔7の軸線7aは、いずれも、本体2の中心軸線Xを含む仮想平面内にある。第1ライン孔6および第2ライン孔7は、本体2の長手方向中間部の側面から本体2の端面2a、2bの中心軸線X側に向けて延びることにより、本体2の中心軸線Xに対して斜めに延びている。
【0033】
斯かる構成の水中ライト1は、
図8に示すように、第1ライン孔6および第2ライン孔7にラインLが通される。水中ライト1は、従来の様なラインを通すための環や筒のような突起物が無いため、水中ライト1を取り付けた仕掛けを船上から投下する際(投縄)や水中ライト1を取り付けた仕掛けを海中から船上に引き上げる際(揚げ縄)に、ラインLが突起物に当たったり引っかかったりすることによる従来の不具合を解消することができる。また、従来の様に本体に接続されている環がないので、接続部分からの破損を生じない。
【0034】
また、第1ライン孔6および第2ライン孔7を本体2の中心軸線Xに対して斜めに延びる構成とすることにより、仕掛けに付けられた錘等の荷重によりラインLにテンションがかかると、第1ライン孔6および第2ライン孔7の其々の内周壁とラインLとの間の摩擦抵抗が大きくなり、水中ライト1をラインLに保持させるための他の部材(止めゴム等)が無くても、水中ライト1をラインLの所望位置に容易に保持させておくことができる。
【0035】
第1ライン孔6及び第2ライン孔7の対は、
図9、
図10の第2実施形態に示すように、2対設けることもできる。第2実施形態は、第1ライン孔6及び第2ライン孔7の対が、2対ある点が、一対である第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と同じである。
図9は第2実施形態の水中ライトの中央縦断側面図であり、
図10は
図1の平面図である。
図9及び
図10に示す例では、中心軸線Xに対して線対称に、2本の第1ライン孔6と2本の第2ライン孔7とが設けられている。
図9の態様では、
図8に示したラインLの通し方の他に、
図9に示すようにラインLを本体2の下端で折り返して通すとともに、本体2の上下付近で通した圧着スリーブS1、S2を加締めて折り返した2本のラインLを圧着固定し、下方の圧着スリーブS2の下方にラインLで環Lrを形成し、環Lrに太さの異なる別のライン(図示せず)を連結することもできる。
【0036】
次に、本発明に係る水中ライトの第3実施形態について、
図11~
図13を参照して説明する。
図11は、第3実施形態の水中ライトの中央縦断面図、
図12は平面図、
図13は正面図を示す。第3実施形態の水中ライト1は、第1ライン孔6上および第2ライン孔7上に沿って延びる流線形の第1膨出部8a及び第2膨出部8bが形成されている点が上記第2実施形態と相違し、その他の構成は上記第2実施形態と同様である。
【0037】
第3実施形態の水中ライト1は、第1膨出部88a及び第2膨出部8bを設けたことにより、第1膨出部8aで第1ライン孔6を覆うとともに第2膨出部8bで第2ライン孔7を覆い、第1ライン孔6および第2ライン孔7に通したラインに大きな張力がかかっても、張力に対抗し得る所望の強度を得ることができる。また、第1膨出部8a及び第2膨出部8bを設けることにより、第1ライン孔6の軸線6aと第2ライン孔7の軸線7aの交差角αを上記第1実施形態の交差角αより大きくすることが可能となり、また、本体2の全長を短くすることも可能となる。
【0038】
次に、本発明に係る水中ライトの第4実施形態について、
図14~
図21を参照して説明する。第4実施形態の水中ライト1は、本体2が、円柱状の胴部2cと、胴部2cの両側に一体的に接続された第1球状部2m、第2球状部2nとを備えている。第1球状部2m、第2球状部2nの外径D1は、胴部2cの直径D2より大きい。
【0039】
第1ライン孔6が一方の第1球状部2mを貫通するように形成され、第2ライン孔7が他方の第2球状部2nを貫通するように形成されている。第1ライン孔6は、一方の第1球状部2mの胴部2cとの接続側端部から一方の第1球状部2mの先端部を貫通する。第2ライン孔7は、他方の第2球状部2nの胴部2cとの接続側端部から他方の第2球状部2nの先端部を貫通する。第1ライン孔6は、一方の第1球状部2mの胴部2cとの接続側端部に開口6bを有し、一方の第1球状部2mの先端部に開口6cを有する。第2ライン孔7は、他方の第2球状部2nの胴部2cとの接続側端部に開口7bを有し、他方の第2球状部2nの先端部に開口7cを有する。
【0040】
第4実施形態の水中ライト1は、第1球状部2m、第2球状部2nが胴部2cより大径で肉厚であるため、上記第3実施形態と同様に、第1ライン孔6および第2ライン孔7を補強することができる。また、上記第3実施形態と同様に、第1ライン孔6の軸線6aと第2ライン孔7の軸線7aの交差角αを上記第1実施形態の交差角αより大きくすることができ、また、全長を短縮することができる。
【0041】
また、第4実施形態の水中ライト1において、電極3h、3iは、本体2の長手方向端面から離れた位置に設けられており、本体2の表面に形成され電極3h、3iを収容している凹部3j、3kは、電極3h,3iの位置から本体2の端面に向けて延びる溝状に形成されている。凹部3j、3kは、図示例においては胴部2cの端部(胴部2cと第2球状部2nとの境界付近)から、本体2の端部、図示例においては一方の第2球状部2nの端面に向けて、第2球状部2nを横切るようにして延びている。この溝状の凹部3j、3kは、
図21に仮想線で示すような透明又は半透明のゴム製の疑似餌Gを水中ライト1に被せて使用する場合には、電極3h、3iへの水路となって水又は海水が電極3h、3iに接触することを確保する。
【0042】
次に、本発明に係る水中ライトの第5実施形態について
図22~
図23を参照して説明する。
【0043】
第5実施形態の水中ライト1は、第1ライン孔6と第2ライン孔7との間でラインを収容するためのライン溝9が形成されている点が上記第1実施形態と相違し、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。詳細には、円柱状の胴部2cの側面に、ライン溝9が形成されている。
【0044】
第5実施形態の水中ライト1は、第1ライン孔6と第2ライン孔7との間に、ラインを収容するためのライン溝9を設けることにより、上記第2実施形態や第3実施形態のように胴部2cより大径の部分を形成せずに、第1実施形態のものよりも交差角αを大きくすることが可能となる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。上記実施形態では、棒状の本体を例示したが、例えば、球状、楕円体等の他の形状とすることもできる。また、第4実施形態以外の形態においても、第4実施形態のように凹部3jを溝状に形成することができる。さらに、第5実施形態のライン溝9は、上記第1~第4実施形態においても設けることができる。また、第3実施態様では、本体の長さ方向の一方端部に第1膨出部が設けられて他方端部に第2膨出部設けられている例を示したが、第1膨出部のみを設けることもできる。また、第4実施形態では、胴部の両端部に第1球状部及び第2球状部を設ける例を示したが、第1球状部又は第2球状部のいずれか一方のみを設けることもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 水中ライト
2 本体
2c 胴部
2m 第1球状部
2n 第2球状部
3 回路装置
3a 電池
3e、3f 発光ダイオード
3h、3i 電極
3j、3k 凹部
4 バイブレータ
5 音波発信器
6 第1ライン孔
6a 軸線
7 第2ライン孔
7a 軸線
8a 第1膨出部
8b 第2膨出部
9 ライン溝