(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】発光装置、実装基板、発光体
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220210BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220210BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20220210BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/00 H
H01L33/48
(21)【出願番号】P 2017024736
(22)【出願日】2017-02-14
【審査請求日】2020-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 高史
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/105409(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254427(US,A1)
【文献】国際公開第2016/067794(WO,A1)
【文献】特開平08-204049(JP,A)
【文献】特開2008-258548(JP,A)
【文献】特開2006-147985(JP,A)
【文献】特開2015-192062(JP,A)
【文献】特開2006-005290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口と、前記開口を挟む位置であって下面に設けられた少なくとも一対の第1電極とを有する実装基板と、
発光部と、前記発光部を挟む位置であって上面に設けられた少なくとも一対の第2電極とを有する発光体と、
前記開口から前記発光部が露出すると共に、前記第1電極と前記第2電極を導通するように接合する一対の半田接合部と、
前記実装基板と前記発光体の間に設けられるスペーサと、
を有し、
前記発光部は、前記スペーサの厚み方向に突出するように設けられており、
前記スペーサは、平面視において前記一対の半田接合部が対向する方向に直交すると共に前記発光部を通過する直線上に配置されて
おり、
前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、
前記一対の半田接合部は、前記スペーサと共に前記実装基板と前記発光体との隙間を決めるように設けられており、
前記スペーサの数は、前記半田接合部の数以下である、
発光装置。
【請求項2】
前記スペーサは、前記一対の半田接合部を結ぶ直線を介して一方側に設けられる第1スペーサと、他方側に設けられる第2スペーサとを含む、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1スペーサと前記第2スペーサの平面形状は互いに異なる形状である請求項2に記載の発光装置
【請求項4】
前記第1スペーサと前記第2スペーサとは、前記一対の半田接合部を結ぶ直線を中心として対称の位置に設けられている、
請求項2又は3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記実装基板と前記発光体の少なくともいずれかの平面形状は矩形であり、
前記一対の半田接合部のうち一方は前記矩形の第1角部に設けられており、他方は前記第1角部の対角にある前記矩形の第2角部に設けられており、
前記スペーサは、前記矩形のうち前記第1角部及び前記第2角部以外の角部に設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記スペーサの平面形状が前記矩形の角部の形状に沿うL字状である請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記スペーサが前記発光部の全周を囲むように設けられる請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記スペーサが前記発光体に固定して設けられる請求項1~7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光部は、発光素子を封止する封止樹脂部と、前記封止樹脂部を囲むダム部とを有し、
前記ダム部と前記スペーサとは同じ材料からなる請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記スペーサが前記実装基板に固定して設けられる請求項1~7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
開口と、
前記開口を挟む位置に設けられる少なくとも一対の電極と、
を含む実装基板であって、
前記実装基板の面のうち前記一対の電極が設けられる面と同じ面に設けられるスペーサを有し、
前記スペーサは、平面視において前記一対の電極が対向する方向に直交すると共に前記開口を通過する直線上に配置されて
おり、
前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、
前記スペーサは、前記実装基板に実装されると共に前記スペーサの厚み方向に突出する発光部を有する発光体と、前記実装基板との隙間を決める部材の一部を構成するものであり、
前記スペーサの数は、前記電極の数以下である、
実装基板。
【請求項12】
発光部と、
前記発光部を挟む位置に設けられる少なくとも一対の電極と、
スペーサと、
を含む発光体であって、
前記発光部は、前記スペーサの厚み方向に突出するように設けられており、
前記スペーサは、平面視において前記一対の電極が対向する方向に直交すると共に前記発光部を通過する直線上に配置されて
おり、
前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、
前記スペーサは、前記発光体と、前記発光体が実装される実装基板との隙間を決める部材の一部を構成するものであり、
前記スペーサの数は、前記電極の数以下である、
発光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、実装基板、及び発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光部を有する発光体と、発光体を実装する実装基板とを有する発光装置が知られている。このような発光装置として、実装基板が開口を有し、その開口から発光部が露出するように、実装基板の下面に発光体の上面が接合されるものがある(例えば、特許文献1)。このように実装基板の開口から発光部が露出するような構成を採用することにより、実装基板の上面に発光体を実装する構成と比較して、発光装置全体の厚みを薄くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、実装基板と発光体とは、半田付けを行うことにより、実装基板に設けられる一対の電極と、発光体に設けられる一対の電極とが導通するように接合される。一対の電極をそれぞれ半田付けにより接合する構成においては、半田付けにより形成される一対の半田接合部を結ぶ直線を軸として、実装基板に対して発光体が傾いた状態で実装されるおそれがある。実装基板に対して発光体が傾いた状態で実装されると、発光部から出射される光の光軸が傾いてしまう。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装基板に対して発光体が傾いた状態で実装されることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)開口と、前記開口を挟む位置であって下面に設けられた少なくとも一対の第1電極とを有する実装基板と、発光部と、前記発光部を挟む位置であって上面に設けられた少なくとも一対の第2電極とを有する発光体と、前記開口から前記発光部が露出すると共に、前記第1電極と前記第2電極を導通するように接合する一対の半田接合部と、前記実装基板と前記発光体の間に設けられるスペーサと、を有し、前記発光部は、前記スペーサの厚み方向に突出するように設けられており、前記スペーサは、平面視において前記一対の半田接合部が対向する方向に直交すると共に前記発光部を通過する直線上に配置されており、前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、前記一対の半田接合部は、前記スペーサと共に前記実装基板と前記発光体のと隙間を決めるように設けられており、前記スペーサの数は、前記半田接合部の数以下である、発光装置。
【0008】
(2)(1)において、前記スペーサは、前記一対の半田接合部を結ぶ直線を介して一方側に設けられる第1スペーサと、他方側に設けられる第2スペーサとを含む、発光装置。
【0009】
(3)(2)において、前記第1スペーサと前記第2スペーサ平面形状は互いに異なる形状である発光装置。
【0010】
(4)(2)又は(3)において、前記第1スペーサと前記第2スペーサとは、前記一対の半田接合部を結ぶ直線を中心として対称の位置に設けられている、発光装置。
【0011】
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、前記実装基板と前記発光体の少なくともいずれかの平面形状は矩形であり、前記一対の半田接合部のうち一方は前記矩形の第1角部に設けられており、他方は前記第1角部の対角にある前記矩形の第2角部に設けられており、前記スペーサは、前記矩形のうち前記第1角部及び前記第2角部以外の角部に設けられている発光装置。
【0012】
(6)(5)において、前記スペーサの平面形状が前記矩形の角部の形状に沿うL字状である発光装置。
【0013】
(7)(1)において、前記スペーサが前記発光部の全周を囲むように設けられる発光装置。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、前記スペーサが前記発光体に固定して設けられる発光装置。
【0015】
(9)(8)において、前記発光部は、発光素子を封止する封止樹脂部と、前記封止樹脂部を囲むダム部とを有し、前記ダム部と前記スペーサとは同じ材料からなる発光装置。
【0016】
(10)(1)~(7)のいずれかにおいて、前記スペーサが前記実装基板に固定して設けられる発光装置。
【0017】
(11)開口と、前記開口を挟む位置に設けられる少なくとも一対の電極と、を含む実装基板であって、前記実装基板の面のうち前記一対の電極が設けられる面と同じ面に設けられるスペーサを有し、前記スペーサは、平面視において前記一対の電極が対向する方向に直交すると共に前記開口を通過する直線上に配置されており、前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、前記スペーサは、前記実装基板に実装されると共に前記スペーサの厚み方向に突出する発光部を有する発光体と、前記実装基板との隙間を決める部材の一部を構成するものであり、前記スペーサの数は、前記電極の数以下である、実装基板。
【0018】
(12)発光部と、前記発光部を挟む位置に設けられる少なくとも一対の電極と、スペーサと、を含む発光体であって、前記発光部は、前記スペーサの厚み方向に突出するように設けられており、前記スペーサは、平面視において前記一対の電極が対向する方向に直交すると共に前記発光部を通過する直線上に配置されており、前記スペーサは、弾性を有する樹脂から成り、前記スペーサは、前記発光体と、前記発光体が実装される実装基板との隙間を決める部材の一部を構成するものであり、前記スペーサの数は、前記電極の数以下である、発光体。
【発明の効果】
【0019】
上記本発明の(1)、(8)、(10)~(12)の側面によれば、実装基板に対して発光体が傾いた状態で実装されることを抑制することができる。
【0020】
また、上記本発明の(2)、(4)~(7)の側面によれば、実装基板に対して発光体をより安定した姿勢で実装させることができる。
【0021】
また、上記本発明の(3)の側面によれば、極性マークを設けることなく電極の極性を識別可能となる。
【0022】
また、上記本発明の(9)の側面によれば、製造工程の工数の削減を可能とする発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態において、実装基板に対して発光体が実装される前の状態を示す斜視図である。
【
図3】第2電極を通る切断線で切断した発光体の断面図である。
【
図4】スペーサを通る切断線で切断した発光体の断面図である。
【
図5】第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した発光装置の断面図である。
【
図6】スペーサを通る切断線で切断した発光装置の断面図である。
【
図7】第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、実装基板に対して発光体を実装する前の状態を示す図である。
【
図8】スペーサを通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、実装基板に対して発光体を実装する前の状態を示す図である。
【
図9】第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、半田接合部を溶融する前の状態を示す図である。
【
図10】スペーサを通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、半田接合部を溶融する前の状態を示す図である。
【
図11】第1変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
【
図12】第2変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
【
図13】第3変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
【
図14】第4変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、
図1~
図6を参照して、本実施形態に係る発光装置100の構成について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態において、実装基板に対して発光体が実装される前の状態を示す斜視図である。
図2は、発光体の上面を示す平面図である。
図3は、第2電極を通る切断線(
図2のA-A切断線)で切断した発光体の断面図である。
図4は、スペーサを通る切断線(
図2のB-B切断線)で切断した発光体の断面図である。
図5は、第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した発光装置の断面図である。
図6は、スペーサを通る切断線で切断した発光装置の断面図である。
【0026】
発光装置100は、投光器やイルミネーションなどの各種照明機器として用いられる装置である。発光装置100は、実装基板10と、実装基板10に実装される発光体20とを有する。発光体20は、半田接合部30(
図5参照)により実装基板10の下面に接合される。
【0027】
図1に示すように、実装基板10は、平面形状が矩形の基板であり、その中央部に円形の開口11を有する。開口11は、実装基板10の上面と下面を貫通するように設けられている。実装基板10は、外形が発光体20よりも大きい絶縁基板からなる。また、実装基板10は、開口11を挟む位置に設けられた一対の第1電極12(
図1の破線参照)を下面に有する。なお、
図1においては平面形状が略三角形の第1電極12を示すが、この形状に限られるものではない。
【0028】
図2に示すように、発光体20は、平面形状が矩形であり、その中央部に発光部21を有する。また、発光体20は、発光部21を挟む位置に設けられた一対の第2電極22a、22bを上面に有する。さらに、発光体20は、極性マークMを上面に有する。極性マークMと第2電極22aとは一体に構成される。すなわち、極性マークMと第2電極22aとは1枚の電極基板で構成されており、その電極基板は第2絶縁層25(
図5等参照)に覆われており、第2絶縁層25に形成される開口から露出する部分が第2電極22a及び極性マークMとなっている。一方、第2電極22bと、極性マークM及び第2電極22aとは互いに分離して構成される。第2電極22bを構成する電極基板と、極性マークM及び第2電極22aを構成する電極基板とは同層に設けられる。なお、以下の説明において、第2電極22aと第2電極22bとを区別して説明する必要がない場合は、単に第2電極22ともいうこととする。
【0029】
図3、
図4に示すように、発光体20は、アルミ基台23、第1絶縁層24、第2電極22及び極性マークMを構成する電極基板、第2絶縁層25がこの順で積層してなる。なお、アルミ基台23の下面にさらに放熱用の基板等を設けてもよい。また、アルミ基台23の代わりに、銅(Cu)等を材料とする他の金属基台を用いてもよい。
【0030】
第2絶縁層25は、一対の第2電極22が露出するように一対の開口25aを有する。また、第2絶縁層25は、極性マークMが露出するように開口25bを有する。極性マークMは、第2電極22aがアノード又はカソードのいずれの電極であるかを識別するために設けられる識別マークである。ユーザは極性マークMを視認することにより、
図2等などで示す符号22aの電極がアノード(又はカソード)であることを認識することができる。なお、本実施形態においては、第2電極22a、22bの平面形状を略三角形とし、極性マークMの平面形状を円形としたが、それらの形状はこれに限られるものではない。ただし、第2電極と極性マークMの平面形状は異なる形状とすることが好ましい。
【0031】
図1に示すように、発光部21の形状は円柱状であり、発光体20の発光体20の上面側に突出するように設けられる。発光部21は、発光素子(不図示)を有し、発光素子は透光性を有する封止樹脂部21aに封止されている。また、発光部21は、封止樹脂部21aの全周を囲むように設けられるシリコン樹脂等からなるダム部21bを有する。発光素子は、第2電極22を通じて給電されることにより発光する。なお、発光素子は、発光体20のサイズ等に応じて数個~数百個程度設けられるとよい。また、封止樹脂部21aには、発光素子からの光が所望の波長となるように蛍光体が含有されている。ダム部21bは、封止樹脂部21aを成形する際に樹脂が流出するのをせき止めるために設けられる。
【0032】
図5に示すように、半田接合部30は、実装基板10の下面と発光体20の上面とを、発光部21が開口11から露出すると共に、第1電極12と第2電極22とが導通するように一対設けられる。実装基板10の開口11から発光部21が露出するような構成を採用することにより、実装基板の上面に発光体を実装する構成と比較して、発光装置全体の厚みを薄くすることが可能となる。
【0033】
本実施形態においては、一対の第1電極12と一対の第2電極22に対応するように、半田接合部30を2箇所に設けた。実装基板10と発光体20とが2箇所に設けられる半田接合部30のみによって互いに支持される構成においては、一対の半田接合部30を結ぶ直線を軸として、実装基板10に対して発光体20が傾いた状態で実装されるおそれがある。実装基板10に対して発光体10が傾いた状態で実装されると、発光体20が備える発光部21から出射される光の光軸が傾いてしまう。
【0034】
そこで、本実施形態においては、一対の半田接合部30を結ぶ直線(
図2のA-A切断線と同じ直線)を中心として対称の位置に一対のスペーサSを設けた。スペーサSは、発光体20の上面に固定して設けられる。一対のスペーサSとしては、少なくともその高さが同じものを用いるとよい。また、スペーサSの材料としては弾性を有する樹脂等を用いるとよい。
【0035】
図5に示すように、半田接合部30により実装基板10と発光体20を接合した状態で、スペーサSは、
図6に示すように、実装基板10と発光体20の隙間を決定するように設けられる。すなわち、スペーサSは、実装基板10に対して発光体20が実装された状態において、実装基板10の下面に接するように発光体20の上面に設けられる。
【0036】
以上のような構成を採用するため、発光体10は実装基板20に対して、半田接合部30のある2点、及びスペーサSのある2点の計4点で支持されることとなる。そのため、発光体20は実装基板10に対して、実装基板10の下面と発光体20の上面とが略平行になった状態で実装される。このように、本実施形態の発光装置100においては、一対の半田接合部30を結ぶ直線を軸として、実装基板10に対して発光体20が傾いた状態で実装されることが抑制される。そのため、発光体20が備える発光部21から出射される光の光軸が傾くことが抑制される。
【0037】
本実施形態においては、
図2等に示すように、スペーサSの平面形状を略L字状とした。そして、略L字状の角部が、矩形の発光体20の角部に沿うようにスペーサSを配置した。このような形状のスペーサSを採用することにより、狭い領域においてもスペーサSを配置でき、かつスペーサSと実装基板10との接触面を広くすることができる。そのため、小型の発光装置100においても、実装基板10に対して発光体20を安定した姿勢で実装することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態においては、スペーサSは、一対の半田接合部30を結ぶ直線を中心として対称の位置に一対設けられる構成について説明したが、これに限られるものではない。例えば、
図1等に示すスペーサSを一つのみ設ける構成としてもよい。その場合、一対の半田接合部30と1つのスペーサSとの3点で、実装基板10と発光体20が支持されることとなり、スペーサSがない場合と比較して、実装基板10に対して発光体20が傾いて実装されることが抑制される。また、例えば、一対の半田接合部30を結ぶ直線を中心として対称の位置に一対設けられる構成に限らず、一対の半田接合部30を結ぶ直線に対して少なくとも反対の位置にスペーサ30が一対設けられる構成であってもよい。また、矩形の発光体20の角部に設けられるものに限られるものでもなく、発光体20と実装基板10の間のいずれかの位置に少なくとも設けられるものであればよい。
【0039】
なお、
図5等に示すように、実装基板10の下面に設けられる第1電極12は、下面側に突出するよう設けられる構成としたが、これに限られるものではない。例えば、第2電極22と同様に、第1電極12を構成する電極基板を覆う絶縁層から電極基板を露出させ、露出した領域が第1電極12となるように構成してもよい。
【0040】
次に、
図5~
図10を参照して、発光装置の製造方法の概要について説明する。
【0041】
図7は、第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、実装基板に対して発光体を実装する前の状態を示す図である。
図8は、スペーサを通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、実装基板に対して発光体を実装する前の状態を示す図である。なお、
図7と
図8とは、図示する断面が異なるが、同じ状態にある実装基板及び発光体を示すものである。
【0042】
図9は、第1電極及び第2電極を通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、半田接合部を溶融する前の状態を示す図である。
図10は、スペーサを通る切断線で切断した断面を示す断面図であって、半田接合部を溶融する前の状態を示す図である。なお、
図9と
図10とは、図示する断面が異なるが、同じ状態にある実装基板及び発光体を示すものである。
【0043】
まず、中央部に円形の開口11と、開口11を挟む位置に設けられる一対の第1電極12とを有する実装基板10を用意する。そして、
図7に示すように、第1電極12の下面に半田接合部30を形成する。
【0044】
次に、発光体20を用意する。発光体20は以下のような工程により形成される。まず、アルミ基台23上に、中央部に開口を有する第1絶縁層24を形成する。そして、第1絶縁層24上に、第2電極22a及び極性マークMを構成する電極基板と、第2電極22bを構成する電極基板を形成する。さらに、それら電極基板上に、絶縁層25を形成する。この際、第2電極22a、22b及び極性マークMが発光体20の上面に露出するように絶縁層25を形成する。例えば、絶縁層25をベタ成形した後、開口25a及び開口25bを形成するとよい。すなわち、第2電極22a、22b及び極性マークMが露出するように絶縁層25を型抜きするとよい。
【0045】
さらに、アルミ基台23上の中央部に1又は複数の発光素子を配置し、発光素子を囲むように円環状のダム部21bを形成する。さらに、流動性を有する樹脂を、円環状のダム部21bの内側に注入する。この際、ダム部21bが、ダム部21bよりも外側に樹脂が漏れ出してしまうことを抑制する。その後、樹脂が固化することにより、発光素子を封止する封止樹脂部21aが形成される。
【0046】
また、一対の第2電極22を結ぶ直線を中心として対称の位置に一対のスペーサSを、発光体20の上面に固定されるように設ける。なお、スペーサSは、ダム部21bと同じ材料で形成し、ダム部21bを形成する工程と同じ工程で形成してもよい。それにより、ダム部21bとスペーサSとを異なる工程で形成する場合と比較して、製造工程の工数を削減でき、製造効率が向上する。
【0047】
次に、
図7、
図8に示すように、実装基板10の開口11から発光体20の発光部21が露出すると共に、第1電極12と第2電極22とが対向する位置にくるように、発光体20の上方に実装基板10を配置する。そして、
図9に示すように、実装基板10に設けられる半田接合部30の下面が、発光体20の第2電極22の上面に接するように、実装基板10を移動する。なお、この状態においては、
図10に示すように、実装基板10の下面と、スペーサSの上面とは離間している。
【0048】
さらに、
図9に示す状態で、半田接合部30を加熱することにより溶融させる。半田接合部30が溶融することにより、実装基板10が発光体20に近づき、
図5に示す状態となる。この状態においては、
図6に示すように、実装基板10の下面とスペーサSの上面とが接触している。その後、溶融した半田接合部30が固まることにより、第1電極12と第2電極22とが導通すると共に、実装基板10と発光体20とが接合される。以上のような工程を経て発光装置100の製造が完了する。
【0049】
次に、
図11~
図14を参照して、スペーサの変形例について説明する。
図11は、第1変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
図12は、第2変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
図13は、第3変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。
図14は、第4変形例のスペーサを有する発光体の上面を示す平面図である。なお、
図1~
図10で示した構成と同じ構成については同じ符号を付してその説明について省略する。
【0050】
図11に示すように、第1変形例のスペーサSaの平面形状は、
図2等で示したスペーサSと同様に略L字状である。一方で、
図2等においては2つのスペーサSが設けられる発光体20について説明したが、
図11に示す発光体120においては4つのスペーサSaを設けた。具体的には、矩形の発光体120の4つの角部の全てに、それら角部に沿う形状のスペーサSaを設けた。発光体120においては、4つのスペーサSaにより実装基板10を支持することとなるため、2つのスペーサSと2つの半田接合部30により実装基板10を支持する発光体20と比較して、実装基板10に対する発光体20の姿勢がより安定することとなる。半田接合部30は材料となる半田の量、溶融の程度によりその高さにバラツキがでる可能性があるのに対して、スペーサSaの高さは揃っているためである。なお、
図11においては、スペーサSaの大きさを
図2に示すスペーサSよりも大きくして図示したが、スペーサの大きさは図示するものに限られない。
【0051】
図12に示すように、第2変形例のスペーサSbの平面形状は円形である。すなわち、スペーサSbの形状は円柱状である。発光体220は、一対の第2電極22を結ぶ直線を中心として対称の位置にスペーサSbを一対有する。すなわち、スペーサSbの配置は、
図2で示したスペーサSの配置と同様である。発光体20のサイズが小型の場合、スペーサを配置する領域を十分に確保することが難しいところ、L字状のスペーサS、Saと比較して、平面形状が円形のスペーサSbの方が狭い領域に配置しやすく、発光体220上への配置が容易である。
【0052】
図13においては、異なる形状のスペーサSa及びスペーサSbを有する発光体320を示す。このように、異なる形状のスペーサを用いることにより、
図2等で示した極性マークMを設けることなく、第2電極22の極性を識別することが可能となる。例えば、平面形状が円形のスペーサSbが配置される側の電極がアノード電極であって、平面形状がL字状のスペーサSaが配置される側の電極がカソード電極である等の識別が可能となる。このような構成においては、極性マークMを形成する必要がないため、製造工程の工数を削減できるメリットがある。
【0053】
図14においては、発光部21の全周を囲むように設けられる1つのスペーサScを有する発光体420を示す。このような構成を採用することにより、
図2等で示した4点(一対のスペーサS、一対の半田接合部30)で実装基板と発光体が支持される構成よりも、さらに安定した姿勢で発光体420を実装基板10に実装することができる。
【0054】
なお、本実施形態及び変形例においては、第1電極12及び第2電極22がそれぞれ一対設けられる構成について説明したが、これに限られるものではなく、それら電極が3以上設けられる構成でもよい。その場合においても、半田接合部30は、2つの第1電極12と2つの第2電極22とをそれぞれ導通するように2つ(一対)設けられるとよい。
【0055】
また、本実施形態及び変形例においては、発光体がスペーサを有する構成について説明したが、スペーサは実装基板と発光体の間に設けられるものであればよい。すなわち、発光体ではなく、実装基板の下面に固定して設けられる構成でもよい。その場合、実装基板に対して発光体を実装した際、スペーサの下面が発光体の上面に接触することとなる。
【0056】
なお、発光装置100は、外部の電子機器に組み込まれて使用されるとよい。発光装置100は、外部の電子機器等と第1電極12、第2電極22が電気的に接続されることにより駆動するが、その詳細の説明については省略する。
【0057】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0058】
10 実装基板、11 開口、12 第1電極、20 発光体、21 発光部、21a 封止樹脂部、21b ダム部、22,22a,22b 第2電極、23 アルミ基台、24 第1絶縁層、25 第2絶縁層、25a 開口、25b 開口、30 半田接合部、100 発光装置、S,Sa,Sb,Sc スペーサ、M 極性マーク。